説明

フレキシブルディスプレイ装置用タッチコントロール構造

【課題】本発明の第一の目的は、フレキシブルディスプレイ装置用のタッチコントロール構造を提供することである。このタッチコントロール構造は単純な構造および製造プロセスを有し、フレキシブルディスプレイ装置の画像の明るさを低下させない。
【解決手段】フレキシブルディスプレイ装置用のタッチコントロール構造を提供する。このタッチコントロール構造は、フレキシブルディスプレイパネル、少なくとも1つのメニュ表示エリア、タッチフィルムおよび少なくとも1つのセンサを備える。フレキシブルディスプレイパネルは表示面を備える。メニュー表示エリアは表示面の少なくとも1つの面に位置する。タッチフィルムは第一フレキシブル基材および操作接触面を含む。表示面および操作接触面はそれぞれタッチ構造の2つの向かい合った端部に配置される。センサは、メニュー表示エリアに対応する第一フレキシブル基材の少なくとも1つの面に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2009年1月8日に出願された台湾特許第098100458号の特典を請求し、その開示は本明細書全体を参照することにより援用される。
【0002】
本発明はタッチコントロール構造に関する。より具体的には、本発明はフレキシブルディスプレイ装置用タッチコントロール構造(タッチコントロールフレキシブルディスプレイ装置)に関する。
【背景技術】
【0003】
科学技術の進歩とともに、ディスプレイ装置は占有スペースおよび重量を減ずるために薄く軽くなってきた。この間、ユーザインタフェースの進歩にともないタッチパネルは代表的な入力インタフェースになった。しかし、ディスプレイ装置が薄くなるに従って、その薄い形状が相対的に不十分な構造強度をもたらす。 更に、液晶ディスプレイ装置のような従来の薄型ディスプレイ装置の基材は主にガラスから成り、外力で容易に変形し損傷をうける可能性がある。
【0004】
従来型のディスプレイ装置の欠点を克服するために、フレキシブルディスプレイ装置の開発が多くの注目を引いてきた。電子インク(E−インク)を使う電子ペーパーまたは有機半導体を使う有機発光ダイオードディスプレイ技術などの最も代表的で入手可能なフレキシブルディスプレイ技術は、薄型のフレキシブルディスプレイ装置をある程度は実現してきた。しかし、これらの製品で既存のフレキシブルディスプレイ装置にタッチコントロール機能を適用するのは未だに困難である。
【0005】
抵抗型またはコンデンサ型タッチコントロール技術などの従来型ディスプレイ装置に使われてきたタッチコントロール方法は主に、ガラス基材のような硬質基材に適用されてきた。基材に透明導電膜を形成する製造プロセスの間、透明導電膜が基材にしっかり接着できるように、基材を高い工程温度に加熱されなければならない。しかし、この高温の過剰な熱エネルギーは、有機プラスチックを通常使用するフレキシブル基材を損傷し、さらにはタッチコントロール機能を損傷する可能性がある。逆に、比較的低い処理温度での透明導電膜の形成は透明導電膜の導電性および透明性を低下させる傾向がある。さらに、低温で形成される場合、透明導電膜にとって基材に接着するのは難しく、かつさらに膜が剥がれる原因にもなる。結果として、フレキシブル基材に良質な透明導電膜を形成することは難しく、このことが翻って、フレキシブル基材を利用する製品の収率を上げることを難しくしている。
【0006】
さらに、タッチコントロールフィルムは、従来のタッチコントロールディスプレイ技術においてはディスプレイ装置の表示面の前面に配置される。この配置はタッチコントロールフィルムによる吸収により画像の明るさを減少させる。 自己照明を有するディスプレイ装置においては、光源の明るさを単に増すことによって明るさを維持できる。しかし、電子インクを使う電子ペーパーなどの、周辺光源を利用する非自己照明ディスプレイ技術に従来型の配置のタッチコントロールフィルムを適用する場合、この課題を解決するのは困難である。
【0007】
この観点において、画像の明るさを維持できるフレキシブルディスプレイ装置用のタッチコントロール構造を提供することは重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の第一の目的は、フレキシブルディスプレイ装置用のタッチコントロール構造を提供することである。このタッチコントロール構造は単純な構造および製造プロセスを有し、フレキシブルディスプレイ装置の画像の明るさを低下させない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
