説明

フレキシブル太陽電池パネル

【課題】上下水道処理施設に設置されるアーチ型覆蓋、或は高速道路の防音壁に対し、新設・既設及び腐食性雰囲気を問わず設置可能なフレキシブル太陽電池パネルを提供する。
【解決手段】フレキシブル性を有するアモルファス太陽電池、或は結晶型シリコンウエハーをフッ素系フィルムでラミネートした太陽電池に、必要に応じた剛性を付与する為のプラスチック平板12を接着し、更に、周囲に太陽電池を挟み込む同材質の枠13を固定することにより、腐食性ガスにも侵されることがない長期信頼性のあるフレキシブル太陽電池モジュール11が形成される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブル太陽電池パネルを容易に提供し,上下水道処理施設の覆蓋,高速道路の防音壁の表面にフレキシブル太陽光発電装置を設置して,クリーンエネルギーの有効利用と既存設備の場合は器材のリニューアルを図るものである。
【背景技術】
【0002】
近年,上下水道処理施設の覆蓋の上部に二酸化炭素低減に向け太陽光発電装置を設置する方向にある。概して覆蓋は剛性を確保する為,アーチ形状が広く採用されており,フレキシブル太陽電池パネルは,既設,新設を問わず設置の制約が殆ど生じない。
また,高速道路の防音壁も放物線であり,フレキシブル太陽電池パネルを設置して,太陽光発電を行う対象になり得る。
本考案はアモルファス他を使用した,フレキシブル太陽電池パネルを容易に提供し,腐食性雰囲気を問わず太陽光発電の領域を拡大せしめるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
太陽光発電装置の大半は結晶系シリコン太陽電池が使用されており,その剛性と重量により,上下水道処理施設の覆蓋,或は高速道路の防音壁に対しては設置条件に制約がある。
覆蓋に関し,新規に設計する場合は形状設計に織り込むことも可能であるが,太陽電池モジュールの寸法は各社各様であり,互換性に欠ける。また防音壁に関しては曲率と重量の制約により不可能に近い。また腐食性環境に対しコネクター等の機器の保護が必要である。
かくなる問題点を解消し,覆蓋・防音壁に対し,新設・既設及び腐食性雰囲気を問わず設置可能なフレキシブル太陽電池パネルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本考案に係るフレキシブル太陽電池パネルは前述の問題点を解決するものであり,以下の構成要素を包含している。
フレキシブル太陽電池をプラスチック製平板により裏打ちし,適度な剛性を付与する。裏打ちはエポキシ樹脂,ウレタン樹脂等により,接着或いは一体成形する。
ブラスチック製平板の材質はアクリル,ポリカーボネート,ガラス繊維強化プラスチック,塩化ビニル等が対象となるが,厚みと各々材質の曲げ弾性率の組合せで単位幅あたりの剛性を100N−mm〜5000N−mmに設定することにより当該用途に最適なフレキシブル太陽電池パネルとなる。また周囲にプラスチック板を枠状に配置するとともに,出力ボックス及びケーブルの収納部位を設けることにより,腐食性雰囲気においても品質維持が可能であり太陽電池として層間接合品質の向上と覆蓋,防音壁に固定する際の締結補強効果が期待出来る。この押え枠は対象器材と同色に塗装することとが可能であり簡便性,美観,耐候性,耐久性に優れた構成となる。
フレキシブル太陽電池パネルはボルト,リベット等,機械的に対象器材に設置することが望ましいが,接着或は両面テープによる設置も可能である。
フレキシブル太陽電池はアモルファス系シリコンタイプが最適であるが,結晶系シリコンウエハーをフッ素フィルム等によりラミネートしたセミフレキシブル太陽電池も上市されており,使用可能である。
【発明の効果】
【0005】
本考案に係るフレキシブル太陽電池パネルは軽量かつ適度な剛性があるので,設置作業は非常に簡便であり,締結方法としてボルト,リベット接着剤,両面テープ等選択枝は幅広い。
曲率半径が自由に選択出来るので,新設・既設を問わずにアーチ形状器材に設置可能であり,新規設計においても形状の制約が大幅に軽減され,腐食性雰囲気の制約も受けない。
フレキシブル太陽電池パネルはプラスチック製平板の厚み及び材質により,自由に剛性を設定することが可能であり,目的,必要性能,用途に対する設計の自由度が大きい。
フレキシブル太陽電池パネルの剛性は設置する器材の剛性に重ね合わせることが出来るので,自重による若干の負荷が発生するが全体としての剛性向上が期待出来る。
フレキシブル太陽電池パネルを既設器材に設置した場合は,パネル以外の当該器材表面を塗装することにより,リニューアルが図れ,取替が必要な覆蓋等の廃棄物減少に寄与出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
フレキシブル太陽電池を1から3mm厚みのプラスチック平板にエポキシ樹脂により貼付け,単位幅当りの剛性を500から5000N−mmに設定する。
