説明

フルオロポリマーエマルジョン

A)第1のポリマーであって、
(a)疎水化ナノ粒子;
(b)C1〜C18の、直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキル(メタ)アクリレート;
(c)N−メチロール(メタ)アクリルアミドまたは式(I)のモノマー
R−(OCH2CH2a−O−C(O)−C(R1)=CH2 (I)
(式中、Rが、水素、C1〜C4アルキル、または−C(O)−C(R1)=CH2であり、R1が、Hまたは−CH3である)
を含み;
第2のポリマーと接触している第1のポリマーと、
B)第2のポリマーであって、
(d)式(II)のフッ素化モノマー
f1−L−X−C(O)−C(R)=CH2 (II)
(式中、Rf1が、1〜約50個の酸素原子によって任意選択的に介在された;2〜約100個の炭素原子を有する一価の、部分的にまたは完全にフッ素化された、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基であり;炭素原子対酸素原子の比率が、少なくとも2:1であり、いずれの酸素原子も互いに結合されておらず;
Lが、結合、あるいは1〜約20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の二価の連結基であり、前記連結基が、−O−、−NR6−、−S−、−SO−、−SO2−、および−N(R6)C(O)−からなる群から選択される1〜約4個のヘテロ基によって任意選択的に介在され、R6が、HまたはC1〜C6アルキルであり、前記連結基が、CH2Clで任意選択的に置換され;
Xが、−O−、−N(R)−、または−S−であり、Rが、HまたはCH3である);
(e)上の(b)に記載されるモノマー;および
(f)上の(c)に記載されるモノマー
を含む第2のポリマーと
を含むポリマー組成物であって;
ただし、第1のポリマーが、ポリマー組成物の約50重量%〜約70重量%を占めるポリマー組成物、ならびに撥油性、撥水性、および動的撥水性を基材に与えるためのその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2段階乳化重合によって調製される、疎水化無機酸化物粒子、フッ素化モノマー、および非フッ素化アクリルモノマーを含むポリマーに関する。得られる組成物は、向上した疎水性および疎油性を、基材、特に繊維基材(fibrous substrate)に与えるのに有用である。
【背景技術】
【0002】
様々な組成物が、表面効果を基材に与えるための処理剤として有用であることが知られている。表面効果としては、水分、汚れ、およびしみに対する撥性(repellency)、および他の効果が挙げられ、これらの表面効果は、繊維、布帛、織物、カーペット、紙、皮革、および他のこのような基材などの繊維基材に特に有用である。多くのこのような処理剤は、フッ素化ポリマーまたはコポリマーである。
【0003】
繊維基材処理剤としての実用性を有するフッ素化ポリマー組成物は、一般に、様々な結合基によって、フッ素を含有しない重合性基に一般に結合されるパーフルオロアルキル側基を含有する。次に、得られるモノマーは、一般に、さらなる好ましい特性を基材に与える他のモノマーと共重合される。改善された架橋、ラテックス安定性および直接性を与えるために様々な特殊化モノマーが組み込まれてもよい。各原料は、その望ましい特性に加えて望ましくない可能性があるいくつかの特性を与えることがあるため、特定の組合せが所望の用途に向けられる。
【0004】
米国特許出願公開第2005/0095933号明細書には、撥性成分、防汚成分、しみ除去成分、および粒子を組み合わせることによって形成される織物を処理するための組成物が開示されている。様々な市販のフッ素化ポリマーが、撥性成分として用いられ、粒子は、無機酸化物または塩基性金属塩である。フッ素化ポリマーおよび粒子は、別々に溶液に加えられ、したがってポリマーと粒子との混合物となり、これが、処理されるべき基材に塗布される。
【0005】
塩化ビニリデンは、表面効果のために処理される基材に用いられる市販のフッ素化ポリマーに一般的に用いられる。VDCを含有するポリマーの主な副生成物が塩酸であることが周知である。遊離塩酸は、ポリマーの分解に寄与するだけでなく、処理される織物の脱色を引き起こすこともあり、黄ばみを生じさせることもある。さらに、米国労働安全衛生総合研究所(the National Institute for Occupational Safety and Health)(NIOSH)は、実行可能な最低濃度(0.4ppm、定量限界)の塩化ビニリデンについての推奨される暴露限度を設定した。NIOSHはまた、塩化ビニリデンを潜在的なヒト発癌性物質とみなしている。したがって、基材を処理するのに用いられる塩化ビニリデンは制限されるべきである。
【0006】
フッ素化ポリマーは、その費用のために、表面効果を与えるために基材を処理する際により低いレベルで用いることが求められる。しかしながら、6個以下の炭素の短鎖パーフルオロアルキル基を含有するポリマーを用いることでフッ素のレベルを減少させることは、商業的に成功していない。したがって、塩化ビニリデンを含有せず、耐久性のある撥水性および撥油性を含む表面効果を与え、性能のレベルを保つとともに、高価なフッ素化成分の使用がより少ない、基材を処理するための組成物が必要とされている。本発明は、このような組成物を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
A)第1のポリマーであって、無水ベースで、
(a)約0.1重量%〜約1.0重量%の疎水化ナノ粒子;
(b)約89重量%〜約99.8重量%の、C1〜C18の、直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキル(メタ)アクリレートの1種以上のモノマー;
(c)約0.1重量%〜約10.0重量%の、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよび式(I)のモノマーからなる群から選択される1種以上のモノマー
R−(OCH2CH2a−O−C(O)−C(R1)=CH2 (I)
(式中、Rが、水素、C1〜C4アルキル、または−C(O)−C(R1)=CH2であり、R1が、Hまたは−CH3である)
を含み;第2のポリマーと接触している第1のポリマーと、
B)第2のポリマーであって、無水ベースで、
(d)約70重量%〜約90重量%の、式(II)のフッ素化モノマー
f1−L−X−C(O)−C(R)=CH2 (II)
(式中、Rf1が、1〜約50個の酸素原子によって任意選択的に介在された;2〜約100個の炭素原子を有する一価の、部分的にまたは完全にフッ素化された、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基であり;炭素原子対酸素原子の比率が、少なくとも2:1であり、いずれの酸素原子も互いに結合されておらず;
Lが、結合、あるいは1〜約20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の二価の連結基であり、前記連結基が、−O−、−NR6−、−S−、−SO−、−SO2−、および−N(R6)C(O)−からなる群から選択される1〜約4個のヘテロ基によって任意選択的に介在され、R6が、HまたはC1〜C6アルキルであり、前記連結基が、CH2Clで任意選択的に置換され;
Xが、−O−、−N(R)−、または−S−であり、Rが、HまたはCH3である);
(e)約10重量%〜30重量%の、C1〜C18の、直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキル(メタ)アクリレートの1種以上のモノマー;および
(f)約0.1重量%〜約10.0重量%の、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよび式(I)のモノマーからなる群から選択される1種以上のモノマー
R−(OCH2CH2a−O−C(O)−C(R1)=CH2 (I)
(式中、Rが、水素、C1〜C4アルキル、または−C(O)−C(R1)=CH2であり、R1が、Hまたは−CH3である)
を含む第2のポリマーと
を含むポリマー組成物であって;
ただし、第1のポリマーが、ポリマー組成物の約50重量%〜約70重量%を占めるポリマー組成物を含む。
【0008】
本発明は、基材を上記のポリマー組成物と接触させる工程を含む、撥油性、撥水性、および動的撥水性を基材に与える方法をさらに含む。
【0009】
本発明は、上記の方法にしたがって処理される基材をさらに含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、商標は、大文字で表される。
【0011】
用語「(メタ)アクリレート」は、特に記載のない限り、メタクリル酸およびアクリル酸のエステルを包含する。例えば、ヘキシル(メタ)アクリレートは、ヘキシルアクリレートおよびヘキシル(メタ)アクリレートの両方を包含する。
【0012】
本明細書において、用語「フッ素化アクリレート」「フッ素化チオアクリレート」および「フッ素化アクリルアミド」は、後述されるように式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、および(IIe)の化合物を指し、式中、Rが、特に規定のない限り、H、Cl、F、およびCH3からなる群から選択される。
【0013】
本発明は、撥油性および撥水性を、織物などの繊維基材に与えるのに有用なフッ素化ポリマーを含む組成物に関する。このポリマーは、フッ素化(メタ)アクリレート、非フッ素化(メタ)アクリレート、およびナノ粒子の2段階乳化重合から誘導される。
【0014】
本発明は、2段階重合プロセスを用いて調製されるエマルジョンポリマーが、このポリマーを形成するのに用いられる第1段階重合反応の際、分散された非フッ素化疎水化粒子を有する、表面効果を基材に与えるための組成物を提供する。得られる組成物は、粒子を含有しない従来の市販の処理剤と比較して、同等または向上した性能および表面効果の耐久性を処理された基材に与える。0.1重量%程度の少量の粒子をポリマー構造に組み込むと、性能を向上するのに効果的であることが分かった。好ましくは、約0.1重量%〜約1重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約0.8重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約0.6重量%の粒子成分が、ポリマーに組み込まれる。あるいは、約0.2重量%〜約1重量%、好ましくは約0.3重量%〜約1重量%、好ましくは約0.3重量%〜約8重量%の粒子成分が、ポリマー中に存在する。本発明は、同等またはより優れた性能を与えながら、より少量の処理剤の使用、または8個未満の炭素原子を有する(したがってより少ないフッ素を含有する)パーフルオロアルキル短鎖を含有する薬剤の使用を可能にする。
