説明

フレキシブルケーブルの配線構造

【課題】プリント基板上の固定側コネクタに対して外部から延びるフレキシブルケーブル先端の可動側コネクタを接続する際のケーブル配線経路に、複数個のガイド突起を設け、各ガイド突起に対してフレキシブルケーブルをジグザグ状に巻き付けるように構成されている場合に、特定のガイド突起から固定側コネクタに延びるフレキシブルケーブル長を常に適切に設定して、コネクタ同士の接続不良、或いは直近のガイド突起と固定側コネクタとの間でのケーブル撓み発生を効果的に防止することができるようにした。
【解決手段】固定側コネクタ81を可動側コネクタ86に対して適正に接続した際に特定のガイド突起92aと対応するフレキシブルケーブル85の特定部位に外観上視認可能な位置合わせ用目印87を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブルケーブル端部のコネクタをプリント基板上のコネクタに接続する際における半刺し、ケーブル余長の発生等の配線、結線上の不具合を防止するためのフレキシブルケーブルの配線構造に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の遊技機には、盤面部品等の各種制御対象を制御するための制御回路等を有したプリント基板が搭載されている。
遊技機の適所に固定されたプリント基板を盤面部品等の制御対象、その他のプリント基板等と接続する手段としてフレキシブルケーブルを使用する場合には、プリント基板に設けたコネクタ(固定側コネクタ)に対してフレキシブルケーブル先端に固定したコネクタ(可動側コネクタ)が接続される。
【0003】
ところで、プリント基板と盤面部品等との間の距離が長い場合には、フレキシブルケーブルを配線する距離も長くなるため、フレキシブルケーブルの緩みによって発生する不具合を防止するための余長処理が重要となる。各種ケーブルの余長処理のための提案は種々なされているが(特許文献1、2、3)、余長処理を優先する場合には、フレキシブルケーブルをハンドリングする余裕がなくなり、可動側コネクタが固定側コネクタに届かなくなってコネクタ間の半刺し等の接続不良が発生し易くなるという問題がある。即ち、固定側コネクタに対して可動側コネクタを手作業で接続する際に十分な余長を確保しておかない場合には可動側コネクタの引き延ばし距離が短くなって可動範囲が狭くなるため、コネクタ同士の接続が不自由となり、半刺しによる接続不良が発生し易い。一方、十分なケーブル余長を確保しつつコネクタ間の接続を完了した後では、ケーブルの撓みを解消するための処理する必要が生じるが、撓み処理中にコネクタの接続が外れる等、コネクタ間の接続を維持しながらケーブルの余長を処理することは極めて煩雑である。
【0004】
図11(a)及び(b)は、パチンコ遊技機に設置されるプリント基板とフレキシブルケーブルとの接続部周辺の構成を示す図であり、遊技機本体100に固定されたプリント基板101に設けられた固定側コネクタ102に対して、図示しない盤面部品から延びるフレキシブルケーブル110先端の可動側コネクタ111を接続した状態とその周辺を示す図である。
盤面部品とプリント基板101との間のフレキシブルケーブル配線経路には、ガイド区間Gが設けられている。ガイド区間G内では、対向する2つの壁面から交互に所定のピッチでケーブル係止用の複数のガイド突起120が突設されており、フレキシブルケーブル110を各ガイド突起120間にジグザグに装着し、ガイド区間Gから引き出されたフレキシブルケーブル先端の可動側コネクタ111を固定側コネクタ102に接続するように構成されている。
【0005】
各ガイド突起120が対面する壁面には夫々開口部121が形成されている。また、ガイド区間の手前側にはフレキシブルケーブルを差し込むための開放部が形成されている。フレキシブルケーブルをガイド突起間にジグザグ状に装着する際には手前側の開放部から差し込む作業が行われる。
