説明

フランシス型水車ランナおよびその製造方法

【課題】作業員のより一層の労力の軽減化と接合強度の十分な確保を求めてランナの構造に改善を加えたフランシス型水車ランナを提供する。
【解決手段】本発明に係るフランシス型水車ランナは、主軸29に接続する環状のクラウン27と、このクラウン27に対峙し、前記主軸29と同軸に配置して流路39を形成するバンド28と、前記流路39に列状に配置するランナ羽根26と、列状に配置した前記ランナ羽根26の高さ方向中間位置に設けられ、前記ランナ羽根26を上側ランナ羽根26aと下側ランナ羽根26bとに区分ける整流羽根31と、この整流羽根31を境に前記上側ランナ羽根26aと前記下側ランナ羽根26bとを円周方向にずらして配置する構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランシス型水車ランナに係り、特に、一方のランナ羽根と隣接する他方のランナ羽根との間に形成される流路内に改良を加えたフランシス型水車ランナおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自然エネルギの一つである水を利用して効率の高い発電運転を行うフランシス型水車ランナは、図7に示す構成のものが実施されている。
【0003】
このフランシス型水車ランナは、渦巻状のケーシング1から供給される動力水(以下、主流と記す)の流れに沿って順に、ステーベーン2、ガイドベーン3、ランナ4、吸出し管5のそれぞれを備えるとともに、ランナ4のランナ羽根6の高さ方向の頂部側と根元側との両端部を環状のクラウン7とバンド8で支持させ、支持させたクラウンに主軸(回転軸)9を介装して発電機10を接続させ、発電運転時、ケーシング1から供給される主流をガイドベーン3で流量制御し、流量制御後の主流によりランナ4のランナ羽根6を回転させ、この回転力で主軸9を介して発電機10を駆動している。
【0004】
ランナ4のランナ羽根6を出た主流は、矢印ARに向って吸出し管5に流れ、ここで圧力を回復させて下池(図示せず)に排出される。
【0005】
また、ポンプ運転時(揚水運転時)、フランシス型水車ランナは、下池に貯溜させていた主流を吸出し管5、ランナ4、ランナ羽根6、ガイドベーン3、ステーベーン2、渦巻状のケーシング1を介して上池(図示せず)に供給している。
【0006】
その際、発電機10は、電動機として機能させ、主軸9を発電運転のときと逆方向に回転させている。
【0007】
また、フランシス型水車ランナは、発電運転時、負荷(出力)の需要増減に応じてガイドベーン3を開閉制御させ、主流の流量コントロールを行っているが、設計運転(発電効率が最高となる最高効率運転)、流量「小」運転(部分負荷運転等)、流量「大」運転(発電最高効率を超えた流量運転等)のそれぞれの運転のとき、図8〜図10で示すように、主流の流れが著しく変化してくる。
【0008】
ここに、図8は、設計運転時、子午面かに見たときの主流の挙動を示すフランシス型水車の概念図であり、図9は、流量「小」運転時、子午面から見た主流の挙動を示すフランシス型水車の概念図であり、図10は、流量「大」運転時、子午面から見た主流の挙動を示すフランシス型水車の概念図である。なお、子午面とは、主軸(回転軸)を通る平面である。
【0009】
理論上、ランナ4のランナ羽根6を通る主流の流れは、ランナコーン11側に向う主流の動圧力FPと、ランナ4のランナ羽根6の回転に伴って発生する遠心力CFとの均衡によって力のバランスが維持されている。
【0010】
このため、設計運転(最高効率運転)では、図8に示すように、ランナコーン11の出口側に沿って僅かな死水領域DZができるものの、安定流が維持されているのに対し、流量「小」運転では、主流の流量が少ない関係上、主流の動圧力FPに較べて相対的に遠心力CFが大きくなっており、また、図9に示すように、クラウン7からランナコーン11の出口側に沿って大きな死水領域DZができ、水車効率の低下の一因になっている。
【0011】
また、流量「大」運転では、主流の流量が多い関係上、遠心力CFに較べて相対的に主流の動圧力FPが大きくなるので、図10に示すように、吸出し管5側に沿って死水領域DZができ、水車効率の低下の一因になっている。
【0012】
他方、水車効率の低下の要因は、死水領域DZの生成のみならず、二次流れによる場合にも影響を受けていた。
【0013】
図11は、ランナ4のランナ羽根6の頂部を支持するクラウン7とランナ羽根6の根元部を支持するバンド8とで形成する流路12を流れる主流の流線SLと交差する方向線A−Aに沿って主流の流れに基づく二次流れを模式化したものである。
【0014】
