説明

フランジ用アタッチメント、ガス漏れ検知システムおよびコンピュータプログラム

【目的】 配管のフランジからのガス漏れを、漏洩量が小さくても遠隔にて検知可能な技術を提供する。
【構成】 画像センサ(S)によるセンシングに基づいて配管のフランジ(F1,F2,・・)部分からのガス漏れを検知するためのフランジ用アタッチメントを提供する。そのフランジ用アタッチメントは、前記フランジ(F2)の外表面へ固定するためのアタッチメント固定部材(H3)と、そのアタッチメント固定部材(H3)から前記フランジ(F2)から離れる方向に立脚させた支持脚(H2)と、 その支持脚(H2)に支持されるとともに前記フランジ(F2)とに隙間(H4)を隔てて覆うカバー部材(H1)とを備え、 そのカバー部材(H1)は、そのカバー部材(H1)の外側空間と前記隙間(H4)との通気性を確保するとともに、その通気部には、通気によって動くように形成されたタフト(H5)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を運ぶ配管のフランジ部分に生ずる高温の漏れの箇所を発見するためのフランジ用アタッチメントおよびガス漏れ検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
流体配管のガス漏れには様々な原因がある。配管そのものが劣化するなどによって配管の裂け目などからガス漏れが生じる場合に比べてフランジ部からガス漏れが生じる場合のほうが、確率的には高い。フランジ部からのガス漏れの原因の一つとしては、配管のつなぎ目に用いられるガスケット(パッキン)の劣化や損傷などがある。
そして、ガス漏れに関係する技術としては、点検整備を確実に行うための技術、点検整備を合理化できる技術、ガス漏れが生じたらすぐに発見できるような技術などがある。
【0003】
さて、漏れたガスが水蒸気などの無色の気体である場合、目視が困難である。現場では、図7に示すような長い棒の先端に布きれをつけてその布きれが動くか否かといった検知方法が採用されることがある。
また、人間が容易には近づけない環境にある配管の場合もあり、そのような場合に対応可能であり、蒸気の漏洩の有無を遠隔監視が可能な技術として、特許文献1(蒸気漏洩の遠隔検出方法)に記載されたような技術がある。
【0004】
【特許文献1】特開昭64−26122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された技術は、漏洩しているガスの密度が小さいと、ガスからの赤外線の放射が弱く、赤外線カメラでは検出できない場合がある。
また、漏洩しているガスの温度が高くない場合には、赤外線カメラでは検出できない。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、配管のフランジからのガス漏れを、漏洩量が小さくても、あるいはガス温度が高くなくても遠隔にて検知可能な技術を提供することである。
ここで、請求項1から請求項3に記載の発明の目的は、配管のフランジからのガス漏れを、漏洩量が小さくても、あるいはガス温度が高くなくても遠隔にて検知可能なフランジ用アタッチメントを提供することにある。
また、請求項4から請求項6に記載の発明の目的は、配管のフランジからのガス漏れを、漏洩量が小さくても、あるいはガス温度が高くなくても遠隔にて検知可能なガス漏れ検知システムを提供することにある。
また、請求項7に記載の発明の目的は、配管のフランジからのガス漏れを、漏洩量が小さくても、あるいはガス温度が高くなくても遠隔にて検知可能なガス漏れ検知システムの制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図中の記号を括弧書きとして、各請求項による上記課題の解決手段を提示する。
(請求項1)
請求項1記載の発明は、画像センサ(S)によるセンシングに基づいて配管のフランジ(F1,F2,・・)部分からのガス漏れを検知するためのフランジ用アタッチメントに係る。
そのフランジ用アタッチメントは、前記フランジ(F2)の外表面へ固定するためのアタッチメント固定部材(H3)と、 そのアタッチメント固定部材(H3)から前記フランジ(F2)から離れる方向に立脚させた支持脚(H2)と、 その支持脚(H2)に支持されるとともに前記フランジ(F2)とに隙間(H4)を隔てて覆うカバー部材(H1)とを備え、 そのカバー部材(H1)は、そのカバー部材(H1)の外側空間と前記隙間(H4)との通気性を確保した通気部を備えるとともに、 その通気部には、通気によって動くように形成されたタフト(H5)を備えたことを特徴とする。
