説明

フルオロポリマーエマルション

A)成分(a)および(b):
(a)スチレン、アルキル置換スチレン、又はアルキル(メタ)アクリレート、約40〜約95%、および
(b)塩化ビニリデン、塩化ビニル、又はこれらの組み合わせ、約5〜約60%、
を含むコア組成物、並びに
B)成分(c)および(d):
(c)
(I)Rf1(CH2mZ−C(O)−C(R1)=CH2
(II)Rf2(CH2CF2q(CH2CH2rZ−C(O)−C(R1)=CH2又は
(III)Rf3O(CF2CF2q(CH2CH2rZ−C(O)−C(R1)=CH2
(式中、
1は水素、Cl、F又はCH3であり、
Zは−O−、−NH−又は−S−であり、
f1およびRf2はそれぞれC4又はC6パーフルオロアルキルであり、
f3は、任意に1〜3個のエーテル酸素によって中断されたC2〜C7パーフルオロアルキルである)
、約50〜約85%、および
(d)スチレン、アルキル置換スチレン、又はアルキル(メタ)アクリレート、約15〜約50%、
を含むシェル組成物、
を含む、コアシェルエマルションポリマーであって、
但し、i)コア組成物がポリマーの約20〜約75%を構成し;ii)Rf1又はRf2の炭素数が4であるとき、R1はCH3であり;iii)Rf3の炭素数が2又は3であるとき、R1はCH3である、エマルションポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テキスタイルに撥油性および撥水性を付与するのに有用なフッ素化コポリマーエマルションを含む組成物に関し、本コポリマーは、フッ素化アクリレートおよびアルキル(メタ)アクリレートを含むモノマーを2段階コアシェル乳化重合で重合させることによって誘導される。
【背景技術】
【0002】
様々な組成物が、基材に表面効果を付与する処理剤として有用であることが知られている。表面効果としては、水分、汚れおよび染みをはじく性質(repellency)などが挙げられ、これらは、繊維、布帛、テキスタイル、カーペット、紙、皮革、および他のこのような基材などの繊維基材に特に有用である。このような処理剤の多くはフッ素化ポリマー又はコポリマーである。
【0003】
繊維基材処理剤として有用なフッ素化ポリマー組成物は、一般に、組成物が繊維基材表面に塗布されるとき撥水撥油性を付与するペンダントのパーフルオロアルキル基を含有する。パーフルオロアルキル基は、一般に、様々な連結基によって、フッ素を含有しない重合性基に結合される。得られるモノマーを、その後、一般に、基材に追加の好ましい特性を付与する他のモノマーと共重合させる。改善された架橋、ラテックス安定性および直接性(substantivity)を付与するために、様々な特殊なモノマーを組み込んでもよい。各成分は、その望ましい特性の他に、幾つかの望ましくない可能性がある特性を付与し得るため、所望の用途に特定の組み合わせが使用される。これらのポリマーは、一般に、繊維基材に容易に塗付される水性エマルションとして市販されている。米国特許第6,479,605号明細書は、撥油性と撥水性を付与するために繊維基材を処理するのに有用なフッ素化コポリマーを開示している。
【0004】
典型的には、十分な性能を得るために比較的高レベルのフッ素化モノマーが必要である。例えば、米国特許第6,479,605号明細書は、有用な配合物中にフッ素化モノマーを約40〜約75重量%有する配合物を開示している。更に、有効なはじく性質を達成するために、市販の配合物中に典型的に使用されるモノマーは、長い過フッ素化アルキル基、通常は混合物を有し、過フッ素化アルキル基の大部分は炭素数が6より大きい。比較的少ないフッ素を含有するが、はじく性能を維持する繊維基材用処理剤を有することが望ましい。Leeらは、米国特許第6,790,898号明細書で、シェルが多くの過フッ素化基を含有し、コアが過フッ素化基をほとんど又は全く含有しないコアシェル構造を有するエマルション粒子を開示している。このコアシェル構造では、疎水性シェルは、空気−材料界面に高レベルの疎水性官能基を提供するように設計された。しかし、組成物は、ポリマーフィルムを提供するようにされ、繊維製品用の表面処理剤を提供するように設計されなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
繊維基材に良好〜優れた撥水撥油性を付与するのに有用で、洗濯サイクルでのこのようなはじく性質の耐久性が良好であるとともに、低レベルの、好ましくは50重量%未満のフッ素化モノマーを有するコアシェルエマルションが望ましい。更に、このようなコアシェルエマルションは短い過フッ素化アルキル基を有する、好ましくは炭素数が6より大きい過フッ素化アルキル基を有していないことが望ましい。本発明は、このようなコアシェルエマルションを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
A)水非含有および界面活性剤非含有を基準にして、成分(a)および(b):
(a)スチレン;アルキルが炭素数1〜約18の直鎖、環状又は分岐鎖炭化水素であるアルキル置換スチレン;および、アルキルが炭素数約6〜約18の直鎖、環状又は分岐鎖炭化水素であるアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1つ以上のモノマー、約40〜約95重量%、および
(b)塩化ビニリデン、塩化ビニル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマー、約5〜約60重量%、
を含む、第1の重合によって調製されたコア組成物、並びに
B)水非含有および界面活性剤非含有を基準にして、成分(c)および(d):
(c)式(I)、(II)又は(III):
(I)Rf1(CH2mZ−C(O)−C(R1)=CH2
(II)Rf2(CH2CF2q(CH2CH2rZ−C(O)−C(R1)=CH2
(III)Rf3O(CF2CF2q(CH2CH2rZ−C(O)−C(R1)=CH2
(式中、
mは1〜約6の整数であり、
qおよびrはそれぞれ独立して1〜約3の整数であり、
1は水素、Cl、F又はCH3であり、
Zは−O−、−NH−又は−S−であり、
f1は炭素数4又は6の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基であり、
f2は炭素数約4〜約6の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基であり、
f3は、任意に1個、2個又は3個のエーテル酸素原子によって中断された炭素数約2〜約7の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基である)
の1つ以上のフッ素化モノマー、約50〜約85重量%、および
(d)スチレン;アルキルが炭素数1〜18の直鎖、環状又は分岐鎖炭化水素であるアルキル置換スチレン;および、アルキルが炭素数6〜18の直鎖、環状又は分岐鎖炭化水素であるアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択されるモノマー、約15〜約50重量%、
を含む、コア組成物の存在下で第2の重合によって調製されたシェル組成物、
を含む撥水撥油性コアシェルエマルションポリマーを含み、
但し、i)コア組成物はポリマーの約20〜約75重量%を構成し、ii)Rf1又はRf2の炭素数が4であるとき、R1はCH3であり、iii)Rf3の炭素数が2又は3であるとき、R1はCH3である。
【0007】
本発明は、更に、基材の表面に前述のコアシェルエマルションポリマーを塗布する工程を含む、撥油性および撥水性を付与するための繊維基材の処理方法を含む。
【0008】
本発明は、更に、上記に開示したコアシェルエマルションポリマーが表面に塗布された繊維基材を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、商標は全て大文字で示される。
【0010】
「(メタ)アクリレート」の用語は、特に他の記載がない限り、メタクリル酸とアクリル酸のエステルを包含する。例えば、ヘキシル(メタ)アクリレートは、ヘキシルアクリレートとヘキシルメタクリレートの両方を包含する。
【0011】
本明細書に引用されている特許は全て、参照により本明細書に援用される。
【0012】
本明細書では、「(1種類以上の)フッ素化アクリレート」、「(1種類以上の)フッ素化チオアクリレート」および「(1種類以上の)フッ素化アクリルアミド」の用語は、特に他に定義されない限り、上記の式(I)、(II)および(III)(式中、R1は、H、Cl、FおよびCH3からなる群から選択される)の化合物を指す。
【0013】
本発明のコアシェルエマルションポリマーは、前述の成分(a)および(b)の第1の重合を行ってコア組成物を形成した後、コア組成物の存在下で前述の成分(c)および(d)の第2の重合を行ってシェル組成物を形成することによって調製される。
【0014】
本発明のコアシェルポリマー中、コア組成物は、水非含有および界面活性剤非含有を基準にして、スチレン;アルキルが炭素数1〜約18の直鎖、環状又は分岐鎖炭化水素であるアルキル置換スチレン;および、アルキルが炭素数約6〜約18の直鎖、環状又は分岐鎖炭化水素であるアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1つ以上のモノマーとして本明細書で定義される成分(a)を約40〜約95重量%含む。好ましくは、コアコポリマー組成物中の成分(a)の割合は、約55重量%〜約90重量%である。成分(a)に有用な具体的なモノマーとしては、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、スチレン、およびα−メチルスチレンなどが挙げられる。好ましいモノマーは、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物である。これらのうち、ステアリルアクリレートおよびステアリルメタクリレートが最も好ましい。このようなモノマーは市販されている。
【0015】
コア組成物は、更に、塩化ビニリデン、塩化ビニル、およびこれらの組み合わせからからなる群から選択される1つ以上のモノマーとして本明細書で定義される成分(b)を約5〜約60重量%、好ましくは約10〜約45重量%必要とする。好ましくは、成分(b)は、本質的に塩化ビニリデンからなる。このようなモノマーは市販されている。
【0016】
一実施形態では、コア組成物の第1段階の重合は、更に、2−および4−クロロメチルスチレン、酢酸ビニル、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、および、式:
2−(OCH2CH2a−O−C(O)−C(R)=CH2
(式中、aは1〜約10であり、RはH又は−CH3であり、R2は水素、C1〜C4アルキル、又は−C(O)−C(R)=CH2である)
のモノマーからなる群から選択される1つ以上のモノマー約0.5〜約10重量%として本明細書で定義される成分(e)を含む。好ましいモノマーは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(式中、aは1である)、N−メチロールアクリルアミド、およびエトキシ化モノマーである。好ましいN−メチロールアクリルアミドは、約0.5重量%〜約3重量%、好ましくは約0.7重量%〜約1.5重量%の割合で存在する。好ましくは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートは、約0.5重量%〜約3重量%、好ましくは約0.7重量%〜約1.5重量%の割合で存在する。エトキシ化モノマー、好ましくはaが約4〜約10のエトキシ化モノマーが好ましく、約1重量%〜約5重量%、好ましくは約1.5重量%〜約3重量%の割合で存在する。
【0017】
本発明のコアシェルエマルションポリマー中、シェル組成物は、水非含有および界面活性剤非含有を基準にして、式(I)、(II)および(III)の1つ以上のフッ素化モノマーとして本明細書で定義される成分(c)を約50〜約85重量%、好ましくは約60〜約80重量%、より好ましくは約70〜約80重量%含む。
(I)Rf1(CH2mZ−C(O)−C(R1)=CH2
(II)Rf2(CH2CF2q(CH2CH2rZ−C(O)−C(R1)=CH2
(III)Rf3O(CF2CF2q(CH2CH2rZ−C(O)−C(R1)=CH2
(式中、
mは1〜約6の整数であり、
qおよびrはそれぞれ独立して1〜約3の整数であり、
1は水素、Cl、F又はCH3であり、
Zは−O−、−NH−又は−S−であり、
f1は炭素数4又は6の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基であり、
