フロアコンソール
【課題】複数の形態に容易に構成し得るようにする。
【解決手段】コンソール本体10に画成した物品収納部12の上方開口部14に、上面に物品積載部36を形成したリッドRまたは内部に物品収納部60を画成したボックスBを、選択的に着脱自在に装着し得るようにする。コンソール本体10には係止ピン22を設けると共に、リッドRおよびボックスBに該係止ピン22と係脱自在に係止する係止フック48,126を設け、これら係止ピン22と係止フック部48,126との係合作用下に、リッドRおよびボックスBをコンソール本体10に固定する。
【解決手段】コンソール本体10に画成した物品収納部12の上方開口部14に、上面に物品積載部36を形成したリッドRまたは内部に物品収納部60を画成したボックスBを、選択的に着脱自在に装着し得るようにする。コンソール本体10には係止ピン22を設けると共に、リッドRおよびボックスBに該係止ピン22と係脱自在に係止する係止フック48,126を設け、これら係止ピン22と係止フック部48,126との係合作用下に、リッドRおよびボックスBをコンソール本体10に固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアコンソールに関し、更に詳細には、車両乗員室における左右座席間のフロアに設置されるコンソール本体に、上方へ開口した物品収納部を画成したフロアコンソールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
セダンタイプやステーションワゴンタイプ等の自動車では、車内における前部座席間(運転席と助手席との間)のフロアに、フロアコンソールが設置されている場合が多い。このフロアコンソールは、例えばインジェクション成形部材であるコンソール本体を主体とし、チェンジレバーやカップホルダ等が該コンソール本体の上面に配設または設置される一方、このコンソール本体の後側部分には、上方へ開口する物品収納部が画成されており、身辺小間物等の物品を出し入れ可能に収納し得るようになっている。また、コンソール本体の後部上面には、前述した物品収納部の上方開口部を閉成可能に開放するコンソールリッドが枢設され、該コンソールリッドを開放させることで物品収納部に対する物品の出し入れが許容されるようになっている。このようなフロアコンソールは、例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開平5−139454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで従来のフロアコンソールでは、物品収納部の上方開口部に枢設したコンソールリッドを、単なる開閉可能とした形態のものが主流となっているが、なかには該コンソールリッドを着脱可能とした形態のものも提案されている。しかしながら、コンソールリッドを着脱可能とする理由は、物品収納部へ大きな物品を収納させてコンソールリッドが閉まらない場合等に、当該のコンソールリッドを一時的に取り外し得るようにするためである。すなわち従来のフロアコンソールでは、コンソール本体をユニット化して、コンソールリッドとこれとは異なる別の部材を、物品収納部の上方開口部へ装着するようにして、複数の形態のコンソールボックスに容易に構成するという技術的思想は全くなかった。
【0004】
そこで本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたもので、複数の形態に容易に構成し得るようにしたフロアコンソールを提供することを目的とする。
【0005】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため本発明は、
車両のフロアに設置されるコンソール本体に、上方へ開口する物品収納部を画成したフロアコンソールにおいて、
前記物品収納部の上方開口部に、形態の異なる複数の部材を選択的に着脱自在に装着し得るよう構成したことを特徴とする。
【0006】
なお、コンソール本体の上方開口部に係止受部を設けると共に、各部材に該係止受部と係脱自在に係止する係止部を設け、これら係止受部と係止部との係合作用下に、部材をコンソール本体に固定するようにするのが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るフロアコンソールによれば、コンソール本体に設けた物品収納部の上方開口部に、形状および形態の異なる複数の部材を選択的に着脱自在に装着し得る。従って、部材のバリエーションによって複数の実施形態に設定し得るので、各部材を標準装備とした場合には好みや目的に応じて各部材を選択的に使用できるのでユーザーの利便に供し得ると共に、各車種やグレード毎にコンソール本体を共通化して標準装備とする部材を変更するようにすれば、成形コスト低減や成形合理化を目指すメーカーの利便に供し得る等の有益な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明に係るフロアコンソールにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例】
