説明

フレキシブル配線基板

【課題】 本発明は、配線パターンをファインパターン化して実装密度を高めることができると共に、折り曲げ性に優れた接続パターンを有するフレキシブル配線基板を提供すること。
【解決手段】 本発明のフレキシブル配線基板1は、可撓性を有する1枚の絶縁フィルム2上に形成した複数の配線パターン3aと、この配線パターン3aに接続される接続パターン7aとを備え、配線パターン3aを形成した部分の絶縁フィルム2は、補強板で補強されてリジッド部3となり、接続パターン7aを形成した部分の絶縁フィルム2は、可撓性のあるフレキ部7となり、このフレキ部7に形成された接続パターン7aは、柔軟性のある導電ペーストを用いて形成されて配線パターン3aに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブル配線基板に係わり、特にチップ部品等の電気部品を面実装している部分の配線パターンに接続される接続パターンを柔軟性のある材料で形成したフレキシブル配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフレキシブル配線基板を、特許文献1に基づいて説明すると、従来のフレキシブル配線基板は、図4に示すように、絶縁フィルム21上に、第1配線パターン22がスクリーン印刷等で形成され、この第1配線パターン22上に選択的に第1カバーコート絶縁層23が形成されている。
また、第1配線パターン22上でチップ部品(図示せず)を搭載した部分には、バルクメタル層24が形成され、このバルクメタル層24を除く部分に第2カバーコート絶縁層25が形成され、第1配線パターン22およびバルクメタル層24上には、第2配線パターン26が形成されている。
【0003】
更に、第2配線パターン26上には、第3カバーコート絶縁層27が形成され、前記第2配線パターン26が形成された部分の絶縁フィルム21の裏面には補強板28が接着されている。
そして、補強板28上の絶縁フィルム21には、複数のチップ部品(図示せず)が面実装されて第1配線パターン22および第2配線パターン26に接続されている。
このような従来のフレキシブル配線基板は、第1配線パターン22の折り曲げ性を必要とする部分(B部)に可撓性の第1カバーコート絶縁層23を形成すると共に、第1配線パターン22上にメッキにより形成されたバルクメタル層24と、少なくとも半田付けランド・接続部を除く部分に可撓性を有する第2カバーコート絶縁層25を設けたので、B部で絶縁フィルム21を湾曲させることができる。
【特許文献1】特開平06−120643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のフレキシブル配線基板は、補強板28上およびそれ以外の部分に形成した第1配線パターン22が、すべて同じ材料で形成していたので、折り曲げ部であるB部の折り曲げ性を優先して、第1配線パターン22を柔軟性のある導電ペーストで形成すると、スクリーン印刷時に、第1配線パターン22ににじみ等が発生する。
そのために、チップ部品等を面実装する部分の第1配線パターン22をファインパターン化して実装密度を高めようとした場合に、隣り合う第1配線パターン22同士が短絡するおそれがあった。また、柔軟性のある導電ペーストを用いると、第1配線パターン22の抵抗値が高くなり、ファイパターン化し難かった。
【0005】
逆に、第1配線パターン22のにじみを無くするために、硬い導電ペーストを用いて第1配線パターン22をファインパターン化した場合は、第1配線パターン22が硬くなって折り曲げ性が悪くなり、第1配線パターン22が折り曲げ部であるB部で断線するおそれがあった。
本発明は前述したような課題を解決して、配線パターンをファインパターン化して実装密度を高めることができると共に、折り曲げ性に優れた接続パターンを有するフレキシブル配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための第1の手段として本発明のフレキシブル配線基板は、可撓性を有する1枚の絶縁フィルム上に形成した複数の配線パターンと、この配線パターンに接続される接続パターンとを備え、前記配線パターンを形成した部分の前記絶縁フィルムは、補強板で補強されてリジッド部となり、前記接続パターンを形成した部分の前記絶縁フィルムは、可撓性のあるフレキ部となり、このフレキ部に形成した前記接続パターンは、柔軟性のある導電ペーストを用いて形成して前記配線パターンに接続したことを特徴とする。
【0007】
また、前記課題を解決するための第2の手段として、前記接続パターンに用いている前記導電ペーストは、ポリエステル樹脂からなるバインダを用いていることを特徴とする請求項1記載のフレキシブル配線基板。
【0008】
