説明

フレキシブル回路構造体の製造方法及び材料品

【課題】効率的かつ優れた費用効果率でフレキシブル回路構造体を製造する方法及び材料品を提供すること。
【解決手段】本方法は、基板(10)に解離層(11)を堆積し、解離層(11)上に導電性ラミネート層(20)を形成する。解離層(11)の形成後、導電性ラミネート層部分(30)はフレキシブル回路構造体(40)を形成するため基板(10)から容易に分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル回路構造体の製造方法及びフレキシブル回路構造体を形成するため使用される材料品に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板のような回路構造体は、集積回路チップのような電気部品と接続するため使用される導電線を有する。フレキシブル回路構造体は、剛性回路構造体寄りも優れた種々の利点を有するため、近年、特に注目されている。たとえば、フレキシブル回路構造体は、典型的に、剛性回路基板よりも軽量であり、かつ、占有スペースが小さい、重量と嵩が減少したフレキシブル回路基板は、ラップトップコンピュータ、セルラ電話機、カメラなどの軽量小型製品用として特に適している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フレキシブル回路構造体は非常に望ましいが、精細な配線パターンを有する信頼性の高いフレキシブル回路構造体は、効率的で費用効果率の優れた方法で形成することは困難である。たとえば、典型的なフレキシブル回路構造体の原料は、典型的に、一つ以上のフレキシブル誘電膜を含み、その誘電膜には一つ以上の導電性パターンが設けられる。フレキシブル誘電膜上に導電性パターンを形成することは、フレキシブル誘電膜が薄く、脆いために難しい。たとえば、フレキシブル誘電膜がフォトリソグラフィー処理中に皺になる場合、誘電膜上に形成されたフォトレジスト像は歪む。この歪みは、次に形成される導電性パターンに短絡及び/又は開回路を形成する可能性がある。
【0004】
したがって、本発明は、フレキシブル回路構造体を効率的かつ優れた費用効果率で製造するための改良された方法及び材料品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の実施例は、効率的かつ低価格でフレキシブル回路構造体を製造するため使用される。
【0006】
本発明の第1実施例によるフレキシブル回路構造体の製造方法は、
基板に解離層を堆積する工程と、
上記解離層に導電性ラミネート層を形成する工程と、
上記基板から少なくとも上記導電性ラミネート層の一部分を剥離する工程とを有する。
【0007】
本発明の第2実施例によるフレキシブル回路構造体の製造方法は、
基板に解離層を堆積する工程と、
上記解離層にフレキシブル導電性ラミネート層を形成する工程と、
上記導電性ラミネート層の一部分を画成する線に沿って上記導電性ラミネート層を切断する工程と、
上記基板から上記切断された導電性ラミネート層の一部分を分離する工程とを有する。
【0008】
本発明の第3実施例によるフレキシブル回路構造体の材料品は、
基板と、
導電性ラミネート層と、
上記基板と上記導電性ラミネート層の間に設けられた解離層とを有し、
上記導電性ラミネート層はフレキシブルであり、上記基板から剥離することができる。
【0009】
本発明の上記実施例及びその他の実施例は、以下に詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施例において、解離層は基板上に堆積される。処理中に、基板は導電性ラミネート層を形成するため使用されるフレキシブル層を支持し、導電性ラミネート層は、次に、フレキシブル回路構造体を形成するため使用される。導電性ラミネート層が解離層及び基板上に形成された後、導電性ラミネート層の少なくとも一部分が基板から分離される。たとえば、導電性ラミネート層又は導電性ラミネート層の一部分は、基板から剥離することによって、基板から分離される。一部の実施例では、解離層の少なくとも一部分は、分離した導電性ラミネート層部分に沿って分離される。必要であれば、分離した導電性ラミネート層部分上の解離層の材料はフレキシブル回路構造体を形成するため導電性ラミネート層部分から除去してもよい。
【0011】