【0008】
(用語説明)
「通気部」は、カバー部材の全体に備えても良いし、カバー部材の一部に備えることとしても良い。
「タフト(H5)」とは、ガスの流れによって揺らめくことができる「軽くて長い毛状体」を言うものとする。たとえば、耐熱性に優れた紐状体などが好ましい。
【0009】
(作用)
本願発明において検知できるガスは、配管の周囲温度よりも高い温度で漏洩するガスでも,低い温度で漏洩するガスでも良い。
まず、配管の周囲温度よりも高い温度のガスがフランジ(F2)から漏れたとする。漏れたガスは、まずは隙間(H4)に溜まり、カバー部材(H1)の温度を上昇させる。カバー部材(H1)の外側空間と前記隙間(H4)との通気性が確保されているので、漏れたガスの量が多ければ、外側空間に逃げ出す。
漏れたガスによって、前記隙間(H4)のガスが押し出されて外側空間に逃げ出す際には、タフト(H5)が揺らめく。その揺らめく様子を目視し、あるいは画像センサで捉えることにより、ガス漏れがある旨およびその箇所を特定することができる。
【0010】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフランジ用アタッチメントを限定したものである。
すなわち、前記カバー部材(H1)は、網状の板部材を筒状に形成するとともに、フランジ(F2)に固定された場合における外側となる面を黒色とし、 前記タフト(H5)および前記カバー部材(H1)は、熱受容体として形成したことを特徴とする。
【0011】
漏れたガスの温度が高い場合に、赤外線カメラによってもガス漏れを検知可能とするためである。
「網状」としたのは、カバー部材(H1)の外側空間と前記隙間(H4)との通気性を確保する構造とするためである。耐熱性が必要なので、一般的にはステンレス綱、アルミニウム合金などで形成する。
「外側となる面を黒色とした」のは、光沢があると赤外線カメラが温度を誤認識する可能性があるためである。特に、カバー部材(H1)の素材が金属である場合、金属光沢を抑える必要がある。また、黒色であれば、赤外線カメラによって、赤外線を捉えやすいからである。黒色とするための処理は、ステンレス綱であればたとえば耐熱性黒色塗料を用いる。アルミニウム合金であれば、たとえば黒アルマイト処理を施す。
【0012】
(作用)
タフト(H5)および前記カバー部材(H1)は、熱受容体として形成したので、漏れたガスの温度が高い場合には、赤外線カメラで撮影することによってもガス漏れを検知できる。これによって、漏れたガスの温度が高い場合には、暗い場所に設置された配管でもガス漏れの検知が可能となる。
【0013】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2のいずれかに記載のフランジ用アタッチメントを限定したものであり、
前記アタッチメント固定部材(H3)は、耐熱性磁石としたことを特徴とする。
「耐熱性磁石」としたのは、フランジ(F2)が一般には鋼製であり、着脱が容易であるためである。また、フランジは、ガスの種類によっては高温となるので、耐熱性が要求されるためである。
【0014】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、画像センサを備えた画像センサシステムと、その画像センサでのセンシングを簡易化するためにフランジに固定されるフランジ用アタッチメントと、を備えたガス漏れ検知システムに係る。
フランジ用アタッチメントは、請求項1に記載したものであり、画像センサシステムは、前記画像センサによって前記タフトの動きをセンシング可能なものである。
【0015】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のガス漏れ検知システムを限定したものである。
すなわち、 前記画像センサシステムは、前記画像センサ(S)によるセンシングデータを入力する入力手段と、 その入力手段から入力されたセンシングデータによって前記タフト(H5)の動きを測定する測定手段と、 その測定手段による測定結果としてタフト(H5)が動いていることを検知した場合にはその旨を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
(用語説明)
ここで、「出力手段」とは、たとえば、ガス漏れをモニタ出力する場合にはそのモニタへの出力信号を発信する手段、スピーカなどでガス漏れ場所を検知した旨を音声出力する場合にはそのスピーカへの出力信号を発信する手段である。