【0015】
本発明に使用するのに好ましいポリマーは、Rf1が、1〜約6個のカテナリー酸素原子(catenary oxygen atom)によって任意選択的に介在された;2〜約7個の炭素原子を有する一価の、部分的にまたは完全にフッ素化された、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基であり;炭素原子対酸素原子の比率が、少なくとも2:1である、フッ素化成分を組み込んだポリマーを含む。このようなポリマーは、従来の市販の表面処理剤より少ないフッ素を含有するが、それでもこのポリマーで処理された基材に、実質的に同等かまたはより優れた表面特性を与える。さらに、本発明の好ましいポリマーは、塩化ビニリデンを含有しないため、環境上の利点を提供する。
【0016】
本発明のポリマー組成物は、互いに物理的に接触している第1および第2のポリマーを含む。第1のポリマーは、最初の重合で形成され、その後、第2の重合で第2のポリマーが形成される。第2のポリマーは、コアシェル構造を形成するよう、第1のポリマーを完全に囲むことができ、この際、第1のポリマーがコアであり、第2のポリマーがシェルである。あるいは、第2のポリマーは、第1のポリマーを部分的に囲んでもよい。本明細書で使用される用語「コアシェル」は、これらの選択肢の両方を含む。コアシェル構造の形成は好ましく、その理由は、第2のポリマーがフッ素化されており、構造の外側にこのポリマーを有することが望ましいためである。これにより、第2のポリマーと、処理されるべき基材との接触が最大になり、基材に与えられる表面効果を最大にするのに役立ち得る。
【0017】
本発明のポリマーは、2段階重合によって調製される。第1の重合において、上記の成分(a)、(b)、および(c)が反応されて、第1のポリマーが得られる。その後、得られる第1のポリマーが、第2の重合において、上記の成分(d)、(e)、および(f)と反応されて、第2のポリマーが得られ、これが本発明のポリマーである。各重合についての成分の重量パーセントは、合計で100%になるように選択される。第1段階ポリマーは、最終生成物ポリマーの約50重量%〜約70重量%である。好ましくは、第1段階ポリマーは、最終生成物ポリマーの約55%〜約70%である。より好ましくは、第1段階ポリマーは、最終生成物ポリマーの約55重量%〜約65重量%である。
【0018】
第1段階ポリマーは、第1の重合から調製され、成分(a)疎水化ナノ粒子、(b)アルキル(メタ)アクリレートの1種以上のモノマー、および(c)N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよび上記の式(I)のモノマーからなる群から選択される1種以上のモノマーを含む。
【0019】
第1の重合に用いられる疎水化ナノ粒子成分は、ヒドロキシル基、アミノ基、またはそれらの混合物などの基を有する任意の無機酸化物粒子であり得る。一実施形態において、疎水化ナノ粒子成分は、Si、Ti、Zn、Mn、Al、およびZrの無機酸化物を含む。好ましくは、無機酸化物は、約10〜500nm;50〜500nm;80〜400nmおよび100〜約300nmの平均粒径を有する。別の実施形態において、微粒子成分は、ヒュームド(fumed)粒子である。さらなる実施形態において、微粒子成分は、アルコキシシラン、クロロシラン、金属アルコキシド、または金属ハロゲン化物の加水分解によって作製されるコロイド粒子である。
【0020】
一実施形態において、無機酸化物は、疎水性基;好ましくは、C1〜C18アルキルトリクロロシラン、C1〜C18ジアルキルジクロロシラン、C1〜C18トリアルキルクロロシランを含むアルキルハロシラン;C1〜C18アルキルトリメトキシシラン、C1〜C18ジアルキルジメトキシシラン、C1〜C18トリアルキルメトキシシランを含むアルキルアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザンを含むアルキルジシラザン;ポリジメチルシロキサンを含むポリジアルキルシロキサン;およびそれらの混合物からなる群から選択される疎水性表面処理試薬と、無機酸化物との反応から誘導される疎水性基で少なくとも部分的に表面改質されている。
【0021】
本発明の組成物を形成するのに有用な市販の表面改質無機酸化物としては、Evonik Industries(Essen、Germany)から入手可能な商標名AEROSIL、AEROXIDE、およびRシリーズのヒュームドシリカが挙げられ;特にAEROXIDE LE1、LE2、およびLE3が有用である。他の市販の表面改質無機酸化物としては、Cabot Corporation(Tuscola、IL)製の商標名CABOSILのもの;およびWacker Chemie(Munich、Germany)製のHDK粒子シリーズが挙げられる。
【0022】
本発明の組成物に有用なコロイド粒子としては、コロイドアルミナ、例えば、Vista Chemical Company(West Creek、NJ)から入手可能なCATAPALおよびDISPALアルミナ;コロイドシリカ懸濁液、例えば、Nalco Chemical Company(Naperville、IL)から入手可能なNALCOシリカが挙げられる。
【0023】
本発明に有用な、疎水性基で少なくとも部分的に表面改質された特殊無機酸化物は、合成によって作製することができる。本発明の一実施形態は、無機酸化物が、Si、Ti、Zn、Zr、Mn、Al、およびそれらの組合せからなる群から独立して選択されるM原子の酸化物を含む表面改質無機酸化物粒子である組成物であり;少なくとも1つの粒子が、式(IV)
(−L2−)d(−L3c(−Si−R7(4-d)) (IV)
(式中:
2が、Mに共有結合された酸素を表し;各L3が、独立して、H、C1〜C2アルキル、およびOHからなる群から選択され;dおよびcは、dが1以上であり、cが0以上であり、合計(d+c)が3以下であるような整数であり;
7が、1〜18個の炭素原子を含有する直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキル基である)
によって表される少なくとも1つの基に共有結合された表面を有する。
【0024】
粒子は、無機酸化物と、様々なアルキルシロキサン、シラザン、ポリアルキルシロキサンとの反応によって調製される。これらの反応は、典型的に、約50℃〜約100℃の温度まで加熱しながら、窒素などの不活性雰囲気下で、ペンタン、ヘプタン、またはイソ−オクタンなどの炭化水素溶媒中で行われる。数時間後、生成物は、遠心分離などの従来の手段によって分離され、洗浄される。得られる粒子は、粒子に共有結合された少なくとも1個の酸素および疎水化シリコーンおよび少なくとも1個の水素を有する。
【0025】
本発明の第1段階乳化重合内の成分(b)は、アルキルが、C1〜C18の、直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキルであるアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上のモノマーである。好ましくは、成分(b)の割合は、第1のポリマーの約89重量%〜約99.8重量%、より好ましくは約90重量%〜約98重量%、より好ましくは約91重量%〜約97重量%である。
【0026】
成分(b)に有用な特定のアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。好ましいモノマーは、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、またはそれらの混合物である。このようなモノマーは市販されている。
【0027】
第1段階乳化重合内の成分(c)は、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、下式のモノマー:
R−(OCH2CH2a−O−C(O)−C(R1)=CH2 (I)
(式中、aが、1〜約10であり、Rが、水素、C1〜C4アルキル、または−C(O)−C(R1)=CH2であり1が、Hまたは−CH3である)
からなる群から選択される1種以上のモノマーである。成分(c)は、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約0.8重量%で第1段階ポリマー中に存在する。好ましいモノマーは、アリル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、およびエトキシ化モノマーである。エトキシ化モノマーにおいて、好ましくは、添字aは、約4〜約10である。
【0028】
第1の乳化重合により、本明細書において第1段階ポリマーまたはエマルジョン1とも表される第1のポリマーが得られる。第1段階重合は、第2の重合が開始される前に、高転化率まで行われる。第2段階重合では典型的に、成分のプレエマルジョン混合物が調製され、第1段階重合から得られるポリマーに加えられる。したがって、第2の重合は、第1のポリマーの存在下で行われる。
【0029】
第2の重合は、(d)式(II)Rf1−L−X−C(O)−C(R)=CH2の1種以上のフッ素化(メタ)アクリレートモノマー、(e)アルキル(メタ)アクリレートの1種以上のモノマー、ならびに(f)N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよび上記の式(I)のモノマーからなる群から選択される1種以上のモノマーをさらに含む。生成物ポリマーにおいて、第1段階ポリマーは、ポリマーの約20重量%〜約75重量%を占める。重合は、溶媒中、任意選択的に界面活性剤の存在下で行われる。
【0030】
第2段階重合の成分(d)は、式(II)のフッ素化モノマー
f1−L−X−C(O)−C(R)=CH2 (II)
であり、式中、Rf1が、1〜約50個の酸素原子によって任意選択的に介在された;2〜約100個の炭素原子を有する一価の、部分的にまたは完全にフッ素化された、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基であり;炭素原子対酸素原子の比率が、少なくとも2:1であり、いずれの酸素原子も互いに結合されておらず;Lが、結合、あるいは1〜約20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の二価の連結基であり、前記連結基が、−O−、−NR6−、−S−、−SO−、−SO2−、および−N(R6)C(O)−からなる群から選択される1〜約4個のヘテロ基によって任意選択的に介在され、R6が、HまたはC1〜C6アルキルであり、前記連結基が、CH2Clで任意選択的に置換され;Xが、−O−、−N(R)−、および−S−からなる群から選択され;Rが、H、Cl、FまたはCH3である。
