説明

フラックス入り溶接ワイヤ及びこれを用いた肉盛溶接のアーク溶接方法

【課題】溶着速度、溶着効率が大きいという長所を持つフラックス入り溶接ワイヤを用いて肉盛溶接をした場合に、良好な溶接作業性および低希釈率を実現するとともに、耐食性に優れた溶接部を得ることができるフラックス入り溶接ワイヤおよび肉盛溶接のアーク溶接方法を提供することを課題とする。
【解決手段】外皮内にフラックスが充填されるとともに、純Arをシールドガスとして使用するガスシールドアーク溶接用のフラックス入り溶接ワイヤであって、前記フラックス入り溶接ワイヤ全質量に対し、C:0.20質量%以下、Si:15.00質量%以下、Mn:20.00質量%以下、P:0.0500質量%以下、S:0.0500質量%以下、Cr:15.0〜50.0質量、を含有し、残部がFe及び不可避不純物で構成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は肉盛溶接を代表する異材溶接に用いられるガスシールドアーク溶接用のフラックス入り溶接ワイヤとこれを用いた肉盛溶接のアーク溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肉盛溶接とは、耐食性の向上、母材の補修・再生、母材表面の硬化などの目的のために、母材表面に金属を溶着させる溶接である。この肉盛溶接の施工は、母材成分の希釈が溶接金属に大きな影響を及ぼしてしまうという観点より、施工時に母材をできるだけ溶かさないようにすることが好ましい。
【0003】
特に、軟鋼あるいは低合金鋼にステンレス等の耐食性の高い合金を異材溶接する肉盛溶接は、母材成分の希釈が大きく、通常、この希釈率を考慮して溶接材料を選定する必要があった。その中でも境界部(初層)は希釈が非常に大きいため、境界部のみ添加元素の異なる溶接材料を用いる必要があった。
【0004】
そして、母材成分の希釈により、溶接金属の組織が変化すると高温割れが発生することを考慮しても、なるべく希釈を小さく(溶け込みを小さく)し、フェライト+オーステナイトの溶接金属組織(フェライト量4〜8%)を制御する必要がある。
【0005】
なお、異材溶接の一例として圧力容器内面への肉盛溶接が挙げられ、その溶接法は帯状溶接材料を用いたサブマージアークやエレクトロスラグ溶接法主体で行われているが、これらの溶接法が適用不可能な場所には、ガスシールドアーク溶接法や被覆アーク溶接法が適用されている。特に、ガスシールドアーク溶接法は能率の高さや、自動化、半自動化が可能なことから急速に普及しつつある。
【0006】
このような事情に鑑み、ガスシールドアーク溶接法により肉盛溶接を施す場合に母材成分の希釈率を低減させる技術が創出されており、例えば、特許文献1では、ウィービング条件を所定範囲に限定することで、良好な溶接ビート形状と溶け込みが得られる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−206832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に係る技術は、ウィービング条件が規定範囲から外れるとスパッタが多量に発生する他、別途ウィービングを行うための装置が必要となる。さらに、100%COをシールドガスとして使用しているため、スパッタ、ヒュームは多い傾向にあり、作業性や衛生面に難がある。
【0009】
また、ガスシールドアーク溶接用ワイヤにはソリッドワイヤとフラックス入り溶接ワイヤが存在するが、フラックス入り溶接ワイヤは溶着速度、溶着効率が大きいという長所を持っている反面、ソリッドワイヤに対してヒュームが多く発生する短所が存在し、さらに、Crを含有する成分では有害性が高いとされる六価クロムを発生するとされ、溶接作業者の健康を害する可能性が高く、その削減が期待されている。
【0010】
そこで、本発明は、溶着速度、溶着効率が大きいという長所を持つフラックス入り溶接ワイヤを用いて肉盛溶接をした場合に、良好な溶接作業性および低希釈率を実現するとともに、耐食性に優れた溶接部を得ることができるフラックス入り溶接ワイヤおよび肉盛溶接のアーク溶接方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明者らは、以下の事項について検討した。
通常、肉盛溶接では100%COもしくはAr+20%COがシールドガスとして用いられているが、シールドガス中にO、CO等が混入すると、酸化物が生成しやすくなり、ヒューム増加等の作業性の悪化、およびアークが集中することにより溶け込みが深く(母材成分の希釈が大きく)なってしまう。
【0012】
そこで、本発明者らは、シールドガスとして不活性ガスであるAr100%の純Arガスを用いることを考えた。なぜなら、純Arガスは電位傾度が低いためアークの幅が拡大し、溶込みを抑制する効果があるからである。さらに、Arガスは不活性のため、100%で用いると、溶接において発生する金属蒸気が酸化し難くなるので、ヒューム量が低減するという長所を有するからである。