タッチコントロール構造はフレキシブルディスプレイパネル、少なくとも1つのメニュー表示エリア、タッチフィルムおよび少なくとも1つのセンサを備える。フレキシブルディスプレイパネルは表示面を備える。少なくとも1つのメニュー表示エリアは表示面の少なくとも1つの面に位置する。タッチフィルムは第一フレキシブル基材および操作タッチ面を含む。表示面および操作タッチ面はそれぞれタッチ構造の2つの反対端に配置される。少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのメニュー表示エリアに対応する第一フレキシブル基材の少なくとも1つの面に配置される。
【0010】
結論として、タッチコントロール構造はその単純な構造および製造プロセスにより利点を有する。さらに、本発明のタッチフィルムは表示面の裏面に配置されるゆえに、フレキシブルディスプレイ装置の画像の明るさは低下しない。したがって、本発明のタッチコントロール構造は、タッチフィルムが硬質基材にのみ適用され、画像の明るさを低下させる従来のタッチコントロール技術の欠点を克服する。
【0011】
詳細な技術および本発明に対して実施された好ましい実施態様を、当業者が特許請求の範囲の発明の特徴を十分に理解するように、添付の図面とともに以下の段落で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のタッチコントロールフレキシブルディスプレイ装置の概略図である。
【図2A】本発明の第一実施形態の概略図である。
【図2B】本発明の第一実施形態の別の概略図である。
【図3A】本発明の第二実施形態の概略図である。
【図3B】本発明の第二実施形態の別の概略図である。
【図4A】本発明の第三実施形態の概略図であり、
【図4B】本発明の第三実施形態の別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の記述において、本発明を、フレキシブルディスプレイ装置用のタッチコントロール構造を提供する、その実施形態を参照して説明する。これら実施形態の記述は説明図に対するのみであってなんら制限を加えるものではない。以下の実施形態および添付図において、本発明に間接的に関連する要素は叙述から除外されており、図に示している個別の要素間の寸法的な関係は現実の寸法に制限を加えるものではなく本発明の理解を容易にするためのみであることを理解されたい。
【0014】
図1は本発明のタッチコントロール構造を利用するフレキシブルディスプレイ装置1を図示する。フレキシブルディスプレイ装置1は、ユーザが読むために新聞または書籍のように保持することができ、表示面11a、少なくとも1つのメニュー表示エリア12、操作する接触面13aおよび制御モジュール回路19を有する。メニュー表示エリア12は表示面11aの少なくとも1つの面に位置する。図1は、表示面11aの右側および下側のそれぞれに位置する複数のメニュー表示エリア12を示している。本発明はメニュー表示エリア12を表示面11aの特定の場所に限定する意図は無い。即ち、メニュー表示エリア12は、様々な表示モードのもとで多様な操作が出来るようにユーザの便宜に応じて表示面11aの左側または上側に位置してもよい。
【0015】
表示面11aは情報の1つまたは複数のページを表示するよう適応する。一方で、メニュー表示エリア12は、「前ページ」、「次ページ」、「メインメニューに戻る」および「更新」といった様々な機能のメニューを表示する。ユーザは、表示面11aにあるメニュー表示エリア12および操作する接触面13aのメニュー表示エリア12に対応する場所を、対応する機能を実行するためにそれぞれ親指と人差し指で小さな力で押し付けるだけでよい。
【0016】
図2Aおよび2Bは、フレキシブルディスプレイ装置1用のタッチコントロール構造1aである、本発明の第一実施形態を図示する。タッチコントロール構造1aはフレキシブルディスプレイパネル11およびタッチフィルム13を備える。フレキシブルディスプレイパネル11は、フレキシビリティのある前面積層板(FPL)、エレクトロウエッティングディスプレイパネルまたは別の種類のディスプレイパネルであってもよい。フレキシブルディスプレイパネル11は表示面11aおよび第一フレキシブルプリント回路(FPC)17aを有する。フレキシブルディスプレイパネル11は、制御モジュール回路19から指令をうけて様々な種類の画像を表示面11aに表示するために、第一フレキシブルプリント回路17aによって制御モジュール回路19に電気的に接続されている。タッチフィルム13は、前の段落で述べたように、第一フレキシブル基材14および操作接触面13aを備える。タッチフィルム13は、表示面11aに向かい合ってフレキシブルディスプレイパネル11の裏面に配置される。この配置で、表示面11aおよび操作接触面13aは、タッチコントロール構造1aの2つの向かい合う端部に位置する。この実施形態では、第一フレキシブル基材14の1つの面はタッチフィルム13の操作接触面13aになるように構成されている。
【0017】
