説明

フレキシブルフラットケーブルおよびその製造方法

【課題】本発明は、軽量で、耐熱性、耐寒性、耐久性、耐薬品性およびシールド性に優れたオールポリイミドのフレキシブルケーブルを提供することを目的とする。
【解決手段】複数の配線、前記複数の配線を両側から挟む2層のポリイミド層、前記ポリイミド層の外側に設けられたシールド層を有し、前記ポリイミド層と前記配線の間、および前記ポリイミド層と前記シールド層の間には、ポリイミド以外の材料からなる接着剤層が存在しないことを特徴とするフレキシブルフラットケーブル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁シールド層を有するオールポリイミドのフレキシブルケーブルに関し、特に、耐薬品性、耐熱性に優れ、例えばワイヤーハーネスの代替可能なオールポリイミドのフレキシブルケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車のエレクトロニクス化が進み、クルマに搭載される電線の数が増している。これらの多くの電線を、より効率的にコンパクトに装着することを目的として、ワイヤーハーネスが使用されている。ワイヤーハーネスは、電線と共に、コネクタ、ジョイント、ジャンクションボックス、ヒューズ等の電気回路部品、テープやコルゲートチューブ等の外装品、およびその他の部品を束ねて構成される。
【0003】
しかし、通常、電子機器間の配線は1:1で行われているため、ワイヤーハーネスの使用量が急増し、その結果、自動車の重量が増加する。従って、自動車の燃費向上および消エネルギーのために、ワイヤーハーネスの軽量化が求められている。
【0004】
自動車のエンジンルームは、高温および低温に曝される過酷な環境的である。また、エンジンルームで使用されるケーブルは、硫酸を含むバッテリ液に触れる可能性もある。従って、自動車に搭載される電線としては、耐熱性等の耐環境特性と耐薬品性が求められる。さらに、電子機器の誤作動を防止するため、例えばエンジンコントロールユニット等の制御系に用いられる電線には、ノイズ耐性も強く求められる。
【0005】
従来、ポリイミド等の耐熱性樹脂基板と、金属配線とを有するフレキシブル基板は公知である。特開2009−93818号公報(特許文献1)には、芳香族テトラカルボン酸無水物とベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンとを反応させて得られるポリイミドフィルムを、耐熱性の接着材層としてポリアミドイミドを介して、銅箔とを接着し、高耐熱性のフレキシブルフラットケーブルが得られることが記載されている。しかし、シールド層は有していないため、ノイズ耐性を要求される用途では使用不可能である。
【0006】
また、特開2008−198592号公報(特許文献2)には、電磁干渉とノイズを防止するためのシールド層を設けたフレキシブルフラットケーブルが記載されている。樹脂フィルムとしてポリイミドの使用が記載されているが、接着剤層の耐熱性、耐薬品性が不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−93818号公報
【特許文献2】特開2008−198592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、軽量で、かつワイヤーハーネスを代替できるフレキシブルケーブルは、従来知られていなかった。
【0009】
本発明は、軽量で、耐熱性、耐寒性、耐久性、耐薬品性およびシールド性に優れたオールポリイミドのフレキシブルフラットケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下の事項に関する。
【0011】
1. 複数の配線、
前記複数の配線を両側から挟むポリイミド層、
前記ポリイミド層の外側に設けられたシールド層、
を有し、
前記ポリイミド層と前記配線の間、および前記ポリイミド層と前記シールド層の間には、ポリイミド以外の材料からなる接着剤層が存在しないことを特徴とするフレキシブルフラットケーブル。
【0012】
2. 前記シールド層の外側に外界から前記シールド層をカバーするポリイミド・カバー層を有することを特徴とする上記1記載のフレキシブルフラットケーブル。
【0013】
3. 前記配線と接するポリイミド層の一方又は両方の面、および前記シールド層と接するポリイミド層の一方又は両方の面が、熱圧着性を有することを特徴とする上記1記載のフレキシブルフラットケーブル。
【0014】
4. 前記ポリイミド層は、150〜400℃の範囲で熱圧着可能な材料で形成されていることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のフレキシブルフラットケーブル。
【0015】
5. 前記ポリイミド層は、熱圧着性ポリイミドと耐熱性ポリイミドの多層構造を有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のフレキシブルフラットケーブル。
【0016】
6. 前記耐熱性ポリイミドが、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物およびピロメリット酸二無水物から選ばれる酸二無水物を含む酸成分と、
p−フェニレンジアミンとジアミノジフェニルエーテルから選ばれるジアミンを含むジアミン成分とを含む組み合わせから得られるポリイミドであることを特徴とする上記5記載のフレキシブルフラットケーブル。
【0017】
7. 上記1のフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
金属箔が少なくとも片面に積層されているポリイミドフィルムを用意する工程、
前記金属箔をパターニングして、複数の配線を形成する工程、および
形成された配線の上に、前記ポリイミドフィルムを折り返して重ね合わるか、または第2のポリイミドフィルムを重ね合わせ、熱圧着して、前記配線をポリイミド層の間に挟む工程
を有することを特徴とするフレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【0018】
8. 上記1のフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
配線となる金属箔およびシールド層となる金属箔がポリイミドフィルムの両面に積層されている両面金属箔積層ポリイミドフィルムを用意する工程、
前記両面金属箔積層ポリイミドフィルム表面の配線となる金属箔をパターニングして、複数の配線を形成する工程、および
ポリイミドフィルムの片面に、シールド層が積層された積層ポリイミドフィルムを用意し、ポリイミドフィルム面が、前記配線と接するように重ね合わせ、熱圧着する工程
を有することを特徴とするフレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【0019】
9. 上記1のフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
配線となる金属箔およびシールド層となる金属箔がポリイミドフィルムの両面に積層されている両面金属箔積層ポリイミドフィルムを用意する工程、
前記両面金属箔積層ポリイミドフィルムの一方の表面の金属箔をパターニングして、複数の配線を形成する工程、および
形成された配線を内側にして、前記配線同士が重ならないようにして、加工された前記両面金属箔積層ポリイミドフィルムを折り返して重ね合わせ、熱圧着する工程
を有することを特徴とするフレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【0020】
10. さらに、少なくとも片面が熱圧着性を有するポリイミドフィルムを用意し、この熱圧着性の面を、前記シールド層の外側表面に重ね合わせ、熱圧着して、ポリイミド・カバー層を形成する工程を有することを特徴とする上記8または9に記載のフレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【0021】
11. 上記2のフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
配線となる金属箔、ポリイミドフィルム、シールド層となる金属箔およびポリイミドフィルムがこの順に積層された積層ポリイミドフィルムを用意する工程、
前記積層ポリイミドフィルムの表面の配線となる金属箔をパターニングして、複数の配線を形成する工程、および
ポリイミドフィルムとポリイミドフィルムの間にシールド層となる金属箔が挟まれて積層されている第2の積層ポリイミドフィルムを用意し、前記配線と接するように重ね合わせ、熱圧着する工程
を有することを特徴とするフレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【0022】
12. 上記2のフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
配線となる金属箔、ポリイミドフィルム、シールド層となる金属箔およびポリイミドフィルムがこの順に積層された積層ポリイミドフィルムを用意する工程、
前記積層ポリイミドフィルムの表面の配線となる金属箔をパターニングして、複数の配線を形成する工程、および
形成された配線を内側にして、前記配線同士が重ならないようにして、加工された前記両面金属箔積層ポリイミドフィルムを折り返して重ね合わせ、熱圧着する工程
を有することを特徴とするフレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【0023】
