説明

フラックス転写装置

【課題】フラックス転写装置において、フラックス転写面を形成する際に、効率的に均一なフラックス転写面を形成する。
【解決手段】フラックス転写装置のスキージユニットは、スキージとスクレイパとを有しており、スクレイパの中に開けられたフラックス供給路によりフラックスを供給し、プレートを移動させ、スキージの下端のエッジにより、プレート上にフラックス転写面を形成し、逆方向にプレートを移動させ、スクレイパによりフラックスをせき止め回収する。ここで、スクレイパの上部にフラックス流出板が取り付けられており、フラックス流出板の下部は、プレートの向きに凸形状であり、スクレイパの向きにくぼんだフラックスを溜めるフラックス溜を有しており、フラックスが流出するように、適当な数のフラックス流出穴とそのフラックス流出板の下端とプレートの間に間隔が設けられている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラックス転写装置に係り、電子部品装着装置により自動的に電子部品を搭載するときに、電子部品のハンダ接着部にフラックス付着させる際のフラックス塗布面を均一に形成するのに好適なフラックス転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品をプリント基板に搭載するときに、ハンダの接着部に、フラックス(融剤)を付着させて、表面の酸化物を除いて、ハンダの濡れ性をよくするのが一般的である。
【0003】
このとき、プリント基板に電子部品を搭載する電子部品装着装置により、電子部品を自動的に搭載する場合に、前工程として、フラックス転写装置により自動的にフラックスの転写面を形成しておき、装着ヘッドの有する吸着ノズルにより吸い出された電子部品のハンダ接着部であるハンダバンプなどに付着させ、しかる後に、基板に搭載する手法が知られている。
【0004】
特許文献1には、このようなフラックス転写装置で、独特の形状をしたスキージにより回転ディスク上にフラックス転写面を形成する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、長方形上の転写テーブルとスキージユニットを相対移動させ、スキージを上下に移動させることにより、フラックス転写面を形成するフラックス転写装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−294777号公報
【特許文献2】特開2007−305726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のフラックス転写装置により、フラックス転写面を形成する場合には、ハンダパンプに付着させる転写面を均一に形成することが必要である。
【0008】
フラックスとしては、一般に、Ca、Mg、Al、Mnなどの酸化物の混合物などがよく用いられるが、いずれの場合も粘性が高く、均一の膜を形成するのは困難であり、特許文献2のようなタイプの転写テーブルを有するフラックス転写装置においては、転写テーブルを何回も往復させねばならず、フラックス転写面を形成する効率が悪いという問題点があった
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ハンダ接着部に付着させるフラックス転写面を形成する際に、効率的に均一なフラックス転写面を形成することのできるフラックス転写装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のフラックス転写装置は、電子部品を電子部品装着装置により基板に装着する前に、電子部品の基板とのハンダ接続部にフラックスを付着させるフラックス転写装置であって、ベースと、スキージと、スクレイパとを有するスキージユニットと、プレートと、スキージユニットにフラックスを供給する手段と、スキージを昇降する手段とを備えている。
【0010】
プレートは、ベース上を相対移動するように取り付けられ、スキージユニットは、ベースに固定して取り付けられ、スキージとスクレイパは、プレートの一辺と平行になり、かつ、両者が所定の間隔をあけるように、プレート上に固定して配置されている。
【0011】
フラックス転写装置の動作としては、スキージユニットにフラックスを供給する手段は、スクレイパとブレードの間の面に、スクレイパの中に開けられたフラックス供給路によりフラックスを供給する。次に、スキージを昇降する手段により、スキージを下降させ、プレートをベースに対して、プレートの一辺と直行する第一の方向に移動させ、スキージの下部のエッジとプレートの間にフラックス転写面を形成する。電子部品のハンダ接合部へのフラックス転写が終わると、スキージを昇降する手段により、スキージを上昇させ、プレートをベースに対して第一の方向とは逆方向の第二の方向に移動させ、スクレイパによりフラックスをせき止める。
【0012】
そして、スクレイパの上部にフラックス流出板が取り付けられており、フラックス流出板の下部は、プレートの向きに凸形状であり、スクレイパの向きにくぼんだフラックスを溜めるフラックス溜を有しており、フラックス溜に溜められたフラックスが流出するように、適当な数のフラックス流出穴とそのフラックス流出板の下端とプレートの間に間隔が設けられている
