説明

フレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置及びその洗浄方法

【課題】作業環境を悪化しないフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置を提供する。
【解決手段】本発明は、筒状のフレキシブルコンテナバッグを上下方向に配置する配置手段10と、前記フレキシブルコンテナバッグ内に空気を上部から導入し、前記フレキシブルコンテナバッグを膨らます送風手段20と、膨らんだ前記フレキシブルコンテナバッグの内部で上下方向へ移動しながら前記フレキシブルコンテナバッグの内面に向けて洗浄剤を噴射する噴射手段30と、前記フレキシブルコンテナバッグの下部から放出される空気を吸引し、空気内の粉塵を収集する集塵手段40とを備えたフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置及びその洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薬品や食品等の輸送や保存のため使用されるコンテナが、特に粉粒体が汚染や湿気、或いは酸化等を避ける場合には、特定のシート材を用いて形成した外袋の上部に吊り紐やフック等を取り付けた、フレキシブルコンテナが用いられる。
【0003】
フレキシブルコンテナは、ポリエチレン製フィルム、又はポリエチレンラミネートフィルム等の合成樹脂フィルムを用いて外袋と略同じ大きさに形成した内袋を外袋に内装して、フレキシブルコンテナに求められる耐汚染性や耐酸化性等を具有させると共に、袋に作用する力の大部分を外袋で受けると同時に作業中に包装袋に加えられる衝撃力も外袋で受けてこれを保護するようになっている。
【0004】
これらのフレキシブルコンテナは高価なため、多くの場合は外袋は必要により内部を洗浄等を行って再利用される。これに対して、使用済み内袋は水で残存内容物を除去し、内部を洗浄し、そして廃棄されるが、特に薬品が環境への配慮が必要な場合は、入念に洗浄され、乾燥後に産業廃棄物として廃棄される。
【0005】
従来、この内袋の洗浄を行う機械的な洗浄手段として特許文献1に示すような洗浄装置がある。この洗浄装置は、内袋内に空気を吹き込み、フレキシブルコンテナを膨らませた状態でフレキシブルコンテナ内に配置した球形ノズルから洗浄水としての温水をフレキシブルコンテナの内面に噴射して、洗浄するものである。
【特許文献1】特開2000−51806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の洗浄装置では、内部洗浄時に洗浄水を噴射すると、内面に残留した粉粒体が舞い上がり、フレキシブルコンテナ内から外部に噴出して、周辺の作業環境を悪化させるという課題が考えられる。
【0007】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、使用済みフレキシブルコンテナバッグを効率的に洗浄することができるフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置及びその洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、本体部と当該本体部の両端に形成された開口部とを有するフレキシブルコンテナバッグの内部を洗浄する自動洗浄装置であって、前記フレキシブルコンテナバッグの開口部を上下方向に配した状態でセットする配置手段と、前記フレキシブルコンテナバッグの上部に固定され、前記フレキシブルコンテナバッグ内に空気を上部開口部から導入し、前記フレキシブルコンテナバッグを膨らます送風手段と、前記フレキシブルコンテナバッグの上部開口部から挿入され、前記フレキシブルコンテナバッグの内部で上下方向へ移動しながら前記フレキシブルコンテナバッグ内に洗浄剤を噴射する噴射手段と、前記フレキシブルコンテナバッグの下部開口部から洗浄剤を排出するための排出手段と、前記フレキシブルコンテナバッグの下部開口部から前記洗浄剤から分離して空気を吸引し、空気内の粉塵を収集する集塵手段と、前記送風手段と前記噴射手段と前記集塵手段との作動状態を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記フレキシブルコンテナバッグの下部開口部から前記集塵装置に吸引される空気量より多くの空気を上部開口部から導入するように前記送風手段を制御して前記フレキシブルコンテナバッグを膨らんだ状態に維持しつつ、前記噴射手段から膨らんだ前記フレキシブルコンテナバッグの内面に向けて前記洗浄剤を噴射することを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記集塵手段は、前記フレキシブルコンテナバッグの下部開口部を支持する支持部を備え、前記下部開口部から放出する空気内の粉塵を収集することを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置である。