f2は炭素数約4〜約6の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基であり、
f3は、任意に1個、2個又は3個のエーテル酸素原子によって中断された炭素数約2〜約7の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基である)。このようなモノマーは、後述のように調製される。
【0018】
好ましい組成物は、成分(c)が式(I)(式中、Zは−O−であり、mは2であり、R1はCH3であり、Rf1の炭素数は6である)のフッ素化モノマーを含むものである。別の好ましい実施形態は、成分(c)が式(I)(式中、Zは−O−であり、mは2であり、R1はCH3であり、Rf1の炭素数は4および6である)のフッ素化モノマーの混合物を含むものである。別の好ましい実施形態は、成分(c)が式(II)(式中、Zは−O−であり、qは1又は2であり、rは1であり、R1はCH3であり、Rf2の炭素数は6である)の1つ以上のフッ素化モノマーを含むものである。別の好ましい実施形態は、成分(c)が式(III)(式中、Zは−O−であり、qは1であり、rは1であり、R1はCH3であり、Rf3の炭素数は3である)のフッ素化モノマーを含むものである。
【0019】
シェル組成物は、更に、スチレン;アルキルが炭素数1〜18の直鎖、環状又は分岐鎖炭化水素であるアルキル置換スチレン;および、アルキルが炭素数6〜18の直鎖、環状又は分岐鎖炭化水素であるアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1つ以上のモノマーとして本明細書で定義される成分(d)を約15〜約50重量%、好ましくは15〜40重量%、より好ましくは15〜約30重量%必要とする。成分(d)に有用な具体的なモノマーとしては、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、スチレン、およびα−メチルスチレンなどが挙げられる。好ましいモノマーは、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物である。これらのうち、ステアリルアクリレートおよびステアリルメタクリレートが最も好ましい。このようなモノマーは市販されている。
【0020】
好ましくは、シェル組成物は、更に、コア組成物について上記に定義した成分(e)から選択される1つ以上のモノマーを約5〜約15重量%、より好ましくは約2〜約10重量%含む。より好ましい実施形態は、シェル組成物が、更に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、および、式:
H−(OCH2CH2a−O−C(O)−C(R)=CH2
(式中、aは約4〜約10であり、RはH又は−CH3である)
のエトキシ化モノマーからなる群から選択されるモノマーを約2〜10重量%含むものである。
【0021】
改善された架橋、ラテックス安定性、および直接性を付与するために、1つ以上の特殊なモノマーが任意に、比較的少量、例えば、0.1〜5重量%、本発明のコア又はシェルポリマーに組み込まれる。これらの材料は、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを0.1〜2重量%、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートを0.1〜2重量%、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートを0.1〜2重量%、又はグリシジル(メタ)アクリレートを0.1〜2重量%含む。
【0022】
本発明に使用されるカチオン性、アニオン性、および非イオン性界面活性剤は、水性エマルションの調製に一般に使用される界面活性剤のいずれかである。好適なカチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムアセテート、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、およびエトキシ化アルキルアミン塩などが挙げられる。好適なカチオン性界面活性剤の好ましい例は、Akzo Nobel(Chicago,Ill)から入手可能なETHOQUAD18/25などの15モルのエチレンオキサイドを有する炭素数18のアルキルアミンなどのエトキシ化アルキルアミン塩のメチルクロライド塩である。本明細書で使用するのに好適な非イオン性界面活性剤としては、エチレンオキサイドとC12〜C18脂肪アルコール、C12〜C18脂肪酸、アルキル基の炭素数が8〜18のアルキルフェノール、C12〜C18アルキルチオール、およびC12〜C18アルキルアミンとの縮合生成物が挙げられる。カチオン性界面活性剤と組み合わせて使用する場合、好適な非イオン性界面活性剤の好ましい例は、Stepan Company(Northfield,Ill)から入手可能なMERPOL SEなどのエトキシ化トリデシルアルコール界面活性剤である。本明細書で使用される好適なアニオン性界面活性剤としては、アルキルカルボン酸およびその塩、アルキル水素サルフェートおよびその塩、アルキルスルホン酸およびその塩、アルキルエトキシサルフェートおよびその塩、αオレフィンスルホネート、およびアルキルアミドアルキレンスルホネートなどが挙げられる。アルキル基の炭素数が8〜18のものが一般に好ましい。Witco Corporation(Greenwich,CN)から入手可能なSUPRALATE WAQE界面活性剤などの、アルキル基の炭素数が平均約12であるアルキル硫酸ナトリウム塩がとりわけ好ましい。
【0023】
上記の成分と水の他に、最終エマルションポリマーは、任意に、トリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、およびアセトンなどの補助溶媒を含有する。これらは、湿潤エマルションの約10重量%まで、好ましくは5重量%〜10重量%存在してもよい。
【0024】
本発明のポリマーを調製するために、乳化重合がされる。本プロセスは、2つの重合段階で実施される。第1の重合は、コアポリマー(本明細書の実施例のエマルション1)を提供する。本プロセスは、攪拌機、および仕込んだものを加熱又は冷却するための外部手段を備えた反応容器内で実施される。一緒に重合されるモノマーは、好適な界面活性剤、および任意に有機溶媒を含有する水溶液中で乳化され、5重量%〜50重量%のエマルション濃度を得る。通常、温度を約40℃〜約70℃に上昇させ、添加される触媒の存在下で重合を行う。好適な触媒は、エチレン性不飽和化合物の重合を開始させるための一般に知られている薬剤のいずれかである。このような一般に使用される開始剤としては、2,2’−アゾジ−イソブチルアミジン二塩酸塩、2,2’−アゾジイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)が挙げられる。添加される開始剤の濃度は、重合されるモノマーの重量を基準にして、通常0.1〜約2重量%である。得られるポリマーの分子量を制御するために、重合中、任意に、炭素数4〜約18のアルキルチオールなどの連鎖移動剤が少量存在する。その後、重合の第2の段階で、コアエマルションが入っている同じ反応器にシェル組成物を添加する。シェルを得るために重合されるモノマーは、好適な界面活性剤および任意に有機溶媒を含有する水溶液中で乳化され、約5重量%〜約50重量%のエマルション濃度を得る(本明細書の実施例のエマルション2)。このエマルションをコアポリマーに添加し、コア重合について記載したように、添加される開始剤の存在下、通常約40℃〜約70℃の温度で重合を開始させる。
【0025】
第2の段階の重合が完了した後、アニオン性又はカチオン性界面活性剤をエマルションに添加する。重合中にアニオン性界面活性剤を使用する場合、重合後にカチオン性界面活性剤を添加する。重合中にカチオン性界面活性剤を使用する場合、重合後にアニオン性界面活性剤を添加する。特定の用途に所望されるゼータ電位を達成するために、およびエマルションの使用中、高アルカリ度、高アニオン濃度、又は高剪断の条件で所望の化学的安定性と機械的安定性を有するように、本発明のエマルション中にアニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤の両方が存在する。
【0026】
別の実施形態では、本発明の組成物は、pH調整剤、架橋剤、湿潤剤、ワックス増量剤(wax extender)、および当業者に既知の他の添加剤などの、一般にこのような処理剤又は仕上剤と一緒に使用される他の添加剤を含むことができる。このような仕上剤又は処理剤の例としては、加工助剤、発泡剤、潤滑剤、および防汚剤(anti−stains)などが挙げられる。特に繊維基材では、合成又は木綿の布帛を処理するとき、本件特許出願人(Wilmington,DE)から入手可能なALKANOL 6112などの湿潤剤を使用することができる。木綿又は綿混の布帛を処理するとき、Omnova Solutions(Chester,SC)から入手可能なPERMAFRESH EPCなどの防皺性樹脂を使用することができる。
【0027】
任意に、耐久性を更に向上させるため、ブロックイソシアネートを本発明のフルオロポリマーに、例えば、ブレンドされたイソシアネートとして添加することができる。好適なブロックイソシアネートの例は、Ciba Specialty Chemicals(High Point,NJ)から入手可能なHYDROPHOBO XANである。他の市販のブロックイソシアネートもまた本明細書で使用するのに好適である。ブロックイソシアネートの添加の望ましさは、処理剤の特定の用途に依存する。現在考えられる用途のほとんどでは、それは、鎖間の十分な架橋又は基材への結合を達成するために存在する必要がない。ブレンドされたイソシアネートとして添加されるとき、約20重量%までの量を添加してもよい。
【0028】
本発明の組成物を形成するのに有用な、式(I)、(II)および(III)のフッ素化アクリレートおよびフッ素化チオアクリレートは、米国特許第3,282,905号明細書および欧州特許第1632542A1号明細書に記載の手順を使用して、対応するフッ素化アルコールおよびフッ素化チオールから、アクリル酸、メタクリル酸、2−クロロアクリル酸、又は2−フルオロアクリル酸と一緒にエステル化することによって調製される。あるいは、式(II)のアクリレートおよびメタクリレートエステルは、米国特許第3,890,376号明細書に開示される手順に従って、対応する硝酸エステルから製造することができる。
【0029】
本発明の組成物を形成するのに有用な、式(I)、(II)および(III)の(1種類以上の)フッ素化アクリルアミドは、例えば、トリエチルアミン(TEA)などの塩基の存在下で、対応するフッ素化アミンから、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、2−クロロアクリル酸クロライド、又は2−フルオロアクリル酸クロライドと一緒に縮合することによって調製される。典型的には、縮合には、トルエン若しくはキシレンなどの非ヒドロキシ炭化水素、又はジクロロメタンなどのハロカーボン溶媒が使用される。
【0030】
本発明に有用なフッ素化アクリレートを形成するのに有用なフッ素化アルコールとしては、式(IVa)、(IVb)および(IVc):
(IVa)Rf1(CH2mOH
(IVb)Rf2(CH2CF2q(CH2CH2rOH
(IVc)Rf3O(CF2CF2q(CH2CH2rOH
のものが挙げられる。
【0031】
式(IVa)では、パーフルオロアルキル基は好ましくは直鎖であるが、分岐鎖パーフルオロアルキル基を含有する組成物が好適である。パーフルオロアルキルエタノール(式中、mは2であり、Rf1は炭素数4又は6である)は、パーフルオロアルキルエタノールの市販のテロマー混合物を分留することによって得ることができる。市販されている式(IVa)の具体的なフッ素化アルコールとしては、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−ヘキサノール、1H,1H−パーフルオロ−1−ヘキサノール、および、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−オクタノールが挙げられる。
【0032】
式(IVb)のフッ素化テロマーアルコール(式中、Rf2は炭素数4〜6の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基である)は、スキーム1による合成で得ることができる。
【0033】
【化1】

