説明

フルオロエラストマーを製造するためのフルオロポリマー

本発明は、1種類以上の気体のフッ素化オレフィンから誘導された繰り返し単位を含み、(a)過酸化物硬化反応に関与できるハロゲン、又は(b)ニトリル基を含む1種類以上の硬化部位を有するフルオロポリマーを提供し、前記フルオロポリマーは、次式: CF2=CF−CF(Z)−O−Rf(I)の1種類以上のフッ素化アリルエーテルから誘導された繰り返し単位を更に含み、式中、ZはF又はCF3を表し、Rfは、1つ以上の連結酸素原子を含有し得るフッ素化アルキル基を表す。フルオロポリマーをフルオロエラストマーに硬化させることができる。本発明は、このようにして、フルオロポリマーおよび硬化剤を含む硬化性フルオロエラストマー組成物も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロエラストマーを製造するのに好適なフルオロポリマーに関する。特に、本発明は、1種類以上の硬化部位を含み、フッ素化アリルエーテルから誘導される1種類以上の繰り返し単位を含む非晶質フルオロポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
「最新フルオロポリマー(Modern Fluoropolymers)」ジョン・シャイアーズ版、ウィリー・サイエンス、1997年(John Scheirs, Wiley Science 1997)に記載されているものなどのフルオロエラストマー、および、特にパーフルオロエラストマーは、高い使用温度に対して優れた保護を提供し、様々な化学試薬に対する耐性がある。フルオロエラストマーは、一般に、2つの主な部類、即ち、フッ化ビニリデン(VF2)をベースにするものと、VF2を含有せず、パーフルオロビニルエーテルおよびテトラフルオロエチレン(TFE)および/又はクロロトリフルオロエチレン(CTFE)をベースにするものとに分けられる。VF2をベースにするフルオロエラストマーは、例えば、米国特許第5,696,216号明細書、米国特許第5,639,838号明細書、米国特許第4,418,186号明細書、および、米国特許第4,619,983号明細書に開示されている。
【0003】
米国特許第6,294,627号明細書は、低いTgを有するフルオロエラストマーを製造するためにVF2とパーフルオロビニルエーテルのフルオロポリマーを開示している。特に低いTgを有するフルオロエラストマーは、一般に、高レベルのVF2、例えば、50〜80モル%を用いて得られる。残念ながら、フルオロエラストマーにVF2を使用すると、一般に、フルオロポリマーの耐薬品性および耐熱性が低下し、特に、このようなフルオロエラストマーは、例えば、燃料系の用途の場合のように、有機溶媒と接触すると膨潤する傾向がある。従って、非常に低いTgを達成することができるが、この利点には、他の物理的特性の低下が伴う。
【0004】
米国特許第5,891,965号明細書は、VF2とある一定の過フッ素化アリルエーテルのフルオロポリマーを開示している。このフルオロポリマーは、ビスフェノール硬化組成物を使用して硬化され、低Tgエラストマーが得られる。典型的には、コポリマー中に使用するVF2の量は50モル%以上である。従って、低Tgフルオロエラストマーには、前記に開示したのと同じ欠点がある。
【0005】
米国特許第4,349,650号明細書および特開2004/244504号公報は、また、フッ素化アリルエーテル繰り返し単位を含むフルオロポリマーを開示している。米国特許第4,349,650号明細書には、ニトリル官能化されたフッ素化アリルエーテルを使用してフルオロポリマーを製造することができ、ニトリル基を含む硬化反応によりそれをフルオロエラストマーに硬化できることが教示されている。しかし、このようなフルオロエラストマーの特性は開示されていない。
【0006】
バーニー(Barney)ら(ポリマーサイエンス誌A−1、8、1091〜1098頁(1970年)(J.Poly.Sci.A−1,8,1091−1098(1970)))は、クリトックス(商標)(Krytox)パーフルオロアルキルポリエーテル油を添加してTgを低下させることを記載している。しかし、これらの可塑剤は、時間が経つにつれ溶媒によって抽出される可能性がある。
【0007】
米国特許第4,513,128号明細書は、テトラフルオロエチレン、パーフルオロメチルビニルエーテル、および少なくとも3モル%のある一定の長鎖ビニルエーテルからなるパーフルオロターポリマーを記載している。長鎖ビニルエーテルは、Tgを著しく低下させるが、組み込みがかなり困難である。従って、重合を過ハロゲン化溶媒(例えば、R113)中で、又は、水系乳化重合でフッ素化アルコールの存在下で実施しなければならない。これらの系の欠点は:過ハロゲン化溶媒(例えば、R113)の使用が、環境問題のため致命的であることが多く、フッ素化アルコールの除去は、それらが膨潤剤の役割をするため非常に困難なことが多いということである。
【0008】