「測定手段」は、予め動いていない状態の画像データを蓄積したデータベースを備えて、そのデータベース内の蓄積データとの比較によって、タフトが動いたか否かを判断することとしてもよい。
【0017】
(作用)
まず、前記画像センサ(S)によるセンシングデータを入力手段が入力し、入力されたセンシングデータにてタフト(H5)が動いているか否かを測定手段が測定し、 その測定手段による測定結果としてタフト(H5)が動いていることを検知した場合にはその旨を出力手段が出力する。
これにより、画像センサ(S)によるセンシングからガス漏れの検知、ガス漏れの出力までの一連の作業を自動化できる。
【0018】
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5のいずれかに記載のガス漏れ検知システムを限定したものである。
すなわち、 配管に複数のフランジ(F1,F2,F3,・・・)が存在し、各フランジ(F1,F2,F3,・・・)には、前記フランジ用アタッチメントを備え、 前記画像センサシステムは、各フランジ(F1,F2,F3,・・・)におけるフランジ用アタッチメントのカバー部材をセンシングする状態に設置するセンシング状態設置手段を備えるとともに、 前記出力手段は、前記測定手段によってセンシングデータの測定が終了した場合には、他のフランジに対するセンシング状態へ変更するように、前記のセンシング状態設置手段を制御する制御命令を出力することとしたガス漏れ検知システムである。
【0019】
(作用)
本請求項に係るガス漏れ検知システムによれば、配管に複数のフランジ(F1,F2,F3,・・・)が存在する場合であっても、画像センサ(S)によるセンシングからガス漏れをしているフランジの特定、その特定されたフランジ(F2)がガス漏れしている旨の出力までの一連の作業を自動化できる。
【0020】
(バリエーション)
前記の請求項4,請求項5,および請求項6に記載の発明について、請求項2または請求項3の内容を限定した発明を提供することは、当然可能である。
前記の請求項4,請求項5,および請求項6に記載のガス漏れ検知システムにおける前記カバー部材(H1)は、網状の板部材を筒状に形成するとともに、カバー部材(H1)およびタフト(H5)を耐熱性のある黒色とすることが可能である。また、前記アタッチメント固定部材を、耐熱性磁石としたガス漏れ検知システムとすることが可能である。
【0021】
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、画像のセンシングに基づいて配管の複数のフランジ部分からのガス漏れを検知するためのガス漏れ検知システムを制御する制御用のコンピュータプログラムに係る。
前記ガス漏れ検知システムは、画像センサを備えた画像センサシステムと、 その画像センサでのセンシングを簡易化するために各フランジに固定されるフランジ用アタッチメントと、を備える。
そのフランジ用アタッチメントは、前記フランジの外表面へ固定するためのアタッチメント固定部材と、 そのアタッチメント固定部材から前記フランジから離れる方向に立脚させた支持脚と、 その支持脚に支持されるとともに前記フランジとに隙間を隔てて覆うカバー部材とを備えて前記の全フランジに固定され、 前記カバー部材は、そのカバー部材の外側空間と前記隙間との通気性を確保した通気部を備えるとともに、 その通気部には、通気によって動くように形成されたタフトを備える。
前記ガス漏れ検知システムの制御用プログラムは、前記画像センサを一のフランジ用アタッチメントに対するセンシング状態へ設置するセンシング設置確認手順と、 前記画像センサにて当該フランジ用アタッチメントをセンシングさせるセンシング手順と、 そのセンシング手順にてセンシングされたセンシングデータを分析することによってセンシングデータ中にガス漏れが発生しているか否かを判断する判断手順と、 その判断手順にて当該センシングデータ中にガス漏れが発生していると判断した場合には、当該被写体にガス漏れが発生している旨を出力する出力手順と、をガス漏れ検知システムの制御装置に実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0022】
請求項7におけるフランジ用アタッチメントは、前記カバー部材(H1)を、網状の板部材を筒状に形成するとともに、カバー部材(H1)およびタフト(H5)を耐熱性のある黒色とすることが可能である。また、前記アタッチメント固定部材を、耐熱性磁石としたガス漏れ検知システムとすることが可能である。
【0023】
請求項7に係るコンピュータプログラムを、チップ化してガス漏れ検知システムの制御装置とすることもできる。