【0013】
しかし、従来Arガスは電極消耗式アークでは使われてこなかった。その理由は、純Arガスを用いた溶接は電位傾度が低い性質のため、アーク長(電極間距離)が高くなり、プラズマ気流の影響が大きくなってしまい、溶滴移行形態としては電極先端の溶融部(液柱)が細るストリーミング移行や液柱自身が回転するローテーティング移行となりやすいからである。さらに、溶融池側の表面では酸化物が陰極点としてアークの発生点となるが、不活性ガスである純Arガス中では安定した酸化物が生成され難いため、アーク発生点が移動し、アークが不安定となるからである。
【0014】
この電極先端が細る現象とアークが不安定となる現象が相まって、ワンダリング現象と呼ばれる著しいビード形状不良が起きたり、スパッタが増加する等の作業性劣化が起こったりするという短所があった。よって、鋼系のワイヤ(フラックス入り溶接ワイヤ)では純Arガス適用時のこの問題を回避する手法が無いとされ、純Arガスは使えないというのが常識とされてきた。
【0015】
これに対して、文献1(「溶接技術」、2006年2月号、p64“ハイブリッドワイヤの提案”)にある(1)2重ソリッド(文献2:特開2006−205204)や同じように純Arガスを活用する(2)炭素鋼純ArFCW(文献3:特開2009−255125)、(3)プラズマMIGという技術が存在するが、いずれもコストや安定化対策が不十分であった。また、(2)の技術では炭素鋼のフラックス入り溶接ワイヤにて純Arシールドガスを適用しているが、高CrステンレスやNi合金では検討されていなかった。炭素鋼のフラックス入り溶接ワイヤでは純Arシールドガス中のアーク安定化にグラファイトをフラックスとして用いているが、グラファイトを添加すると必然的に溶接金属中の炭素量が増加してしまう。一方、Crを大量に含有するステンレス鋼やNi合金は炭素が大量に存在すると粒界でCr炭化物を生成し、Cr欠乏による粒界腐食やそれに伴う応力腐食割れが発生するため、純Arシールドガスの安定化にグラファイトは使用できない。これが、ステンレス鋼やNi合金で純Arシールドガスが適用されなかった理由である。
【0016】
上記の現象に対し、本発明では、グラファイトを用いることなくCr金属粉を用いることで、純Ar雰囲気中でアークを安定させた。また、ワイヤ中にMn、Si等の強脱酸元素を適量含有させることで、溶融池上に安定した酸化物を生成させ、よりアークの安定化を図った。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
前記課題を解決するために、本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤは、外皮内にフラックスが充填されるとともに、純Arをシールドガスとして使用するガスシールドアーク溶接用のフラックス入り溶接ワイヤであって、前記フラックス入り溶接ワイヤ全質量に対し、C:0.20質量%以下、Si:15.00質量%以下、Mn:20.00質量%以下、P:0.0500質量%以下、S:0.0500質量%以下、Cr:15.0〜50.0質量%、を含有し、残部がFe及び不可避不純物で構成されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤは、前記フラックス入り溶接ワイヤ全質量に対し、Ni:5.00〜80.00質量%、をさらに含有することが好ましい。
【0019】
さらに、本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤは、前記フラックス入り溶接ワイヤ全質量に対し、Ti:1.00質量%以下、Al:1.000質量%以下、Mo:15.000質量%以下、Nb:5.00質量%以下、N:0.0800質量%以下、Cu:5.00質量%以下、V:1.000質量%以下、の1種以上をさらに含有することが好ましい。
【0020】
このように、本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤは、外皮内にフラックスが充填されており(ワイヤの中心にフラックスが充填されており)、このフラックスが溶接中においても溶解しないことから、フラックスの柱として存在する。よって、このフラックスの柱が芯となるため、ソリッドワイヤのように電極先端の溶融部(液柱)が細くなったり、回転したりする現象を抑制でき、溶滴移行を安定させることができる。
【0021】
また、本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤは、純Ar中でも強い脱酸力を持つMn、Ti、Al等をフラックスコアードワイヤ内に適量添加することによって、溶融池上に安定した酸化物を供給でき、さらにアークを安定させることができる。これにより、正常なビード形状が得られ、スパッタを低減させることができる。さらに、純Arシールドガス溶接の効果として、低ヒューム、低希釈率を実現でき、肉盛溶接として最良の結果を得ることができる。加えて、希釈率が小さいことから、初層成分の制御が不要となるとともに、溶接金属組織も容易に制御可能となる。