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記配置手段は、前記フレキシブルコンテナバッグの上部開口部を支持し、上下方向に移動可能な吊上げ部材と、この吊上げ部材の上部に設置される位置決め部材とを備え、前記吊上げ部材と前記位置決め部材は、前記吊上げ部材の移動方向に対して傾斜する斜面を有し、前記吊上げ部材が上昇し、前記吊上げ部材の斜面が前記位置決め部材の斜面に当接することで、前記フレキシブルコンテナバッグの位置決めがなされることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置である。
【0011】
第4の発明は、第3の発明において、前記吊上げ部材と前記位置決め部材が下側ほど縮径する円筒形状に形成され、前記位置決め部材の外周面に前記吊上げ部材の内周面が嵌り、前記フレキシブルコンテナバッグの位置決めがなされることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置である。
【0012】
第5の発明は、第3の発明において、前記配置手段が前記吊上げ部材に接続するワイヤーと、このワイヤーを引き上げて前記吊上げ部材を所定の位置に配置する引き上げ手段とを備えることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置である。
【0013】
第6の発明は、第5の発明において、前記引き上げ手段がウインチであることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置である。
【0014】
第7の発明は、第1から第6のいずれか一つの発明において、前記フレキシブルコンテナバッグの外面に向けて洗浄剤を噴射する外面噴射手段を備えたことを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置である。
【0015】
第8の発明は、本体部に対して小径の両端部が開口した異径筒状のフレキシブルコンテナバッグの開口部を上下方向に配置し、前記フレキシブルコンテナバッグの下部開口部を、空気内の粉塵を収集する集塵手段の支持部に収める第1の工程と、前記フレキシブルコンテナバッグの上部開口部から前記フレキシブルコンテナバッグ内に空気を導入して前記フレキシブルコンテナバッグを膨らませる共に、前記集塵装置を用いて前記フレキシブルコンテナバッグから放出される空気を吸引して空気内の粉塵を収集する第2の工程と、前記フレキシブルコンテナバッグが膨らんだ状態で前記フレキシブルコンテナバッグの内面に洗浄剤を噴射する第3の工程と、を備えることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄方法である。
【0016】
第9の発明は、第8の発明において、前記第3の工程が終了した後、前記フレキシブルコンテナバッグ内に空気を導入し、前記フレキシブルコンテナバッグ内を乾燥する第4の工程を備えることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄方法である。
【0017】
第10の発明は、第8または9の発明において、前記第1の工程の前工程として、上下方向に移動可能で移動方向に対して傾斜する斜面を備えた吊上げ部材に前記フレキシブルコンテナバッグの上部開口部を支持して上昇させ、前記吊上げ部材の上部に設置されて前記吊上げ部材の移動方向に対して傾斜する斜面を備えた位置決め部材に前記吊上げ部材が当接して前記フレキシブルコンテナバッグの位置決めを行う位置決め工程を備えることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄方法である。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明によると、膨らんだ状態のフレキシブルコンテナバッグの内面に噴射された洗浄剤によりフレキシブルコンテナバッグの内面を確実に洗浄することができる。また、洗浄剤の噴射前にフレキシブルコンテナバッグ内から放出される空気を吸引して空気内の粉塵を集塵装置を用いて収集、除去することができ、自動洗浄装置周辺の作業環境を悪化することがない。
【0019】
第2の発明によると、フレキシブルコンテナバッグの下部開口部を集塵装置の支持部が支持するので、フレキシブルコンテナバッグから放出される空気を確実に集塵装置内に吸引することができる。