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ハンダ接着部に付着させるフラックス転写面を形成する際に、効率的に均一なフラックス転写面を形成することのできるフラックス転写装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置を搭載する電子部品装着装置の上面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子部品装着装置のブロック図である。
【図3】フラックス転写装置により、電子部品のハンダ接続部にフラックスを付着させる工程を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置の上面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置の図4におけるA−B断面図である。
【図6】スキージユニット10のA−B断面の要部を拡大した斜視図である。
【図7】フラックス流出板の形状を示す図である。
【図8A】本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置の動作を説明する図である(その一)。
【図8B】本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置の動作を説明する図である(その二)。
【図8C】本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置の動作を説明する図である(その三)。
【図8D】本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置の動作を説明する図である(その四)。
【図8E】本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置の動作を説明する図である(その五)。
【図8F】本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置の動作を説明する図である(その六)。
【図8G】本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置の動作を説明する図である(その七)。
【図8H】本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置の動作を説明する図である(その八)。
【図8I】本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置の動作を説明する図である(その九)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1ないし図8Iを用いて本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置について説明する。
先ず、図1ないし図3を用いて本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置を搭載する電子部品装着装置の構造と、電子部品へのフラックス転写工程について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置を搭載する電子部品装着装置の上面図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る電子部品装着装置のブロック図である。
図3は、フラックス転写装置により、電子部品のハンダ接続部にフラックスを付着させる工程を説明する図である。
【0016】
図1に示されるように、本実施形態に係る電子部品装着装置は、基台12上に、種々の電子部品をそれぞれその部品取出し部(部品吸着位置)に1個ずつ供給する部品供給ユニット13が複数並設されている。対向する部品供給ユニット13群の間には、供給コンベア14、位置決め部15および排出コンベア16が設けられている。供給コンベア14は、上流側装置より受けたプリント基板Pを位置決め部15に搬送し、位置決め部15で位置決め機構(図示せず)により位置決め固定されたプリント基板P上に電子部品が装着された後、排出コンベア16に搬送される。
【0017】
そして、部品供給ユニット13群にはさまれる形で、対向して、フラックス転写装置0が搭載されている。フラックス転写装置0は、部品の装着の際に、電子部品のハンダ接続部にフラックスを付着されるために用いるフラックス転写面を自動的に形成する。
【0018】
一対のビーム18A、18Bは、X方向に長く伸ばされており、それぞれY軸モータ19の駆動によりネジ軸17を回転させ、左右一対のガイド21に沿ってプリント基板Pや部品供給ユニット13の部品取出し位置(部品吸着位置)上方を個別にY方向に移動する。
【0019】
各ビーム18A、18Bにはその長手方向、すなわちX方向にY軸モータ19によりガイド(図示せず)に沿って移動する取付体50に装着ヘッド51がそれぞれθ軸モータ(図示せず)により回動可能に設けられている。各装着ヘッド51には、n(nは、1以上の整数)本の吸着ノズルの任意のものを上下動させるための上下軸モータ23が搭載され、また、θ軸モータ24が搭載されている。したがって、装着ヘッド51の各吸着ノズルは、X方向およびY方向(平面方向)に移動可能であり、垂直線回りに回転可能で、かつ上下動可能となっている。