【0031】
好ましいRf1基としては、F(CF2n、F(CF2nO(CF2n、F(CF2nOCFHCF2、またはF(CF2n[OCF2CF(CF3)]p[OCF2CF2qが挙げられ、式中、nが1〜約6であり;xが1〜約6であり;p、q、およびmが各々独立して1〜約3である。
【0032】
Lが、結合、R5、R6−A、A、またはエチレンオキシドであり、式中、AがC1〜C6アルキルであり、R5が、−S(CH2u−、
【0033】
【化1】

【0034】
からなる群から選択される二価基であり、
uが、約2〜約4の整数であり;
sが、1〜約50の整数であり;
2、R3、およびR4が、各々独立して、水素、または1〜約6個の炭素原子を含有するアルキル基である。
【0035】
好ましくは、モノマー(II)は、式(IIa)、(IIb)、(IIc)および(IId):
(IIa)F(CF2n(CH2t(R5rX−C(O)−C(R)=CH2
(IIb)F(CF2n(CH2CF2p(CH2CH2q(R5rX−C(O)−C(R)=CH2
(IIc)F(CF2nO(CF2nCH2(Ct2t)(R5r)X−C(O)−C(R)=CH2
(IId)F(CF2n−OCFHCF2(OCH2CH2vX−C(O)−C(R)=CH2
からなる群から選択され、式中、
Xが、−O−、−NR1−;または−S−であり;
nが、1〜約6の整数であり;
tが、1〜約10の整数であり;
xが、1〜約6の整数であり;
p、q、およびmが、各々独立して、1〜約3の整数であり;
rが、0または1であり;
vが、1〜約4の整数であり;
5が、−S(CH2u−、
【0036】
【化2】

【0037】
からなる群から選択される二価基であり、
uが、約2〜約4の整数であり;
sが、1〜約50の整数であり;
2、R3、およびR4が、各々独立して、水素、または1〜約6個の炭素原子を含有するアルキル基である。
【0038】
フッ素化成分(d)は、第2のポリマーの約70重量%〜約90重量%、好ましくは約75重量%〜約90重量%、より好ましくは約75重量%〜約80重量%で第2の重合において存在する。
【0039】
本発明の組成物を形成するのに有用な式(IIa)、(IIb)、(IIc)および(IId)(式中、Xが、OまたはSである)のフッ素化アクリレートおよびフッ素化チオアクリレートは、米国特許第3,282,905号明細書および欧州特許出願公開第1632542 A1号明細書に記載される手順を用いて、アクリル酸、メタクリル酸、2−クロロアクリル酸または2−フルオロアクリル酸によりエステル化することによって、対応するフッ素化アルコールおよびフッ素化チオールから調製される。あるいは、式(IIa)、(IIb)、(IIc)および(IId)のアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルは、米国特許第3,890,376号明細書に開示される手順にしたがって、対応する硝酸エステルから作製することができる。
【0040】
本発明の組成物を形成するのに有用な式(IIa)、(IIb)、(IIc)および(IId)(式中、X=−N(R)−である)のフッ素化アクリルアミドは、塩基、例えば、トリエチルアミン(TEA)の存在下で、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド、2−クロロアクリル酸クロリドまたは2−フルオロアクリル酸クロリドと縮合することによって、対応するフッ素化アミンから調製される。典型的に、トルエンまたはキシレンなどの非ヒドロキシ炭化水素溶媒あるいはジクロロメタンなどのハロカーボンが、縮合に用いられる。
【0041】
本発明に使用するのに適したフッ素化アクリレートを形成するのに有用なフッ素化アルコールまたはチオールとしては、式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId):
(IIIa)F(CF2n(CH2t(R5rXH
(IIIb)F(CF2n(CH2CF2p(CH2CH2q(R5rXH
(IIIc)F(CF2nO(CF2nCH2(Ct2t)(R5rXH
(IIId)F(CF2n−OCFHCF2(OCH2CH2vXH
で表されるものが挙げられ、式中、
n、p、q、t、R1、X、およびvが、上記に開示されるとおりである。
【0042】
式(IIIa)において、パーフルオロアルキル基は、好ましくは直鎖状であるが、分枝鎖状パーフルオロアルキル基を含有する組成物が適している。本発明に有用な式(IIa)(式中、XがOである)の調製に有用なフッ素化アルコールは、E.I.DuPont de Nemours and Company Inc.(Wilmington、DE 19898 USA)から入手可能である。フッ素化アルコールの混合物を、式(IIa)の過フッ素化アルコールの形成に用いることができる。例えば、式F(CF2n(CH2tOH(式中、nが、1〜6の範囲であり、tが2である)のパーフルオロアルキルエチルアルコール混合物、または精製画分を用いることができる。tが2であり、nが4または6であるパーフルオロアルキルエタノールは、市販のパーフルオロアルキルエタノールのテロマー混合物を分留することによって得られる。市販の式(IIIa)の特定のフッ素化アルコールとしては、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−ヘキサノール、1H,1H,−パーフルオロ−1−ヘキサノール、および1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−オクタノールが挙げられる。
【0043】
本発明に有用な式(IIIb)(式中、Rf1が、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状パーフルオロアルキル基であり、XがOである)のフッ素化テロマーアルコールは、合成によって得られる。直鎖状または分枝鎖状パーフルオロアルキルヨウ化物によるフッ化ビニリデン(VDF)の短鎖重合が周知であり、構造式Rf1(CH2CF2pI(式中、pが1以上であり、Rf1がF(CF2nであり、ここでnが1〜6であり、好ましくはnが4または6である)の化合物を生成する。例えば、Balagueら、「Synthesis of fluorinated telomers、Part 1、Telomerization of vinylidene fluoride with perfluoroalkyl iodides」、J.Flour Chem.(1995)、70(2)、215−23を参照されたい。特定のテロマーヨウ化物は、分留によって単離される。米国特許第3,979,469号明細書に記載される手順によってテロマーヨウ化物をエチレンで処理して、テロマーエチレンヨウ化物Rf1(CH2CF2p(CH2CH2qI(式中、qが、1〜3以上である)を得ることができる。国際公開第95/11877号パンフレットに開示される手順にしたがって、テロマーエチレンヨウ化物を、オレウムで処理し、加水分解して、対応するテロマーアルコール(IIIb)を得ることができる。あるいは、テロマーエチレンヨウ化物を、N−メチルホルムアミドで処理した後、エチルアルコール/酸加水分解を行うことができる。
【0044】
フッ化ビニリデンおよびエチレンの短鎖重合から誘導され、本発明に有用なフッ素化アクリレートを形成するのに有用な特定のフッ素化テロマーアルコール(IIIa)、および(IIIb)としては、以下に限定はされないが、C49CH2CH2OH、C49(CH2CH22OH、C613CH2CH2OH、C613(CH2CH22OH、C613(CH2CH23OH、C49CH2CF2CH2CH2OH、C49(CH2CF22CH2CH2OH、C49(CH2CF23CH2CH2OH、C49CH2CF2(CH2CH22OH、C49(CH2CF22(CH2CH22OH、C613CH2CF2CH2CH2OH、C613(CH2CF22CH2CH2OH、C613(CH2CF23CH2CH2OH、C613CH2CF2(CH2CH22OH、C613(CH2CF22(CH2CH22OHが挙げられる。特定のアルコールのリスト、および本明細書の実施例で言及された基C37、C49、およびC613は、特に示されない限り、直鎖状パーフルオロアルキル基を指す。
【0045】
式(IIIc)(式中、pが1であり、Rf1が、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状パーフルオロアルキル基であり、XがOである)のフッ素化アルコールは、合成によって得られる。パーフルオロアルキルエーテルヨウ化物、例えばF(CF2nOCF2CF2Iは、出発点としてパーフルオロアルキルビニルエーテルを用いて、米国特許第5,481,028号明細書の実施例8に記載される手順によって作製される。第2の反応において、パーフルオロアルキルエーテルヨウ化物は、高温および高圧で過剰なエチレンと反応されて、テロマーエチルヨウ化物、F(CF2nOCF2CF2(CH2CH2qIが得られる。エチレンの付加は、熱的に行うことができ、好適な触媒の使用が好ましい。好ましくは、触媒は、過酸化ベンゾイル、過酸化イソブチロイル(isobutyroyl)、過酸化プロピオニル、または過酸化アセチルなどの過酸化物触媒である。より好ましくは、過酸化物触媒は、過酸化ベンゾイルである。反応の温度は限定されないが、110℃〜130℃の範囲の温度が好ましい。反応時間は、触媒および反応条件によって変わり得るが、24時間(h)で十分であることが分かった。生成物は、未反応の出発材料を最終生成物から分離する任意の手段によって精製することができるが、蒸留が好ましい。パーフルオロアルキルエーテルヨウ化物1モル当たり約2.7モルのエチレン、110℃の温度および自己圧力(autogenous pressure)、24時間の反応時間を用いて、蒸留によって精製して、理論値の最高80%の十分な収率が得られた。国際公開第95/11877号パンフレットに開示される手順にしたがって、パーフルオロアルキルエーテルエチルヨウ化物を、オレウムで処理し、加水分解して、対応するアルコール、例えばF(CF2nOCF2CF2(CH2CH2qOHを得ることができる。あるいは、パーフルオロアルキルエーテルエチルヨウ化物を、N−メチルホルムアミドで処理した後、エチルアルコール/酸加水分解を行うことができる。
【0046】