【0034】
フッ化ビニリデン(VDF)と直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキルアイオダイドのテロメリゼーションは周知であり、それにより、構造式Rf2(CH2CF2qI(式中、qは1以上であり、Rf2はC4〜C6パーフルオロアルキル基である)の化合物が生成する。例えば、Balague,et al,“Synthesis of fluorinated telomers,Part 1,Telomerization of vinylidene fluoride with perfluoroalkyl iodides”,J.Fluor Chem.(1995),70(2),215−23を参照されたい。特定のテロマーアイオダイドは、分留によって単離される。米国特許第3,979,469号明細書に記載の手順により、テロマーアイオダイドをエチレンで処理し、テロマーエチレンアイオダイド(V)(式中、rは1〜3又はそれより大きい)を得る。国際公開第95/11877号パンフレットに開示されている手順に従って、テロマーエチレンアイオダイド(V)をオレウムで処理し、加水分解して、対応するテロマーアルコール(IVb)を得ることができる。あるいは、テロマーエチレンアイオダイド(V)をN−メチルホルムアミドで処理した後、エチルアルコール/酸で加水分解してもよい。
【0035】
フッ化ビニリデンとエチレンのテロメリゼーションによって誘導され、本発明に有用なフッ素化アクリレートを形成するのに有用な具体的なフッ素化テロマーアルコール(IVa)および(IVb)としては、表1Aに記載のものが挙げられる。表1Aおよび表1B、並びに本明細書の実施例の具体的なアルコールのリストに記載されているC37基、C49基、およびC613基は、特に他の記載がない限り、直鎖パーフルオロアルキル基を指す。
【0036】
【表1】

【0037】
式(IVc)のフッ素化アルコール(式中、qは1であり、Rf3は、任意に1個、2個又は3個のエーテル酸素原子で中断された炭素数2〜7の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基である)は、スキーム2による合成で得ることができる。
【0038】
【化2】

【0039】
パーフルオロアルキルエーテルアイオダイド(VI)は、出発点としてパーフルオロアルキルビニルエーテルを使用し、米国特許第5,481,028号明細書の実施例8に記載の手順によって製造される。スキーム2の第2の反応では、パーフルオロアルキルエーテルアイオダイド(VI)を過剰のエチレンと高温高圧で反応させ、テロマーエチルアイオダイド(VII)を得る。エチレンの付加は熱的に行うことができるが、好適な触媒を使用することが好ましい。好ましくは、触媒は、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、又はアセチルパーオキサイドなどの過酸化物触媒である。より好ましくは、過酸化物触媒はベンゾイルパーオキサイドである。反応温度は限定されないが、110℃〜130℃の範囲の温度が好ましい。反応時間は触媒および反応条件で変わり得るが、24時間(h)で十分であることが分かった。生成物は、最終生成物から未反応の出発物質を分離する任意の手段で精製され得るが、蒸留が好ましい。パーフルオロアルキルエーテルアイオダイド1モル当たり約2.7molのエチレン、110℃の温度および自己圧(autogenous pressure)、24時間の反応時間を使用し、蒸留により生成物を精製して、理論の80%までの十分な収率が得られた。国際公開第95/11877号パンフレットに開示されている手順に従って、パーフルオロアルキルエーテルエチルアイオダイド(VII)をオレウムで処理し、加水分解して、対応するアルコール(IVc)を得ることができる。あるいは、パーフルオロアルキルエーテルエチルアイオダイドをN−メチルホルムアミドで処理した後、エチルアルコール/酸で加水分解することができる。
【0040】
(IVc)のより高級な同族体(式中、qは2又は3である)は、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルエーテルアイオダイド(VI)(式中、qは1である)のテロメリゼーションを行った後、特定のテロマーを蒸留により単離し、その後、エチレンとテロメリゼーションを行うことによって得ることができる。テロマーエチレンアイオダイドのより高級な同族体(rは2又は3である)は過剰なエチレンを用いて高圧で得ることができる。
【0041】
本発明に有用なフッ素化アクリレートを形成するのに有用な具体的なフッ素化アルコール(IVc)としては、表1Bに記載されているものが挙げられる。
【0042】
【表2】

【0043】
アルコール(IVa)(IVb)および(IVc)の対応するチオールは、テロマーエチレンアイオダイドから、J.Fluorine Chemistry,104,2 173−183(2000)に記載の手順に従って、様々な試薬で処理することによって得ることができる。一例は、次のスキームに示すように、テロマーエチレンアイオダイドをチオ酢酸ナトリウムと反応させた後、加水分解することである。
【0044】
【化3】

