フラットパネルディスプレイ、フラットパネルディスプレイの製造方法、および塗布装置
【課題】本発明は、封止部の気密に対する信頼性を向上させることができるフラットパネルディスプレイ、フラットパネルディスプレイの製造方法、および塗布装置を提供する。
【解決手段】電子素子が設けられる素子領域を有する第1の基板と、前記素子領域に対向して設けられる第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられ、フリットを含む封止体であって、前記素子領域を取り囲む封止部と、一端が前記封止部に連接し他端が外側に延出した突出部と、を有する封止体と、を備えたことを特徴とするフラットパネルディスプレイが提供される。
【解決手段】電子素子が設けられる素子領域を有する第1の基板と、前記素子領域に対向して設けられる第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられ、フリットを含む封止体であって、前記素子領域を取り囲む封止部と、一端が前記封止部に連接し他端が外側に延出した突出部と、を有する封止体と、を備えたことを特徴とするフラットパネルディスプレイが提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ、フラットパネルディスプレイの製造方法、および塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)、電界放出ディスプレイ(FED)などのフラットパネルディスプレイにおいては、内部に収納した電子素子や回路などを気密封止している。
【0003】
例えば、フラットパネルディスプレイにおいては、2枚のガラス基板が互いに所定の間隔を開けて平行に対向され、この2枚のガラス基板の周縁を封止することで、その内部に形成された電極や蛍光体層などを気密封止するようにしている。
このような気密封止において、紫外線硬化樹脂などにより2枚のガラス基板の周縁を封止する技術が提案されている(特許文献1を参照)。この特許文献1に開示がされている技術においては、樹脂封止材のコーナー部に突出部を設けて基板のコーナー部分における剥離を抑制するようにしている。
しかしながら、封止部に樹脂材料を用いるものとすれば、空気中の水分などが封止部を透過してしまうおそれがある。そのため、水分などによる劣化が懸念されるようなもの(例えば、有機ELディスプレイなど)には、気密に対する信頼性がより高いフリットを用いた封止が行われるようになってきている。
【0004】
ここで、フリットを用いた封止においては、ガラス基板の表面から封止部(フリット)に向けてレーザ光を照射して溶融接合させる技術が知られている。そして、フリットを用いた封止の信頼性を向上させるための技術が提案されている(特許文献2、3を参照)。 しかしながら、特許文献2、3に開示がされている技術においては、ガラス基板に設けられた封止部の高さ寸法のバラツキに対する考慮がされていなかった。そのため、溶融接合した部分に引張応力が発生して剥離が生じたり、ガラス基板や封止部に割れが生じたりして封止部の気密に対する信頼性が損なわれるおそれがあった。
【特許文献1】特開2006−146221号公報
【特許文献2】特開2007−220648号公報
【特許文献3】特開2007−200845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、封止部の気密に対する信頼性を向上させることができるフラットパネルディスプレイ、フラットパネルディスプレイの製造方法、および塗布装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、電子素子が設けられる素子領域を有する第1の基板と、前記素子領域に対向して設けられる第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられ、フリットを含む封止体であって、前記素子領域を取り囲む封止部と、一端が前記封止部に連接し他端が外側に延出した突出部と、を有する封止体と、を備えたことを特徴とするフラットパネルディスプレイが提供される。
【0007】
また、本発明の他の一態様によれば、フリットペーストを塗布することで、第3の基板の主面にフリットパターンを形成する工程と、前記フリットパターンを焼成する工程と、前記焼成されたフリットパターンが形成された前記第3の基板の主面と対向させるようにして第4の基板を重ね合わせる工程と、前記焼成されたフリットパターンに向けてレーザ光を照射することで封止を行う工程と、を備え、前記フリットパターンは、素子領域を取り囲む封止部と、一端が前記封止部に連接し他端が外側に延出した突出部と、を有することを特徴とするフラットパネルディスプレイの製造方法が提供される。
【0008】
また、本発明の他の一態様によれば、基板を保持する保持部と、前記保持部に対向して設けられ、フリットペーストを吐出する吐出部と、前記保持部と、前記吐出部と、の相対的な位置を変化させる移動機構と、前記吐出部と、前記移動機構と、を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記吐出部と前記移動機構とを制御することで、素子領域の周縁より外側に設けられる封止部の形状と、一端が前記封止部に連接し他端が外側に延出した突出部の形状と、を有するフリットパターンを前記基板の主面に形成させること、を特徴とする塗布装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、封止部の気密に対する信頼性を向上させることができるフラットパネルディスプレイ、フラットパネルディスプレイの製造方法、および塗布装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係るフラットパネルディスプレイの要部を例示するための模式図である。また、図1(a)は模式側面図、図1(b)は図1(a)におけるA−A矢視断面図である。
【0011】
なお、図1は、本実施の形態に係るフラットパネルディスプレイの一例として、フリットを含んだ封止体を備える有機ELディスプレイを例示するためのものである。2枚のガラス基板G1、G2の間には、フリットを含む封止体が介在している。そして、封止体は、素子領域3を環状に取り囲む封止部2と、封止部2に連接し外側に延出した突出部4と、を有する。後に詳述するように、突出部4の端部をレーザ光照射の開始点として、封止体を順次溶融し凝固させて封止することにより、封止部2の剥離強度や剛性などの低下、割れの発生などを抑制することができる。
【0012】
図2は、比較例に係るフラットパネルディスプレイの要部を例示するための模式図である。また、図2(a)は模式側面図、図2(b)は図2(a)におけるB−B矢視断面図である。
なお、 図2に示すフラットパネルディスプレイは、本発明者が発明をするに至った過程で検討を加えたものであり、フリットを含んだ封止体を備える有機ELディスプレイを例示するためのものである。
【0013】
まず、比較例に係るフラットパネルディスプレイ(有機ELディスプレイ)から例示をする。
図2(a)に示すように、フラットパネルディスプレイ(有機ELディスプレイ)50においては、2枚のガラス基板G1、G2が互いに所定の間隔をあけて平行に対峙されている。そして、この2枚のガラス基板G1、G2の周縁を封止部52で封止することで、その内部に設けられた電子素子(有機EL素子)や回路などを気密封止するようにしている。
【0014】
すなわち、フラットパネルディスプレイ50は、電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる素子領域53を有するガラス基板G1と、素子領域53に対向して設けられるガラス基板G2と、素子領域53の周縁より外側であって、ガラス基板G1とガラス基板G2との間に設けられる封止部52とを備えている。また、封止部52には、後述するフリットが含まれている。
【0015】
この場合、図2(b)に示すように、封止部52はガラス基板G2の主面の周縁に設けられている。そして、封止部52により画されたガラス基板G2の中央側は、図示しない電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる領域(素子領域53)と対向する面となっている。また、電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる領域(素子領域53)はガラス基板G1の主面に設けられ、ガラス基板G1とガラス基板G2とを重ね合わせることで、素子領域53の周縁が封止部52により封止されるようになっている。
【0016】
素子領域53に設けられる図示しない回路としては、例えば、多数の電子素子(有機EL素子)をマトリクス状に接続するための走査ライン、データラインなどを例示することができる。また、素子領域53に設けられるこれらの回路は、封止部52の外側の領域に設けられる電源ラインや外部接続端子などと電気的に接続されている。なお、図示しない電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる領域(素子領域53)は、ガラス基板G2の主面に設けるようにすることもできる。また、図示しない電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる領域(素子領域53)がガラス基板G2の主面に設けられる場合には、図示しない電源ラインや外部接続端子などはガラス基板G2の主面に設けられる。
【0017】
図3は、フリットを用いた封止を例示するための模式図である。
フリットを用いた封止においては、封止部52が設けられたガラス基板G2と、図示しない電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられたガラス基板G1とを対向するようにして重ね合わせ、ガラス基板G2の側から封止部52に向けてレーザ光Lを照射して封止部52(フリット)を溶融するようにしている。
【0018】
ここで、ガラス基板G1、G2が平坦であり、また封止部52の高さ寸法にもバラツキがなければ、封止部52の端面とガラス基板G1の主面とが当接することになる。しかしながら、実際には、ガラス基板G1、G2には反りなどがあり、また封止部52の高さ寸法にもバラツキがある場合がある。そのため、図3(a)に示すように封止部52の端面とガラス基板G1の主面との間に隙間55が生じる場合がある。
【0019】
このような隙間55がある場合であっても、図3(b)に示すように封止部52に向けてレーザ光Lを照射すれば、ガラス基板G1、G2の間を封止部52により封止することができる。
このことをさらに説明する。封止部52に向けてレーザ光Lを照射すれば、封止部52(フリット)が溶融するとともに、その体積が膨張する。そのため、隙間55があったとしても、隙間55を埋めるようにして封止部52がガラス基板G1の主面と接触することになる。そして、レーザ光Lの照射位置が変化すると溶融した封止部52(フリット)が冷却されて凝固するが、この際、封止部52の体積が収縮する。
【0020】
封止部52の体積が収縮すると、これに引っ張られるようにして近傍のガラス基板が互いに密着するように変形する。図3(c)は、ガラス基板G2が変形する様子を表したものである。そして、レーザ光Lの照射位置を変化させることで、変化方向(移動方向)の前方にあるガラス基板を密着させるように変形させて行くことができる。すなわち、隙間55が小さくなる方向にガラス基板を変形させつつ封止を行うことができることになる。