【0022】
また、本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤは、前記外皮にステンレス鋼を用いることが好ましい。
【0023】
このように、本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤは、外皮にステンレス鋼を用いていることから、ワイヤ自体の耐食性を向上させ、錆びにくくさせることができる。
【0024】
さらに、本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤは、フラックス充填率が前記フラックス入り溶接ワイヤ全質量に対し7〜27質量%であることが好ましい。
【0025】
このように、本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤは、フラックス充填率を所定範囲に限定することで、電極先端の溶融部(液柱)が細る現象を抑制することができる。
【0026】
そして、本発明に係る肉盛溶接のアーク溶接方法は、所定のフラックス入り溶接ワイヤを用いるとともに、純Arをシールドガスとして用いてアーク溶接を行うことを特徴とする。
【0027】
このように、本発明に係る肉盛溶接のアーク溶接方法は、純Arをシールドガスとして用いて溶接することから、低ヒューム、低希釈率を実現することができる。
【0028】
また、本発明に係る肉盛溶接のアーク溶接方法は、前記アーク溶接において、溶接電流としてパルス電流を用い、前記パルス電流のピーク電流が350〜550A、ピーク電流期間が0.5〜3.5msecであるとともに、前記ピーク電流期間が0.8〜3.0msecである場合は、前記ピーク電流が350〜550Aであり、前記ピーク電流期間が0.5msec以上0.8msec未満である場合は、前記ピーク電流が500〜550Aであり、前記ピーク電流期間が3.0msecを超えて3.5msec以下である場合は、前記ピーク電流が350〜380Aであることが好ましい。
【0029】
このように、本発明に係る肉盛溶接のアーク溶接方法は、パルス電流を溶接電流として用いることから、溶接作業性(低スパッタ、低ヒューム)を向上させることができる。また、ピーク電流、およびピーク電流期間を所定範囲に規定することにより、溶接作業性の向上を確保することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤおよび盛溶接のアーク溶接方法によると、純Arをシールドガスとして用いるとともに、フラックス入り溶接ワイヤが所定の組成であることから、良好な溶接作業性(低スパッタ、低ヒューム)および低希釈率を実現するとともに、耐食性に優れた溶接部を得ることができる。
また、本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤによると、ワイヤ自体の耐食性を向上させることができるとともに、電極先端の溶融部(液柱)が細る現象を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】各シールドガスを用いた溶接におけるCr希釈率とヒューム量の関係を示す図である。
【図2】各シールドガスを用いた溶接における母材および溶接金属の断面マクロ写真である。
【図3】パルス電流を溶接電流として用いた際のパルスの適正条件を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤおよび肉盛溶接のアーク溶接方法を実施するための形態について説明する。
【0033】
≪フラックス入り溶接ワイヤ≫
本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤ(以下、適宜ワイヤと称する)は、筒状を呈する外皮と、その外皮の内側に充填されたフラックスと、からなる。なお、フラックス入り溶接ワイヤは、外皮に継目のないシームレスタイプ、外皮に継目のあるシームタイプのいずれの形態であってもよい。
また、フラックス入り溶接ワイヤは、ワイヤ表面(外皮の外側)に銅メッキを施されていても施されていなくてもよい。
【0034】
そして、本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤは、所定量のC、Si、Mn、P、S、Cr、を含有し、残部がFe及び不可避不純物で構成されることを特徴とする。
以下、フラックス入り溶接ワイヤの成分量(C、Si、Mn、P、S、Cr量)の数値範囲を、その限定理由と共に記載する。なお、成分量は、外皮とフラックスにおける成分量の総和で表わし、ワイヤ(外皮+フラックス)に含まれる各成分の質量をワイヤの全質量に対する割合で規定する。