基板は、導電性ラミネート層を形成する際に、1層以上のフレキシブル導電層及び誘電層を支持するため適当である。好ましくは、基板は、滑らかな主表面を有する。典型的な基板の例には、プレート、ウェーハ、ディスクが含まれる。典型的な基板は、剛性セラミック材料、ポリマー材料、或いは、金属材料などの適当な材料を含む。適当な基板材料には、窒化アルミニウム、シリコン、石英、ガラス及びアルミニウムが含まれる。また、基板は、モノリシック本体でも、2層以上を有する複合体でもよい。たとえば、基板は、金属(たとえば、アルミニウム)薄層若しくは酸化物(たとえば、シリカ)薄層が形成されたウェーハ(たとえば、セラミックウェーハ)により構成される。他の実施例では、基板は、金属プレート若しくは金属ウェーハのようなモノリシック本体を含む。基板は、好ましくは、一つ以上の処理ツールに簡単に移送することができる。
【0012】
図1を参照するに、解離層11が適当な方法で基板10の上に堆積される。たとえば、解離層11は基板10上に被覆若しくは積層される。適当なコーティング処理には、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンコーティング、ドクターブレードコーティング、及び、ローラーコーティングが含まれる。堆積した解離層11は、たとえば、約10ミクロン未満の適当な厚さを有する。解離層11の厚さは、好ましくは、約2乃至約10ミクロンである。
【0013】
解離層11は、導電性ラミネート層20と基板10の間に設けられる。解離層11は、好ましくは、基板10と接触し、基板10から導電性ラミネート層20が容易に分離できるようにする。たとえば、一部の実施例では、導電性ラミネート層の一部分は、分離された導電性ラミネート層に損傷を加えること無く、基板10から(たとえば、手で)剥離され得る、この点に関して、解離層11は、好ましくは、剥離が行なわれているときに、導電性ラミネート層20上又は基板10上で一部分が裂けたり、残ったりしないような剪断強度を有する。
【0014】
剥離可能な境界面が解離層11の一方の表面に存在する。たとえば、解離可能な境界面は、解離層11と基板10の間にある。剥離中に、解離層11の一部分は、剥離された導電性ラミネート層と共に基板10から同時に剥離され得る。別の実施例では、剥離可能な境界面は、解離層11と、解離層11と接触したバリア層若しくは導電性ラミネート層の間にある。このような実施例の場合、解離層11は、導電性ラミネート層20が基板10から剥離された後まで基板10上に残る。解離層11と、解離層11と接触した別の構造体(たとえば、基板10)の間の剥離強度は、たとえば、90°で約30g/cm未満である。
【0015】
剥離強度は、解離層の特性を変えることによって変更することができる。たとえば、一部の実施例では、解離層11の粘着特性は、解離層11を湿気のある環境に持ち込むことによって変えられる。たとえば、ガラス基板上に設けられたポリイミド解離層は、約80%を上回る湿度を有する環境に置かれる。たとえば、硬化後、ポリイミド/ガラス基板の複合体は、約30分以上に亘って、多湿高圧室に放置される。解離層への水分吸収は、ガラス基板とポリイミド解離層の間の粘着力を減少させるので、次に、導電性ラミネート層を基板から分離することの困難さが緩和される。他の実施例の場合、堆積し、硬化した解離層の特性は変える必要が無い。たとえば、石英基板上のポリイミド解離層は、通常、石英基板から容易に剥離することができるので、典型的に変更する必要が無い。
【0016】
解離層11はあらゆる適当な材料を含有し得る。たとえば、解離層11はポリマー材料を含む。適当なポリマー材料の例には、ポリイミド(たとえば、DuPont PI 2611)、フッ化ポリアリルエーテルのようなフッ素ポリマー、ベンゾシクロブテン(たとえば、Dow Chemical製のCycloteneTM)、ポリフェニルキノキサリン(PPQ)、ポリノブボレン(たとえば、BF Goodrich製のAvatrelTM)、液晶ポリマー、及び、ポリシロキサンのようなシリコン含有ポリマーが含まれる。
【0017】
解離層11が基板10に堆積された後、解離層11は硬化される。適当な硬化温度が使用される。たとえば、堆積した解離層11は、解離層を硬化させるため少なくとも約300℃の温度まで加熱される。好ましい硬化温度は、約350℃乃至約375℃である。解離層の硬化若しくは加熱は、たとえば、堆積した解離層11が基板10に堆積された後に更に凝固されるべき場合に行なわれるのが望ましい。
【0018】
一部の実施例の場合、粘着剤又は結合剤(たとえば、シラン結合剤)のような接着材料(図示しない)が、解離層11を基板10上に堆積させる前に基板10上に堆積される。接着材料は、基板上に予め決められた形で塗布されるので、解離層11の中で接着材料が接触する部分は基板10の表面にしっかりと接合される。しっかりと接合された解離層の部分は、基板10に対しそれほど強く接合されていない解離層の領域を保持するフレームとして作用する。解離層11を基板10に固定するため接着材料を使用することにより、フレキシブル印刷回路構造体を形成するため、より多種類の基板及び解離層の材料を使用することができるようになる。