【0021】
図4は、溶融接合前の隙間を例示するための模式グラフ図である。なお、図中の縦軸は隙間の大きさを表し、横軸は封止部の長さ方向の位置(封止部の周面に沿った方向の位置)を表している。
また、図5は、図4に示す隙間がガラス基板の変形により変化する様子を例示するための模式グラフ図である。なお、図中の縦軸は隙間の大きさを表し、横軸は封止部の長さ方向の位置(封止部の周面に沿った方向の位置)を表している。
【0022】
前述したように、ガラス基板を密着させるように変形させながら封止を行うことができるので、図4に示すような隙間があったとしても、図5に示すように隙間を小さくすることができる。
【0023】
しかしながら、図3(c)に示すように、照射の開始点Sにおいては、隙間55が小さくなる方向に予めガラス基板を変形させることができない。すなわち、照射の開始点Sにおいては、大きな隙間55のまま封止が行われることになる。
【0024】
次に、隙間の大きさが封止に与える影響を例示する。
図6は、隙間が大きい状態で封止が行われた場合を例示するための模式図である。なお、図6(a)は封止前の状態を表す模式側面図、図6(b)は図6(a)におけるC−C矢視断面図である。また、図6(c)は封止後の状態を表す模式側面図、図6(d)は図6(c)におけるD−D矢視断面図であり、図6(e)は図6(d)におけるE−E矢視図である。
図7は、隙間が小さい状態で封止が行われた場合を例示するための模式図である。なお、図7(a)は封止前の状態を表す模式側面図、図7(b)は図7(a)におけるF−F矢視断面図である。また、図7(c)は封止後の状態を表す模式側面図、図7(d)は図7(c)におけるJ−J矢視断面図であり、図7(e)は図7(d)におけるK−K矢視図である。
図8は、接合部分における剥離を例示するための模式図である。なお、図8(a)は模式側面図、図8(b)は図8(a)におけるM−M矢視図である。
【0025】
図6(a)、(b)に示すように隙間55が大きい状態で封止が行われた場合には、封止後の図6(c)、(d)、(e)に示すとおり、レーザ光の照射により溶融し、膨張した封止部52(フリット)が対向するガラス基板G1と接触する量(幅寸法W1)が小さなる。また、封止後のガラス基板同士の間の寸法H3が大きくなる。
一方、図7(a)、(b)に示すように隙間55が小さい状態で封止が行われた場合には、封止後の図7(c)、(d)、(e)に示すとおり、レーザ光の照射により溶融し、膨張した封止部52(フリット)が対向するガラス基板G1と接触する量(幅寸法W2)が大きくなる。また、封止後のガラス基板同士の間の寸法H4が小さくなる。
【0026】
ここで、ガラス基板G1との接合部分の幅寸法が小さくなると接合面積が小さくなるので剥離強度が低下するおそれがある。また、隙間55が大きい状態で封止が行われた部分と隙間55が小さい状態で封止が行われた部分とが隣接していると、ガラス基板同士の間の寸法に段差が生じることになる。
段差が生じるような部分においては、図8(a)に示すような引張応力がはたらくので、剥離強度の低い部分(図6に示すような隙間55が大きい状態で封止が行われた部分)において図8(b)に示すような剥離52aが生じやすくなる。また、隙間55が大きい状態で封止が行われた部分においては剛性が低下したり、割れなども発生しやすくなる。そのため、気密に対する信頼性が低下するおそれがある。
特に、大きな隙間55のまま封止が行われることになる照射の開始点Sにおいては剥離強度や剛性の低下、割れなどが発生しやすくなるので、気密に対する信頼性が低下するおそれが高くなる。
【0027】
次に、図1に戻って本実施の形態に係るフラットパネルディスプレイについて例示をする。
図1(a)に示すように、フラットパネルディスプレイ(有機ELディスプレイ)1においては、2枚のガラス基板G1、G2が互いに所定の間隔をあけて平行に対峙されている。そして、この2枚のガラス基板G1、G2の周縁を封止部2で封止することで、その内部に設けられた電子素子(有機EL素子)や回路などを気密封止するようにしている。
【0028】
この場合、図1(b)に示すように、封止部2はガラス基板G2の主面の周縁に設けられている。そして、封止部2により画されたガラス基板G2の中央側は、図示しない電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる領域(素子領域3)と対向する面となっている。また、電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる領域(素子領域3)はガラス基板G1の主面に設けられ、ガラス基板G1とガラス基板G2とを重ね合わせることで、素子領域3の周縁が封止部2により封止されるようになっている。
【0029】
素子領域3に設けられる図示しない回路としては、例えば、多数の電子素子(有機EL素子)をマトリクス状に接続するための走査ライン、データラインなどを例示することができる。また、素子領域3に設けられるこれらの回路は、封止部2の外側の領域に設けられる電源ラインや外部接続端子などと電気的に接続されている。なお、図示しない電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる領域(素子領域3)は、ガラス基板G2の主面に設けるようにすることもできる。また、図示しない電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる領域(素子領域3)がガラス基板G2の主面に設けられる場合には、図示しない電源ラインや外部接続端子などはガラス基板G2の主面に設けられる。
【0030】
本実施の形態においては、封止部2に線状の突出部4が連接するようにして設けられている。すなわち、フラットパネルディスプレイ1は、電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる素子領域3を有するガラス基板G1と、素子領域3に対向して設けられるガラス基板G2と、これらガラス基板G1、G2の間に設けられた封止体と、を備えている。そして、封止体は、素子領域3を取り囲む封止部2と、一端が封止部2に連接し他端が外側に延出した突出部4と、を有する。封止部2と突出部4とには、フリットが含まれている。
【0031】
また、突出部4の一端は封止部2と連接し、突出部4の他端(突出端)は封止部2とは離隔している。なお、後述するように、封止部2と離隔して設けられる突出端がレーザ光照射の開始点S1となる。そして、封止部2と突出部4とを溶融・凝固させることで、素子領域3が封止部2により封止されるようになっている。そのため、突出部4の突出端が溶融の開始点(レーザ光照射の開始点S1)となる。
【0032】
突出部4の高さ寸法は、溶融時の膨張により突出部4の端面がガラス基板G1の主面と接触するのに必要な程度とされている。この場合、突出部4の高さ寸法を封止部2の高さ寸法と略同一とすることができる。そのようにすれば、突出部4と封止部2の形成条件(例えば、塗布条件、焼成条件など)やレーザ光の照射条件などを同じにすることができるので、生産性などを向上させることができる。
【0033】
また、突出部4の高さ寸法に変化を持たせることもできる。
図9は、高さ寸法に変化を持たせる場合を例示するための模式斜視図である。
図9に例示をするように、レーザ光照射の開始点S1側の端部の高さ寸法H1(突出部4の突出端側の高さ寸法)が、封止部2に連接する側の高さ寸法H2よりも長くなるように突出部4aを形成させることができる。このようにすれば、レーザ光照射の開始点S1において、膨張時に突出部4aを対向するガラス基板G1に確実に接触させることができる。本発明者の得た知見によれば、封止部2に連接する側の高さ寸法H2を封止部2の高さ寸法と略同一とし、開始点S1側の端部の高さ寸法H1を高さ寸法H2よりも25%程度長くするようにすることが好ましい。この場合、例えば、高さ寸法H2を20μm程度とし、高さ寸法H1を25μm程度とすることができる。
【0034】
突出部4の幅寸法W1(図1(b)を参照)には特に制限はない。この場合、突出部4の幅寸法W1を封止部2の幅寸法Wと略同一とすることができる。そのようにすれば、突出部4と封止部2の形成条件(例えば、塗布条件、焼成条件など)やレーザ光の照射条件などを同じにすることができるので、生産性などを向上させることができる。
【0035】
突出部4の形状は、図1(b)に例示をするように直線状とすることができる。ただし、これに限定されるわけではなく、任意の曲線としたり任意の曲線と直線とを組み合わせたりしたものなどとすることができる。この場合、直線状とすればレーザ光の走査などがやりやすくなるので生産性を向上させることができる。
【0036】
突出部4が封止部2と連接する位置に関しては特に限定はなく、封止部2の外側の領域に設けられる図示しない電源ラインや外部接続端子、スペース効率、小型化などを考慮して適宜変更することができる。
【0037】
突出部4の長さ寸法L1に関しては特に限定はなく、封止部2の外側の領域に設けられる図示しない電源ラインや外部接続端子、スペース効率、小型化などを考慮して適宜変更することができる。ただし、後述するように、レーザ光照射の開始点S1の影響が封止部2に及ばない程度の長さ以上とすることが好ましい。この場合、本発明者の得た知見によれば、突出部4の長さ寸法L1を5mm以上とすればレーザ光照射の開始点S1の影響が封止部2に及ぶことを抑制することができる。また、突出部4の長さ寸法L1を30mm以下とすれば、スペース効率の向上や小型化などを図ることができる。
【0038】
突出部4が封止部2と連接する際の角度θに関しては特に限定はなく、封止部2の外側の領域に設けられる図示しない電源ラインや外部接続端子、スペース効率、小型化などを考慮して適宜変更することができる。ただし、突出部4と封止部2とがなるべく平行になるようにすれば、走査方向(照射点の変化方向)に対する速度成分の差を少なくすることができるので、温度分布の均一化を図ることができる。そのため、突出部4と封止部2とのレーザ光の照射条件を略同一とすることができ、生産性や歩留まりの向上などを図ることができる。この場合、本発明者の得た知見によれば、突出部4と封止部2との間の角度θを5°以上、30°以下とすれば温度分布の均一化、スペース効率の向上、小型化などを図ることができる。
【0039】
突出部4、封止部2の材質はフリットを含むものとすることができる。例えば、ガラス粉末に酸化物粉末などを含ませたフリットを主成分とすることができる。酸化物粉末としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化リチウム(Li2O)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カリウム(K2O)などを例示することができる。ただし、これらに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0040】
この場合、突出部4と封止部2とを同じ材質からなるものとする必要はないが、両者を同じ材料からなるものとすれば、突出部4と封止部2の形成条件(例えば、塗布条件、塗布手順、焼成条件など)やレーザ光の照射条件などを同じにすることができるので、生産性などを向上させることができる。
【0041】
次に、突出部4が連接された封止部2における封止について例示をする。
突出部4の端部(レーザ光照射の開始点S1)に向けてレーザ光Lを照射すれば、突出部4が溶融するとともに、その体積が膨張する。そのため、前述した隙間55があったとしても、隙間55を埋めるようにして突出部4の端面がガラス基板G1の主面と接触することになる。そして、レーザ光Lの照射位置を封止部2側へ変化させると溶融した突出部4が冷却されて凝固するが、この際、突出部4の体積が収縮する。