米国特許第4,766,190号明細書は、次式、CF2=CFO−−(CF2CFXO)m−−Rf(式中、XはF又はCF3であり、mは1〜50であり、Rfはパーフルオロアルキル基である)のテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、および、パーフルオロビニルエーテルの水系乳化重合を開示している。開示されているフルオロエラストマーは低いTgを有するが、その製造方法は最大28時間までの重合時間を必要とし(実施例1を参照)、その製造費用が高くなる。同様に、米国特許第5,891,974号明細書は、テトラフルオロエチレンとある一定のパーフルオロビニルエーテルの水系乳化重合を記載している。しかし、これらのフルオロエラストマーを製造するために開示されている重合プロセスは、ここでも30時間のオーダーである。
【0009】
ここで、フルオロエラストマーを製造するために他のフルオロポリマーを見出すことが望ましい。特に、費用効果的に製造し得るフルオロポリマーを見出すことが望ましい。望ましくは、フルオロポリマーは、それからフルオロエラストマー物品を製造する際に、容易であり、好都合に加工できる。このようなフルオロポリマーから製造されるフルオロエラストマーは、例えば、優れた耐薬品性および耐熱性、並びに、有機溶媒での膨潤が少ないこと又はないことを含む、良好な又は優れた機械的および物理的特性を有することが更に望ましい。望ましくは、フルオロポリマーは、低いTgを有するフルオロエラストマー、例えば、航空機のエンジンにおける燃料系の用途に必要とされ得るようなものの製造を可能にする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、1種類以上の気体のフッ素化オレフィンから誘導された繰り返し単位を含み、(a)過酸化物硬化反応に関与できるハロゲン、又は(b)ニトリル基を含む1種類以上の硬化部位を有するフルオロポリマーが提供され、前記フルオロポリマーは、更に、次式の1種類以上のフッ素化アリルエーテルから誘導された繰り返し単位を含み:
CF2=CF−CF(Z)−O−Rf (I)
式中、ZはF又はCF3を表し、Rfは、1つ以上の連結(catenary)酸素原子を含有し得るフッ素化アルキル基を表す。
【0011】
別の態様によれば、(i)前述のフルオロポリマーと(ii)硬化剤を含む硬化性フルオロエラストマー組成物が提供される。本発明は、また、硬化性フルオロエラストマー組成物の硬化時に得られるフルオロエラストマー物品にも関する。
【0012】
更に別の態様では、本発明は、前述のフルオロポリマーの製造方法を提供する。本方法は、1種類以上の気体のフッ素化オレフィンと、式(I)による1種類以上のフッ素化アリルエーテルの共重合を含む。
【0013】
フッ素化アリルエーテル繰り返し単位のレベルがかなり高くても、フルオロポリマーを容易に、且つ費用効果的に製造できることが分かった。特に、それから製造されるフルオロエラストマーの特性を損なうことなく、フルオロポリマーを高温で製造することができる。更に、例えば、−25℃以下の低いTgのフルオロエラストマーを容易に製造することができ、このようなフルオロエラストマーは、例えば、航空機のタービンのシーリングにおけるような低温特性を必要とする様々な用途に好適になることが分かった。更に、高レベルのVF2を必要とすることなく、又は、VF2を必要とすることさえなく、低Tgフルオロエラストマーを製造することができ、その結果、低Tgと、燃料を含む有機溶媒と接触したときの良好な耐膨潤性の有益な特性の組み合わせを有するフルオロエラストマーが得られ得る。更に、良好な又は優れた耐塩基性を有するフルオロエラストマーも製造し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明によるフルオロポリマーは、典型的には、非晶質フルオロポリマーである。即ち、フルオロポリマーは、典型的には、結晶性を有していないか、又は限界ぎりぎりの量の結晶性を有するに過ぎない。従って、非晶質フルオロポリマーは、一般に、融点を示さないか、又は、限界ぎりぎりの若しくはほとんど見えない融点を有するに過ぎない。フルオロポリマーは完全にフッ素化された骨格を有してもよいが、特定の実施形態では、部分的にフッ素化された骨格を有してもよい。典型的には、フルオロポリマーは、骨格中にフッ素を少なくとも40重量%、例えば、少なくとも50〜65重量%有する。本発明によるフルオロポリマーは、次の一般式のフッ素化アリルエーテルから誘導される繰り返し単位を含み:
CF2=CF−CF(Z)−O−Rf (I)
式中、ZはF又はCF3を表し、Rfは、1つ以上の連結(catenary)酸素原子(鎖内酸素原子)を含有し得るフッ素化アルキル基を表す。
【0015】
一実施形態では、式(I)のZはフッ素原子を表す。また、特定の実施形態では、Rf基は、例えば、次式のフッ素化された基などのフッ素化(ポリ)エーテル基であり:
−(CF2n−(OCF2m−ORa (II)
式中、nは1〜5の整数であり、mは0又は1〜10の整数であり、Raは炭素原子1〜7のパーフルオロアルキル基、又は炭素原子1〜7のアルキル基である。Ra基の例としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基およびパーフルオロプロピル基を含む、直鎖又は分岐鎖であってもよいパーフルオロアルキル基が挙げられる。Raは、更に、メチル又はエチルなどのアルキル基を表してもよい。上記式では、nは典型的には、1、2又は3であり、mは、例えば、0、1、2、3又は4である。
【0016】
本発明に従って使用されるフッ素化アリルエーテルの具体例としては、次のものが挙げられ:
CF2=CF−CF2−O−CF3
CF2=CF−CF2−O−C37
CF2=CF−CF2−O−CF2−(OCF2t−O−CF3