【0035】
<C:0.20質量%以下(0質量%を含む)>
Cは強力なオーステナイト生成元素であり、固溶し、強度を上昇させる元素である。Cは0.20質量%を超えて過剰に存在するとCrの炭化物を生成させ、耐食性が劣化したり、応力腐食割れの原因になったりする。また、スパッタが多発する原因にもなるため、C量は少ない程好ましく、フリーでも問題は無い。したがって、Cの範囲は0.20質量%以下(0質量%を含む)とする。
【0036】
<Si:15.00質量%以下(0質量%を含む)>
Siは有効な脱酸剤であり、かつ強力なフェライト生成元素である。しかし、純Arガス溶接においては酸化し難いことと、同じフェライト生成元素であるCrが必須で添加されるため、フリーでも問題無く溶接できる。尚、Siは0.20質量%以上の添加であるとビード止端部の形状が改善され、より好ましい。一方、Siは15.00質量%を越えるとフェライト相増加のため、脆化し割れが発生する。また、高速溶接時にハンピングが起こるなどしてビード形状が粗悪になる。したがって、Siの範囲は15.00質量%以下(0質量%を含む)とし、好ましくは0.20〜15.00質量%とする。
【0037】
<Mn:20.00質量%以下(0質量%を含む)>
MnはSiと同じく有効な脱酸剤である。また、オーステナイト安定化元素であり、変態点を下げる効果がある。しかし、純Arガス溶接においては脱酸の必要が無いため、フリーでも問題無く溶接できる。一方、Mnは20.00質量%を越えるとオーステナイト単相になり、割れやすくなったり、高速溶接時にハンピングが起こるなどしてビード形状が粗悪になったりする。したがって、Mnの範囲は20.00質量%以下(0質量%を含む)とする。
【0038】
<P、S:0.0500質量%以下(0質量%を含む)>
P、Sは有害な不純物であり、粒界に共晶膜を生成したり、偏析したりすることにより割れを促進する。したがって、P、Sは0.0500質量%以下に抑制する。このとき添加量が0質量%でも何ら問題は無い。
【0039】
<Cr:15.0〜50.0質量%>
Crは耐食性材料の基本成分となり、耐食性に優れ、例えば、ステンレス鋼の最重要元素でもある。また、CrはFeよりも300℃以上融点が高く、アーク中のフラックス柱を安定化させ、尚且つ電離電圧はFeよりも1eV程小さく電離しやすいので、アーク安定性についても良好で純Arシールドガス溶接の安定性をさらに向上させる効果がある。この添加量が15.0質量%を下回ると不動態を保てなくなり、腐食による割れが起こるようになる。一方、50.0質量%を超えて添加すると、脆化による割れが発生する。したがって、Crの範囲は15.0〜50.0質量%の範囲とする。
【0040】
<Fe及び不可避不純物>
残部のFeは、外皮を構成するFe、および/または、フラックスに添付されている鉄粉、合金粉のFeが相当する。
残部の不可避不純物は、上記成分以外の成分を、本発明の効果を妨げない範囲で含有することが許容される。
【0041】
また、本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤは、前記ワイヤ成分に加えて、さらに、Niを所定量含有することが好ましい。
以下、フラックス入り溶接ワイヤの成分量(Ni量)の数値範囲を、その限定理由と共に記載する。
【0042】
<Ni:5.00〜80.00質量%>
NiはMs点を低下し、オーステナイトを安定化させると共に耐食性と低温靭性を向上させる。例えば、オーステナイト系ステンレス鋼、インコネル、ハステロイ等の主要元素である。またNiは高すぎるとオーステナイト単相となり、高温割れが発生しやすくなる特徴を持つ。このため、添加量が5.00質量%を下回るとオーステナイトが不安定になり、マルテンサイトを生じさせ、著しく硬化することによる割れが発生する。一方、80.00質量%を越えると高温割れが発生する。したがって、Niの範囲は5.00〜80.00質量%とする。
【0043】
また、本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤは、前記ワイヤ成分に加えて、さらに、所定量のTi、Al、Mo、Nb、N、Cu、Vの1種以上を含有することが好ましい。
以下、フラックス入り溶接ワイヤの成分量(Ti、Al、Mo、Nb、N、Cu、V量)の数値範囲を、その限定理由と共に記載する。
【0044】
<Ti:1.00質量%以下>
