フレキシブル超音波探傷ツール
【課題】被探傷物の表面形状に容易に対応することができて、容易に探傷作業を行うことができ且つ製作も容易な超音波探傷ツールを提供する。
【解決手段】例えば、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲル2と、フレキシブルゲル2の上面2aの幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレール3と、1対のフレキシブルレール3の幅方向の外側部分3b−3に埋め込まれ、又は、フレキシブルゲル2に埋め込まれ、1対のフレキシブルレール3の長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片4と、超音波探触子8の両側面8a,8bに取り付けられ、1対のフレキシブルレール3の幅方向の内側部分3b−2の上面3bに吸着される磁石片が、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具7とを有する構成のフレキシブル超音波探傷ツール1とする。
【解決手段】例えば、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲル2と、フレキシブルゲル2の上面2aの幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレール3と、1対のフレキシブルレール3の幅方向の外側部分3b−3に埋め込まれ、又は、フレキシブルゲル2に埋め込まれ、1対のフレキシブルレール3の長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片4と、超音波探触子8の両側面8a,8bに取り付けられ、1対のフレキシブルレール3の幅方向の内側部分3b−2の上面3bに吸着される磁石片が、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具7とを有する構成のフレキシブル超音波探傷ツール1とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波探触子によって配管溶接部などの被探傷物の超音波探傷検査を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
火力プラントなどにおいて実施される配管溶接部の検査においては、一般に超音波探傷法が用いられている。
【0003】
超音波探傷法によって配管溶接部の超音波探傷検査を行う場合には、前記配管溶接部の表面に沿って超音波探触子を移動させながら、前記超音波探触子から超音波を出射する。そして、この超音波探触子から出射した超音波を、前記配管溶接部の表面から前記配管溶接部内へ入射し、この入射波の反射エコーの有無を前記超音波探触子によって検知することにより、前記配管溶接部の健全性(傷の有無)を確認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−201360号公報
【特許文献2】特表平11−504230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配管溶接部の超音波探傷作業においては、作業者が超音波探触子を単に手に持って移動させるだけでなく、配管に取り付けた超音波探傷ツール(治具)を用いて超音波探触子を移動させることがある。前記超音波探傷ツールは超音波探触子の移動を案内するためのものであり、超音波探触子の移動を安定させるためには前記超音波探傷ツールを用いることが望ましい。
【0006】
しかし、従来の超音波探傷ツールは、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がある。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、エルボ部の腹側用、背側用及び脇腹用の3種類の超音波探傷ツールが必要であり、しかも、エルボ部の配管径に応じて前記3種類の超音波探傷ツールが必要である。このため、超音波探傷ツールの製作に手間がかかり、製作コストもかかる。
【0007】
また、現地において超音波探傷ツールを配管に取り付ける際、当該配管における溶接部の余盛形状や、溶接施工時のひずみによる変形などに応じて、超音波探傷ツールの取り付け位置を調整する必要がある。このため、超音波探傷検査を実施するのに非常に時間がかかることがある。更に、余盛形状が想定外であった場合(例えば溶接部の余盛が想定よりも大きい場合など)には、超音波探傷ツールを用いることができないこともあった。
【0008】
従って本発明は上記の事情に鑑み、配管形状や配管溶接部の余盛形状などのような被探傷物の表面形状に容易に対応することができて、容易に探傷作業を行うことができ、且つ、製作も容易な超音波探傷ツールを提供することを課題とする。
なお、上記の特許文献1の超音波探傷ツール(超音波探傷装置)はフレキシブルなガイド部材を用いたものあるが、ゲルなどを用いたものではなく、本発明の超音波探傷ツールとは構成の異なるものである。また、上記の特許文献2にはゲルを塗布することや、液体音響接触媒質が多孔性膜を通過して供給されることなどが記載されているが、本発明の超音波探傷ツールに相当する構成については記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する第1発明のフレキシブル超音波探傷ツールは、超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、
矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、
前記フレキシブルゲルの上面の幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレールと、
前記1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記超音波探触子の両側面に取り付けられ、前記1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具と、
を有することを特徴とする。
【0010】
また、第2発明のフレキシブル超音波探傷ツールは、超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、
矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、
前記フレキシブルゲルの上面の幅方向両側に平行に配設された1対のフレキシブルプレートと、
前記1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る1対のフレキシブルレールと、
前記超音波探触子の両側面に取り付けられ、前記1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている1対のベアリング付探触子取付治具と、
を有することを特徴とする。
【0011】
また、第3発明のフレキシブル超音波探傷ツールは、超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、
矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、
前記フレキシブルゲルの上面の一方の幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレールと、
前記フレキシブルゲルの上面の他方の幅方向両側に平行に配設された磁石である他の1対のフレキシブルレールと、
前記1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記他の1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記他の1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記超音波探触子に挿通され、前記他の1対のフレキシブルレールに平行な第1のフレキシブルガイドと、
前記超音波探触子に挿通され、前記1対のフレキシブルレールに平行な第2のフレキシブルガイドと、
前記第1のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具と、
前記第2のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記他の1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている他の1対の磁石付探触子取付治具と、
を有することを特徴とする。
【0012】
また、第4発明のフレキシブル超音波探傷ツールは、超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、
矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、
前記フレキシブルゲルの上面の一方の幅方向両側に平行に配設された1対のフレキシブルプレートと、
前記フレキシブルゲルの上面の他方の幅方向両側に平行に配設された他の1対のフレキシブルプレートと、
前記1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記他の1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記他の1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る1対のフレキシブルレールと、
前記他の1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記他の1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る他の1対のフレキシブルレールと、
前記超音波探触子に挿通され、前記他の1対のフレキシブルプレートに平行な第1のフレキシブルガイドと、
前記超音波探触子に挿通され、前記1対のフレキシブルプレートに平行な第2のフレキシブルガイドと、
前記第1のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている1対のベアリング付探触子取付治具と、
前記第2のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記他の1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記他の1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている他の1対のベアリング付探触子取付治具と、
を有することを特徴とする。
【0013】
また、第5発明のフレキシブル超音波探傷ツールは、第1〜第4発明の何れか1つのフレキシブル超音波探傷ツールにおいて、
前記フレキシブルゲルの上面の両端部に設けた1対の磁石片と、
前記1対の磁石片に磁力で吸着される1対の取っ手と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1発明のフレキシブル超音波探傷ツールによれば、超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、前記フレキシブルゲルの上面の幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレールと、前記1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、前記超音波探触子の両側面に取り付けられ、前記1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具とを有することを特徴としているため、即ち、フレキシブルゲル及びフレキシブルレールはフレキシブルなものであり、更に、フレキシブルゲルは全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、フレキシブルレールに埋め込まれた複数の磁石片の磁力によって、フレキシブルゲルやフレキシブルレールなど(即ちフレキシブル超音波探傷ツール全体)を被探傷物の表面に吸着させるだけで容易に被探傷物の表面形状に倣うことができる。
しかも、本フレキシブル超音波探傷ツールは、フレキシブルゲルなどを被探傷物の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよいため、製作も容易である。例えば、配管溶接部の探傷に用いる場合でも、本フレキシブル超音波探傷ツールは、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がなく、フレキシブルゲルなどを配管の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよい。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、従来の超音波探傷ツールでは腹側用、背側用及び脇腹用の3種類が必要であったが、本フレキシブル超音波探傷ツールではフレキシブルゲルなどをエルボ部の各部の長さに応じた寸法に変更するだけでよい。
【0015】
第2発明のフレキシブル超音波探傷ツールによれば、超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、前記フレキシブルゲルの上面の幅方向両側に平行に配設された1対のフレキシブルプレートと、前記1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、前記1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る1対のフレキシブルレールと、前記超音波探触子の両側面に取り付けられ、前記1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている1対のベアリング付探触子取付治具とを有することを特徴としているため、即ち、フレキシブルゲル、フレキシブルプレート及びフレキシブルレールはフレキシブルなものであり、更に、フレキシブルゲルは全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、フレキシブルプレートに埋め込まれた複数の磁石片の磁力によって、フレキシブルゲル、フレキシブルプレート及びフレキシブルレールなど(即ちフレキシブル超音波探傷ツール全体)を被探傷物の表面に吸着させるだけで容易に被探傷物の表面形状に倣うことができる。
しかも、本フレキシブル超音波探傷ツールは、フレキシブルゲルなどを被探傷物の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよいため、製作も容易である。例えば、配管溶接部の探傷に用いる場合でも、本フレキシブル超音波探傷ツールは、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がなく、フレキシブルゲルなどを配管の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよい。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、従来の超音波探傷ツールでは腹側用、背側用及び脇腹用の3種類が必要であったが、本フレキシブル超音波探傷ツールではフレキシブルゲルなどをエルボ部の各部の長さに応じた寸法に変更するだけでよい。
【0016】
第3発明のフレキシブル超音波探傷ツールによれば、超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、前記フレキシブルゲルの上面の一方の幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレールと、前記フレキシブルゲルの上面の他方の幅方向両側に平行に配設された磁石である他の1対のフレキシブルレールと、前記1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、前記他の1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記他の1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、前記超音波探触子に挿通され、前記他の1対のフレキシブルレールに平行な第1のフレキシブルガイドと、前記超音波探触子に挿通され、前記1対のフレキシブルレールに平行な第2のフレキシブルガイドと、前記第1のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具と、前記第2のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記他の1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている他の1対の磁石付探触子取付治具とを有することを特徴としているため、即ち、フレキシブルゲル、フレキシブルレール及びフレキシブルガイドはフレキシブルなものであり、更に、フレキシブルゲルは全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、フレキシブルレールに埋め込まれた複数の磁石片の磁力によって、フレキシブルゲル、フレキシブルレール及びフレキシブルガイドなど(即ちフレキシブル超音波探傷ツール全体)を被探傷物の表面に吸着させるだけで容易に被探傷物の表面形状に倣うことができる。
また、本フレキシブル超音波探傷ツールは、フレキシブルゲルなどを被探傷物の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよいため、製作も容易である。例えば、配管溶接部の探傷に用いる場合でも、本フレキシブル超音波探傷ツールは、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がなく、フレキシブルゲルなどを配管の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよい。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、従来の超音波探傷ツールでは腹側用、背側用及び脇腹用の3種類が必要であったが、本フレキシブル超音波探傷ツールではフレキシブルゲルなどをエルボ部の各部の長さに応じた寸法に変更するだけでよい。
しかも、本フレキシブル超音波探傷ツールは、2対のフレキシブルレールなどを有する2軸構成のものであるため、広範囲の超音波探傷が可能になる。
【0017】
第4発明のフレキシブル超音波探傷ツールによれば、超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、前記フレキシブルゲルの上面の一方の幅方向両側に平行に配設された1対のフレキシブルプレートと、前記フレキシブルゲルの上面の他方の幅方向両側に平行に配設された他の1対のフレキシブルプレートと、前記1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、前記他の1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記他の1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、前記1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る1対のフレキシブルレールと、前記他の1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記他の1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る他の1対のフレキシブルレールと、前記超音波探触子に挿通され、前記他の1対のフレキシブルプレートに平行な第1のフレキシブルガイドと、前記超音波探触子に挿通され、前記1対のフレキシブルプレートに平行な第2のフレキシブルガイドと、前記第1のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている1対のベアリング付探触子取付治具と、前記第2のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記他の1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記他の1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている他の1対のベアリング付探触子取付治具とを有することを特徴としているため、即ち、フレキシブルゲル、フレキシブルプレート、フレキシブルレール及びフレキシブルガイドはフレキシブルなものであり、更に、フレキシブルゲルは全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、フレキシブルプレートに埋め込まれた複数の磁石片の磁力によって、フレキシブルゲル、フレキシブルプレート、フレキシブルレール及びフレキシブルガイドなど(即ちフレキシブル超音波探傷ツール全体)を被探傷物の表面に吸着させるだけで容易に被探傷物の表面形状に倣うことができる。
また、本フレキシブル超音波探傷ツールは、フレキシブルゲルなどを被探傷物の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよいため、製作も容易である。例えば、配管溶接部の探傷に用いる場合でも、本フレキシブル超音波探傷ツールは、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がなく、フレキシブルゲルなどを配管の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよい。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、従来の超音波探傷ツールでは腹側用、背側用及び脇腹用の3種類が必要であったが、本フレキシブル超音波探傷ツールではフレキシブルゲルなどをエルボ部の各部の長さに応じた寸法に変更するだけでよい。
しかも、本フレキシブル超音波探傷ツールは、2対のフレキシブルレールなどを有する2軸構成のものであるため、広範囲の超音波探傷が可能になる。
【0018】