盤面部品が遊戯盤面上を移動する可動盤面部品である場合には、フレキシブルケーブルが可動盤面部品側からの引っ張り力や押し付け力を受けることによって変形、移動し易く、両コネクタの接続部にストレスが掛かり易い。このストレスによってコネクタ接続部が損傷したり、可動側コネクタが抜け落ちることがないように、コネクタ接続部の手前に設けたガイド区間G内においてフレキシブルケーブルをガイド突起120にジグザグに係止してストレスの伝搬を阻止している。
【0006】
各ガイド突起120にフレキシブルケーブル110をジグザグ状に装着してから可動側コネクタを固定側コネクタに接続する作業において、プリント基板に直近のガイド突起120aから延びるフレキシブルケーブルの長さLが短すぎるとコネクタ間の接続が不可能、或いは半刺しとなる。一方、長さLが長過ぎる場合にはコネクタ接続後にガイド突起120aと固定側コネクタとの間に撓みが発生し、この撓み部分が周辺部品に干渉する等の不具合をもたらす((b))。このため、コネクタ間の接続を一旦解除した上で全てのガイド突起からフレキシブルケーブルを取り外してやり直すという配線し直し作業が必要となる。なお、コネクタの接続を解除せずにフレキシブルケーブルの配線し直しをすることも可能ではあるが作業が煩雑になる。
これを更に具体的に説明すると、フレキシブルケーブル110を各ガイド突起120に対してジグザグに装着する際には、最前部のガイド突起120aからプリント基板側へ延びるフレキシブルケーブルの長さLが適正長となるように配慮しながら、ガイド区間の手前側の開放部からフレキシブルケーブルをガイド突起間にジグザグ状に差し込んでゆくが、フレキシブルケーブルを配線するジグザグ状のスペースが狭いため、開放部からの装着作業を一挙に完了することは極めて難しい。従って、通常は左右何れか一端にあるガイド突起120に対するフレキシブルケーブルの装着を完了してから順次隣接するガイド突起に対する装着を行い、最後に他端側のガイド突起に対する装着を完了してから、フレキシブルケーブル先端の可動側コネクタ111を固定側コネクタ102に対して接続する作業を行う。
【0007】
ところで、各ガイド突起120と対向するガイド区間Gの壁面に開口部121を設けたのは、個々のガイド突起120に対してフレキシブルケーブルをU字状に湾曲させて装着する際に、開口部121を利用することが極めて便利だからである。即ち、特定のガイド突起(右端部のガイド突起)120−1にフレキシブルケーブルをU字状に装着する際には、まず図11(a)中に破線で示すようにこのガイド突起120−1に対応するフレキシブルケーブル部位を一旦開口部121−1からガイド区間外に大きく引き出すようにV字状に変形させつつ手前側開放部から差し込む。続いて、フレキシブルケーブルを長手方向に伸長させて開口部121−1から突出したこのV字状部分をフレキシブルケーブル搬送経路内に収容して図11(a)中に実線で示した状態とする。この時点では隣接する他のガイド突起120−2に対する装着は行われていない。
続いて隣接するガイド突起120−2に対するフレキシブルケーブルの装着を行うために対応するフレキシブルケーブル部分を手前側開放部からフレキシブルケーブル搬送経路内に差し込むが、この際、予め破線で示すように対応するフレキシブルケーブル部位を湾曲させて対応する開口部121−2から大きく引き出しておく。その後、上記と同様にフレキシブルケーブルを長手方向に伸長させて開口部121−2から突出したこのV字状部分をフレキシブルケーブル搬送経路内に収容して図11(a)中に実線で示した状態とする。
個々のガイド突起に対してフレキシブルケーブルの特定部位をU字状に湾曲させつつ装着する際に、対向して形成された開口部121から一旦フレキシブルケーブルの特定部位を引き出すことによって、装着作業が大幅に向上する。
【0008】
このような装着作業を各ガイド突起毎に順次繰り返して行き、最後のガイド突起120aに対する装着(ガイド区間G内への装着)が完了した時点でガイド区間Gから固定側コネクタ102へ向けて引き出されたフレキシブルケーブル先端部の可動側コネクタ111を固定側コネクタと接続する作業が行われる。