【0045】
本発明の別の実施形態は、繊維基材の表面に前述の本発明のコアシェルエマルションポリマーを塗布する工程を含む、撥油性および撥水性を付与するための繊維基材の処理方法である。本発明の水性エマルションは、撥水撥油性にされるテキスタイル又は基材に直接塗布される。本発明のエマルションは、単独で、又は、希薄な非フッ素化ポリマーと若しくは他のテキスタイル処理剤若しくは仕上剤と混合して塗布される。組成物は、製造施設で、小売業者のところで、又は、取り付けおよび使用の前に、又は消費者のところで塗布することができる。
【0046】
本発明の方法を実施するのに好適な繊維基材としては後述のものが挙げられる。本発明のエマルションポリマーは、一般に、噴霧、浸漬、パディング又は他の周知の方法により繊維基材に塗布される。本発明のエマルションは、一般に、完全に配合されたエマルションの重量に基づいて、約5g/L〜約100g/L、好ましくは約10g/L〜約50g/Lの濃度に水で希釈される。例えば、スクイズロールで余分な液体を除去した後、処置された布帛を乾燥させ、次いで、例えば、110℃〜190℃に、少なくとも30秒間、典型的には60〜180秒間、加熱することによって硬化させる。このように硬化させることによって、はじく性質と耐久性が向上する。これらの硬化条件は典型的なものであり、特有の設計特徴のため、市販の装置にはこれらの範囲外で運転されるものがある。
【0047】
本発明の別の実施形態は、表面に前述の本発明のコアシェルエマルションポリマーが塗布された繊維基材である。好ましくは、処理基材は、約0.05重量%〜約0.5重量%のフッ素含有量を有する。
【0048】
好適な基材としては、繊維基材が挙げられる。繊維基材としては、織られた繊維および織られていない繊維、ヤーン、布帛、混紡布、紙、皮革、ラグおよびカーペットが挙げられる。これらは、木綿、セルロース、ウール、シルク、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロン、アラミド、およびアセテートを含む天然又は合成の繊維から製造される。「混紡布(fabric blends)」とは、2種類以上の繊維で製造された布帛を意味する。典型的には、これらの混紡は、少なくとも1種類の天然繊維と少なくとも1種類の合成繊維の組み合わせであるが、2種類以上の天然繊維の混紡又は2種類以上の合成繊維の混紡も含むことができる。カーペット基材は、染色されていても、顔料で着色されていても、印刷されていても、又は染色されていなくてもよい。カーペット基材の繊維およびヤーンは、染色されていても、顔料で着色されていても、印刷されていても、又は染色されていなくてもよい。カーペット基材は、精錬されていても又は精錬されていなくてもよい。はじく性質を付与するように本発明の化合物を塗布することが特に有利な基材としては、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリエステル、木綿、および、ポリエステルと木綿の混紡が挙げられる。
【0049】
本発明のエマルションは、基材表面が油や水をはじくようにするのに有用である。はじく性質は、複数回洗濯した後、耐久性がある。本発明のポリマーエマルションは、また、このようなはじく性質を付与するとともに、炭素数約2〜約7の短鎖パーフルオロアルキル基を含有するという利点もある。本発明のエマルションは、その安定性のため、様々な適用条件で使用できるという点で有利である。
【0050】
試験方法
実施例では、次の試験手順を使用した。
【0051】
試験方法1−布帛処理
使用した布帛は、Burlington Mills,Burlington Industries,Inc.(Hurt,VA,24563)から入手可能な100%ナイロンおよび100%ポリエステルであった。従来のパッド浴(浸漬)プロセスを使用して、布帛をコアシェルエマルションポリマーの水性分散体で処理した。調製された本発明のポリマーエマルションの濃縮分散体を脱イオン水で希釈して、浴中に最終エマルションを3〜10重量%有するパッド浴を得、実施例に示されているフッ素重量%を達成した。湿潤剤、ALKANOL 6112(本件特許出願人(Wilmington,DE)から入手可能)も浴中に0.2重量%含まれた。浴中で布帛をパディングし、過剰の液体を圧搾ローラで取り除いた。ウェットピックアップは、ナイロンでは約50〜60%、ポリエステルでは80〜90%であった。「ウェットピックアップ」は、布帛の乾燥重量を基準にした、布帛に塗布されるエマルションポリマーの浴溶液の重量である。布帛を約160℃で2分間硬化させ、処理および硬化後に約15〜18時間「放置(rest)」した。
【0052】
試験方法2−撥水性
TEFLON Global Specifications and Quality Control Tests information packetに概説されたデュポン技術実験室的方法(DuPont Technical Laboratory Method)に従って、処理基材の撥水性を測定した。この試験は、水性液体による濡れに対する処理された基材の耐性を決定する。様々な表面張力を有する水−アルコール混合物の液滴を布帛につけて、表面の濡れの程度を視覚的に決定する。試験は、水性の染みに対する耐性の大まかな指標を提供する。撥水性評価が高いほど、完成した基材は、水をベースにする物質による染みに対する耐性が良好である。標準試験液の組成を次の表2Aに示す。場合によっては、便宜上1〜6のスケールを使用した。試験液の境界線上の合格については、表1の数値から2分の1を引くことによって、0.5の増分の評価が決定される。
【0053】
【表3】

【0054】
試験方法3−撥水性−スプレー評価
スプレー試験法を使用することによって、撥水性を更に試験した。次のように実施されるAATCC標準試験法第22−1996に従うことにより、処理布帛サンプルの撥水性を試験した:前述のようにポリマーの水性分散体で処理された布帛サンプルを試験前に最低4時間、23℃、相対湿度65%で調整する。布帛に皺がないように、布帛サンプルをプラスチック/金属の刺繍枠にしっかりと固定する。布帛が上向きになるように、枠を試験スタンド上に置く。次いで、試験漏斗に80±2°Fの(27±1℃)の水250mLを注ぎ、布帛表面に水をスプレーする。水が漏斗を通過した後、布帛を下向きにして、固い物体の縁に当てて叩き、180度回転させて再度叩いた。斑点のついた又は濡れた表面を、AATCC Technical Manualに見られるAATCC規格と比較する。表面が濡れているほど、数値が低く、撥水性が劣っている。100は、濡れていないことを示し、90は、僅かな濡れ(3つの小さい斑点)を示し、80はスプレー点での幾つか(10)の斑点によって表される濡れを示し、70は、布帛上面の部分的な濡れを示し、50は、布帛上面全体の濡れを示し、0は布帛下面と上面の完全な濡れを示す。15、25、35、45、55、60、65、75又は85の評価は、前述の序列の中間の性能を示す。
【0055】
試験方法4−撥油性
次のように実施されるAATCC標準試験法第118の変更により、処理布帛サンプルの撥油性を試験した:前述のようにポリマーの水性分散体で処理された布帛サンプルを、試験前に最低4時間、23℃、相対湿度65%で調整した。次に、下記の表2に示す一連の有機液体を布帛サンプルに1滴ずつつける。最も小さい番号の試験液(撥油性評価番号1)で始めて、3つの場所にそれぞれ1滴(直径約5mm又は体積0.05mL)、少なくとも5mm離してつける。液滴を30秒間観察する。この時間の終わりに、3滴のうち2滴がまだ球状の形状であり、液滴の周囲でウィッキングが起こっていなかった場合、次の最も大きい番号の液体を3滴、隣接する部位につけ、同様に30秒間観察する。試験液の1つで3滴のうち2滴が球状〜半球状を維持できないという結果になるまで、又は濡れ若しくはウィッキングが起こるまで、この手順を続ける。
【0056】
布帛の撥油性評価は、3滴のうち2滴が球状〜半球状を維持し、30秒間ウィッキングが起こらない最も大きい番号の試験液である。一般に、6以上の評価を有する処理された布帛は、良〜優とみなされ、ある一定の用途では、1以上の評価を有する布帛を使用することができる。試験液の境界線上の合格については、表2Bの数値から2分の1を引くことによって0.5の増分の評価が決定される。
【0057】
【表4】

【0058】
試験方法5−洗濯耐久性
テキスタイル試験のための家庭洗濯手順を規定する国際規格に従って、布帛サンプルを洗濯した。布帛サンプルを水平ドラム、フロントロードタイプ(タイプA、WASCATOR FOM 71MP−Lab)の自動洗濯機にバラスト布と一緒に投入し、全乾燥投入量を4ポンドとする。市販の洗剤を加え(AATCC1993標準洗剤WOB)、高水量の温水(105°F、41℃)で、15分の通常の洗濯サイクルを行った後、13分のすすぎを2回行い、その後、2分脱水するように洗濯機をプログラムする。サンプルとバラスト布を指定された回数、洗濯する(5HWは5回洗濯、20HWは20回洗濯など)。洗濯が完了した後、濡れた布帛サンプルを空気乾燥させ、その後、表面温度135〜160℃のフラットベッドプレスで各面を30秒アイロン掛けする。
【0059】
材料
実施例では次の材料を使用した。
【0060】
表3は、実施例で使用される略称、商標又はブランド名のついた材料の用語集である。
【0061】
【表5】