【0042】
突出部4の体積が収縮すると、これに引っ張られるようにして近傍のガラス基板が互いに密着するように変形する。そして、レーザ光Lの照射位置を封止部2側へ変化させることで、変化方向(移動方向)の前方にあるガラス基板を密着させるように変形させて行くことができる。すなわち、隙間55が小さくなる方向にガラス基板を変形させつつ封止を行うことができる。
【0043】
そして、レーザ光Lの照射位置を突出部4から封止部2へ変化させつつレーザ光Lの照射を行う。封止部2においても同様にしてレーザ光Lの照射と封止とが行われる。すなわち、封止部2においては図2において例示をしたものと同様に、変化方向(移動方向)の前方にあるガラス基板を隙間55が小さくなる方向に変形させつつ封止が行われる。
【0044】
前述したように、照射の開始点S1においては、隙間55が小さくなる方向に予めガラス基板を変形させることができないので、照射の開始点S1においては、大きな隙間55のまま溶融接合が行われることになる。そのため、照射の開始点S1においては、剥離強度や剛性が低下するおそれがある。
【0045】
しかしながら、本実施の形態においては、封止部2とは離隔して設けられた突出部4の端部をレーザ光照射の開始点S1としている。そのため、素子領域3を封止するための封止部2が大きな隙間55を有したまま封止されることがない。また、突出部4から封止部2へと連続的にレーザ光の照射による封止を行うことができる。その結果、図示しない電子素子(有機EL素子)や回路などを封止する封止部2の剥離強度や剛性などの低下、割れの発生などを抑制することができるので、気密に対する信頼性を向上させることができる。なお、必要に応じて、ガラス基板の突出部4の端部が設けられた部分を切り取るようにすることもできる。
【0046】
図10は、他の実施の形態に係る突出部を例示するための模式図である。
図10(a)、(b)に示すように、複数の突出部14a、14bを設けるようにすることができる。そして、任意の突出部14aの端部をレーザ光の照射開始点とし、他の突出部14bの端部をレーザ光の照射終了点とすることができる。そのようにすれば、レーザ光の照射終了点をも封止部2から離隔させることができるので、気密に対する信頼性をさらに向上させることができる。
なお、突出部の向きには特に限定がないが、図10(a)のように照射の進行方向に対して傾斜するように設ければ、封止部2に沿った連続的な封止を行うことができる。
【0047】
また、図10(c)に示すように、第1の突出部14aの端部から封止部2に向かうにつれレーザ出力を増加(図10(c)に例示をする場合は漸増)させ、封止部2においてはレーザ出力を一定とし、封止部2から第2の突出部14bの端部に向かうにつれレーザ出力を減少(図10(c)に例示をする場合は漸減)させるようにすることもできる。このようにすれば、安定したレーザ出力で封止部2の部分を封止することができるとともに、温度上昇と温度下降を緩やかにすることができるので熱歪みを低減させることもできる。
【0048】
図11は、他の実施の形態に係る突出部を例示するための模式図である。
図11(a)に示すように、封止部2の辺を延長するように突出部24aまたは突出部24bを設けるようにすることができる。このようにすれば、突出部24a、24bから封止部2へそのまま移行することができるので、走査速度(移動速度)が変化することにより発生する温度分布を抑制することができる。
【0049】
また、図11(b)、(c)に示すように、複数の突出部24a、24bを設けて、任意の突出部の端部をレーザ光の照射開始点とし、他の突出部の端部をレーザ光の照射終了点とすることができる。また、図1や図10において例示をした突出部と組み合わせるようにすることもできる。
【0050】
次に、本実施の形態に係る塗布装置について例示をする。
図12は、本実施の形態に係る塗布装置について例示をするための模式斜視図である。
なお、図中の矢印XYZは互いに直交する三方向を示しており、XYは水平方向、Zは鉛直方向を示している。
【0051】
図12に示すように、塗布装置100は、移動機構101、吐出部102、制御部103を備えている。
移動機構101は、図中のY方向に往復自在な第1の駆動部101aと、第1の駆動部101aの主面に設けられ、図中のX方向に往復自在な第2の駆動部101bとが設けられている。そして、第2の駆動部101bの主面には被処理物G(例えば、ガラス基板G2)を保持する図示しない保持部が設けられている。図示しない保持部としては、例えば、静電チャックや真空チャックなどを例示することができる。
【0052】
吐出部102は、ペースト状のフリット(以後、フリットペーストと称する)を収納する収納部102aと、収納部102aと連通し収納されたフリットペーストを被処理物Gに向けて吐出させるための管状のノズル102bと、収納部102aの内部に空気などを導入し加圧によりフリットペーストを吐出させるための加圧機構102cとが設けられている。また、収納部102aを保持するとともに図中のZ方向に往復自在な図示しない駆動部を備えている。なお、フリットペーストを吐出する吐出部102は、移動機構101に備えられる図示しない保持部(第2の駆動部101bの主面)に対向して設けられている。
【0053】
制御部103は、移動機構101、吐出部102と電気的に接続され、移動機構101、吐出部102の動作を制御することで被処理物G上に所定の形状、寸法のフリットペーストを塗布することができるようになっている。例えば、移動機構101に設けられた図示しない保持部を制御することで被処理物Gの脱着を行い、第1の駆動部101aと第2の駆動部101bとを制御することで塗布位置の制御が行えるようになっている。また、吐出部102に設けられた加圧機構102cを制御することで塗布の開始、停止、塗布量の制御が行えるようになっている。また、吐出部102に設けられた図示しない駆動部を制御することでノズル102bの先端から被処理物Gの表面までの距離(図中のZ方向の距離)が制御できるようになっている。
【0054】
なお、被処理物Gを保持する図示しない保持部と、吐出部102(ノズル102b)と、の相対的な位置を変化させる移動機構として保持部側をXY方向に変化させる移動機構101、吐出部102(ノズル102b)側をZ方向に変化させる図示しない駆動部を例示したが、吐出部102(ノズル102b)側をXYZ方向に変化させたり、図示しない保持部側をXYZ方向に変化させたりしてもよい。すなわち、被処理物Gを保持する図示しない保持部と、吐出部102(ノズル102b)と、の相対的な位置を変化させるものであればよい。
また、図示しない画像処理部を設けて、撮像された画像データに基づいて制御部103に移動機構101と吐出部102の制御を行わせるようにすることもできる。
【0055】
次に、本実施の形態に係る塗布装置100の作用について例示をする。
図示しない搬送機構により、被処理物G(例えば、ガラス基板G2)が第2の駆動部101bの主面上に載置され、図示しない保持部により保持される。
次に、制御部103により移動機構101、吐出部102の動作を制御することで被処理物G上に所定の形状、寸法にフリットペーストを塗布する。例えば、制御部103により第1の駆動部101aと第2の駆動部101bとを制御することで塗布位置の制御を行い、加圧機構102cと吐出部102に設けられた図示しない駆動部とを制御することで被処理物G上に所定の形状、寸法にフリットペーストを塗布する。
【0056】
ここで、本実施の形態においては、フリットペーストを封止部の形状、寸法に合わせて塗布するとともに、前述した突出部の形状、寸法に合わせてフリットペーストを塗布することができる。なお、突出部に関するフリットペーストの塗布は、封止部の場合と同様に制御部103により移動機構101、吐出部102の動作を制御することで行わせることができる。
【0057】
すなわち、制御部103は、吐出部102と移動機構101とを制御することで、素子領域の周縁より外側に設けられる封止部の形状と、一端が封止部から突出する突出部の形状と、を有するフリットパターンを被処理物Gの主面に形成させる。
【0058】
封止部と突出部に関する塗布が終了した場合には、図示しない搬送機構により被処理物Gが搬出される。なお、搬出された被処理物Gは焼成工程に送られ、焼成されることで被処理物G上に封止部と突出部とが形成されることになる。
【0059】
図13は、フリットペーストの塗布の状態を例示するための模式図である。
図13(a)に示すように、ノズル102bからはフリットペースト104が吐出される。ここで、吐出の開始時、終了時においては吐出条件が変動しやすく高さ寸法がバラツキやすい。この場合、図13(b)に示すように凹部104aが生じたり、図13(c)に示すように凸部104bが生じたりする場合がある。このような、凹部104a、凸部104bがあるものを焼成すれば、凹部104a、凸部104bを有する封止部が形成されることになる。そして、封止部に凹部104a、凸部104bがあればそれが隙間発生の原因となるので、前述したように剥離強度や剛性の低下、割れの発生などを招くおそれがある。その結果、気密に対する信頼性が低下するおそれが生ずる。
【0060】
しかしながら、本実施の形態においては、封止部とは離隔して設けられた突出部の端部を吐出の開始点や終了点とすることができる。そのため、封止部における高さ寸法の均一化を図ることができるので、隙間の発生を抑制することができる。その結果、封止部における剥離強度や剛性の低下、割れの発生などを抑制することができ、ひいては気密に対する信頼性を向上させることができる。
【0061】
次に、本実施の形態に係るフラットパネルディスプレイの製造方法について例示をする。 なお、本実施の形態に係るフラットパネルディスプレイの製造方法の一例として、有機ELディスプレイの製造方法を例にとり例示をする。
まず、ガラス基板G1の表面にTFTトランジスタ、各種電極配線などを形成し、複数の画素を備えたアレイ基板を作成する。なお、TFTトランジスタ、各種電極配線などの形成は、既知のフォトリソグラフィー技術を用いることができるので、その説明は省略する。
【0062】
次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて、前述の画素の上に透明な絶縁膜(例えば、酸化シリコン膜など)を成膜する。その後、ドライエッチング法などを用いて、絶縁膜にTFTトランジスタのドレイン領域まで貫通するコンタクトホールなどを適宜設ける。なお、CVD法やドライエッチング法などに用いられる技術については、既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。
【0063】
次に、各画素に対して、透明な電極部材(例えば、ITO(Indium Tin Oxide))を配設することでアノード電極を形成する。アノード電極は、ITOをガラス基板全面に成膜した後、フォトリソグラフィー技術を用いて形成させることもできるし、マスクスパッタ法を用いて直接形成させるようにすることもできる。なお、薄膜形成やフォトリソグラフィー技術などについては、既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。
【0064】