【0020】
第3の発明によると、配置手段が前記フレキシブルコンテナバッグの上部開口部を固定し、上下方向に移動可能な吊上げ部材と、この吊上げ部材の上部に設置される位置決め部材とを備え、吊上げ部材が前記位置決め部材に接することで、正確に前記フレキシブルコンテナバッグの位置決めがなされる。
【0021】
第4の発明は、第3の発明において、吊上げ部材と位置決め部材が下側ほど縮径する円筒形状に形成され、位置決め部材の外周面に吊上げ部材の内周面が嵌り、フレキシブルコンテナバッグの位置決めがなされるため、容易な構成でフレキシブルコンテナバッグの位置決めを達成することができる。
【0022】
第5の発明によると、前記吊上げ部材に接続するワイヤーと、このワイヤーを引き上げて吊上げ部材を所定の位置に配置する引き上げ手段とを備え、フレキシブルコンテナバッグを簡単な手段で引き上げることができる。
【0023】
第6の発明によると、ウインチを用いて容易にフレキシブルコンテナバッグを引き上げることができる。
【0024】
第7の発明によると、外面噴射手段を備えたので、フレキシブルコンテナバッグの内面のみならず外面を洗浄することができる。
【0025】
第8の発明によると、フレキシブルコンテナバッグの内面を噴射された洗浄剤により洗浄することができる。また、フレキシブルコンテナバッグ内から放出される空気を吸引して空気内の粉塵を集塵装置を用いて収集、除去することができ、自動洗浄装置周辺の作業環境を悪化することがない。
【0026】
第9の発明によると、洗浄剤噴射後も空気を導入することで、フレキシブルコンテナバッグ内面の乾燥を促進することができる。
【0027】
第10の発明によると、吊上げ部材と位置決め部材を用いてフレキシブルコンテナバッグの位置決めを容易に達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0029】
図1、図2は本発明に係るフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置の概略図である。図1は、被洗浄対象物である内袋1の設置状態前の状態を示し、図2は内袋1を設置後の洗浄状態を示す。また、図3は、図1のAから見た矢視図であり、図4は、図1の断面B−Bの断面図である。なお、通常、フレキシブルコンテナバッグは、外袋、内袋を備えた2重構造で構成されるが、より汚れやすい内袋1を例として以下説明するが、外袋に適用してもよいことは言うまでもない。
【0030】
フレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置は、洗浄する内袋1を所定位置に配置するフレーム10と、配置された内袋1内に空気を導入するファン20と、空気が導入されて膨らんだ内袋1の内面に向けて洗浄水を噴出する噴水ノズル32を備えた噴水装置30と、内袋1の内面に付着し、洗浄時に内袋1内から噴出される粉塵を収集する集塵装置40と、内袋1をフレーム10の所定位置に配置するための移動手段50と、これらの作動を統合的に制御するコントローラ70を備える。
【0031】
内袋1は、本体部に対して小径の両端部が開口した異径円筒形状に合成樹脂フィルムを用いて形成され、外袋(不図示)と共にフレキシブルコンテナバッグとして主に粉粒体の運搬に用いられる。
【0032】
フレーム10は、上下方向に配設されたコの字断面(図4参照)の柱材11と、柱材11の上部に固定された天板12とを備える。一対の柱材11は、そのコの字断面の開口部が対面するように平行に配置されており、移動部材13が柱材11双方の断面内に渡って上下に移動可能に配置される。移動部材13には、鈎状のフック14を備えた吊上げ部材15を固定されており、吊上げ部材15は、移動部材13と共に上下方向に移動する。吊上げ部材15は、下側ほど縮径する円筒形状に形成され、天板12に固定され、吊上げ部材15と略同形状の位置決め部材16の外周面に嵌り(図2参照)、位置決めされる。吊上げ部材15のフック14には、内袋1の上部開口部に備えられた吊り紐17が掛けられ、吊上げ部材15の上昇と共に内袋1も上方向へ伸ばされる。なお、本実施形態では、フレーム10、移動部材13、及び吊上げ部材15が配置手段に相当する。
【0033】