第5発明のフレキシブル超音波探傷ツールによれば、第1〜第4発明の何れか1つのフレキシブル超音波探傷ツールにおいて、前記フレキシブルゲルの上面の両端部に設けた1対の磁石片と、前記1対の磁石片に磁力で吸着される1対の取っ手とを有することを特徴としているため、作業者が取っ手を掴んでフレキシブル超音波探傷ツールを、配管などの被探傷物に対して容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態例1に係るフレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す側面図(図3のA方向矢視図)である。
【図2】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す縦断面図(図3のB−B線矢視断面図)である。
【図3】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す平面図(図1のC方向矢視図)である。
【図4】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す正面図(図3のD方向矢視図)である。
【図5】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す横断面図(図3のE−E線矢視断面図)である。
【図6】前記フレキシブル超音波探傷ツールの取り付け状態を示す図である。
【図7】前記フレキシブル超音波探傷ツールの取り付け状態を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態例2に係るフレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す側面図(図10のF方向矢視図)である。
【図9】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す縦断面図(図10のG−G線矢視断面図)である。
【図10】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す平面図(図1のH方向矢視図)である。
【図11】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す正面図(図10のI方向矢視図)である。
【図12】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す横断面図(図10のJ−J線矢視断面図)である。
【図13】前記フレキシブル超音波探傷ツールの取り付け状態を示す図である。
【図14】前記フレキシブル超音波探傷ツールの取り付け状態を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態例3に係るフレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す平面図(図16のK方向矢視図)である。
【図16】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を一部破断して示す側面図(図15のL方向矢視図)である。
【図17】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を一部破断して示す正面図(図15のM方向矢視図)である。
【図18】前記フレキシブル超音波探傷ツールにおける超音波探触子部分の構成を示す斜視図である。
【図19】前記フレキシブル超音波探傷ツールの取り付け状態を示す図である。
【図20】前記フレキシブル超音波探傷ツールの取り付け状態を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態例4に係るフレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す平面図(図22のN方向矢視図)である。
【図22】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を一部破断して示す側面図(図21のO方向矢視図)である。
【図23】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を一部破断して示す正面図(図21のP方向矢視図)である。
【図24】前記フレキシブル超音波探傷ツールにおける超音波探触子部分の構成を示す斜視図である。
【図25】前記フレキシブル超音波探傷ツールの取り付け状態を示す図である。
【図26】前記フレキシブル超音波探傷ツールの取り付け状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
<実施の形態例1>
図1〜図7に基づき、本発明の実施の形態例1に係るフレキシブル超音波探傷ツール1について説明する。
【0022】
図1〜図5に示すように、本実施の形態例1のフレキシブル超音波探傷ツール1は、フレキシブルゲル2と、1対のフレキシブルレール3と、複数の磁石片4と、1対の磁石片5と、1対の取っ手6と、1対の磁石付探触子取付治具7とを有して成るものである。
【0023】
フレキシブルゲル2は、ゲルを矩形(ここでは図3に示すように長方形)の板状に成形したものである。フレキシブルゲル2は配管(被探傷物)の表面に倣って変形するフレキシブルなものであり、且つ、超音波探触子8から出射された超音波を配管内に入射させるための接触媒質としても機能する。また、フレキシブルゲル2は、配管形状(異形、直管、エルボ等)、溶接方向((配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)、及び、探傷範囲に応じた寸法に形成されている。なお、このようなフレキシブルゲル2としては、例えばタキロン株式会社のゲル製品(商品名:ソナゲル)などを用いることができる。
【0024】
1対のフレキシブルレール3は、フレキシブルゲル2の上面2aの幅方向両側に平行に配置され、フレキシブルゲル2の上面2aに接着剤で接着して固定されている。フレキシブルレール3はゴム製(即ちフレキシブル)で両面磁石型のものであり、短冊状(細長い長方形状)に形成されている。なお、このような両面磁石型のフレキシブルレール3としては、一般的なゴム製の磁石(両面磁石型のもの)を用いることができる。
【0025】
そして1対のフレキシブルレール3にはそれぞれ、複数個(図示例では4個)の磁石片4が埋め込まれている。各フレキシブルレール3における磁石片4は、フレキシブルレール3の幅方向の外側部分3b−3において、フレキシブルレール3の長手方向に沿って1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態(図示例では等間隔)で配置されている。詳述すると、フレキシブルレール3の下面(フレキシブルゲル2側の面)3aには大径の穴3a−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成される一方、フレキシブルレール3の上面3bには小径の穴3b−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成されており、各大径の穴3a−1と各小径の穴3b−1はそれぞれ連通している。磁石片4は大径の穴3a−1にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルレール3に接着剤で接着して固定されている。なお、各フレキシブルレール3に埋め込む磁石片4は、必ずしも1列に限定するものではなく、例えば図示例のものよりも小さなものを、複数列に配列してもよい。
【0026】
磁石片4はフレキシブルレール3に比べて強い磁性を有する磁石(ネオジウムなど)であり、フレキシブルゲル2やフレキシブルレール3など(即ちフレキシブル超音波探傷ツール1全体)を配管に吸着させること(図6,図7参照)が可能な強さの磁力を有している。なお、磁石片4の具体的な大きさ、個数、間隔、磁力については、フレキシブル超音波探傷ツール1を配管のエルボ部などに取り付ける際にフレキシブフレキシブルレール3などが撓む(図6,図7参照)のを磁石片4が妨げないようにすることや、フレキシブル超音波探傷ツール1全体を配管へ吸着させるのに必要な吸着力(磁力)が得られるようにすること考慮して、適宜、設定すればよい。
【0027】
1対の磁石片5は強磁性を有する磁石(ネオジウムなど)であり、フレキシブルゲル2の上面2aの両端部(フレキシブルレール3の長手方向両側の端部)にそれぞれ、接着剤で接着して固定されている。1対の取っ手6は鉄などの磁性材によってコ字状に形成された手幅程度の大きさのものであり、各磁石片5にそれぞれ磁力で吸着されている。
【0028】
一方、超音波探触子8の両側面8a,8bには、1対の磁石付探触子取付治具7がそれぞれ取り付けられている。磁石付探触子取付治具7は、ネジなどの固定手段によって超音波探触子8の両側面8a,8bにそれぞれ固定された取付治具本体7aと、この取付治具本体7aの下端に取り付けられた磁石片7bとを有して成るものである。磁石片7bは軸部7b−1の先端に設けられており、この軸部7b−1を取付治具本体7aに挿通し、且つ、軸部7b−1の端部にナット9を螺合することによって取付治具本体7aに取り付けられている。そして、これら1対の磁石片7bが、1対のフレキシブルレール3の幅方向内側部分3b−2の上面3bにそれぞれ位置し、これらの上面3bにそれぞれ磁力で吸着されるようになっている。磁石片4は前述のとおりフレキシブルレール3の幅方向の外側部分3b−3に埋め込まれており、磁石片7bが位置する(吸着される)幅方向の内側部分3b−2は磁石片4が埋め込まれていない部分である。これは磁石片7bが、磁石片4によって強く吸着されてしまうのを防ぐためである。一方、フレキシブルレール3は比較的、磁力が弱いため、1対の磁石付探触子取付治具7の磁石片7bがフレキシブルレール3に吸着された状態でも、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子8を移動させることができる。
【0029】
従って、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子8を移動させるとき、超音波探触子8は、1対の磁石付探触子取付治具7の磁石片7bがフレキシブルレール3に吸着されることにより、矢印Xのようにフレキシブルレール3に沿ってフレキシブルレール3の長手方向に移動することができる。
【0030】
図6と図7には、かかる構成のフレキシブル超音波探傷ツール1を、火力プラントなどの配管(高クロム鋼などの磁性材で形成されている配管)のエルボ部10における背側に取り付けた例と、腹側に取り付けた例とを示す。
【0031】
図6では、配管のエルボ部10における背側面(曲面)10aに倣って、フレキシブル超音波探傷ツール1のフレキシブルな構成部材であるフレキシブルゲル2やフレキシブルレール3が円弧状に撓み、この状態でフレキシブルゲル2やフレキシブルレール3などが(即ちフレキシブル超音波探傷ツール1全体が)、磁石片4の磁力によってエルボ部10の背側面10aに吸着される。図7では、配管のエルボ部10における腹側面(曲面)10bに倣って、フレキシブル超音波探傷ツール1のフレキシブルな構成部材であるフレキシブルゲル2やフレキシブルレール3が円弧状に撓み、この状態でフレキシブルレール2やフレキシブルレール3などのフレキシブル超音波探傷ツール1全体が、磁石片4の磁力によってエルボ部10の腹側面(曲面)10bに吸着される。また、図示は省略するが、フレキシブルゲル2は全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、例えばエルボ部10における長手溶接部の余盛形状などにも容易に倣うことができる。
【0032】
以上のように、本実施の形態例1のフレキシブル超音波探傷ツール1によれば、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲル2と、フレキシブルゲル2の上面2aの幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレール3と、1対のフレキシブルレール3の幅方向の外側部分3b−3に埋め込まれ、1対のフレキシブルレール3の長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片4と、超音波探触子8の両側面8a,8bに取り付けられ、1対のフレキシブルレール3の幅方向の内側部分3b−2の上面3bに吸着される磁石片7bが、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具7とを有することを特徴としているため、即ち、フレキシブルゲル2及びフレキシブルレール3はフレキシブルなものであり、更に、フレキシブルゲル2は全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、フレキシブルレール3に埋め込まれた複数の磁石片4の磁力によって、フレキシブルゲル2やフレキシブルレール3など(即ちフレキシブル超音波探傷ツール1全体)を配管などの被探傷物の表面に吸着させるだけで容易に被探傷物の表面形状に倣うことができる。
【0033】
しかも、本実施の形態例1のフレキシブル超音波探傷ツール1は、フレキシブルゲル2などを被探傷物の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよいため、製作も容易である。例えば、配管溶接部の探傷に用いる場合でも、本フレキシブル超音波探傷ツール1は、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がなく、フレキシブルゲル2などを配管の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよい。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、従来の超音波探傷ツールでは腹側用、背側用及び脇腹用の3種類が必要であったが、本フレキシブル超音波探傷ツール1ではフレキシブルゲルなどをエルボ部の各部の長さに応じた寸法に変更するだけでよい。
【0034】
また、本実施の形態例1のフレキシブル超音波探傷ツール1によれば、フレキシブルゲル2の上面2aの両端部に設けた1対の磁石片5と、1対の磁石片5に磁力で吸着される1対の取っ手6とを有することを特徴としているため、作業者が取っ手6を掴んでフレキシブル超音波探傷ツール1を、配管などの被探傷物に対して容易に着脱することができる。
【0035】
<実施の形態例2>
図8〜図14に基づき、本発明の実施の形態例2に係るフレキシブル超音波探傷ツール21について説明する。
【0036】
図8〜図12に示すように、本実施の形態例2のフレキシブル超音波探傷ツール21は、フレキシブルゲル22と、1対のフレキシブルプレート23と、複数の磁石片24と、1対のフレキシブルレール25と、1対の磁石片26と、1対の取っ手27と、1対のベアリング付探触子取付治具28とを有して成るものである。
【0037】
フレキシブルゲル22は、ゲルを矩形(ここでは図10に示すように長方形)の板状に成形したものである。フレキシブルゲル22は配管(被探傷物)の表面に倣って変形するフレキシブルなものであり、且つ、超音波探触子29から出射された超音波を配管内に入射させるための接触媒質としても機能する。また、フレキシブルゲル22は、配管形状(異形、直管、エルボ等)、溶接方向((配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)、及び、探傷範囲に応じた寸法に形成されている。なお、このようなフレキシブルゲル22としては、例えばタキロン株式会社のゲル製品(商品名:ソナゲル)などを用いることができる。
【0038】
1対のフレキシブルプレート23は、フレキシブルゲル22の上面22aの幅方向両側に平行に配置され、フレキシブルゲル22の上面22aに接着剤で接着して固定されている。フレキシブルプレート23はゴム製の(即ちフレキシブルな)ものであり、短冊状(細長い長方形状)に形成されている。
【0039】
そして1対のフレキシブルプレート23にはそれぞれ、複数個(図示例では4個)の磁石片24が埋め込まれている。各フレキシブルプレート23における磁石片24は、フレキシブルプレート23の幅方向の外側部分23b−3において、フレキシブルプレート23の長手方向に沿って1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態(図示例では等間隔)で配置されている。詳述すると、フレキシブルプレート23の下面(フレキシブルゲル22側の面)23aには大径の穴23a−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成される一方、フレキシブルプレート23の上面23bには小径の穴23b−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成されており、各大径の穴23a−1と各小径の穴23b−1はそれぞれ連通している。そして、磁石片24は大径の穴23a−1にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルプレート23に接着剤で接着して固定されている。なお、各フレキシブルプレート23に埋め込む磁石片24は、必ずしも1列に限定するものではなく、例えば図示例のものよりも小さなものを、複数列に配列してもよい。
【0040】
磁石片24は強い磁性を有する磁石(ネオジウムなど)であり、フレキシブルゲル22やフレキシブルプレート23など(即ちフレキシブル超音波探傷ツール21全体)を配管に吸着させること(図13,図14参照)が可能な強さの磁力を有している。なお、磁石片24の具体的な大きさ、個数、間隔、磁力については、フレキシブル超音波探傷ツール21を配管のエルボ部などに取り付ける際にフレキシブルプレート23などが撓む(図13,図14参照)のを磁石片24が妨げないようにすることや、フレキシブル超音波探傷ツール1全体を配管へ吸着させるのに必要な吸着力(磁力)が得られるようにすること考慮して、適宜、設定すればよい。
【0041】
1対のフレキシブルレール25は、1対のフレキシブルプレート23の上面23bにおける幅方向の内側部分23b−2にそれぞれ配置されてフレキシブルプレート23の長手方向に延びており、1対のフレキシブルプレート23にそれぞれ接着剤で接着して固定されている。磁石片24は前述のとおりフレキシブルプレート23の幅方向の外側部分23b−3に埋め込まれており、フレキシブルレール25が位置する幅方向の内側部分23b−2は磁石片24が埋め込まれていない部分である。なお、これに限定するものではなく、フレキシブルレール25を、磁石片24が埋め込まれている部分の上面に配置する構成であってもよい。
【0042】
フレキシブルレール25はプラスチックによって細長く形成されたフレキシブルなものであり、細長い帯状のレール本体部25aと、このレール本体部25aの上面25a−1の幅方向両側に突設された2列の突起25bとを有して成るものである。2列の突起25bはレール本体部25aの長手方向に延びて平行になっており、且つ、各列の突起25bは前記長手方向の間隔が一定になっている。
【0043】
1対の磁石片26は強磁性を有する磁石(ネオジウムなど)であり、フレキシブルゲル22の上面22aの両端部(フレキシブルレール25の長手方向両側の端部)にそれぞれ、接着剤で接着して固定されている。1対の取っ手27は鉄などの磁性材によってコ字状に形成された手幅程度の大きさのものであり、各磁石片26にそれぞれ磁力で吸着されている。
【0044】
一方、超音波探触子29の両側面29a,29bには、1対のベアリング付探触子取付治具28がそれぞれ取り付けられている。ベアリング付探触子取付治具28は、ネジなどの固定手段によって超音波探触子29の両側面29a,29bにそれぞれ固定されている取付治具本体28aと、この取付治具本体28aの下端に取り付けられたボールベアリング28bとを有して成るものである。ボールベアリング28bは軸部28b−1の先端に設けられており、この軸部28b−1を取付治具本体28aにねじ込むことによって取付治具本体28aに取り付けられている。そして、これら1対のボールベアリング28bが、1対のフレキシブルレール25のそれぞれに形成されている2列の突起25bの間にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルレール25の長手方向に移動可能になっている。
【0045】
従って、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子29を移動させるとき、超音波探触子29は、1対のベアリング付探触子取付治具28に取り付けられているボールベアリング28bが1対のフレキシブルレール25の突起25bの間に嵌め込まれた状態でフレキシブルレール25の長手方向に移動することにより、矢印Xのようにフレキシブルレール25に沿ってフレキシブルレール25の長手方向に移動することができる。
【0046】
図13と図14には、かかる構成のフレキシブル超音波探傷ツール21を、火力プラントなどの配管(高クロム鋼などの磁性材で形成されている配管)のエルボ部30における背側に取り付けた例と、腹側に取り付けた例とを示す。
【0047】
図13では、配管のエルボ部30における背側面(曲面)30aに倣って、フレキシブル超音波探傷ツール21のフレキシブルな構成部材であるフレキシブルゲル22、フレキシブルプレート23及びフレキシブルレール25が円弧状に撓み、この状態でフレキシブルゲル22、フレキシブルプレート23、フレキシブルレール25などが(即ちフレキシブル超音波探傷ツール21全体が)、磁石片24の磁力によってエルボ部30の背側面30aに吸着される。図14では、配管のエルボ部30における腹側面(曲面)30bに倣って、フレキシブル超音波探傷ツール21のフレキシブルな構成部材であるフレキシブルゲル22、フレキシブルプレート23及びフレキシブルレール25が円弧状に撓み、この状態でフレキシブルゲル22、フレキシブルプレート23、フレキシブルレール25などが(即ちフレキシブル超音波探傷ツール21全体が)、磁石片24の磁力によってエルボ部30の腹側面30bに吸着される。また、図示は省略するが、フレキシブルゲル22は全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、例えばエルボ部30における長手溶接部の余盛形状などにも容易に倣うことができる。
【0048】