次に、各画素間の電気的な短絡を防ぐために、各画素を囲むように格子状の隔壁を形成する。隔壁は、例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂レジストを配設し、220℃で30分間ベーク処理などをすることで形成させることができる。なお、紫外線硬化型アクリル樹脂レジストによる隔壁の形成やベーク処理などについては、既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。
次に、各画素のアノード電極上に有機EL層を形成する。
有機EL層の形成においては、まず、アノード電極上にホール輸送層が形成される。ホール輸送層は、例えば、芳香族アミン誘導体などの材料を直接蒸着したり、溶媒に溶解した溶液を塗布して乾燥させることにより形成させることができる。
次に、ホール輸送層上に、赤、緑、青の各色を発光する発光層を積層させる。積層は、例えば、ストライプ状のシャドウマスクを用いて行うことができる。この場合、発光層は、材料を直接蒸着することにより形成させることもできるし、インク状の発光材料を用いてスピンコート方式やインクジェット方式により塗布、乾燥させることにより形成させることもできる。
なお、蒸着や、スピンコート方式・インクジェット方式による塗布、乾燥などについては、既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。
【0065】
次に、有機EL層の上に、カソード電極を形成し、カソード電極の上に保護層を形成する。カソード電極は、例えば、減圧環境下において、バリウム単体を蒸着させることにより形成させることができる。保護層は、例えば、減圧環境下において、アルミニウム単体またはその合金を蒸着させることにより形成させることができる。なお、減圧環境下における蒸着などについては、既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。
【0066】
一方、フリットペーストを塗布することで、ガラス基板G2の主面に所定形状のフリットパターンを形成する。そして、これを焼成することで封止基板を作成する。
本実施の形態においては、フリットペーストを封止部の形状、寸法に合わせて塗布するとともに、前述した突出部の形状、寸法に合わせてフリットペーストを塗布するようにする。このようにして形成されたフリットパターンは、素子領域の周縁より外側に設けられる封止部の形状と、一端が封止部から突出する突出部の形状とを有する。
なお、フリットペーストは、前述したフリットにバインダと溶剤とを加えたものとすることができる。
【0067】
また、フリットペーストの塗布法としては、例えば、前述した塗布装置100を用いたディスペンシング法や、封止部、突出部の形状、寸法にフリットペーストを塗布するための版を用いたスクリーン印刷法などを例示することができる。
フリットペーストを焼成する温度は、例えば、300℃〜700℃程度とすることができる。なお、スクリーン印刷法、焼成方法などについては、既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。また、ディスペンシング法については、塗布装置100において例示をしたため、その説明は省略する。
【0068】
次に、焼成されたフリットパターンが形成された封止基板の主面と対向させるようにして、前述のようにして有機EL層などが形成されたアレイ基板を窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気中において重ね合わせる。そして、焼成されたフリットパターン(突出部、封止部)に向けてレーザ光を照射することで封止を行う。
【0069】
この場合、前述したように突出部4の端部(封止部2とは離隔して設けられた側の端部)をレーザ光の照射の開始点とする。すなわち、レーザ光の照射は、焼成により形成された突出部の突出端側から行われる。そのため、電子素子(有機EL素子)や回路などを封止する封止部の剥離強度や剛性を高めることができ、また割れなどの発生を抑制することができる。その結果、気密に対する信頼性を向上させることができる。
【0070】
以上のようにして、有機EL層、TFTトランジスタ、電極などで構成される有機EL素子や回路などが、不活性ガス雰囲気の気密空間内に封入される。レーザ光には、波長が808nm、940nm、976nmなどの半導体レーザ、1064nmのNd-YAGレーザなどを用いることができる。
【0071】
ここで、封止部へのレーザ照射については、既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。
また、不活性ガス雰囲気中におけるガラス基板の重ね合わせに関しても、既知の技術を適用することができるので、その説明も省略する。
【0072】
以上のようにして形成されたものが複数の有機ELディスプレイパネルの集合体である場合には、分断加工を行い単体の有機ELディスプレイパネルに分断する。分断は、例えば、有機ELディスプレイパネルの集合体を割断予定線に沿って割断し、割断された有機ELディスプレイパネルの集合体をブレーク加工することで分断することができる。なお、割断やブレーク加工については、既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。
【0073】
次に、以上のようにして製造した有機ELディスプレイパネルに機構部材などを装着する。
機構部材としては、ドライバICと、それに入力する制御信号を生成する駆動回路などを例示することができる。また、必要に応じてカバーなどを適宜設けるようにすることもできる。なお、機構部材、カバーなどに関しては既知の技術を適用させることができるので、その説明は省略する。また、機構部材の装着、カバーなどの取り付けに関しても既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。
なお、本発明の実施の形態に係るフラットパネルディスプレイの製造方法を有機ELディスプレイの製造方法を例にとり例示したが、これに限定されるわけではない。例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)、電界放出ディスプレイ(FED)などの他のフラットパネルディスプレイの製造においても適用させることができる。この場合、前述した本実施の形態に係るフラットパネルディスプレイ、塗布装置に関する以外のものは、各フラットパネルディスプレイにおける既知の技術を適用させることができるので、他のフラットパネルディスプレイの製造方法の説明は省略する。
【0074】
以上、本実施の形態について例示をした。しかし、これらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、フラットパネルディスプレイ1、塗布装置100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本実施の形態に係るフラットパネルディスプレイの要部を例示するための模式図である。
【図2】比較例に係るフラットパネルディスプレイの要部を例示するための模式図である。
【図3】フリットを用いた封止を例示するための模式図である。
【図4】溶融接合前の隙間を例示するための模式グラフ図である。
【図5】図4に示す隙間がガラス基板の変形により変化する様子を例示するための模式グラフ図である。
【図6】隙間が大きい状態で封止が行われた場合を例示するための模式図である。
【図7】隙間が小さい状態で封止が行われた場合を例示するための模式図である。
【図8】接合部分における剥離を例示するための模式図である。
【図9】高さ寸法に変化を持たせる場合を例示するための模式斜視図である。
【図10】他の実施の形態に係る突出部を例示するための模式図である。
【図11】他の実施の形態に係る突出部を例示するための模式図である。
【図12】本実施の形態に係る塗布装置について例示をするための模式斜視図である。
【図13】フリットペーストの塗布の状態を例示するための模式図である。
【符号の説明】
【0076】
1 フラットパネルディスプレイ、2 封止部、3 素子領域、4 突出部、4a 突出部、14a 突出部、14b 突出部、52a 幅寸法Wの大きい部分、52b 幅寸法Wの小さい部分、55 隙間、100 塗布装置、101 移動機構、102 吐出部、103 制御部、G1 ガラス基板、G2 ガラス基板、H1 高さ寸法、H2 高さ寸法、L1 長さ寸法、S1 開始点、W1 幅寸法、θ 角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ、フラットパネルディスプレイの製造方法、および塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)、電界放出ディスプレイ(FED)などのフラットパネルディスプレイにおいては、内部に収納した電子素子や回路などを気密封止している。
【0003】
例えば、フラットパネルディスプレイにおいては、2枚のガラス基板が互いに所定の間隔を開けて平行に対向され、この2枚のガラス基板の周縁を封止することで、その内部に形成された電極や蛍光体層などを気密封止するようにしている。
このような気密封止において、紫外線硬化樹脂などにより2枚のガラス基板の周縁を封止する技術が提案されている(特許文献1を参照)。この特許文献1に開示がされている技術においては、樹脂封止材のコーナー部に突出部を設けて基板のコーナー部分における剥離を抑制するようにしている。
しかしながら、封止部に樹脂材料を用いるものとすれば、空気中の水分などが封止部を透過してしまうおそれがある。そのため、水分などによる劣化が懸念されるようなもの(例えば、有機ELディスプレイなど)には、気密に対する信頼性がより高いフリットを用いた封止が行われるようになってきている。
【0004】
ここで、フリットを用いた封止においては、ガラス基板の表面から封止部(フリット)に向けてレーザ光を照射して溶融接合させる技術が知られている。そして、フリットを用いた封止の信頼性を向上させるための技術が提案されている(特許文献2、3を参照)。 しかしながら、特許文献2、3に開示がされている技術においては、ガラス基板に設けられた封止部の高さ寸法のバラツキに対する考慮がされていなかった。そのため、溶融接合した部分に引張応力が発生して剥離が生じたり、ガラス基板や封止部に割れが生じたりして封止部の気密に対する信頼性が損なわれるおそれがあった。
【特許文献1】特開2006−146221号公報
【特許文献2】特開2007−220648号公報
【特許文献3】特開2007−200845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、封止部の気密に対する信頼性を向上させることができるフラットパネルディスプレイ、フラットパネルディスプレイの製造方法、および塗布装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、電子素子が設けられる素子領域を有する第1の基板と、前記素子領域に対向して設けられる第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられ、フリットを含む封止体であって、前記素子領域を取り囲む封止部と、一端が前記封止部に連接し他端が外側に延出した突出部と、を有する封止体と、を備えたことを特徴とするフラットパネルディスプレイが提供される。
【0007】