移動部材13の上端部には、移動手段50の第1ワイヤー18の一端が接続し、第1ワイヤー18の他端は、天板12上に固定された滑車19等を介して第1錘25に固定される。また、第1ワイヤー18は柱材11に沿って配設された第2ワイヤー26と接続し、第2ワイヤー26の端部には第2錘27が接続される。ここで、第1錘25の重量が、第2錘27、移動部材13、吊上げ部材15、及び内袋1等の総重量より重くなるように設定される。この重量差は、自動洗浄装置の作業者が、例えば第2錘27を引き下げることで移動部材13を下降させることができる程度の重量差であるように設定する。したがって、第1錘25の重量が前述の他の部材より重いため、移動部材13はフレーム10に沿って上昇して、内袋1は上方に伸長され、吊上げ部材15が位置決め部材16に嵌り、内袋1が位置決めされる。なお、錘による移動部材13の移動に変えてワイヤーを巻き取るウインチを天板12上に設け、ウインチの運転により移動部材13を上下に移動するようにしてもよい。
【0034】
移動部材13には棒状の固定用バー28が柱材11から外方向に突出するように固定され、この固定用バー28は、フレーム10と別置されたハンドル29に係止する。回転可能なハンドル29の回転を規制するピン29aを設けることで固定用バー28が係止したハンドル29の回転をピン29aにより規制する。これによりハンドル29の回転が規制されるため、固定用バー28が固定された移動部材13も所定位置に位置決めされる。
【0035】
フレーム10の天板12には、位置決め部材16内に開口する2つの貫通孔が上下方向に形成される。1つは、ファン20が内袋1内に送風する空気の導入口であり、1つは、内袋1内を洗浄する噴水装置30の噴水ノズル32を上下方向に移動するアクチュエータ31が設置される貫通孔である。
【0036】
内袋1内に空気を導入するための送風手段としてのファン20は、天板12上に固定された、例えば軸流ファンである。
【0037】
噴水装置30は、洗浄剤としての洗浄水を内袋1の内面に噴射する噴射口を2箇所備えた噴水ノズル32と、この噴水ノズル32を上下方向へ移動するアクチュエータ31とから構成される。噴水ノズル32はアクチュエータ31のロッド部先端にロッド部中心軸回りに回転可能に設置される。噴水ノズル32は、洗浄水の噴射の反力により、ロッド部中心軸回りに回転しながら洗浄水を内袋1内面に噴射する。アクチュエータ31のロッド部内部には噴水ノズル32に洗浄水を供給するための通路(不図示)が形成されており、この通路に洗浄水配管33が接続し、洗浄水を噴水ノズル32に供給する。なお、図3では、軸流ファンであるファン20と噴水ノズル32が設置されたアクチュエータ31とを同軸上に配置するようにしてもよく、この場合には、内袋1の中心軸上にファン20の位置と噴水ノズル32の位置とを配置してファン20の送風効率と噴水ノズル32の洗浄効果を向上することが可能となる。なお、本実施形態では、噴水装置30が噴射手段に相当する。
【0038】
フレーム10の下部には筒状の支持部材44が配置される。支持部材44は、その下部が不図示のタンクに続く排水溝45に嵌合して固定され、一方、上部内面には内袋1の下部開口部が空気等が漏洩することなく密着、固定される。
【0039】
支持部材44には集塵装置40を構成するファン41に続くダクト43が開口する。ダクト43には空気中の粉塵を分離するフィルタ42が設置されている。したがって、集塵装置40は、ファン41、フィルタ42およびダクト43とを備え、ファン41の作用により内袋1の下部開口部から放出された空気を支持部材44から吸引して、ダクト43内に配置したフィルタ42により粉塵を空気から分離する。ダクト43は、ファン20に繋がり空気が循環する構成としてもよい。なお、本実施形態では、集塵装置40が集塵手段に相当する。また、洗浄水は、集塵装置40下部の床面に形成された排水溝45から排出され、不図示のタンク内で処理される。なお、本実施形態では、排水溝45とタンクが排水手段に相当する。
【0040】
内袋1の外面を洗浄する外面洗浄装置60が内袋1の外周部に設置される。外面洗浄装置60から噴射された洗浄水は、内袋1の外面を伝わりつつ降下して、外面の汚れを除去する。図では、固定式の外面洗浄装置60を記載したが、これに限らず、噴水装置30と同様に上下方向に、さらには左右方向に移動可能な構成としてもよい。
【0041】
次に、図5、図6を用いてフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置の洗浄工程を説明する。なお、洗浄工程は、洗浄される内袋1が作業者によりフック14に掛けられた後に、コントローラ70により制御される。
【0042】
まず工程(a)では作業者が被洗浄対象物としての内袋1をフック14に掛ける。この時、内袋1の下部開口部が支持部材44に嵌合するようにする。内袋1をフック14に掛けた後、作業者はハンドル29を回して固定用バー28のロックを解除する。固定用バー28のロックが解除されると、内袋1が掛けられた移動部材13がフレーム10の柱材11に沿って上昇する。この上昇と共に、内袋1が引き上げられ、工程(b)で、内袋1を引き上げる移動部材13の吊上げ部材15が位置決め部材16に嵌り、内袋1が洗浄される所定位置に位置決めされる。