このように煩雑なフレキシブルケーブル装着作業を行う過程で、フレキシブルケーブルの一部を湾曲させたり、伸長させたり、という作業を繰り返すため、ガイド区間Gから引き出されたフレキシブルケーブルの長さLを常に最適長(図11(a)の状態)に維持し続けることは難しく、最後のガイド突起120aに対する装着が完了した際に引き出されたフレキシブルケーブルの長さLが一定の長さにならないことが多い。この場合には、フレキシブルケーブルを全てのガイド突起から取り外して再度同じ作業を繰り返す必要がある。この作業は、最後のガイド突起120aに対する装着が完了した際に引き出されたフレキシブルケーブルの長さLが最適長となるまで繰り返される。
しかし、このような効率の悪い配線作業を改善する提案はこれまでなされていないのが実情であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平07−162164号公報
【特許文献2】特開平09−275286号公報
【特許文献3】特開2003−347765公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
パチンコ遊技機本体に固定されたプリント基板上の固定側コネクタに対して外部から延びるフレキシブルケーブル先端の可動側コネクタを接続する際のケーブル配線経路に、所定のピッチで交互に突設されたガイド突起と、ガイド突起と対向する開口部とから成るガイド区間を設け、各ガイド突起に対してフレキシブルケーブルをジグザグ状に巻き付け保持するように構成されている場合には、プリント基板に直近のガイド突起から固定側コネクタに向けて延びるフレキシブルケーブルの長さ調整が難しく、コネクタ同士の接続不良、或いは直近のガイド突起と固定側コネクタとの間でのケーブルの撓みという不具合が発生し易かった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、プリント基板上の固定側コネクタに対して外部から延びるフレキシブルケーブル先端の可動側コネクタを接続する際のケーブル配線経路に、所定のピッチで交互に突設されたガイド突起を設け、各ガイド突起に対してフレキシブルケーブルをジグザグ状に装着するように構成されている場合に、プリント基板直近のガイド突起から固定側コネクタに延びるフレキシブルケーブル長を常に適切に設定して、コネクタ同士の接続不良、或いは直近のガイド突起と固定側コネクタとの間でのケーブル撓み発生を効果的に防止することができるフレキシブルケーブルの配線構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため請求項1の発明に係るフレキシブルケーブルの配線構造は、固定配置されたプリント基板に設けた固定側コネクタに対して着脱される可動側コネクタを備えたフレキシブルケーブルを、前記プリント基板から前記固定側コネクタに向けて配線する配線経路と、該配線経路に沿って配置されて前記フレキシブルケーブルをジグザグ状に装着するガイド区間と、を備え、該ガイド区間から引き出された前記フレキシブルケーブル先端の前記可動側コネクタを前記固定側コネクタに接続するフレキシブルケーブルの配線構造であって、前記ガイド区間は、フレキシブルケーブル挿通用のジグザグ状配線経路を形成するために対向配置された2つの壁部と、該各壁部の対向面に長手方向に沿って交互に突設されたケーブル係止用の複数のガイド突起と、各ガイド突起と対向する前記壁部に夫々形成されたフレキシブルケーブル引き出し用の開口部と、前記ジグザグ状配線経路を全長に渡って外部と連通させるために形成された開放部と、を備え、前記ガイド区間内に装着された前記フレキシブルケーブルを前記固定側コネクタに向けて引き出した長さが適正である場合に特定の前記ガイド突起と対応する前記フレキシブルケーブル部位に外観上視認可能な位置合わせ用目印を形成したことを特徴とする。