また、本発明の他の一態様によれば、フリットペーストを塗布することで、第3の基板の主面にフリットパターンを形成する工程と、前記フリットパターンを焼成する工程と、前記焼成されたフリットパターンが形成された前記第3の基板の主面と対向させるようにして第4の基板を重ね合わせる工程と、前記焼成されたフリットパターンに向けてレーザ光を照射することで封止を行う工程と、を備え、前記フリットパターンは、素子領域を取り囲む封止部と、一端が前記封止部に連接し他端が外側に延出した突出部と、を有することを特徴とするフラットパネルディスプレイの製造方法が提供される。
【0008】
また、本発明の他の一態様によれば、基板を保持する保持部と、前記保持部に対向して設けられ、フリットペーストを吐出する吐出部と、前記保持部と、前記吐出部と、の相対的な位置を変化させる移動機構と、前記吐出部と、前記移動機構と、を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記吐出部と前記移動機構とを制御することで、素子領域の周縁より外側に設けられる封止部の形状と、一端が前記封止部に連接し他端が外側に延出した突出部の形状と、を有するフリットパターンを前記基板の主面に形成させること、を特徴とする塗布装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、封止部の気密に対する信頼性を向上させることができるフラットパネルディスプレイ、フラットパネルディスプレイの製造方法、および塗布装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係るフラットパネルディスプレイの要部を例示するための模式図である。また、図1(a)は模式側面図、図1(b)は図1(a)におけるA−A矢視断面図である。
【0011】
なお、図1は、本実施の形態に係るフラットパネルディスプレイの一例として、フリットを含んだ封止体を備える有機ELディスプレイを例示するためのものである。2枚のガラス基板G1、G2の間には、フリットを含む封止体が介在している。そして、封止体は、素子領域3を環状に取り囲む封止部2と、封止部2に連接し外側に延出した突出部4と、を有する。後に詳述するように、突出部4の端部をレーザ光照射の開始点として、封止体を順次溶融し凝固させて封止することにより、封止部2の剥離強度や剛性などの低下、割れの発生などを抑制することができる。
【0012】
図2は、比較例に係るフラットパネルディスプレイの要部を例示するための模式図である。また、図2(a)は模式側面図、図2(b)は図2(a)におけるB−B矢視断面図である。
なお、 図2に示すフラットパネルディスプレイは、本発明者が発明をするに至った過程で検討を加えたものであり、フリットを含んだ封止体を備える有機ELディスプレイを例示するためのものである。
【0013】
まず、比較例に係るフラットパネルディスプレイ(有機ELディスプレイ)から例示をする。
図2(a)に示すように、フラットパネルディスプレイ(有機ELディスプレイ)50においては、2枚のガラス基板G1、G2が互いに所定の間隔をあけて平行に対峙されている。そして、この2枚のガラス基板G1、G2の周縁を封止部52で封止することで、その内部に設けられた電子素子(有機EL素子)や回路などを気密封止するようにしている。
【0014】
すなわち、フラットパネルディスプレイ50は、電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる素子領域53を有するガラス基板G1と、素子領域53に対向して設けられるガラス基板G2と、素子領域53の周縁より外側であって、ガラス基板G1とガラス基板G2との間に設けられる封止部52とを備えている。また、封止部52には、後述するフリットが含まれている。
【0015】
この場合、図2(b)に示すように、封止部52はガラス基板G2の主面の周縁に設けられている。そして、封止部52により画されたガラス基板G2の中央側は、図示しない電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる領域(素子領域53)と対向する面となっている。また、電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる領域(素子領域53)はガラス基板G1の主面に設けられ、ガラス基板G1とガラス基板G2とを重ね合わせることで、素子領域53の周縁が封止部52により封止されるようになっている。
【0016】
素子領域53に設けられる図示しない回路としては、例えば、多数の電子素子(有機EL素子)をマトリクス状に接続するための走査ライン、データラインなどを例示することができる。また、素子領域53に設けられるこれらの回路は、封止部52の外側の領域に設けられる電源ラインや外部接続端子などと電気的に接続されている。なお、図示しない電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる領域(素子領域53)は、ガラス基板G2の主面に設けるようにすることもできる。また、図示しない電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる領域(素子領域53)がガラス基板G2の主面に設けられる場合には、図示しない電源ラインや外部接続端子などはガラス基板G2の主面に設けられる。
【0017】
図3は、フリットを用いた封止を例示するための模式図である。
フリットを用いた封止においては、封止部52が設けられたガラス基板G2と、図示しない電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられたガラス基板G1とを対向するようにして重ね合わせ、ガラス基板G2の側から封止部52に向けてレーザ光Lを照射して封止部52(フリット)を溶融するようにしている。
【0018】
ここで、ガラス基板G1、G2が平坦であり、また封止部52の高さ寸法にもバラツキがなければ、封止部52の端面とガラス基板G1の主面とが当接することになる。しかしながら、実際には、ガラス基板G1、G2には反りなどがあり、また封止部52の高さ寸法にもバラツキがある場合がある。そのため、図3(a)に示すように封止部52の端面とガラス基板G1の主面との間に隙間55が生じる場合がある。
【0019】
このような隙間55がある場合であっても、図3(b)に示すように封止部52に向けてレーザ光Lを照射すれば、ガラス基板G1、G2の間を封止部52により封止することができる。
このことをさらに説明する。封止部52に向けてレーザ光Lを照射すれば、封止部52(フリット)が溶融するとともに、その体積が膨張する。そのため、隙間55があったとしても、隙間55を埋めるようにして封止部52がガラス基板G1の主面と接触することになる。そして、レーザ光Lの照射位置が変化すると溶融した封止部52(フリット)が冷却されて凝固するが、この際、封止部52の体積が収縮する。
【0020】
封止部52の体積が収縮すると、これに引っ張られるようにして近傍のガラス基板が互いに密着するように変形する。図3(c)は、ガラス基板G2が変形する様子を表したものである。そして、レーザ光Lの照射位置を変化させることで、変化方向(移動方向)の前方にあるガラス基板を密着させるように変形させて行くことができる。すなわち、隙間55が小さくなる方向にガラス基板を変形させつつ封止を行うことができることになる。
【0021】
図4は、溶融接合前の隙間を例示するための模式グラフ図である。なお、図中の縦軸は隙間の大きさを表し、横軸は封止部の長さ方向の位置(封止部の周面に沿った方向の位置)を表している。
また、図5は、図4に示す隙間がガラス基板の変形により変化する様子を例示するための模式グラフ図である。なお、図中の縦軸は隙間の大きさを表し、横軸は封止部の長さ方向の位置(封止部の周面に沿った方向の位置)を表している。
【0022】
前述したように、ガラス基板を密着させるように変形させながら封止を行うことができるので、図4に示すような隙間があったとしても、図5に示すように隙間を小さくすることができる。
【0023】
しかしながら、図3(c)に示すように、照射の開始点Sにおいては、隙間55が小さくなる方向に予めガラス基板を変形させることができない。すなわち、照射の開始点Sにおいては、大きな隙間55のまま封止が行われることになる。
【0024】
次に、隙間の大きさが封止に与える影響を例示する。
図6は、隙間が大きい状態で封止が行われた場合を例示するための模式図である。なお、図6(a)は封止前の状態を表す模式側面図、図6(b)は図6(a)におけるC−C矢視断面図である。また、図6(c)は封止後の状態を表す模式側面図、図6(d)は図6(c)におけるD−D矢視断面図であり、図6(e)は図6(d)におけるE−E矢視図である。
図7は、隙間が小さい状態で封止が行われた場合を例示するための模式図である。なお、図7(a)は封止前の状態を表す模式側面図、図7(b)は図7(a)におけるF−F矢視断面図である。また、図7(c)は封止後の状態を表す模式側面図、図7(d)は図7(c)におけるJ−J矢視断面図であり、図7(e)は図7(d)におけるK−K矢視図である。
図8は、接合部分における剥離を例示するための模式図である。なお、図8(a)は模式側面図、図8(b)は図8(a)におけるM−M矢視図である。
【0025】
図6(a)、(b)に示すように隙間55が大きい状態で封止が行われた場合には、封止後の図6(c)、(d)、(e)に示すとおり、レーザ光の照射により溶融し、膨張した封止部52(フリット)が対向するガラス基板G1と接触する量(幅寸法W1)が小さなる。また、封止後のガラス基板同士の間の寸法H3が大きくなる。
一方、図7(a)、(b)に示すように隙間55が小さい状態で封止が行われた場合には、封止後の図7(c)、(d)、(e)に示すとおり、レーザ光の照射により溶融し、膨張した封止部52(フリット)が対向するガラス基板G1と接触する量(幅寸法W2)が大きくなる。また、封止後のガラス基板同士の間の寸法H4が小さくなる。
【0026】
ここで、ガラス基板G1との接合部分の幅寸法が小さくなると接合面積が小さくなるので剥離強度が低下するおそれがある。また、隙間55が大きい状態で封止が行われた部分と隙間55が小さい状態で封止が行われた部分とが隣接していると、ガラス基板同士の間の寸法に段差が生じることになる。
段差が生じるような部分においては、図8(a)に示すような引張応力がはたらくので、剥離強度の低い部分(図6に示すような隙間55が大きい状態で封止が行われた部分)において図8(b)に示すような剥離52aが生じやすくなる。また、隙間55が大きい状態で封止が行われた部分においては剛性が低下したり、割れなども発生しやすくなる。そのため、気密に対する信頼性が低下するおそれがある。
特に、大きな隙間55のまま封止が行われることになる照射の開始点Sにおいては剥離強度や剛性の低下、割れなどが発生しやすくなるので、気密に対する信頼性が低下するおそれが高くなる。
【0027】
次に、図1に戻って本実施の形態に係るフラットパネルディスプレイについて例示をする。
図1(a)に示すように、フラットパネルディスプレイ(有機ELディスプレイ)1においては、2枚のガラス基板G1、G2が互いに所定の間隔をあけて平行に対峙されている。そして、この2枚のガラス基板G1、G2の周縁を封止部2で封止することで、その内部に設けられた電子素子(有機EL素子)や回路などを気密封止するようにしている。
【0028】
この場合、図1(b)に示すように、封止部2はガラス基板G2の主面の周縁に設けられている。そして、封止部2により画されたガラス基板G2の中央側は、図示しない電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる領域(素子領域3)と対向する面となっている。また、電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる領域(素子領域3)はガラス基板G1の主面に設けられ、ガラス基板G1とガラス基板G2とを重ね合わせることで、素子領域3の周縁が封止部2により封止されるようになっている。