13. 前記熱圧着が、150〜400℃の範囲で加熱加圧して実施されることを特徴とする上記7〜12のいずれか1項に記載のフレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、高温または低温等の過酷な条件下でも使用可能で、軽量で、耐熱性、耐寒性、耐久性、耐薬品性およびシールド性に優れたオールポリイミドのフレキシブルケーブルを提供することができる。
【0025】
また、本発明のフレキシブルケーブルは、配線の分岐等のパターン設計が自在にできるので、分岐のために特別のコネクタやジャンクションボックスを必要としない。また、電子機器またはその接続部において通常使用される配線基板と一体化することで、コネクタ接続箇所や基板点数の削減が可能である。加えて、耐熱性を有するため、フレキシブルケーブル上に各種部品を実装することによりその他の機能を持たせる事が可能である。
【0026】
以上のように、本発明のフレキシブルケーブルは、従来のワイヤーハーネスの代替として、好適に使用することができるばかりでなく、よりコンパクトに電子機器を搭載することを可能とする新しい搭載技術につながる点で、極めて有用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】フレキシブルフラットケーブルの1例を示す図である。
【図2】フレキシブルフラットケーブルの1例を示す図である。
【図3】配線をポリイミド層で挟んだ形状の1例を示す図である。
【図4】フレキシブルフラットケーブルの製造方法の1例を示す図である。
【図5】フレキシブルフラットケーブルの製造方法の1例を示す図である。
【図6】フレキシブルフラットケーブルの製造方法の1例を示す図である。
【図7】フレキシブルフラットケーブルの製造方法の1例を示す図である。
【図8】本発明のフレキシブルフラットケーブルの異なる例を示す図である。
【図9】フレキシブルフラットケーブルの製造方法の1例を示す図である。
【図10】フレキシブルフラットケーブルに形成したビアホールを拡大して示す図である。
【図11】ビアホールを有し、配線の一部とシールド層が電気的に接続されているフレキシブルフラットケーブルの1例を示す図である。
【図12】ビアホールを有し、配線の一部とシールド層が電気的に接続されているフレキシブルフラットケーブルの1例を示す図である。
【図13】ビアホール(スルーホール)を有し、配線の一部とシールド層が電気的に接続されているフレキシブルフラットケーブルの1例を示す図である。
【図14】ビアホール(スルーホール)を有し、配線の一部とシールド層が電気的に接続されているフレキシブルフラットケーブルの1例を示す図である。
【図15】フレキシブルフラットケーブルの製造方法の1例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書において、一般に、用語「層」は、特定の部材を、積層構造を構成する要素として記述するときに主に使用し、用語「フィルム」または用語「箔」は層を構成する部材そのもの、または積層構造に組み入れられる前の材料について言及する場合に主に使用し、特に用語「箔」は金属について使用し、加えて、用語「フィルム」は自己支持性のある単層または積層構造全体を指す場合にも使用する。多くの場合、同一の部材を、「層」、「フィルム」または「箔」として、異なる表現をすることがあるが、これらの記載は異なる部材を意味することを意図していない。
【0029】
<<フレキシブルフラットケーブルの構造>>
本発明のフレキシブルフラットケーブルの代表的例の断面斜視図を図1および図2に示す。フレキシブルフラットケーブル10は、図中の矢印の長さ方向に長く、一般に全体としてフラットな形状である。配線11は、フレキシブルフラットケーブル10の長さ方向に延在して、信号線、電力供給線等の機能を果たす。図1、2では2本のみを示しているが、必要により多数の配線がフレキシブルフラットケーブルに存在してよい。
【0030】
配線11は、接着剤(ポリイミド以外の材料)を介することなくポリイミド層21とポリイミド層22に挟まれている。配線の断面形状は、特に限定はされず、円、楕円等でもよいが、フラットケーブルとしての特徴を生かし、コンパクトでより大きな断面積を提供するためには、長方形、台形等の形状、特に横方向が高さ方向よりも長い長方形または台形が好ましく、より具体的には後述する製造方法で得られるようなフラット形状であり、配線の厚さ(断面の高さ)、幅(断面の幅)は、信号の性質、流れる電流の大きさ、インピーダンス等を考慮して設定される。配線の厚さに関して、大きな制約はなく、広い範囲で設定することが可能である。図1、図2では、配線11が、ポリイミド層22中に埋まった図を示しているが、ポリイミド層21、22等を構成するポリイミドフィルムは、図3に示すように、形状追随性があるため、配線11がポリイミド層21とポリイミド層22の合計厚みを超える場合でも、配線を良好に挟むことができる。通常、配線の厚みは、一般的には好ましくは1mm以下、より好ましくは0.3mm以下、さらに好ましくは0.1mm以下、特に好ましくは50μm以下であり、好ましくは1μm以上、より好ましくは8μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。また、配線は、導電性の観点から、金属で形成され、通常は銅で形成される。配線、例えば銅配線の表面は、必要によりメッキが施されていてもよい。
【0031】
また、図1、図2では、複数の配線が、同一の層レベルに存在しているが、後述する実施形態の中で説明するように、配線が異なる層レベル、即ち第1の層レベルに存在する配線と第2の層レベルに存在する配線が、ポリイミド層により分離されている多層配線でもよい。
【0032】
本発明のフレキシブルフラットケーブルは、ポリイミド層21,22の外側に、所定の厚みを有するシールド層12を有する。シールド層12は、図2に示すように、箔状又は層状でよく、即ち、ポリイミド層21、22の外側全面を隙間なく覆っていてもよいし、図1に示すように、電磁シールド効果を有するならば、ストライプ状、メッシュ状、その他の開口を有するパターン状に形成されていてもよい。シールド層が、パターン状に形成されている場合は、軽量となり、自動車などの車用に使用されるとき、低燃費、省エネルギー化に効果がある。どちらの場合でも、配線11が、空間的にシールドされる。ポリイミド層とシールド層は、間に接着剤(ポリイミド以外の材料)を介することなく、積層されていることが耐熱性に優れるために好ましい。
【0033】
シールド層は、通常金属で構成され、特に限定されないが、柔軟性の点では、銅およびアルミニウム等が好ましく、特に軽量である点で、アルミニウムが好ましい。特定の目的のために、強度や形状保持性が特に要求される場合には、ステンレス、Niメッキ等を施した鉄を用いてもよい。シールド層は、蒸着(スパッタ、その他の気相堆積方法を含む)、メッキ等の堆積方法で形成することもできるが、通常、金属箔を用いる。シールド層の厚さは、用いる用途で電磁シールド効果を有する厚みであればよく特に制限はないが、例えば1〜1000μm、好ましくは8〜100μm、より好ましくは20〜100μmである。形状保持性や特定の部位に掛かる熱の拡散を目的とするときは、厚めの方が好ましく、例えば200〜500μmである。
【0034】
シールド層12のさらに外側には、ポリイミド・カバー層23,24が設けられている。ポリイミド・カバー層23,24は、シールド層12を保護するために設けられており、シールド層の耐化学薬品性、特に耐腐食性の向上に有利であるが、用途によっては、ポリイミド・カバー層が存在しなくてよい。ポリイミド・カバー層とシールド層は、間に接着剤(ポリイミド以外の材料)を介することなく、積層されていることが好ましい。
【0035】
ポリイミド層21、22、ポリイミド・カバー層23、24(以下、まとめてポリイミド層という場合がある)は、全体はポリイミドで形成され、そして、少なくとも配線11、シールド層12と接する面の一方または両方が、ポリイミド層、配線および/またはシールド層などとの熱圧着性を有することが好ましく、配線11、シールド層12と接する面の両方が、ポリイミド層、配線および/またはシールド層などとの熱圧着性を有することが好ましい。但し、配線11またはシールド層12が蒸着法等の堆積手段で形成される場合、ポリイミド層の蒸着面(配線11またはシールド層12の堆積面)は、熱圧着性を有していなくてもよい。
【0036】
ポリイミド層全体が熱圧着性ポリイミドの単層で形成されていてもよいし、熱圧着性ポリイミドと耐熱性ポリイミド(即ち、圧着温度で軟化しないポリイミド)の2層以上積層構造となっていてもよい。例えば、熱圧着性ポリイミドが耐熱性ポリイミドの両側に形成された3層構造{熱圧着性ポリイミド/耐熱性ポリイミド/熱圧着性ポリイミドの3層構造}が使用される。ポリイミド・カバー層23、24用としては、この3層構造でもよいし、熱圧着性ポリイミドが耐熱性ポリイミドの片側に形成された2層構造{熱圧着性ポリイミド/耐熱性ポリイミド}でもよい。ポリイミド層が多層で構成される場合、各層の境界は明確になっていても、組成が混じり合う傾斜層となっていてもどちらでもよい。
【0037】
ポリイミド層とポリイミド層とを熱圧着ではりあわせる場合、ポリイミド層の少なくとも一方が熱圧着性を有すればよく、好ましくは配線を有しないポリイミド層が熱圧着性を有すればよい。
【0038】
ポリイミド層(ポリイミド層21、22、ポリイミド・カバー層23、24)の厚さは、特に限定はされないが、例えば、5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
【0039】
本発明のフレキシブルフラットケーブルは、幅、厚さ等の形状に特に制限はなく、用途により、適宜設定することができる。1例を挙げると、例えば幅が約1mm〜約300mm、用途によっては好ましくは幅が約5mm〜約100mmであり、例えば厚さが100μm〜20mm、用途によっては好ましくは厚さが200μm〜10mmである。