(IIIc)(式中、pが、2または3である)のより高級な同族体は、パーフルオロアルキルエーテルヨウ化物(XI)(式中、pが1である)によりテトラフルオロエチレンを短鎖重合し、その後、蒸留によって特定のテロマーを単離し、次に、エチレンにより短鎖重合することによって得られる。テロマーエチレンヨウ化物のより高級な同族体(qが、2または3である)は、高圧で過剰なエチレンを用いて得られる。
【0047】
本発明に有用な式(IIIc)の特定のフッ素化アルコールとしては、以下に限定はされないが、C25OCF2CF2CH2CH2OH、C25O(CF2CF22CH2CH2OH、C37OCF2CF2CH2CH2OH、C37O(CF2CF22CH2CH2OH、C49OCF2CF2CH2CH2OH、C49O(CF2CF22CH2CH2OH、C613OCF2CF2CH2CH2OH、C613O(CF2CF22CH2CH2OHが挙げられる。
【0048】
式(IIId)(式中、vが、1〜約4であり、Rf1が、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状パーフルオロアルキル基であり、XがOである)のフッ素化アルコールは、合成によって得られる。式(IIIe)の化合物は、アルカリ金属化合物の存在下での、パーフルオロアルキルビニルエーテルと、ジオールとの反応によって調製される。好ましいエーテルとしては、式F(CF2nOCF=CF2(式中、nが、1〜6個の炭素である)で表されるものが挙げられる。好ましいジオールとしては、ジエチレングリコールが挙げられる。ジオールは、エーテル1モル当たり約1〜約15モル、好ましくはエーテル1モル当たり約1〜約5モルで用いられる。好適なアルカリ金属化合物としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ水酸化物、アルカリ水素化物、またはアルカリアミドが挙げられる。Na、KまたはCsなどのアルカリ金属あるいはNaHまたはKHなどのアルカリ水素化物が好ましい。反応は、およそ周囲温度から約120℃、好ましくは約40℃〜約120℃の温度で行われる。反応は、エーテルまたはニトリルなどの任意選択による溶媒中で行うことができる。
【0049】
式(IIIa)(IIIb)、(IIIc)および(IIId)(式中、XがSである)のアルコールの対応するチオールは、J.Fluorine Chemistry、104、2 173−183(2000)に記載される手順にしたがって、様々な試薬による処理によって、フッ素化ヨウ化物化合物から得られる。一例は、テロマーエチレンヨウ化物とチオ酢酸ナトリウムとの反応と、その後の加水分解である。
【0050】
好ましい一実施形態は、式(II)が式(IIa)であり;さらにF(CF2nがC4〜C6パーフルオロアルキル基であり、さらにXがOである、上に開示される本発明の組成物である。
【0051】
別の好ましい実施形態は、式(II)が式(IIb)であり;好ましくはF(CF2nがC4〜C6パーフルオロアルキル基であり;より好ましくはpおよびqが1であり;より好ましくはXがOである、上に開示される本発明の組成物である。
【0052】
別の好ましい実施形態は、式(II)が式(IIc)であり;さらに添字nが、2〜6個のパーフルオロアルキルエーテル基であり;好ましくはXがOである、上に開示される本発明の組成物である。
【0053】
別の好ましい実施形態は、式(II)が式(IId)であり;さらにF(CF2nが、C4〜C6パーフルオロアルキルエーテル基であり;好ましくはXがOである、上に開示される本発明の組成物である。
【0054】
第2段階重合に用いられる第2の成分(e)は、約10重量%〜30重量%の、C1〜C18の、直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキル(メタ)アクリレートの1種以上のモノマーである。好ましくは、成分(e)の割合は、約15重量%〜約25重量%、より好ましくは約18重量%〜約23重量%である。成分(e)に有用な特定のアルキル(メタ)アクリレートは、成分(b)について上に既に挙げたものと同じである。
【0055】
第2の重合に用いられる第3の成分(f)は、約0.1重量%〜約10.0重量%の、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよび式(I)のモノマーからなる群から選択される1種以上のモノマー
R−(OCH2CH2a−O−C(O)−C(R1)=CH2 (I)
であり、式中、Rが、水素、C1〜C4アルキル、または−C(O)−C(R1)=CH2であり、R1が、HまたはCH3である。好ましくは、成分(f)の割合は、約0.5重量%〜約7重量%、より好ましくは約1重量%〜約5重量%である。成分(f)のための特定の好ましいモノマーは、成分(c)について上述したものと同じである。
【0056】
本発明のポリマーは、約0.1%〜約10%のフッ素含量を有する。好ましくは、フッ素含量は、それぞれ25%固形分の生成物を基準にして、約0.5%〜約7%、より好ましくは約0.5%〜約5%、より好ましくは約1%〜約5%である。
【0057】
本発明のポリマーを調製するのに用いられる重合反応は、典型的に、界面活性剤の存在下で行われる。本発明に有用な陽イオン性、陰イオン性および非イオン性界面活性剤は、水性エマルジョンを調製するのに一般的に用いられる界面活性剤のいずれかである。好適な陽イオン性剤としては、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムアセテート、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、エトキシ化アルキルアミン塩などが挙げられる。好適な陽イオン性界面活性剤の好ましい例は、炭素数18のアルキルアミンなどのエトキシ化アルキルアミン塩と、Akzo Nobel(Chicago、Ill)から入手可能なETHOQUAD 18/25などの15モルのエチレンオキシドとの塩化メチル塩である。本明細書で使用するのに適した非イオン性界面活性剤としては、エチレンオキシドと、C12〜C18脂肪アルコール、C12〜C18脂肪酸、アルキル基中に8〜18個の炭素原子を有するアルキルフェノール、C12〜C18アルキルチオールおよびC12〜C18アルキルアミンとの縮合生成物が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の好ましい例は、陽イオン性界面活性剤と組み合わせて用いられる場合、Stepan Company(Northfield、Ill)から入手可能なMERPOL SEなどのエトキシ化トリデシルアルコール界面活性剤である。本明細書で使用される好適な陰イオン性界面活性剤としては、アルキルカルボン酸およびその塩、硫酸水素アルキルおよびその塩、アルキルスルホン酸およびその塩、アルキルエトキシサルフェートおよびその塩、α−オレフィンスルホネート、アルキルアミドアルキレンスルホネートなどが挙げられる。アルキル基が8〜18個の炭素原子を有するものが一般に好ましい。Witco Corporation(Greenwich、CN)から入手可能なSUPRALATE WAQE界面活性剤などの、アルキル基の炭素数が平均で約12であるアルキル硫酸ナトリウム塩が特に好ましい。
【0058】
上記の原料および水に加えて、最終的なエマルジョンポリマーは、トリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、アセトンなどの補助溶媒を任意選択的に含有する。最高約10重量%、好ましくは約5重量%〜約10重量%の湿式エマルジョンが存在し得る。
【0059】
本発明のポリマーを調製するために乳化重合が用いられる。このプロセスは、2つの重合段階で行われる。第1の重合により、第1のポリマー(エマルジョン1)が得られる。このプロセスは、撹拌器および投入物を加熱または冷却するための外部手段を備えた反応容器中で行われる。ともに重合されるべきモノマーは、好適な界面活性剤、および任意選択的に有機溶媒を含有する水溶液中で乳化されて、約5重量%〜約50重量%のエマルジョン濃度が得られる。通常、加えられた触媒の存在下で重合を行うために、温度は、約40℃〜約70℃まで上げられる。好適な触媒は、エチレン性不飽和化合物の重合を開始するための一般的に知られている薬剤のいずれかである。このような一般的に用いられる開始剤としては、2,2’−アゾジ−イソブチルアミジン二塩酸塩;2,2’−アゾジイソブチロ−ニトリル;2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩および2,2’アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリルが挙げられる。加えられる開始剤の濃度は、通常、重合されるべきモノマーの重量を基準にして、0.1〜約2重量%である。得られるポリマーの分子量を制御するために、4〜約18個の炭素原子を有するアルキルチオールなどの少量の連鎖移動剤が、重合の際に任意選択的に存在する。重合の第2段階において、第2のポリマーエマルジョンが形成される。第2のポリマーの成分は、第1のポリマーエマルジョンを含む同じ反応器に加えられる。第2の重合で重合されるべきモノマーは、好適な界面活性剤、および任意選択的に有機溶媒を含有する水溶液中で乳化されて、約5重量%〜約50重量%のプレポリマーエマルジョン濃度(本明細書の実施例中のエマルジョン2)が得られる。このエマルジョンは、第1のポリマーに加えられ、第1の重合について記載したように、加えられる触媒の存在下で、通常約40℃〜約70℃の温度で重合が開始される。
【0060】
第2段階重合が完了した後、陰イオン性または陽イオン性界面活性剤のいずれかがエマルジョンに加えられる。陰イオン性界面活性剤が、重合の際に使用される場合、陽イオン性界面活性剤が、重合後に加えられる。陽イオン性界面活性剤が、重合の際に使用される場合、陰イオン性界面活性剤が、重合後に加えられる。特定の用途に必要なゼータ電位を得るため、ならびにエマルジョンを使用する際の、高いアルカリ度、高い陰イオン性濃度、または高いせん断の条件下で、所望の化学的および機械的安定性を得るために、陰イオン性および陽イオン性界面活性剤の両方が、本発明のエマルジョン中に存在する。
【0061】
本発明のポリマーは、任意選択による成分をさらに含み得る。任意選択による成分の一例としては、エマルジョン安定性を向上し、架橋を増大し、基材への結合を増大することで、耐久性を促進するのに有用な2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(2−プロペン酸、2−メチル−、2−ヒドロキシエチルエステル)が挙げられる。任意選択による成分の他の例としては、連鎖移動剤として使用するためのアルカンチオール、あるいはプロピレングリコールまたはジプロピレングリコールなどのグリコール共溶媒が挙げられ、これらは、最終的なエマルジョンを安定化させるのに役立ち得る。任意選択による成分は、第1のポリマー、または第2のポリマー、あるいは両方のポリマーの0重量%〜約2重量%で存在する。