以上のように、本実施の形態例2のフレキシブル超音波探傷ツール21によれば、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲル22と、フレキシブルゲル22の上面22aの幅方向両側に平行に配設された1対のフレキシブルプレート23と、1対のフレキシブルプレート23に埋め込まれ、1対のフレキシブルプレート23の長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片24と、1対のフレキシブルプレート23の上面23bに配置されて1対のフレキシブルプレート23の長手方向に延びており、帯状のレール本体部25aと、レール本体部25aの上面25a−1の幅方向両側に突設されレール本体部25aの長手方向に延びて平行になっている2列の突起25bとを有して成る1対のフレキシブルレール25と、超音波探触子29の両側面29a,29bに取り付けられ、1対のフレキシブルレール25の2列の突起25bの間に嵌め込まれて1対のフレキシブルレール25の長手方向に移動可能なボールベアリング28bが、下端に取り付けられている1対のベアリング付探触子取付治具28とを有することを特徴としているため、即ち、フレキシブルゲル22、フレキシブルプレート23及びフレキシブルレール25はフレキシブルなものであり、更に、フレキシブルゲル22は全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、フレキシブルプレート23に埋め込まれた複数の磁石片24の磁力によって、フレキシブルゲル22、フレキシブルプレート23及びフレキシブルレール25など(即ちフレキシブル超音波探傷ツール21全体)を配管などの被探傷物の表面に吸着させるだけで容易に被探傷物の表面形状に倣うことができる。
【0049】
しかも、本実施の形態例2のフレキシブル超音波探傷ツール21は、フレキシブルゲル22などを被探傷物の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよいため、製作も容易である。例えば、配管溶接部の探傷に用いる場合でも、本フレキシブル超音波探傷ツール21は、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がなく、フレキシブルゲル22などを配管の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよい。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、従来の超音波探傷ツールでは腹側用、背側用及び脇腹用の3種類が必要であったが、本フレキシブル超音波探傷ツール21ではフレキシブルゲルなどをエルボ部の各部の長さに応じた寸法に変更するだけでよい。
【0050】
また、本実施の形態例2のフレキシブル超音波探傷ツール21によれば、フレキシブルゲル22の上面22aの両端部に設けた1対の磁石片26と、1対の磁石片26に磁力で吸着される1対の取っ手27とを有することを特徴としているため、作業者が取っ手27を掴んでフレキシブル超音波探傷ツール21を、配管などの被探傷物に対して容易に着脱することができる。
【0051】
<実施の形態例3>
図15〜図20に基づき、本発明の実施の形態例3に係るフレキシブル超音波探傷ツール41について説明する。本実施の形態例3のフレキシブル超音波探傷ツール41は、上記実施の形態例1における1軸のフレキシブル超音波探傷ツール1を2軸に変更したものであり、基本的な構成についてはフレキシブル超音波探傷ツール1と同様である。
【0052】
詳述すると、図15〜図18に示すように、本実施の形態例3のフレキシブル超音波探傷ツール41は、フレキシブルゲル42と、1対のフレキシブルレール43と、1対のフレキシブルレール44と、複数の磁石片45と、1対の磁石片46と、1対の取っ手47と、1対の磁石付探触子取付治具48と、1対の磁石付探触子取付治具49と、フレキシブルガイド50,51とを有して成るものである。
【0053】
フレキシブルゲル42は、ゲルを矩形(ここでは図15に示すように長方形)の板状に成形したものである。フレキシブルゲル42は配管(被探傷物)の表面に倣って変形するフレキシブルなものであり、且つ、超音波探触子52から出射された超音波を配管内に入射させるための接触媒質としても機能する。また、フレキシブルゲル42は、配管形状(異形、直管、エルボ等)、溶接方向((配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)、及び、探傷範囲に応じた寸法に形成されている。なお、このようなフレキシブルゲル42としては、例えばタキロン株式会社のゲル製品(商品名:ソナゲル)などを用いることができる。
【0054】
1対のフレキシブルレール43は、フレキシブルゲル42の上面42aにおける一方の幅方向(図15の上下方向)の両側に平行に配置され、フレキシブルゲル42の上面42aに接着剤で接着して固定されている。他の1対のフレキシブルレール44は、フレキシブルゲル42の上面42aにおける他方の幅方向(図15の左右方向)の両側に平行に配置され、フレキシブルゲル42の上面42aに接着剤で接着して固定されている。即ち、1対のフレキシブルレール43は前記他の幅方向に延び、他の1対のフレキシブルレール44は前記一方の幅方向に延びており、これら4つのフレキシブルレール43,44が矩形状を成すように配設されている。フレキシブルレール43,44はゴム製(即ちフレキシブルゲル)で両面磁石型のものであり、短冊状(細長い長方形状)に形成されている。なお、このような両面磁石型のフレキシブルレール43,44としては、一般的なゴム製の磁石(両面磁石型のもの)を用いることができる。
【0055】
そして1対のフレキシブルレール43にはそれぞれ、複数個(図示例では4個)の磁石片45が埋め込まれている。各フレキシブルレール43における磁石片45は、フレキシブルレール43の幅方向の外側部分43b−3において、フレキシブルレール43の長手方向に沿って1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態(図示例では等間隔)で配置されている。詳述すると、フレキシブルレール43の下面(フレキシブルゲル42側の面)43aには大径の穴43a−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成される一方、フレキシブルレール43の上面43bには小径の穴43b−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成されており、各大径の穴43a−1と各小径の穴43b−1はそれぞれ連通している。磁石片45は大径の穴43a−1にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルレール43に接着剤で接着して固定されている。なお、各フレキシブルレール43に埋め込む磁石片45は、必ずしも1列に限定するものではなく、例えば図示例のものよりも小さなものを、複数列に配列してもよい。
【0056】
同様に、他の1対のフレキシブルレール44にもそれぞれ、複数個(図示例では4個)の磁石片45が埋め込まれている。各フレキシブルレール44における磁石片45は、フレキシブルレール44の幅方向の外側部分44b−3において、フレキシブルレール44の長手方向に沿って1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態(図示例では等間隔)で配置されている。詳述すると、フレキシブルレール44の下面(フレキシブルゲル42側の面)44aには大径の穴44a−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成される一方、フレキシブルレール44の上面44bには小径の穴44b−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成されており、各大径の穴44a−1と各小径の穴44b−1はそれぞれ連通している。磁石片45は大径の穴44a−1にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルレール44に接着剤で接着して固定されている。なお、各フレキシブルレール44に埋め込む磁石片45は、必ずしも1列に限定するものではなく、例えば図示例のものよりも小さなものを、複数列に配列してもよい。
【0057】
磁石片45はフレキシブルレール43,44に比べて強い磁性を有する磁石(ネオジウムなど)であり、フレキシブルゲル42やフレキシブルレール43,44など(即ちフレキシブル超音波探傷ツール41全体)を配管に吸着させること(図19,図20参照)が可能な強さの磁力を有している。なお、磁石片45の具体的な大きさ、個数、間隔、磁力については、フレキシブル超音波探傷ツール41を配管のエルボ部などに取り付ける際にフレキシブルレール43,44などが撓む(図19,図20参照)のを磁石片45が妨げないようにすることや、フレキシブル超音波探傷ツール41全体を配管へ吸着させるのに必要な吸着力(磁力)が得られるようにすること考慮して、適宜、設定すればよい。
【0058】
1対の磁石片46は強磁性を有する磁石(ネオジウムなど)であり、フレキシブルゲル42の上面42aの両端部(フレキシブルレール43の長手方向両側の端部)にそれぞれ、接着剤で接着して固定されている。1対の取っ手47は鉄などの磁性材によってコ字状に形成された手幅程度の大きさのものであり、各磁石片46にそれぞれ磁力で吸着されている。
【0059】
一方、超音波探触子52には、下側のフレキシブルガイド50と上側のフレキシブルガイド51とが挿通されている。フレキシブルガイド50,51は平面視(図15)において直交しており、フレキシブルガイド50はフレキシブルレール44に平行である一方、フレキシブルガイド51はフレキシブルレール43に平行になっている。フレキシブルガイド50,51はプラスチックによって細長く形成されたフレキシブルなものである。超音波探触子52はフレキシブルガイド51とともにフレキシブルガイド50に案内されてフレキシブルガイド50の長手方向に移動することができ、且つ、フレキシブルガイド50とともにフレキシブルガイド51に案内されてフレキシブルガイド51の長手方向に移動することもできる。
【0060】
1対の磁石付探触子取付治具48はフレキシブルガイド50の両端部にそれぞれ設けられ、他の1対の磁石付探触子取付治具49はフレキシブルガイド51の両端部にそれぞれ設けられている。
【0061】
磁石付探触子取付治具48は、ネジなどの固定手段によってフレキシブルガイド50の端部に固定された取付治具本体48aと、この取付治具本体48aの下端に取り付けられた磁石片48bとを有して成るものである。磁石片48bは軸部48b−1の先端に設けられており、この軸部48b−1を取付治具本体48aに挿通し、且つ、軸部48b−1の端部にナット53を螺合することによって取付治具本体48aに取り付けられている。そして、これら1対の磁石片48bが、1対のフレキシブルレール43の幅方向の内側部分43b−2の上面43bにそれぞれ位置し、これらの上面43bにそれぞれ磁力で吸着されるようになっている。磁石片45は前述のとおりフレキシブルレール43の幅方向の外側部分43b−3に埋め込まれており、磁石片48bが位置する(吸着される)幅方向の内側部分43b−2は磁石片45が埋め込まれていない部分である。これは磁石片48bが、磁石片45によって強く吸着されてしまうのを防ぐためである。一方、フレキシブルレール43は比較的、磁力が弱いため、1対の磁石付探触子取付治具48の磁石片48bがフレキシブルレール43に吸着された状態でも、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子52を移動させることができる。
【0062】
従って、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子52を移動させるとき、超音波探触子52は、1対の磁石付探触子取付治具48の磁石片48bがフレキシブルレール43に吸着されることにより、矢印Xのようにフレキシブルレール43に沿ってフレキシブルレール43の長手方向に移動することができる。
【0063】
同様に、磁石付探触子取付治具49は、ネジなどの固定手段によってフレキシブルガイド51の端部に固定された取付治具本体49aと、この取付治具本体49aの下端に取り付けられた磁石片49bとを有して成るものである。磁石片49bは軸部49b−1の先端に設けられており、この軸部49b−1を取付治具本体49aに挿通し、且つ、軸部49b−1の端部にナット54を螺合することによって取付治具本体49aに取り付けられている。そして、これら1対の磁石片49bが、1対のフレキシブルレール44の幅方向の内側部分44b−2の上面44bにそれぞれ位置し、これらの上面44bにそれぞれ磁力で吸着されるようになっている。磁石片45は前述のとおりフレキシブルレール44の幅方向の外側部分44b−3に埋め込まれており、磁石片49bが位置する(吸着される)幅方向の内側部分44b−2は磁石片45が埋め込まれていない部分である。これは磁石片49bが、磁石片45によって強く吸着されてしまうのを防ぐためである。一方、フレキシブルレール44は比較的、磁力が弱いため、1対の磁石付探触子取付治具49の磁石片49bがフレキシブルレール44に吸着された状態でも、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子52を移動させることができる。
【0064】
従って、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子52を移動させるとき、超音波探触子52は、1対の磁石付探触子取付治具49の磁石片49bがフレキシブルレール44に吸着されることにより、矢印Yのようにフレキシブルレール44に沿ってフレキシブルレール44の長手方向に移動することができる。
【0065】
図19及び図20には、かかる構成のフレキシブル超音波探傷ツール41を、火力プラントなどの配管(高クロム鋼などの磁性材で形成されている配管)のエルボ部55における背側に取6付けた例を示す。
【0066】
図19及び図20では、配管のエルボ部55における背側面(曲面)55aに倣って、フレキシブル超音波探傷ツール41のフレキシブルな構成部材であるフレキシブルゲル42、フレキシブルレール43,44及びフレキシブルガイド50,51が円弧状に撓み、この状態でフレキシブルゲル42、フレキシブルレール43,44、フレキシブルガイド50,51などが(即ちフレキシブル超音波探傷ツール41全体が)、磁石片45の磁力によってエルボ部55の背側面55aに吸着される。また、図示は省略するが、フレキシブルゲル42は全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、例えばエルボ部55における長手溶接部の余盛形状などにも容易に倣うことができる。
【0067】
以上のように、本実施の形態例3のフレキシブル超音波探傷ツール41によれば、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲル42と、フレキシブルゲル42の上面42aの一方の幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレール43と、フレキシブルゲル42の上面42aの他方の幅方向両側に平行に配設された磁石である他の1対のフレキシブルレール44と、1対のフレキシブルレール43の幅方向の外側部分43b−3に埋め込まれ、1対のフレキシブルレール43の長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片45と、他の1対のフレキシブルレール44の幅方向の外側部分44b−3に埋め込まれ、他の1対のフレキシブルレール44の長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片45と、超音波探触子52に挿通され、前記他の1対のフレキシブルレール44に平行なフレキシブルガイド50と、超音波探触子52に挿通され、前記1対のフレキシブルレール43に平行なフレキシブルガイド51と、フレキシブルガイド50の両端部に設けられ、1対のフレキシブルレール43の幅方向の内側部分43b−2の上面43bに吸着される磁石片48bが、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具48と、フレキシブルガイド51の両端部に設けられ、他の1対のフレキシブルレール44の幅方向の内側部分44b−2の上面44bに吸着される磁石片49bが、下端に取り付けられている他の1対の磁石付探触子取付治具49とを有することを特徴としているため、即ち、フレキシブルゲル42、フレキシブルレール43,44及びフレキシブルガイド50,51はフレキシブルなものであり、更に、フレキシブルゲル42は全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、フレキシブルレール43,44に埋め込まれた複数の磁石片45の磁力によって、フレキシブルゲル42、フレキシブルレール43,44及びフレキシブルガイド50,51など(即ちフレキシブル超音波探傷ツール41全体)を配管などの被探傷物の表面に吸着させるだけで容易に被探傷物の表面形状に倣うことができる。
【0068】
また、本フレキシブル超音波探傷ツール41は、フレキシブルゲル42などを被探傷物の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよいため、製作も容易である。例えば、配管溶接部の探傷に用いる場合でも、本フレキシブル超音波探傷ツール41は、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がなく、フレキシブルゲル42などを配管の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよい。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、従来の超音波探傷ツールでは腹側用、背側用及び脇腹用の3種類が必要であったが、本フレキシブル超音波探傷ツール41ではフレキシブルゲル42などをエルボ部の各部の長さに応じた寸法に変更するだけでよい。
【0069】
しかも、本フレキシブル超音波探傷ツール41は、2対のフレキシブルレール43,44などを有する2軸構成のものであるため、広範囲の超音波探傷が可能になる。
【0070】
また、本実施の形態例3のフレキシブル超音波探傷ツール41によれば、フレキシブルゲル42の上面42aの両端部に設けた1対の磁石片46と、1対の磁石片46に磁力で吸着される1対の取っ手47とを有することを特徴としているため、作業者が取っ手47を掴んでフレキシブル超音波探傷ツール41を、配管などの被探傷物に対して容易に着脱することができる。
【0071】
<実施の形態例4>
図21〜図26に基づき、本発明の実施の形態例4に係るフレキシブル超音波探傷ツール61について説明する。本実施の形態例4のフレキシブル超音波探傷ツール61は、上記実施の形態例2における1軸のフレキシブル超音波探傷ツール21を2軸に変更したものであり、基本的な構成についてはフレキシブル超音波探傷ツール21と同様である。
【0072】
詳述すると、図21〜図24に示すように、本実施の形態例4のフレキシブル超音波探傷ツール61は、フレキシブルゲル62と、1対のフレキシブルプレート63と、1対のフレキシブルプレート64と、複数の磁石片65と、1対のフレキシブルレール66と、1対のフレキシブルレール67と、1対の磁石片68と、1対の取っ手69と、1対のベアリング付探触子取付治具70と、1対のベアリング付探触子取付治具71と、フレキシブルガイド72,73とを有して成るものである。
【0073】
フレキシブルゲル62は、ゲルを矩形(ここでは図21に示すように長方形)の板状に成形したものである。フレキシブルゲル2は配管(被探傷物)の表面に倣って変形するフレキシブルなものであり、且つ、超音波探触子74から出射された超音波を配管内に入射させるための接触媒質としても機能する。また、フレキシブルゲル62は、配管形状(異形、直管、エルボ等)、溶接方向((配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)、及び、探傷範囲に応じた寸法に形成されている。なお、このようなフレキシブルゲル62としては、例えばタキロン株式会社のゲル製品(商品名:ソナゲル)などを用いることができる。
【0074】
1対のフレキシブルプレート63は、フレキシブルゲル62の上面62aにおける一方の幅方向(図21の上下方向)の両側に平行に配置され、フレキシブルゲル62の上面62aに接着剤で接着して固定されている。他の1対のフレキシブルプレート64は、フレキシブルゲル62の上面62aにおける他方の幅方向(図21の左右方向)の両側に平行に配置され、フレキシブルゲル62の上面62aに接着剤で接着して固定されている。即ち、1対のフレキシブルプレート63は前記他の幅方向に延び、他の1対のフレキシブルプレート64は前記一方の幅方向に延びており、これら4つのフレキシブルレール63,64が矩形状を成すように配設されている。フレキシブルプレート63,64はゴム製の(即ちフレキシブルな)ものであり、短冊状(細長い長方形状)に形成されている。
【0075】
そして1対のフレキシブルプレート63にはそれぞれ、複数個(図示例では4個)の磁石片65が埋め込まれている。各フレキシブルプレート63における磁石片65は、フレキシブルプレート63の幅方向の外側部分63b−3において、フレキシブルプレート63の長手方向に沿って1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態(図示例では等間隔)で配置されている。詳述すると、フレキシブルプレート63の下面(フレキシブルゲル62側の面)63aには大径の穴63a−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成される一方、フレキシブルプレート63の上面63bには小径の穴63b−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成されており、各大径の穴63a−1と各小径の穴63b−1はそれぞれ連通している。磁石片65は大径の穴63a−1にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルプレート63に接着剤で接着して固定されている。なお、各フレキシブルプレート63に埋め込む磁石片65は、必ずしも1列に限定するものではなく、例えば図示例のものよりも小さなものを、複数列に配列してもよい。
【0076】