【0009】
図1は、好適実施例に係るフロアコンソールを構成するコンソール本体および各部材を示した説明斜視図、図2は、リッド状の部材(以下、「リッド」という)をコンソール本体に装着して構成されたフロアコンソールの概略斜視図、図3は、ボックス状の部材(以下「ボックス」という)をコンソール本体に装着して構成されたフロアコンソールの概略斜視図である。本実施例のフロアコンソールFCは、コンソール本体10に画成した物品収納部12の上方開口部14に、形態の異なる複数の部材、すなわちリッドRおよびボックスBの2種類の部材を選択的に着脱自在に装着し得るよう構成することで、リッドRを装着してなる第1形態(図2)およびボックスBを装着してなる第2形態(図3)となし得るようにしたものである。
【0010】
コンソール本体10は、車両乗員室の前部座席間(運転席および助手席の間)のフロアに、車体の前後方向へ延在するよう設置される細長箱体状に構成されており、その前側部分が図示しないインストルメントパネルの中央に連結されるようになっている。そして、チェンジレバー16が中央上面に配設されていると共に、上方へ開口した矩形状の物品収納部12が後側部分に画成されている。なお符号18は、図示しない後部座席用のカップホルダである。但しコンソール本体10は、図に例示した形状、デザインのものに限定されるものではなく、設置対象である自動車(車両)の内装デザインに合わせてその形状、サイズおよびデザイン等が適宜変更される。
【0011】
そしてコンソール本体10において、物品収納部12の上方開口部14の前側および後側に隣接した部位には、前述したリッドRおよびボックスBを該コンソール本体10に安定的に装着するための設置受部20,20が設けられている。これら設置受部20,20の内壁面(上方開口部14へ臨む面)20Aの両端部近傍には、前述したリッドRまたはボックスBを固定するため係止ピン(係止受部)22が、水平に延出した姿勢で配設されている。また、各々の係止ピン22の内側に隣接して、前述したリッドRの開放時の開放角度を規制する開放規制ピン24が、水平に延出した姿勢で配設されている。
【0012】
次に、コンソール本体10に着脱自在に装着される前述のリッドRおよびボックスBについて、図4〜図12を引用して説明する。
【0013】
リッドRは、図4に例示するように、逆トレー状の表側リッド部材30とトレー状の裏側リッド部材32とからなり、両リッド部材30,32の内部にリッド空間34を画成した矩形中空体となっており、前述した上方開口部14の開口領域に合致するサイズとされている。そして表側リッド部材30には、周縁部より中央部が陥凹的に形成されており、この陥凹部が適宜物品を載置し得る物品載置部36となっている。また裏側リッド部材32の側面から裏面に亘る端縁部には、図6および図7にも例示するように、表側リッド部材30の端縁部の一部と共に、前述した係止ピン22および開放規制ピン24の挿通を許容するピン挿通口38が形成されている。これらピン挿通口38は、係止ピン22を回動中心としてリッドRが開閉するに際し、開放規制ピン24が開閉動作の支障とならないよう考慮した開口形状となっている。一方、裏側リッド部材32において、前述のピン挿通口38に隣接する部位には、図8(b)に例示するように、リッドRが略垂直まで開放した際に開放規制ピン24が当接する開放規制片40が形成されており、この開放規制片40が開放規制ピン24に当接することで当該リッドRの開放規制が図られるようになっている。
【0014】