【0062】
別の実施形態において、本発明の組成物は、pH調整剤、架橋剤、湿潤剤、ブロックトイソイアネート、ワックス増量剤(wax extender)、および当業者に公知の他の添加剤などのポリマー処理剤とともに一般的に用いられる他の添加剤をさらに含み得る。このような仕上げ剤または薬剤の例としては、加工助剤、発泡剤、潤滑剤、防汚剤(anti−stain)などが挙げられる。繊維基材について特に、合成または綿布帛が処理されるとき、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington、DE)から入手可能なALKANOL 6112などの湿潤剤を使用することができる。綿または綿混紡布帛が処理されるとき、Omnova Solutions(Chester、SC)から入手可能なPERMAFRESH EPCなどの防しわ性樹脂を使用することができる。
【0063】
繊維基材を処理するのに使用されるとき、本発明のポリマーは、基材に同時に塗布するための他の表面処理剤と混合することができ、または他の表面処理剤と同時に(in a tandem manner)塗布することができる。このような他の処理剤の例は、ノーアイロン、アイロン掛け容易性、収縮制御、しわ防止、パーマネントプレス、水分制御、柔軟性、強度、滑り防止、静電気防止、ほつれ防止、抗ピル性、防しみ性、しみ除去、防汚性、汚れ除去、撥水性、撥油性、防臭、抗菌性、日焼け防止、クリーナビリティおよび同様の効果などの表面効果を与えるものである。
【0064】
本発明は、基材の表面を、上記の本発明のポリマーと接触させる工程を含む、撥油性、撥水性、および動的撥水性を与えるために繊維基材を処理する方法をさらに含む。水性エマルジョンの形態の本発明のポリマーは、撥油性および撥水性にされるべき基材と直接接触される。本発明のエマルジョンは、単独であるいは希薄な非フッ素化ポリマー、または他の織物処理剤もしくは仕上げ剤と混合して塗布される。組成物は、製造施設、小売業者のところ(retailer location)で、または取り付けおよび使用の前に、または消費者のところ(consumer location)で塗布することができる。
【0065】
本発明の方法を実施するのに適した繊維基材としては、後述されるものが挙げられる。本発明のエマルジョンポリマーは、一般に、スプレー、浸漬、パジング、または他の周知の方法によって繊維基材に塗布される。本発明のエマルジョンは、一般に、完全に配合されたエマルジョンの重量を基準にして、約5g/L〜約100g/L、好ましくは約10g/L〜約50g/Lの濃度まで水で希釈される。例えば圧搾ロールによって過剰な液体を除去した後、処理された布帛は乾燥され、次に、少なくとも30秒間、典型的に60〜180秒間、例えば110℃〜190℃まで加熱することによって硬化される。このような硬化により、撥性および耐久性が向上される。これらの硬化条件が典型的である一方、市販の装置の中には、その特有の設計特徴のためにこれらの範囲外で動作し得るものがある。
【0066】
本発明は、上述した本発明のポリマーが表面に塗布された繊維基材をさらに含む。好ましくは、処理された基材は、約0.05重量%〜約0.5重量%、より好ましくは約0.1%〜約0.4%のフッ素含量を有する。
【0067】
好適な基材としては繊維基材が挙げられる。繊維基材としては、織り繊維および不織繊維、糸、布帛、混紡布帛、織物、不織布、紙、皮革、ラグおよびカーペットが挙げられる。これらは、綿、セルロース、羊毛、絹、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロン、アラミド、およびアセテートを含む天然または合成繊維から作製される。「混紡布帛」とは、2種以上の繊維で作製される布帛を意味する。典型的に、これらの混紡は、少なくとも1種の天然繊維と少なくとも1種の合成繊維との組合せであるが、2種以上の天然繊維の混紡または2種以上の合成繊維の混紡を含むこともできる。カーペット基材は、染色、着色、印刷されても、または染色されなくてもよい。カーペット基材の繊維および糸は、染色、着色、印刷されても、または染色されなくてもよい。カーペット基材は、洗上げされていても(scoured)または洗上げされていなくても(unscoured)よい。撥性特性を与えるために本発明のポリマーを塗布することが特に有利な基材としては、ポリアミド(ナイロンなど)ポリエステル、綿、およびポリエステルと綿との混紡が挙げられる。不織布基材としては、例えば、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington、DE)から入手可能なSONTARAなどのスパンレース不織布、およびスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SPS)不織布が挙げられる。
【0068】
本発明のエマルジョンは、基材表面を撥油性および撥水性にするのに有用である。撥性は、多数回洗濯した後にも持続可能である。粒子が存在すると、多数回(最大で約20回)の洗濯に対する耐久性を高めるのに役立つ。本発明のポリマーエマルジョンには、約2〜約7個の炭素原子を有する短鎖パーフルオロアルキル基を含有しながら、このような撥性を与えるという利点もある。したがって、本発明のポリマーは、長鎖パーフルオロアルキルを含有する従来の処理剤と比較してフッ素効率を提供する。本発明のエマルジョンは、その安定性のために多種多様な適用条件下で使用することができる点で有利である。本発明の処理された基材は、衣類、防護衣、カーペット、室内装飾材料(upholstery)、室内装飾品(furnishing)、および他の用途などの様々な用途および製品に有用である。上記の優れた表面特性は、表面清浄度を保つのに役立つため、より長く使用することが可能になる。
【0069】
試験方法および材料
実施例では以下の試験手順を用いた。
【0070】
試験方法1−布帛処理
この試験で処理される、用いられる布帛は、SDL Atlas Textile Testing Solutions(Rock Hill、South Carolina 29732)から入手可能な100重量%のWhite Cotton Twillであった。従来のパッド浴(浸漬)プロセスを用いて、2段階エマルジョンポリマーの水性分散液で布帛を処理した。本発明のポリマーエマルジョンの調製された濃縮分散体を、脱イオン水で希釈して、実施例に示されるような重量パーセントのフッ素が得られるように3〜10重量%の最終的なエマルジョンを浴中に有するパッド浴を得た。本明細書の実施例のパッド浴中、フルオロポリマーの濃度は5重量%であった。湿潤剤、INVADINE PBN、架橋剤、KNITTEX FELおよび織物仕上げ剤、KNITTEX Catalyst MO.(全て、Huntsman(High Point、NC、USA)から入手可能である)も、それぞれ0.5、3.0および0.9重量%で浴中に含まれていた。布帛を浴中でパジングし、過剰な液体を圧搾ローラによって除去した。含浸量(wet pickup)は、綿基材に対して約80%〜90%であった。「含浸量」は、布帛の乾燥重量を基準にした、エマルジョンポリマーおよび布帛に塗布される添加剤の浴溶液の重量である。布帛を約160℃で2分間硬化し、処理および硬化の後、約15〜約18時間「静置」させた。
【0071】
試験方法2−撥水性
処理された基材の撥水性を、the TEFLON Global Specifications and Quality Control Tests information packetに概説されているthe DuPont Technical Laboratory Methodにしたがって測定した。この試験により、処理された基材の、水性液体による濡れに対する耐性を判定する。様々な表面張力を有する水−アルコール混合物の液滴を布帛に垂らし、表面の濡れの程度を視覚的に判定する。この試験により、水性のしみに対する耐性のおおよその指標が得られる。撥水性評価が高いほど、水性の物質によるしみに対する完成した基材の耐性は良好である。標準試験液の組成を、下表2Aに示す。試験液の境界線上の合格については、表1の数値から2分の1を引くことによって、0.5の増分の評価を決定する。
【0072】
【表1】

【0073】
試験方法3−撥水性−スプレー評価
動的撥水性の指標であるスプレー試験方法を用いることによって、撥水性をさらに試験した。処理された布帛試料の撥水性を、以下のように行われる、以下のAATCC標準試験方法番号22−1996によって試験した:上述したポリマーの水性分散液で処理された布帛試料を、試験前に23℃+相対湿度65%で最低4時間調整した。布帛にしわがないように、布帛試料を、プラスチック/金属の刺しゅう枠にしっかりと固定した。布帛が上向きになるように、刺しゅう枠を試験台に設置した。次に、80±2°F(27±1℃)の250mLの水を試験漏斗に注ぎ、水を布帛表面にスプレーする。水が漏斗を通過したら、布帛を下向きにした状態で、刺しゅう枠を、硬い物体の縁部に当てて叩き、180度回転させ、再度叩いた。しみのついたまたは濡れた表面を、AATCC Technical Manualに見られるAATCC規格と比較した。表面が濡れているほど、数値が低く、撥水性が低い。100は濡れていないことを示し、90はわずかな濡れ(3つの小さいしみ)を示し、80はスプレー箇所におけるいくつか(10)のしみによって表される濡れを示し、70は布帛上面の部分的な濡れを示し、50は布帛上面全体の濡れを示し、0は布帛の下面および上面の完全な濡れを示す。15、25、35、45、55、60、65、75または85の評価は、上記の格付けの中間の性能を示していた。全体的に、数値が高いほど、撥水性が優れていることを示していた。
【0074】
試験方法4−撥油性
以下のように行われるAATCC標準試験方法番号118の変更によって、処理された布帛試料の撥油性を試験した:上述したポリマーの水性分散液で処理された布帛試料を、試験前に23℃+相対湿度65%で最低4時間調整した。次に、下記の表2に特定された一連の有機液体を、布帛試料に滴下して塗布した。最も小さい番号の試験液(撥油性評価番号1)から開始して、1滴(直径約5mmまたは体積0.05mL)を3箇所のそれぞれに少なくとも5mm間隔を空けて垂らした。液滴を30秒間観察した。この期間の終わりに、3滴のうちの2滴がまだ球状であり、液滴の周りでウィッキングが起きていなかった場合、次の最も大きい番号の液体を3滴、隣接部位に垂らし、同様に30秒間観察した。試験液の1つで、3滴のうちの2滴が球状ないし半球状を保てず、あるいは濡れまたはウィッキングが起こる結果になるまで、この手順を続けた。