【0043】
続く工程(c)では、まずファン20が稼動して、空気を内袋1内に送り内袋1を膨らませる。ファン20の稼動と同時に集塵装置40も稼動し、空気の吸引を開始する。内袋1内に空気が送られた状態で、内袋1の下部開口部は支持部材44内に固定されているため、空気は集塵装置40内に確実に送られる。このようにして、空気中の粉塵は集塵装置40により集められて外部に漏れ出ることはなく、作業環境が悪化することを防止できる。なお、フレキシブルコンテナの内袋1を膨らませた状態に維持するために、ファン20の送付量を集塵装置40の空気吸引量よりも多くする。
【0044】
工程(d)で噴水ノズル32が洗浄水の噴射を開始し、噴水ノズル32は、洗浄水を噴射しつつ、噴水装置30の作動により下方向へ移動する。内袋1の汚れ度合によっては、噴水ノズル32を上下に数回往復させてもよい。噴水ノズル32は噴射した洗浄水の反力により回転し、内袋1の内面に満遍なく洗浄水を噴射して、内袋1の内面を洗浄する。噴射された洗浄水は、集塵装置40に吸入されなかった空気と共に排水溝45へと流れ込み、不図示のタンクにて浄化処理される。
【0045】
また、外面洗浄装置60から内袋1の外面に向けて洗浄水が噴射されて、外面の洗浄が行われる。
【0046】
洗浄後、作業者がコントローラ70のスイッチをオフにして、ファン20と集塵装置40の作動を停止し、例えば第2錘27を引き下げることで、吊上げ部材15を引き下げ、所定位置でハンドル29を介して固定用バー28を固定する。固定用バー28固定後に洗浄した内袋1をフック14から取り外す。
【0047】
また、洗浄後も空気を所定時間、内袋1内に導入するようにしてもよい。洗浄後に空気を導入することで、内袋1内の乾燥を促進させ、洗浄時間を短縮することができる。
【0048】
以上のように、本発明のフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置によれば、内袋の上部開口部から内袋内に空気を導入する送風手段と、内袋の内面に向けて洗浄剤を噴射する噴射手段と、内袋の下部開口部から放出される空気内の粉塵を収集する集塵手段とを備えたので、噴射された洗浄剤により内袋の内面を確実に洗浄することができるとともに、内袋内から放出される空気を吸引して空気内の粉塵を収集、除去することができ、自動洗浄装置周辺の作業環境を悪化することがない。
【0049】
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明と均等であることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置を示す概略図。
【図2】同じくフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置を示す概略図。
【図3】図1の矢視Aから見た矢視図。
【図4】図1の断面B−Bの断面図。
【図5】フレキシブルコンテナバッグの洗浄工程を説明する図。
【図6】同じくフレキシブルコンテナバッグの洗浄工程を説明する図。
【符号の説明】
【0051】
1 内袋
10 フレーム
11 柱材
12 天板
13 移動部材
14 フック
15 吊上げ部材
16 位置決め部材
20 ファン
21 柱部材
25 第1錘
27 第2錘
30 噴水装置
31 アクチュエータ
32 噴水ノズル
33 洗浄水配管
40 集塵装置
41 ファン
42 フィルタ
43 ダクト
44 支持部材
50 移動手段
60 外面洗浄装置
70 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と当該本体部の両端に形成された開口部とを有するフレキシブルコンテナバッグの内部を洗浄する自動洗浄装置であって、
前記フレキシブルコンテナバッグの開口部を上下方向に配した状態でセットする配置手段と、
前記フレキシブルコンテナバッグの上部に固定され、前記フレキシブルコンテナバッグ内に空気を上部開口部から導入し、前記フレキシブルコンテナバッグを膨らます送風手段と、
前記フレキシブルコンテナバッグの上部開口部から挿入され、前記フレキシブルコンテナバッグの内部で上下方向へ移動しながら前記フレキシブルコンテナバッグ内に洗浄剤を噴射する噴射手段と、
前記フレキシブルコンテナバッグの下部開口部から洗浄剤を排出するための排出手段と、
前記フレキシブルコンテナバッグの下部開口部から前記洗浄剤から分離して空気を吸引し、空気内の粉塵を収集する集塵手段と、