この二次流れは、図12に示すように、一方のランナ羽根6aの正圧面13と隣接する他方のランナ羽根6bの負圧面14とで形成する流路12内において、クラウン7側およびバンド8側のそれぞれに主流の流線SLに対し交差する交差流れ線CLとして誘起している。
【0015】
このような交差流れ線CLが誘起するのは、一方のランナ羽根6aの正圧面13と隣接する他方のランナ羽根6bの負圧面14との間に圧力差(圧力勾配)が生起していることに基づいている。この交差流れ線CLは、主流の流線SLを乱すとともに、クラウン7およびバンド8のそれぞれに発達する境界層を剥離させ水車効率低下の要因になっている。
【0016】
水車効率を低下させる要因となる二次流れを抑制する技術には、例えば、特許文献1、特許文献2等数多く提案されている。
【特許文献1】特開昭51−126566号公報
【特許文献2】特開平8−296544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
特許文献1に開示された二次流れを抑制する技術は、図13および図14に示すように、主流の流線SLに沿い、かつ一方のランナ羽根6aと隣接する他方のランナ羽根6bとの流路12の入口からクラウンおよびバンドのそれぞれの主軸を通る半径方向長さよりも短い整流羽根15を設けたものである。
【0018】
しかし、この整流羽根15は、ランナ羽根6a,6bとクラウン7およびバンド8で画成された流路12に設けるため、作業場所に余裕がなく、作業員の労力により多くの負担が加わっていた。
【0019】
また、作業場所に余裕がないため、ランナ羽根6a,6bに整流羽根15を溶接接続させる際、接合強度を十分に確保させることが難しく、長年の使用の結果、事故発生の要因になっていた。
【0020】
また、特許文献2も、特許文献1のものと同様に、ランナ羽根6a,6b間に整流羽根15を設けたものであり、特許文献1のものと同様に、取付作業の改善、接合強度の十分なる確保等が求められていた。
【0021】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、作業員のより一層の労力の負担を軽減化させるとともに、接合強度の十分な確保を求めてランナの構造に改善を加えたフランシス型水車ランナおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明に係るフランシス型水車ランナは、上述の目的を達成するために、請求項1に記載したように、回転軸に接続される環状のクラウンと、このクラウンに対峙し、前記回転軸と同軸に配置される環状のバンドと、これらクラウンおよびバンド間に形成された流路に対して周方向に列状に配置された複数枚のランナ羽根と、前記クラウンおよび前記バンドに対してほぼ平行に配置された整流羽根とからなるフランシス水車型ランナにおいて、前記ランナ羽根は、当該ランナ羽根の高さ方向の中間位置で前記整流羽根によって上側ランナ羽根と下側ランナ羽根とに分割されるとともに、当該分割された上側ランナ羽根と下側ランナ羽根との相対位置が周方向にずれていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係るフランシス型水車ランナは、上述の目的を達成するために、請求項8に記載したように、回転軸に接続される環状のクラウンと、このクラウンに対峙し、前記回転軸と同軸に配置される環状のバンドと、これらクラウンおよびバンド側に形成された流路に対して周方向に列状に配置された複数枚のランナ羽根と、前記クラウンおよび前記バンドに対してほぼ平行に配置された整流羽根とからなるフランシス水車型ランナにおいて、前記ランナ羽根と整流羽根とを十字状に一体構造にして周方向に列状に配置し、前記ランナ羽根の高さ方向頂部側端部と根元側端部とをそれぞれ前記クラウンおよび前記バンドに固定するとともに、隣接する前記整流羽根の端部相互間を当接させる構成としたものである。
【0024】
また、本発明に係るフランシス型水車ランナの製造方法は、上述の目的を達成するために、請求項10に記載したように、クラウンと当該クラウンからランナ羽根の高さ方向の中間部までの部分である上側ランナ羽根とを一体に作製し、バンドと当該バンドからランナ羽根の高さ方向の中間部までの部分である下側ランナ羽根とを一体に作製し、次に、前記上側ランナ羽根と、前記下側ランナ羽根とが周方向に1/2ピッチずれるように前記クラウンおよび前記バンドを保持した状態で、前記上側ランナ羽根と下側ランナ羽根との分割面間に整流羽根を配置し、しかる後に、整流羽根を上側ランナ羽根と下側ランナ羽根に固定する方法である。
【0025】