本発明では、フレキシブルケーブルをジグザグ状に保持するガイド突起のうちの特定のガイド突起と対応するフレキシブルケーブル部分に目印を付けたので、当該ガイド突起とプリント基板側の固定側コネクタとの距離に見合ったフレキシブルケーブルの引出し長を確保できる。
このため、フレキシブルケーブルの半刺しや、フレキシブルケーブルの過剰な撓みを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、プリント基板直近のガイド突起から固定側コネクタに延びるフレキシブルケーブル長を常に適切に設定して、コネクタ同士の接続不良、或いは直近のガイド突起と固定側コネクタとの間でのケーブル撓み発生を効果的に防止することができる。このため接続作業のやり直しによる作業性の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る可動盤面部品を搭載したパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るフレキシブルケーブルの配線構造を採用した可動盤面部品の正面図である。
【図3】開閉部材の閉止状態に係る正面側斜視図である。
【図4】開閉部材の開放状態に係る正面側斜視図である。
【図5】図3の要部拡大図である。
【図6】図4の要部拡大図である。
【図7】可動盤面部品の分解斜視図である。
【図8】(a)及び(b)はフレキシブルケーブルの配線構造を示す要部斜視図である。
【図9】(a)及び(b)はフレキシブルケーブルの配線構造を示す断面図、及び外観図である。
【図10】(a)(b)及び(c)は本発明によるフレキシブルケーブルの配線手順を示す斜視図である。
【図11】(a)及び(b)は従来のフレキシブルケーブルの配線構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明に係る可動盤面部品を搭載したパチンコ遊技機の正面図である。
遊技盤1の前面側には、ガラス板を支持したガラス枠2が開閉可能に取り付けられている。また遊技盤1の下部には遊技球を貯留する受け皿部3と、受け皿部内の遊技球を発射する発射レバー4が設けられている。また、受け皿部3の上面には遊技機用ボタンスイッチや、遊技球の購入ボタン、購入取り消しボタン(何れも図示せず)が設けられている。
遊技盤1の裏面には、液晶画面、主制御基板とサブ制御基板等、遊技の進行、演出に関わる裏部品を組み付けた合成樹脂製の機構板(何れも図示せず)が開閉自在に装着されている。遊技盤1における遊技領域1aの周囲には、発射レバー4を操作することにより発射装置から発射された遊技球を遊技領域1aの上部に案内したり、アウト口10に案内する外レールR1、及び内レールR2が設けられている。
遊技盤1のほぼ中央部には、中央が開口したセンター部材5が配置される。センター部材5の内部には図柄表示装置6が配置されている。図柄表示装置6は、例えば、液晶表示装置等の液晶表示パネルによって構成され、通常動作状態の時は、図示しない特別図柄画像が表示される。また、いわゆる特別遊技状態の時は、特別遊技状態であることを示す演出画像等が表示される。本例では、図柄表示装置6の前方に仮面を象った2枚の開閉部材50、60が横方向へ開閉自在に配置されている。開閉部材は本発明の特徴をなす可動盤面部品30を構成している。
【0015】
センター部材5の右下方には、図柄表示装置6の特別図柄を可変表示させるための可変入賞装置11が設けられている。また、可変入賞装置11の右側には、普通図柄表示装置16に表示される普通図柄を作動させるためのゲート12が設けられている。さらに可変入賞装置11の下方には、特別遊技状態の一つである大当たり状態のときに開成状態になる開閉扉を有する大入賞口13が設けられている。
可変入賞装置11は、図柄表示装置6を可変表示させるための左右一対の開閉爪(可動片)を有する電動式チューリップを備えて構成される。
【0016】
また遊技盤1には普通入賞口14やアウト口10等が設けられていると共に、風車15や図示しない多数の遊技釘が突設されている。遊技釘は、遊技球の落下速度を遅くすると共に、落下方向を複雑に変化させて遊技進行上の興趣を高めている。