【0020】
部品認識カメラ26は、吸着ノズルに吸着保持された電子部品を下方向から撮像するカメラである。
【0021】
基板認識カメラ28は、装着ヘッド51に取り付けられており、プリント基板Pに付された位置決めマークを撮像するカメラである
また、本実施形態の電子部品装着装置の機能ブロックを示すと、図2に示さるようになる。電子部品装着装置の各部は、CPU(Central Processing Unit)30の指示を受け、制御される。そして、この制御に係るプログラムを格納するROM(Read Only Memory)31および各種データを格納するRAM(Random Access Memory)32がバスライン33を介して接続されている。また、CPU30には操作画面等を表示するモニタ34およびそのモニタ34の表示画面に形成された入力手段としてのタッチパネルスイッチ35がインターフェース36を介して接続されている。また、Y軸モータ19、X軸モータ22、上下軸モータ23、θ軸モータ24、スキージ昇降モータ95、プレート駆動モータ92が駆動回路38、インターフェース36を介してCPU30に接続されている。この内で、スキージ昇降モータ95とプレート駆動モータ92は、フラックス転写装置0の動作に関係するモータである。
【0022】
また、フラックス転写装置0のフラックスの供給状態を検知するためのフラックス検出センサ7がインターフェース36を介して接続されている。
【0023】
さらに、フラックス転写装置0のフラックス供給を制御するためのフラックス供給バルブ71がインターフェース36を介して接続されている。
【0024】
RAM32には、部品装着に係るプリント基板Pの種類毎に装着データが記憶されており、その装着順序毎(ステップ番号毎)に、プリント基板P内での各電子部品の装着座標のX方向、Y方向および角度情報や、各部品供給ユニット13の配置番号情報等が格納されている。また、RAM32には、各部品供給ユニット13の部品供給ユニット配置番号に対応した各電子部品の種類の情報、部品配置データが格納されており、さらには、形状データ・認識データ・制御データ・部品供給データから成る部品ライブラリデータが格納されている。また、RAM32には、電子部品装着装置の管理データなども格納されている。
【0025】
画像認識処理装置37は、インターフェース36を介して、CPU30に接続されており、部品認識カメラ16により撮像して取込まれた画像の認識処理がこの画像認識処理装置37にておこなわれ、CPU30に処理結果が送出される。すなわち、CPU30は、部品認識カメラ16により撮像された画像を認識処理(位置ずれ量の算出など)するように指示を画像認識処理装置37に出力すると共に、認識処理結果を画像認識処理装置37から受取るものである。
【0026】
次に、本実施形態に係る電子部品装着装置のハンダバンプを有する電子部品の装着動作と、電子部品のフラックス転写動作の概要について説明する。
【0027】
先ず、プリント基板Pの生産運転が開始され、プリント基板Pが上流側装置(図示せず)より受継がれて供給コンベア14上に存在すると、供給コンベア14上のプリント基板Pを位置決め部15へ移動させ、位置決め固定する。そして、メモリに格納された装着データ、すなわちプリント基板P上の装着すべきXY座標位置、鉛直軸線回りへの回転角度位置およびFDR番号(各部品供給ユニット13の配置番号)等が指定された装着データに従い、Y方向は、Y軸モータ19を駆動させて一対のガイド21に沿って、ビーム18Aまたは18Bを移動させ、X方向は、X軸モータ22を駆動させて対応する装着ヘッド51の吸着ノズル52のいずれかを装着すべき電子部品を供給する所定の部品供給ユニット13上方に移動させ、上下軸モータ23を駆動させて吸着ノズルを下降させて電子部品を吸着して取出すことになる。
【0028】
この時点で、フラックス転写装置0では、既に、電子部品のハンダ接続部にフラックスを転写させるためのフラックス転写面が形成されている(フラックス転写面を形成するための詳細な動作は、後述)。
【0029】
電子部品装着装置は、装着ヘッド51をフラックス転写装置0の上方に移動させ、その後に下降させて(図3(a))、フラックス転写装置0の形成したフラックス転写面FFに、電子部品の半導体パッケージ80の下にあるハンダパンプ81を接触させて、フラックスFを付着させる(図3(b)、(c))。このとき、おおよそハンダパンプ81の直径の下の1/3の部分が、フラックスFにつかるようにする。
【0030】
さらに、部品認識カメラ26上方に吸着ノズルを移動させながら吸着保持された電子部品を撮像(フライ撮像)して画像認識処理し、また、ビーム18Aまたは18Bをプリント基板P上方へ移動させてプリント基板Pに付された位置決めマークを基板認識カメラ18で撮像して、位置ずれ量を認識処理し、それらの結果に基づき、再び基板Pの装着位置上方へ移動させて吸着ノズルが装着データの装着座標に両認識結果を加味して位置ずれを補正しつつ、それぞれ当該装着ヘッド51の吸着ノズル52に吸着保持された全電子部品をプリント基板P上に装着する。