CF2=CF−CF2−O−CF2−CF2−(OCF2t−O−CF3
CF2=CF−CF2−O−(CF23−(OCF2t−O−CF3
CF2=CF−CF2−O−(CF23−(OCF2CF(CF3))t−O−CF3
CF2=CF−CF2−O−(CF23−(OCF2CF(CF3))t−O−C37
CF2=CF−CF2−O−CF2−CF2−(OCF2t−O−CH3
CF2=CF−CF2−O−(CF23−(OCF2t−O−CH3
式中、tは0、1、2、3、4又は5である。
【0017】
フルオロポリマーは、フッ素化アリルエーテルの混合物から誘導される繰り返し単位の混合物を含んでもよい。フルオロポリマー中のフッ素化アリルエーテルから誘導される繰り返し単位の量は、特に限定されず、例えば、フルオロエラストマーのTgなどのフルオロエラストマー中の所望の特性により様々であってよい。一般に、および、使用されるフッ素化アリルエーテルの種類に応じて、フッ素化アリルエーテルから誘導された繰り返し単位の量が2モル%もの低さであっても、フルオロエラストマーのTgに既に十分な影響を及ぼし得る。典型的には、式(I)によるフッ素化アリルエーテルから誘導される繰り返し単位の量は、2〜30モル%である。特定の実施形態によれば、その量は3〜25モル%であってもよく、更に別の実施形態によれば、その量は5〜20モル%であってもよい。通常、4〜15モル%の量で、様々な用途に満足な結果が得られる。使用されるアリルエーテルの量と使用されるコモノマーの性質に応じて、−10℃以下、例えば、−20℃以下のガラス転移温度を有するフルオロポリマーを得ることができる。特定の実施形態では、−25℃以下、又は、−35℃以下のTgを有するフルオロポリマーを得ることができる。
【0018】
本発明のフルオロポリマーは、過フッ素化されていても又は過フッ素化されていなくてもよい1種類以上の気体のフッ素化モノマーを更に含む。気体のフッ素化モノマーの例としては、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン(VF2)、および、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)などのパーフルオロアルキルビニルモノマーが挙げられる。フルオロポリマーは、更に、例えば、エチレンおよびプロピレンなどのオレフィンなどの非フッ素化コモノマーから誘導される繰り返し単位を含んでもよい。
【0019】
フルオロポリマーは、更に、1種類以上の硬化部位を有してもよい。好適な硬化部位としては、例えば、臭素又はヨウ素原子などの過酸化物硬化反応に関与できるハロゲンが挙げられる。他の硬化部位としてはニトリル基が挙げられる。硬化部位は、ポリマーの末端基に含有されてもよく、および/又は、ポリマー鎖に沿って分布していてもよい。一般に、フルオロポリマー中の硬化部位の量は、0.1〜5モル%、例えば、0.2〜3モル%である。
【0020】
本発明によるフルオロポリマーの特定の例には、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンのコポリマー、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンのコポリマー、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、およびヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、並びに、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびエチレン又はプロピレンのコポリマーがある。この段落に列挙したフルオロポリマーは、式(I)の1種類以上のフッ素アリルエーテルを更に含有し、1種類以上の硬化部位を更に含むことが理解される。
【0021】
本発明の特定の実施形態では、VF2を45モル%以下、例えば、30モル%以下、又は20モル%以下含有するフルオロポリマーを使用する。更に別の実施形態では、フルオロポリマーは、VF2を含有しないか、又はVF2を5モル%未満含有する。少量のVF2を有するフルオロポリマーを使用して、良好な耐塩基性を有し、有機溶媒および燃料に対する膨潤がほとんどないか、又は全くないフルオロエラストマーを製造することができる。
【0022】
溶液重合および懸濁重合を含む既知の重合法のいずれかでフルオロポリマーを得ることができる。フルオロポリマーは、一般に、既知の方式で実施できる水系乳化重合法により製造される。特定の実施形態では、重合にフッ素化アリルエーテルがプレエマルションとして提供される。即ち、フッ素化アリルエーテルは、重合の前に水中でフッ素化界面活性剤(例えば、後述のフッ素化界面活性剤)を使用して乳化される。次いで、このようにして得られたアリルエーテルのエマルションを、重合反応にフッ素化アリルエーテルを供給するのに使用する。或いは、例えば、EP1,160,258に記載されるように、アリルエーテルを予め乳化し、全体として投入することができる。水系乳化重合法に使用される反応容器は、典型的には、重合反応中の内部圧力に耐えることができる加圧可能な容器である。典型的には、反応容器は、反応器内容物の完全な混合を生じさせる攪拌機と熱交換系を具備する。どのような量のフルオロモノマーを反応容器に投入してもよい。モノマーはバッチ式に又は連続的若しくは半連続的に投入されてもよい。半連続的は、重合中、容器に複数のバッチのモノマーが投入されることを意味する。モノマーがケトルに添加される独自の速度は、時間に関する特定のモノマーの消費速度に依存する。好ましくは、モノマーの添加速度は、モノマーの消費速度、即ち、モノマーのポリマーへの転換速度に等しい。