同様に、他の1対のフレキシブルプレート64にもそれぞれ、複数個(図示例では4個)の磁石片65が埋め込まれている。各フレキシブルプレート64における磁石片65は、レキシブルプレート64の幅方向の外側部分64b−3において、フレキシブルプレート64の長手方向に沿って1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態(図示例では等間隔)で配置されている。詳述すると、フレキシブルプレート64の下面(フレキシブルゲル62側の面)64aには大径の穴64a−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成される一方、フレキシブルプレート64の上面64bには小径の穴64b−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成されており、各大径の穴64a−1と各小径の穴64b−1はそれぞれ連通している。磁石片65は大径の穴64a−1にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルプレート64に接着剤で接着して固定されている。お、各フレキシブルプレート64に埋め込む磁石片65は、必ずしも1列に限定するものではなく、例えば図示例のものよりも小さなものを、複数列に配列してもよい。
【0077】
磁石片65は強い磁性を有する磁石(ネオジウムなど)であり、フレキシブルゲル62やフレキシブルプレート63,64など(即ちフレキシブル超音波探傷ツール61全体)を配管に吸着させること(図25,図26参照)が可能な強さの磁力を有している。なお、磁石片65の具体的な大きさ、個数、間隔、磁力については、フレキシブル超音波探傷ツール61を配管のエルボ部などに取り付ける際にフレキシブルプレート63,64などが撓む(図25,図26参照)のを磁石片65が妨げないようにすることや、フレキシブル超音波探傷ツール61全体を配管へ吸着させるのに必要な吸着力(磁力)が得られるようにすること考慮して、適宜、設定すればよい。
【0078】
1対のフレキシブルレール66は、1対のフレキシブルプレート63の上面63bにおける幅方向の内側部分63b−2にそれぞれ配置されてフレキシブルプレート63の長手方向に延びており、1対のフレキシブルプレート63にそれぞれ接着剤で接着して固定されている。磁石片65は前述のとおりフレキシブルプレート63の幅方向の外側部分63b−3に埋め込まれており、フレキシブルレール66が位置する幅方向の内側部分63b−2は磁石片65が埋め込まれていない部分である。なお、これに限定するものではなく、フレキシブルレール66を、磁石片65が埋め込まれている部分の上面に配置する構成であってもよい。
【0079】
フレキシブルレール66はプラスチックによって細長く形成されたフレキシブルなものであり、細長い帯状のレール本体部66aと、このレール本体部66aの上面66a−1の幅方向両側に突設された2列の突起66bとを有して成るものである。2列の突起66bはレール本体部66aの長手方向に延びて平行になっており、且つ、各列の突起66bは前記長手方向の間隔が一定になっている。
【0080】
同様に、他の1対のフレキシブルレール67は、他の1対のフレキシブルプレート64の上面64bにおける幅方向の内側部分64b−2にそれぞれ配置されてフレキシブルプレート64の長手方向に延びており、1対のフレキシブルプレート64にそれぞれ接着剤で接着して固定されている。磁石片65は前述のとおりフレキシブルプレート64の幅方向の外側部分64b−3に埋め込まれており、フレキシブルレール67が位置する幅方向の内側部分64b−2は磁石片65が埋め込まれていない部分である。なお、これに限定するものではなく、フレキシブルレール67を、磁石片65が埋め込まれている部分の上面に配置する構成であってもよい。
【0081】
フレキシブルレール67はプラスチックによって細長く形成されたフレキシブルなものであり、細長い帯状のレール本体部67aと、このレール本体部67aの上面67a−1の幅方向両側に突設された2列の突起67bとを有して成るものである。2列の突起67bはレール本体部67aの長手方向に延びて平行になっており、且つ、各列の突起67bは前記長手方向の間隔が一定になっている。
【0082】
1対の磁石片68は強磁性を有する磁石(ネオジウムなど)であり、フレキシブルゲル62の上面62aの両端部(フレキシブルレール66の長手方向両側の端部)にそれぞれ、接着剤で接着して固定されている。1対の取っ手69は鉄などの磁性材によってコ字状に形成された手幅程度の大きさのものであり、各磁石片68にそれぞれ磁力で吸着されている。
【0083】
一方、超音波探触子74には、下側のフレキシブルガイド72と上側のフレキシブルガイド73とが挿通されている。フレキシブルガイド72,73は平面視(図21)において直交しており、フレキシブルガイド72はフレキシブルレール67に平行である一方、フレキシブルガイド73はフレキシブルレール66に平行になっている。フレキシブルガイド72,73はプラスチックによって細長く形成されたフレキシブルなものである。超音波探触子74はフレキシブルガイド73とともにフレキシブルガイド72に案内されてフレキシブルガイド72の長手方向に移動することができ、且つ、フレキシブルガイド72とともにフレキシブルガイド73に案内されてフレキシブルガイド73の長手方向に移動することもできる。
【0084】
1対のベアリング付探触子取付治具70はフレキシブルガイド72の両端部にそれぞれ設けられており、他の1対のベアリング付探触子取付治具71はフレキシブルガイド73の両端部にそれぞれ設けられている。
【0085】
ベアリング付探触子取付治具70は、ネジなどの固定手段によってフレキシブルガイド72の端部に固定された取付治具本体70aと、この取付治具本体70aの下端に取り付けられたボールベアリング70bとを有して成るものである。ボールベアリング70bは軸部70b−1の先端に設けられており、この軸部70b−1を取付治具本体70aにねじ込むことによって取付治具本体70aに取り付けられている。そして、これら1対のボールベアリング70bが、1対のフレキシブルレール66のそれぞれに形成されている2列の突起66bの間にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルレール66の長手方向に移動可能になっている。
【0086】
従って、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子74を移動させるとき、超音波探触子74は、1対のベアリング付探触子取付治具70に取り付けられているボールベアリング70bが1対のフレキシブルレール66の突起66bの間に嵌め込まれた状態でフレキシブルレール66の長手方向に移動することにより、矢印Xのようにフレキシブルレール66に沿ってフレキシブルレール66の長手方向に移動することができる。
【0087】
同様に、ベアリング付探触子取付治具71は、ネジなどの固定手段によってフレキシブルガイド73の端部に固定された取付治具本体71aと、この取付治具本体71aの下端に取り付けられたボールベアリング71bとを有して成るものである。ボールベアリング71bは軸部71b−1の先端に設けられており、この軸部71b−1を取付治具本体71aにねじ込むことによって取付治具本体71aに取り付けられている。そして、これら1対のボールベアリング71bが、1対のフレキシブルレール67のそれぞれに形成されている2列の突起67bの間にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルレール67の長手方向に移動可能になっている。
【0088】
従って、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子74を移動させるとき、超音波探触子74は、1対のベアリング付探触子取付治具71に取り付けられているボールベアリング71bが1対のフレキシブルレール67の突起67bの間に嵌め込まれた状態でフレキシブルレール67の長手方向に移動することにより、矢印Yのようにフレキシブルレール67に沿ってフレキシブルレール67の長手方向に移動することができる。
【0089】
図25及び図26には、かかる構成のフレキシブル超音波探傷ツール61を、火力プラントなどの配管(高クロム鋼などの磁性材で形成されている配管)のエルボ部75における背側に取り付けた例を示す。
【0090】
図25及び図26では、配管のエルボ部75における背側面(曲面)75aに倣って、フレキシブル超音波探傷ツール61のフレキシブルな構成部材であるフレキシブルゲル62、フレキシブルプレート63,64、フレキシブルレール66,67及びフレキシブルガイド72,73が円弧状に撓み、この状態でフレキシブルゲル62、フレキシブルプレート63,64、フレキシブルレール66,67、フレキシブルガイド72,73などが(即ちフレキシブル超音波探傷ツール61全体が)、磁石片65の磁力によってエルボ部75の背側面75aに吸着される。また、図示は省略するが、フレキシブルゲル62は全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、例えばエルボ部75における長手溶接部の余盛形状などにも容易に倣うことができる。
【0091】
以上のように、本実施の形態例4のフレキシブル超音波探傷ツール61によれば、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲル62と、フレキシブルゲル62の上面62aの一方の幅方向両側に平行に配設された1対のフレキシブルプレート63と、フレキシブルゲル62の上面62aの他方の幅方向両側に平行に配設された他の1対のフレキシブルプレート64と、1対のフレキシブルプレート63に埋め込まれ、1対のフレキシブルプレート63の長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片65と、他の1対のフレキシブルプレート64に埋め込まれ、他の1対のフレキシブルプレート64の長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片65と、1対のフレキシブルプレート63の上面63bに配置されて1対のフレキシブルプレート63の長手方向に延びており、帯状のレール本体部66aと、レール本体部66aの上面66a−1の幅方向両側に突設されレール本体部66aの長手方向に延びて平行になっている2列の突起66bとを有して成る1対のフレキシブルレール66と、他の1対のフレキシブルプレート64の上面64aに配置されて他の1対のフレキシブルプレート64の長手方向に延びており、帯状のレール本体部67aと、レール本体部67aの上面67a−1の幅方向両側に突設されレール本体部67aの長手方向に延びて平行になっている2列の突起67bとを有して成る他の1対のフレキシブルレール67と、超音波探触子74に挿通され、他の1対のフレキシブルプレート64に平行なフレキシブルガイド72と、超音波探触子74に挿通され、1対のフレキシブルプレート63に平行なフレキシブルガイド73と、フレキシブルガイド72の両端部に設けられ、1対のフレキシブルレール66の2列の突起66bの間に嵌め込まれて1対のフレキシブルレール66の長手方向に移動可能なボールベアリング70bが、下端に取り付けられている1対のベアリング付探触子取付治具70と、フレキシブルガイド73の両端部に設けられ、他の1対のフレキシブルレール67の2列の突起67bの間に嵌め込まれて他の1対のフレキシブルレール67の長手方向に移動可能なボールベアリング71bが、下端に取り付けられている他の1対のベアリング付探触子取付治具71とを有することを特徴としているため、即ち、フレキシブルゲル62、フレキシブルプレート63,64、フレキシブルレール66,67及びフレキシブルガイド72,73はフレキシブルなものであり、更に、フレキシブルゲル62は全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、フレキシブルプレート63,64に埋め込まれた複数の磁石片65の磁力によって、フレキシブルゲル62、フレキシブルプレート63,64、フレキシブルレール66,67及びフレキシブルガイド72,73など(即ちフレキシブル超音波探傷ツール61全体)を配管などの被探傷物の表面に吸着させるだけで容易に被探傷物の表面形状に倣うことができる。
【0092】
また、本フレキシブル超音波探傷ツール61は、フレキシブルゲル62などを被探傷物の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよいため、製作も容易である。例えば、配管溶接部の探傷に用いる場合でも、本フレキシブル超音波探傷ツール61は、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がなく、フレキシブルゲル62などを配管の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよい。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、従来の超音波探傷ツールでは腹側用、背側用及び脇腹用の3種類が必要であったが、本フレキシブル超音波探傷ツール61ではフレキシブルゲル62などをエルボ部の各部の長さに応じた寸法に変更するだけでよい。
【0093】
しかも、本フレキシブル超音波探傷ツール61は、2対のフレキシブルレール66,67などを有する2軸構成のものであるため、広範囲の超音波探傷が可能になる。
【0094】
また、本実施の形態例4のフレキシブル超音波探傷ツール61によれば、フレキシブルゲル62の上面62aの両端部に設けた1対の磁石片68と、1対の磁石片68に磁力で吸着される1対の取っ手69とを有することを特徴としているため、作業者が取っ手69を掴んでフレキシブル超音波探傷ツール61を、配管などの被探傷物に対して容易に着脱することができる。
【0095】
また、上記実施の形態例1〜4では複数の磁石片4,24,45,65をフレキシブルプレート3,43,44やフレキシブルプレート23,63,64に埋め込んでいるが、必ずしもこれに限定するものではなく、図示は省略するが、複数の磁石片4,24,45,65をフレキシブルゲル2,22,42,62に埋め込んでもよい。この場合、フレキシブルゲル2,22,42,62に埋め込む複数の磁石片4,24,45,65は、平面視において(図3,図10,図15,図21を参照)、フレキシブルプレート3,43,44やフレキシブルプレート23,63,64に複数の磁石片4,24,45,65を埋め込む場合の複数の磁石片4,24,45,65の配置と同様の配置とすればよい。即ち、フレキシブルゲル2,22,42,62に埋め込む複数の磁石片4,24,45,65は、1対のフレキシブルレール3,,43,44や一対のフレキシブルプレート23,63,64の長手方向に沿って少なくとも1列に配列し、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置する。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明はフレキシブル超音波探傷ツールに関するものであり、超音波探触子によって火力プラントの配管溶接部などを超音波探傷する際に用いられる超音波探傷ツールに適用して有用なものである。
【符号の説明】
【0097】
1 フレキシブル超音波探傷ツール
2 フレキシブルゲル
2a 上面
3 フレキシブルレール
3a 下面
3a−1 穴
3b 上面
3b−1 穴
3b−2 幅方向の内側部分
3b−3 幅方向の外側部分
4,5 磁石片
6 取っ手
7 磁石付探触子取付治具
7a 取付治具本体
7b 磁石片
7b−1 軸部
8 超音波探触子
8a,8b 側面
9 ナット
10 配管のエルボ部
10a 背側面
10b 腹側面
21 フレキシブル超音波探傷ツール
22 フレキシブルゲル
22a 上面
23 フレキシブルプレート
23a 下面
23a−1 穴
23b 上面
23b−1 穴
23b−2 幅方向の内側部分
23b−3 幅方向の外側部分
24 磁石片
25 フレキシブルレール
25a レール本体部
25a−1 上面
25b 突起
26 磁石片
27 取っ手
28 ベアリング付探触子取付治具
28a 取付治具本体
28b ボールベアリング
28b−1 軸部
29 超音波探触子
29a,29b 側面
30 配管のエルボ部
30a 背側面
30b 腹側面
41 フレキシブル超音波探傷ツール
42 フレキシブルゲル
42a 上面
43 フレキシブルレール
43a 下面
43a−1 穴
43b 上面
43b−1 穴
43b−2 幅方向の内側部分
43b−3 幅方向の外側部分
44 フレキシブルレール
44a 下面
44a−1 穴
44b 上面
44b−1 穴
44b−2 幅方向の内側部分
44b−3 幅方向の外側部分
45,46 磁石片
47 取っ手
48 磁石付探触子取付治具
48a 取付治具本体
48b 磁石片
48b−1 軸部
49 磁石付探触子取付治具
49a 取付治具本体
49b 磁石片
49b−1 軸部
50,51 フレキシブルガイド
52 超音波探触子
53,54 ナット
55 配管のエルボ部
55a 背側面
61 フレキシブル超音波探傷ツール
62 フレキシブルゲル
62a 上面
63 フレキシブルプレート
63a 下面
63a−1 穴
63b 上面
63b−1 穴
63b−2 幅方向の内側部分
63b−3 幅方向の外側部分
64 フレキシブルプレート
64a 下面
64a−1 穴
64b 上面
64b−1 穴
64b−2 幅方向の内側部分
64b−3 幅方向の外側部分
65 磁石片
66 フレキシブルレール
66a レール本体部
66a−1 上面
66b 突起
67 フレキシブルレール
67a レール本体部
67a−1 上面
67b 突起
68 磁石片
69 取っ手
70 ベアリング付探触子取付治具
70a 取付治具本体
70b ボールベアリング
70b−1 軸部
71 ベアリング付探触子取付治具
71a 取付治具本体
71b ボールベアリング
71b−1 軸部
72,73 フレキシブルガイド
74 超音波探触子
75 配管のエルボ部
75a 背側面
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波探触子によって配管溶接部などの被探傷物の超音波探傷検査を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
火力プラントなどにおいて実施される配管溶接部の検査においては、一般に超音波探傷法が用いられている。
【0003】
超音波探傷法によって配管溶接部の超音波探傷検査を行う場合には、前記配管溶接部の表面に沿って超音波探触子を移動させながら、前記超音波探触子から超音波を出射する。そして、この超音波探触子から出射した超音波を、前記配管溶接部の表面から前記配管溶接部内へ入射し、この入射波の反射エコーの有無を前記超音波探触子によって検知することにより、前記配管溶接部の健全性(傷の有無)を確認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−201360号公報
【特許文献2】特表平11−504230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配管溶接部の超音波探傷作業においては、作業者が超音波探触子を単に手に持って移動させるだけでなく、配管に取り付けた超音波探傷ツール(治具)を用いて超音波探触子を移動させることがある。前記超音波探傷ツールは超音波探触子の移動を案内するためのものであり、超音波探触子の移動を安定させるためには前記超音波探傷ツールを用いることが望ましい。
【0006】
しかし、従来の超音波探傷ツールは、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がある。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、エルボ部の腹側用、背側用及び脇腹用の3種類の超音波探傷ツールが必要であり、しかも、エルボ部の配管径に応じて前記3種類の超音波探傷ツールが必要である。このため、超音波探傷ツールの製作に手間がかかり、製作コストもかかる。
【0007】
また、現地において超音波探傷ツールを配管に取り付ける際、当該配管における溶接部の余盛形状や、溶接施工時のひずみによる変形などに応じて、超音波探傷ツールの取り付け位置を調整する必要がある。このため、超音波探傷検査を実施するのに非常に時間がかかることがある。更に、余盛形状が想定外であった場合(例えば溶接部の余盛が想定よりも大きい場合など)には、超音波探傷ツールを用いることができないこともあった。
【0008】
従って本発明は上記の事情に鑑み、配管形状や配管溶接部の余盛形状などのような被探傷物の表面形状に容易に対応することができて、容易に探傷作業を行うことができ、且つ、製作も容易な超音波探傷ツールを提供することを課題とする。
なお、上記の特許文献1の超音波探傷ツール(超音波探傷装置)はフレキシブルなガイド部材を用いたものあるが、ゲルなどを用いたものではなく、本発明の超音波探傷ツールとは構成の異なるものである。また、上記の特許文献2にはゲルを塗布することや、液体音響接触媒質が多孔性膜を通過して供給されることなどが記載されているが、本発明の超音波探傷ツールに相当する構成については記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する第1発明のフレキシブル超音波探傷ツールは、超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、
矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、
前記フレキシブルゲルの上面の幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレールと、
前記1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記超音波探触子の両側面に取り付けられ、前記1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具と、
を有することを特徴とする。
【0010】
また、第2発明のフレキシブル超音波探傷ツールは、超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、
矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、
前記フレキシブルゲルの上面の幅方向両側に平行に配設された1対のフレキシブルプレートと、
前記1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る1対のフレキシブルレールと、