【0040】
以上のように、本発明のフレキシブルフラットケーブルは、配線およびシールド層以外の有機材料部分は、実質的にポリイミドのみで形成されるオールポリイミドの構成となっているために、軽量でかつ耐熱性、耐寒性、耐久性、耐薬品性に優れる。
【0041】
以下、本発明のフレキシブルフラットケーブルの代表的実施形態を、その製造方法と共に説明する。ポリイミド層を構成するポリイミドフィルムの製造方法、および金属層積層ポリイミドフィルムの製造方法は、その後にまとめて説明する。
【0042】
<実施形態1>
実施形態1は、図1に示すフレキシブルフラットケーブル10であり、構造についてはすでに説明した。この例のフレキシブルフラットケーブルは、例えば次のようにして製造することができる。
【0043】
まず図4(a)に示すように、ポリイミドフィルム21の両面に銅箔11a、12aが積層された両面銅箔積層ポリイミドフィルム110を用意する。両面銅箔積層ポリイミドフィルム110の製造方法は、ポリイミド層の製造方法と共に最後にまとめて説明するとおり、熱圧着性を有するポリイミドフィルムの両面に熱圧着により銅箔を積層することが好ましいが、銅箔(銅形成層、および他の金属層でも同じ)が蒸着法等の堆積方法で形成されるときは、ポリイミドフィルムの金属層形成表面は熱圧着性がなくてもよい(他の実施形態においても同様である)。
【0044】
図4(b)に示すように、銅箔11aをエッチング等によりパターニングして、配線11を形成し、一方、同様に銅箔12aをエッチング等によりパターニングして、シールド層12を形成し、積層フィルム111を形成する。シールド層12はここでは、ストライプ状を示したが、メッシュ状等でもよい。この段階で、必要によりシールド層12にメッキを施してもよい。また、両面銅箔積層ポリイミドフィルム110のポリイミドフィルム21は、ポリイミド層21に対応する。
【0045】
これとは別に、図4(c)に示すように、ポリイミドフィルム22の片面に銅箔を積層した片面銅箔積層ポリイミドフィルム120を用意する。ポリイミドフィルム22は、両面が熱圧着性を有することが好ましいが、銅箔(銅形成層、および他の金属層でも同じ)が蒸着法等の堆積方法で形成されるときは、ポリイミドフィルムの金属層形成表面は熱圧着性がなくてもよい(他の実施形態においても同様である)。
【0046】
図4(d)に示すように、銅箔12aをエッチング等によりパターニングして、シールド層12を形成し、積層フィルム121を形成する。シールド層12はここでは、ストライプ状を示したが、メッシュ状等でもよい。この段階で、必要によりシールド層12にメッキを施してもよい。また、片面銅箔積層ポリイミドフィルム120のポリイミドフィルム22は、ポリイミド層22に対応する。
【0047】
次に、図4(e)に示すように、積層フィルム111{図4(b)}の配線形成面に、積層フィルム121{図4(d)}のポリイミド面(シールド層12を形成していない面)を合わせて熱圧着して貼り合わせる。熱圧着条件は、使用するポリイミドフィルムの特性により選択することが好ましいが、圧力を適宜調節しながら、加熱温度を、後述する材料の場合、一般に150℃〜400℃の範囲として熱圧着することができる。以下の実施形態においても、同様の条件を採用することができる。
【0048】
図4(e)に示す積層フィルム131は、図1においてポリイミド・カバー層23、24が存在しない形態であり、これも本発明のフレキシブルフラットケーブルの実施形態の1つである。
【0049】
さらに、ポリイミド・カバー層を設けるには、別途、少なくとも片面が熱圧着性を有するポリイミドフィルム140を用意し、積層フィルム131{図4(e)}の両面に熱圧着して貼り合わせ、ポリイミド・カバー層23、24を有するフレキシブルフラットケーブルが完成する。
【0050】
尚、積層フィルム111、積層フィルム121、およびポリイミドフィルム140を同時にまとめて熱圧着して貼り合わせることも可能である。
【0051】
以上の説明で、銅箔に代えて他の金属層とすることも可能である。例えば、シールド層に対応する銅箔を他の金属層、特にアルミニウム箔に代えることも好ましい(他の実施形態においても同じである)。
【0052】
<実施形態2>
実施形態2は、実施形態1の1つの変形例である。実施形態1と同じように、図5(a)に示すように、ポリイミドフィルム21の両面に銅箔11a、12aが積層された両面銅箔積層ポリイミドフィルム110を用意する。図5(b)に示すように、銅箔11aをエッチング等によりパターニングして、配線11を形成し、一方、同様に銅箔12aをエッチング等によりパターニングして、シールド層12を形成し、積層フィルム112を形成する。
【0053】
その後、図5(b)の積層フィルム112を、幅方向の中央から折り返して合わせて、熱圧着して貼り合わせ、図5(c)に示す積層フィルム132を製造する。そのため、配線11を形成するときに、積層フィルム112を折り返しても、配線同士が接触しないようなパターン状に形成する必要がある。例えば、図5(b)に示したように、ポリイミドフィルム21の幅方向の半分の領域{図5(b)では右半分}には、配線11を形成しないようにするか、例えば折り返したときに下側の配線と上側の配線が互い違いに配置されるようなパターン等が考えられる。
【0054】
ポリイミドフィルム21は、図1のポリイミド21と22の両方に対応する。尚、折り返しの場合でも、配線を挟むポリイミド層の層数は2と数えるものとする。
【0055】
この積層フィルム132も、図1においてポリイミド・カバー層23、24が存在しない形態であり、これも本発明のフレキシブルフラットケーブルの実施形態の1つである。
【0056】
その後、図示は省略するが、ポリイミド・カバー層を設けるには、実施形態1と同様に、別途、少なくとも片面が熱圧着性を有するポリイミドフィルム140を用意し、積層フィルム132{図5(c)}の両面に熱圧着して貼り合わせ、ポリイミド・カバー層23、24を有するフレキシブルフラットケーブルが完成する。
【0057】
尚、積層フィルム131を折り返して熱圧着する工程と、ポリイミドフィルム140の熱圧着する工程を同時に行うことも可能である。
【0058】
<実施形態3>
実施形態3は、図2に示すフレキシブルフラットケーブルであり、構造についてはすでに説明した。この例のフレキシブルフラットケーブルは、実施形態1に類似して製造することができる。
【0059】
まず図6(a)に示すように、ポリイミドフィルム21の片面に銅箔11a、他方の面にアルミ箔12bが積層された両面金属箔積層ポリイミドフィルム150を用意する。両面金属箔積層ポリイミドフィルム110の製造方法は、ポリイミド層の製造方法と共に最後にまとめて説明する。
【0060】
図6(b)に示すように、銅箔11aをエッチング等によりパターニングして、配線11を形成する。実施形態1とは異なり、アルミ箔12bはパターニングしない。これにより、積層フィルム151を形成する。
【0061】
これとは別に、図6(c)に示すように、ポリイミドフィルム22の片面にアルミ箔を積層した片面アルミ箔積層ポリイミドフィルム155を用意する。実施形態1で説明したように、ポリイミドフィルム22は、両面が熱圧着性を有することが好ましいが、アルミ箔が蒸着法等の堆積方法で形成されるときは、ポリイミドフィルムの金属層形成表面は熱圧着性がなくてもよい。
【0062】
次に、図6(d)に示すように、積層フィルム151{図4(b)}の配線形成面に、片面アルミ箔積層ポリイミドフィルム155のポリイミド面を合わせて熱圧着して貼り合わせる。このようにして形成される積層フィルム133は、図1においてポリイミド・カバー層23、24が存在しない形態であり、これも本発明のフレキシブルフラットケーブルの実施形態の1つである。
【0063】
その後、図示しないが、実施形態1と同様にして、ポリイミド・カバー層23、24を設けて、図2に示すフレキシブルフラットケーブルが完成する。
【0064】
この実施形態で、シールド層にアルミ箔を用いたが、銅箔とすることも可能である。
【0065】
また、別の実施形態として説明はしないが、実施形態2で説明したように、折り返し法を適用して、実施形態2の積層フィルム132{図5(c)}でシールド層がパターニングされていない積層フィルム(ポリイミド・カバー層のないフレキシブルフラットケーブル)を製造することもできる。また、同様にポリイミド・カバー層を設けて、図2に示すフレキシブルフラットケーブルを製造することができる。
【0066】
<実施形態4>
実施形態4は、図2に示すフレキシブルフラットケーブルの異なる製造方法である。まず図7(a)に示すように、銅箔11a、ポリイミドフィルム21、アルミ箔12bおよびポリイミドフィルム23がこの順に積層された積層ポリイミドフィルム160を用意する。
【0067】
図7(b)に示すように、銅箔11aをエッチング等によりパターニングして、配線11を形成し、積層フィルム161を形成する。このとき、実施形態2のように折り返し法を採用する場合は、ポリイミドフィルム21上の幅方向の半分の領域{図7(b)では右半分}には、配線11を形成しないようにする。
【0068】
その後、実施形態2と同様に、幅方向の中央から折り返して重ね合わせ、熱圧着して貼り合わせ、図7(c)に示すフレキシブルフラットケーブルを製造することができる。
【0069】
また、別途、図7(d)に示すように、ポリイミドフィルム22とポリイミドフィルム24の間にアルミ箔12bが挟まれて積層されている積層ポリイミドフィルム170を用意して、図7(b)に示す積層フィルム161に重ね合わせ、熱圧着して貼り合わせて、図7(e)に示すフレキシブルフラットケーブルを製造することもできる。このとき、折り返し法の場合とは異なり、図7(b)の配線を形成する領域は、ポリイミド層21の半分の領域に限る必要はない。