また、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体であり、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−R、MO(光磁気ディスク)、DVD−Rなどである。
【発明の効果】
【0024】
請求項1から請求項3に記載の発明によれば、漏洩量が小さくても、あるいはガス温度が高くなくても遠隔にて検知可能なフランジ用アタッチメントを提供することができた。
また、請求項4から請求項6に記載の発明によれば、漏洩量が小さくても、あるいはガス温度が高くなくても遠隔にて検知可能なガス漏れ検知システムを提供することができた。
また、請求項7に記載の発明によれば、漏洩量が小さくても、あるいはガス温度が高くなくても遠隔にて検知可能なガス漏れ検知システムの制御プログラムを提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本願発明の実施の形態について、図面を参照させながら説明する。
ここで使用する図面は、図1から図4である。図1は第一の実施形態を示す概念図であり、図2および図3は主要部の拡大図であり、図4はフローチャートである。
【0026】
(図1)
図1に示す第一の実施形態は、高温の流体を運ぶ配管およびそのつなぎ目である複数のフランジ(F1,F2,F3,・・・Fn)を示すとともに、そのフランジのいずれか(この図においてはF2)においてガス漏れ(たとえば高温の水蒸気)が発生した状態を示している。
【0027】
このガス漏れ検知システムは、画像センサ(S)と、その画像センサ(S)を一のフランジに対するセンシング状態へ設置するセンシング状態設置手段とを備える。
フランジは、F1,F2,F3,・・・Fnを図示しており、図中のF2およびFnにおいて、後に詳述するフランジ用アタッチメント(図中では、熱受容体H1)を装着している。F2およびFnにのみフランジ用アタッチメント(熱受容体H1)を装着しているとして図示しているのは、説明の都合であり、実際にはすべてのフランジにフランジ用アタッチメントを装着する。
【0028】
センシング状態設置手段は、被写体となるフランジ用アタッチメントが水平方向にある間隔にて配置されている場合、画像センサ(S)をある高さに設置するとともに、フランジの位置を捉えられる角度を予め記憶し、モータなどの駆動系を制御するようにしている。
また、画像センサ(S)にてセンシングした画像データは、図中の吹き出し内に示すように、以下のような処理を経る。すなわち、画像データ入力手段が画像データを測定手段に送り、測定手段は画像データにて赤外線の量を検出し、所定以上の赤外線量を検出した場合には出力手段にて、各種の出力を行う。具体的には、ガス漏れについて別途設けられたモニタへの出力信号を発信するとともに、ガス漏れ場所を検知した旨について別途設けられたスピーカに出力信号を発信する。
「測定手段」は、予めセンシングデータを蓄積したデータベースを備えて、そのデータベース内の蓄積データとの比較によって赤外線量を判断することとしている。これによって誤った判断を減らすことに寄与している。
【0029】
(図2および図3)
図2および図3には、図1中の熱受容体(H1)を含むフランジ用アタッチメントを示している。
熱受容体(H1)は、網板状のアルミニウム合金にて形成されており、メッシュは1ミリメートルピッチとしている。また、金属光沢を消すため、黒色のアルマイト処理を表面に施している。また、熱受容体(H1)には、多数のタフト(H5)を備えている。各タフト(H5)は、その一端が固定されており、図2[A]に示されるようになる。
前記の網板状の熱受容体(H1)を筒状に形成し、複数の支持脚(H2)を介して固定用磁石(H3)にてフランジ(F2)へ固定している。固定用磁石(H3)は、耐熱性を備えた材質にて形成している。
また、タフト(H5)は、漏れたガスの通気によって動くように形成された耐熱紐である。すなわち、タフト(H5)は、通気によって熱受容体(H1)に固定されていない部位が揺らめくことになる。
【0030】
支持脚(H2)の長さは、流体の種類や配管が配置されている周囲の環境などの条件によって異なるが、だいたい2〜4センチメートルが好ましい。本実施形態においては、3センチメートルとした。
支持脚(H2)の存在によって、フランジ(F2)と熱受容体(H1)との間には隙間(H4)が存在することとなる。この隙間(H4)は、前述の熱受容体(H1)におけるメッシュの大きさやピッチによって、漏洩するガスの検出能力が調整される。隙間(H4)が小さければ漏洩するガスの量が小さくても検出しやすいが、漏洩量が大きい場合には、フランジ用アタッチメントに対する負荷が大きくなり、破損などにつながるおそれがある。