【0031】
このようにして、1枚のプリント基板P上へ装着すべき電子部品を全て終了するまで、電子部品の取出し、認識、装着が繰り返され、全て終了すると、位置決め部15から排出コンベア16にプリント基板Pが搬送され、1枚目のプリント基板Pの電子部品装着に係る部品搭載が終了し、2枚目のプリント基板Pに対する部品搭載がおこなわれることになる。
【0032】
そして、電子部品装着による部品装着後は、図示しないが、プリント基板Pは、リフローハンダ付け装置に運ばれ、リフローハンダ付け工程に入る。
【0033】
次に、図4および図5を用いて、本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置の構造について説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置の上面図である。
図5は、本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置の図4におけるA−B断面図である。
【0034】
本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置は、図4および図5に示されるように、ベース40と、スキージユニット10と、プレート60を備えており、プレート60を、スキージユニット10とスキージユニット10と対して、図4のY軸方向に相対移動させることにより、プレート60上にフラックス転写面FFを形成させるものである。
【0035】
ベース40とスキージユニット10は、固定されており、ベース40の上面に設けられたレール41とプレート60のスライダ61がかみ合っている。そして、プレート60は、ブロック63によりベース40の下面に置かれたベルト91の一部に固定され、図2に示されるCPU30の指示に従い、プレート駆動モータ92により、駆動輪90a、90bを回転させ、ベルト91を動かすことにより、プレート60がベース40のレール41上をスライダ91が移動する。
【0036】
スキージユニット10は、図4のX軸方向に、A方向から見て、スキージ1、スクレイパ3、横フレーム5が配されており、スクレイパ3には、スキージ1方向にフラックス流出板2が取り付けられている。
【0037】
そして、スキージ1、スクレイパ3、横フレーム5は、縦フレーム6により連結されている。
【0038】
横フレーム5とスクレイパ3には、それぞれ、中央にフラックス供給路5a、3aが設けられており、スクレイパ3に取り付けられたフラックス供給シリンジ70からフラックスFが供給される。
【0039】
フラックス供給路5a、3aから図示しないコンプレッサの圧縮空気により加圧されたフラックスFが供給され。そして、フラックスFは、フラックス流出板2に取り付けられているフラックス流出板2にあたり、フラックス溜201(後述)に溜められ、フラックス流出板2の下側と、フラックス流出板2に設けられているフラックス流出穴202(後述)より、フラックスFが漏れ出す。これにより、スクレイパ3とスキージ1との間の空間S1のプレート60の面上にフラックスFが供給される。その状態で図4のY軸の正方向にプレート60を動かすことにより、スキージ1の下部がフラックスFをかきとり、プレート60上にフラックス転写面FFを形成する。
【0040】
なお、スキージユニット10とプレート60におけるフラックスFの状態と、プレート60の動作については、後に詳説する。
【0041】
一対の横フレーム6には、それぞれフラックス検出センサ7が取り付けられており、空間S1上のフラックスFの状態を検知する。図2に示されたCPU30は、空間S1上のフラックスFが足りないと判断したときには、適切なタイミングでフラックス供給シリンジ70に付けられているフラックス供給弁71を開き、フラックス供給シリンジ70に加圧されたフラックスFを供給する。
【0042】
また、スキージ1は、CPU30の指令より、スキージ昇降モータ95を回転させ、レバー96を介して上下方向に昇降できるようになっている。
【0043】
CPU30は、スキージ1のフラックス転写面FFを形成する過程では、フラックス転写面FFの目標の厚さを形成する位置まで、下降させ、スクレイパ3が、フラックスFをスクレイパ3が回収するときには、上昇させてプレート60上のフラックスFと接触しないようにする。なお、これについても、後に詳述する。
【0044】
次に、図6および図7を用いて、本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置のスキージユニット10の要部について説明する。
図6は、スキージユニット10のA−B断面の要部を拡大した斜視図である。
図7は、フラックス流出板の形状を示す図である。
【0045】
図6に示されるように、フラックス流出板2は、スクレイパ3にねじ止めされる。スキージ1、スクレイパ3、横フレーム5、縦フレーム6、プレート60などの部材は、ステンレスなどの金属製であるが、フラックス流出板2は、フッ素樹脂(PTFE:ポリテトラフルオロエチレン)などの合成樹脂を用いる。
【0046】