【0070】
<実施形態5>
本実施形態では、配線を多層配線とした例を示す。このフレキシブルフラットケーブルは、図8に示すように、ポリイミド層21の両面に配線11、配線11’が形成されて、それぞれポリイミド層22、ポリイミド層22’で外側から挟まれた構造を有している。そして、ポリイミド層22,22’の外側に、シールド層12を有している。シールド層を保護して、その外側にポリイミド・カバー層23、24が存在してよく、また存在しなくてもよいことは、実施形態1と同様である。
【0071】
実施形態5のフレキシブルフラットケーブルを製造するには、図9に示すように、例えば実施形態1において使用したポリイミド両面銅箔積層ポリイミドフィルム110{図4(a)参照}の銅箔をエッチング等でパターニングする際に、ポリイミドフィルム21両面の銅箔を配線11、11’に加工し、ポリイミド層21の両面に配線11、11’を有する積層フィルム180を形成する(図9中央)。一方、実施形態1の積層フィルム121{図4(d)参照}と同様に、ポリイミドフィルム上にシールド層を形成した積層フィルム121を製造し、積層フィルム121で積層フィルム180を挟むように重ね合わせ、熱圧着して、積層する。その後、実施形態1と同様に、必要によりポリイミド・カバー層23,24を設けることで、図8に示す多層配線を有するフレキシブルフラットケーブルが完成する。
【0072】
ここで、積層フィルム121上のシールド層を形成する金属は、銅、アルミ、その他の金属でよい。また積層シールド層は、パターニングされていなくてもよく、例えば、実施形態3の片面アルミ箔積層ポリイミドフィルム155を積層フィルム121に代えて使用してもよい。
【0073】
また、実施形態5のフレキシブルフラットケーブルの異なる製造方法としては、図15に示すように、配線とシールド層を有する積層フィルム(例えば実施形態1の積層フィルム111)を製造し、両面熱圧着性のポリイミドフィルム145を間に挟んで、2枚の積層フィルムの配線11の形成面と配線11’の形成面が向き合うようにして重ね合わせ、熱圧着して積層することができる。
【0074】
あるいは、配線とシールド層を有する積層フィルム(例えば実施形態1の積層フィルム111)の1枚を、両面熱圧着性のポリイミドフィルム145を間に挟んで、配線11形成面が内側になるように折り返しても同様に積層することができる。
【0075】
<実施形態6>
本発明においては、シールド層と配線の一部とをビアホールで電気的に接続してもよい。電気的に接続されたシールド層は、例えばグランド線として使用することができる。実施形態4で説明したフレキシブルフラットケーブルを例にとり、ビアホールによる接続方法を示す。
【0076】
図10(a)に示すように、実施形態4と同様に、銅箔11a、ポリイミドフィルム21、アルミ箔12bおよびポリイミドフィルム23がこの順に積層された積層ポリイミドフィルム160を用意する。
【0077】
図10(b)に示すように、積層ポリイミドフィルム160の所定箇所にビアホール31を形成する。この例では、ビアホール31は、銅箔11aおよびポリイミドフィルム21を通り、アルミ箔12bに達するブラインドビアである。形成方法は、特に限定されないが、レーザー加工で形成することができる。例えば、UV−YAGレーザを使用する場合は、銅箔とポリイミド層を一緒に加工できるので、所定の位置にレーザを照射することで実施することができる。例えばCOレーザを使用する場合は、銅箔を削ることができないので、最初に所定箇所の銅箔をエッチングにより除いて開口を形成する。次に、COレーザを照射すると、銅箔がマスクとして働き、開口部のポリイミドが除去される。どちらの加工によっても、図10(b)に示す構造ができる。
【0078】
次に、図10(c)に示すように、銅めっきを施して、銅箔11aの表面およびビアホールの内面に銅めっき層32を形成すると、銅箔11aとアルミ箔12bを電気的に接続することができる。ビアホールの銅めっき方法は、特に限定はされず、一般に、前処理工程、電解銅めっき工程、必要により表面処理等の後処理工程を含む当業者に公知の方法を採用すればよい。
【0079】
その後の工程は、実施形態4で説明したように{図7(b)参照}、銅箔11aをエッチング等によりパターニングすると、図10(e)に示すように、ビアホール31により配線11とシールド層12が電気的に接続された積層フィルムが製造される。
【0080】
その後、実施形態4と同様に、折り返し法を実施すると{図7(c)参照}、図11のA部分に示すように、ビアホール31により配線11の一部とシールド層12が電気的に接続されたフレキシブルフラットケーブルを製造することができる。
【0081】
また実施形態4と同様に、別途、ポリイミドフィルム22とポリイミドフィルム24の間にアルミ箔12bが挟まれて積層されている積層ポリイミドフィルム170{図7(d)参照}を熱圧着により積層することで、図12のA部分に示すように、ビアホール31により配線11の一部とシールド層12が電気的に接続されたフレキシブルフラットケーブルを製造することができる。
【0082】
<実施形態7>
実施形態6では、ビアホールがブラインドビアであったが、スルーホールを形成して、配線とシールド層の電気的接続を形成してもよい。スルーホールの形成は、フレキシブルフラットケーブル製造工程の適当な段階で実施すればよいが、簡単には、完成または半完成のフレキシブルフラットケーブルに対して、レーザ、パンチング等により穴あけ加工を施し、形成されたスルーホールに導電性ペースト等を充填して、配線の一部とシールド層を電気的接続することができる。図13には、実施形態4の図7(c)に示すフレキシブルフラットケーブルに、スルーホールを形成して電気接続を設けたフレキシブルフラットケーブルの例、図14に実施形態4の図7(e)に示すフレキシブルフラットケーブルに、スルーホールを形成して電気接続を設けたフレキシブルフラットケーブルの例をそれぞれ示す。
【0083】
尚、実施形態6、および実施形態7で説明したビアホールの形成は一例であり、その他の変形が可能である。また、実施形態4のフレキシブルフラットケーブルに基づいて、配線の一部とシールド層が電気的に接続された例を示したが、実施形態4に限らず、その他の実施形態に基づくフレキシブルフラットケーブルにも適用することができる。
【0084】
<その他の実施形態、変形例>
以上の実施形態では、配線を銅箔をエッチング等によりパターニングして形成し、および、実施形態によってはシールド層も銅箔またはアルミ箔をエッチング等によりパターニングして形成した。
【0085】
しかし、配線の形成方法は特に限定されず、所定幅の銅箔(配線そのもの)を、熱圧着性ポリイミドフィルム上に並べて熱圧着してもよい。また、パンチング等で予めパターン化された銅箔、アルミ箔等を、熱圧着性ポリイミドフィルムと熱圧着により一体化して、配線またはシールド層としてもよい。この場合、配線のためのパターンは、形状維持のために、例えばストライプとストライプをつなぐブリッジを有してもよく、製造工程の適当な段階、または完成してからカッティング、パンチング等により、ブリッジをカットまたは除去して、配線として分離することができる。
【0086】
また、重ね合わせは、順次行ってもよいし、配線、シールド層、必要な枚数の熱圧着性ポリイミドフィルムを目的の構造に合わせて重ね合わせて、一度の熱圧着により積層してフレキシブルフラットケーブルを形成することもできる。
【0087】
また、本発明において、フレキシブルフラットケーブルの製造は、連続的に製造することもできる。後述するようにポリイミド層を構成するポリイミドフィルム、および金属箔積層ポリイミドフィルムは、容易に長尺状に形成できる。従って、例えば金属箔積層ポリイミドフィルムをロールから連続して送り出しながら、連続的にパターニングし(連続的レジスト貼り合わせ、連続的露光、連続的エッチング等を含む)、必要により加工されて連続的に送られる他の部材と連続的に熱圧着することでフレキシブルフラットケーブルを製造することができる。あるいは、配線および/またはシールド層用として、別途加工した金属箔を連続的に送り、ポリイミドフィルムと熱圧着により連続的に貼り合わせることでフレキシブルフラットケーブルを製造することもできる。
【0088】
本発明において、配線は、ストライプ構造に加えて、分岐した配線部分、部品搭載のための回路パターン、接続部において通常使用される配線パターンを有していてもよい。また、フレキシブルフラットケーブルは、接続する電気部品、電気回路の構造、構成により、端部付近またはケーブルの途中において、スリットにより2以上に分割されていたり、端部が広がっていたり、種々の変更が可能である。
【0089】
また、フレキシブルフラットケーブルの端部の接続端子構造は、端部のポリイミド層を使用時に切り出して配線を露出させてもよいし、あるいは製造時に、配線を挟んでいる一方のポリイミド層を配線の端部まで形成し、もう一方のポリイミド層を配線の端部より短く形成することで、配線の端部を露出させて接続端子とする構造として製造することもできる。
【0090】
また、本発明のフレキシブルフラットケーブルは、フラット形状であるため、使用時に2本以上をコンパクトに束ねることができる。結束用の穴をフレキシブルフラットケーブルに設けることも好ましい。
【0091】
また、配線パターンの外部から観察を防止するため、またはその他の目的で、ポリイミド層、特にはポリイミド・カバー層を構成するポリイミドフィルムとして、黒色、白色、有彩色などの着色したポリイミドフィルムを使用することも好ましい。
【0092】