【0023】
反応ケトルに水を投入するが、その量は重要ではない。水相に、一般に、フッ素化界面活性剤、典型的には、非テロゲン性(non−telogenic)フッ素化界面活性剤も添加される。また、フッ素化界面活性剤を添加せずに重合を実施してもよい。使用されるとき、フッ素化界面活性剤は、典型的には、0.01重量%〜1重量%の量で使用される。好適なフッ素化界面活性剤としては、水系乳化重合に通常使用される任意のフッ素化界面活性剤が挙げられる。特に好ましいフッ素化界面活性剤には、次の一般式に対応するものがあり:
Y−Rf−Z−M
式中、Yは水素、Cl又はFを表し;Rfは、炭素原子4〜10の直鎖又は分岐鎖の過フッ素化アルキレンを表し;ZはCOO-又はSO3-を表し;Mはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを表す。本発明に使用される最も好ましいフッ素化界面活性剤は、パーフルオロオクタン酸およびパーフルオロオクタンスルホン酸のアンモニウム塩である。フッ素化界面活性剤の混合物を使用することができる。
【0024】
重合に連鎖移動剤を使用し、フルオロポリマーの分子量を制御することができる。連鎖移動剤を、典型的には、重合の開始前に反応ケトルに投入する。有用な連鎖移動剤としては、エタンなどのC2〜C6炭化水素、アルコール、エーテル、脂肪族カルボン酸エステルおよびマロン酸エステルを含むエステル、ケトン、およびハロカーボンが挙げられる。特に有用な連鎖移動剤には、ジメチルエーテルおよびメチルt−ブチルエーテルなどのジアルキルエーテルがある。また、重合中、連続的又は半連続的に連鎖移動剤を更に添加してもよい。例えば、双峰分子量分布を有するフルオロポリマーは、好都合には、初期量の連鎖移動剤の存在下でフッ素化モノマーをまず重合させた後、重合の後の時点で更に連鎖移動剤を追加のモノマーと共に添加することによって調製される。
【0025】
重合は、通常、モノマーの初期投入後に、開始剤又は開始剤系を水相に添加することによって開始される。例えば、過酸化物をフリーラジカル開始剤として使用することができる。過酸化物開始剤の具体例としては、過酸化水素、ジアセチルパーオキサイド、ジプロピオニルパーオキサイド、ジブチリルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルアセチルパーオキサイド、ジグルタル酸パーオキサイド、およびジラウリルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド、並びに、更に水溶性過酸およびその水溶性塩、例えば、アンモニウム、ナトリウム、又はカリウム塩が挙げられる。過酸の例としては、過酢酸が挙げられる。過酸のエステルも同様に使用することができ、その例としては、tert−ブチルパーオキシアセテートおよびtert−ブチルパーオキシピバレートが挙げられる。使用できる別の部類の開始剤には、水溶性アゾ化合物がある。開始剤として使用するのに好適なレドックス系としては、例えば、ペルオキソ二硫酸塩と亜硫酸水素塩又は二亜硫酸塩の組み合わせ、チオ硫酸塩とペルオキソ二硫酸塩の組み合わせ、又はペルオキソ二硫酸塩とヒドラジンの組み合わせが挙げられる。使用できる他の開始剤には、過硫酸、過マンガン酸又はマンガン酸のアンモニウム塩、アルカリ金属塩、又はアルカリ土類金属塩、又はマンガン酸類がある。使用される開始剤の量は、典型的には、重合混合物の総重量を基準にして0.03〜2重量%、好ましくは0.05重量%〜1重量%である。重合の開始時に開始剤の全量を添加してもよく、又は、70〜80%の転換まで、開始剤を重合中に連続的に重合に添加することができる。開始剤の一部を開始時に添加し、残りを重合中に1回で又は複数回に分けて添加することもできる。好ましくは、例えば、鉄、銅、および銀の水溶性塩などの促進剤も添加してよい。
【0026】
重合反応の開始中、シールされた反応器ケトルおよびその内容物は、好都合には、反応温度まで予備加熱される。重合温度は20℃〜150℃、好ましくは30℃〜110℃、最も好ましくは40℃〜100℃である。重合圧力は、典型的には、4〜30バール、特に8〜20バールである。水系乳化重合系は、緩衝剤および錯生成剤などの助剤を更に含んでもよい。同一の重合条件であるが、フッ素化アリルエーテルの代わりにフッ素化ビニルエーテルを使用する重合と比較して、例えば、−COOH又は−COFなどの極性末端基の生成がより少なくなるように、フッ素化アリルエーテルを高温(>70℃)で有利に共重合できることが分かった。このような基はフルオロポリマーの加工性に悪影響を及ぼすため、多量の極性末端基の存在は一般に望ましくない。
【0027】
重合の終了時に得ることができるポリマー固体の量は、典型的には、10重量%〜45重量%、好ましくは20重量%〜40重量%であり、得られるフルオロポリマーの平均粒度は、典型的には、50nm〜500nmである。
【0028】