スクレイパ3の下部は、フラックスFを回収するためプレート60と密着しているが、フラックス流出板2の下部は、フラックスFをスキージ1の方向に流出させ、また、フラックス溜201の部分にフラックスFを回収できるように、図6に示されるように、一定の間隔αを設けている。
【0047】
スキージ1の下部は、プレート60上にフラックス転写面FFを形成するために、間隔βを設ける。そして、フラックスFを回収する過程では、フラックスFFに接触しないように、スキージ1の下部とプレート60上が間隔γになるまで、スキージ1が持ち上げれる。
【0048】
スキージ1は、下部に尖ったエッジ1aを有し、断面は、図6に示されるような五角形形状となる。
【0049】
フラックス流出板2は、図7に示されるような形状であり、上部に取付部205を有し、下部は、スキージ方向に突出した凸部204を有する。
【0050】
ここで、図7(a)は、スクレイパ3の方から見た正面図、図7(b)は、スキージ1の方から見た正面図、図7(c)は、側面図、図7(d)は、スクレイパ3の方から見た斜視図である。
【0051】
取付部205には、スクレイパ3とねじ止めするためのねじ穴203が等間隔に穿たれている。また、フラックス流出板2のスクレイパ3を向く面の下部には、スクレイパ3のフラックス供給路3aから供給されるフラックスFを受け止めて、溜めるフラックス溜201を有している。このフラックス溜201は、フラックス流出板2のほぼ下部全面に渡って、形成されており、中央部203aは、特に、フラックスFの供給量が大きいので、フラックスFを溜めることができるように、大きく溜めの部分が形成されている。さらに、フラックス流出板2の下部には、フラックスFをフラックス溜201から流出させる複数のフラックス流出穴202がフラックス流出板2のほぼ全幅に渡り等間隔に穿たれている。フラックス流出穴202の大きさは等しく、穴の間隔はフラックス流出板2の中央部より側部の方を狭くしてもよく、フラックス流出穴202の間隔は等しく、穴の大きさはフラックス流出板2の中央部より側部の方を大きくしてもよい。
【0052】
次に、図8Aないし図8Iを用いて、本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置の動作について説明する。
図8Aないし図8Iは、本発明の一実施形態に係るフラックス転写装置の動作を説明する図である。
【0053】
これらの図では、上の(a)が一実施形態に係るフラックス転写装置の上面図、下の(b)が上面図におけるA−B断面図を示している。
【0054】
先ず、CPU30がフラックス開閉バルブ72を開けて、フラックス供給シリンジ70にフラックスFが供給されるようにする。フラックスFは、圧縮空気により押し出されて、フラックス供給路5a、フラックス供給路3aからフラックス流出板2のフラックス溜201の方向に送られる。押し出されたフラックスFは、最初は、中央部203aの部分に当たり、それから周辺に拡散する(図8A)。
【0055】
それと同時に、CPU30は、プレート60をY軸の正方向に動きださせるように制御する。そして、プレート60をY軸の正方向に動かしたとき、フラックスFは、フラックス流出板2の間隔αの下部から漏れ出す。スキージ1は、このとき、図6の間隔βになっており、フラックス流出板2の間隔αの下部から漏れ出してきたフラックスFは、スキージ1の下部のエッジ1aの作用により、プレート60上にフラックス転写面FFを形成する(フラックス転写面形成過程)。図8Bは、ちょうど、プレート60を半分まで移動させた段階を示している。このとき、フラックスFは、粘性があるため、一機にプレート60上に広がらず、プレート60の中央部分から周辺に広がっていく。
【0056】
そして、図8C、図8Dに示されるように、プレート60が移動できる最右端まで、来たときに、CPU30は、逆方向のプレート60をY軸の負方向に動きださせるように制御する。と同時に、スキージ1を上昇させ、図6の間隔γまで広げ、フラックスFの下部のエッジ1aが、フラックス転写面FFに接触しないようにする。
【0057】
図8Eは、ちょうど、プレート60を、図8Eの矢印で示したように左方向に移動させ、半分まで押し戻した段階を示している。このとき、フラックスFは、フラックス流出板2の間隔αの下部からスクレイパ3の方向に戻され、フラックス溜201の部分に溜められ、かつ、スクレイパ3にあたると共に、フラックス流出板2に案内されてフラックス溜201の横方向(X方向)の周辺部分に拡散していく(フラックス回収過程)。
【0058】
次に、プレート60が移動できる最左端まで来たとき(図8F)、すなわち、プレート60の位置は、図8Aと同様であるが、フラックスFは、フラックス溜201の周辺部も含む全領域にわたって、ほぼ満たされ、溜められている。
【0059】
そして、このように、フラックス溜201が、ほぼフラックスに満たされているとき、プレート60のY軸の負方向の移動に伴い、フラックス溜201のフラックスが総てのフラックス流出穴202から空間S1へ均一に流出して、フラックスを空間S1のプレート60の面上に、スキージ1のほぼ全幅にわたり満たすことができる。
【0060】
そしてまた、CPU30は、プレート60をY軸の正方向に動かすようにする。
【0061】