また、シールド層は、その表面(特に外側表面)が、無機系材料で形成された黒色、白色、有彩色で着色されていてもよい。特に、ポリイミド・カバー層が存在しないときに、着色が直接視認されるので、意匠的効果にも優れる。
【0093】
上記実施形態など本発明では、ポリイミド両面金属箔積層ポリイミドフィルムやポリイミド片面金属箔積層ポリイミドフィルムの代わりに、ポリイミドの片面または両面に、蒸着、蒸着とメッキあるいはメッキのみで、金属層を形成したフィルムを用いることができる。
【0094】
<<ポリイミド層を構成するポリイミドフィルムの製造方法、および金属層積層ポリイミドフィルムの製造方法>>
次に、本発明のフレキシブルフラットケーブルのポリイミド層を構成するポリイミドフィルムの製造方法の一例として、特に実施形態で使用した金属層積層ポリイミドフィルムの製造方法を説明する。
【0095】
最初にポリイミドフィルム(ポリイミド層)が、熱圧着性ポリイミド/耐熱性ポリイミド/熱圧着性ポリイミドの3層構造で、かつ金属箔(例えば、銅箔および/またはアルミ箔)がポリイミドフィルムの両面に積層された例の製造方法を説明する。ここで、ポリイミドフィルムは、フレキシブルフラットケーブルにおいて、配線を挟んでいるポリイミド層(例えばポリイミド層21、22)、およびポリイミド・カバー層(例えば23、24ポリイミド・カバー層)となる。尚、多層構造の中において、熱圧着性ポリイミドにより構成される層に言及する場合、熱圧着性ポリイミド(a層)と表記し、全体ポリイミド層と区別する。また、多層構造中において、耐熱性ポリイミドにより構成される層を耐熱性ポリイミド(b層)と表記する。
【0096】
耐熱性ポリイミド(b層)の耐熱性ポリイミドとしては、下記の特徴を少なくとも1つ有するもの、下記の特徴を少なくとも2つ有するもの[ 1)と2)、1)と3)、2)と3)の組合せ]、特に下記の特徴を全て有するものを用いることができる。
1)単独のポリイミドフィルムとして、ガラス転移温度が300℃以上、好ましくはガラス転移温度が330℃以上、さらに好ましくは確認不可能であるもの。
2)単独のポリイミドフィルムとして、線膨張係数(50〜200℃)(MD)が、耐熱性樹脂基板に積層する金属箔の熱膨張係数に近いこと。
3)単独のポリイミドフィルムとして、引張弾性率(MD、ASTM−D882)は300kg/mm以上、好ましくは500kg/mm以上、さらに700kg/mm以上であるもの。
【0097】
耐熱性ポリイミドとしては、
(1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物及び1,4−ヒドロキノンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分、好ましくはこれらの酸成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む酸成分と、
(2)ジアミン成分としてp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、m−トリジン及び4,4’−ジアミノベンズアニリドより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン、好ましくはこれらのジアミン成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むジアミン成分とから得られるポリイミドなどを用いることができる。
【0098】
耐熱性ポリイミドを構成する酸成分とジアミン成分との組み合わせの例として、次のものが挙げられる。
1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)と、p−フェニレンジアミン(PPD)と、必要により4,4−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)を含む組み合わせ。この場合、PPD/DADE(モル比)は100/0〜85/15であることが好ましい。
2)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物(PMDA)と、p−フェニレンジアミンと必要により4,4−ジアミノジフェニルエーテルを含む組み合わせ。この場合、BPDA/PMDAは0/100〜90/10であることが好ましい。PPDとDADEを併用する場合、PPD/(DADEは、例えば90/10〜10/90が好ましい。
3)ピロメリット酸二無水物と、p−フェニレンジアミン及び4,4−ジアミノジフェニルエーテルの組み合わせ。この場合、DADE/PPDは90/10〜10/90であることが好ましい。
4)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとを主成分(合計100モル%中の50モル%以上)として得られるものを挙げることができる。
【0099】
上記1)の組み合わせは、特に耐熱性に優れるために好ましい。
【0100】
上記1)〜4)において、4,4−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)の一部又は全部を、目的に応じて3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、又は下記に示す他のジアミンに置き換えても良い。
【0101】
これらのものは、プリント配線板、フレキシブルプリント回路基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いられ、広い温度範囲にわたって優れた機械的特性を有し、長期耐熱性を有し、耐加水分解性に優れ、熱分解開始温度が高く、加熱収縮率と線膨張係数が小さい、難燃性に優れるために好ましい。
【0102】
耐熱性ポリイミドを得ることができる酸成分として、上記に示す酸成分の他に目的の特性を損なわない範囲で、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス[(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、などの酸二無水物成分を用いることができる。
【0103】
耐熱性ポリイミドを得ることができるジアミン成分として、上記に示すジアミン成分の他に目的の特性を損なわない範囲で、m−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンなどのビス(アミノフェノキシ)ベンゼン類、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルなどのジアミン成分を用いることができる。
【0104】
一方、熱圧着性ポリイミドや熱圧着性ポリイミド(a層)は、銅箔、アルミ箔等の金属箔に、加圧下熱圧着できる性質を有する公知のポリイミドを用いることができる。
【0105】
熱圧着性ポリイミドは、好ましくは熱圧着性ポリイミドのガラス転移温度以上、好ましくはガラス転移温度より20℃高い温度、さらに好ましくはガラス転移温度より30℃高い温度、特に好ましくはガラス転移温度より50℃高い温度から400℃以下の温度で金属箔とはり合せることができる熱圧着性を有するポリイミドである。
【0106】
熱圧着性ポリイミドは、さらに、以下の特徴を少なくとも1つ有するもの、下記の特徴を少なくとも2つ有するもの[ 1)と2)、1)と3)、2)と3)の組合せ]、下記の特徴を少なくとも3つ有するもの[ 1)と2)と3)、1)と3)と4)、2)と3)と4)、1)と2)と4)などの組合せ]、特に下記の特徴を全て有するものを用いることができる。
1)熱圧着性ポリイミド(a層)は、金属箔とのピール強度が0.7N/mm以上で、150℃で168時間加熱処理後でもピール強度の保持率が90%以上、さらに95%以上、特に100%以上であるポリイミドであること。
2)ガラス転移温度が130〜330℃であること、または熱圧着ポリイミド同士或いは熱圧着ポリイミドと金属とが150〜400℃、好ましくは250〜370℃で熱圧着が可能な物。
3)引張弾性率が100〜700Kg/mmであること。
4)線膨張係数(50〜200℃)(MD)が13〜30×10−6cm/cm/℃であること。
【0107】
熱圧着性ポリイミド(a層)は、好ましくは、熱圧着性ポリイミド(a層)同士の熱圧着、および熱圧着性ポリイミド(a層)と金属との密着が、250℃以上から400℃以下、好ましくは270〜370℃の範囲で可能なものを選択することにより、高温下でも使用可能な優れた耐熱性を有するフレキシブルフラットケーブルを得ることができる。
【0108】
熱圧着性ポリイミドは、
(1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物及び1,4−ヒドロキノンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物などの酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分、好ましくはこれらの酸成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む酸成分と、
(2)ジアミン成分としては、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどのジアミンより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン、好ましくはこれらのジアミン成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むジアミン成分とから得られるポリイミドなどを用いることができる。
【0109】
熱圧着性ポリイミドを得ることができる酸成分とジアミン成分との組合せの一例としては、