また、前記課題を解決するための第3の手段として、前記配線パターンは、前記接続パターンと接続する接続部の幅寸法が前記接続パターンと同等あるいは幅狭に形成され、前記配線パターンの接続部上に前記接続パターンを重ね合わせて印刷形成したことを特徴とする。
【0009】
また、前記課題を解決するための第4の手段として、前記フレキ部の端部を補強板で補強し、この部分に前記接続パターンを延長させてリード部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係わるフレキ部に形成した前記接続パターンは、柔軟性のある導電ペーストを用いて印刷形成して配線パターンに接続したので、フレキ部が折れ曲がったとしても、このフレキ部に追従して接続パターンが折れ曲がることができる。そのために、断線等の障害が発生することのないフレキシブル配線基板を提供できる。
また、配線パターンを形成した部分の絶縁フィルムを補強板で補強することにより、配線パターンを硬質の導電ペーストで形成することができ、配線パターンをファインパターン化できる。そのために、チップ部品等の電気部品を高密度で表面実装することができる。
【0011】
また、接続パターンに用いている導電ペーストは、ポリエステル樹脂からなるバインダを用いているので、柔軟性に優れ、更に確実にフレキ部の折れ曲がりに追従して接続パターンが折れ曲がることができる。
【0012】
また、配線パターンは、接続パターンと接続する接続部の幅寸法が接続パターンと同等あるいは幅狭に形成され、配線パターンの接続部上に接続パターンを重ね合わせて印刷形成したので、配線パターンと接続パターンとに印刷ズレがあったとしても、配線パターンと接続パターンとを確実に接続することができる。
【0013】
また、フレキ部の端部を補強板で補強し、この部分に接続パターンを延長させてリード部を形成したので、外部の電子機器等のコネクタ等にリード部を確実に接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明のフレキシブル配線基板を図1〜図3に基づいて説明する。図1は本発明のフレキシブル配線基板を説明する斜視図であり、図2は本発明に係わるパターン接続部の要部断面図であり、図3は図2の平面図である。
まず、本発明のフレキシブル配線基板1は、図1に示すように、横長状の1枚の絶縁フィルム2が配設され、絶縁フィルム2の例えば長手方向の2箇所に面積の大きな第1、第2リジッド部3、4が形成され、この第1、第2リジッド部3、4は、下面に、例えばアクリル樹脂等の硬質樹脂板からなる第1、第2補強板5、6が、接着剤等で固着され、上面に複数の第1、第2配線パターン3a、4aが形成されている。
【0015】
前記第1、第2リジッド部3、4の複数の配線パターン3a、4aには、例えばコンデンサ、抵抗等のチップ部品からなる複数の電気部品(図示せず)が表面実装されて接続されている。
また、第1、第2配線パターン3a、4aは、導電フィラ(金属粉末)の混合量を多くすると共に硬質の導電ペーストを用いて、第1、第2リジッド部3、4上にスクリーン印刷等で形成されている。
そのために、第1、第2配線パターン3a、4aは、印刷時ににじみ等の発生が無くファインパターン化が可能となり、電気部品の実装密度を向上させることができる。また、第1、第2配線パターン3a、4aは、ファインパターン化しても、比抵抗が1×10−5Ω・cmと低抵抗とすることができる。
【0016】
また、第1、第2リジッド部3、4間にの絶縁フィルム2には、細長状のフレキ部7が形成され、このフレキ部7によって、第1、第2リジッド部3、4がつながって一体化されている。
前記フレキ部7には、複数の第1接続パターン7aが形成され、この第1接続パターン7aは、柔軟性のあるポリエステル樹脂等からなるバインダを用い、このバインダに混合する導電フィラ(金属粉)の混合量を、第1、第2配線パターン3a、4aより少なくした導電ぺーストを用いて、フレキ部7上にスクリーン印刷等により形成されている。
【0017】
そのために、第1接続パターン5aは、柔軟性に優れており、設計等の都合上フレキ部7を折れ曲げて使用したとしても第1接続パターン5aに断線等の不具合が発生することがない。
また、第1接続パターン5aの比抵抗は、8×10−5Ω・cmと第1、第2配線パターン3a、4aの比抵抗より高いが、第1フレキ部7に形成する数が少ないので、幅広にすることにより比抵抗を低くすることができる。
また、複数の第1接続パターン7aは、ピッチ寸法が、例えば0.5mmで形成され、この第1接続パターン7aと第1、第2配線パターン3a、4aの一部とが電気的に接続形成されている。
【0018】
また、図1に示す第1接続パターン7aと第1、第2配線パターン3a、4aとの接続部Aは、図2、図3に示すように、絶縁フィルム2の第1リジッド部3上に形成した第1配線パターン3aの端部に形成した接続部3b上に、第1接続パターン7aが印刷等で積層形成されて、第1配線パターン3aと第1接続パターン7aとが電気的に接続されている。