そして、リッドRにおける短手方向における端縁部中央には、コンソール本体10に対する当該リッドRの開閉および着脱に際し、指先操作を行なう操作レバー42,42が配設されている。これら各操作レバー42,42の両端には、リッドRの長手方向へ延在する2本のロッド部材44,44が同一軸線上に連結され、これらロッド部材44,44が裏側リッド部材32に設けた軸支部46,46に回動可能に支持されている。そして、各ロッド部材44,44の他端部には、前述したコンソール本体10の設置受部20,20に配設した係止ピン22に係脱可能に係止する係止フック(係止部)48,48が配設されている。このような各々の操作レバー42は、図示しない捻りバネ等の付勢部材により付勢されており、指先操作を行なっていない非操作状態にあっては、ロッド部材44に配設した各係止フック48を、ピン挿通口38へ延出させて対応の係止ピン22へ係止する係止位置に保持させる(図7の状態)。また、指先操作によりリッドRの表面側へ引き上げるように回動させた操作状態にあっては、ロッド部材44に配設した各係止フック48を、ピン挿通口38から退避させて対応の係止ピン22との係止が解除される非係止位置へ姿勢変位させるようになっている(図6の状態)。
【0015】
従って本実施例のリッドRは、コンソール本体10に画成した物品収納部12の上方開口部14に装着する場合、図6に例示したように、前述した両方の操作レバー42,42を指先操作して各係止フック48を非係止位置へ姿勢変位させながら該上方開口部14へセットすることで、各係止ピン22および開放規制ピン24が対応のピン挿通口38へ挿通するようになる。そして、リッドRが上方開口部14へ適切にセットされたら、各操作レバー42,42に対する指先操作を解除すれば、図7に例示したように、各係止フック48が係止位置へ姿勢変位して対応の係止ピン22と係止されるようになり、コンソール本体10に対してリッドRが固定されるに至る。なお、コンソール本体10に装着されているリッドRを取り外す場合は、前述した両方の操作レバー42,42を指先操作して各係止フック48を非係止位置へ変位させたもとで、該リッドRを上方へ引き上げるようにすればよい。
【0016】
また本実施例のリッドRは、前述した各々の操作レバー42,42を個別に操作することで、コンソール本体10の左側および右側の両方向へ開放し得るようになっている。例えば、図8(a)に例示するように、図示右側の操作レバー42を指先操作すると該操作レバー42に連結した係止フック48と係止ピン22との係止が解除され、図示左側の操作レバー42に連結した係止フック48と係止ピン22とは係止状態に保持されているため、図8(b)に例示するように、左側の係止ピン22をヒンジポイントとしたリッドRの左側開放が許容される。また、図示左側の操作レバー42を指先操作すると該操作レバー42に連結した係止フック48と係止ピン22との係止が解除され、図示右側の操作レバー42に連結した係止フック48と係止ピン22とは係止状態に保持されているため、図8(b)に2点鎖線表示するように、右側の係止ピン22をヒンジポイントとしたリッドRの右側開放が許容される。
【0017】
ボックスBは、図1および図5に例示するように、物品収納部60を画成した矩形の有底箱状をなすボックス本体50と、このボックス本体50に開閉および着脱可能に配設されるボックスリッド52とから構成されている。ボックス本体50は、有底箱状に形成されてボックスBの外部へ露出する合成樹脂製の外側ケース部材54と、この外側ケース部材54より一回り小さい有底箱体状に形成されて、前述した物品収納部60の内面として機能する合成樹脂製の内側ケース部材56とからなり、これら外側ケース部材54と内側ケース部材56との間に適宜の本体空間58を画成した二重箱形態となっている。そして本体空間58内には、後述する連繋機構102の第2連繋部106を構成する種々部材等が配設されている。
【0018】
ボックス本体50の上部には、物品収納部60の上部開口部62を挟んだ長手方向における両端縁に、所要量だけ上方へ突出した本体突出部64,64が形成されており、上部開口部62へ臨む内壁面64Aの両端部近傍には、前述したボックスリッド52の開閉動作時の支点として機能する開放支持ピン66と、該ボックスリッド52の開放角度に規定する開放規制ピン68とが、水平に延出した姿勢で夫々配設されている。そして、ボックス本体50の上部において、上部開口部62を挟んだ短手方向における両端縁には、連繋機構102の第2連繋部106を構成する昇降ロッド部材120の上端を外方(上方)へ臨ませるための本体開口70が、夫々2つずつ形成されている(図12)。また、ボックス本体50の下部部分における両端縁部は、コンソール本体10に設けた前述の設置受部20,20が整合する本体陥凹部72,72が形成されている。更に、これら本体陥凹部72,72の垂直面から底面に至る隅角部には、設置受部20に設けた前述の係止ピン22および開放規制ピン24の挿通を許容するL字状のピン挿通口74,74が形成されている。
【0019】