前記超音波探触子の両側面に取り付けられ、前記1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている1対のベアリング付探触子取付治具と、
を有することを特徴とする。
【0011】
また、第3発明のフレキシブル超音波探傷ツールは、超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、
矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、
前記フレキシブルゲルの上面の一方の幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレールと、
前記フレキシブルゲルの上面の他方の幅方向両側に平行に配設された磁石である他の1対のフレキシブルレールと、
前記1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記他の1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記他の1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記超音波探触子に挿通され、前記他の1対のフレキシブルレールに平行な第1のフレキシブルガイドと、
前記超音波探触子に挿通され、前記1対のフレキシブルレールに平行な第2のフレキシブルガイドと、
前記第1のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具と、
前記第2のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記他の1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている他の1対の磁石付探触子取付治具と、
を有することを特徴とする。
【0012】
また、第4発明のフレキシブル超音波探傷ツールは、超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、
矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、
前記フレキシブルゲルの上面の一方の幅方向両側に平行に配設された1対のフレキシブルプレートと、
前記フレキシブルゲルの上面の他方の幅方向両側に平行に配設された他の1対のフレキシブルプレートと、
前記1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記他の1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記他の1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る1対のフレキシブルレールと、
前記他の1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記他の1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る他の1対のフレキシブルレールと、
前記超音波探触子に挿通され、前記他の1対のフレキシブルプレートに平行な第1のフレキシブルガイドと、
前記超音波探触子に挿通され、前記1対のフレキシブルプレートに平行な第2のフレキシブルガイドと、
前記第1のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている1対のベアリング付探触子取付治具と、
前記第2のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記他の1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記他の1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている他の1対のベアリング付探触子取付治具と、
を有することを特徴とする。
【0013】
また、第5発明のフレキシブル超音波探傷ツールは、第1〜第4発明の何れか1つのフレキシブル超音波探傷ツールにおいて、
前記フレキシブルゲルの上面の両端部に設けた1対の磁石片と、
前記1対の磁石片に磁力で吸着される1対の取っ手と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1発明のフレキシブル超音波探傷ツールによれば、超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、前記フレキシブルゲルの上面の幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレールと、前記1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、前記超音波探触子の両側面に取り付けられ、前記1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具とを有することを特徴としているため、即ち、フレキシブルゲル及びフレキシブルレールはフレキシブルなものであり、更に、フレキシブルゲルは全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、フレキシブルレールに埋め込まれた複数の磁石片の磁力によって、フレキシブルゲルやフレキシブルレールなど(即ちフレキシブル超音波探傷ツール全体)を被探傷物の表面に吸着させるだけで容易に被探傷物の表面形状に倣うことができる。
しかも、本フレキシブル超音波探傷ツールは、フレキシブルゲルなどを被探傷物の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよいため、製作も容易である。例えば、配管溶接部の探傷に用いる場合でも、本フレキシブル超音波探傷ツールは、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がなく、フレキシブルゲルなどを配管の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよい。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、従来の超音波探傷ツールでは腹側用、背側用及び脇腹用の3種類が必要であったが、本フレキシブル超音波探傷ツールではフレキシブルゲルなどをエルボ部の各部の長さに応じた寸法に変更するだけでよい。
【0015】
第2発明のフレキシブル超音波探傷ツールによれば、超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、前記フレキシブルゲルの上面の幅方向両側に平行に配設された1対のフレキシブルプレートと、前記1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、前記1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る1対のフレキシブルレールと、前記超音波探触子の両側面に取り付けられ、前記1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている1対のベアリング付探触子取付治具とを有することを特徴としているため、即ち、フレキシブルゲル、フレキシブルプレート及びフレキシブルレールはフレキシブルなものであり、更に、フレキシブルゲルは全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、フレキシブルプレートに埋め込まれた複数の磁石片の磁力によって、フレキシブルゲル、フレキシブルプレート及びフレキシブルレールなど(即ちフレキシブル超音波探傷ツール全体)を被探傷物の表面に吸着させるだけで容易に被探傷物の表面形状に倣うことができる。
しかも、本フレキシブル超音波探傷ツールは、フレキシブルゲルなどを被探傷物の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよいため、製作も容易である。例えば、配管溶接部の探傷に用いる場合でも、本フレキシブル超音波探傷ツールは、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がなく、フレキシブルゲルなどを配管の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよい。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、従来の超音波探傷ツールでは腹側用、背側用及び脇腹用の3種類が必要であったが、本フレキシブル超音波探傷ツールではフレキシブルゲルなどをエルボ部の各部の長さに応じた寸法に変更するだけでよい。
【0016】
第3発明のフレキシブル超音波探傷ツールによれば、超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、前記フレキシブルゲルの上面の一方の幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレールと、前記フレキシブルゲルの上面の他方の幅方向両側に平行に配設された磁石である他の1対のフレキシブルレールと、前記1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、前記他の1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記他の1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、前記超音波探触子に挿通され、前記他の1対のフレキシブルレールに平行な第1のフレキシブルガイドと、前記超音波探触子に挿通され、前記1対のフレキシブルレールに平行な第2のフレキシブルガイドと、前記第1のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具と、前記第2のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記他の1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている他の1対の磁石付探触子取付治具とを有することを特徴としているため、即ち、フレキシブルゲル、フレキシブルレール及びフレキシブルガイドはフレキシブルなものであり、更に、フレキシブルゲルは全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、フレキシブルレールに埋め込まれた複数の磁石片の磁力によって、フレキシブルゲル、フレキシブルレール及びフレキシブルガイドなど(即ちフレキシブル超音波探傷ツール全体)を被探傷物の表面に吸着させるだけで容易に被探傷物の表面形状に倣うことができる。
また、本フレキシブル超音波探傷ツールは、フレキシブルゲルなどを被探傷物の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよいため、製作も容易である。例えば、配管溶接部の探傷に用いる場合でも、本フレキシブル超音波探傷ツールは、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がなく、フレキシブルゲルなどを配管の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよい。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、従来の超音波探傷ツールでは腹側用、背側用及び脇腹用の3種類が必要であったが、本フレキシブル超音波探傷ツールではフレキシブルゲルなどをエルボ部の各部の長さに応じた寸法に変更するだけでよい。
しかも、本フレキシブル超音波探傷ツールは、2対のフレキシブルレールなどを有する2軸構成のものであるため、広範囲の超音波探傷が可能になる。
【0017】
第4発明のフレキシブル超音波探傷ツールによれば、超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、前記フレキシブルゲルの上面の一方の幅方向両側に平行に配設された1対のフレキシブルプレートと、前記フレキシブルゲルの上面の他方の幅方向両側に平行に配設された他の1対のフレキシブルプレートと、前記1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、前記他の1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記他の1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、前記1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る1対のフレキシブルレールと、前記他の1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記他の1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る他の1対のフレキシブルレールと、前記超音波探触子に挿通され、前記他の1対のフレキシブルプレートに平行な第1のフレキシブルガイドと、前記超音波探触子に挿通され、前記1対のフレキシブルプレートに平行な第2のフレキシブルガイドと、前記第1のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている1対のベアリング付探触子取付治具と、前記第2のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記他の1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記他の1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている他の1対のベアリング付探触子取付治具とを有することを特徴としているため、即ち、フレキシブルゲル、フレキシブルプレート、フレキシブルレール及びフレキシブルガイドはフレキシブルなものであり、更に、フレキシブルゲルは全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、フレキシブルプレートに埋め込まれた複数の磁石片の磁力によって、フレキシブルゲル、フレキシブルプレート、フレキシブルレール及びフレキシブルガイドなど(即ちフレキシブル超音波探傷ツール全体)を被探傷物の表面に吸着させるだけで容易に被探傷物の表面形状に倣うことができる。
また、本フレキシブル超音波探傷ツールは、フレキシブルゲルなどを被探傷物の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよいため、製作も容易である。例えば、配管溶接部の探傷に用いる場合でも、本フレキシブル超音波探傷ツールは、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がなく、フレキシブルゲルなどを配管の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよい。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、従来の超音波探傷ツールでは腹側用、背側用及び脇腹用の3種類が必要であったが、本フレキシブル超音波探傷ツールではフレキシブルゲルなどをエルボ部の各部の長さに応じた寸法に変更するだけでよい。
しかも、本フレキシブル超音波探傷ツールは、2対のフレキシブルレールなどを有する2軸構成のものであるため、広範囲の超音波探傷が可能になる。
【0018】
第5発明のフレキシブル超音波探傷ツールによれば、第1〜第4発明の何れか1つのフレキシブル超音波探傷ツールにおいて、前記フレキシブルゲルの上面の両端部に設けた1対の磁石片と、前記1対の磁石片に磁力で吸着される1対の取っ手とを有することを特徴としているため、作業者が取っ手を掴んでフレキシブル超音波探傷ツールを、配管などの被探傷物に対して容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態例1に係るフレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す側面図(図3のA方向矢視図)である。
【図2】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す縦断面図(図3のB−B線矢視断面図)である。
【図3】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す平面図(図1のC方向矢視図)である。
【図4】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す正面図(図3のD方向矢視図)である。
【図5】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す横断面図(図3のE−E線矢視断面図)である。
【図6】前記フレキシブル超音波探傷ツールの取り付け状態を示す図である。
【図7】前記フレキシブル超音波探傷ツールの取り付け状態を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態例2に係るフレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す側面図(図10のF方向矢視図)である。
【図9】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す縦断面図(図10のG−G線矢視断面図)である。
【図10】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す平面図(図1のH方向矢視図)である。
【図11】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す正面図(図10のI方向矢視図)である。
【図12】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す横断面図(図10のJ−J線矢視断面図)である。
【図13】前記フレキシブル超音波探傷ツールの取り付け状態を示す図である。
【図14】前記フレキシブル超音波探傷ツールの取り付け状態を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態例3に係るフレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す平面図(図16のK方向矢視図)である。
【図16】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を一部破断して示す側面図(図15のL方向矢視図)である。
【図17】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を一部破断して示す正面図(図15のM方向矢視図)である。
【図18】前記フレキシブル超音波探傷ツールにおける超音波探触子部分の構成を示す斜視図である。
【図19】前記フレキシブル超音波探傷ツールの取り付け状態を示す図である。
【図20】前記フレキシブル超音波探傷ツールの取り付け状態を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態例4に係るフレキシブル超音波探傷ツールの構成を示す平面図(図22のN方向矢視図)である。
【図22】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を一部破断して示す側面図(図21のO方向矢視図)である。
【図23】前記フレキシブル超音波探傷ツールの構成を一部破断して示す正面図(図21のP方向矢視図)である。
【図24】前記フレキシブル超音波探傷ツールにおける超音波探触子部分の構成を示す斜視図である。
【図25】前記フレキシブル超音波探傷ツールの取り付け状態を示す図である。
【図26】前記フレキシブル超音波探傷ツールの取り付け状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
<実施の形態例1>
図1〜図7に基づき、本発明の実施の形態例1に係るフレキシブル超音波探傷ツール1について説明する。
【0022】
図1〜図5に示すように、本実施の形態例1のフレキシブル超音波探傷ツール1は、フレキシブルゲル2と、1対のフレキシブルレール3と、複数の磁石片4と、1対の磁石片5と、1対の取っ手6と、1対の磁石付探触子取付治具7とを有して成るものである。
【0023】
フレキシブルゲル2は、ゲルを矩形(ここでは図3に示すように長方形)の板状に成形したものである。フレキシブルゲル2は配管(被探傷物)の表面に倣って変形するフレキシブルなものであり、且つ、超音波探触子8から出射された超音波を配管内に入射させるための接触媒質としても機能する。また、フレキシブルゲル2は、配管形状(異形、直管、エルボ等)、溶接方向((配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)、及び、探傷範囲に応じた寸法に形成されている。なお、このようなフレキシブルゲル2としては、例えばタキロン株式会社のゲル製品(商品名:ソナゲル)などを用いることができる。
【0024】
1対のフレキシブルレール3は、フレキシブルゲル2の上面2aの幅方向両側に平行に配置され、フレキシブルゲル2の上面2aに接着剤で接着して固定されている。フレキシブルレール3はゴム製(即ちフレキシブル)で両面磁石型のものであり、短冊状(細長い長方形状)に形成されている。なお、このような両面磁石型のフレキシブルレール3としては、一般的なゴム製の磁石(両面磁石型のもの)を用いることができる。
【0025】
そして1対のフレキシブルレール3にはそれぞれ、複数個(図示例では4個)の磁石片4が埋め込まれている。各フレキシブルレール3における磁石片4は、フレキシブルレール3の幅方向の外側部分3b−3において、フレキシブルレール3の長手方向に沿って1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態(図示例では等間隔)で配置されている。詳述すると、フレキシブルレール3の下面(フレキシブルゲル2側の面)3aには大径の穴3a−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成される一方、フレキシブルレール3の上面3bには小径の穴3b−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成されており、各大径の穴3a−1と各小径の穴3b−1はそれぞれ連通している。磁石片4は大径の穴3a−1にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルレール3に接着剤で接着して固定されている。なお、各フレキシブルレール3に埋め込む磁石片4は、必ずしも1列に限定するものではなく、例えば図示例のものよりも小さなものを、複数列に配列してもよい。