【0075】
布帛の撥油性評価は、3滴のうちの2滴が球状ないし半球状のままであり、30秒間ウィッキングが起こらない最も大きい番号の試験液であった。一般に、6以上の評価を有する処理された布帛を、良ないし優とみなし;5以上の評価を有する布帛を可とみなし;1以上の評価を有する布帛を特定の用途に用いることができる。次の液体の境界線上の合格については、表2Bの数値から2分の1を引くことによって、0.5の増分の評価を決定する。
【0076】
【表2】

【0077】
試験方法5−洗濯耐久性
織物試験のための国際規格に規定された家庭洗濯手順にしたがって、布帛試料を洗濯した。布帛試料を、水平ドラム、フロントローディング方式(タイプA、WASCATOR FOM 71MP−Lab)の自動洗濯機にバラスト負荷(ballast load)とともに投入して、全乾燥投入量が4ポンドになるようにした。市販の洗剤を加え(AATCC 1993標準対照洗剤WOB)、高い水量の温水(105°F、41℃)で15分間通常の洗濯サイクルを行った後、13分間のすすぎを2回行い、次に2分間脱水するように洗濯機をプログラムした。試料およびバラストを、指定の回数だけ洗濯した(5HWが5回の洗濯、20HWが20回の洗濯など)。洗濯が完了した後、濡れた布帛試料を空気乾燥させ、次に、135〜160℃の表面温度で30秒間、フラットベッドプレスで各側をアイロン掛けした。
【0078】
材料
実施例では以下の材料を用いた。
【0079】
VP R825(トリメトキシオクチルシランとシリカとの加水分解生成物)は、Degussa(Duesseldorf、Germany)(現Evonik Industries(Essen、Germany))から市販されている。
【0080】
ARMEEN DM 18D(N,N−ジメチルオクタデシルアミン)およびETHOQUAD 18/25(ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),a,a’−[(メチルオクタデシルイミニオ)ジ−2,1−エタンジイル]ビス[クロリド])が、Akzo Nobel(Chicago、Ill)から市販されている。
【0081】
ETHAL TDA−5(ポリオキシエチレントリデシルエーテル)が、Ethox Chemicals,LLC.(Greenville、SC)から市販されている。
【0082】
VAZO 56(プロパンイミドアミド,2,2’−(1,2−ジアゼンジイル)ビス[2−メチル−,二塩酸塩]が、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington、DE)から市販されている。
【0083】
以下はそれぞれAldrich Chemical Co.(Milwaukee、WI)から市販されており、実施例では略記すなわち以下に示された名称で表され得る:
WAQEは、ラウリル硫酸ナトリウムであり、
2−EHMAは、2−メチル−2−プロペン酸、2−エチルヘキシルエステルまたは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートであり、
SMAは、2−プロペン酸、2−メチル−、オクタデシルエステル、またはステアリル(メタ)アクリレートであり、
7−EO MAは、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、α−(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)−ω−ヒドロキシ−)、または7EO−(メタ)アクリレートであり、
MAMは、2−プロパンアミド、N−(ヒドロキシメチル)−、またはN−メチロール(メタ)アクリルアミドであり、
HEMAは、2−プロペン酸、2−メチル−、2−ヒドロキシエチルエステル、または2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートであり、
DDMは、1−ドデカンチオールであり、
DPGは、ジプロピレングリコールであり、
PPGは、プロピレングリコールである。
【実施例】
【0084】
実施例1
プラスチックビーカー中で2−メチル−2−プロペン酸、2−エチルヘキシルエステル(12.20g)に溶解させた疎水化無機酸化物粒子(0.40g、VP R825)を超音波処理により分散させることによって、第1段階ポリマーエマルジョン組成物を調製した。次に、水(14g);ARMEEN DM 18 D(0.4g);ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、α−(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)−ω−ヒドロキシ−)(1.75g);2−プロペンアミド、N−(ヒドロキシメチル)−(0.24g);1−ドデカンチオール(0.05g);プロピレングリコール(3.5g);塩化ナトリウム(0.07g、水中2% w/w);および酢酸(0.2g)もプラスチックビーカーに加え、超音波処理して、段階1のプレエマルジョンを形成した。ビーカーの中身を、窒素パージ、オーバーヘッド機械的撹拌器、加熱マントル、および温度プローブを装備した丸底フラスコに移した。水(5g)を用いてビーカーをすすぎ、次に、水すすぎ液を丸底フラスコに加えた。プレエマルジョンを撹拌し、30分間窒素でスパージした後、ラジカル開始剤VAZO−56(4.75gの水中0.09g)を加えた。次に、温度を65℃(149°F)まで上昇させ、窒素雰囲気下で1時間保持した。この結果、段階1のエマルジョンが形成された。
【0085】
その後、プラスチックビーカー中で、以下のものの混合物を超音波処理することによって別のプレエマルジョンを調製した:脱イオン水(12.3g);ETHAL TDA−5(0.59g);ETHOQUAD 18/25(2.1g、20%溶液);F(CF26CH2CH2OC(O)C(CH3)=CH2(8.85g、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington、DE)から入手可能);ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、α−(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)−ω−ヒドロキシ−)(0.17g);2−プロペン酸、2−メチル−、オクタデシルエステル(2.1g);2−プロペンアミド、N−(ヒドロキシメチル)−(0.2g);2−プロペン酸、2−メチル−、2−ヒドロキシエチルエステル(0.09g);1−ドデカンチオール(0.05g);およびジプロピレングリコール(2.5g)。
【0086】
次に、別のプレエマルジョンを、段階1のエマルジョンを含む丸底フラスコに加えた。次に、混合物を30分間窒素でパージした後、ラジカル開始剤(4.5gの水中0.05gのVAZO−56)を加えた。フラスコをさらに4時間65℃に保ち、その後、フラスコを室温まで冷ました。次に、水(15.0g)に溶解させたラウリル硫酸ナトリウム(0.05g)界面活性剤を加えた。最後に、得られる溶液/混合物を、ミルクフィルタ(milk filter)を用いて重力ろ過し、固形分が25%になるまで希釈した。生成物は、4.86%のフッ素を含有していた。試験方法1を用いて、布帛におけるフッ素のグラム当たり1900マイクログラムとなるように生成物を布帛に塗布し、試験方法2〜5を用いて、撥性および耐久性を試験した。結果を表3に示す。
【0087】
比較例A
第1段階エマルジョンの調製の際に粒子が含まれなかったことを除き、実施例1のプロセスを繰り返した。試験方法1を用いて、布帛におけるフッ素のグラム当たり1900マイクログラムとなるように生成物を布帛に塗布し、試験方法2〜5を用いて、撥性および耐久性を試験した。結果を表3に示す。
【0088】
実施例2
CF3(CF23(CH2CF22I(714g)およびd−(+)−リモネン(3.2g)を入れたオートクレーブにエチレン(56g)を導入し、反応器を240℃で12時間加熱した。生成物を真空蒸留によって単離して、CF3(CF23(CH2CF22CH2CH2Iを得た。CF3(CF23(CH2CF22CH2CH2I(10g、0.02モル)とN−メチルホルムアミド(8.9mL、0.15モル)との混合物を、26時間150℃まで加熱した。混合物を100℃まで冷ました後、水を加えて、粗エステルを分離した。エチルアルコール(3mL)およびp−トルエンスルホン酸(0.09g)を加え、混合物を70℃で0.25時間撹拌した。ギ酸エチルおよびエチルアルコールを蒸留によって除去して、粗生成物を得た。粗生成物をエーテルに溶解させ、10重量%の亜硫酸ナトリウム水溶液、水および塩水で順番に洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。蒸留により、アルコール生成物、CF3(CF23(CH2CF22CH2CH2OH(6.5g、収率83%)が得られた:2mm Hg(266パスカル)における沸点が94〜95℃。
【0089】
予め調製したアルコール(400g)およびシクロヘキサン(308.6g)を、撹拌子、ディーン−スタークトラップおよび添加漏斗を装備した丸底フラスコに加えた。フラスコを加熱しながら、p−トルエンスルホン酸一水和物(9.2g)および4−メトキシフェノール(1.4g)を別々にフラスコに入れた。温度が70℃に達したら、メタクリル酸(130.4g)を滴下して加えた。メタクリル酸を全て加えた後、フラスコを断熱し、フラスコ温度を85℃まで上昇させた。GCによって、CF3(CF23CH2CF2CH2CF2CH2CH2O−C(O)−C(CH3)=CH2(PPVE−メタクリレート)の形成について反応を監視した。アルコールが全て反応したら、フラスコを室温まで冷ました。次に、混合物を分液漏斗に移した。フラスコをエチルエーテルですすぎ、次に、エチルエーテル洗浄液を分液漏斗中の混合物に加えた。反応混合物を、炭酸水素ナトリウム(150mL、10% w/w溶液)で3回洗浄し、氷および水性層を毎回除去した。次に、反応混合物を脱イオン水(150mL)で洗浄し、水性層を除去した。反応混合物のアリコートを取り、GCによって分析して、洗浄の際に全ての未反応のメタクリル酸が除去されたことを確認した。反応混合物を丸底フラスコに移し、硫酸マグネシウムを加えて、反応混合物を乾燥させた。次に、反応混合物をろ過し、ろ過された固体をエチルエーテルで洗浄した。反応混合物を、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、高真空のロータリーエバポレータで真空濃縮させて、液体(10.1g)を得た。GCおよびNMRによる分析により、反応混合物がCF3(CF23CH2CF2CH2CF2CH2CH2O−C(O)−C(CH3)=CH2であったことが示された。