また、本発明に係るフランシス型水車ランナの製造方法は、上述の目的を達成するために、請求項11に記載したように、クラウンおよびバンドとを別々に作製し、高さ方向に頂部および根元部を有するランナ羽根と、当該ランナ羽根の圧力面側および負圧面側からそれぞれ横方向に延びる整流羽根とを十字状にして一体的に作製し、前記ランナ羽根の高さ方向頂部側、根元部側とをそれぞれ前記クラウンおよびバンドに固定し、前記整流羽根の横方向に延びる端部相互を当接させる方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るフランシス型水車ランナおよびその製造方法は、クラウンとバンドとで形成された流路に列状に配置するランナ羽根を、上側ランナ羽根と下側ランナ羽根とに区分けする整流羽根を設け、区分けされた上側ランナ羽根と下側ランナ羽根とを円周方向にずらして配置し、作業場所の空間をより広く確保させたので、狭い場所であっても区分けした上側ランナ羽根と下側ランナ羽根を指定した位置に正確に取り付けることができる。その際、作業場所空間をより広く確保させたので、作業員の労力負担をより一層軽減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係るフランシス型水車ランナおよびその製造方法の実施形態を、図面および図面に付した符号を引用して説明する。
【0028】
図1は、本発明に係るフランシス型水車ランナの第1実施形態を示す概念図である。
【0029】
本実施形態に係るフランシス型水車ランナは、渦巻状のケーシング21から供給される動力水(以下、主流と記す)の流れに沿って順に、ステーベーン22、ガイドベーン23、ランナ24、吸出し管25のそれぞれを備えるとともに、ランナ24のランナ羽根26の高さ方向の頂部側と根元側との両端部を環状のクラウン27とこれに対峙するバンド28とで支持させて流路39を形成する一方、支持させたクラウン27に主軸(回転軸)29を介装して発電機(図示せず)を接続させ、発電運転時、ケーシング21から供給される主流をガイドベーン23で流量制御し、流量制御後の主流によりランナ24のランナ羽根26を回転させ、この回転力で主軸29を介して発電機を駆動している。
【0030】
また、ポンプ運転時(揚水運転時)、フランシス型水車ランナは、発電運転時、吸出し管25から排出され、下池(図示せず)に貯溜させていた主流を吸出し管25、ランナ24のランナ羽根26、ガイドベーン23、ステーベーン22、渦巻状のケーシング21を介して上池(図示せず)に供給し、発電運転に備えている。
【0031】
一方、ランナ24のランナ羽根26は、バンド28からクラウン27に向かう高さ方向の中間位置において図2で示すように上側ランナ羽根26aと、下側ランナ羽根26bとに分割されている。そして分割された当該上側ランナ羽根26aと、下側ランナ羽根26bとは相対位置が周方向に1/2ピッチずれるように配置され、しかも当該上側ランナ羽根26aと,下側ランナ羽根26bの上下の分割面間に挟むように整流羽根31を配置している。
【0032】
この整流羽根31は、ランナ羽根26の入口から出口に向かって流れる流線SLに沿うように前記クラウン27およびバンド28に対してほぼ平行に設けられている。
【0033】
整流羽根31は、ボルト等の締結具32によって上側ランナ羽根26a、下側ランナ羽根26bに対して固定されている。この際、締結具32の頭部が流路内に突出しないように整流羽根31に締結具収容穴33があけてある。
【0034】
次に、このような構成を備えたフランシス水車型ランナの製造方法について説明する。
【0035】
まず、クラウン27と上側ランナ羽根26aとを精密鋳造等により一体に作製し、同様にして、バンド28と下側ランナ羽根26bとを精密鋳造等により一体に作製する。
【0036】
次に、上側ランナ羽根26aおよび下側ランナ羽根26bの分割面にボルト孔をあける。
【0037】
次に、上側ランナ羽根26aと、下側ランナ羽根26bとを周方向に1/2ピッチずらした状態で保持する。
【0038】
次に、締結具収容穴33を予め設けた整流羽根31を前記上側ランナ羽根26aと下側ランナ羽根26bとの分割面間に配置する。
【0039】
しかる後、締結具32を締結具収容穴33に挿入して、整流羽根31を上側ランナ羽根26aおよび下側ランナ羽根26bに固定する。
【0040】
これにより、フランシス水車型ランナが完成する。
【0041】