【0029】
素子領域3に設けられる図示しない回路としては、例えば、多数の電子素子(有機EL素子)をマトリクス状に接続するための走査ライン、データラインなどを例示することができる。また、素子領域3に設けられるこれらの回路は、封止部2の外側の領域に設けられる電源ラインや外部接続端子などと電気的に接続されている。なお、図示しない電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる領域(素子領域3)は、ガラス基板G2の主面に設けるようにすることもできる。また、図示しない電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる領域(素子領域3)がガラス基板G2の主面に設けられる場合には、図示しない電源ラインや外部接続端子などはガラス基板G2の主面に設けられる。
【0030】
本実施の形態においては、封止部2に線状の突出部4が連接するようにして設けられている。すなわち、フラットパネルディスプレイ1は、電子素子(有機EL素子)や回路などが設けられる素子領域3を有するガラス基板G1と、素子領域3に対向して設けられるガラス基板G2と、これらガラス基板G1、G2の間に設けられた封止体と、を備えている。そして、封止体は、素子領域3を取り囲む封止部2と、一端が封止部2に連接し他端が外側に延出した突出部4と、を有する。封止部2と突出部4とには、フリットが含まれている。
【0031】
また、突出部4の一端は封止部2と連接し、突出部4の他端(突出端)は封止部2とは離隔している。なお、後述するように、封止部2と離隔して設けられる突出端がレーザ光照射の開始点S1となる。そして、封止部2と突出部4とを溶融・凝固させることで、素子領域3が封止部2により封止されるようになっている。そのため、突出部4の突出端が溶融の開始点(レーザ光照射の開始点S1)となる。
【0032】
突出部4の高さ寸法は、溶融時の膨張により突出部4の端面がガラス基板G1の主面と接触するのに必要な程度とされている。この場合、突出部4の高さ寸法を封止部2の高さ寸法と略同一とすることができる。そのようにすれば、突出部4と封止部2の形成条件(例えば、塗布条件、焼成条件など)やレーザ光の照射条件などを同じにすることができるので、生産性などを向上させることができる。
【0033】
また、突出部4の高さ寸法に変化を持たせることもできる。
図9は、高さ寸法に変化を持たせる場合を例示するための模式斜視図である。
図9に例示をするように、レーザ光照射の開始点S1側の端部の高さ寸法H1(突出部4の突出端側の高さ寸法)が、封止部2に連接する側の高さ寸法H2よりも長くなるように突出部4aを形成させることができる。このようにすれば、レーザ光照射の開始点S1において、膨張時に突出部4aを対向するガラス基板G1に確実に接触させることができる。本発明者の得た知見によれば、封止部2に連接する側の高さ寸法H2を封止部2の高さ寸法と略同一とし、開始点S1側の端部の高さ寸法H1を高さ寸法H2よりも25%程度長くするようにすることが好ましい。この場合、例えば、高さ寸法H2を20μm程度とし、高さ寸法H1を25μm程度とすることができる。
【0034】
突出部4の幅寸法W1(図1(b)を参照)には特に制限はない。この場合、突出部4の幅寸法W1を封止部2の幅寸法Wと略同一とすることができる。そのようにすれば、突出部4と封止部2の形成条件(例えば、塗布条件、焼成条件など)やレーザ光の照射条件などを同じにすることができるので、生産性などを向上させることができる。
【0035】
突出部4の形状は、図1(b)に例示をするように直線状とすることができる。ただし、これに限定されるわけではなく、任意の曲線としたり任意の曲線と直線とを組み合わせたりしたものなどとすることができる。この場合、直線状とすればレーザ光の走査などがやりやすくなるので生産性を向上させることができる。
【0036】
突出部4が封止部2と連接する位置に関しては特に限定はなく、封止部2の外側の領域に設けられる図示しない電源ラインや外部接続端子、スペース効率、小型化などを考慮して適宜変更することができる。
【0037】
突出部4の長さ寸法L1に関しては特に限定はなく、封止部2の外側の領域に設けられる図示しない電源ラインや外部接続端子、スペース効率、小型化などを考慮して適宜変更することができる。ただし、後述するように、レーザ光照射の開始点S1の影響が封止部2に及ばない程度の長さ以上とすることが好ましい。この場合、本発明者の得た知見によれば、突出部4の長さ寸法L1を5mm以上とすればレーザ光照射の開始点S1の影響が封止部2に及ぶことを抑制することができる。また、突出部4の長さ寸法L1を30mm以下とすれば、スペース効率の向上や小型化などを図ることができる。
【0038】
突出部4が封止部2と連接する際の角度θに関しては特に限定はなく、封止部2の外側の領域に設けられる図示しない電源ラインや外部接続端子、スペース効率、小型化などを考慮して適宜変更することができる。ただし、突出部4と封止部2とがなるべく平行になるようにすれば、走査方向(照射点の変化方向)に対する速度成分の差を少なくすることができるので、温度分布の均一化を図ることができる。そのため、突出部4と封止部2とのレーザ光の照射条件を略同一とすることができ、生産性や歩留まりの向上などを図ることができる。この場合、本発明者の得た知見によれば、突出部4と封止部2との間の角度θを5°以上、30°以下とすれば温度分布の均一化、スペース効率の向上、小型化などを図ることができる。
【0039】
突出部4、封止部2の材質はフリットを含むものとすることができる。例えば、ガラス粉末に酸化物粉末などを含ませたフリットを主成分とすることができる。酸化物粉末としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化リチウム(Li2O)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カリウム(K2O)などを例示することができる。ただし、これらに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0040】
この場合、突出部4と封止部2とを同じ材質からなるものとする必要はないが、両者を同じ材料からなるものとすれば、突出部4と封止部2の形成条件(例えば、塗布条件、塗布手順、焼成条件など)やレーザ光の照射条件などを同じにすることができるので、生産性などを向上させることができる。
【0041】
次に、突出部4が連接された封止部2における封止について例示をする。
突出部4の端部(レーザ光照射の開始点S1)に向けてレーザ光Lを照射すれば、突出部4が溶融するとともに、その体積が膨張する。そのため、前述した隙間55があったとしても、隙間55を埋めるようにして突出部4の端面がガラス基板G1の主面と接触することになる。そして、レーザ光Lの照射位置を封止部2側へ変化させると溶融した突出部4が冷却されて凝固するが、この際、突出部4の体積が収縮する。
【0042】
突出部4の体積が収縮すると、これに引っ張られるようにして近傍のガラス基板が互いに密着するように変形する。そして、レーザ光Lの照射位置を封止部2側へ変化させることで、変化方向(移動方向)の前方にあるガラス基板を密着させるように変形させて行くことができる。すなわち、隙間55が小さくなる方向にガラス基板を変形させつつ封止を行うことができる。
【0043】
そして、レーザ光Lの照射位置を突出部4から封止部2へ変化させつつレーザ光Lの照射を行う。封止部2においても同様にしてレーザ光Lの照射と封止とが行われる。すなわち、封止部2においては図2において例示をしたものと同様に、変化方向(移動方向)の前方にあるガラス基板を隙間55が小さくなる方向に変形させつつ封止が行われる。
【0044】
前述したように、照射の開始点S1においては、隙間55が小さくなる方向に予めガラス基板を変形させることができないので、照射の開始点S1においては、大きな隙間55のまま溶融接合が行われることになる。そのため、照射の開始点S1においては、剥離強度や剛性が低下するおそれがある。
【0045】
しかしながら、本実施の形態においては、封止部2とは離隔して設けられた突出部4の端部をレーザ光照射の開始点S1としている。そのため、素子領域3を封止するための封止部2が大きな隙間55を有したまま封止されることがない。また、突出部4から封止部2へと連続的にレーザ光の照射による封止を行うことができる。その結果、図示しない電子素子(有機EL素子)や回路などを封止する封止部2の剥離強度や剛性などの低下、割れの発生などを抑制することができるので、気密に対する信頼性を向上させることができる。なお、必要に応じて、ガラス基板の突出部4の端部が設けられた部分を切り取るようにすることもできる。
【0046】
図10は、他の実施の形態に係る突出部を例示するための模式図である。
図10(a)、(b)に示すように、複数の突出部14a、14bを設けるようにすることができる。そして、任意の突出部14aの端部をレーザ光の照射開始点とし、他の突出部14bの端部をレーザ光の照射終了点とすることができる。そのようにすれば、レーザ光の照射終了点をも封止部2から離隔させることができるので、気密に対する信頼性をさらに向上させることができる。
なお、突出部の向きには特に限定がないが、図10(a)のように照射の進行方向に対して傾斜するように設ければ、封止部2に沿った連続的な封止を行うことができる。
【0047】
また、図10(c)に示すように、第1の突出部14aの端部から封止部2に向かうにつれレーザ出力を増加(図10(c)に例示をする場合は漸増)させ、封止部2においてはレーザ出力を一定とし、封止部2から第2の突出部14bの端部に向かうにつれレーザ出力を減少(図10(c)に例示をする場合は漸減)させるようにすることもできる。このようにすれば、安定したレーザ出力で封止部2の部分を封止することができるとともに、温度上昇と温度下降を緩やかにすることができるので熱歪みを低減させることもできる。
【0048】
図11は、他の実施の形態に係る突出部を例示するための模式図である。
図11(a)に示すように、封止部2の辺を延長するように突出部24aまたは突出部24bを設けるようにすることができる。このようにすれば、突出部24a、24bから封止部2へそのまま移行することができるので、走査速度(移動速度)が変化することにより発生する温度分布を抑制することができる。
【0049】
また、図11(b)、(c)に示すように、複数の突出部24a、24bを設けて、任意の突出部の端部をレーザ光の照射開始点とし、他の突出部の端部をレーザ光の照射終了点とすることができる。また、図1や図10において例示をした突出部と組み合わせるようにすることもできる。
【0050】
次に、本実施の形態に係る塗布装置について例示をする。
図12は、本実施の形態に係る塗布装置について例示をするための模式斜視図である。
なお、図中の矢印XYZは互いに直交する三方向を示しており、XYは水平方向、Zは鉛直方向を示している。
【0051】
図12に示すように、塗布装置100は、移動機構101、吐出部102、制御部103を備えている。