普通図柄表示装置16に表示される普通図柄は、1個または複数個の図柄を変動表示可能であり、普通図柄始動口としてのゲート12が遊技球を検出することを条件に、その図柄が乱数制御等により所定時間可変して停止するようになっている。
ゲート12を遊技球が通過したことを条件に乱数制御により普通図柄が所定態様となった場合に、可変入賞装置に設けられた電動式チューリップから成る可動片を所定時間、開成動作するように構成されている。
【0017】
また図柄表示装置6に表示される特別図柄は、停止図柄が予め定められた図柄の組合せ、例えば同一図柄の組合せとなった場合に大当たり状態となるように構成されている。また特別図柄は可変入賞装置の電動式チューリップの開成動作により遊技球が誘導される下始動口(図示していない)において遊技球を検出することを条件に乱数制御等により表示がスクロールする等、所定の変動パターンで所定時間変動(可変)して図柄で停止するようになっている。その際、有効ライン上に2個の停止図柄が同一となった場合に、リーチ状態が発生し、このリーチ状態において、有効ライン上の最後の停止図柄が既に停止している2個の図柄と同一となった場合に大当たり状態が発生する。なお、特別図柄としては、数字図柄、アルファベット図柄、キャラクター図柄等が使用可能である。
【0018】
図2は本発明の一実施形態に係るフレキシブルケーブルの配線構造を採用した可動盤面部品の正面図であり、図3及び図4は開閉部材の閉止状態及び開放状態に係る正面側斜視図であり、図5は図3の要部拡大図であり、図6は図4の要部拡大図であり、図7はこの可動盤面部品の分解斜視図であり、図8(a)及び(b)はフレキシブルケーブルの配線構造を示す要部斜視図であり、図9(a)及び(b)はフレキシブルケーブルの配線構造を示す断面図、及び外観図であり、図10(a)(b)及び(c)は本発明によるフレキシブルケーブルの配線手順を示す斜視図である。
可動盤面部品30は、遊技盤1に固定されるベース部材31と、ベース部材31に設けた上部ガイド部32、及び下部ガイド部40によって夫々上部と下部をガイドされつつ水平方向へ移動する仮面を象った左右一対の開閉部材50、60と、各開閉部材50、60の下部に夫々水平に固定されたラックギヤ部材51、61と、各ラックギヤ部材51、61と噛合して回転することにより各ラックギヤ部材を水平方向へ進退させるピニオンギヤ70と、ピニオンギヤを駆動するモータ71と、を備える。本例では、開閉部材50側のラックギヤ部材51はその下部にラックギヤ51aを有し、開閉部材60側のラックギヤ部材61はその上部にラックギヤ61aを有する。
【0019】
下部ガイド部40は、水平方向へ延びる断面形状が非円形のガイドレール41、42を備えており、各ラックギヤ部材51、61は、夫々ガイドレール41、42の外面と当接して前後方向への相対的回動を阻止されつつ軸方向へ滑動する内面形状を有した被ガイド凹所を備えている。各ガイドレール41、42は、夫々の基部41A、42Aをベース部材31に対して螺子止めにより固定されている。
開閉部材50、60を開閉動作させるための駆動機構は、ピニオンギヤ70と、これを駆動するモータ71と、モータからの駆動力をピニオンギヤ70に伝達する中間ギヤ群72と、モータを制御する図示しない制御手段と、を備えている。
各開閉部材50、60の下部には夫々張出し片52、62が下方へ向けて張り出しており、各張出し片52、62の下部には夫々ラックギヤ部材51、61が固定されている。各張出し片52、62と各ラックギヤ部材51、61との固定は単なる螺子による締結ではなく、張出し片52、62に形成した水平方向へ延びる長穴52a、62a内に、各ラックギヤ部材51、61から前方へ突設した横長(薄肉板状)の突片54、64を嵌合させた状態で、螺子75により各張出し片52、62と各ラックギヤ部材51、61とを締結する構造である。
【0020】