【0062】
化合物A6
49CH2CF2I(217g)およびd−(+)−リモネン(1g)を仕込んだオートクレーブにエチレン(25g)を導入し、反応器を240℃で12時間加熱した。減圧蒸留により生成物を単離し、C49CH2CF2CH2CH2Iを得た。
【0063】
49CH2CF2CH2CH2I50gに発煙硫酸(70mL)をゆっくりと添加し、混合物を60℃で1.5時間攪拌した。1.5重量%の氷冷Na2SO3水溶液で反応を急冷し、95℃で0.5時間加熱した。下層を分離し、10重量%酢酸ナトリウム水溶液で洗浄し、蒸留してC49CH2CF2CH2CH2OH(化合物A6):2mmHg(267パスカル)で沸点54〜57℃を得た。
【0064】
A6−メタクリレート
Dean Starkトラップを備えたフラスコ内でp−トルエンスルホン酸(p−TSA、2.82g、0.0148mol)、メチルヒドロキノン(MEHQ、420mg)、化合物A6(120g)およびシクロヘキサン(121mL)を合わせた。反応混合物を85℃に加熱し、メタクリル酸(39.23mL)を添加し、24時間加熱し続けた。Dean Starkトラップをショートパス蒸留塔と取り替え、脱イオン(DI)水を反応混合物に添加した後、シクロヘキサンを蒸留した。反応混合物を約50℃に冷却した。下層を分液漏斗に入れ、10%炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させ、C49CH2CF2CH2CH2O−C(O)−C(CH3)=CH2(130g、収率89%):0.4mmHg(532パスカル)で沸点47〜50℃;1H NMR(CDCl3,400MHz):6.10(1H,m)、5.59(1H,m)、4.39(2H,t,J=6.0Hz)、2.85−2.69(2H,m)、2.43(2H,t−t,J1=16.5Hz,J2=6Hz)、1.94(3H,m);MS:397(M++1)を得た。
【0065】
化合物A11
613CH2CF2I(170g)およびd−(+)−リモネン(1g)を仕込んだオートクレーブにエチレン(15g)を導入した後、反応器を240℃で12時間加熱した。減圧蒸留により生成物を単離し、C613CH2CF2CH2CH2Iを得た。
【0066】
613CH2CF2CH2CH2I(112g)に発煙硫酸(129mL)をゆっくりと添加した。混合物を60℃で1.5時間攪拌した。次いで、1.5重量%の氷冷Na2SO3水溶液で反応を急冷し、95℃で0.5時間加熱した。下層を分離し、10重量%の酢酸ナトリウム水溶液で洗浄し、蒸留して、化合物A11:融点38℃を得た。
【0067】
A11−アクリレート
Dean Starkトラップを備えたフラスコ内でp−トルエンスルホン酸(1.07g、0.0056mol)、メチルヒドロキノン(160mg)、化合物A11(60g、0.14mol)およびシクロヘキサン(46mL)を合わせた。反応混合物を85℃まで加熱し、アクリル酸(12mL)を添加し、24時間加熱し続けた。Dean Starkトラップをショートパス蒸留塔と取り替え、脱イオン水を添加し、シクロヘキサンを蒸留した。反応混合物を約50℃まで冷却し、分液漏斗に移し、10%炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、濃縮して、C613CH2CF2CH2CH2O−C(O)−CH=CH2(64g、収率95%):0.2mmHg(266パスカル)で沸点55〜57℃;1H NMR(CDCl3、400MHz):6.42(1H、d−d、J1=17.3Hz、J2=1.4Hz)、6.1(1H、d−d、J1=17.3Hz、J2=10.5Hz)、5.87(1H、d−d、J1=10.5Hz、J2=1.4Hz)、4.40(2H、t、J=6.4Hz)、2.86〜2.48(2H、m)、2.42(2H、t−t、J1=16.7Hz、J2=6.0Hz);MS:483(M++1)を得た。
【0068】
A11−メタクリレート
A11−アクリレート配合物について記載したのと類似の方法で、化合物A11をメタクリル酸で処理し、C613CH2CF2CH2CH2O−C(O)−C(CH3)=CH2(62g、収率89%)を得た。
【0069】
A3−アクリレートおよびA3−メタクリレート
前述の化合物A11−アクリレートおよびA11−メタクリレートと類似の手順を使用して、1H,1H,2H.2H−パーフルオロ−1−オクタノール(Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI))からC613CH2CH2O−C(O)−CH=CH2およびC613CH2CH2O−C(O)−C(CH3)=CH2を調製した。
【0070】
化合物12
613(CH2CF22I(714g)およびd−(+)−リモネン(3.2g)を仕込んだオートクレーブにエチレン(56g)を導入し、反応器を240℃で12時間加熱した。減圧蒸留により生成物を単離し、C613(CH2CF22CH2CH2Iを得た。
【0071】
613(CH2CF22CH2CH2I(111g)とN−メチルホルムアミド(81mL)を150℃まで26時間加熱した。反応を100℃まで冷却した後、水を添加して粗エステルを分離した。エチルアルコール(21mL)とp−トルエンスルホン酸(0.7g)を粗エステルに添加し、反応を70℃で15分間攪拌した。蟻酸エチルとエチルアルコールを留去し、得られた粗アルコールをエーテルに溶解させ、亜硫酸ナトリウム水溶液、水、および食塩水で順番に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧下で生成物を蒸留し、化合物A12:融点42℃を得た。
【0072】
A12−アクリレート
Dean Starkトラップを備えたフラスコ内でp−トルエンスルホン酸(0.29g)、メチルヒドロキノン(0.043g)、化合物A12(15g、0.031mol)およびシクロヘキサン(10mL)を合わせた。反応混合物を85℃まで加熱し、アクリル酸(2.6mL、0.038mol)を添加し、24時間加熱し続けた。Dean Starkトラップをショートパス蒸留塔と取り替えた。脱イオン水を添加し、シクロヘキサンを蒸留した。反応混合物を約50℃まで冷却し、下層を分液漏斗に移し、10%炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、濃縮して、C613(CH2CF22CH2CH2O−C(O)−CH=CH2(15.5g、収率93%)を得た。
【0073】
A12−メタクリレート
A12−アクリレート配合物について記載したのと類似の方法で、化合物A12をメタクリル酸で処理し、C613(CH2CF22CH2CH2O−C(O)−C(CH3)=CH2(15.5g、収率91%)を得た。
【0074】
化合物B3
37OCF2CF2I(100g、0.24mol)およびベンゾイルパーオキサイド(3g)を窒素下で容器に仕込んだ。次いで、−50℃で真空/窒素ガス置換を3回連続して行い、エチレン(18g、0.64mol)を導入した。容器を110℃で24時間加熱した。オートクレーブを0℃まで冷却し、脱ガス後に開放した。次いで、生成物を瓶に捕集した。生成物を蒸留し、C37OCF2CF2CH2CH2I(80g、収率80%):25mmHg(3325Pa)で沸点56〜60℃を得た。
【0075】
37OCF2CF2CH2CH2I(300g、0.68mol)とN−メチル−ホルムアミド(300mL)の混合物を150℃に26時間加熱した。次いで反応を100℃まで冷却し、その後、水を添加して粗エステルを分離した。エチルアルコール(77mL)およびp−トルエンスルホン酸(2.59g)を粗エステルに添加し、反応を70℃で15分間攪拌した。次いで、蟻酸エチルとエチルアルコールを留去して粗生成物を得た。粗生成物をエーテルに溶解させ、亜硫酸ナトリウム水溶液、水、および食塩水で順番に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。次いで、生成物を蒸留し、C37OCF2CF2CH2CH2OH(B3、199g、収率85%):40mmHg(5320Pa)で沸点71〜73℃を得た。
【0076】
B3−メタクリレート
Dean Starkトラップを備えたフラスコ内でp−トルエンスルホン酸(1.14g)、メチルヒドロキノン(0.086g)、化合物B3(50g)、およびシクロヘキサン(49mL)を合わせた。混合物を85℃に加熱した後、メタクリル酸(15.9mL)を添加し、24時間加熱し続けた。Dean Starkトラップをショートパス蒸留塔と取り替え、脱イオン水(50mL)を添加した後、シクロヘキサンを蒸留した。反応混合物を約50℃まで冷却し、下層を分液漏斗に移し、10%炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、濃縮してC37OCF2CF2CH2CH2O−C(O)−C(CH3)=CH2(56g、収率94%):1H NMR(CDCl3、400MHz)6.13(1H,m)、5.61(1H,m)、4.43(2H,t,J=6Hz)、2.44(2H,t−t,J1=17Hz,J2=6Hz)、1.19(3H,s);MS399(M++1)を得た。
【実施例】
【0077】
これらの実施例は説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0078】
実施例1
この実施例は、2段階重合プロセスを使用する本発明のコアシェルエマルションポリマーの形成を説明する。コアおよびシェルの形成に使用されるエマルション1および2の組成をそれぞれ表4に記載する。
【0079】
【表6】