このように、本実施形態は、ランナ羽根26を整流羽根31で上側ランナ羽根26aと下側ランナ羽根26bとに区分けし、区分けした上側ランナ羽根26aと下側ランナ羽根26bとを円周方向にずらして配置するとともに、上側ランナ羽根26aおよび下側ランナ羽根26bを整流羽根31に対し、締結具32で接続させたので、円周方向にずらすことによる作業空間をより広く確保して作業員の労力負担をより一層軽減させるとともに、整流羽根31への上側ランナ羽根26aおよび下側ランナ羽根26bの着脱作業を容易に行わせて、接続強度を十分に確保することができる。
【0042】
なお、本実施形態は、上側ランナ羽根26aと下側ランナ羽根26bとを整流羽根31に取り付ける際、締結具32を用いたが、この例に限らず、例えば、図2に示すように、上側ランナ羽根26aおよび下側ランナ羽根26bを整流羽根31に取り付けるとき、溶接部34で溶接接続させてもよく、また、例えば、図4に示すように、整流羽根31に楔状溝35を設け、この楔状溝35に楔状に形成した端部の上側ランナ羽根26a、下側ランナ羽根26bのそれぞれを装着させ、溶接部34で溶接接続させてもよく、さらに、例えば、図5に示すように、整流羽根31に台形状溝36を設け、この台形状溝36に上側ランナ羽根26a、下側ランナ羽根26bを装着させ、溶接部34で溶接接続させてもよい。
【0043】
図6は、本発明に係るフランシス型水車ランナの第5実施形態を示す概念図である。
【0044】
本実施形態に係るフランシス型水車ランナは、ランナ羽根26として頂部側をクラウン27で支持させ、根元部側をバンド28で支持させる十字形状の整流羽根一体構造ランナ羽根37を備えたものである。
【0045】
この整流羽根一体構造ランナ羽根37は、ランナ羽根26に、その横断方向に向って延びる整流羽根31を精密鋳造等で一体として作製する一方、整流羽根31の両端を、いわゆる肩上がりの傾斜面38aに形成するとともに、隣りの相手側の整流羽根一体構造ランナ羽根37aの整流羽根31の端部を、いわゆる肩下がりの傾斜面38bに形成したものである。
【0046】
次に、本実施形態に係るフランシス型水車ランナの製造方法を説明する。
【0047】
本実施形態に係るフランシス型水車ランナの製造方法は、まず、縦断方向に延びるランナ羽根26と横断方向に延びる整流羽根31とを十字状にして精密鋳造等で一体形状に作製する。
【0048】
次に、精密鋳造等で作製した十字状に一体形状にしたランナ羽根26と整流羽根31とのうち、ランナ羽根26の頂部側および根元部側のそれぞれをクラウン27およびバンド28に固定後、整流羽根31の両端部は、傾斜面38,38aを形成するために機械加工が行われる。
【0049】
整流羽根31の両端部に傾斜面38a,38bが成形加工されると、本実施形態は、クラウン27とバンド28とで形成された流路39に揚重機等で搬送、挿通させ、相手側の整流羽根31の傾斜面に当接させる。
【0050】
このように、本実施形態は、精密鋳造等でランナ羽根26と整流羽根31とを十字状に一体製作した整流羽根一体構造ランナ羽根37を、クラウン27とバンド28との間に形成する流路39に設けるとともに、整流羽根31の両端を傾斜面38aにし、隣接する相手側の整流羽根一体構造ランナ羽根37aにおける整流羽根31の両端を傾斜面38bにし、接触面積をより多く確保させたので、ランナ羽根26と整流羽根31との一体構造の下、正確な位置に設置することができ、接続強度を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係るフランシス型水車ランナの第1実施形態を示す概念図。
【図2】図1のC−C矢視方向から見た正面図。
【図3】本発明に係るフランシス型水車ランナの第2実施形態を示す概念図。
【図4】本発明に係るフランシス型水車ランナの第3実施形態を示す概念図。
【図5】本発明に係るフランシス型水車ランナの第4実施形態を示す概念図。
【図6】本発明に係るフランシス型水車ランナの第5実施形態を示す概念図。
【図7】従来のフランシス型水車ランナを示す概念図。
【図8】設計運転時、主流の挙動を示すフランシス型水車ランナの概念図。
【図9】流量「小」運転時、主流の挙動を示すフランシス型水車ランナの概念図。
【図10】流量「大」運転時、主流の挙動を示すフランシス型水車ランナの概念図。
【図11】フランシス型水車ランナに発生する二次流れを模式的に表わして説明する図。
【図12】図11のA−A矢視方向から見た正面図。
【図13】ランナ羽根に整流羽根を設けた従来のフランシス型水車ランナの概念図。
【図14】図13のB−B矢視方向から見た正面図。
【符号の説明】
【0052】
1 ケーシング
2 ステーベーン
3 ガイドベーン
4 ランナ
5 吸出し管
6,6a,6b ランナ羽根
7 クラウン
8 バンド
9 主軸
10 発電機
11 ランナコーン
12 流路
13 正圧面
14 負圧面
15 整流羽根