【0090】
プラスチックビーカー中で2−メチル−2−プロペン酸、2−エチルヘキシルエステル(12.20g)に溶解させた疎水化無機酸化物粒子(0.20g、VP R825)を超音波処理により分散させることによって、第1段階ポリマーエマルジョン組成物を調製した。次に、水(14g);ARMEEN DM 18 D(0.4g);ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、α−(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)−ω−ヒドロキシ−)(1.75g);2−プロペンアミド、N−(ヒドロキシメチル)−(0.24g);1−ドデカンチオール(0.05g);プロピレングリコール(3.5g)、塩化ナトリウム(0.07g、水中2% w/w)、酢酸(0.2g)もプラスチックビーカーに加え、超音波処理して、段階1のプレエマルジョンを形成した。ビーカーの中身を、窒素パージ、オーバーヘッド機械的撹拌器、加熱マントル、および温度プローブを装備した丸底フラスコに移した。水(5g)を用いてビーカーをすすぎ、次に、水すすぎ液を丸底フラスコに加えた。プレエマルジョンを撹拌し、30分間窒素でスパージした後、ラジカル開始剤VAZO−56(4.75gの水中0.09g)を加えた。次に、温度を65℃(149°F)まで上昇させ、窒素雰囲気下で1時間保持した。この結果、段階1のエマルジョンが形成された。
【0091】
その後、プラスチックビーカー中で、以下のものの混合物を超音波処理することによって別のプレエマルジョンを調製した:脱イオン水(12.3g);ETHAL TDA−5(0.59g);ETHOQUAD 18/25(2.1g、20%溶液);F(CF24(CH2CF22CH2CH2OC(O)−C(CH3)=CH2(6.59g、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington、DE)から入手可能);ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、α−(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)−ω−ヒドロキシ−)(0.17g);2−プロペン酸、2−メチル−、オクタデシルエステル(2.1g);2−プロペンアミド、N−(ヒドロキシメチル)−(0.2g);2−プロペン酸、2−メチル−、2−ヒドロキシエチルエステル(0.09g);1−ドデカンチオール(0.05g);およびジプロピレングリコール(2.5g)。次に、別のプレエマルジョンを、段階1のエマルジョンを含む丸底フラスコに加えた。次に、混合物を30分間窒素でパージした後、ラジカル開始剤VAZO−56(4.5gの水中0.05g)を加えた。フラスコをさらに4時間65℃に保ち、その後、フラスコを室温まで冷ました。次に、水(15.0g)に溶解させたラウリル硫酸ナトリウム(0.05g)界面活性剤を加えた。最後に、得られる溶液/混合物を、ミルクフィルタを用いて重力ろ過し、固形分が25%になるまで希釈した。生成物は、4.8%のフッ素を含有していた。試験方法1を用いて、布帛におけるフッ素のグラム当たり1900マイクログラムとなるように生成物を布帛に塗布し、試験方法2〜5を用いて、撥性および耐久性を試験した。結果を表3に示す。
【0092】
比較例B
第1段階エマルジョンの調製の際に粒子が含まれなかったことを除き、実施例2のプロセスを繰り返した。試験方法1を用いて、布帛におけるフッ素のグラム当たり1900マイクログラムとなるように生成物を布帛に塗布し、試験方法2〜5を用いて、撥性および耐久性を試験した。結果を表3に示す。
【0093】
実施例3
パーフルオロプロピルビニルエーテルCF3(CF22CHFCF2CH2CH2OH)アルコールを、以下のように実施例3に使用するために調製した。ドライボックス中、500mLのPyrex瓶に、ジエチレングリコール(175mL、99%、Aldrich Chemical Company(Milwaukee、WI)から市販されている)および80mLの無水テトラヒドロフランを入れた。水素の発生が完了するまで、水素化ナトリウム(3.90g)を、磁気撹拌しながらゆっくりと加えた。蓋をした瓶をドライボックスから取り出し、溶液を、窒素を満たしたグローブバッグ中の400mLの金属製振とう機チューブに移した。振とう機チューブを、−18℃の内部温度まで冷まし、振とうを開始し、金属シリンダーからパーフルオロプロピルビニルエーテル(41g)を加えた。混合物を室温まで温め、20時間振とうした。反応混合物を別の400mLの振とう機チューブで行われる複製反応(duplicate reaction)と組み合わせた。組み合わされた反応混合物を600mLの水に加え、この混合物を、分液漏斗中で3×200mLのジエチルエーテルで抽出した。エーテル抽出物を、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、ロータリーエバポレータで真空濃縮して、液体(119.0g)を得た。CD3OD中の1H NMR、およびガスクロマトグラフィーによる分析の両方により、少量のジエチレングリコールが示された。この材料を、150mLのジエチルエーテルに溶解させ、分液漏斗中で水(3×150mL)で抽出した。エーテル層を、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、高真空のロータリーエバポレータで真空濃縮して、CF3(CF22CHFCF2CH2CH2OH(99.1g)を得た。
【0094】
パーフルオロプロピルビニルエーテルアルコール、CF3(CF22OCHFCF2−CH2CH2OH(400g)およびシクロヘキサン(308.6g)を、撹拌子、ディーン−スタークトラップおよび添加漏斗を装備した丸底フラスコに加えた。フラスコを加熱しながら、p−トルエンスルホン酸一水和物(9.2g)および4−メトキシフェノール(1.4g)を別々にフラスコに入れた。温度が70℃に達したら、メタクリル酸(130.4g)を滴下して加える。メタクリル酸を全て加えた後、フラスコを断熱し、フラスコ温度を85℃まで上昇させた。GCによって、パーフルオロプロピルビニルエーテルメタクリレートの形成について反応を監視した。パーフルオロプロピルビニルエーテルアルコールが全て反応したら、フラスコを室温まで冷ました。次に、混合物を分液漏斗に移した。フラスコをエチルエーテルですすぎ、次に、エチルエーテル洗浄液を分液漏斗中の混合物に加えた。反応混合物を、炭酸水素ナトリウム(150mL、10% w/w溶液)で3回洗浄し、氷および水性層を毎回除去した。次に、反応混合物を脱イオン水(150mL)で洗浄し、水性層を除去した。反応混合物のアリコートを取り、GCによって分析して、洗浄の際に全ての未反応のメタクリル酸が除去されたことを確認した。反応混合物を丸底フラスコに移し、硫酸マグネシウムを加えて、反応混合物を乾燥させた。次に、反応混合物をろ過し、ろ過された固体をエチルエーテルで洗浄した。反応混合物を、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、高真空のロータリーエバポレータで真空濃縮させて、液体(10.1g)を得た。GCによる分析により、反応混合物がCF3(CF22OCHFCF2CH2CH2O−C(O)−C(CH3)=CH2であったことが示された。
【0095】
プラスチックビーカー中で2−メチル−2−プロペン酸、2−エチルヘキシルエステル(12.20g)に溶解させた疎水化無機酸化物粒子(0.20g、VP R825)を超音波処理により分散させることによって、第1段階ポリマーエマルジョン組成物を調製した。次に、水(14g);ARMEEN DM 18 D(0.4g);ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、α−(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)−ω−ヒドロキシ−)(1.75g);2−プロペンアミド、N−(ヒドロキシメチル)−(0.24g);1−ドデカンチオール(0.05g);プロピレングリコール(3.5g);塩化ナトリウム(0.07g、水中2% w/w);および酢酸(0.2g)もプラスチックビーカーに加え、超音波処理して、段階1のプレエマルジョンを形成した。ビーカーの中身を、窒素パージ、オーバーヘッド機械的撹拌器、加熱マントル、および温度プローブを装備した丸底フラスコに移した。水(5g)を用いてビーカーをすすぎ、次に、水すすぎ液を丸底フラスコに加えた。プレエマルジョンを撹拌し、30分間窒素でスパージした後、ラジカル開始剤VAZO−56(4.75gの水中0.09g)を加えた。次に、温度を65℃(149°F)まで上昇させ、窒素雰囲気下で1時間保持した。この結果、段階1のエマルジョンが形成された。
【0096】
その後、プラスチックビーカー中で、以下のものの混合物を超音波処理することによって別のプレエマルジョンを調製した:脱イオン水(12.3g);ETHAL TDA−5(0.59g);ETHOQUAD 18/25(2.1g、20%溶液);F(CF23OCF2CF2CH2CH2OC(O)−C(CH3)=CH2(6.59g);ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、α−(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)−ω−ヒドロキシ−)(0.17g);2−プロペン酸、2−メチル−、オクタデシルエステル(2.1g);2−プロペンアミド、N−(ヒドロキシメチル)−(0.2g);2−プロペン酸、2−メチル−、2−ヒドロキシエチルエステル(0.09g);1−ドデカンチオール(0.05g);およびジプロピレングリコール(2.5g)。次に、別のプレエマルジョンを、段階1のエマルジョンを含む丸底フラスコに加えた。次に、混合物を30分間窒素でパージした後、ラジカル開始剤(4.5gの水中0.05gのVAZO−56)を加えた。フラスコをさらに4時間65℃に保ち、その後、フラスコを室温まで冷ました。次に、水(15.0g)に溶解させたラウリル硫酸ナトリウム(0.05g)界面活性剤を加えた。最後に、得られる溶液/混合物を、ミルクフィルタを用いて重力ろ過し、固形分が25%になるまで希釈した。生成物は、4.6%のフッ素を含有していた。試験方法1を用いて、布帛におけるフッ素のグラム当たり1900マイクログラムとなるように生成物を布帛に塗布し、試験方法2〜5を用いて、撥性および耐久性を試験した。結果を表3に示す。