(1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分、好ましくはこれらの酸成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む酸成分と、
(2)ジアミン成分としては、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどのジアミンより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン、好ましくはこれらのジアミン成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むジアミン成分とから得られるポリイミドなどを用いることができる。
【0110】
熱圧着性ポリイミドを得ることができるジアミン成分として、上記に示すジアミン成分の他に本発明の特性を損なわない範囲で、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、などのジアミン成分を用いることができる。
【0111】
ポリイミド前駆体の合成は、公知の方法で行うことができ、例えば、有機溶媒中で、略等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物などの酸成分とジアミン成分とをランダム重合またはブロック重合することによって達成される。また、予めどちらかの成分が過剰である2種類以上のポリイミド前駆体を合成しておき、各ポリイミド前駆体溶液を一緒にした後反応条件下で混合してもよい。このようにして得られたポリイミド前駆体溶液はそのまま、あるいは必要であれば溶媒を除去または加えて、自己支持性フィルムの製造に使用することができる。
【0112】
また溶解性に優れるポリイミドでは、ポリイミド前駆体溶液を150〜250℃に加熱するか、またはイミド化剤を添加して150℃以下、特に15〜50℃の温度で反応させて、イミド環化した後溶媒を蒸発させる、もしくは貧溶媒中に析出させて粉末とする。その後、該粉末を有機溶液に溶解してポリイミドの有機溶媒溶液を得ることができる。
【0113】
ポリイミド前駆体溶液の有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0114】
ポリイミド前駆体溶液には、必要に応じてイミド化触媒、有機リン含有化合物、無機微粒子や有機微粒子などの微粒子などを加えてもよい。
【0115】
イミド化触媒としては、置換もしくは非置換の含窒素複素環化合物、該含窒素複素環化合物のN−オキシド化合物、置換もしくは非置換のアミノ酸化合物、ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物または芳香族複素環状化合物が挙げられ、特に1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、5−メチルベンズイミダゾールなどの低級アルキルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾールなどのベンズイミダゾール、イソキノリン、3,5−ジメチルピリジン、3,4−ジメチルピリジン、2,5−ジメチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、4−n−プロピルピリジンなどの置換ピリジンなどを好適に使用することができる。イミド化触媒の使用量は、ポリアミド酸のアミド酸単位に対して0.01〜2倍当量、特に0.02〜1倍当量程度であることが好ましい。イミド化触媒を使用することによって、得られるポリイミドフィルムの物性、特に伸びや端裂抵抗が向上することがある。
【0116】
また、化学イミド化を意図する場合には、通常、脱水閉環剤と有機アミンを組み合わせた化学イミド化剤をポリイミド前駆体溶液中に含有させる。脱水閉環剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、および無水酢酸、無水プロピオン酸、無水吉草酸、無水安息香酸、トリフルオロ酢酸二無水物等の酸無水物が挙げられ、有機アミンとしては、ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピリジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
ポリイミド前駆体溶液としては、支持体上にキャストすることができ、自己支持性フィルムを支持体より剥離でき、その後第二工程で少なくとも一方向に延伸できる自己支持性フィルムが形成できるものであれば、ポリマーの種類、重合度、濃度など、溶液に必要に応じて配合する各種の添加剤の種類、濃度など、ポリイミド前駆体溶液の粘度などは適宜設定することができる。
【0118】
ポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体の濃度は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%、さらに好ましくは15〜20質量%である。ポリイミド前駆体溶液の溶液粘度は、100〜10000ポイズ、好ましくは400〜5000ポイズ、さらに好ましくは1000〜3000ポイズが好ましい。
【0119】
ポリイミド層を形成するための熱圧着性ポリイミドフィルムは、好適には(i)共押出し−流延製膜法(単に、多層押出法ともいう。)によって、耐熱性ポリイミド層(b層)のドープ液と熱圧着性ポリイミド層(a層)のドープ液とを積層、乾燥、イミド化して多層ポリイミドフィルムを得る方法、(ii)或いは耐熱性ポリイミド層(b層)のドープ液を支持体上に流延塗布し、乾燥した自己支持性フィルム(ゲルフィルム)の片面或いは両面に熱圧着性ポリイミド層(a層)のドープ液を塗布し、乾燥、イミド化して多層ポリイミドフィルムを得る方法によって得ることができる。
【0120】
共押出法は、公知の方法で行なうことが出来、例えば特開平3−180343号公報(特公平7−102661号公報)に記載されている方法などを用いることができる。
【0121】
両面に熱圧着性を有する3層の熱圧着性ポリイミドフィルムの製造の一例を示す。
【0122】
耐熱性ポリイミド(b層)用のポリアミック酸溶液と熱圧着性ポリイミド(a層)用のポリアミック酸溶液とを三層共押出法によって、耐熱性ポリイミド(b層)の厚みが4〜45μmで両側の熱圧着性ポリイミド(a層)の厚みの合計が3〜10μmとなるように三層押出し成形用ダイスに供給し、支持体上にキャストしてこれをステンレス鏡面、ベルト面等の支持体面上に流延塗布し、100〜200℃で半硬化状態またはそれ以前の乾燥状態とする自己支持性フィルムを得ることができる。
【0123】
自己支持性フィルムは、200℃を越えた高い温度で流延フィルムを処理すると、熱圧着性を有するポリイミドフィルムの製造において、接着性の低下などの欠陥を来す傾向にある。この半硬化状態またはそれ以前の状態とは、加熱および/または化学イミド化によって自己支持性の状態にあることを意味する。
【0124】
得られた自己支持性フィルムは、熱圧着性ポリイミド(a層)のガラス転移温度(Tg)以上で劣化が生じる温度以下の温度、好適には250〜420℃の温度(表面温度計で測定した表面温度)まで加熱して(好適にはこの温度で0.1〜60分間加熱して)、乾燥及びイミド化して、耐熱性ポリイミド(b層)の両面に熱圧着性ポリイミド(a層)を有するポリイミドフィルムを製造することができる。
【0125】
得られた自己支持性フィルムは、溶媒及び生成水分が好ましくは約20〜60質量%、特に好ましくは30〜50質量%残存しており(加熱減量が好ましくは約20〜60質量%、特に好ましくは30〜50質量%)、この自己支持性フィルムを乾燥温度に昇温する際には、比較的短時間内に昇温することが好ましく、例えば、10℃/分以上の昇温速度であることが好適である。乾燥する際に自己支持性フィルムに対して加えられる張力を増大することによって、最終的に得られるポリイミドフィルムの線膨張係数を小さくすることができる。
【0126】
そして、前述の乾燥工程に続いて、連続的または断続的に前記自己支持性フィルムの少なくとも一対の両端縁を連続的または断続的に前記自己支持性フィルムと共に移動可能な固定装置などで固定した状態で、前記の乾燥温度より高く、しかも好ましくは200〜550℃の範囲内、特に好ましくは300〜500℃の範囲内の高温度で、好ましくは1〜100分間、特に1〜10分間、前記自己支持性フィルムを乾燥および熱処理して、好ましくは最終的に得られるポリイミドフィルム中の有機溶媒および生成水等からなる揮発物の含有量が1重量%以下になるように、自己支持性フィルムから溶媒などを充分に除去するとともに前記フィルムを構成しているポリマーのイミド化を充分に行って、両面に熱圧着性を有するポリイミドフィルムを形成することができる。
【0127】
前記の自己支持性フィルムの固定装置としては、例えば、多数のピンまたは把持具などを等間隔で備えたベルト状またはチェーン状のものを、連続的または断続的に供給される前記固化フィルムの長手方向の両側縁に沿って一対設置し、そのフィルムの移動と共に連続的または断続的に移動させながら前記フィルムを固定できる装置が好適である。また、前記の固化フィルムの固定装置は、熱処理中のフィルムを幅方向または長手方向に適当な伸び率または収縮率(特に好ましくは0.5〜5%程度の伸縮倍率)で伸縮することができる装置であってもよい。
【0128】
なお、前記の工程において製造された両面に熱圧着性を有するポリイミドフィルムを、再び好ましくは4N以下、特に好ましくは3N以下の低張力下あるいは無張力下に、100〜400℃の温度で、好ましくは0.1〜30分間熱処理すると、特に寸法安定性が優れた両面に熱圧着性を有するポリイミドフィルムとすることができる。また、製造された長尺の両面に熱圧着性を有するポリイミドフィルムは、適当な公知の方法でロール状に巻き取ることができる。