【0080】
塩化ビニリデンを除き、脱イオン水を50〜60℃に予熱したエマルション1の成分をプラスチック製のビーカー内でソニケータ(Heat Systems Ultrasonics,Inc.製のモデルW−370)を用いて2分間隔で2回、超音波処理し、70℃未満の温度に維持し、エマルションを得た。攪拌機、熱電対温度計、および冷却器(chiller condenser)(−5℃〜−10℃)を備えた500mLの4つ口反応器にエマルションを移した。熱脱イオン水(19.5g)で洗浄してエマルションを反応器に入れ、温度が30℃未満になるまで約30分間窒素でパージした。次いで、塩化ビニリデンを反応フラスコに添加し、5分間混合した。脱イオン水10.75gに溶解させたVAZO 56 WSP開始剤(0.26g、本件特許出願人(Wilmington,DE))を添加し、混合物を0.5時間以内に50℃に加熱し、4時間維持した後、室温(周囲温度)まで冷却してコアポリマーエマルションを得た。
【0081】
塩化ビニリデンを除き、水を50〜60℃に予熱したエマルション2の成分を前述のようにプラスチック製のビーカー内で超音波処理し、エマルションを得た。エマルションを約30分間窒素でパージした後、コアポリマーエマルションが入った反応器に塩化ビニリデンと一緒に添加した。脱イオン水(4.5g)に溶解させたVAZO 56 WSP開始剤(0.13g)を添加し、混合物を0.5時間以内に50℃に加熱し、8時間維持した後、周囲温度まで冷却した。SUPRALATE WAQE界面活性剤(0.6g、Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能)を含有する脱イオン水(42g)溶液を生成物と周囲温度で混合した。得られるコアシェルエマルションポリマーはミルクフィルタでろ過され、重量319.8g、固形分24.1%であった。試験方法1に記載のように従来のパッド浴(浸漬)プロセスを使用して、ナイロン布帛およびポリエステルをコポリマー水性分散体で処理した。前述の試験方法2〜5に従って、処理布帛で撥水性試験、撥スプレー性(spray repellency)試験および撥油性試験を実施した。結果を表6A、6Bおよび6Cに記載する。
【0082】
比較例A
この比較例は、表4(実施例1)のコアエマルションおよびシェルエマルションと同じ組成を有するが、1段階重合で2つのエマルションの混合物を形成し、コアシェル構造のないエマルション1および2のブレンドを得ることを説明する。表4の組成を有するエマルション1および2を調製し、攪拌機、熱電対温度計、および冷却器(−5℃〜−10℃)を備えた500mLの4つ口反応器に添加した。熱脱イオン水28gで洗浄してエマルションをフラスコに入れ、温度が30℃未満になるまで30分間窒素でパージした。次いで、塩化ビニリデン(22g)を添加し、5分間混合した。本件特許出願人(Wilmington,DE)から入手可能な「VAZO」56 WSP開始剤(0.37g)を脱イオン水(14.9g)に溶解させたものを添加し、混合物を0.5時間以内に50℃に加熱し、8時間維持した。Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能なSUPRALATE WAQE界面活性剤(0.6g)を含有する脱イオン水(42g)溶液を生成物と周囲温度で混合した。得られるポリマーラテックスはミルクフィルタでろ過され、重量320g、固形分22.5%であった。
【0083】
試験方法1に記載のように従来のパッド浴(浸漬)プロセスを使用して、ナイロン布帛およびポリエステルをコポリマー水性分散体で処理した。前述の試験方法2〜5に従って、処理布帛で撥水性試験、撥スプレー性試験および撥油性試験を実施した。結果を表6Aに記載する。
【0084】
比較例B
この比較例は、それぞれが1段階の乳化重合で調製される2つの別々のエマルションのランダムポリマーブレンドの形成を説明する。1つのエマルションは、フッ素化モノマーを含有し(表5Aのエマルション1)、他方のエマルションはフッ素化モノマーを有していない増量剤であった(表5Aのエマルション2)。次いで、重合したエマルションを1:1の比でブレンドし、実施例1と類似の全配合物のエマルションブレンドを得た。配合物は安定なエマルションを形成しないため、比較例Bは実施例1のエマルション1および2と同一ではない。2つの別々のエマルションの組成を表5Aに記載する。
【0085】
【表7】

【0086】
塩化ビニリデンを除いたエマルション1を調製し、攪拌機、熱電対温度計、および冷却器(−5℃〜−10℃)を備えた500mLの4つ口反応器に添加した。熱脱イオン水(6.4g)で洗浄してエマルションをフラスコに入れ、温度が30℃未満になるまで30分間窒素でパージした。次いで、塩化ビニリデンを添加し、5分間混合した。本件特許出願人(Wilmington,DE)から入手可能なVAZO 56 WSP開始剤(0.19g)を脱イオン水(8.6g)に溶解させたものを添加し、混合物を0.5時間以内に50℃に加熱し、8時間維持した。Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能なSUPRALATE WAQE界面活性剤(0.22g)を含有する脱イオン水(27.2g)溶液を生成物と周囲温度で混合した。得られるポリマーラテックスはミルクフィルタでろ過され、重量130.67g、固形分25.1%であった。
【0087】
塩化ビニリデンを除いたエマルション2を調製し、攪拌機、熱電対温度計、および冷却器(−5℃〜−10℃)を備えた500mLの4つ口反応器に添加した。熱脱イオン水(10g)で洗浄してエマルションをフラスコに入れ、温度が30℃未満になるまで30分間窒素でパージした。次いで、塩化ビニリデンを添加し、5分間混合した。VAZO 56 WSP開始剤(0.34g)を脱イオン水(10g)に溶解させたものを添加し、混合物を0.5時間以内に50℃に加熱し、8時間維持した。SUPRALATE WAQE界面活性剤(0.46g)を含有する脱イオン水(12.4g)溶液を生成物と周囲温度で混合した。得られるポリマーラテックスはミルクフィルタでろ過され、重量206g、固形分27.9%であった。
【0088】
エマルション1および2を1:1の重量比でブレンドし、フッ素化モノマーの最終重量%が固形分をベースにして32.9%である比較例Bのエマルションポリマーを得た。
【0089】
試験方法1に記載のように従来のパッド浴(浸漬)プロセスを使用して、ナイロン布帛およびポリエステルをコポリマー水性分散体で処理した。前述の試験方法2〜5に従って、処理布帛で撥水性試験、撥スプレー性試験および撥油性試験を実施した。結果を表6Aに記載する。
【0090】
比較例C
この比較例は、米国特許第6,790,898号明細書(Leeら)の実施例1に開示されているようなコアシェルエマルションポリマーの形成を説明し、ここで、コアのモノマーとしてスチレンを使用し、シェルのフッ素化モノマーは3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルアクリレートであった。
【0091】
コアおよびシェルの形成に使用されるエマルション1および2の組成をそれぞれ表5Bに記載する。
【0092】
【表8】

【0093】
エマルション1を調製し、攪拌機、熱電対温度計、および冷却器(1.5℃)を備えた250mLの4つ口反応器に添加した。エマルションを30分間窒素でパージした。混合物を0.5時間以内に65℃に加熱した後、本件特許出願人(Wilmington,DE)から入手可能な「VAZO」56 WSP開始剤(0.11g)を脱イオン水(20g)に溶解させたものを添加し、反応を65℃で1時間維持した。
【0094】
エマルション2を調製し、まだビーカーの中にある時、30分間パージした。0.167mL/分の流量のシリンジポンプを使用し、エマルション2を4時間にわたって反応器に添加した。4時間後、65℃で更に4時間重合を継続した。反応を周囲温度まで冷却した。得られるポリマーはミルクフィルタでろ過され、重量132.3g、固形分8.1%であった。
【0095】
試験方法1に記載のように従来のパッド浴(浸漬)プロセスを使用して、ナイロン布帛およびポリエステルをコポリマー水性分散体で処理した。前述の試験方法2〜5に従って、処理布帛で撥水性試験、撥スプレー性試験および撥油性試験を実施した。結果を表6Bおよび6Cに記載する。
【0096】
比較例D
この比較例は、米国特許第6,790,898号明細書(Leeら)の実施例1に開示されているようなコアシェルエマルションポリマーの形成を説明し、ここで、コアのモノマーとしてスチレンを使用したが、シェルのフッ素化モノマー3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルアクリレートの代わりに、実施例1で使用され、「材料」で記載したように調製されたA3メタクリレートであるC6同族体を使用した。
【0097】
コアおよびシェルの形成に使用されるエマルション1および2の組成をそれぞれ表5Cに記載する。手順は上記の比較例Cのものと同一であり、4.02g得られ、固形分7.89%であった。
【0098】
試験方法1に記載のように従来のパッド浴(浸漬)プロセスを使用して、ナイロン布帛およびポリエステルをコポリマー水性分散体で処理した。前述の試験方法2〜5に従って、処理布帛で撥水性試験、撥スプレー性試験および撥油性試験を実施した。結果を表6Bおよび6Cに記載する。
【0099】
【表9】

【0100】
比較例E
この比較例は、実施例1、表4と類似の組成を有するが、塩化ビニリデンの代わりにスチレンを使用する2つのエマルションの混合物の形成を説明する。コアおよびシェルの形成に使用されるエマルション1および2の組成をそれぞれ表5Dに記載する。
【0101】
【表10】