可動盤面部品30は、各開閉部材50、60を、下部ガイド部40(ガイドレール42)の中央部に固定配置されたプリント基板80と夫々電気的に接続するためのフレキシブルケーブル85を配線するための配線構造90を備えている。各開閉部材50、60に搭載されたLEDへの制御信号、及び電力供給はこれらフレキシブルケーブル85によって行われる。
即ち、フレキシブルケーブルの配線構造90は、ガイドレール42の中央部に固定配置されたプリント基板80の長手方向両端部に夫々設けた2つの固定側コネクタ81に対して着脱される可動側コネクタ86を先端に備えた2本のフレキシブルケーブル85を、各開閉部材50、60から各固定側コネクタ81に向けて配線する配線経路91と、配線経路91に沿って配置されてフレキシブルケーブルをジグザグ状に装着して保持するガイド区間Gと、を備えている。
【0021】
ガイド区間Gは、フレキシブルケーブル挿通用のジグザグ状配線経路を形成するために対向配置された2つの壁部(上壁、下壁)を備えている。ジグザグ状配線経路は、各壁部の対向面に長手方向に沿って交互に突設されたケーブル係止用の複数のガイド突起92(92A,92B)と、各ガイド突起92A、92Bと対向する壁部に夫々形成されたフレキシブルケーブル引き出し用の開口部93と、ジグザグ状配線経路を外部と連通させるためにジグザグ状配線経路の手前側に全長に渡って形成されたフレキシブルケーブル差込み用の開放部94と、を備えている。
フレキシブルケーブルをガイド突起間にジグザグ状に装着する際には手前側の開放部94からジグザグ状配線経路内に差し込むことによって装着が行われる。
各フレキシブルケーブル85を夫々各ガイド突起92A、92B間にジグザグに装着した状態で各可動側コネクタ86を各固定側コネクタ81に接続するように構成されている。
【0022】
本発明のフレキシブルケーブルの配線構造90は、ガイド区間G内に装着されたフレキシブルケーブルを固定側コネクタに向けて引き出した長さLが適正である場合に特定のガイド突起と対応するフレキシブルケーブル部位86aに、外観上視認可能な位置合わせ用目印87を形成した構成が特徴的である。
即ち、ガイド突起92はフレキシブルケーブル85の配線経路(ガイド区間G)に沿って配置されたフレキシブルケーブル保持手段であり、フレキシブルケーブルを上下から挟むように、上向きに突出したガイド突起92Aと、上向きに突出したガイド突起92A間に配置された下向きに突出したガイド突起92Bと、から構成されている。フレキシブルケーブルは上向きのガイド突起92Aと下向きのガイド突起92Bの各先端部と交互に接するようにジグザグ状に配線された上で先端部をプリント基板側へ向けて引き出される。各ガイド突起92によりジグザグ状に保持されたフレキシブルケーブルは十分な保持力で固定されており、通常の力が加わった程度では抜取られたり、位置ずれすることはない。
【0023】
各ガイド突起92A、92Bに対向して設けられた各開口部93は、図11に基づいて説明したように、フレキシブルケーブルを開放部94から幅の狭いジグザグ状配線経路内に差し込む際に、各ガイド突起に対応するフレキシブルケーブル部分を一旦開口部93からジグザグ状配線経路外へ引出すための手段である。つまり、幅の狭いジグザグ状配線経路全長に渡ってフレキシブルケーブルを一挙に押し込むことは難しく、ガイド突起毎に対応するフレキシブルケーブル部位を装着する作業を順次実施する必要がある。その際に、まず特定のガイド突起92と対面する開口部93からフレキシブルケーブルの特定部位がV字状に外部へ引き出されるように手前側開放部94からジグザグ状配線経路内に差し込む。次いで、フレキシブルケーブルを長手方向へ伸長させることにより、開口部から引き出された部位をジグザグ状配線経路内に引き戻して収容させる。このように各ガイド突起に対するフレキシブルケーブルの装着作業毎に、開口部93を利用した引出し作業と引き戻し作業を加えることにより、フレキシブルケーブルの各部位を各ガイド突起に装着しつつ狭いジグザグ状配線経路内にフレキシブルケーブルを嵌合する作業が容易となる。