【0026】
磁石片4はフレキシブルレール3に比べて強い磁性を有する磁石(ネオジウムなど)であり、フレキシブルゲル2やフレキシブルレール3など(即ちフレキシブル超音波探傷ツール1全体)を配管に吸着させること(図6,図7参照)が可能な強さの磁力を有している。なお、磁石片4の具体的な大きさ、個数、間隔、磁力については、フレキシブル超音波探傷ツール1を配管のエルボ部などに取り付ける際にフレキシブフレキシブルレール3などが撓む(図6,図7参照)のを磁石片4が妨げないようにすることや、フレキシブル超音波探傷ツール1全体を配管へ吸着させるのに必要な吸着力(磁力)が得られるようにすること考慮して、適宜、設定すればよい。
【0027】
1対の磁石片5は強磁性を有する磁石(ネオジウムなど)であり、フレキシブルゲル2の上面2aの両端部(フレキシブルレール3の長手方向両側の端部)にそれぞれ、接着剤で接着して固定されている。1対の取っ手6は鉄などの磁性材によってコ字状に形成された手幅程度の大きさのものであり、各磁石片5にそれぞれ磁力で吸着されている。
【0028】
一方、超音波探触子8の両側面8a,8bには、1対の磁石付探触子取付治具7がそれぞれ取り付けられている。磁石付探触子取付治具7は、ネジなどの固定手段によって超音波探触子8の両側面8a,8bにそれぞれ固定された取付治具本体7aと、この取付治具本体7aの下端に取り付けられた磁石片7bとを有して成るものである。磁石片7bは軸部7b−1の先端に設けられており、この軸部7b−1を取付治具本体7aに挿通し、且つ、軸部7b−1の端部にナット9を螺合することによって取付治具本体7aに取り付けられている。そして、これら1対の磁石片7bが、1対のフレキシブルレール3の幅方向内側部分3b−2の上面3bにそれぞれ位置し、これらの上面3bにそれぞれ磁力で吸着されるようになっている。磁石片4は前述のとおりフレキシブルレール3の幅方向の外側部分3b−3に埋め込まれており、磁石片7bが位置する(吸着される)幅方向の内側部分3b−2は磁石片4が埋め込まれていない部分である。これは磁石片7bが、磁石片4によって強く吸着されてしまうのを防ぐためである。一方、フレキシブルレール3は比較的、磁力が弱いため、1対の磁石付探触子取付治具7の磁石片7bがフレキシブルレール3に吸着された状態でも、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子8を移動させることができる。
【0029】
従って、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子8を移動させるとき、超音波探触子8は、1対の磁石付探触子取付治具7の磁石片7bがフレキシブルレール3に吸着されることにより、矢印Xのようにフレキシブルレール3に沿ってフレキシブルレール3の長手方向に移動することができる。
【0030】
図6と図7には、かかる構成のフレキシブル超音波探傷ツール1を、火力プラントなどの配管(高クロム鋼などの磁性材で形成されている配管)のエルボ部10における背側に取り付けた例と、腹側に取り付けた例とを示す。
【0031】
図6では、配管のエルボ部10における背側面(曲面)10aに倣って、フレキシブル超音波探傷ツール1のフレキシブルな構成部材であるフレキシブルゲル2やフレキシブルレール3が円弧状に撓み、この状態でフレキシブルゲル2やフレキシブルレール3などが(即ちフレキシブル超音波探傷ツール1全体が)、磁石片4の磁力によってエルボ部10の背側面10aに吸着される。図7では、配管のエルボ部10における腹側面(曲面)10bに倣って、フレキシブル超音波探傷ツール1のフレキシブルな構成部材であるフレキシブルゲル2やフレキシブルレール3が円弧状に撓み、この状態でフレキシブルレール2やフレキシブルレール3などのフレキシブル超音波探傷ツール1全体が、磁石片4の磁力によってエルボ部10の腹側面(曲面)10bに吸着される。また、図示は省略するが、フレキシブルゲル2は全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、例えばエルボ部10における長手溶接部の余盛形状などにも容易に倣うことができる。
【0032】
以上のように、本実施の形態例1のフレキシブル超音波探傷ツール1によれば、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲル2と、フレキシブルゲル2の上面2aの幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレール3と、1対のフレキシブルレール3の幅方向の外側部分3b−3に埋め込まれ、1対のフレキシブルレール3の長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片4と、超音波探触子8の両側面8a,8bに取り付けられ、1対のフレキシブルレール3の幅方向の内側部分3b−2の上面3bに吸着される磁石片7bが、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具7とを有することを特徴としているため、即ち、フレキシブルゲル2及びフレキシブルレール3はフレキシブルなものであり、更に、フレキシブルゲル2は全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、フレキシブルレール3に埋め込まれた複数の磁石片4の磁力によって、フレキシブルゲル2やフレキシブルレール3など(即ちフレキシブル超音波探傷ツール1全体)を配管などの被探傷物の表面に吸着させるだけで容易に被探傷物の表面形状に倣うことができる。
【0033】
しかも、本実施の形態例1のフレキシブル超音波探傷ツール1は、フレキシブルゲル2などを被探傷物の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよいため、製作も容易である。例えば、配管溶接部の探傷に用いる場合でも、本フレキシブル超音波探傷ツール1は、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がなく、フレキシブルゲル2などを配管の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよい。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、従来の超音波探傷ツールでは腹側用、背側用及び脇腹用の3種類が必要であったが、本フレキシブル超音波探傷ツール1ではフレキシブルゲルなどをエルボ部の各部の長さに応じた寸法に変更するだけでよい。
【0034】
また、本実施の形態例1のフレキシブル超音波探傷ツール1によれば、フレキシブルゲル2の上面2aの両端部に設けた1対の磁石片5と、1対の磁石片5に磁力で吸着される1対の取っ手6とを有することを特徴としているため、作業者が取っ手6を掴んでフレキシブル超音波探傷ツール1を、配管などの被探傷物に対して容易に着脱することができる。
【0035】
<実施の形態例2>
図8〜図14に基づき、本発明の実施の形態例2に係るフレキシブル超音波探傷ツール21について説明する。
【0036】
図8〜図12に示すように、本実施の形態例2のフレキシブル超音波探傷ツール21は、フレキシブルゲル22と、1対のフレキシブルプレート23と、複数の磁石片24と、1対のフレキシブルレール25と、1対の磁石片26と、1対の取っ手27と、1対のベアリング付探触子取付治具28とを有して成るものである。
【0037】
フレキシブルゲル22は、ゲルを矩形(ここでは図10に示すように長方形)の板状に成形したものである。フレキシブルゲル22は配管(被探傷物)の表面に倣って変形するフレキシブルなものであり、且つ、超音波探触子29から出射された超音波を配管内に入射させるための接触媒質としても機能する。また、フレキシブルゲル22は、配管形状(異形、直管、エルボ等)、溶接方向((配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)、及び、探傷範囲に応じた寸法に形成されている。なお、このようなフレキシブルゲル22としては、例えばタキロン株式会社のゲル製品(商品名:ソナゲル)などを用いることができる。
【0038】
1対のフレキシブルプレート23は、フレキシブルゲル22の上面22aの幅方向両側に平行に配置され、フレキシブルゲル22の上面22aに接着剤で接着して固定されている。フレキシブルプレート23はゴム製の(即ちフレキシブルな)ものであり、短冊状(細長い長方形状)に形成されている。
【0039】
そして1対のフレキシブルプレート23にはそれぞれ、複数個(図示例では4個)の磁石片24が埋め込まれている。各フレキシブルプレート23における磁石片24は、フレキシブルプレート23の幅方向の外側部分23b−3において、フレキシブルプレート23の長手方向に沿って1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態(図示例では等間隔)で配置されている。詳述すると、フレキシブルプレート23の下面(フレキシブルゲル22側の面)23aには大径の穴23a−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成される一方、フレキシブルプレート23の上面23bには小径の穴23b−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成されており、各大径の穴23a−1と各小径の穴23b−1はそれぞれ連通している。そして、磁石片24は大径の穴23a−1にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルプレート23に接着剤で接着して固定されている。なお、各フレキシブルプレート23に埋め込む磁石片24は、必ずしも1列に限定するものではなく、例えば図示例のものよりも小さなものを、複数列に配列してもよい。
【0040】
磁石片24は強い磁性を有する磁石(ネオジウムなど)であり、フレキシブルゲル22やフレキシブルプレート23など(即ちフレキシブル超音波探傷ツール21全体)を配管に吸着させること(図13,図14参照)が可能な強さの磁力を有している。なお、磁石片24の具体的な大きさ、個数、間隔、磁力については、フレキシブル超音波探傷ツール21を配管のエルボ部などに取り付ける際にフレキシブルプレート23などが撓む(図13,図14参照)のを磁石片24が妨げないようにすることや、フレキシブル超音波探傷ツール1全体を配管へ吸着させるのに必要な吸着力(磁力)が得られるようにすること考慮して、適宜、設定すればよい。
【0041】
1対のフレキシブルレール25は、1対のフレキシブルプレート23の上面23bにおける幅方向の内側部分23b−2にそれぞれ配置されてフレキシブルプレート23の長手方向に延びており、1対のフレキシブルプレート23にそれぞれ接着剤で接着して固定されている。磁石片24は前述のとおりフレキシブルプレート23の幅方向の外側部分23b−3に埋め込まれており、フレキシブルレール25が位置する幅方向の内側部分23b−2は磁石片24が埋め込まれていない部分である。なお、これに限定するものではなく、フレキシブルレール25を、磁石片24が埋め込まれている部分の上面に配置する構成であってもよい。
【0042】
フレキシブルレール25はプラスチックによって細長く形成されたフレキシブルなものであり、細長い帯状のレール本体部25aと、このレール本体部25aの上面25a−1の幅方向両側に突設された2列の突起25bとを有して成るものである。2列の突起25bはレール本体部25aの長手方向に延びて平行になっており、且つ、各列の突起25bは前記長手方向の間隔が一定になっている。
【0043】
1対の磁石片26は強磁性を有する磁石(ネオジウムなど)であり、フレキシブルゲル22の上面22aの両端部(フレキシブルレール25の長手方向両側の端部)にそれぞれ、接着剤で接着して固定されている。1対の取っ手27は鉄などの磁性材によってコ字状に形成された手幅程度の大きさのものであり、各磁石片26にそれぞれ磁力で吸着されている。
【0044】
一方、超音波探触子29の両側面29a,29bには、1対のベアリング付探触子取付治具28がそれぞれ取り付けられている。ベアリング付探触子取付治具28は、ネジなどの固定手段によって超音波探触子29の両側面29a,29bにそれぞれ固定されている取付治具本体28aと、この取付治具本体28aの下端に取り付けられたボールベアリング28bとを有して成るものである。ボールベアリング28bは軸部28b−1の先端に設けられており、この軸部28b−1を取付治具本体28aにねじ込むことによって取付治具本体28aに取り付けられている。そして、これら1対のボールベアリング28bが、1対のフレキシブルレール25のそれぞれに形成されている2列の突起25bの間にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルレール25の長手方向に移動可能になっている。
【0045】
従って、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子29を移動させるとき、超音波探触子29は、1対のベアリング付探触子取付治具28に取り付けられているボールベアリング28bが1対のフレキシブルレール25の突起25bの間に嵌め込まれた状態でフレキシブルレール25の長手方向に移動することにより、矢印Xのようにフレキシブルレール25に沿ってフレキシブルレール25の長手方向に移動することができる。
【0046】
図13と図14には、かかる構成のフレキシブル超音波探傷ツール21を、火力プラントなどの配管(高クロム鋼などの磁性材で形成されている配管)のエルボ部30における背側に取り付けた例と、腹側に取り付けた例とを示す。
【0047】
図13では、配管のエルボ部30における背側面(曲面)30aに倣って、フレキシブル超音波探傷ツール21のフレキシブルな構成部材であるフレキシブルゲル22、フレキシブルプレート23及びフレキシブルレール25が円弧状に撓み、この状態でフレキシブルゲル22、フレキシブルプレート23、フレキシブルレール25などが(即ちフレキシブル超音波探傷ツール21全体が)、磁石片24の磁力によってエルボ部30の背側面30aに吸着される。図14では、配管のエルボ部30における腹側面(曲面)30bに倣って、フレキシブル超音波探傷ツール21のフレキシブルな構成部材であるフレキシブルゲル22、フレキシブルプレート23及びフレキシブルレール25が円弧状に撓み、この状態でフレキシブルゲル22、フレキシブルプレート23、フレキシブルレール25などが(即ちフレキシブル超音波探傷ツール21全体が)、磁石片24の磁力によってエルボ部30の腹側面30bに吸着される。また、図示は省略するが、フレキシブルゲル22は全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、例えばエルボ部30における長手溶接部の余盛形状などにも容易に倣うことができる。
【0048】
以上のように、本実施の形態例2のフレキシブル超音波探傷ツール21によれば、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲル22と、フレキシブルゲル22の上面22aの幅方向両側に平行に配設された1対のフレキシブルプレート23と、1対のフレキシブルプレート23に埋め込まれ、1対のフレキシブルプレート23の長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片24と、1対のフレキシブルプレート23の上面23bに配置されて1対のフレキシブルプレート23の長手方向に延びており、帯状のレール本体部25aと、レール本体部25aの上面25a−1の幅方向両側に突設されレール本体部25aの長手方向に延びて平行になっている2列の突起25bとを有して成る1対のフレキシブルレール25と、超音波探触子29の両側面29a,29bに取り付けられ、1対のフレキシブルレール25の2列の突起25bの間に嵌め込まれて1対のフレキシブルレール25の長手方向に移動可能なボールベアリング28bが、下端に取り付けられている1対のベアリング付探触子取付治具28とを有することを特徴としているため、即ち、フレキシブルゲル22、フレキシブルプレート23及びフレキシブルレール25はフレキシブルなものであり、更に、フレキシブルゲル22は全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、フレキシブルプレート23に埋め込まれた複数の磁石片24の磁力によって、フレキシブルゲル22、フレキシブルプレート23及びフレキシブルレール25など(即ちフレキシブル超音波探傷ツール21全体)を配管などの被探傷物の表面に吸着させるだけで容易に被探傷物の表面形状に倣うことができる。
【0049】
しかも、本実施の形態例2のフレキシブル超音波探傷ツール21は、フレキシブルゲル22などを被探傷物の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよいため、製作も容易である。例えば、配管溶接部の探傷に用いる場合でも、本フレキシブル超音波探傷ツール21は、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がなく、フレキシブルゲル22などを配管の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよい。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、従来の超音波探傷ツールでは腹側用、背側用及び脇腹用の3種類が必要であったが、本フレキシブル超音波探傷ツール21ではフレキシブルゲルなどをエルボ部の各部の長さに応じた寸法に変更するだけでよい。
【0050】
また、本実施の形態例2のフレキシブル超音波探傷ツール21によれば、フレキシブルゲル22の上面22aの両端部に設けた1対の磁石片26と、1対の磁石片26に磁力で吸着される1対の取っ手27とを有することを特徴としているため、作業者が取っ手27を掴んでフレキシブル超音波探傷ツール21を、配管などの被探傷物に対して容易に着脱することができる。
【0051】
<実施の形態例3>
図15〜図20に基づき、本発明の実施の形態例3に係るフレキシブル超音波探傷ツール41について説明する。本実施の形態例3のフレキシブル超音波探傷ツール41は、上記実施の形態例1における1軸のフレキシブル超音波探傷ツール1を2軸に変更したものであり、基本的な構成についてはフレキシブル超音波探傷ツール1と同様である。
【0052】
詳述すると、図15〜図18に示すように、本実施の形態例3のフレキシブル超音波探傷ツール41は、フレキシブルゲル42と、1対のフレキシブルレール43と、1対のフレキシブルレール44と、複数の磁石片45と、1対の磁石片46と、1対の取っ手47と、1対の磁石付探触子取付治具48と、1対の磁石付探触子取付治具49と、フレキシブルガイド50,51とを有して成るものである。
【0053】
フレキシブルゲル42は、ゲルを矩形(ここでは図15に示すように長方形)の板状に成形したものである。フレキシブルゲル42は配管(被探傷物)の表面に倣って変形するフレキシブルなものであり、且つ、超音波探触子52から出射された超音波を配管内に入射させるための接触媒質としても機能する。また、フレキシブルゲル42は、配管形状(異形、直管、エルボ等)、溶接方向((配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)、及び、探傷範囲に応じた寸法に形成されている。なお、このようなフレキシブルゲル42としては、例えばタキロン株式会社のゲル製品(商品名:ソナゲル)などを用いることができる。
【0054】
1対のフレキシブルレール43は、フレキシブルゲル42の上面42aにおける一方の幅方向(図15の上下方向)の両側に平行に配置され、フレキシブルゲル42の上面42aに接着剤で接着して固定されている。他の1対のフレキシブルレール44は、フレキシブルゲル42の上面42aにおける他方の幅方向(図15の左右方向)の両側に平行に配置され、フレキシブルゲル42の上面42aに接着剤で接着して固定されている。即ち、1対のフレキシブルレール43は前記他の幅方向に延び、他の1対のフレキシブルレール44は前記一方の幅方向に延びており、これら4つのフレキシブルレール43,44が矩形状を成すように配設されている。フレキシブルレール43,44はゴム製(即ちフレキシブルゲル)で両面磁石型のものであり、短冊状(細長い長方形状)に形成されている。なお、このような両面磁石型のフレキシブルレール43,44としては、一般的なゴム製の磁石(両面磁石型のもの)を用いることができる。
【0055】
そして1対のフレキシブルレール43にはそれぞれ、複数個(図示例では4個)の磁石片45が埋め込まれている。各フレキシブルレール43における磁石片45は、フレキシブルレール43の幅方向の外側部分43b−3において、フレキシブルレール43の長手方向に沿って1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態(図示例では等間隔)で配置されている。詳述すると、フレキシブルレール43の下面(フレキシブルゲル42側の面)43aには大径の穴43a−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成される一方、フレキシブルレール43の上面43bには小径の穴43b−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成されており、各大径の穴43a−1と各小径の穴43b−1はそれぞれ連通している。磁石片45は大径の穴43a−1にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルレール43に接着剤で接着して固定されている。なお、各フレキシブルレール43に埋め込む磁石片45は、必ずしも1列に限定するものではなく、例えば図示例のものよりも小さなものを、複数列に配列してもよい。
【0056】