熱受容体(H1)が網状に形成されているため、漏洩ガスの温度が周囲の温度よりも高い場合には、漏洩ガスによる熱が早く伝わる。ただし、伝わった熱は逃げにくいように、熱伝導率を小さくする工夫をすると、赤外線カメラを組み合わせる場合(あるいは画像センサを赤外線カメラとする場合)に好ましい。
【0031】
(図4)
図4は、ガス漏れ検知システムを自動化した場合のフローチャートを示す。
まず、画像センサ(S)が第一の被写体であるセンシング状態に適している状態にセットされる。そして、センシング方向の設定変更を介して、フランジ近傍をセンシングする。センシングデータは、前述したように測定手段によって分析され、赤外線の検出量やタフトの揺らめきなどからガス漏れがあると判断された場合には、その時のセンシング対象であったフランジからのガス漏れである旨を、必要な機器に対して出力する。具体的には、ガス漏れが確認された事実に関するデータの記録装置への出力、ガス漏れの警告手段への出力などである。
その一方、センシング対象となっているフランジがなくなるまで、センシングを繰り返す。以上によって、ガス漏れを可視化して検知するまでを自動化することとなる。
以上によって、現場に近づけないような場合や、ガスが無色であるたとえば水蒸気でも、ガス漏れ位置を特定することができる。
【0032】
なお、センシングを繰り返して行うので、センシングデータを予め平均化処理をするためのデータを蓄積しておき、それを用いるとノイズに強くなり、合理的である。
また、図4にて説明したフローチャートは、センシングデータにガス漏れが生じていると判断した場合にその旨を記録するとしているが、被写体を連続的にセンシングし、多数のセンシングデータをまとめて測定手段が判断することとしてもよい。
【0033】
本実施形態に係るフランジ用アタッチメントは、比較的安価であり、かつ後付が簡易に行えるので、配管設備における必要なすべてのフランジに装着したとしても、設備投資額を抑えることができる。また、その後のメンテナンス作業が効率化できるので、採算性に優れる。
【0034】
図5,6には、第二の実施形態を示す。
第一の実施形態との相違点は、フランジの下半分に相当するフランジ用アタッチメントを、耐熱網体(H1)ではなく、耐熱板(H6)としたことである。
これは、フランジの下半分からガスが漏洩し、その漏洩量が小さい場合に有効である。第一の実施形態における下半分のタフト(H5)は垂れ下がってしまうので、その動きが小さくなるために、ガスの漏洩を見逃すおそれがあるからであり、本実施形態では下半分から漏洩したガスは、上半分のタフト(H5)を揺らしながら漏れることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本願発明は、配管設備の製造業および配管設備の保守メンテナンス業、配管のガス漏れ検知システムのためのソフトウェア開発業などにおいて、利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第一の実施形態を示す概念図である。[A]が配管の端面図、[B]が配管の側面図である。
【図2】第一の実施形態における主要部を示す拡大図である。[A]が配管の端面図、[B]が展開図である。
【図3】第一の実施形態における主要部を示す拡大図である。
【図4】第一の実施形態による制御フローチャートである。
【図5】第二の実施形態における主要部を示す拡大図である。
【図6】第二の実施形態における主要部を示す拡大図である。
【図7】従来のガス漏れ検知の概念図である。
【符号の説明】
【0037】
F1,F2,F3,Fn フランジ
H1 熱受容体 H2 支持脚
H3 固定用磁石 H4 隙間
H5 タフト(耐熱紐) H6 耐熱板
S 画像センサ(赤外線カメラ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像センサによるセンシングに基づいて配管のフランジ部分からのガス漏れを検知するためのフランジ用アタッチメントであって、
前記フランジの外表面へ固定するためのアタッチメント固定部材と、
そのアタッチメント固定部材から前記フランジから離れる方向に立脚させた支持脚と、
その支持脚に支持されるとともに前記フランジとに隙間を隔てて覆うカバー部材と、を備え、
そのカバー部材は、そのカバー部材の外側空間と前記隙間との通気性を確保した通気部を備えるとともに、 その通気部には、通気によって動くように形成されたタフトを備えたことを特徴とするフランジ用アタッチメント。