Tiは強脱酸元素であり安定な酸化物、炭化物、窒化物を形成して、結晶粒の微細化等に寄与する元素である。また、Tiは、純Arガス中においても安定した酸化物を形成するため、アークが安定する。純Arガスにおける溶接のため、脱酸元素としてTiは不要となり、Tiフリーでも構わない。また、作業性においてもフラックス柱により、溶融部が安定するので、Tiフリーでも従来溶接法(Ar+20%CO)よりスパッタは低減する。その一方で1.00質量%を超えて添加すると安定に必要以上の酸化物が生成し、スパッタが従来法以上に増加する。尚、0.10質量%以上Tiを添加すると酸化物を起点としてよりアークが安定し、純Arガス中でもさらに安定した溶接が可能となる。一方、0.80質量%を越えて添加すると安定に必要以上の酸化物が生成し、スパッタが増加しやすい。したがって、Tiの範囲は1.00質量%以下とし、好ましくは0.10〜0.80質量%の範囲とする。
【0045】
<Al:1.000質量%以下>
AlはTiと同じく強脱酸元素であり安定な酸化物、炭化物、窒化物を形成して、結晶粒の微細化等に寄与する元素であり、純Arガス中においても安定した酸化物を形成する。しかし、Ti酸化物のほうが熱電子放出特性は低く(Ti酸化物:2〜4eV、Al酸化物:4〜5eV)、Ti酸化物がアーク安定化に対して主な働きをしている。したがって、Alは補助的な役割であり、フリーでもかまわないが、安定化の効果がでるには0.050質量%以上の添加が好ましい。一方、1.000質量%を越えて多量に添加すると、安定に必要以上の酸化物が生成し、スパッタが増加する。したがって、Alの範囲は1.000質量%以下とし、好ましくは0.050〜1.000質量%とする。
【0046】
<Mo:15.000質量%以下>
Moは添加することで、溶接金属の強度を上げ、さらに炭化物を形成し、機械的性質を改善する。また、フェライト生成元素でもある。Moは無添加でも問題ないが、強度の調整やフェライト量の調整には0.05質量%以上の添加が好ましい。一方、15.000質量%を越えて添加すると、強度過剰で割れが発生する。したがって、Moは15.000質量%以下とする。
【0047】
<Nb:5.00質量%以下>
Nbはフェライト生成元素として作用すると共に、強力な炭化物生成元素となる。また、溶接金属の強度をNbは無添加でも問題ないが、Crの炭化物化を防ぎ、耐食性を確保するには0.50質量%以上の添加が好ましい。また、5.00質量%を超えて添加すると、強度過剰による割れやNi添加量が高い場合、NbCの過剰析出による粒界での液化割れが発生する。したがって、Nbは5.00質量%以下とし、好ましくは0.50〜5.00質量%の範囲とする。
【0048】
<N:0.0800質量%以下>
NはTi、Al等と窒化物を生成させ、結晶粒の微細化等に効果があるとともに、強力なオーステナイト生成元素である。0.0800質量%を超えて添加すると、(1)Tiがすべて窒化物となり、Cr炭化物が生成しやすくなる、または(2)Cr窒化物が生成する事により、必要なCr量が不足し、応力腐食割れが発生する。結晶粒の微細化は炭化物でも可能なため、無添加でも問題ない。したがって、Nは0.0800質量%以下とする。
【0049】
<Cu:5.00質量%以下>
Cuはオーステナイト生成元素であり、溶接金属の強度を上げる効果を有する。Cuは無添加でも問題無いが強度確保のため必要に応じて添加してもかまわない。一方、5.00質量%を越えて、添加すると粒界脆化を起こし、割れが発生する。したがって、Cuは5.00質量%以下とする。
【0050】
<V:1.000質量%以下>
VはCやNに対する親和力が高く、安定な炭化物、窒化物を生成する。Vは無添加でも問題ないが、CやN量を低減させるために必要に応じて添加しても構わない。一方、1.000質量%を越えて添加すると、強度過剰により、割れが発生する。したがって、Vは1.000質量%とする。
【0051】
その他、必要に応じて、耐食性を向上させるために、Co、Ta、Wを、それぞれ5質量%以下、1質量%以下、5質量%以下(外皮とフラックスの各成分量の総和)含有してもよい。
【0052】
外皮の材質は、軟鋼であろうともステンレス鋼であろうともフラックス入り溶接ワイヤ全重量における組成が上記規定範囲となっていれば特に制限は無い。しかし、ワイヤ自体に耐食性をもたせ錆びにくくさせる観点から、外皮としてはステンレス鋼が好ましい。
【0053】
また、フラックスは、各規定元素の金属材料、各酸化物、合金などを粉砕したもので構成される。
【0054】
<フラックス充填率>
本発明に係るフラックス入り溶接ワイヤのフラックス充填率は7〜27質量%程度であることが好ましい。フラックス充填率が7質量%未満、あるいは27質量%を超えると、純Arガス溶接雰囲気でのアーク安定化効果が失われるからである。
なお、このフラックス充填率は、外皮内に充填されるフラックスの質量を、ワイヤ(外皮+フラックス)の全質量に対する割合で規定したものである。
【0055】
≪フラックス入り溶接ワイヤの製造方法≫
フラックス入り溶接ワイヤの製造方法は、特に限定されず、一般的な製造工程で製造すればよい。例えば、軟鋼またはステンレスのフープをU字状に成型し、U字状成型フープにフラックスを充填した後、フラックスを内部に充填した筒状型に成型し、目的径まで伸線する工程により製造すればよい。
【0056】