非晶質フルオロポリマーは、硬化部位成分を含む。非晶質フルオロポリマーに硬化部位成分を導入するため、特定の硬化部位を含むモノマーを使用してもよく、又は、硬化部位をポリマー鎖の末端に導入できる連鎖移動剤若しくは開始剤を使用することにより重合を実施してもよい。
【0029】
例えば、過酸化物硬化反応に関与できるハロゲンを鎖に沿って導入するため、好適なフッ素化硬化部位モノマーを用いてフルオロポリマーのベースモノマーの共重合を実施してもよい。一実施形態では、硬化部位モノマーは、次式に対応するエチレン性不飽和モノマーとすることができる:
CX2=CX−Rf−Z
式中、各Xは独立にH、F又はClを表し、Rfは1つ以上の酸素原子を含有し得る過フッ素化脂肪族基を表し、Zは過フッ素化脂肪族基の末端位置にあっても、又は過フッ素化脂肪族基に沿った炭素原子上にあってもよいBr又はIを表す。
【0030】
コモノマーの他の例は、例えば、以下から選択することができる:
(a)次式を有するブロモ−又はヨード−(パー)フルオロアルキル−パーフルオロビニルエーテル:
Z−Rf−O−CY1=CY23
(式中、Y1、Y2およびY3はF又はHであり、ZはBr又はIであり、Rfは任意に塩素および/又はエーテル酸素原子を含有する(パー)フルオロアルキレンC1〜C12である);例えば、BrCF2−O−CF=CF2、BrCF2CF2−O−CF=CF2、BrCF2CF2CF2−O−CF=CF2、およびCF3CFBrCF2−O−CF=CF2等;
(b)次式を有するものなどのブロモ−又はヨード−(パー)フルオロオレフィン:
Z’−R’f−CF=CF2
(式中、Z’はBr又はIであり、R’fは、任意に塩素原子を含有する(パー)フルオロアルキレンC1〜C12である);例えば、4−ブロモパーフルオロブテン−1、又は4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1;
(c)ブロモトリフルオロエチレン(BTFE)などのオレフィン二重結合にBr又はI原子を有する(過)フッ素化オレフィン;
(d)4−ブロモ−1−ブテンなどの非フッ素化ブロモオレフィン。
【0031】
硬化部位コモノマーの代わりに、又はそれに加えて、フルオロポリマーは、米国特許第4,501,869号明細書に記載されるようなポリマー調製中に反応媒体中に導入される好適な連鎖移動剤から誘導している、又は好適な開始剤から誘導された硬化部位成分を末端位置に含有することができる。有用な開始剤の例としては、n=1〜10のX(CF2nSO2Na(式中、XはBr又はIである)又は過硫酸アンモニウムおよび臭化カリウムを含む開始剤組成物が挙げられる。
【0032】
連鎖移動剤の例としては、式RfBrx、Rfx、又はRfI/Brxを有するものが挙げられ、式中、Rfはx価の(パー)フルオロアルキル基C1〜C12(任意に塩素原子を含有する)であり、xは1又は2である。例としては、CF2Br2、Br(CF22Br、Br(CF24Br、CF2ClBr、およびCF3CFBrCF2Br等が挙げられる。好適な連鎖移動剤の他の例は、米国特許第4,000,356号明細書に開示されている。
【0033】
代替として、又は追加で、フルオロポリマーは、ニトリル基を有する硬化部位成分を含んでもよい。このようなニトリル含有硬化部位成分を導入するため、重合プロセスにニトリル基を含有する硬化部位モノマーを使用してもよい。一実施形態で、有用なニトリル含有硬化部位モノマーとしては、下記に示すようなニトリル含有フッ素化オレフィンおよびニトリル含有フッ素化ビニルエーテルが挙げられ:
CF2=CF−CF2−O−Rf−CN
CF2=CFO(CF2L−CN
CF2=CFO[CF2CF(CF3)O]g(CF2O)vCF(CF3)CN
CF2=CF[OCF2CF(CF3)]kO(CF2uCN
ここで、前記式を参照して:L=2〜12、g=0〜4、k=1〜2、v=0〜6、およびu=1〜4であり、Rfはパーフルオロアルキレン又は2価のパーフルオロエーテル基である。このようなモノマーの代表例としては、パーフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン)、CF2=CFO(CF25CN、およびCF2=CFO(CF23OCF(CF3)CNが挙げられる。
【0034】
また、ニトリル基含有塩又は擬ハロゲンの存在下で重合を開始することによって、ニトリル基をフルオロポリマーの末端に導入してもよい。好適なニトリル基含有塩としては、塩のアニオン中にニトリル基を有するもの、特に、次式に対応するものが挙げられ:
M−(Xa−CN)n
式中、Mは金属カチオン又はアンモニウムを含む1価又は多価のカチオンを表し、XはO、S、Se又はNであり、aは0又は1の値を有し、nはカチオンの原子価に対応する。好適なカチオンMとしては、有機(例えば、テトラアルキルアンモニウムカチオン)および無機カチオンが挙げられる。特に有用なカチオンは、アンモニウムや、ナトリウムおよびカリウムなどの1価のカチオン並びにカルシウムおよびマグネシウムなどの2価のカチオン含む金属カチオンである。カリウム塩の例としては、シアン化カリウム、シアン酸カリウム、およびチオシアン酸カリウムが挙げられる。XがO又はSの塩およびシアン化物が一般に好ましい。
【0035】