【請求項2】
前記カバー部材は、網状の板部材を筒状に形成するとともに、フランジに固定された場合における外側となる面を黒色とし、
前記タフトおよび前記カバー部材は、熱受容体として形成したことを特徴とする請求項1に記載のフランジ用アタッチメント。
【請求項3】
前記アタッチメント固定部材は、耐熱性磁石としたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のフランジ用アタッチメント。
【請求項4】
画像のセンシングに基づいて配管のフランジ部分からのガス漏れを検知するためのガス漏れ検知システムであって、
フランジ部分をセンシング可能な画像センサを備えた画像センサシステムと、 その画像センサでのセンシングを簡易化するためにフランジに固定されるフランジ用アタッチメントと、を備え、
そのフランジ用アタッチメントは、前記フランジの外表面へ固定するためのアタッチメント固定部材と、 そのアタッチメント固定部材から前記フランジから離れる方向に立脚させた支持脚と、 その支持脚に支持されるとともに前記フランジとに隙間を隔てて覆うカバー部材とを備えて形成され、
そのカバー部材は、そのカバー部材の外側空間と前記隙間との通気性を確保した通気部を備えるとともに、 その通気部には、通気によって動くように形成されたタフトを備え、
前記画像センサシステムは、前記画像センサによって前記タフトの動きをセンシング可能であるようにしたことを特徴とするガス漏れ検知システム。
【請求項5】
前記画像センサシステムは、前記画像センサによるセンシングデータを入力する入力手段と、
その入力手段から入力されたセンシングデータによって前記タフトの動きを測定する測定手段と、
その測定手段による測定結果として当該タフトが動いていることを検知した場合にはその旨を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする請求項4に記載のガス漏れ検知システム。
【請求項6】
配管に複数のフランジが存在し、各フランジには、前記フランジ用アタッチメントを備え、
前記画像センサシステムは、各フランジにおけるフランジ用アタッチメントのカバー部材をセンシングする状態に設置するセンシング状態設置手段を備えるとともに、
前記出力手段は、前記測定手段によってセンシングデータの測定が終了した場合には、他のフランジに対するセンシング状態へ変更するように、前記のセンシング状態設置手段を制御する制御命令を出力することとした請求項4または請求項5のいずれかに記載のガス漏れ検知システム。
【請求項7】
画像のセンシングに基づいて配管の複数のフランジ部分からのガス漏れを検知するためのガス漏れ検知システムを制御する制御用のコンピュータプログラムであって、
前記ガス漏れ検知システムは、画像センサを備えた画像センサシステムと、 その画像センサでのセンシングを簡易化するために各フランジに固定されるフランジ用アタッチメントと、を備え、
そのフランジ用アタッチメントは、前記フランジの外表面へ固定するためのアタッチメント固定部材と、 そのアタッチメント固定部材から前記フランジから離れる方向に立脚させた支持脚と、 その支持脚に支持されるとともに前記フランジとに隙間を隔てて覆うカバー部材とを備えて前記の全フランジに固定され、 前記カバー部材は、そのカバー部材の外側空間と前記隙間との通気性を確保した通気部を備えるとともに、 その通気部には、通気によって動くように形成されたタフトを備え、
前記ガス漏れ検知システムの制御用プログラムは、前記画像センサを一のフランジ用アタッチメントに対するセンシング状態へ設置するセンシング設置確認手順と、 前記画像センサにて当該フランジ用アタッチメントをセンシングさせるセンシング手順と、 そのセンシング手順にてセンシングされたセンシングデータを分析することによってセンシングデータ中にガス漏れが発生しているか否かを判断する判断手順と、 その判断手順にて当該センシングデータ中にガス漏れが発生していると判断した場合には、当該被写体にガス漏れが発生している旨を出力する出力手順と、をガス漏れ検知システムの制御装置に実行させることとしたコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−192470(P2009−192470A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35794(P2008−35794)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】