【0102】
エマルション1を調製し、攪拌機、熱電対温度計、および冷却器(1.5℃)を備えた500mLの4つ口反応器に添加した。エマルションを30分間窒素でパージした。30分後、反応器にスチレンを添加し、10分間攪拌した。本件特許出願人(Wilmington,DE)から入手可能な「VAZO」56 WSP開始剤(0.29g)を脱イオン水(10.76g)に溶解させたものを添加した後、混合物を0.5時間以内に50℃に加熱した。反応を50℃で4時間維持した。
【0103】
エマルション2を調製し、まだビーカーの中にある時、30分間パージした。反応フラスコにエマルション2を添加し、「VAZO」56 WSP開始剤(0.12g)を脱イオン水(4.22g)に溶解させたものを添加し、反応を50℃で8時間維持した。反応を周囲温度まで冷却した。SUPRALATE WAQE界面活性剤(0.59g、Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能)を含有する脱イオン水(41.8g)溶液を生成物と周囲温度で混合した。得られるコアシェルエマルションポリマーはミルクフィルタでろ過され、重量301.02g、固形分24.5%であった。
【0104】
試験方法1に記載のように従来のパッド浴(浸漬)プロセスを使用して、ナイロン布帛およびポリエステルをコポリマー水性分散体で処理した。前述の試験方法2〜5に従って、処理布帛で撥水性試験、撥スプレー性試験および撥油性試験を実施した。結果を表6Bおよび6Cに記載する。
【0105】
比較例F
この比較例は、実施例1の表4と類似の組成を有するが、塩化ビニリデンの代わりにメタクリル酸メチルを使用する2つのエマルションの混合物の形成を説明する。コアおよびシェルの形成に使用されるエマルション1および2の組成をそれぞれ表5Eに記載する。
【0106】
【表11】

【0107】
エマルション1を調製し、攪拌機、熱電対温度計、および冷却器(1.5℃)を備えた500mLの4つ口反応器に添加した。エマルションを30分間窒素でパージした。30分後、反応器にメタクリル酸メチルを添加し、10分間攪拌した。「VAZO」56 WSP開始剤(0.28g)、本件特許出願人(Wilmington,DE)を脱イオン水(10.71g)に溶解させたものを添加した後、混合物を0.5時間以内に50℃に加熱した。反応を50℃で4時間維持した。
【0108】
エマルション2を調製し、まだビーカーの中にある時、30分間パージした。反応フラスコにエマルション2を添加し、「VAZO」56 WSP開始剤(0.12g)を脱イオン水(4.24g)に溶解させたものを添加し、反応を50℃で8時間維持した。反応を周囲温度まで冷却した。SUPRALATE WAQE界面活性剤(0.60g、Witco Corporation(Greenwich,Conn.)から入手可能)を含有する脱イオン水(41.8g)溶液を生成物と周囲温度で混合した。
【0109】
試験方法1に記載のように従来のパッド浴(浸漬)プロセスを使用して、ナイロン布帛およびポリエステルをコポリマー水性分散体で処理した。前述の試験方法2〜5に従って、処理布帛で撥水性試験、撥スプレー性試験および撥油性試験を実施した。結果を表6Bおよび6Cに記載する。
【0110】
【表12】

【0111】
結果から、比較例Aと同じフッ素重量%の実施例1のコアシェルエマルションポリマーで処理された布帛は、ナイロンおよびポリエステル布帛で、ずっと優れた耐油性、耐水性および耐スプレー性(spray resistance)を示すことが分かる。比較例Aは、実施例1のコア組成物およびシェル組成物と同一の組成を有するエマルションの非コアシェル混合物であった。これから、2段階重合によって誘導されるコアシェル構造は、布帛用の処理剤として、1段階重合プロセスによって提供されるエマルションの混合物のものよりずっと改善された特性を有するポリマーエマルションを提供することが分かった。
【0112】
結果から、比較例Bより低いフッ素重量%の実施例1のコアシェルエマルションポリマーで処理された布帛は、ナイロン布帛で、ずっと優れた耐油性、耐水性および耐スプレー性を示すことが分かった。比較例Bは、実施例1のシェル組成物と類似の組成物のランダム乳化重合によって誘導されるエマルションポリマーと、実施例1のコア組成物と類似のランダムポリマーエマルションのブレンドであった。比較例Bブレンドは、実施例1と類似の全組成を有し、実施例1の27.8重量%に対して33重量%とフッ素化モノマー含有率が僅かに高いが、コアシェル構造を有していない。比較例Bブレンドで処理された布帛は、実施例1に匹敵する、はじく性質を示したが、実施例1の耐久性を示さず、コアシェル構造は、比較的低レベルのフッ素化モノマーで、比較的良好な性能特性を比較的長時間にわたって可能にすることが分かった。
【0113】
実施例1および比較例C、D、EおよびFの結果を表6Bおよび6Cに記載する。
【0114】
【表13】

【0115】
【表14】

【0116】
比較例Cは、米国特許第6,790,898号明細書(Leeら)の実施例1に開示されているようなコアシェルエマルションポリマーであり、コアのモノマーとしてスチレンを使用し、シェルのフッ素化モノマーは3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルアクリレートであった。本発明の実施例1と比較例Cを類似の浴中F%で比較することによって、ナイロンでは、比較例Cの方が初期試験と5HW試験の両方で、かなり低い撥油性、撥水性および撥スプレー性を示すことが分かった。ポリエステルでは、比較例Cは、類似の初期撥油性、撥水性および撥スプレー性を示したが;5HW試験では、実施例1のものよりかなり低い撥油性、撥水性および撥スプレー性を示し;比較例Cは耐久性が劣っていることが分かった。
【0117】
比較例Dは、米国特許第6,790,898号明細書(Leeら)の実施例1に開示されているようなコアシェルエマルションポリマーであり、コアのモノマーとしてスチレンを使用したが、シェルのフッ素化モノマー3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルアクリレートの代わりに、実施例1で使用したA3メタクリレートであるC6同族体を使用した。従って、比較例Dと実施例1の比較は、同じフッ素化モノマー、A3メタクリレートをシェルに使用するがコアのモノマーが異なる比較を可能にした。本発明の実施例1と比較例Dを同じ浴中F%で比較することによって、ナイロンでは、比較例Dの方が初期試験と5HW試験の両方で、かなり低い撥油性、撥水性および撥スプレー性を示すことが分かった。ポリエステルでは、比較例Dの方が、初期試験と5HW試験の両方で、実施例1のものよりかなり低い撥油性と撥水性を;5HW試験で低い撥スプレー性を示した。Leeらの参考文献のコアシェルシステムにC6過フッ素化モノマーを使用することは、良好な撥油性と撥水性を付与するのに十分ではないことが分かった。更に、本明細書で開示される本発明の実施例1の組成物は、比較例Dのものより優れた撥油性と撥水性;および優れた耐久性を付与した。
【0118】
比較例Eは、実施例1で開示したようなコアシェルエマルションポリマーであったが、塩化ビニリデンの代わりにスチレンを使用した。本発明の実施例1と比較例Eを同じ浴中F%で比較することによって、ナイロンでは、比較例Eの方が初期試験と5HW試験の両方で、低い撥油性と撥水性を示すことが分かった。ポリエステルでは、比較例Eの方が、初期試験と5HW試験の両方で、実施例1のものよりかなり低い撥油性と撥水性を示した。これから、コアが塩化ビニリデンを含むコアシェルポリマーの方が、コアにスチレンを有する匹敵するコアシェルポリマーよりも良好な撥油性と撥水性を示すことが分かった。
【0119】
比較例Fは、実施例1で開示したようなコアシェルエマルションポリマーであったが、塩化ビニリデンの代わりにメタクリル酸メチルを使用した。本発明の実施例1と比較例Fを同じ浴中F%で比較することによって、ナイロンでは、比較例Fの方が、初期試験で低い撥油性と撥水性を示し、5HW試験でかなり低い撥油性と撥水性を示すことが分かった。ポリエステルでは、比較例Fの方が、実施例1のものより、初期試験で低い撥油性と撥水性を示し、5HW試験でかなり低い撥油性と撥水性を示した。これから、コアが塩化ビニリデンを含むコアシェルポリマーは、とりわけ5HW試験で、コアにメタクリル酸メチルを有する匹敵するコアシェルポリマーよりも良好な撥油性と撥水性を示すことが分かった。これから、実施例1は比較例Fのものと比較して優れた耐久性を示すことが分かった。
【0120】
実施例2〜5
実施例1の手順を使用し、表8〜11に記載の配合を使用して実施例2〜5を調製し、表7に記載のコアシェルポリマーを得た。
【0121】
【表15】

【0122】
【表16】

【0123】
【表17】

【0124】
【表18】

【0125】
【表19】

【0126】
従来のパッド浴(浸漬)プロセスを使用し、ナイロン布帛を実施例2〜5のコポリマー水性分散体で処理した。実施例2〜5のポリマーエマルションの濃縮分散体、3部を97部の脱イオン水で希釈し、水浴中3重量%のエマルションを有するパッド浴を得た。浴中で布帛をパディングし、過剰の液体を圧搾ローラで取り除いた。本件特許出願人(Wilmington,DE)から入手可能な湿潤剤、ALKANOL6112も浴中に0.2重量%含んだ。ウェットピックアップは、約50〜60%であった。布帛を約160℃で2分間硬化させ、処理および硬化後に約15〜18時間「放置(rest)」した。前述の試験方法2〜5に従って、処理布帛で撥水性試験、撥スプレー性試験および撥油性試験を実施した。結果を表12に記載する。
【0127】
【表20】