前記第1配線パターン3aは、厚さが5〜15μmに形成されると共に、幅寸法が略0.25mmに形成され、接続部3bが幅寸法0.2mm〜0.25mmの幅狭に形成されている。
また、第1接続パターン7aの幅寸法は、第1配線パターン3aの幅寸法と略同等に形成されている。
【0019】
そのために、印刷形成時に、第1配線パターン3aの接続部3bと第1接続パターン7aとが若干の印刷ズレがあっても、互いに確実に接続させることができる。
また、第2リジッド部4の第2配線パターン4aの図示左右両端部にも、第1配線パターン3aの接続部3bと同様の幅狭の端部(図示せず)が形成されている。
【0020】
また、第2リジッド部4からは、図示左側に第2フレキ部8が所定長さで延長形成され、この第2フレキ部8の上面に、第1接続パターン7aと同じ材質、寸法の第2接続パターン8aが第2配線パターン4aに接続して形成されている。
また、第2フレキ部8の図示左端部側の下面には、第3補強板9が固着され、この第3補強板9が固着された部分の第2フレキ部8の上面に、第2接続パターン8aが延長されてリード部8bとなり、このリード部8bが外部機器に配設されたコネクタ(図示せず)等に接続可能になっている。
【0021】
このような本発明のフレキシブル配線基板1は、第1、第2リジッド部3、4が第1、第2補強板5、6で補強されているので、第1、第2リジッド部3、4が折れ曲がることがない。
そのために、第1、第2リジッド部3、4に形成した第1、第2配線パターン3a、4aがファインパターン化されても、第1、第2配線パターン3a、4aに断線等の不具合が発生することがない。
そのために、第1、第2リジッド部3、4にチップ部品等の電気部品を高密度に表面実装することができ、第1、第2リジッド部3、4の面積を小さくできる。
【0022】
更に、第1、第2フレキ部7、8の第1、第2接続パターン7a、8aを柔軟性のある導電ペーストを用いて印刷形成しているので、フレキ部7、8の折り曲げに追従して第1、第2接続パターン7a、8aが折り曲げることができる。
そのために、第1、第2接続パターン7a、8aに断線等の障害が発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のフレキシブル配線基板を説明する斜視図である。
【図2】本発明に係わるパターン接続部の要部断面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】従来のフレキシブル配線基板を説明する要部断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 本発明のフレキシブル配線基板
2 絶縁フィルム
3 第1リジッド部
3a 第1配線パターン
3b 接続部
4 第2リジッド部
4a 第2配線パターン
5 第1補強板
6 第2補強板
7 第1フレキ部
7a 第1接続パターン
8 第2フレキ部
8a 第2接続パターン
8b リード部
9 第3補強板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する1枚の絶縁フィルム上に形成した複数の配線パターンと、この配線パターンに接続される接続パターンとを備え、前記配線パターンを形成した部分の前記絶縁フィルムは、補強板で補強されてリジッド部となり、前記接続パターンを形成した部分の前記絶縁フィルムは、可撓性のあるフレキ部となり、このフレキ部に形成した前記接続パターンは、柔軟性のある導電ペーストを用いて印刷形成して前記配線パターンに接続したことを特徴とするフレキシブル配線基板。
【請求項2】
前記接続パターンに用いている前記導電ペーストは、ポリエステル樹脂からなるバインダを用いていることを特徴とする請求項1記載のフレキシブル配線基板。
【請求項3】
前記配線パターンは、前記接続パターンと接続する接続部の幅寸法が前記接続パターンと同等あるいは幅狭に形成され、前記配線パターンの接続部上に前記接続パターンを重ね合わせて印刷形成したことを特徴とする請求項1、または2記載のフレキシブル配線基板。
【請求項4】
前記フレキ部の端部を補強板で補強し、この部分に前記接続パターンを延長させてリード部を形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のフレキシブル配線基板。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−19336(P2006−19336A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192995(P2004−192995)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】