【0129】
なお、上記の自己支持性フィルムの加熱減量とは、測定対象のフィルムを420℃で20分間乾燥し、乾燥前の重量W1と乾燥後の重量W2とから次式によって求めた値である。
【0130】
加熱減量(質量%)={(W1−W2)/W1}×100
また、上記の自己支持性フィルムのイミド化率は、特開平9−316199記載のカールフィッシャー水分計を用いる手法で求めることができる。
【0131】
自己支持性フィルムには、必要であれば、内部または表面層に微細な無機あるいは有機の添加剤を配合することができる。無機の添加剤としては,粒子状あるいは偏平状の無機フィラーを挙げることができる。有機の添加剤としてはポリイミド粒子、熱硬化性樹脂の粒子などを挙げる事ができる。使用量および形状(大きさ,アスペクト比)については、使用目的に応じて選択することが好ましい。
【0132】
加熱処理は、熱風炉、赤外線加熱炉などの公知の種々の装置を使用して行うことができる。
【0133】
以上のようにして、熱圧着性ポリイミド(a層)/耐熱性ポリイミド(b層)/熱圧着性ポリイミド(a層)の構造を有する両面熱圧着性のポリイミドフィルムが得られる。次に、この両面熱圧着性のポリイミドフィルム(以下、単に両面熱圧着性フィルム)の両面に、銅箔、アルミ箔等の金属箔を貼り合わせて積層する。
【0134】
金属箔と、熱圧着性のポリイミドフィルムとを積層する場合、加熱装置、加圧装置又は加熱加圧装置を用いることができ、加熱条件、加圧条件は用いる材料により適宜選択して行うことが好ましく、連続又はバッチでラミネートできれば特に限定されないが、ロールラミネートまたはダブルベルトプレス等を用いて連続して行うことが好ましい。
【0135】
積層体の製造方法の一例として、次の方法を挙げることができる。即ち、長尺状の両面熱圧着性フィルムと、長尺状(長さ200〜2000m)の金属箔と、長尺状の両面熱圧着性フィルムとを、この順に3枚重ねて、好ましくは導入する直前のインラインで150〜250℃程度、特に150℃より高く250℃以下の温度で2〜120秒間程度予熱できるように熱風供給装置や赤外線加熱機などの予熱器を用いて予熱する。一対の圧着ロール又はダブルベルトプレスを用いて、一対の圧着ロール又はダブルベルトプレスの加熱圧着ゾーンの温度が熱圧着性ポリイミドのガラス転移温度より20℃以上高い温度、さらに熱圧着性ポリイミドのガラス転移温度より30℃以上高い温度、さらにから400℃の温度範囲で、特にガラス転移温度より50℃以上高い温度から400℃の温度範囲で、加圧下に熱圧着する。特にダブルベルトプレスの場合には引き続いて冷却ゾーンで加圧下に冷却する。好適にはポリイミドのガラス転移温度より20℃以上低い温度、さらに30℃以上低い温度から110℃、好ましくは115℃、さらに好ましくは120℃まで冷却して、積層させ、ロール状に巻き取る。金属箔の両面に両面熱圧着性フィルムが積層され、その結果、金属層の両面に熱圧着性ポリイミド層を有する積層体が得られる。
【0136】
熱圧着前にポリイミドフィルムを予熱することにより、ポリイミドに含有されている水分等による、熱圧着後の積層体の発泡による外観不良の発生を防止することができる。
【0137】
ダブルベルトプレスは、加圧下に高温加熱−冷却を行なうことができるものであって、熱媒を用いた液圧式のものが好ましい。
【0138】
積層体は、ダブルベルトプレスを用いて加圧下に熱圧着−冷却して積層することによって、好適には引き取り速度1m/分以上とすることができ、積層体は、長尺で幅が約400mm以上、特に約500mm以上の幅広の、接着強度が大きく(金属箔とポリイミドフィルムとのピール強度が0.7N/mm以上で、150℃で168時間加熱処理後でもピール強度の保持率が90%以上である)、金属表面に皺が実質的に認められないほど外観が良好な積層体を得ることができる。
【0139】
積層体の製造にあたり、最外層の両側とベルトとの間に保護材(つまり保護材2枚)を介在させ、加圧下に熱圧着−冷却して張り合わせて積層してもよい。
【0140】
保護材としては、積層体の製造時に、熱圧着性ポリイミド層や金属箔に対して非熱圧着性で表面平滑性が良いものであれば、特に材質を問わず使用でき、例えば金属箔、特に銅箔、ステンレス箔、アルミニウム箔や、高耐熱性ポリイミドフィルム(例えば、宇部興産社製、ユーピレックスS、東レ・デュポン社製のカプトンH)などの厚み5〜125μm程度のものが好適に挙げられ、特に宇部興産社製、ユーピレックスSが好ましい。
【0141】
以上の説明では、{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)/熱圧着性PI(a層)}の両面熱圧着性ポリイミドフィルムを形成し、金属箔/{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)/熱圧着性PI(a層)}/金属箔の構成を有する積層体の製造を説明した。同様にして、{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)}の2層構造フィルム(片面熱圧着性ポリイミドフィルム)、{熱圧着性PI(a層)単層}構造フィルムも形成することができる。従って、{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)/熱圧着性PI(a層)}の3層構造フィルム(両面熱圧着性ポリイミドフィルム)、{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)}の2層構造フィルム(片面熱圧着性ポリイミドフィルム)、および{熱圧着性PI(a層)単層}構造フィルムと、銅箔、アルミ箔等の金属箔の選択とを組み合わせることで、実施形態で材料として使用した両面銅箔積層ポリイミドフィルム110;片面銅箔積層ポリイミドフィルム120;ポリイミドフィルム140;片面にアルミ箔、もう一方の面に銅箔を積層した積層ポリイミドフィルム150、片面アルミ箔積層ポリイミドフィルム155;銅箔11a、ポリイミドフィルム21、アルミ箔12bおよびポリイミドフィルム23がこの順に積層された積層ポリイミドフィルム160;ポリイミドフィルム22とポリイミドフィルム24の間にアルミ箔12bが挟まれて積層されている積層ポリイミドフィルム170等を得ることができる。
【0142】
また、熱圧着ポリイミド層を、金属箔上に直接形成することもできる。即ち、金属箔上に、前述のようにして調製したポリイミド前駆体溶液を流延または塗布し、熱処理することでイミド化することができる。イミド化のための熱処理条件としては、前述のフィルムを作成する時の条件と同様の熱処理条件を採用してもよい。
【0143】
熱圧着ポリイミド層を金属箔上に直接形成する場合においても、熱圧着ポリイミド層を、熱圧着ポリイミドの単層で構成することもできるし、多層で構成することもできる。多層で構成する場合の製造方法も、熱圧着ポリイミド層をフィルムで形成する場合と同様に、ポリイミド前駆体溶液を支持体上に流延塗布する代わりに、ポリイミド前駆体溶液を金属箔上に例えば多層押出法により流延塗布し、同等の処理をすることで、例えば{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)/熱圧着性PI(a層)}/金属層の構成を有する積層体を製造することができる。また、金属箔の両面にポリイミド前駆体溶液を流延塗布することもできる。これらを組み合わせることで、上に例示したフィルム貼り合わせによって得られる積層体と同じ構造を有する積層体を製造することができる。
【0144】
<熱圧着性ポリイミドフィルムの代表的性質>
熱圧着性ポリイミドフィルムの代表的製造例とその特性を示す。
【0145】
(参考例1)熱圧着性多層ポリイミドフィルムの製造例
【0146】
(耐熱性ポリイミド用ドープの製造)
N,N−ジメチルアセトアミド中でパラフェニレンジアミン(PPD)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)とを1000:998のモル比でモノマー濃度が18%(重量%、以下同じ)になるように加え、50℃で3時間反応させた。得られたポリアミック酸溶液の25℃における溶液粘度は、約1680ポイズであった。
【0147】
(熱圧着性ポリイミド用ドープの製造)
N,N−ジメチルアセトアミド中で1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)と2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)および3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)とを1000:200:800のモル比で加え、モノマー濃度が18%になるように、またトリフェニルホスフェートをモノマー重量に対して0.5重量%加え、40℃で3時間反応させた。得られたポリアミック酸溶液の25℃における溶液粘度は、約1680ポイズであった。
【0148】
(熱圧着性多層ポリイミドフィルムの製造)
三層押出し成形用ダイス(マルチマニホールド型ダイス)を設けた製膜装置を使用し、上記で製造した耐熱性ポリイミド用ポリアミック酸溶液および熱圧着性ポリイミド用ポリアミック酸溶液を三層押出ダイスから金属製支持体上に流延し、140℃の熱風で連続的に乾燥した後、剥離して自己支持性フィルムを形成した。この自己支持性フィルムを支持体から剥離した後加熱炉で150℃から450℃まで徐々に昇温して溶媒の除去、イミド化を行って、長尺状の三層ポリイミドフィルムをロールに巻き取った。得られた三層ポリイミドフィルム(層構成:熱圧着性ポリイミド(a層)/耐熱性ポリイミド(b層)/熱圧着性ポリイミド(a層))の特性を評価した。