【0128】
結果から、実施例2〜5のエマルションポリマーは、ナイロン布帛で、良好な撥油性と、良好〜優れた撥水性および撥スプレー性を有することが分かった。
【0129】
実施例6〜11
実施例1の手順を使用し、表13に記載の様々なフッ素化モノマーを使用して実施例6〜11を調製した。
【0130】
【表21】

【0131】
「材料」の項目で記載したように調製された様々なフッ素化モノマーを一定重量、実施例6〜11で使用し、ろ過されたコアシェルポリマーエマルションを得た。コアおよびシェルポリマーの形成に使用されるエマルション1および2の組成を表14に記載する。
【0132】
【表22】

【0133】
塩化ビニリデンを除き、脱イオン水を50〜60℃に予熱したエマルション1の成分を実施例1で前述したようにプラスチック製のビーカー内で超音波処理した。攪拌機、熱電対温度計、および冷却器(−5℃〜−10℃)を備えた250mLの4つ口反応器にエマルションを移した。熱脱イオン水(5g)で洗浄してエマルションを反応器に入れ、温度が30℃未満になるまで約30分間窒素でパージした。次いで、塩化ビニリデンを反応フラスコに添加し、5分間混合した。本件特許出願人(Wilmington,DE)から入手可能なVAZO 56 WSP開始剤(0.125g)を脱イオン水(9.4g)に溶解させたものを添加し、混合物を0.5時間以内に50℃に加熱し、4時間維持した後、周囲温度まで冷却してコアポリマーエマルションを得た。
【0134】
水を50〜60℃に予熱したエマルション2の成分を前述のようにプラスチック製のビーカー内で超音波処理し、エマルションを得た。エマルションを約30分間窒素でパージした後、コアポリマーエマルションが入った反応器に添加した。脱イオン水(9.13g)に溶解させたVAZO 56 WSP開始剤(0.065g)を添加し、混合物を0.5時間以内に50℃に加熱し、8時間維持した後、周囲温度まで冷却した。Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能なSUPRALATE WAQE界面活性剤(0.3g)を含有する脱イオン水(13.7g)溶液を生成物と周囲温度で混合した。得られるコアシェルエマルションポリマーはミルクフィルタでろ過され、重量約141g、固形分21.8%であった。
【0135】
従来のパッド浴(浸漬)プロセスを使用し、ナイロン布帛をコポリマー水性分散体で処理した。実施例6〜11のポリマーエマルションの濃縮分散体を脱イオン水で希釈し、0.2重量%のフッ素を有するパッド浴を得た。布帛を浴中でパディングし、過剰の液体を圧搾ローラで取り除いた。本件特許出願人(Wilmington,DE)から入手可能な湿潤剤、ALKANOL6112も浴中に0.2重量%含んだ。ウェットピックアップは、約50%であった。布帛を約160℃で2分間硬化させ、処理および硬化後に約15〜18時間「放置」した。前述の試験方法2〜5に従って、処理布帛と未処理対照で撥水性試験、撥スプレー性試験および撥油性試験を実施した。結果を表15に記載する。
【0136】
【表23】

【0137】
結果から、実施例6〜10のエマルションは全て、ナイロン布帛で、良好な撥水性と、可〜良好な撥油性を示し、20回洗濯した後、はじく性質を良好に維持することが分かった。
【0138】
従来のパッド浴(浸漬)プロセスを使用し、ポリエステル布帛をコポリマー水性分散体で処理した。実施例6〜11のポリマーエマルションの濃縮分散体を脱イオン水で希釈し、0.2重量%のフッ素を有するパッド浴を得た。布帛を浴中でパディングし、過剰の液体を圧搾ローラで取り除いた。本件特許出願人(Wilmington,DE)から入手可能な湿潤剤、ALKANOL6112も浴中に0.2重量%含んだ。ウェットピックアップは、約87%であった。布帛を約160℃で2分間硬化させ、処理および硬化後に約15〜18時間「放置」した。前述の試験方法2〜5に従って、処理布帛で撥水性試験、撥スプレー性試験および撥油性試験を実施した。結果を表16に記載する。
【0139】
【表24】

【0140】
結果から、実施例6〜11のエマルションは全て、ポリエステル布帛で、良好な撥水性と良好〜優れた撥油性を示し、はじく性質の耐久性があることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)水非含有および界面活性剤非含有を基準にして、成分(a)および(b):
(a)スチレン;アルキルが炭素数1〜約18の直鎖、環状又は分岐鎖炭化水素であるアルキル置換スチレン;および、アルキルが炭素数約6〜約18の直鎖、環状又は分岐鎖炭化水素であるアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1つ以上のモノマー、約40〜約95重量%、および
(b)塩化ビニリデン、塩化ビニル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマー、約5〜約60重量%、
を含む、第1の重合によって調製されたコア組成物、並びに
B)水非含有および界面活性剤非含有を基準にして、成分(c)および(d):
(c)式(I)、(II)又は(III):
(I)Rf1(CH2mZ−C(O)−C(R1)=CH2
(II)Rf2(CH2CF2q(CH2CH2rZ−C(O)−C(R1)=CH2
(III)Rf3O(CF2CF2q(CH2CH2rZ−C(O)−C(R1)=CH2
(式中、
mは1〜約6の整数であり、
qおよびrはそれぞれ独立して1〜約3の整数であり、
1は水素、Cl、F又はCH3であり、
Zは−O−、−NH−又は−S−であり、
f1は炭素数4又は6の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基であり、
f2は炭素数約4〜約6の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基であり、
f3は、任意に1個、2個又は3個のエーテル酸素原子によって中断された炭素数約2〜約7の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基である)
の1つ以上のフッ素化モノマー、約50〜約85重量%、および
(d)スチレン;アルキルが炭素数1〜18の直鎖、環状又は分岐鎖炭化水素であるアルキル置換スチレン;および、アルキルが炭素数6〜18の直鎖、環状又は分岐鎖炭化水素であるアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択されるモノマー、約15〜約50重量%、
を含む、前記コア組成物の存在下で第2の重合によって調製されたシェル組成物、
を含む撥水撥油性コアシェルエマルションポリマーであって、
但し、i)前記コア組成物が前記ポリマーの約20〜約75重量%を構成し、ii)Rf1又はRf2の炭素数が4であるとき、R1はCH3であり、iii)Rf3の炭素数が2又は3であるとき、R1はCH3である、
エマルションポリマー。
【請求項2】
前記コア組成物が、成分(e):
(e)2−および4−クロロメチルスチレン、酢酸ビニル、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、および、次式:
2−(OCH2CH2a−O−C(O)−C(R)=CH2
(式中、aは1〜約10であり、RはH又は−CH3であり、R2は水素、C1〜C4アルキル、又は−C(O)−C(R)=CH2である)
のモノマーからなる群から選択される1つ以上のモノマー、約0.5〜約10重量%、
を更に含む、請求項1に記載のエマルションポリマー。
【請求項3】
成分(c)が、
1)式(I)(Zが−O−であり、mが2であり、R1がCH3であり、Rf1の炭素数が6である)のフッ素化モノマー、
2)式(I)(式中、Zが−O−であり、mが2であり、R1がCH3であり、Rf1の炭素数が4および6である)のフッ素化モノマーの混合物、
3)式(II)(式中、Zが−O−であり、qが1又は2であり、rが1であり、R1がCH3であり、Rf2の炭素数が6である)の1つ以上のフッ素化モノマー、又は
4)式(III)(式中、Zが−O−であり、qが1であり、rが1であり、R1がCH3であり、Rf3の炭素数が3である)のフッ素化モノマー、
である、請求項1に記載のエマルションポリマー。
【請求項4】
成分(a)が、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物である、請求項1に記載のエマルションポリマー。
【請求項5】
成分(b)が、塩化ビニリデンを約10〜約45重量%含む、請求項1に記載のエマルションポリマー。
【請求項6】
成分(d)が、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物からなる群から選択されるアルキル(メタ)アクリレートである、請求項1に記載のエマルションポリマー。
【請求項7】
界面活性剤、pH調整剤、架橋剤、湿潤剤、ブロックイソシアネート、ワックス増量剤、および炭化水素増量剤からなる群から選択される1つ以上の材料を更に含む、請求項1に記載のエマルションポリマー。
【請求項8】
繊維基材の表面に請求項1又は2に記載のコアシェルエマルションポリマーを塗布する工程を含む、撥油性および撥水性を付与するための繊維基材の処理方法。
【請求項9】
前記コアシェルエマルションポリマーが、界面活性剤、pH調整剤、架橋剤、湿潤剤、ブロックイソシアネート、ワックス増量剤、および炭化水素増量剤の1つ以上の存在下で塗布される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
表面に請求項1、2又は7に記載のエマルションポリマーが塗布された繊維基材。

【公表番号】特表2010−534740(P2010−534740A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518331(P2010−518331)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/070747
【国際公開番号】WO2009/015136
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】