複数のセンサ16、複数の金属導電ライン18および第二フレキシブルプリント回路17bは第一フレキシブル基材14の操作接触面13aに配置されている。センサ16は、操作接触面13aの少なくとも1つの面に、それぞれメニュー表示エリア12に対応して配置されている。センサ16は、第二フレキシブルプリント回路17bに金属導電ライン18によって電気的に接続され、ユーザのタッチに応答して信号を発生するように適応している。信号は、第二フレキシブルプリント回路17bに接続されている制御モジュール回路19に金属導電ライン18および第二フレキシブルプリント回路を通じて送られる。この実施形態において、センサ16は力センサである。図1に示しているように、ユーザがメニュー表示エリア12のうちいずれかを親指と人差し指によって適当な大きさの力で押すと、対応するセンサ16が対応するセンサ16によって生み出される圧力に応答して信号を発生させる。
【0018】
即ち、センサ16は、かけられた力により抵抗を変える圧電抵抗性導電ポリマーを利用する感圧抵抗体素子(FSR)であり、2つの金属導電ライン18によって第二フレキシブルプリント回路17bに電気的に接続されている。感圧抵抗体素子は、負荷圧力が無いときには大きな内部抵抗を有する。しかし、感圧抵抗体素子の内部抵抗は負荷圧力に対し逆比例になっており、即ち、内部抵抗は負荷圧力が増えるにつれて減少する。したがって、ユーザがセンサ16を押さないか、または非常に僅かなタッチでは、センサ16は、それに接続されている2つの金属導電ライン18間でオープン回路を維持する大きな内部抵抗を有する。逆に、ユーザがセンサ16に適切な大きさの圧力を加えると、センサ16の内部抵抗は急速に低下し、センサ16に接続されている2つの金属導電ライン18間の閉回路が確立される。この構成で、センサ16はタッチ信号として供給される電流を発生させ、センサ16と第二フレキシブルプリント回路17b間に電流を送るよう適応する。
【0019】
第二フレキシブルプリント回路17bがセンサ16のうちいずれか1つによって発生したタッチ信号を制御モジュール回路19に送った後、制御モジュール回路19はさらにユーザによって実行された操作を決定し処理する。様々な種類の操作によって、制御モジュール回路19は、フレキシブルディスプレイパネル11が表示するように、対応する新たな情報を送るよう作用する。例えば、ユーザが「前ページ」の機能を表すメニュー表示エリア12を押すと、それに対応するセンサ16は信号を制御モジュール回路19に送る。制御モジュール回路19は信号がユーザによって実行された機能「前ページ」であることを決定し、フレキシブルディスプレイ装置の表示面11a上の表示内容を前ページの内容に戻して切り替える。
【0020】
図3Aおよび3Bは、フレキシブルディスプレイ装置1用のタッチコントロール構造1bである、本発明の第二実施形態を図示する。上述した第一実施形態同様、タッチコントロール構造1bはフレキシブルディスプレイパネル11およびタッチフィルム13を備え、フレキシブルディスプレイパネル11は表示面11aおよび第一フレキシブルプリント回路17aを有する。フレキシブルディスプレイパネル11は、制御モジュール回路19から指令をうけて様々な種類の画像を表示面11aに表示するために、第一フレキシブルプリント回路17aによって制御モジュール回路19に電気的に接続されている。タッチフィルム13は、フレキシブルディスプレイパネル11の裏面に配置され、第一フレキシブル基材14、第一フレキシブル基材14に位置する操作接触面13aおよび第二フレキシブルプリント回路17bを有する。センサ16は、それぞれ第一フレキシブル基材の少なくとも1つの面にあるメニュー表示エリア12に対応して配置され、複数の金属導電ライン18によって第二フレキシブルプリント回路17bに電気的に接続されており、一方、第二フレキシブルプリント回路17bは制御モジュール回路19に電気的に接続されている。
【0021】
第一実施形態とは異なり、この実施形態におけるセンサ16、第二フレキシブルプリント回路17bおよび金属導電ライン18は、フレキシブルディスプレイパネル11と第一フレキシブル基材14とにクランプされている。他の要素の機能は第一実施形態と同様であり、本明細書ではさらなる議論はしない。
【0022】