図8Gは、プレート60を半分右端までもって行った状態であり、図8Hは、プレート60を、さらに最右端までもって行き、二回目のフラックス転写面FFを形成した状態である。二回目は、一回目と比べて、フラックスFが、フラックス溜201の周辺部も含む全領域にわたって溜められているために、速やかに、プレート60の全領域にわたって、均一なフラックス転写面FFを形成することが可能になる。
【0062】
ここで、フラックス流出板2の凸部204の上部およびその右側のプレート60上にフラックスが溜まった状態でプレート60がY軸正方向(図8G矢印方向)へ移動することにより、プレート60上のフラックスが直ちに、スキージ1の下方に到達する。すなわち、凸部204によって、フラックス流出板2の右側のプレート60上でフラックスの溜まる位置をスキージ1に近づけることにより、フラックスをスキージ1に早く到達させることができると共に、凸部204の上部にもフラックスを溜めることができるので、フラックス流出板2とスキージ1との間に溜めるフラックスの量を多くすることができる。
【0063】
そして、フラックス転写面FFがプレート60の全面に渡り、十分均一な厚さで形成されたときに、図3に示したように、ヘッド51により、半導体パッケージ80の下部のハンダパンプ81にフラックスFを接触させ、フラックスFを転写させる(フラックス転写過程)。
【0064】
ある程度の回数、半導体パッケージ80の下部のハンダパンプ81をフラックスFに転写させると、図8Iのように、フラックス転写面FFが荒れた状態になるので、再び、CPU30は、プレート60をY軸の負方向に動かし、フラックス回収過程に入る。以下、同様に、プレート60のY軸の往復運動、スキージ1の上下運動により、フラックス転写面形成過程→フラックス転写過程→フラックス回収過程を一サイクルとして繰り返していく。
【0065】
その間に、CPU30は、フラックス供給センサ6が、スクレイパ3とスキージ1の空間S1にフラックスFのフラックス供給量が少ないことを検知したときには、フラックス供給バルブ71を開き、フラックス供給シリンジ70にフラックスFを供給する。
【0066】
このように、本実施形態のフラックス転写装置は、フラックスを回収するためのスクレイパ3に、フラックス流出板2を取り付け、特に、フラックス回収過程でフラックス流出板2のフラックス溜201に溜めることにより、均一なフラックス転写面を能率よく形成することができ、プレートの往復運動を最小の回数に止めることができる。
【符号の説明】
【0067】
0…フラックス転写装置、1…スキージ、2…フラックス流出板、3…スクレイパ、10…スキージユニット、40…ベース、60…プレート、70…フラックス供給シリンジ、80…半導体パッケージ、
F…フラックス、FF…フラックス転写面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を電子部品装着装置により基板に装着する前に、前記電子部品の前記基板とのハンダ接続部にフラックスを付着させるフラックス転写装置において、
ベースと、
スキージとスクレイパとを有するスキージユニットと、
プレートと、
前記スキージユニットにフラックスを供給する手段と、
前記スキージを昇降する手段とを備え、
前記プレートは、前記ベース上を相対移動するように取り付けられ、
前記スキージユニットは、前記ベースに固定して取り付けられ、
前記スキージとスクレーパは、前記プレートの一辺と平行になり、かつ、両者が所定の間隔をあけるように、前記プレート上に固定して配置され、
前記スキージユニットにフラックスを供給する手段は、前記スクレイパと前記ブレードの間の面に、前記スクレイパの中に開けられたフラックス供給路によりフラックスを供給し、
前記スキージを昇降する手段により、前記スキージを下降させ、前記プレートを前記ベースに対して前記プレートの一辺と直行する第一の方向に移動させ、前記スキージの下部のエッジと前記プレートの間にフラックス転写面を形成し、
前記スキージを昇降する手段により、前記スキージを上昇させ、前記プレートを前記ベースに対して前記第一の方向とは逆方向の第二の方向に移動させ、前記スクレイパによりフラックスをせき止め、
前記スクレイパの上部にフラックス流出板が取り付けられ、
前記フラックス流出板の下部に、前記スクレイパの向きにくぼんだフラックスを溜めるフラックス溜と、フラックス流出穴とを有し、
前記フラックス流出板の下端と前記プレートの間は、前記フラックス溜に溜められたフラックスが流出するよう間隔が設けられていることを特徴とするフラックス転写装置。
【請求項2】
前記フラックス流出板の下部は、前記プレートの向きに凸形状であることを特徴とする請求項1記載のフラックス転写装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図8I】
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【公開番号】特開2012−199326(P2012−199326A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61478(P2011−61478)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】