【0019】
接着材料を用いる方法の一例において、接着材料は、切断されるべき導電性ラミネート層の領域に略対応したパターンで基板の表面に塗布される。たとえば、基板表面の周辺領域は、解離層11を堆積する前に、接着材料の連続した線若しくは不連続な線で覆われる。解離層11を堆積させた後、解離層11は接着材料と接触し、接着材料によって基板10の周辺領域に堅く固定される。導電性ラミネート層20は、(たとえば、バリア層を介して)解離層に接着されるので、次に形成される導電性ラミネート層20は、基板10の周辺領域に堅く固定される。周辺領域から内側に堆積した解離層11の部分及び導電性ラミネート層20の部分は、基板10の表面にそれほど強く固定されない(たとえば、固定されない)。導電性ラミネート層20が解離層11の上に形成され、解離層11に接着された後、導電性ラミネート層20は、解離層11のしっかりと接合された領域近傍と、その領域から内側で切断され得る。堅く固定されず、切断された導電性ラミネート層部分は、基板にしっかりと固定された導電性ラミネート層の部分から(たとえば、剥離によって)物理的に取り外され、基板10から分離される。
【0020】
図2を参照するに、バリア層12は、解離層11が基板10上に堆積された後、解離層11及び基板10の上に随意に堆積される。図2に示されるように、解離層11は、基板10とバリア層12の間に設けられ、基板10とバリヤ層12の両方と接触させてもよい。好ましくは、バリア層12は、隣接した解離層11と実質的に同じ広がりをもつ連続的な層である。バリア層12は、導電性ラミネート層20を解離層11に接着させる補助として利用することができ、及び/又は、後から形成される導電性ラミネート層20を形成し始めるシード層として使用され得る。
【0021】
以下に詳述するように、バリア層12は、解離層材料を導電性ラミネート層から除去する間に、分離した導電性ラミネート層又はその一部分を保護するためにも使用される。付着した解離層材料が除去された後、バリア層12は、引き続き形成されるフレキシブル回路構造体の一部として残され、或いは、(たとえば、エッチングによって)取り除かれる。バリア層12が導電性である場合、導電性パターンは(たとえば、フォトリソグラフィーを用いて)バリア層12から形成してもよく、導電性パターンはフレキシブル回路構造体の一部を構成する。このような実施例の場合、回路パターンは、効率的な形でフレキシブル回路構造体の両面に形成される。
【0022】
バリア層12は適当な方法で解離層11に堆積させられる。たとえば、バリア層12は、解離層11に積層され得る。あるいは、バリア層材料は、スパッタリング若しくは蒸着のようなコーティング処理によって解離層11の上に被覆される。堆積したバリア層12は、約300オングストローム以上(たとえば、400オングストローム)を含む適当な厚さをもつ。バリア層12は適当な材料により構成することができ、バリア層12は、好ましくは、Cr、Cu、Ag、Auなどの金属を含有する。バリア層は、単層でもよく、或いは、多数の副層により構成されてもよい。一部の実施例では、1層の副層が粘着層として使用され、別の副層がシード層として使用される。たとえば、バリア層は、(たとえば、少なくとも400オングストロームの厚さの)クロムの粘着副層と、(たとえば、少なくとも約4000オングストロームの厚さの)銅のシード副層とを有する。
【0023】
図1乃至5を参照して説明される実施例では、解離層11と導電性ラミネート層20の間に設けられたバリア層12が使用されるが、バリア層12を使用しなくても構わない。たとえば、一部の実施例の場合に、導電性ラミネート層20は、解離層11の上に直接的に形成され、導電性ラミネート層20の一部分は、フレキシブル回路構造体を形成するため、基板10から分離される。これらの実施例は、片面に導電性パターンを有するフレキシブル回路構造体を形成するため使用され得る。
【0024】