プラスチック平板はフレキシブル太陽電池の外形寸法より縦横とも20から300mm大きくし,その中央にフレキシブル太陽電池を配置し,太陽電池の周囲に5から10mmの挟み代を設け出力ボックス及びケーブルの収納凹部を有する外寸法が前述の裏打ち板と同一となるような,2から5mm厚みのプラスチック板を周囲枠として,シーリング材を介して接着,ビス止め,リベット止め等で固定し,フレキシブル太陽電池パネルを構成する。
【実施例】
【0007】
1 フレキシブル太陽電池パネルの構成 その1
幅910mm,長さ1220mmの外形寸法を有し,厚みが2mmの強化プラスチック製平板(以下FRP板と略す)にフッ素系フィルムにより両面をラミネートされた幅830mm,長さ1140mm,厚み4mmの結晶型太陽電池を張り付ける。
外寸法は同一で,内寸法を810mmと1120mmとし出力ボックスとケーブル用の凹部を設けたプラスチック製枠を接着或いはビス止め等により結合する。出力ボックス及びケーブルの収納部はシーリング材にて腐食性ガスの浸入を防止する。
2 フレキシブル太陽電池パネルの構成 その2
幅600mm,長さ1870mmの外形寸法を有し内寸法を440mmと1710mmとし,厚みが1mm立上りが20mmの箱状FRP枠材に幅460mm,長さ1730mm,厚み1mmのアモルファス太陽電池を中央に設置し,裏面に出力ボックス及びケーブルの収納凹部を設けた厚み1mmのFRP板を一体化接着或いはビス止め等により結合する。出力ボックス及びケーブルの収納部はシーリング材にて腐食性ガスの浸入を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本考案に懸るフレキシブル太陽電池パネルの標準的な形状(その1)を示す。
【図2】本考案に懸るフレキシブル太陽電池パネルの標準的な形状(その2)を示す。
【図3】フレキシブル太陽電池パネルをFRP製覆蓋に設置した一例を示す。
【符号の説明】
【0009】
図1の符号は
11…太陽電池モジュール,12…FRP板,13…FRP枠,14…正極出力ボックス15…負極出力ボックス,16…ケーブル,17…出力ボックス収納部,18…ケーブル収納部
図2の符号は
21…太陽電池モジュール,22…FRP枠,23…FRP板,24…正極出力ボックス25…負極出力ボックス,26…ケーブル,27…出力ボックス収納部,28…ケーブル収納部
図3の符号は
31…太陽電池モジュール,32…FRP製覆蓋,33…正極出力ボックス,34…負極出力ボックス,35…正極ケーブル,36…負極ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製平板にアモルファス太陽電池を貼り付けたフレキシブルパネルに於いて,正極及び負極の出力ボックスを収納する為の凹部を表面側に設け,収納後に密閉処理を行い腐食性ガスから出力ボックス内のコネクターを保護することを要素とする太陽電池パネル。
【請求項2】
プラスチック製平板にアモルファス太陽電池を貼り付けたフレキシブルパネルに於いて,中央部或いは両側に出力ケーブルを収納する連続したガイド溝を表面側に設けたことを,構成要素とする太陽電池パネル。
【請求項3】
請求項1及び2に於いてボックス及びケーブル収納が裏面側に配置された太陽電池パネル。
【請求項4】
請求項1,2及び3に於いてアモルファス太陽電池の替わりに結晶系シリコンウエハーをフッ素フィルム等によりラミネートした,フレキシブル太陽電池を使用した太陽電池パネル。
【請求項5】
請求項1,2,3及び4に於ける,貼り付け或は固定方法として,リベット,ビス,接着剤,両面テープ,融着の手法を単独或は組合せてとりいれた,太陽電池パネル。
【請求項6】
請求項1から5の太陽電池パネルを上下水道処理施設の覆蓋の上面に設置した太陽光発電装置。
【請求項7】
請求項1から5の太陽電池パネルを高速道路の防音壁に設置した太陽光発電装置。
【請求項8】
請求項6及び7に於ける,設置方法として,リベット,ビス,ボルト,接着剤,両面テープの手法を単独或は組合せてとりいれた太陽光発電装置。
【請求項9】
請求項6及び7に於いて,既設器材の場合に太陽光発電装置敷設部以外の部位を再塗装することにより,器材のリニューアルを図る,省エネ・省資源工法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−109051(P2011−109051A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279881(P2009−279881)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(504222311)日成エンジニアリング株式会社 (7)
【出願人】(592000886)八千代エンジニヤリング株式会社 (16)
【出願人】(501434188)有限会社ファシリティマネジメントアソシエイツコンサルタント (7)
【Fターム(参考)】