図4Aおよび4Bは、フレキシブルディスプレイ装置1用のタッチコントロール構造1cである、本発明の第三実施形態を図示している。第一または第二実施形態と同様に、タッチコントロール構造1cはフレキシブルディスプレイパネル11およびタッチフィルム13を備え、フレキシブルディスプレイパネル11は表示面11aおよび第一フレキシブルプリント回路17aを備える。フレキシブルディスプレイパネル11は、制御モジュール回路19から指令をうけて様々な種類の画像を表示面11aに表示するために、第一フレキシブルプリント回路17aによって制御モジュール回路19に電気的に接続されている。タッチフィルム13は第一フレキシブル基材14、第二フレキシブル基材15、操作接触面13aおよび第二フレキシブルプリント回路17bを備える。第一フレキシブル基材14はフレキシブルディスプレイパネル1と第二フレキシブル基材15との間に配置される。第二フレキシブル基材15の1つの面は操作接触面13aである。センサ16はそれぞれ、第一フレキシブル基材14の少なくとも1つの面でメニュー表示エリア12に対応して配置され、複数の金属導電ライン18によって第二フレキシブルプリント回路17bに電気的に接続され、一方、第二フレキシブルプリント回路17bは制御モジュール回路19に電気的に接続されている。
【0023】
第一実施形態とは異なり、本実施形態のセンサ16、第二フレキシブルプリント回路17bおよび金属導電ライン18は第一フレキシブル基材14と第二フレキシブル基材15との間にクランプされている。他の要素の機能は第一実施形態と同様であり、本明細書では更なる議論はしない。
【0024】
結論としては、本発明のタッチフィルムは表示面の裏面に配置され、一方、センサはタッチフィルム上のメニュー表示エリアに対応して配置される。この配列では、タッチコントロール構造はその単純な構造と製造プロセスにより利点を有し、フレキシブルディスプレイ装置の画像の明るさを低下させない。したがって、本発明のタッチコントロール構造は、タッチフィルムが硬質基材のみに用いられ画像の明るさを低下させる従来のタッチコントロール技術の欠点を防止する。
【0025】
上記の開示は詳細な技術内容および本発明の特徴に関する。当業者は、記述されている本発明の開示および示唆に基づき、その特性から離れることなく、様々な変更および置き換えを進めることができる。しかし、そのような変更および置き換えは上記に全て開示されてはいないが、それらは添付されている以下の特許請求の範囲に基本的に及んでいる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面を有するフレキシブルディスプレイパネルと、
表示面の少なくとも1つの面に位置する少なくとも1つのメニュー表示エリアと、
前記表示面および操作接触面がそれぞれ、タッチ構造の2つの向かい合う端部に配置されている、第一フレキシブル基材および前記操作接触面を有するタッチフィルムと、
少なくとも1つのメニュー表示エリアに対応する前記第一フレキシブル基材の少なくとも1つの面に配置されている少なくとも1つのセンサと
を備えるフレキシブルディスプレイ装置用のタッチコントロール構造。
【請求項2】
第一フレキシブル基材の少なくとも1つの面が前記操作接触面である、請求項1に記載のタッチコントロール構造。
【請求項3】
前記タッチフィルムがさらに、
第二フレキシブル基材の少なくとも1つの面が前記操作接触面であって、前記少なくとも1つのセンサが空間の内部に配置されている、第一フレキシブル基材をもつ前記空間を形成するよう構成された第二フレキシブル基材
を含む請求項1に記載のタッチコントロール構造。
【請求項4】
さらに、
少なくとも1つのフレキシブルプリント回路と、
前記空間の内部に配置され、前記少なくとも1つのセンサと前記少なくとも1つのフレキシブルプリント回路とを接続するように構成される、少なくとも1つの金属導電ラインと
を含む、請求項3に記載のタッチコントロール構造。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサがタッチに従って信号を発生し、前記少なくとも1つの金属導電ラインが前記信号を前記少なくとも1つのフレキシブルプリント回路に送るように構成された、請求項4に記載のタッチコントロール構造。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサが力センサである、請求項1に記載のタッチコントロール構造。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサが感圧抵抗体素子である、請求項1に記載のタッチコントロール構造。
【請求項8】
前記フレキシブルディスプレイパネルが前面積層板である、請求項1に記載のタッチコントロール構造。
【請求項9】
前記フレキシブルディスプレイパネルがエレクトロウエッティングディスプレイである、請求項1に記載のタッチコントロール構造。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2010−160775(P2010−160775A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82138(P2009−82138)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(500488133)元太科技工業股▲ふん▼有限公司 (14)
【Fターム(参考)】