≪肉盛溶接のアーク溶接方法≫
本発明に係る肉盛溶接のアーク溶接方法は、純Arガスをシールドガスとして用いるとともに、上記成分のフラックス入り溶接ワイヤを用いることを特徴とする。また、溶接電流をパルス電流としてアーク溶接を行うことが好ましい。
以下、純Arガスとパルス条件について詳細に記載する。
【0057】
<Arガス種:JISK1105 の1級もしくは2級>
本発明に適用する純Arガスとは純粋な100%Arではなく、工業製品としての純Arとなる。JISK1105 では工業用Arが規定されており、1級:純度99.99%以上、2級:純度99.90%以上とされている。上記に規定された純度のものは本発明の組み合わせとして適用可能である。また、これ以下の純度のものも適用可能であるが、ヒューム量や希釈率の低減効果が小さくなる。
【0058】
<パルスの条件:ピーク電流、ピーク電流期間>
溶接機は一般的な消耗電極式アーク溶接用としている定電圧特性電源を用いる。純Arシールドガス溶接では溶接作業性をさらに向上させるためパルスを推奨する。パルスはピーク電流とピーク電流期間で設定し、ピーク電流:350〜550A、ピーク電流期間:0.5〜3.5msec(ピーク電流期間が0.8〜3.0msecである場合は、ピーク電流が350〜550A、ピーク電流期間が0.5msec以上0.8msec未満である場合は、ピーク電流が500〜550A、ピーク電流期間が3.0msecを超えて3.5msec以下である場合は、ピーク電流が350〜380A)の範囲では直流における純Arシールドガス溶接よりもスパッタが低減し、溶接作業性の改善が確認できる。したがって、パルスの設定は上記の範囲に規定する。より好ましくは、ピーク電流:350〜550A、ピーク電流期間:0.8〜3.0msecである。
なお、一般にベース電流は100A以下である。
【0059】
なお、パルス電流を溶接電流とするアーク溶接とは、電極と被溶接物との間に交互に繰り返すピーク電流とベース電流を通電してアークを発生させる溶接である。そして、ピーク電流とはピーク電流の電流値であり、ピーク電流期間とは1周期あたりに当該ピーク電流が流れる期間である。
【0060】
本発明は異材の肉盛溶接に適用されるものであり、肉盛をする母材の材質は特に限定されない。一般的に用いられる材質としては、軟鋼あるいはCrやMoが添加された耐熱鋼等が挙げられる。
【実施例】
【0061】
以下に本発明の実施例を説明する。ワイヤ径:1.2φ(直径1.2mm)、外皮材:ステンレス(ワイヤNo.39 に示す外皮組成)であるフラックス入り溶接ワイヤ(ワイヤNo.[1]〜[35])を表1に示す。さらにフラックス入り溶接ワイヤの外皮成分を軟鋼およびステンレスとし外皮成分を変化させたワイヤ(ワイヤNo.[36]〜[41])を表2に示す。また、比較用のソリッドワイヤ(ワイヤNo.[42]〜[47])の組成を表3に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【0065】
表1、表2に示されるフラックス入り溶接ワイヤと表3に示される比較用のソリッドワイヤをガスシールドアーク溶接に使用し、スパッタ量、ヒューム量、Crの希釈率、ビード外観、割れについて評価を行った。これらの結果を表4示す。また、パルス条件を変えた場合の評価を表5に示す。
【0066】
【表4】

【0067】
【表5】

【0068】
表4の100%COガスシールドアーク溶接条件は、直流電流−電圧:240A−32V、母材−チップ間距離:25mm、流量:25リットル/min、溶接速度:30cm/minであった。
【0069】
表4のAr+20%ガスシールドアーク溶接条件は、直流電流−電圧:240A−30V、母材−チップ間距離:25mm、流量:25リットル/min、溶接速度:30cm/minであった。
【0070】
表4の100%Arガスシールドアーク溶接条件は、直流電流−電圧:240A−30V、母材−チップ間距離:25mm、流量:25リットル/min、溶接速度:30cm/minであった。
【0071】
表4のAr(ソリッド)の溶接条件は、直流電流−電圧:240A−32V、母材−チップ間距離:25mm、流量:25リットル/min、溶接速度:30cm/minであった。
【0072】
表5の100%Arガスシールドアーク溶接条件(パルス時の条件)は、表5に記載したピーク電流、ピーク時間で行うとともに、ワイヤ送給速度(9.8m/min)で行った。
【0073】
上記の溶接条件は下記評価共通の溶接条件とした。また母材は表6の組成を代表とするSS400鋼を用いた。
【0074】
【表6】

【0075】
<スパッタ量の測定>
発生したスパッタの測定は、各例とも共通して、溶接部の両側面に銅板で作成した箱を設置(詳細には、高さ200mm×幅100mm×長さ500mmの箱を溶接線に対して側面に2つ配置)し、溶接を行い、1分間に発生したスパッタ全てを箱中(箱内)から採取し、集めたスパッタの全質量を測定してスパッタ量(g/min)とした。