但し、この配線作業を行った場合には、ガイド区間Gから引き出されたフレキシブルケーブル先端部の長さLを一定長にすることが難しい。
【0024】
本発明に係るフレキシブルケーブルの配線構造90の特徴は、ガイド区間G内に装着されたフレキシブルケーブルを固定側コネクタ81に向けて引き出した長さLが適正である場合に特定のガイド突起と対応するフレキシブルケーブル部位に、外観上視認可能な位置合わせ用目印87を形成した構成にある。
各フレキシブルケーブル85は図8、図9などに示すように先端の各可動側コネクタ86を各固定側コネクタ81に接続する一方で、ガイド突起92に対してジグザグ状に巻掛けることにより、開閉部材50、60の開閉動作によってフレキシブルケーブルに加わる張力がコネクタ接続部に加わることがないように構成されている。即ち、各開閉部材50、60と接続されたフレキシブルケーブルの他端側は開閉部材の横方向への進退動作によって撓みと伸長を繰り返すため、外側のガイド突起92bと各開閉部材50、60との間に十分な余長を確保するようにフレキシブルケーブルの長さが予め構成されている。
【0025】
一方、最も内側のガイド突起92cと固定側コネクタ81との間に配線されるフレキシブルケーブル部分の長さは撓みが形成されないように余長処理される必要がある。図8(a)、図9(a)に示したフレキシブルケーブルの配線状態は理想的な状態である。しかし、上述したように各ガイド突起92にフレキシブルケーブル85をジグザグに巻き付けてから可動側コネクタを固定側コネクタに接続する作業において、プリント基板に直近のガイド突起92cから延びるフレキシブルケーブルの長さが短すぎるとコネクタ間の接続が不可能、或いは半刺しとなる。一方、長さが長過ぎる場合にはコネクタ接続後にガイド突起92cと固定側コネクタ81との間のフレキシブルケーブルに撓みが発生し、この撓み部分が周辺部品に干渉する等の不具合をもたらす。このため、コネクタ間の接続を一旦解除した上で全てのガイド突起からフレキシブルケーブルを取り外してやり直すという配線し直し作業が必要となる。なお、コネクタの接続を解除せずにフレキシブルケーブルの配線し直しをすることも可能ではあるが作業が煩雑になる。
【0026】
本発明ではこのような不具合に対処するために、ガイド突起92cと固定側コネクタ81との間に配線されるフレキシブルケーブル85の長さLを最適な状態に維持しつつ、固定側コネクタ81を可動側コネクタ86に対して適正に接続した際に、特定のガイド突起92aと対応するフレキシブルケーブル部位86aに外観上視認可能な位置合わせ用目印87を形成したので、配線し直しのない効果的な配線作業が可能となる。
即ち、図8、図9、図10に示すように可動側コネクタ86を固定側コネクタ81に接続するに際しては、まずフレキシブルケーブル85に設けた位置合わせ用目印87が特定のガイド突起、本例ではガイド突起92aの先端部と対応するようにフレキシブルケーブルをガイド突起92aに位置決めしつつジグザグ状配線経路内に手前側開放部から差し込む(図10(a))。この際、対向する開口部93からフレキシブルケーブルを一旦V字状に引出し、その後フレキシブルケーブルを長手方向(イ)へ伸長させて開口部93からの引出し部位をジグザグ状搬送経路内部に収容してガイド突起92aの頂部に位置合わせ用目印87を合致させた状態とする。
【0027】
この後、隣接する他のガイド突起に対するフレキシブルケーブルの装着を同様の手法で順次繰り返して行くが、他のガイド突起と対応する開口部からのフレキシブルケーブルの引出し作業、引き出したフレキシブルケーブル部位の引き戻し作業は、位置合わせ用目印87がガイド突起92aの頂部から位置ずれしないように配慮(目視確認)しながら実施する。このため、最も先端のガイド突起92cからプリント基板へ向けて延びるフレキシブルケーブル85の長さLを作業中常に最適な長さとすることができ、可動側コネクタを固定側コネクタに接続した際に過剰な余長と過剰なテンションがフレキシブルケーブルに加わることがなくなる。