前記送風手段と前記噴射手段と前記集塵手段との作動状態を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記フレキシブルコンテナバッグの下部開口部から前記集塵装置に吸引される空気量より多くの空気を上部開口部から導入するように前記送風手段を制御して前記フレキシブルコンテナバッグを膨らんだ状態に維持しつつ、
前記噴射手段から膨らんだ前記フレキシブルコンテナバッグの内面に向けて前記洗浄剤を噴射することを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置。
【請求項2】
前記集塵手段は、前記フレキシブルコンテナバッグの下部開口部を支持する支持部を備え、前記下部開口部から放出する空気内の粉塵を収集することを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置。
【請求項3】
前記配置手段は、前記フレキシブルコンテナバッグの上部開口部を支持し、上下方向に移動可能な吊上げ部材と、この吊上げ部材の上部に設置される位置決め部材とを備え、
前記吊上げ部材と前記位置決め部材は、前記吊上げ部材の移動方向に対して傾斜する斜面を有し、
前記吊上げ部材が上昇し、前記吊上げ部材の斜面が前記位置決め部材の斜面に当接することで、前記フレキシブルコンテナバッグの位置決めがなされることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置。
【請求項4】
前記吊上げ部材と前記位置決め部材は、下側ほど縮径する円筒形状に形成され、前記位置決め部材の外周面に前記吊上げ部材の内周面が嵌り、前記フレキシブルコンテナバッグの位置決めがなされることを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置。
【請求項5】
前記配置手段は、前記吊上げ部材に接続するワイヤーと、このワイヤーを引き上げて前記吊上げ部材を所定の位置に配置する引き上げ手段とを備えることを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置。
【請求項6】
前記引き上げ手段は、ウインチであることを特徴とする請求項5に記載のフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置。
【請求項7】
前記フレキシブルコンテナバッグの外面に向けて洗浄剤を噴射する外面噴射手段を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置。
【請求項8】
本体部に対して小径の両端部が開口した異径筒状のフレキシブルコンテナバッグの開口部を上下方向に配置し、前記フレキシブルコンテナバッグの下部開口部を、空気内の粉塵を収集する集塵手段の支持部に収める第1の工程と、
前記フレキシブルコンテナバッグの上部開口部から前記フレキシブルコンテナバッグ内に空気を導入して前記フレキシブルコンテナバッグを膨らませると共に、前記集塵装置を用いて前記フレキシブルコンテナバッグから放出される空気を吸引して空気内の粉塵を収集する第2の工程と、
前記フレキシブルコンテナバッグが膨らんだ状態で前記フレキシブルコンテナバッグの内面に洗浄剤を噴射する第3の工程と、
を備えることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄方法。
【請求項9】
前記第3の工程が終了した後、前記フレキシブルコンテナバッグ内に空気を導入し、前記フレキシブルコンテナバッグ内を乾燥する第4の工程を備えることを特徴とする請求項8に記載のフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄方法。
【請求項10】
前記第1の工程の前工程として、上下方向に移動可能で移動方向に対して傾斜する斜面を備えた吊上げ部材に前記フレキシブルコンテナバッグの上部開口部を支持して上昇させ、前記吊上げ部材の上部に設置されて前記吊上げ部材の移動方向に対して傾斜する斜面を備えた位置決め部材に前記吊上げ部材が当接して前記フレキシブルコンテナバッグの位置決めを行う位置決め工程を備えることを特徴とする請求項8または9に記載のフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−72744(P2009−72744A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246752(P2007−246752)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000230593)日本化学工業株式会社 (296)
【Fターム(参考)】