表4中において、通常使用されるガス条件中で最もスパッタ量の低いAr+20%ガスシールドアーク溶接時の測定スパッタ量は0.84〜0.91g/minなので、それを若干下回る0.80g/minを基準とし、0.80g/min以上であった場合は改善されていないとして×とし、0.80g/minを下回った場合(未満の場合)は従来よりもスパッタが低減されたとして○とした。
【0076】
また、表5では直流時に発生する測定スパッタ量(0.56〜0.68g/min)を若干下回る0.55g/minを基準として、0.55g/min以上であった場合はパルスの効果が無いとして×とし、0.55g/minを下回った場合(未満の場合)はパルスによってスパッタが低減されたとして○とした。
【0077】
<ヒューム量の測定>
ヒュームの測定はJIS Z3920に準拠した方法で採取し、評価を行った。通常使用されるガス条件中で最もヒューム量の低いAr+20%ガスシールドアーク溶接時の測定ヒューム量は462〜482mg/minなので、それを若干下回る450mg/minを基準とし、450mg/min以上であった場合は、従来の技術に比べて改善されていないとして×とし、450mg/minを下回った場合(未満の場合)は従来よりもヒューム量が改善されたとして○とした。
【0078】
<Crの希釈率評価>
耐食性溶接材料の肉盛において、Crの希釈率は重要な要因である。表4、表5中の化学組成は肉盛溶接初層(溶着金属初層)の中央部を抽出し、分析を行った結果である。母材中にCrは添加されていないため、Crの希釈率は、溶着金属初層のCr量(wt%)/ ワイヤのCr量(wt%)で算出した。通常使用される中で最も希釈率の低いAr+20%ガスシールドアーク溶接時の希釈率は30.4〜36.5%であるので、それを若干下回る30%を基準とし、30%以上であった場合は、従来の技術に比べて改善されていないとして×とし、30%を下回った場合(未満の場合)は従来よりもヒューム量が改善されたとして○とした。
【0079】
<ビード外観の評価>
ビードの外観評価は目視で行った。ビードの際が揃い、直線性が優れているものを○、ビードが大きく蛇行していると判断されるものを×とした。
【0080】
<割れの評価>
溶接割れ試験はJIS Z3158に準拠したy型溶接割れ試験で行い、溶接部の表面割れの有無を目視で確認し、表面割れが無い場合を割れ性が○、表面割れが有る場合を割れ性が×と評価した。
【0081】
ここで、表4は表1のワイヤ(No.[1]〜[35])を各シールドガス溶接で評価したものである。No.1〜23は本発明の実施例となり、その内、No.1 〜17はワイヤNo.[1]〜[17]を純Arシールドガスで評価したものである。いずれの場合もスパッタ量、ヒューム量、希釈率は低減されており、ビード外観は良好で割れも無い。また、No.18 〜23は外皮を変えたものであるが(ワイヤNo.[36]〜[41])、外皮の組成を変えてもワイヤ全体の組成が同じであれば、同様の改善効果が得られる。
【0082】
一方、表4のNo.24〜57は比較例となる。No.24 〜28はワイヤNo.[1]〜[5]をAr+20%COシールドガスで評価した例であり、従来どおりの溶接法となる。また、No.29〜33はワイヤNo.[1]〜[5]を100%COシールドガスで行ったものであり、この組み合わせも従来から用いられている溶接法である。表4に示す評価のように、従来使用しているシールドガスではワイヤを変化させてもスパッタ量、ヒューム量、希釈率が高くなる。
【0083】
No.34〜51はワイヤNo.[18]〜[35]を純Arシールドガスで評価したものである。No.34はスパッタ量、ヒューム量、希釈率に問題ないがPの過剰添加により割れが発生する。No.35はSの過剰添加により割れが発生する。No.36はNi量が過剰に高く、Cr量が低いため、割れが発生する。No.37はCの過剰添加によりスパッタが増加するだけでなく、割れが発生する。No.38はAlの過剰添加により、陰極点が乱れ、ビードが蛇行し、スパッタも増加する。No.39はSi、No.40 はMnの過剰添加のため、ビードが蛇行する。No.41はNの過剰添加により割れが発生し、No.42はNi量が低すぎて、マルテンサイト+フェライトの組織となり割れが発生する。No.43はCr量が高すぎて脆化し、割れが発生する。No.44はNb量、No.45はMo量、No.46はCu量の過剰添加により、溶接金属の強度が高くなりすぎて割れが発生する。No.47はTi量の過剰添加により、陰極点が乱れ、ビードが蛇行し、スパッタも増加する。No.48はVの過剰添加により溶接金属の強度が高くなりすぎて割れが発生する。No.49、50はフラックス充填率が高すぎて、フラックスから飛散するスパッタが多くなる。No.51はフラックス率が低すぎて安定した溶滴移行にならず、スパッタが増加する。
【0084】