このため、配線作業のやり直しが不要となり、作業効率を大幅に高めることが可能となる。
なお、上記実施形態では、一つの特定のガイド突起に対応するフレキシブルケーブル部位に一つの位置合わせ用目印87を形成したが、複数のガイド突起に夫々対応するフレキシブルケーブル部位に位置合わせ用目印を形成してもよい。
【0028】
以上のように本発明によれば、所定のギャップを隔てて断続的に配列された複数のガイド突起からなるケーブル保持手段に対してフレキシブルケーブルフレキをジグザグに巻き付けて保持した状態で、ガイド突起から引き出されたフレキシブルケーブル先端部をプリント基板上の固定側コネクタに接続する配線構造において、特定のガイド突起とフレキシブルケーブル側の目印が一致するように配線した時にガイド突起と固定側コネクタとの間のフレキシブルケーブルの長さが最適となるように設定した。このため、ガイド突起と固定側コネクタとの間のフレキシブルケーブル長を常に適切に設定して、コネクタ同士が半刺し状態となったり、フレキシブルケーブルに過剰な撓みが形成されることを防止でき、接続作業のやり直しを防止して組み付け効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0029】
1…遊技盤、1a…遊技領域、2…ガラス枠、3…皿部、4…発射レバー、5…センター部材、10…アウト口、11…可変入賞装置、12…ゲート、13…大入賞口、14…普通入賞口、15…風車、16…普通図柄表示装置、30…可動盤面部品、31…ベース部材、32…上部ガイド部、40…下部ガイド部、41…ガイドレール、41A…基部、42…ガイドレール、50…開閉部材、51…ラックギヤ部材、51a…ラックギヤ、52a…長穴、54…突片、60…開閉部材、61…ラックギヤ部材、61a…ラックギヤ、70…ピニオンギヤ、71…モータ、72…中間ギヤ群、75…螺子、80…プリント基板、81…固定側コネクタ、85…フレキシブルケーブル、86…可動側コネクタ、86a…フレキシブルケーブル部位、87…位置合わせ用目印、90…配線構造、91…配線経路、92…ガイド突起、92A…ガイド突起、92B…ガイド突起、92a…ガイド突起、92b…ガイド突起、92c…ガイド突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定配置されたプリント基板に設けた固定側コネクタに対して着脱される可動側コネクタを備えたフレキシブルケーブルを、前記プリント基板から前記固定側コネクタに向けて配線する配線経路と、該配線経路に沿って配置されて前記フレキシブルケーブルをジグザグ状に装着するガイド区間と、を備え、該ガイド区間から引き出された前記フレキシブルケーブル先端の前記可動側コネクタを前記固定側コネクタに接続するフレキシブルケーブルの配線構造であって、
前記ガイド区間は、フレキシブルケーブル挿通用のジグザグ状配線経路を形成するために対向配置された2つの壁部と、該各壁部の対向面に長手方向に沿って交互に突設された複数のガイド突起と、各ガイド突起と対向する前記壁部に夫々形成されたフレキシブルケーブル引き出し用の開口部と、前記ジグザグ状配線経路を全長に渡って外部と連通させるために形成された開放部と、を備え、
前記ガイド区間内に装着された前記フレキシブルケーブルを前記固定側コネクタに向けて引き出した長さが適正である場合に特定の前記ガイド突起と対応する前記フレキシブルケーブル部位に外観上視認可能な位置合わせ用目印を形成したことを特徴とするフレキシブルケーブルの配線構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−14869(P2012−14869A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147915(P2010−147915)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】