同様に、他の1対のフレキシブルレール44にもそれぞれ、複数個(図示例では4個)の磁石片45が埋め込まれている。各フレキシブルレール44における磁石片45は、フレキシブルレール44の幅方向の外側部分44b−3において、フレキシブルレール44の長手方向に沿って1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態(図示例では等間隔)で配置されている。詳述すると、フレキシブルレール44の下面(フレキシブルゲル42側の面)44aには大径の穴44a−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成される一方、フレキシブルレール44の上面44bには小径の穴44b−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成されており、各大径の穴44a−1と各小径の穴44b−1はそれぞれ連通している。磁石片45は大径の穴44a−1にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルレール44に接着剤で接着して固定されている。なお、各フレキシブルレール44に埋め込む磁石片45は、必ずしも1列に限定するものではなく、例えば図示例のものよりも小さなものを、複数列に配列してもよい。
【0057】
磁石片45はフレキシブルレール43,44に比べて強い磁性を有する磁石(ネオジウムなど)であり、フレキシブルゲル42やフレキシブルレール43,44など(即ちフレキシブル超音波探傷ツール41全体)を配管に吸着させること(図19,図20参照)が可能な強さの磁力を有している。なお、磁石片45の具体的な大きさ、個数、間隔、磁力については、フレキシブル超音波探傷ツール41を配管のエルボ部などに取り付ける際にフレキシブルレール43,44などが撓む(図19,図20参照)のを磁石片45が妨げないようにすることや、フレキシブル超音波探傷ツール41全体を配管へ吸着させるのに必要な吸着力(磁力)が得られるようにすること考慮して、適宜、設定すればよい。
【0058】
1対の磁石片46は強磁性を有する磁石(ネオジウムなど)であり、フレキシブルゲル42の上面42aの両端部(フレキシブルレール43の長手方向両側の端部)にそれぞれ、接着剤で接着して固定されている。1対の取っ手47は鉄などの磁性材によってコ字状に形成された手幅程度の大きさのものであり、各磁石片46にそれぞれ磁力で吸着されている。
【0059】
一方、超音波探触子52には、下側のフレキシブルガイド50と上側のフレキシブルガイド51とが挿通されている。フレキシブルガイド50,51は平面視(図15)において直交しており、フレキシブルガイド50はフレキシブルレール44に平行である一方、フレキシブルガイド51はフレキシブルレール43に平行になっている。フレキシブルガイド50,51はプラスチックによって細長く形成されたフレキシブルなものである。超音波探触子52はフレキシブルガイド51とともにフレキシブルガイド50に案内されてフレキシブルガイド50の長手方向に移動することができ、且つ、フレキシブルガイド50とともにフレキシブルガイド51に案内されてフレキシブルガイド51の長手方向に移動することもできる。
【0060】
1対の磁石付探触子取付治具48はフレキシブルガイド50の両端部にそれぞれ設けられ、他の1対の磁石付探触子取付治具49はフレキシブルガイド51の両端部にそれぞれ設けられている。
【0061】
磁石付探触子取付治具48は、ネジなどの固定手段によってフレキシブルガイド50の端部に固定された取付治具本体48aと、この取付治具本体48aの下端に取り付けられた磁石片48bとを有して成るものである。磁石片48bは軸部48b−1の先端に設けられており、この軸部48b−1を取付治具本体48aに挿通し、且つ、軸部48b−1の端部にナット53を螺合することによって取付治具本体48aに取り付けられている。そして、これら1対の磁石片48bが、1対のフレキシブルレール43の幅方向の内側部分43b−2の上面43bにそれぞれ位置し、これらの上面43bにそれぞれ磁力で吸着されるようになっている。磁石片45は前述のとおりフレキシブルレール43の幅方向の外側部分43b−3に埋め込まれており、磁石片48bが位置する(吸着される)幅方向の内側部分43b−2は磁石片45が埋め込まれていない部分である。これは磁石片48bが、磁石片45によって強く吸着されてしまうのを防ぐためである。一方、フレキシブルレール43は比較的、磁力が弱いため、1対の磁石付探触子取付治具48の磁石片48bがフレキシブルレール43に吸着された状態でも、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子52を移動させることができる。
【0062】
従って、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子52を移動させるとき、超音波探触子52は、1対の磁石付探触子取付治具48の磁石片48bがフレキシブルレール43に吸着されることにより、矢印Xのようにフレキシブルレール43に沿ってフレキシブルレール43の長手方向に移動することができる。
【0063】
同様に、磁石付探触子取付治具49は、ネジなどの固定手段によってフレキシブルガイド51の端部に固定された取付治具本体49aと、この取付治具本体49aの下端に取り付けられた磁石片49bとを有して成るものである。磁石片49bは軸部49b−1の先端に設けられており、この軸部49b−1を取付治具本体49aに挿通し、且つ、軸部49b−1の端部にナット54を螺合することによって取付治具本体49aに取り付けられている。そして、これら1対の磁石片49bが、1対のフレキシブルレール44の幅方向の内側部分44b−2の上面44bにそれぞれ位置し、これらの上面44bにそれぞれ磁力で吸着されるようになっている。磁石片45は前述のとおりフレキシブルレール44の幅方向の外側部分44b−3に埋め込まれており、磁石片49bが位置する(吸着される)幅方向の内側部分44b−2は磁石片45が埋め込まれていない部分である。これは磁石片49bが、磁石片45によって強く吸着されてしまうのを防ぐためである。一方、フレキシブルレール44は比較的、磁力が弱いため、1対の磁石付探触子取付治具49の磁石片49bがフレキシブルレール44に吸着された状態でも、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子52を移動させることができる。
【0064】
従って、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子52を移動させるとき、超音波探触子52は、1対の磁石付探触子取付治具49の磁石片49bがフレキシブルレール44に吸着されることにより、矢印Yのようにフレキシブルレール44に沿ってフレキシブルレール44の長手方向に移動することができる。
【0065】
図19及び図20には、かかる構成のフレキシブル超音波探傷ツール41を、火力プラントなどの配管(高クロム鋼などの磁性材で形成されている配管)のエルボ部55における背側に取6付けた例を示す。
【0066】
図19及び図20では、配管のエルボ部55における背側面(曲面)55aに倣って、フレキシブル超音波探傷ツール41のフレキシブルな構成部材であるフレキシブルゲル42、フレキシブルレール43,44及びフレキシブルガイド50,51が円弧状に撓み、この状態でフレキシブルゲル42、フレキシブルレール43,44、フレキシブルガイド50,51などが(即ちフレキシブル超音波探傷ツール41全体が)、磁石片45の磁力によってエルボ部55の背側面55aに吸着される。また、図示は省略するが、フレキシブルゲル42は全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、例えばエルボ部55における長手溶接部の余盛形状などにも容易に倣うことができる。
【0067】
以上のように、本実施の形態例3のフレキシブル超音波探傷ツール41によれば、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲル42と、フレキシブルゲル42の上面42aの一方の幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレール43と、フレキシブルゲル42の上面42aの他方の幅方向両側に平行に配設された磁石である他の1対のフレキシブルレール44と、1対のフレキシブルレール43の幅方向の外側部分43b−3に埋め込まれ、1対のフレキシブルレール43の長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片45と、他の1対のフレキシブルレール44の幅方向の外側部分44b−3に埋め込まれ、他の1対のフレキシブルレール44の長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片45と、超音波探触子52に挿通され、前記他の1対のフレキシブルレール44に平行なフレキシブルガイド50と、超音波探触子52に挿通され、前記1対のフレキシブルレール43に平行なフレキシブルガイド51と、フレキシブルガイド50の両端部に設けられ、1対のフレキシブルレール43の幅方向の内側部分43b−2の上面43bに吸着される磁石片48bが、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具48と、フレキシブルガイド51の両端部に設けられ、他の1対のフレキシブルレール44の幅方向の内側部分44b−2の上面44bに吸着される磁石片49bが、下端に取り付けられている他の1対の磁石付探触子取付治具49とを有することを特徴としているため、即ち、フレキシブルゲル42、フレキシブルレール43,44及びフレキシブルガイド50,51はフレキシブルなものであり、更に、フレキシブルゲル42は全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、フレキシブルレール43,44に埋め込まれた複数の磁石片45の磁力によって、フレキシブルゲル42、フレキシブルレール43,44及びフレキシブルガイド50,51など(即ちフレキシブル超音波探傷ツール41全体)を配管などの被探傷物の表面に吸着させるだけで容易に被探傷物の表面形状に倣うことができる。
【0068】
また、本フレキシブル超音波探傷ツール41は、フレキシブルゲル42などを被探傷物の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよいため、製作も容易である。例えば、配管溶接部の探傷に用いる場合でも、本フレキシブル超音波探傷ツール41は、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がなく、フレキシブルゲル42などを配管の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよい。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、従来の超音波探傷ツールでは腹側用、背側用及び脇腹用の3種類が必要であったが、本フレキシブル超音波探傷ツール41ではフレキシブルゲル42などをエルボ部の各部の長さに応じた寸法に変更するだけでよい。
【0069】
しかも、本フレキシブル超音波探傷ツール41は、2対のフレキシブルレール43,44などを有する2軸構成のものであるため、広範囲の超音波探傷が可能になる。
【0070】
また、本実施の形態例3のフレキシブル超音波探傷ツール41によれば、フレキシブルゲル42の上面42aの両端部に設けた1対の磁石片46と、1対の磁石片46に磁力で吸着される1対の取っ手47とを有することを特徴としているため、作業者が取っ手47を掴んでフレキシブル超音波探傷ツール41を、配管などの被探傷物に対して容易に着脱することができる。
【0071】
<実施の形態例4>
図21〜図26に基づき、本発明の実施の形態例4に係るフレキシブル超音波探傷ツール61について説明する。本実施の形態例4のフレキシブル超音波探傷ツール61は、上記実施の形態例2における1軸のフレキシブル超音波探傷ツール21を2軸に変更したものであり、基本的な構成についてはフレキシブル超音波探傷ツール21と同様である。
【0072】
詳述すると、図21〜図24に示すように、本実施の形態例4のフレキシブル超音波探傷ツール61は、フレキシブルゲル62と、1対のフレキシブルプレート63と、1対のフレキシブルプレート64と、複数の磁石片65と、1対のフレキシブルレール66と、1対のフレキシブルレール67と、1対の磁石片68と、1対の取っ手69と、1対のベアリング付探触子取付治具70と、1対のベアリング付探触子取付治具71と、フレキシブルガイド72,73とを有して成るものである。
【0073】
フレキシブルゲル62は、ゲルを矩形(ここでは図21に示すように長方形)の板状に成形したものである。フレキシブルゲル2は配管(被探傷物)の表面に倣って変形するフレキシブルなものであり、且つ、超音波探触子74から出射された超音波を配管内に入射させるための接触媒質としても機能する。また、フレキシブルゲル62は、配管形状(異形、直管、エルボ等)、溶接方向((配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)、及び、探傷範囲に応じた寸法に形成されている。なお、このようなフレキシブルゲル62としては、例えばタキロン株式会社のゲル製品(商品名:ソナゲル)などを用いることができる。
【0074】
1対のフレキシブルプレート63は、フレキシブルゲル62の上面62aにおける一方の幅方向(図21の上下方向)の両側に平行に配置され、フレキシブルゲル62の上面62aに接着剤で接着して固定されている。他の1対のフレキシブルプレート64は、フレキシブルゲル62の上面62aにおける他方の幅方向(図21の左右方向)の両側に平行に配置され、フレキシブルゲル62の上面62aに接着剤で接着して固定されている。即ち、1対のフレキシブルプレート63は前記他の幅方向に延び、他の1対のフレキシブルプレート64は前記一方の幅方向に延びており、これら4つのフレキシブルレール63,64が矩形状を成すように配設されている。フレキシブルプレート63,64はゴム製の(即ちフレキシブルな)ものであり、短冊状(細長い長方形状)に形成されている。
【0075】
そして1対のフレキシブルプレート63にはそれぞれ、複数個(図示例では4個)の磁石片65が埋め込まれている。各フレキシブルプレート63における磁石片65は、フレキシブルプレート63の幅方向の外側部分63b−3において、フレキシブルプレート63の長手方向に沿って1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態(図示例では等間隔)で配置されている。詳述すると、フレキシブルプレート63の下面(フレキシブルゲル62側の面)63aには大径の穴63a−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成される一方、フレキシブルプレート63の上面63bには小径の穴63b−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成されており、各大径の穴63a−1と各小径の穴63b−1はそれぞれ連通している。磁石片65は大径の穴63a−1にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルプレート63に接着剤で接着して固定されている。なお、各フレキシブルプレート63に埋め込む磁石片65は、必ずしも1列に限定するものではなく、例えば図示例のものよりも小さなものを、複数列に配列してもよい。
【0076】
同様に、他の1対のフレキシブルプレート64にもそれぞれ、複数個(図示例では4個)の磁石片65が埋め込まれている。各フレキシブルプレート64における磁石片65は、レキシブルプレート64の幅方向の外側部分64b−3において、フレキシブルプレート64の長手方向に沿って1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態(図示例では等間隔)で配置されている。詳述すると、フレキシブルプレート64の下面(フレキシブルゲル62側の面)64aには大径の穴64a−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成される一方、フレキシブルプレート64の上面64bには小径の穴64b−1が複数箇所(図示例では4箇所)に形成されており、各大径の穴64a−1と各小径の穴64b−1はそれぞれ連通している。磁石片65は大径の穴64a−1にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルプレート64に接着剤で接着して固定されている。お、各フレキシブルプレート64に埋め込む磁石片65は、必ずしも1列に限定するものではなく、例えば図示例のものよりも小さなものを、複数列に配列してもよい。
【0077】
磁石片65は強い磁性を有する磁石(ネオジウムなど)であり、フレキシブルゲル62やフレキシブルプレート63,64など(即ちフレキシブル超音波探傷ツール61全体)を配管に吸着させること(図25,図26参照)が可能な強さの磁力を有している。なお、磁石片65の具体的な大きさ、個数、間隔、磁力については、フレキシブル超音波探傷ツール61を配管のエルボ部などに取り付ける際にフレキシブルプレート63,64などが撓む(図25,図26参照)のを磁石片65が妨げないようにすることや、フレキシブル超音波探傷ツール61全体を配管へ吸着させるのに必要な吸着力(磁力)が得られるようにすること考慮して、適宜、設定すればよい。
【0078】
1対のフレキシブルレール66は、1対のフレキシブルプレート63の上面63bにおける幅方向の内側部分63b−2にそれぞれ配置されてフレキシブルプレート63の長手方向に延びており、1対のフレキシブルプレート63にそれぞれ接着剤で接着して固定されている。磁石片65は前述のとおりフレキシブルプレート63の幅方向の外側部分63b−3に埋め込まれており、フレキシブルレール66が位置する幅方向の内側部分63b−2は磁石片65が埋め込まれていない部分である。なお、これに限定するものではなく、フレキシブルレール66を、磁石片65が埋め込まれている部分の上面に配置する構成であってもよい。
【0079】
フレキシブルレール66はプラスチックによって細長く形成されたフレキシブルなものであり、細長い帯状のレール本体部66aと、このレール本体部66aの上面66a−1の幅方向両側に突設された2列の突起66bとを有して成るものである。2列の突起66bはレール本体部66aの長手方向に延びて平行になっており、且つ、各列の突起66bは前記長手方向の間隔が一定になっている。
【0080】
同様に、他の1対のフレキシブルレール67は、他の1対のフレキシブルプレート64の上面64bにおける幅方向の内側部分64b−2にそれぞれ配置されてフレキシブルプレート64の長手方向に延びており、1対のフレキシブルプレート64にそれぞれ接着剤で接着して固定されている。磁石片65は前述のとおりフレキシブルプレート64の幅方向の外側部分64b−3に埋め込まれており、フレキシブルレール67が位置する幅方向の内側部分64b−2は磁石片65が埋め込まれていない部分である。なお、これに限定するものではなく、フレキシブルレール67を、磁石片65が埋め込まれている部分の上面に配置する構成であってもよい。
【0081】
フレキシブルレール67はプラスチックによって細長く形成されたフレキシブルなものであり、細長い帯状のレール本体部67aと、このレール本体部67aの上面67a−1の幅方向両側に突設された2列の突起67bとを有して成るものである。2列の突起67bはレール本体部67aの長手方向に延びて平行になっており、且つ、各列の突起67bは前記長手方向の間隔が一定になっている。
【0082】
1対の磁石片68は強磁性を有する磁石(ネオジウムなど)であり、フレキシブルゲル62の上面62aの両端部(フレキシブルレール66の長手方向両側の端部)にそれぞれ、接着剤で接着して固定されている。1対の取っ手69は鉄などの磁性材によってコ字状に形成された手幅程度の大きさのものであり、各磁石片68にそれぞれ磁力で吸着されている。
【0083】
一方、超音波探触子74には、下側のフレキシブルガイド72と上側のフレキシブルガイド73とが挿通されている。フレキシブルガイド72,73は平面視(図21)において直交しており、フレキシブルガイド72はフレキシブルレール67に平行である一方、フレキシブルガイド73はフレキシブルレール66に平行になっている。フレキシブルガイド72,73はプラスチックによって細長く形成されたフレキシブルなものである。超音波探触子74はフレキシブルガイド73とともにフレキシブルガイド72に案内されてフレキシブルガイド72の長手方向に移動することができ、且つ、フレキシブルガイド72とともにフレキシブルガイド73に案内されてフレキシブルガイド73の長手方向に移動することもできる。
【0084】
1対のベアリング付探触子取付治具70はフレキシブルガイド72の両端部にそれぞれ設けられており、他の1対のベアリング付探触子取付治具71はフレキシブルガイド73の両端部にそれぞれ設けられている。
【0085】
ベアリング付探触子取付治具70は、ネジなどの固定手段によってフレキシブルガイド72の端部に固定された取付治具本体70aと、この取付治具本体70aの下端に取り付けられたボールベアリング70bとを有して成るものである。ボールベアリング70bは軸部70b−1の先端に設けられており、この軸部70b−1を取付治具本体70aにねじ込むことによって取付治具本体70aに取り付けられている。そして、これら1対のボールベアリング70bが、1対のフレキシブルレール66のそれぞれに形成されている2列の突起66bの間にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルレール66の長手方向に移動可能になっている。
【0086】
従って、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子74を移動させるとき、超音波探触子74は、1対のベアリング付探触子取付治具70に取り付けられているボールベアリング70bが1対のフレキシブルレール66の突起66bの間に嵌め込まれた状態でフレキシブルレール66の長手方向に移動することにより、矢印Xのようにフレキシブルレール66に沿ってフレキシブルレール66の長手方向に移動することができる。
【0087】