図3を参照するに、解離層11又はバリア層12を堆積させた後、導電性ラミネート層20が解離層11上に形成される。導電性ラミネート層20は、典型的に、1層以上のフレキシブル誘電層と、1層以上のパターン付き導電層とを含む。加法的処理、減法的処理、準加法的処理を含む任意の適当な処理が導電性ラミネート層20を形成するため使用される。好ましくは、導電性ラミネート層20内の導電性パターンは電気めっきによって形成され、誘電層は、誘電材料(たとえば、ポリイミド)をコーティング(たとえば、スピンコーティング)し、硬化させることによって形成される。電気めっきが使用される場合、バリア層12又はその一部は、次に、導電性ラミネート層20内に導電性バイア構造体のような導電性構造体を構築するためのシード層として使用され得る。導電性ラミネート層20内の導電層及び絶縁層は、典型的に、約25ミクロン以下の厚さを有する。
【0025】
導電性ラミネート層20を形成した後、導電性ラミネート層20は、導電性ラミネート層20の切断された部分が基板10から分離されるように切断される。導電性ラミネート層20と、解離層11と、バリア層12は、適当な処理を用いて切断することができる。たとえば、これらの層又は構造体の中の1層以上の層は、レーザ、又は、鋸、ナイフ若しくはかみそりの刃のような刃物を用いて切断され得る。別の実施例では、導電性ラミネート層20は、導電性ラミネート層20を切断すること無く、基板10から剥離され得る。
【0026】
導電性ラミネート層20は、除去されるべき所定の導電性ラミネート層部分を画成する線に沿って切断してもよい。解離層11と、存在する場合には、バリア層12は、導電性ラミネート層20と共に切断してもよい。たとえば、図4に示されるように、導電性ラミネート層20と、解離層11と、バリア層12は、対応した導電性ラミネート層20の部分が分離されるように、基板10の周辺部から内側の領域で切断される。一部の実施例では、導電性ラミネート層20は、剥離されるべき導電性ラミネート層の部分に対応したパターンに従って切断される。このような実施例では、複数の別々の導電性ラミネート層部分が形成される。たとえば、導電性ラミネート層20は、フレキシブル回路構造体のアレイにより構成される。導電性ラミネート層20と、解離層11と、バリア層12は、賽の目状に切られ、すなわち、アレイ状に個々のフレキシブル回路構造体を分離する線に沿って切断されるので、個々の回路構造体は、互いに分離され、かつ、基板10から分離される。
【0027】
導電性ラミネート層20を切断した後、導電性ラミネート層部分30は基板10から分離される。好ましくは、導電性ラミネート層部分30は、剥離によって基板10から分離される。図4に示されるように、導電性ラミネート層20と、バリア層12と、解離層12の同一の広がりをもつ切断部分は、基板10から同時に剥離することができる。切断された導電性ラミネート層部分30は、人の手で、或いは、適当な装置を用いて剥離される。
【0028】
基板10から導電性ラミネート層部分30を分離した後、導電性ラミネート層部分と共に分離された解離層材料は除去される。導電性ラミネート層部分30に付着した解離層材料は、任意の適当な処理によって除去され得る。たとえば、解離層材料は、プラズマエッチング又は湿式化学エッチングのようなエッチング処理によって除去される。好ましくは、解離層材料はプラズマエッチングによって除去される。典型的なプラズマエッチング処理の場合、反応室の圧力は、約150乃至300mTであり、イオン化可能ガス(たとえば、酸素)の流速は約50乃至150sccm(標準立方センチメートル)であり、パワーは約200乃至450ワットである。
【0029】
解離層材料の除去中に、バリア層12は、導電性ラミネート層部分30を保護するため使用される。たとえば、バリア層材料は、解離層材料をエッチングするため使用される媒質に耐性のある材料が使用される。導電性ラミネート層部分30上の解離層材料がエッチングされるとき、バリア層12は導電性ラミネート層部分30を覆い、これにより、導電性ラミネート層部分30をエッチング媒質から保護する。その結果として、解離層は除去され、導電性ラミネート層部分はエッチングされない。
【0030】
解離層材料が除去された後、解離層と共に除去されたバリア層部分は、導電性ラミネート層部分30に残る部分と、導電性ラミネート層部分30から取り除かれる部分とを含む。エッチングを含む適当なプロセスがバリア層材料を除去するため使用される。他の実施例では、バリア層又はバリア層の一部がパターニングされる。フォトリソグラフィー及びレーザーアブレーションを含む適当な処理が、バリア層又はバリア層の一部から導電性パターンを形成するため使用される。
【0031】
次に形成されるフレキシブル回路構造体40は、適当な寸法を取り得る。たとえば、形成されたフレキシブル回路構造体の厚さは、約3ミクロン乃至約100ミクロンであり、好ましくは、約10ミクロン乃至約50ミクロンである。フレキシブル回路構造体の平面寸法は、用途に応じて変わる。たとえば、フレキシブル回路構造体の平面寸法は、チップがフレキシブル回路構造体上に配置できるように、1チップ又は多数の同一平面上チップの平面寸法よりも大きい。他の実施例の場合、フレキシブル回路構造体は、たとえば、二つの回路基板間の電気的コネクタとして使用される。