21 ケーシング
22 ステーベーン
23 ガイドベーン
24 ランナ
25 吸出し管
26 ランナ羽根
26a 上側ランナ羽根
26b 下側ランナ羽根
27 クラウン
28 バンド
29 主軸
31 整流羽根
32 締結具
33 締結具収容穴
34 溶接部
35 楔状溝
36 台形状溝
37,37a 整流羽根一体構造ランナ羽根
38a,38b 傾斜面
39 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に接続される環状のクラウンと、このクラウンに対峙し、前記回転軸と同軸に配置される環状のバンドと、これらクラウンおよびバンド間に形成された流路に対して周方向に列状に配置された複数枚のランナ羽根と、前記クラウンおよび前記バンドに対してほぼ平行に配置された整流羽根とからなるフランシス水車型ランナにおいて、
前記ランナ羽根は、当該ランナ羽根の高さ方向の中間位置で前記整流羽根によって上側ランナ羽根と下側ランナ羽根とに分割されるとともに、当該分割された上側ランナ羽根と下側ランナ羽根との相対位置が周方向にずれていることを特徴とするフランシス型水車ランナ。
【請求項2】
円周方向にずらして配置する上側ランナ羽根および下側ランナ羽根は、整流羽根に対し、着脱自在に取り付ける締結具を備えたことを特徴とする請求項1記載のフランシス型水車ランナ。
【請求項3】
整流羽根は、締結具を収容する締結具収容穴を備えたことを特徴とする請求項2記載のフランシス型水車ランナ。
【請求項4】
円周方向にずらして配置する上側ランナ羽根および下側ランナ羽根は整流羽根に対し、溶接接続させる構成にしたことを特徴とする請求項1記載のフランシス型水車ランナ。
【請求項5】
円周方向にずらして配置する上側ランナ羽根および下側ランナ羽根を装着する整流羽根は、楔状溝を備え、この楔状溝に前記上側ランナ羽根および前記下側ランナ羽根を装着後、溶接接続させる構成にしたことを特徴とする請求項1記載のフランシス型水車ランナ。
【請求項6】
円周方向にずらして配置する上側ランナ羽根および下側ランナ羽根を装着する整流羽根は、台形状溝を備え、この台形状溝に前記上側ランナ羽根および前記下側ランナ羽根を装着後、溶接接続させる構成にしたことを特徴とする請求項1記載のフランシス型水車ランナ。
【請求項7】
円周方向にずらして配置する上側ランナ羽根と下側ランナ羽根とは、相対位置が周方向に1/2ピッチずらしていることを特徴とする請求項1〜6記載のフランシス型水車ランナ。
【請求項8】
回転軸に接続される環状のクラウンと、このクラウンに対峙し、前記回転軸と同軸に配置される環状のバンドと、これらクラウンおよびバンド側に形成された流路に対して周方向に列状に配置された複数枚のランナ羽根と、前記クラウンおよび前記ンドに対してほぼ平行に配置された整流羽根とからなるフランシス水車型ランナにおいて、
前記ランナ羽根と整流羽根とを十字状に一体構造にして周方向に列状に配置し、前記ランナ羽根の高さ方向頂部側端部と根元側端部とをそれぞれ前記クラウンおよび前記バンドに固定するとともに、隣接する前記整流羽根の端部相互間を当接させる構成としたことを特徴とするフランシス水車型ランナ。
【請求項9】
整流羽根とランナ羽根とで十字状に一体形成する整流羽根一体構造ランナ羽根は、前記整流羽根の端部を傾斜面に形成したことを特徴とする請求項7記載のフランシス型水車ランナ。
【請求項10】
クラウンと当該クラウンからランナ羽根の高さ方向の中間部までの部分である上側ランナ羽根とを一体に作製し、バンドと当該バンドからランナ羽根の高さ方向の中間部までの部分である下側ランナ羽根とを一体に作製し、
次に、前記上側ランナ羽根と、前記下側ランナ羽根とが周方向に1/2ピッチずれるように前記クラウンおよび前記バンドを保持した状態で、前記上側ランナ羽根と下側ランナ羽根との分割面間に整流羽根を配置し、
しかる後に、整流羽根を上側ランナ羽根と下側ランナ羽根に固定することを特徴とするフランシス水車型ランナの製造方法。
【請求項11】
クラウンおよびバンドとを別々に作製し、
高さ方向に頂部および根元部を有するランナ羽根と、当該ランナ羽根の圧力面側および負圧面側からそれぞれ横方向に延びる整流羽根とを十字状にして一体的に作製し、
前記ランナ羽根の高さ方向頂部側、根元部側とをそれぞれ前記クラウンおよびバンドに固定し、
前記整流羽根の横方向に延びる端部相互を当接させることを特徴とするフランシス水車型ランナの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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