【0097】
比較例C
第1段階エマルジョンの調製の際に粒子が含まれなかったことを除き、実施例3のプロセスを繰り返した。試験方法1を用いて、布帛におけるフッ素のグラム当たり1900マイクログラムとなるように生成物を布帛に塗布し、試験方法2〜5を用いて、撥性および耐久性を試験した。結果を表3に示す。
【0098】
実施例4
布帛におけるフッ素のグラム当たり1140マイクログラムとなるようにパッド浴中3重量%のレベルで、試験方法1を用いて、実施例1の生成物を布帛に塗布し、試験方法2〜5を用いて、布帛の撥性および耐久性を試験した。結果を表3に示す。
【0099】
比較例D
比較例Dは、6〜14個の炭素を有するパーフルオロアルキル基の同族体の混合物を含有する市販のフッ素化(メタ)アクリレート系コポリマーであった。典型的な混合物は、以下のものを含んでいた:6個の炭素、27%〜37%;8個の炭素、28%〜32%;10個の炭素、14%〜20%;12個の炭素、8%〜13%;14個の炭素、3%〜6%。生成物は、10%のフッ素を含有していた。布帛におけるフッ素のグラム当たり2375マイクログラムとなるようにパッド浴中3重量%のレベルで、試験方法1を用いて、比較例Eを布帛に塗布し、試験方法2〜5を用いて、布帛の撥性および耐久性を試験した。結果を表3に示す。
【0100】
【表3】

【0101】
表4に示されるように、本発明の疎水化粒子を含有する2段階ポリマーを含有する組成物は、疎水化粒子を含有しない組成物と比較した際に、同等または向上した撥油性、撥水性、および/または撥スプレー性を示す。実施例1は、等しいフッ素投入量で粒子を含有しない比較例Aと比較した際に、0(初期)、5、10、および20HW(家庭洗濯)について向上した撥油性、撥水性、および撥スプレー性を有した。実施例2は、等しいフッ素投入量で粒子を含有しない比較例Bと比較した際に、0(初期)および5HWについて、撥油性および撥水性の向上ならびに同等の動的撥水性、ならびに10および20HWでより大きな向上を有した。実施例3は、等しいフッ素投入量で粒子を含有しない比較例Cと比較して、5、10、および20HW(家庭洗濯)について、同等の撥油性、撥水性、および撥スプレー性を有した。
【0102】
比較例Dは、粒子を含有せず、6〜14個の炭素の範囲の様々な炭素鎖長を有するパーフルオロアルキル基の混合物を有する市販の(メタ)アクリレート系製品であった。比較例Dの全フッ素含量は、本発明の実施例で4.8%であるのに対し10%であった。実施例4を、フッ素のグラム当たり1140マイクログラムのレベルで布帛に塗布した一方、比較例Dを、フッ素のグラム当たり2375マイクログラムのレベルで布帛に塗布した。実施例4が、比較例Dのフッ素含量の半分未満を有するにもかかわらず、実施例4は、より優れた撥水性および撥油性、ならびに同等の動的撥水性を与えた。このことにより、本発明のポリマーが、より少ないフッ素で同じかまたはより優れた表面効果を与えるため、従来の処理剤と比較してフッ素効率を提供することが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)第1のポリマーであって、無水ベースで、
(a)約0.1重量%〜約1.0重量%の疎水化ナノ粒子;
(b)約89重量%〜約99.8重量%の、C1〜C18の、直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキル(メタ)アクリレートの1種以上のモノマー;
(c)約0.1重量%〜約10.0重量%の、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよび式(I)のモノマーからなる群から選択される1種以上のモノマー
R−(OCH2CH2a−O−C(O)−C(R1)=CH2 (I)
(式中、Rが、水素、C1〜C4アルキル、または−C(O)−C(R1)=CH2であり、R1が、Hまたは−CH3である)
を含み;
第2のポリマーと接触している第1のポリマーと、
B)第2のポリマーであって、無水ベースで、
(d)約70重量%〜約90重量%の、式(II)のフッ素化モノマー
f1−L−X−C(O)−C(R)=CH2 (II)
(式中、Rf1が、1〜約6個のカテナリー酸素原子によって介在されていてもよい2〜約7個の炭素原子を有する一価の、部分的にまたは完全にフッ素化された、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基であり;炭素原子対酸素原子の比率が、少なくとも2:1であり、いずれの酸素原子も互いに結合されておらず;
Lが、結合、あるいは1〜約20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の二価の連結基であり、前記連結基が、−O−、−NR6−、−S−、−SO−、−SO2−、および−N(R6)C(O)−からなる群から選択される1〜約4個のヘテロ基によって介在されていてもよく、R6が、HまたはC1〜C6アルキルであり、前記連結基が、CH2Clで置換されていてもよく;
Xが、−O−、−N(R)−、または−S−であり、Rが、HまたはCH3である);
(e)約10重量%〜30重量%の、C1〜C18の、直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキル(メタ)アクリレートの1種以上のモノマー;および
(f)約0.1重量%〜約10重量%の、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよび式(I)のモノマーからなる群から選択される1種以上のモノマー
R−(OCH2CH2a−O−C(O)−C(R1)=CH2 (I)
(式中、Rが、水素、C1〜C4アルキル、または−C(O)−C(R1)=CH2であり、R1が、Hまたは−CH3である)
を含む第2のポリマーと
を含むポリマー組成物であって;
ただし、前記第1のポリマーが、前記ポリマー組成物の約20重量%〜約75重量%を占めるポリマー組成物。
【請求項2】
f1が、F(CF2n、F(CF2n(CH2x[(CF2CF2p(CH2CH2qm、F(CF2nO(CF2n、F(CF2nOCFHCF2、またはF(CF2n[OCF2CF(CF3)]p[OCF2CF2qであり、式中、nが1〜約6であり;xが1〜約6であり;p、q、およびmが各々独立して1〜約3である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
Lが、結合、R5、R6−A、A、またはエチレンオキシドであり、式中、AがC1〜C6アルキルであり、R5が、−S(CH2u−、
【化1】

からなる群から選択される二価基であり、
uが、約2〜約4の整数であり;
sが、1〜約50の整数であり;
2、R3、およびR4が、各々独立して、水素、または1〜約6個の炭素原子を含有するアルキル基である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
式(II)が、F(CF2n(CH2tX−C(O)−C(R)=CH2、F(CF2n(CH2CF2p(CH2CH2q(R5rX−C(O)−C(R)=CH2、F(CF2nO(CH2x[(CF2CF2p(CH2CH2qm(R5rX−C(O)−C(R)=CH2、F(CF2n(CF2nCH2(Ct2t)X−C(O)−C(R)=CH2、F(CF2n−OCFHCF2(OCH2CH2vX−C(O)−C(R)=CH2からなる群から選択され、式中、
tが、1〜10の整数であり;
nが、約1〜6の整数であり;
p、q、およびmが、各々独立して、1〜3の整数であり;
xが、1〜6の整数であり、
rが、0または1であり;
Xが、−O−、−NH−または−S−であり;
5が、−S(CH2u−、
【化2】

からなる群から選択される二価基であり、
uが、2〜4の整数であり;
sが、1〜50の整数であり;
vが、2〜4の整数であり;
2、R3、およびR4が、各々独立して、水素、または1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
前記ナノ粒子が、Si、Ti、Zn、Zr、Mn、Al、およびそれらの組合せからなる群から独立して選択されるM原子の酸化物を含む表面改質無機酸化物粒子であり;少なくとも1つの粒子が、式(IV)
(−L2−)d(−L3c(−Si−R7(4-d)) (IV)
(式中:
2が、Mに共有結合された酸素を表し;各L3が、独立して、H、C1〜C2アルキル、およびOHからなる群から選択され;dおよびcは、dが1以上であり、cが0以上であり、合計(d+c)が3以下であるような整数であり;
7が、1〜18個の炭素原子を含有する直鎖状、分枝鎖状、または環状アルキル基である)
によって表される少なくとも1つの基に共有結合された表面を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項6】
前記疎水化ナノ粒子が、約10〜約500nmの平均粒径を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項7】
前記第2のポリマーが、少なくとも1種の界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項8】
コアとしての前記第1のポリマーがシェルとしての前記第2のポリマーによって完全にまたは部分的に囲まれた物理的形態である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項9】
請求項1に記載のポリマー組成物と基材を接触させる工程を含む、撥油性、撥水性、および動的撥水性を前記基材に与える方法。
【請求項10】
前記基材が、前記ポリマーと接触した後、約0.05重量%〜約0.5重量%のフッ素含量を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法にしたがって処理された繊維基材を含む基材。

【公表番号】特表2013−510232(P2013−510232A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538836(P2012−538836)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/054006
【国際公開番号】WO2011/056525
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】