【0032】
以上の説明に関して更に以下のような態様が考えられる。
【0033】
(付記1)
基板に解離層を堆積する工程と、
上記解離層に導電性ラミネート層を形成する工程と、
上記基板から上記導電性ラミネート層の少なくとも一部分を剥離する工程とを有する方法。
【0034】
(付記2)
上記解離層に導電性ラミネート層を形成する前に、上記解離層にバリア層を堆積する工程を更に有する項1記載の方法。
【0035】
(付記3)
上記基板から上記導電性ラミネート層の少なくとも一部分を剥離する工程は、
上記導電性ラミネート層の少なくとも一部分と、上記解離層の少なくとも一部分と、上記バリア層の少なくとも一部分を上記基板から同時に剥離する工程を有する項2記載の方法。
【0036】
(付記4)
上記剥離する工程の後に、上記解離層をエッチングする工程を更に有する項3記載の方法。
【0037】
(付記5)
上記エッチングする工程はプラズマエッチングを行う工程である項4記載の方法。
【0038】
(付記6)
上記解離層をエッチングする工程の後に、上記剥離されたバイア層の一部分から配線パターンを形成する工程を更に有する項5記載の方法。
【0039】
(付記7)
上記バリア層は上記導電性ラミネート層及び上記解離層と接触する項2記載の方法。
【0040】
(付記8)
上記剥離する工程の前に、上記解離層は上記バリア層及び上記基板と接触する項2記載の方法。
【0041】
(付記9)
上記基板から上記導電性ラミネート層の少なくとも一部分を剥離する工程は、上記導電性ラミネート層の少なくとも一部分と、上記解離層の少なくとも一部分を上記基板から同時に剥離する工程を有する項1記載の方法。
【0042】
(付記10)
上記剥離する工程の後に、上記基板から剥離された上記解離層の一部分をエッチングする工程を更に有する項9記載の方法。
【0043】
(付記11)
上記基板に上記解離層を堆積する工程の前に、上記基板に接着材料を堆積する工程を更に有する項1記載の方法。
【0044】
(付記12)
上記接着材料を堆積する工程は、上記基板から剥離されるべき上記導電性ラミネート層の一部分に対応した線状に上記接着材料を堆積させる工程を有する項11記載の方法。
【0045】
(付記13)
上記導電性ラミネート層を形成する工程の後に、上記基板から剥離されるべき上記導電性ラミネート層の一部分に対応したパターンで上記導電性ラミネート層を切断する工程を更に有する項1記載の方法。
【0046】
(付記14)
上記切断する工程は上記導電性ラミネート層を賽の目状に切る工程を含む項13記載の方法。
【0047】
(付記15)
上記解離層を堆積する工程の後に、上記解離層の粘着特性を変える工程を更に有する項1記載の方法。
【0048】
(付記16)
上記解離層の粘着特性を変える工程は上記堆積した解離層を多湿環境に晒す工程を含む項15記載の方法。
【0049】
(付記17)
基板に解離層を堆積する工程と、
上記解離層にフレキシブル導電性ラミネート層を形成する工程と、
上記導電性ラミネート層の一部分を画成する線に沿って上記導電性ラミネート層を切断する工程と、
上記基板から上記切断された導電性ラミネート層の一部分を分離する工程とを有する方法。
【0050】
(付記18)
上記導電性ラミネート層を切断する工程は、上記導電性ラミネート層の一部分及び上記解離層を画成する上記線に沿って上記導電性ラミネート層及び上記解離層を切断する工程を含み、
上記導電性ラミネート層の一部分を分離する工程は、上記基板から上記切断された導電性ラミネート層の一部分及び解離層を分離する工程を含む、項17記載の方法。
【0051】
(付記19)
上記基板に解離層を堆積する工程の前に、上記基板に接着材料を堆積させる工程を更に有し、
上記堆積された接着材料は上記解離層の部分を上記基板に接着する、項17記載の方法。
【0052】
(付記20)
基板と、
導電性ラミネート層と、
上記基板と上記導電性ラミネート層の間に設けられた解離層とを有し、
上記導電性ラミネート層はフレキシブルであり、上記基板から剥離することができることを特徴とする材料品。
【0053】
(付記21)
上記解離層と上記基板の間の剥離強度は約30g/cm未満である項20記載の材料品。
【0054】
(付記22)
上記解離層と上記導電性ラミネート層の間に設けられたバリア層を更に有する項20記載の材料品。
【0055】
(付記23)