移動機構101は、図中のY方向に往復自在な第1の駆動部101aと、第1の駆動部101aの主面に設けられ、図中のX方向に往復自在な第2の駆動部101bとが設けられている。そして、第2の駆動部101bの主面には被処理物G(例えば、ガラス基板G2)を保持する図示しない保持部が設けられている。図示しない保持部としては、例えば、静電チャックや真空チャックなどを例示することができる。
【0052】
吐出部102は、ペースト状のフリット(以後、フリットペーストと称する)を収納する収納部102aと、収納部102aと連通し収納されたフリットペーストを被処理物Gに向けて吐出させるための管状のノズル102bと、収納部102aの内部に空気などを導入し加圧によりフリットペーストを吐出させるための加圧機構102cとが設けられている。また、収納部102aを保持するとともに図中のZ方向に往復自在な図示しない駆動部を備えている。なお、フリットペーストを吐出する吐出部102は、移動機構101に備えられる図示しない保持部(第2の駆動部101bの主面)に対向して設けられている。
【0053】
制御部103は、移動機構101、吐出部102と電気的に接続され、移動機構101、吐出部102の動作を制御することで被処理物G上に所定の形状、寸法のフリットペーストを塗布することができるようになっている。例えば、移動機構101に設けられた図示しない保持部を制御することで被処理物Gの脱着を行い、第1の駆動部101aと第2の駆動部101bとを制御することで塗布位置の制御が行えるようになっている。また、吐出部102に設けられた加圧機構102cを制御することで塗布の開始、停止、塗布量の制御が行えるようになっている。また、吐出部102に設けられた図示しない駆動部を制御することでノズル102bの先端から被処理物Gの表面までの距離(図中のZ方向の距離)が制御できるようになっている。
【0054】
なお、被処理物Gを保持する図示しない保持部と、吐出部102(ノズル102b)と、の相対的な位置を変化させる移動機構として保持部側をXY方向に変化させる移動機構101、吐出部102(ノズル102b)側をZ方向に変化させる図示しない駆動部を例示したが、吐出部102(ノズル102b)側をXYZ方向に変化させたり、図示しない保持部側をXYZ方向に変化させたりしてもよい。すなわち、被処理物Gを保持する図示しない保持部と、吐出部102(ノズル102b)と、の相対的な位置を変化させるものであればよい。
また、図示しない画像処理部を設けて、撮像された画像データに基づいて制御部103に移動機構101と吐出部102の制御を行わせるようにすることもできる。
【0055】
次に、本実施の形態に係る塗布装置100の作用について例示をする。
図示しない搬送機構により、被処理物G(例えば、ガラス基板G2)が第2の駆動部101bの主面上に載置され、図示しない保持部により保持される。
次に、制御部103により移動機構101、吐出部102の動作を制御することで被処理物G上に所定の形状、寸法にフリットペーストを塗布する。例えば、制御部103により第1の駆動部101aと第2の駆動部101bとを制御することで塗布位置の制御を行い、加圧機構102cと吐出部102に設けられた図示しない駆動部とを制御することで被処理物G上に所定の形状、寸法にフリットペーストを塗布する。
【0056】
ここで、本実施の形態においては、フリットペーストを封止部の形状、寸法に合わせて塗布するとともに、前述した突出部の形状、寸法に合わせてフリットペーストを塗布することができる。なお、突出部に関するフリットペーストの塗布は、封止部の場合と同様に制御部103により移動機構101、吐出部102の動作を制御することで行わせることができる。
【0057】
すなわち、制御部103は、吐出部102と移動機構101とを制御することで、素子領域の周縁より外側に設けられる封止部の形状と、一端が封止部から突出する突出部の形状と、を有するフリットパターンを被処理物Gの主面に形成させる。
【0058】
封止部と突出部に関する塗布が終了した場合には、図示しない搬送機構により被処理物Gが搬出される。なお、搬出された被処理物Gは焼成工程に送られ、焼成されることで被処理物G上に封止部と突出部とが形成されることになる。
【0059】
図13は、フリットペーストの塗布の状態を例示するための模式図である。
図13(a)に示すように、ノズル102bからはフリットペースト104が吐出される。ここで、吐出の開始時、終了時においては吐出条件が変動しやすく高さ寸法がバラツキやすい。この場合、図13(b)に示すように凹部104aが生じたり、図13(c)に示すように凸部104bが生じたりする場合がある。このような、凹部104a、凸部104bがあるものを焼成すれば、凹部104a、凸部104bを有する封止部が形成されることになる。そして、封止部に凹部104a、凸部104bがあればそれが隙間発生の原因となるので、前述したように剥離強度や剛性の低下、割れの発生などを招くおそれがある。その結果、気密に対する信頼性が低下するおそれが生ずる。
【0060】
しかしながら、本実施の形態においては、封止部とは離隔して設けられた突出部の端部を吐出の開始点や終了点とすることができる。そのため、封止部における高さ寸法の均一化を図ることができるので、隙間の発生を抑制することができる。その結果、封止部における剥離強度や剛性の低下、割れの発生などを抑制することができ、ひいては気密に対する信頼性を向上させることができる。
【0061】
次に、本実施の形態に係るフラットパネルディスプレイの製造方法について例示をする。 なお、本実施の形態に係るフラットパネルディスプレイの製造方法の一例として、有機ELディスプレイの製造方法を例にとり例示をする。
まず、ガラス基板G1の表面にTFTトランジスタ、各種電極配線などを形成し、複数の画素を備えたアレイ基板を作成する。なお、TFTトランジスタ、各種電極配線などの形成は、既知のフォトリソグラフィー技術を用いることができるので、その説明は省略する。
【0062】
次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて、前述の画素の上に透明な絶縁膜(例えば、酸化シリコン膜など)を成膜する。その後、ドライエッチング法などを用いて、絶縁膜にTFTトランジスタのドレイン領域まで貫通するコンタクトホールなどを適宜設ける。なお、CVD法やドライエッチング法などに用いられる技術については、既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。
【0063】
次に、各画素に対して、透明な電極部材(例えば、ITO(Indium Tin Oxide))を配設することでアノード電極を形成する。アノード電極は、ITOをガラス基板全面に成膜した後、フォトリソグラフィー技術を用いて形成させることもできるし、マスクスパッタ法を用いて直接形成させるようにすることもできる。なお、薄膜形成やフォトリソグラフィー技術などについては、既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。
【0064】
次に、各画素間の電気的な短絡を防ぐために、各画素を囲むように格子状の隔壁を形成する。隔壁は、例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂レジストを配設し、220℃で30分間ベーク処理などをすることで形成させることができる。なお、紫外線硬化型アクリル樹脂レジストによる隔壁の形成やベーク処理などについては、既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。
次に、各画素のアノード電極上に有機EL層を形成する。
有機EL層の形成においては、まず、アノード電極上にホール輸送層が形成される。ホール輸送層は、例えば、芳香族アミン誘導体などの材料を直接蒸着したり、溶媒に溶解した溶液を塗布して乾燥させることにより形成させることができる。
次に、ホール輸送層上に、赤、緑、青の各色を発光する発光層を積層させる。積層は、例えば、ストライプ状のシャドウマスクを用いて行うことができる。この場合、発光層は、材料を直接蒸着することにより形成させることもできるし、インク状の発光材料を用いてスピンコート方式やインクジェット方式により塗布、乾燥させることにより形成させることもできる。
なお、蒸着や、スピンコート方式・インクジェット方式による塗布、乾燥などについては、既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。
【0065】
次に、有機EL層の上に、カソード電極を形成し、カソード電極の上に保護層を形成する。カソード電極は、例えば、減圧環境下において、バリウム単体を蒸着させることにより形成させることができる。保護層は、例えば、減圧環境下において、アルミニウム単体またはその合金を蒸着させることにより形成させることができる。なお、減圧環境下における蒸着などについては、既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。
【0066】
一方、フリットペーストを塗布することで、ガラス基板G2の主面に所定形状のフリットパターンを形成する。そして、これを焼成することで封止基板を作成する。
本実施の形態においては、フリットペーストを封止部の形状、寸法に合わせて塗布するとともに、前述した突出部の形状、寸法に合わせてフリットペーストを塗布するようにする。このようにして形成されたフリットパターンは、素子領域の周縁より外側に設けられる封止部の形状と、一端が封止部から突出する突出部の形状とを有する。
なお、フリットペーストは、前述したフリットにバインダと溶剤とを加えたものとすることができる。
【0067】
また、フリットペーストの塗布法としては、例えば、前述した塗布装置100を用いたディスペンシング法や、封止部、突出部の形状、寸法にフリットペーストを塗布するための版を用いたスクリーン印刷法などを例示することができる。
フリットペーストを焼成する温度は、例えば、300℃〜700℃程度とすることができる。なお、スクリーン印刷法、焼成方法などについては、既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。また、ディスペンシング法については、塗布装置100において例示をしたため、その説明は省略する。
【0068】
次に、焼成されたフリットパターンが形成された封止基板の主面と対向させるようにして、前述のようにして有機EL層などが形成されたアレイ基板を窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気中において重ね合わせる。そして、焼成されたフリットパターン(突出部、封止部)に向けてレーザ光を照射することで封止を行う。
【0069】
この場合、前述したように突出部4の端部(封止部2とは離隔して設けられた側の端部)をレーザ光の照射の開始点とする。すなわち、レーザ光の照射は、焼成により形成された突出部の突出端側から行われる。そのため、電子素子(有機EL素子)や回路などを封止する封止部の剥離強度や剛性を高めることができ、また割れなどの発生を抑制することができる。その結果、気密に対する信頼性を向上させることができる。
【0070】
以上のようにして、有機EL層、TFTトランジスタ、電極などで構成される有機EL素子や回路などが、不活性ガス雰囲気の気密空間内に封入される。レーザ光には、波長が808nm、940nm、976nmなどの半導体レーザ、1064nmのNd-YAGレーザなどを用いることができる。
【0071】
ここで、封止部へのレーザ照射については、既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。