同様に、ベアリング付探触子取付治具71は、ネジなどの固定手段によってフレキシブルガイド73の端部に固定された取付治具本体71aと、この取付治具本体71aの下端に取り付けられたボールベアリング71bとを有して成るものである。ボールベアリング71bは軸部71b−1の先端に設けられており、この軸部71b−1を取付治具本体71aにねじ込むことによって取付治具本体71aに取り付けられている。そして、これら1対のボールベアリング71bが、1対のフレキシブルレール67のそれぞれに形成されている2列の突起67bの間にそれぞれ嵌め込まれ、フレキシブルレール67の長手方向に移動可能になっている。
【0088】
従って、作業員が手動で(或いは機械的に)超音波探触子74を移動させるとき、超音波探触子74は、1対のベアリング付探触子取付治具71に取り付けられているボールベアリング71bが1対のフレキシブルレール67の突起67bの間に嵌め込まれた状態でフレキシブルレール67の長手方向に移動することにより、矢印Yのようにフレキシブルレール67に沿ってフレキシブルレール67の長手方向に移動することができる。
【0089】
図25及び図26には、かかる構成のフレキシブル超音波探傷ツール61を、火力プラントなどの配管(高クロム鋼などの磁性材で形成されている配管)のエルボ部75における背側に取り付けた例を示す。
【0090】
図25及び図26では、配管のエルボ部75における背側面(曲面)75aに倣って、フレキシブル超音波探傷ツール61のフレキシブルな構成部材であるフレキシブルゲル62、フレキシブルプレート63,64、フレキシブルレール66,67及びフレキシブルガイド72,73が円弧状に撓み、この状態でフレキシブルゲル62、フレキシブルプレート63,64、フレキシブルレール66,67、フレキシブルガイド72,73などが(即ちフレキシブル超音波探傷ツール61全体が)、磁石片65の磁力によってエルボ部75の背側面75aに吸着される。また、図示は省略するが、フレキシブルゲル62は全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、例えばエルボ部75における長手溶接部の余盛形状などにも容易に倣うことができる。
【0091】
以上のように、本実施の形態例4のフレキシブル超音波探傷ツール61によれば、矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲル62と、フレキシブルゲル62の上面62aの一方の幅方向両側に平行に配設された1対のフレキシブルプレート63と、フレキシブルゲル62の上面62aの他方の幅方向両側に平行に配設された他の1対のフレキシブルプレート64と、1対のフレキシブルプレート63に埋め込まれ、1対のフレキシブルプレート63の長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片65と、他の1対のフレキシブルプレート64に埋め込まれ、他の1対のフレキシブルプレート64の長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片65と、1対のフレキシブルプレート63の上面63bに配置されて1対のフレキシブルプレート63の長手方向に延びており、帯状のレール本体部66aと、レール本体部66aの上面66a−1の幅方向両側に突設されレール本体部66aの長手方向に延びて平行になっている2列の突起66bとを有して成る1対のフレキシブルレール66と、他の1対のフレキシブルプレート64の上面64aに配置されて他の1対のフレキシブルプレート64の長手方向に延びており、帯状のレール本体部67aと、レール本体部67aの上面67a−1の幅方向両側に突設されレール本体部67aの長手方向に延びて平行になっている2列の突起67bとを有して成る他の1対のフレキシブルレール67と、超音波探触子74に挿通され、他の1対のフレキシブルプレート64に平行なフレキシブルガイド72と、超音波探触子74に挿通され、1対のフレキシブルプレート63に平行なフレキシブルガイド73と、フレキシブルガイド72の両端部に設けられ、1対のフレキシブルレール66の2列の突起66bの間に嵌め込まれて1対のフレキシブルレール66の長手方向に移動可能なボールベアリング70bが、下端に取り付けられている1対のベアリング付探触子取付治具70と、フレキシブルガイド73の両端部に設けられ、他の1対のフレキシブルレール67の2列の突起67bの間に嵌め込まれて他の1対のフレキシブルレール67の長手方向に移動可能なボールベアリング71bが、下端に取り付けられている他の1対のベアリング付探触子取付治具71とを有することを特徴としているため、即ち、フレキシブルゲル62、フレキシブルプレート63,64、フレキシブルレール66,67及びフレキシブルガイド72,73はフレキシブルなものであり、更に、フレキシブルゲル62は全体的に撓むだけでなく、部分的に凹むことなども可能であるため、フレキシブルプレート63,64に埋め込まれた複数の磁石片65の磁力によって、フレキシブルゲル62、フレキシブルプレート63,64、フレキシブルレール66,67及びフレキシブルガイド72,73など(即ちフレキシブル超音波探傷ツール61全体)を配管などの被探傷物の表面に吸着させるだけで容易に被探傷物の表面形状に倣うことができる。
【0092】
また、本フレキシブル超音波探傷ツール61は、フレキシブルゲル62などを被探傷物の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよいため、製作も容易である。例えば、配管溶接部の探傷に用いる場合でも、本フレキシブル超音波探傷ツール61は、配管形状(異径、直管、エルボ等)や、溶接方向(配管の周方向、配管の軸方向(長手方向)等)に応じて製作する必要がなく、フレキシブルゲル62などを配管の探傷範囲に応じた寸法にするだけでよい。特に配管のエルボ部における長手溶接部に対しては、従来の超音波探傷ツールでは腹側用、背側用及び脇腹用の3種類が必要であったが、本フレキシブル超音波探傷ツール61ではフレキシブルゲル62などをエルボ部の各部の長さに応じた寸法に変更するだけでよい。
【0093】
しかも、本フレキシブル超音波探傷ツール61は、2対のフレキシブルレール66,67などを有する2軸構成のものであるため、広範囲の超音波探傷が可能になる。
【0094】
また、本実施の形態例4のフレキシブル超音波探傷ツール61によれば、フレキシブルゲル62の上面62aの両端部に設けた1対の磁石片68と、1対の磁石片68に磁力で吸着される1対の取っ手69とを有することを特徴としているため、作業者が取っ手69を掴んでフレキシブル超音波探傷ツール61を、配管などの被探傷物に対して容易に着脱することができる。
【0095】
また、上記実施の形態例1〜4では複数の磁石片4,24,45,65をフレキシブルプレート3,43,44やフレキシブルプレート23,63,64に埋め込んでいるが、必ずしもこれに限定するものではなく、図示は省略するが、複数の磁石片4,24,45,65をフレキシブルゲル2,22,42,62に埋め込んでもよい。この場合、フレキシブルゲル2,22,42,62に埋め込む複数の磁石片4,24,45,65は、平面視において(図3,図10,図15,図21を参照)、フレキシブルプレート3,43,44やフレキシブルプレート23,63,64に複数の磁石片4,24,45,65を埋め込む場合の複数の磁石片4,24,45,65の配置と同様の配置とすればよい。即ち、フレキシブルゲル2,22,42,62に埋め込む複数の磁石片4,24,45,65は、1対のフレキシブルレール3,,43,44や一対のフレキシブルプレート23,63,64の長手方向に沿って少なくとも1列に配列し、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置する。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明はフレキシブル超音波探傷ツールに関するものであり、超音波探触子によって火力プラントの配管溶接部などを超音波探傷する際に用いられる超音波探傷ツールに適用して有用なものである。
【符号の説明】
【0097】
1 フレキシブル超音波探傷ツール
2 フレキシブルゲル
2a 上面
3 フレキシブルレール
3a 下面
3a−1 穴
3b 上面
3b−1 穴
3b−2 幅方向の内側部分
3b−3 幅方向の外側部分
4,5 磁石片
6 取っ手
7 磁石付探触子取付治具
7a 取付治具本体
7b 磁石片
7b−1 軸部
8 超音波探触子
8a,8b 側面
9 ナット
10 配管のエルボ部
10a 背側面
10b 腹側面
21 フレキシブル超音波探傷ツール
22 フレキシブルゲル
22a 上面
23 フレキシブルプレート
23a 下面
23a−1 穴
23b 上面
23b−1 穴
23b−2 幅方向の内側部分
23b−3 幅方向の外側部分
24 磁石片
25 フレキシブルレール
25a レール本体部
25a−1 上面
25b 突起
26 磁石片
27 取っ手
28 ベアリング付探触子取付治具
28a 取付治具本体
28b ボールベアリング
28b−1 軸部
29 超音波探触子
29a,29b 側面
30 配管のエルボ部
30a 背側面
30b 腹側面
41 フレキシブル超音波探傷ツール
42 フレキシブルゲル
42a 上面
43 フレキシブルレール
43a 下面
43a−1 穴
43b 上面
43b−1 穴
43b−2 幅方向の内側部分
43b−3 幅方向の外側部分
44 フレキシブルレール
44a 下面
44a−1 穴
44b 上面
44b−1 穴
44b−2 幅方向の内側部分
44b−3 幅方向の外側部分
45,46 磁石片
47 取っ手
48 磁石付探触子取付治具
48a 取付治具本体
48b 磁石片
48b−1 軸部
49 磁石付探触子取付治具
49a 取付治具本体
49b 磁石片
49b−1 軸部
50,51 フレキシブルガイド
52 超音波探触子
53,54 ナット
55 配管のエルボ部
55a 背側面
61 フレキシブル超音波探傷ツール
62 フレキシブルゲル
62a 上面
63 フレキシブルプレート
63a 下面
63a−1 穴
63b 上面
63b−1 穴
63b−2 幅方向の内側部分
63b−3 幅方向の外側部分
64 フレキシブルプレート
64a 下面
64a−1 穴
64b 上面
64b−1 穴
64b−2 幅方向の内側部分
64b−3 幅方向の外側部分
65 磁石片
66 フレキシブルレール
66a レール本体部
66a−1 上面
66b 突起
67 フレキシブルレール
67a レール本体部
67a−1 上面
67b 突起
68 磁石片
69 取っ手
70 ベアリング付探触子取付治具
70a 取付治具本体
70b ボールベアリング
70b−1 軸部
71 ベアリング付探触子取付治具
71a 取付治具本体
71b ボールベアリング
71b−1 軸部
72,73 フレキシブルガイド
74 超音波探触子
75 配管のエルボ部
75a 背側面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、
矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、
前記フレキシブルゲルの上面の幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレールと、
前記1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記超音波探触子の両側面に取り付けられ、前記1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具と、
を有することを特徴とするフレキシブル超音波探傷ツール。
【請求項2】
超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、
矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、
前記フレキシブルゲルの上面の幅方向両側に平行に配設された1対のフレキシブルプレートと、
前記1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る1対のフレキシブルレールと、
前記超音波探触子の両側面に取り付けられ、前記1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている1対のベアリング付探触子取付治具と、
を有することを特徴とするフレキシブル超音波探傷ツール。
【請求項3】
超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、
矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、
前記フレキシブルゲルの上面の一方の幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレールと、
前記フレキシブルゲルの上面の他方の幅方向両側に平行に配設された磁石である他の1対のフレキシブルレールと、
前記1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記他の1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記他の1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記超音波探触子に挿通され、前記他の1対のフレキシブルレールに平行な第1のフレキシブルガイドと、
前記超音波探触子に挿通され、前記1対のフレキシブルレールに平行な第2のフレキシブルガイドと、
前記第1のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具と、
前記第2のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記他の1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている他の1対の磁石付探触子取付治具と、
を有することを特徴とするフレキシブル超音波探傷ツール。
【請求項4】
超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、
矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、
前記フレキシブルゲルの上面の一方の幅方向両側に平行に配設された1対のフレキシブルプレートと、
前記フレキシブルゲルの上面の他方の幅方向両側に平行に配設された他の1対のフレキシブルプレートと、
前記1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記他の1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記他の1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る1対のフレキシブルレールと、
前記他の1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記他の1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る他の1対のフレキシブルレールと、
前記超音波探触子に挿通され、前記他の1対のフレキシブルプレートに平行な第1のフレキシブルガイドと、
前記超音波探触子に挿通され、前記1対のフレキシブルプレートに平行な第2のフレキシブルガイドと、
前記第1のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている1対のベアリング付探触子取付治具と、
前記第2のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記他の1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記他の1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている他の1対のベアリング付探触子取付治具と、
を有することを特徴とするフレキシブル超音波探傷ツール。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のフレキシブル超音波探傷ツールにおいて、
前記フレキシブルゲルの上面の両端部に設けた1対の磁石片と、
前記1対の磁石片に磁力で吸着される1対の取っ手と、
を有することを特徴とするフレキシブル超音波探傷ツール。
【請求項1】
超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、
矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、
前記フレキシブルゲルの上面の幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレールと、
前記1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記超音波探触子の両側面に取り付けられ、前記1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具と、
を有することを特徴とするフレキシブル超音波探傷ツール。
【請求項2】
超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、
矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、
前記フレキシブルゲルの上面の幅方向両側に平行に配設された1対のフレキシブルプレートと、
前記1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る1対のフレキシブルレールと、
前記超音波探触子の両側面に取り付けられ、前記1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている1対のベアリング付探触子取付治具と、
を有することを特徴とするフレキシブル超音波探傷ツール。
【請求項3】
超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、
矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、
前記フレキシブルゲルの上面の一方の幅方向両側に平行に配設された磁石である1対のフレキシブルレールと、
前記フレキシブルゲルの上面の他方の幅方向両側に平行に配設された磁石である他の1対のフレキシブルレールと、
前記1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記他の1対のフレキシブルレールの幅方向の外側部分に埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記他の1対のフレキシブルレールの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記超音波探触子に挿通され、前記他の1対のフレキシブルレールに平行な第1のフレキシブルガイドと、
前記超音波探触子に挿通され、前記1対のフレキシブルレールに平行な第2のフレキシブルガイドと、
前記第1のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている1対の磁石付探触子取付治具と、
前記第2のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記他の1対のフレキシブルレールの幅方向の内側部分の上面に吸着される磁石片が、下端に取り付けられている他の1対の磁石付探触子取付治具と、
を有することを特徴とするフレキシブル超音波探傷ツール。
【請求項4】
超音波探触子によって被探傷物の超音波探傷を行う際に用いられるフレキシブル超音波探傷ツールであって、
矩形の板状に成形されたゲルであるフレキシブルゲルと、
前記フレキシブルゲルの上面の一方の幅方向両側に平行に配設された1対のフレキシブルプレートと、
前記フレキシブルゲルの上面の他方の幅方向両側に平行に配設された他の1対のフレキシブルプレートと、
前記1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記他の1対のフレキシブルプレートに埋め込まれ、又は、前記フレキシブルゲルに埋め込まれ、前記他の1対のフレキシブルプレートの長手方向に沿って少なくとも1列に配列され、且つ、前記長手方向に間隔を開けた状態で配置されている複数の磁石片と、
前記1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る1対のフレキシブルレールと、
前記他の1対のフレキシブルプレートの上面に配置されて前記他の1対のフレキシブルプレートの長手方向に延びており、帯状のレール本体部と、前記レール本体部の上面の幅方向両側に突設され前記レール本体部の長手方向に延びて平行になっている2列の突起とを有して成る他の1対のフレキシブルレールと、
前記超音波探触子に挿通され、前記他の1対のフレキシブルプレートに平行な第1のフレキシブルガイドと、
前記超音波探触子に挿通され、前記1対のフレキシブルプレートに平行な第2のフレキシブルガイドと、
前記第1のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている1対のベアリング付探触子取付治具と、
前記第2のフレキシブルガイドの両端部に設けられ、前記他の1対のフレキシブルレールの前記2列の突起の間に嵌め込まれて前記他の1対のフレキシブルレールの長手方向に移動可能なボールベアリングが、下端に取り付けられている他の1対のベアリング付探触子取付治具と、
を有することを特徴とするフレキシブル超音波探傷ツール。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のフレキシブル超音波探傷ツールにおいて、
前記フレキシブルゲルの上面の両端部に設けた1対の磁石片と、
前記1対の磁石片に磁力で吸着される1対の取っ手と、
を有することを特徴とするフレキシブル超音波探傷ツール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2012−159322(P2012−159322A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17444(P2011−17444)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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