上記解離層はポリイミドを含有する項20記載の材料品。
【0056】
(付記24)
上記基板は金属を含有する項20記載の材料品。
【0057】
(付記25)
上記基板と上記解離層の間に設けられた接着材料を更に有する項20記載の材料品。
【0058】
(付記26)
上記接着材料は結合剤を含有する項25記載の材料品。
【0059】
(付記27)
上記接着材料は、不連続な層の形をなし、上記解離層の一部分を上記基板に接着する、項25記載の材料品。
【0060】
(付記28)
上記バリア層は粘着層とシード層とを有する項22記載の材料品。
【0061】
(付記29)
上記シード層は銅を含有し、上記粘着層はクロムを含有する、項28記載の材料品。
【0062】
本実施例によれば、多数の利点が得られる。たとえば、フレキシブル回路構造体の材料品は、基板に損傷を与えずに基板から分離され得るので、基板を再利用することができる。その結果として、フレキシブル回路構造体を形成するため必要とされる材料の量が減少し、処理コストが低減される。また、回路構造体を形成する際に使用されるフレキシブル層は処理中に安定化することができる。導電性ラミネート層が形成された後、導電性ラミネート層は支持用の基板から(たとえば、剥離によって)簡単に分離することができる。湿式エッチングやレーザーアブレーションのような非常に複雑な処理は、導電性ラミネート層と基板を分離する必要が無い。
【0063】
上記の説明中の用語及び表現は、本発明の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を制限するものではない。上記の本発明の実施例に対する多数の変形が、請求項に係る発明の範囲を逸脱すること無く行なわれる。また、本発明の一実施例に記載された特徴は、本発明の範囲を逸脱すること無く、本発明の他のすべての実施例に記載された特徴と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】フレキシブル回路構造体を形成するため使用される材料品の断面図である。
【図2】フレキシブル回路構造体を形成するため使用される材料品の断面図である。
【図3】フレキシブル回路構造体を形成するため使用される材料品の断面図である。
【図4】フレキシブル回路構造体を形成するため使用される材料品の断面図である。
【図5】フレキシブル回路構造体を形成するため使用される材料品の断面図である。
【符号の説明】
【0065】
10 基板
11 解離層
12 バリア層
20 導電性ラミネート層
30 導電性ラミネート層部分
40 フレキシブル回路構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に解離層を堆積する工程と、
上記解離層上に所定パターンを有する導電性のバリア層を形成する工程と、
上記バリア層上に導電性ラミネート層を形成する工程と、
上記基板から少なくとも上記導電性ラミネート層の一部分を剥離する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
基板に解離層を堆積する工程と、
上記解離層上に所定パターンを有する導電性のバリア層を形成する工程と、
上記バリア層上にフレキシブル導電性ラミネート層を形成する工程と、
上記導電性ラミネート層の一部分を画成する線に沿って上記導電性ラミネート層を切断する工程と、
上記基板から切断された導電性ラミネート層の一部分を分離する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項3】
基板と、
導電性ラミネート層と、
上記基板と上記導電性ラミネート層の間に設けられた解離層と、
上記解離層と上記導電性ラミネート層との間に設けられた所定パターンを有する導電性バリア層とを有し、
上記導電性ラミネート層はフレキシブルであり、上記基板から剥離することができる
ことを特徴とする材料品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−237011(P2006−237011A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100556(P2006−100556)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【分割の表示】特願2000−237501(P2000−237501)の分割
【原出願日】平成12年8月4日(2000.8.4)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】