また、不活性ガス雰囲気中におけるガラス基板の重ね合わせに関しても、既知の技術を適用することができるので、その説明も省略する。
【0072】
以上のようにして形成されたものが複数の有機ELディスプレイパネルの集合体である場合には、分断加工を行い単体の有機ELディスプレイパネルに分断する。分断は、例えば、有機ELディスプレイパネルの集合体を割断予定線に沿って割断し、割断された有機ELディスプレイパネルの集合体をブレーク加工することで分断することができる。なお、割断やブレーク加工については、既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。
【0073】
次に、以上のようにして製造した有機ELディスプレイパネルに機構部材などを装着する。
機構部材としては、ドライバICと、それに入力する制御信号を生成する駆動回路などを例示することができる。また、必要に応じてカバーなどを適宜設けるようにすることもできる。なお、機構部材、カバーなどに関しては既知の技術を適用させることができるので、その説明は省略する。また、機構部材の装着、カバーなどの取り付けに関しても既知の技術を適用することができるので、その説明は省略する。
なお、本発明の実施の形態に係るフラットパネルディスプレイの製造方法を有機ELディスプレイの製造方法を例にとり例示したが、これに限定されるわけではない。例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)、電界放出ディスプレイ(FED)などの他のフラットパネルディスプレイの製造においても適用させることができる。この場合、前述した本実施の形態に係るフラットパネルディスプレイ、塗布装置に関する以外のものは、各フラットパネルディスプレイにおける既知の技術を適用させることができるので、他のフラットパネルディスプレイの製造方法の説明は省略する。
【0074】
以上、本実施の形態について例示をした。しかし、これらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、フラットパネルディスプレイ1、塗布装置100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本実施の形態に係るフラットパネルディスプレイの要部を例示するための模式図である。
【図2】比較例に係るフラットパネルディスプレイの要部を例示するための模式図である。
【図3】フリットを用いた封止を例示するための模式図である。
【図4】溶融接合前の隙間を例示するための模式グラフ図である。
【図5】図4に示す隙間がガラス基板の変形により変化する様子を例示するための模式グラフ図である。
【図6】隙間が大きい状態で封止が行われた場合を例示するための模式図である。
【図7】隙間が小さい状態で封止が行われた場合を例示するための模式図である。
【図8】接合部分における剥離を例示するための模式図である。
【図9】高さ寸法に変化を持たせる場合を例示するための模式斜視図である。
【図10】他の実施の形態に係る突出部を例示するための模式図である。
【図11】他の実施の形態に係る突出部を例示するための模式図である。
【図12】本実施の形態に係る塗布装置について例示をするための模式斜視図である。
【図13】フリットペーストの塗布の状態を例示するための模式図である。
【符号の説明】
【0076】
1 フラットパネルディスプレイ、2 封止部、3 素子領域、4 突出部、4a 突出部、14a 突出部、14b 突出部、52a 幅寸法Wの大きい部分、52b 幅寸法Wの小さい部分、55 隙間、100 塗布装置、101 移動機構、102 吐出部、103 制御部、G1 ガラス基板、G2 ガラス基板、H1 高さ寸法、H2 高さ寸法、L1 長さ寸法、S1 開始点、W1 幅寸法、θ 角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子素子が設けられる素子領域を有する第1の基板と、
前記素子領域に対向して設けられる第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられ、フリットを含む封止体であって、前記素子領域を取り囲む封止部と、一端が前記封止部に連接し他端が外側に延出した突出部と、を有する封止体と、
を備えたことを特徴とするフラットパネルディスプレイ。
【請求項2】
前記突出部と、前記封止部と、を溶融させ凝固させることにより、前記素子領域が封止されてなることを特徴とする請求項1記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項3】
前記突出部の前記他端は、前記溶融の開始点であること、を特徴とする請求項2記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項4】
前記突出部は、略直線状であり、前記突出部と、前記封止部と、の間の角度は、5°以上、30°以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項5】
前記突出部の前記他端の側の高さ寸法は、前記一端の側の高さ寸法よりも大きいこと、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項6】
前記突出部の前記一端の側の高さ寸法は、前記封止部の高さ寸法と略同一であること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項7】
前記封止体は、複数の前記突出部を有すること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項8】
フリットペーストを塗布することで、第3の基板の主面にフリットパターンを形成する工程と、
前記フリットパターンを焼成する工程と、
前記焼成されたフリットパターンが形成された前記第3の基板の主面と対向させるようにして第4の基板を重ね合わせる工程と、
前記焼成されたフリットパターンに向けてレーザ光を照射することで封止を行う工程と、
を備え、
前記フリットパターンは、素子領域を取り囲む封止部と、一端が前記封止部に連接し他端が外側に延出した突出部と、を有することを特徴とするフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項9】
前記レーザ光の照射を、前記焼成により形成された前記突出部の前記他端の側から行うこと、を特徴とする請求項8記載のフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項10】
前記フリットパターンの形成を、ディスペンシング法により行うこと、を特徴とする請求項8または9に記載のフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項11】
基板を保持する保持部と、
前記保持部に対向して設けられ、フリットペーストを吐出する吐出部と、
前記保持部と、前記吐出部と、の相対的な位置を変化させる移動機構と、
前記吐出部と、前記移動機構と、を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記吐出部と前記移動機構とを制御することで、素子領域の周縁より外側に設けられる封止部の形状と、一端が前記封止部に連接し他端が外側に延出した突出部の形状と、を有するフリットパターンを前記基板の主面に形成させること、を特徴とする塗布装置。
【請求項1】
電子素子が設けられる素子領域を有する第1の基板と、
前記素子領域に対向して設けられる第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられ、フリットを含む封止体であって、前記素子領域を取り囲む封止部と、一端が前記封止部に連接し他端が外側に延出した突出部と、を有する封止体と、
を備えたことを特徴とするフラットパネルディスプレイ。
【請求項2】
前記突出部と、前記封止部と、を溶融させ凝固させることにより、前記素子領域が封止されてなることを特徴とする請求項1記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項3】
前記突出部の前記他端は、前記溶融の開始点であること、を特徴とする請求項2記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項4】
前記突出部は、略直線状であり、前記突出部と、前記封止部と、の間の角度は、5°以上、30°以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項5】
前記突出部の前記他端の側の高さ寸法は、前記一端の側の高さ寸法よりも大きいこと、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項6】
前記突出部の前記一端の側の高さ寸法は、前記封止部の高さ寸法と略同一であること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項7】
前記封止体は、複数の前記突出部を有すること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項8】
フリットペーストを塗布することで、第3の基板の主面にフリットパターンを形成する工程と、
前記フリットパターンを焼成する工程と、
前記焼成されたフリットパターンが形成された前記第3の基板の主面と対向させるようにして第4の基板を重ね合わせる工程と、
前記焼成されたフリットパターンに向けてレーザ光を照射することで封止を行う工程と、
を備え、
前記フリットパターンは、素子領域を取り囲む封止部と、一端が前記封止部に連接し他端が外側に延出した突出部と、を有することを特徴とするフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項9】
前記レーザ光の照射を、前記焼成により形成された前記突出部の前記他端の側から行うこと、を特徴とする請求項8記載のフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項10】
前記フリットパターンの形成を、ディスペンシング法により行うこと、を特徴とする請求項8または9に記載のフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項11】
基板を保持する保持部と、
前記保持部に対向して設けられ、フリットペーストを吐出する吐出部と、
前記保持部と、前記吐出部と、の相対的な位置を変化させる移動機構と、
前記吐出部と、前記移動機構と、を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記吐出部と前記移動機構とを制御することで、素子領域の周縁より外側に設けられる封止部の形状と、一端が前記封止部に連接し他端が外側に延出した突出部の形状と、を有するフリットパターンを前記基板の主面に形成させること、を特徴とする塗布装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−32616(P2010−32616A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192111(P2008−192111)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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