No.52〜57はソリッドワイヤを純Arシールドガスで評価したものである。いずれの場合もヒューム量、希釈率、耐割性に問題ないが、アーク不安定となり、スパッタの増加およびビードの蛇行が起こる。
【0085】
表5はワイヤNo.[1]をベースに純Arシールドガス溶接でパルス電流の条件を変えた場合の結果となる。
No.58〜102はパルス条件実施例となり、ヒューム、Cr希釈率、ビード外観、割れに関しても問題なく、スパッタ量は直流の溶接時以下となっており、パルスの効果が伺える。
一方、No.103〜121は、ヒューム、Cr希釈率、ビード外観、割れに関してはよい結果が得られた。しかし、パルス適性条件から外れていたため、スパッタ量が少し多い結果となった。
【0086】
表4、5の結果をヒューム量とCrの希釈率の観点で図示したものを図1に示す。シールドガスを純Arとすることによってヒューム量とCrの希釈率が改善され、さらにパルス化によって、Crの希釈率が改善されることがわかった。
【0087】
また、図2では各ガスシールド溶接、純Arパルス溶接の断面マクロ写真を示すが、当該写真より、純Arパルス溶接は溶け込みが小さく、希釈率がより小さくなることがわかった。
【0088】
図3はパルスを適用した場合にスパッタ低減が可能となる条件範囲を図示した。
【0089】
以上の実施例から、本発明で規定する要件を満たすフラックス入り溶接ワイヤおよび肉盛溶接のアーク溶接方法の溶接作業性(低スパッタ、低ヒューム)、希釈率の優位性が実証された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外皮内にフラックスが充填されるとともに、純Arをシールドガスとして使用するガスシールドアーク溶接用のフラックス入り溶接ワイヤであって、
前記フラックス入り溶接ワイヤ全質量に対し、
C:0.20質量%以下、
Si:15.00質量%以下、
Mn:20.00質量%以下、
P:0.0500質量%以下、
S:0.0500質量%以下、
Cr:15.0〜50.0質量%、
を含有し、残部がFe及び不可避不純物で構成されることを特徴とするフラックス入り溶接ワイヤ。
【請求項2】
前記フラックス入り溶接ワイヤ全質量に対し、
Ni:5.00〜80.00質量%、
をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載のフラックス入り溶接ワイヤ。
【請求項3】
前記フラックス入り溶接ワイヤ全質量に対し、
Ti:1.00質量%以下、
Al:1.000質量%以下、
Mo:15.000質量%以下、
Nb:5.00質量%以下、
N:0.0800質量%以下、
Cu:5.00質量%以下、
V:1.000質量%以下、
の1種以上をさらに含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフラックス入り溶接ワイヤ。
【請求項4】
前記外皮にステンレス鋼を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のフラックス入り溶接ワイヤ。
【請求項5】
フラックス充填率が前記フラックス入り溶接ワイヤ全質量に対し7〜27質量%であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のフラックスワイヤ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のフラックス入り溶接ワイヤを用いるとともに、純Arをシールドガスとして用いてアーク溶接を行うことを特徴とする肉盛溶接のアーク溶接方法。
【請求項7】
前記アーク溶接において、溶接電流としてパルス電流を用い、前記パルス電流のピーク電流が350〜550A、ピーク電流期間が0.5〜3.5msecであるとともに、
前記ピーク電流期間が0.8〜3.0msecである場合は、前記ピーク電流が350〜550Aであり、前記ピーク電流期間が0.5msec以上0.8msec未満である場合は、前記ピーク電流が500〜550Aであり、前記ピーク電流期間が3.0msecを超えて3.5msec以下である場合は、前記ピーク電流が350〜380Aであることを特徴とする請求項6に記載の肉盛溶接のアーク溶接方法。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−55899(P2012−55899A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198653(P2010−198653)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人 溶接学会から2010年8月18日に発行された刊行物「溶接学会全国大会講演概要 第87集」において発表
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】