【0149】
(熱圧着性多層ポリイミドフィルムの特性)
・厚み構成:4μm/17μm/4μm(合計25μm)
・熱圧着性ポリイミド(a層)のガラス転移温度:240℃
・耐熱性ポリイミド(b層)のガラス転移温度:300℃以上で明確な温度は確認できなかった。
・線膨張係数(50〜200℃):MD19ppm/℃,TD17ppm/℃
・機械的特性(試験方法:ASTM・D882)
1)引張強度:MD,TD 520MPa
2)伸び率:MD,TD 100%
3)引張弾性率:MD,TD 7100MPa
・電気的特性(試験方法:ASTM・D149)
1)絶縁破壊電圧:7.2kV
【0150】
物性評価は以下の方法に従って行った。
1)ポリイミドフィルムのガラス転移温度(Tg):動的粘弾性法により、tanδのピーク値から求めた(引張り法、周波数6.28rad/秒、昇温速度10℃/分)。
2)ポリイミドフィルムの線膨張係数(50〜200℃):TMA法により、20〜200℃平均線膨張係数を測定した(引張り法、昇温速度5℃/分)。
3)ポリイミドフィルムの機械的特性
・引張強度:ASTM・D882に準拠して測定した(クロスヘッド速度50mm/分)。
・伸び率:ASTM・D882に準拠して測定した(クロスヘッド速度50mm/分)。
・引張弾性率:ASTM・D882に準拠して測定した(クロスヘッド速度5mm/分)。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明のフレキシブルフラットケーブルは、車載用その他の用途のワイヤーハーネス代替品として有用である。
【符号の説明】
【0152】
10 フレキシブルフラットケーブル
11、11’ 配線
11a 銅箔
12 シールド層
12a 銅箔
12b アルミ箔
21 ポリイミド層
22、22’ ポリイミド層
23 ポリイミド・カバー層
24 ポリイミド・カバー層
31 ビアホール
110 両面銅箔積層ポリイミドフィルム
111 積層フィルム(配線、パターニングされたシールド層を有する)
112 積層フィルム(折り返し法に適している)
121 積層フィルム(片面に配線、片面にパターニングされたシールド層を有する)
131 積層フィルム(ポリイミド・カバー層が存在しないフレキシブルフラットケーブル)
132 積層フィルム(ポリイミド・カバー層が存在しないフレキシブルフラットケーブル)
133 積層フィルム(ポリイミド・カバー層が存在しないフレキシブルフラットケーブル)
140 少なくとも片面が熱圧着性を有するポリイミドフィルム
150 両面金属箔積層ポリイミドフィルム(片面銅箔、片面アルミ箔)
151 積層フィルム(片面に配線、片面にアルミ箔を有する)
155 片面アルミ箔積層ポリイミドフィルム
160 積層ポリイミドフィルム(銅箔、ポリイミドフィルム、アルミ箔およびポリイミドフィルムの積層構造を有する)
161 積層フィルム(積層ポリイミドフィルム160の銅箔を配線加工したもの)
170 積層ポリイミドフィルム(ポリイミドフィルム/アルミ箔/ポリイミドフィルムの積層構造)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配線、
前記複数の配線を両側から挟むポリイミド層、
前記ポリイミド層の外側に設けられたシールド層、
を有し、
前記ポリイミド層と前記配線の間、および前記ポリイミド層と前記シールド層の間には、ポリイミド以外の材料からなる接着剤層が存在しないことを特徴とするフレキシブルフラットケーブル。
【請求項2】
前記シールド層の外側に外界から前記シールド層をカバーするポリイミド・カバー層を有することを特徴とする請求項1記載のフレキシブルフラットケーブル。
【請求項3】
前記配線と接するポリイミド層の一方又は両方の面、および前記シールド層と接するポリイミド層の一方又は両方の面が、熱圧着性を有することを特徴とする請求項1記載のフレキシブルフラットケーブル。
【請求項4】
前記ポリイミド層は、150〜400℃の範囲で熱圧着可能な材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフレキシブルフラットケーブル。
【請求項5】
前記ポリイミド層は、熱圧着性ポリイミドと耐熱性ポリイミドの多層構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフレキシブルフラットケーブル。
【請求項6】
前記耐熱性ポリイミドが、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物およびピロメリット酸二無水物から選ばれる酸二無水物を含む酸成分と、
p−フェニレンジアミンとジアミノジフェニルエーテルから選ばれるジアミンを含むジアミン成分とを含む組み合わせから得られるポリイミドであることを特徴とする請求項5記載のフレキシブルフラットケーブル。
【請求項7】
請求項1のフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
金属箔が少なくとも片面に積層されているポリイミドフィルムを用意する工程、
前記金属箔をパターニングして、複数の配線を形成する工程、および
形成された配線の上に、前記ポリイミドフィルムを折り返して重ね合わるか、または第2のポリイミドフィルムを重ね合わせ、熱圧着して、前記配線をポリイミド層の間に挟む工程
を有することを特徴とするフレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【請求項8】
請求項1のフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
配線となる金属箔およびシールド層となる金属箔がポリイミドフィルムの両面に積層されている両面金属箔積層ポリイミドフィルムを用意する工程、
前記両面金属箔積層ポリイミドフィルム表面の配線となる金属箔をパターニングして、複数の配線を形成する工程、および
ポリイミドフィルムの片面に、シールド層が積層された積層ポリイミドフィルムを用意し、ポリイミドフィルム面が、前記配線と接するように重ね合わせ、熱圧着する工程
を有することを特徴とするフレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【請求項9】
請求項1のフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
配線となる金属箔およびシールド層となる金属箔がポリイミドフィルムの両面に積層されている両面金属箔積層ポリイミドフィルムを用意する工程、
前記両面金属箔積層ポリイミドフィルムの一方の表面の金属箔をパターニングして、複数の配線を形成する工程、および
形成された配線を内側にして、前記配線同士が重ならないようにして、加工された前記両面金属箔積層ポリイミドフィルムを折り返して重ね合わせ、熱圧着する工程
を有することを特徴とするフレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【請求項10】
さらに、少なくとも片面が熱圧着性を有するポリイミドフィルムを用意し、この熱圧着性の面を、前記シールド層の外側表面に重ね合わせ、熱圧着して、ポリイミド・カバー層を形成する工程を有することを特徴とする請求項8または9に記載のフレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【請求項11】
請求項2のフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
配線となる金属箔、ポリイミドフィルム、シールド層となる金属箔およびポリイミドフィルムがこの順に積層された積層ポリイミドフィルムを用意する工程、
前記積層ポリイミドフィルムの表面の配線となる金属箔をパターニングして、複数の配線を形成する工程、および
ポリイミドフィルムとポリイミドフィルムの間にシールド層となる金属箔が挟まれて積層されている第2の積層ポリイミドフィルムを用意し、前記配線と接するように重ね合わせ、熱圧着する工程
を有することを特徴とするフレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【請求項12】
請求項2のフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
配線となる金属箔、ポリイミドフィルム、シールド層となる金属箔およびポリイミドフィルムがこの順に積層された積層ポリイミドフィルムを用意する工程、
前記積層ポリイミドフィルムの表面の配線となる金属箔をパターニングして、複数の配線を形成する工程、および
形成された配線を内側にして、前記配線同士が重ならないようにして、加工された前記両面金属箔積層ポリイミドフィルムを折り返して重ね合わせ、熱圧着する工程
を有することを特徴とするフレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【請求項13】
前記熱圧着が、150〜400℃の範囲で加熱加圧して実施されることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載のフレキシブルフラットケーブルの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−89315(P2012−89315A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233992(P2010−233992)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】