フルオロポリマーを硬化させるため、1種類以上の過酸化物を含む硬化組成物を使用することができる。好適な有機化酸化物は、硬化温度でフリーラジカルを生成するものである。50℃より高温で分解するジアルキルパーオキサイド又はビス(ジアルキルパーオキサイド)がとりわけ好ましい。多くの場合、パーオキシ酸素に結合した三級炭素原子を有するジ−t−ブチルパーオキサイドを使用することが好ましい。この種の最も有用な過酸化物には、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3、および2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサンがある。他の過酸化物は、ジクミルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、過安息香酸t−ブチル、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼン)、およびジ[1,3−ジメチル−3−(t−ブチルパーオキシ)−ブチル]カーボネートなどの化合物から選択することができる。一般に、フルオロポリマー100部当たり過酸化物を約1〜3部使用する。
【0036】
有機化酸化物をベースにする硬化組成物中に通常含まれる別の成分は、過酸化物と協働して有用な硬化を提供することができるポリ不飽和化合物で構成されている架橋助剤である。これらの架橋助剤を、フルオロポリマー100部当たり0.1〜10部、好ましくはフルオロポリマー100部当たり2〜5部の量で添加することができる。有用な架橋助剤の例としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、トリ(メチルアリル)イソシアヌレート、トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン、トリアリルホスファイト、N,N−ジアリルアクリルアミド、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N’,N’−テトラアルキルテトラフタルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリル−フタレート、およびトリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレートが挙げられる。特に有用なものはトリアリルイソシアヌレートである。他の有用な架橋助剤としては、EPA 0 661 304A1、EPA 0 784 064A1、およびEPA 0 769 521A1に開示されているビスオレフィンが挙げられる。
【0037】
更に、硬化部位成分がニトリルを含む場合、ニトリル成分を硬化させるのに好適な任意の硬化組成物も使用することができる。例えば、このようなニトリル硬化組成物は、1種類以上のアンモニア生成化合物を含んでもよい。「アンモニア生成化合物」は、周囲条件で固体又は液体であるが、硬化条件でアンモニアを生成する化合物を包含する。このような化合物としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン(ウロトロピン)、ジシアンジアミド、および、次式の金属含有化合物が挙げられ:
w+(NH3)νYw-
式中、Aw+はCu2+、Co2+、Co3+、Cu+、およびNi2+などの金属カチオンであり、wは金属カチオンの原子価に等しく、Yw-は対イオン、典型的には、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、又は酢酸イオン等であり、νは1〜約7の整数である。
【0038】
また、アンモニア生成化合物として有用なものは、次式のものなどの置換又は非置換トリアジン誘導体であり:
【化1】

式中、Rは水素、又は、炭素原子1〜約20の置換若しくは非置換アルキル、アリール、又はアラルキル基である。特定の有用なトリアジン誘導体としては、ヘキサヒドロ−1,3,5−s−トリアジンおよびアセトアルデヒドアンモニアトリマーが挙げられる。
【0039】
硬化性フルオロエラストマー組成物は、組成物中に組み込むことができるカーボンブラック、安定剤、可塑剤、潤滑剤、フィラー、および加工助剤などの他の添加剤を、それらが意図される使用条件に十分な安定性を有する限り、含有してもよい。フルオロポリマー、硬化組成物、および他の添加剤を慣用的なゴム加工装置中で混合することにより、組成物を調製してもよい。このような装置としては、ゴムロール機、密閉式混練機(バンバリーミキサなど)、および混合押出機が挙げられる。
【0040】
硬化性フルオロエラストマー組成物を使用し、硬化時にフルオロエラストマーを提供することができる。1つの特定の実施形態では、硬化性フルオロエラストマー組成物を押出し、硬化させてフルオロエラストマー物品、例えば、チューブを得ることができる。別の実施形態では、硬化性フルオロエラストマー組成物を射出成形に使用し、硬化させてガスケット又はO−リングなどの射出成形物品を提供してもよい。
【0041】
ここで、以下の実施例により本発明を更に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
【実施例】
【0042】
実施例1
予備投入のためのプレエマルションA:
MA−1フッ素化アリルエーテルモノマー(4,7,9,11,13,15−ヘキサオキサパーフルオロヘキサデセン−1、CF2=CF−CF2−O−CF2−CF2−O−CF2−O−CF2−O−CF2−O−CF2−O−CF3)169gを脱イオン水415g中でパーフルオロオクタン酸アンモニウム塩(APFOA)20gと共に乳化させた。乳化のために、ウルトラターラックス(Ultraturrax)スターラをまず1分間、24.000rpmのスターラ速度で使用した後、マイクロフルイダイザ(Microfluidizer)高剪断ホモジナイザ(homogenisator)中で3回処理した。このプレエマルションは懸濁した外観を有し、少なくとも12時間安定であった。
【0043】
供給のためのプレエマルションB:
MA−1モノマー720gおよびBFTB(1,1,2,2−テトラフルオロ−1−ブロモ−ブテン−3、CH2=CH−CF2−CF2Br)を脱イオン水593g中でパーフルオロオクタン酸アンモニウム塩(APFOA)10gと共に乳化させた。乳化のために、ウルトラターラックス(Ultraturrax)スターラをまず1分間、24.000rpmのスターラ速度で使用した後、マイクロフルイダイザ(Microfluidizer)高剪断ホモジナイザ中で3回処理した。
【0044】
インペラ式攪拌機システムを装備した全容積6.9リットルの重合ケトルに2140gの脱イオン水を投入し、80℃まで加熱した。攪拌システムを320rpmに設定し、次の3サイクルで容器を脱ガスし、その後、酸素が全て除去されたことを確実にするため、窒素を投入した。ケトルに、プレエマルションA、二フッ化ビニリデン(VF2)77g、およびテトラフルオロエチレン(TFE)41gを更に投入し、10.0バールの絶対反応圧力にした。次いで、5%APS溶液(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)22gで重合を開始した。反応開始時に、TFE(kg)/VF2(kg)の供給比0.52でTFEとVF2を気相中に供給することによって、10.0バールの絶対反応圧力を維持した。80℃の反応温度も維持した。MA−1プレエマルションB(kg)/VF2(kg)の供給比4.16でプレエマルションBをケトル中に投入した。430分後にVF2、320gの供給を完了したとき、モノマー弁を閉鎖した。ケトルを換気し、N2で3サイクル通気した。このようにして得られたポリマー分散体の固体含有量は27.3%であり、動的光散乱によるラテックス粒子径は177nmであった。
【0045】
ポリマー分散体をMgCl2水溶液に1滴ずつ添加することによって、ポリマー分散体を凝集させ、ろ過し、脱イオン水(60〜70℃)で4回洗浄した。ポリマーを130℃の空気循環オーブン中で一晩乾燥させた。ポリマーは認識できる溶融転移を示さず、−59℃のガラス転移温度(中間点の値)を示した。ポリマーのムーニー粘度(ML 1+10)は19であり、MFI(265/5)は83’であった。コポリマーは、20.4モル%のTFE、65.9モル%のVF2、13.2モル%のMA−1、および0.5モル%のBTFBを含有した。
【0046】
実施例2〜5
硬化部位モノマーとしてBTFBの代わりにブロモトリフルオロエチレン(BTFE)を使用することおよびモノマー組成を変えること以外、実施例1におけるのと同様に、実施例2〜5に記載される手順に従って重合を実施した;重合中、BTFEを予備投入物中に気体として供給した。プレエマルション、予備投入物、および重合供給物の組成、重合条件、および分析結果を表1に列記する。
【0047】
【表1】


MA−2:4,7,9,11,13−ペンタオキサパーフルオロテトラデセン−1
(CF2=CF−CF2−O−CF2−CF2−O−CF2−O−CF2−O−CF2−O−CF3
MA−3:4,7−ジオキサパーフルオロオクテン−1
(CF2=CF−CF2−O−CF2−CF2−O−CF3
t−BuOOH:t−ブチルハイドロパーオキシド
【0048】
実施例6+7
以下の実施例では、組成はゴム100部を基準にしている。硬化剤および他の添加剤をゴム100部当たりの部(phr)として列記する。別途記載しない限り、パーセンテージは重量%である。
【0049】
実施例6では、2本ロールミルおよび慣用的な技術を使用して、以下の硬化剤および添加剤:ゴムA100グラム、N−990カーボンブラック50グラム、ZnO5グラム、TAIC(98%)1.8グラム、DBPH−50を2.5グラム、ゴムA(実施例2)中に配合することによって本発明の硬化性組成物を製造した。得られる硬化組成物の硬化レオロジーを評価したが、その結果を表2に列記する。また、サンプルを177℃で10分間プレス加硫し、230℃で16時間二次加硫させた後の物理的特性試験の結果を表2に列記する。
【0050】
実施例7では、ゴムB(実施例3)を使用したこと以外、実施例6と同様に、本発明の硬化性組成物を製造し評価した。配合および他の試験結果も表2に列記する。
【0051】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類以上の気体のフッ素化オレフィンから誘導された繰り返し単位を含み、(a)過酸化物硬化反応に関与できるハロゲン、又は(b)ニトリル基を含む1種類以上の硬化部位を有するフルオロポリマーであって、次式
CF2=CF−CF(Z)−O−Rf (I)
(式中、ZはF又はCF3を表し、Rfは、1つ以上の連結酸素原子を含有し得るフッ素化アルキル基を表す。)の1種類以上のフッ素化アリルエーテルから誘導された繰り返し単位を更に含むフルオロポリマー。
【請求項2】
前記式中のZがFを表し、Rfが次式
−(CF2n−(OCF2m−ORa (II)
(式中、nは1〜5の整数であり、mは0又は1〜10の整数であり、Raは炭素原子1〜7のパーフルオロアルキル基、又は炭素原子1〜7のアルキル基である。)に対応する、請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項3】
前記フルオロポリマーが過フッ素化された骨格を有する、請求項1又は2に記載のフルオロポリマー。
【請求項4】
前記1種類以上のフッ素化アリルエーテルから誘導された繰り返し単位の量が、2〜30モル%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
【請求項5】
前記硬化部位の少なくとも一部が前記フルオロポリマーの末端基に含まれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
【請求項6】
前記フルオロポリマー中の硬化部位の量が0.1〜5モル%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
【請求項7】
前記気体のフッ素化オレフィンが、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
【請求項8】
前記フルオロポリマーが、非フッ素化オレフィンから誘導された繰り返し単位を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
【請求項9】
前記非フッ素化オレフィンがエチレンおよびプロピレンから選択される、請求項8に記載のフルオロポリマー。
【請求項10】
前記フルオロポリマーが、フッ化ビニリデンから誘導される繰り返し単位を45モル%以下の量で含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
【請求項11】
前記フルオロポリマーが、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンのコポリマー、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンのコポリマー、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマーからなる群から選択されるポリマーである、請求項1〜10のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
【請求項12】
前記フルオロポリマーが、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、およびヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、並びに、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびエチレン又はプロピレンのコポリマーからなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
【請求項13】
前記硬化部位の一部又は全部が、過酸化物硬化反応に関与できるハロゲン又はニトリル基を有する1種類以上のモノマーから誘導されている、請求項1〜12のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
【請求項14】
前記フルオロポリマーのガラス転移温度が−25℃未満である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
【請求項15】
(i)請求項1〜14のいずれか一項に記載のフルオロポリマー、および(ii)硬化剤を含む、硬化性フルオロエラストマー組成物。
【請求項16】
前記組成物が、2つ以上のエチレン性不飽和基を有する架橋助剤を更に含む、請求項15に記載の硬化性フルオロエラストマー組成物。
【請求項17】
前記1種類以上の気体のフッ素化オレフィンと前記フッ素化アリルエーテルの共重合を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載のフルオロポリマーの製造方法。
【請求項18】
前記共重合が、水系乳化重合である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記重合が40〜100℃の温度で実施される、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
請求項15又は16のいずれか一項に記載の硬化性フルオロエラストマー組成物を硬化させることを含む、フルオロエラストマー物品の製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法で得ることができるフルオロエラストマー物品。

【公表番号】特表2009−516005(P2009−516005A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548228(P2007−548228)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/041490
【国際公開番号】WO2006/068735
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】