ボックスリッド52は、前述したリッドRの基本的構成を採用すると共に、更に把持可能なグリップ部材86,86およびこれに連繋した連繋機構102の第1連繋部104を追加して配設したもので、逆トレー状の表側リッド部材80とトレー状の裏側リッド部材82とからなり、両リッド部材80,82の内部にリッド空間84を画成した矩形中空体となっており、前述したボックス本体50の上部開口部62の開口領域に合致するサイズとされている。そして、ボックスリッド52の表側中央には、取っ手形態をなすコ字形の前述のグリップ部材86,86が回動可能に配設されており、表側リッド部材80には該グリップ部材86,86を収容するための収容部88が陥設されている。これらグリップ部材86は、前述した収容部88に収容されるように倒伏した非使用状態と、ボックスリッド52の表面から略垂直に起立した使用状態とに、指先操作により姿勢変位可能となっており、かつ夫々の状態において姿勢保持されるようになっている。
【0020】
裏側リッド部材82の側面から裏面に亘る端縁部には、前述したリッドRと同様に、表側リッド部材80の端縁部の一部と共に、前述した開放支持ピン66および開放規制ピン68の挿通を許容するピン挿通口90が形成されている(図12)。これらピン挿通口90は、開放支持ピン66を回動中心としてボックスリッド52が開閉するに際し、開放規制ピン68が開閉動作の支障とならないよう考慮した開口形状となっている。また、裏側リッド部材82において、前述のピン挿通口90に隣接する部位には、前述したリッドRと同様に、略垂直まで開放した際に開放規制ピン68が当接する開放規制片92が形成されており、この開放規制片92が開放規制ピン68に当接することで当該ボックスリッド52の開放規制が図られるようになっている。
【0021】
また、ボックスリッド52の短手方向における端縁部中央には、前述したリッドRに設けたものと基本的に同一構成であって、ボックス本体50に対する当該ボックスリッド52の開閉および着脱に際して指先操作を行なう操作レバー94,94が配設されている。これら操作レバー94の両端には、ボックスリッド52の長手方向へ延在する2本のロッド部材96,96が同一軸線上に連結され、これらロッド部材96,96が裏側リッド部材82に設けた軸支部98,98に回動可能に支持されている。そして、各ロッド部材96,96の他端部には、前述したボックス本体50の本体突出部64,64に配設した開放支持ピン66に係脱可能に係止する係止フック100,100が配設されている。このような各々の操作レバー94は、図示しない捻りバネ等の付勢部材により付勢されており、指先操作をしない非操作状態にあっては、ロッド部材96に配設した各係止フック100を、ピン挿通口90へ延出させて対応の開放支持ピン66へ係止するようになる係止位置に保持させる。また、指先操作によりボックスリッド52の表面側へ引き上げるように回動させた操作状態にあっては、前述した各係止フック100を、ピン挿通口90から退避させて対応の開放支持ピン66に対する係止が解除される非係止位置へ姿勢変位させるようになっている。従って本実施例のボックスリッド52は、前述したリッドRと同様の操作を行なうことで、ボックス本体50に対する着脱および左右両側方への開放が許容されるようになっている。
【0022】
そして前述のように構成されたボックスBは、前述したグリップ部材86,86を使用状態または非使用状態に姿勢変位させた際に、連繋機構102による連繋により、ボックス本体50の底部に配設した各係止フック(係止部)126を連動させて非係止位置と係止位置とに姿勢変位させる構造となっている。すなわち、両グリップ部材86を使用状態(起立状態)に姿勢変位させると各係止フック126が非係止位置に姿勢変位して係止ピン22に対する係止が解除され、コンソール本体10に対する当該ボックスBの離脱(着脱)を許容する一方、両グリップ部材86を非使用状態(倒伏状態)に姿勢変位させると各係止フック126が係止位置に姿勢変位して係止ピン22に係止し、コンソール本体10に対する当該ボックスBの固定が許容される構造となっている。このようなグリップ部材86の姿勢変位と係止ピン22の姿勢変位とを連動させる連繋機構102は、ボックスリッド52のリッド空間84内に配設されて、グリップ部材86に連繋する第1連繋部104と、ボックス本体50の本体空間58内に配設されて、第1連繋部104および係止フック126に夫々連繋する第2連繋部106とから構成されている。
【0023】
ボックスリッド52のリッド空間84内に配設される第1連繋部104は、図5、図9および図10等に例示したように、グリップ部材86を回動可能に支持する支軸ピンに配設された回動レバー部材108と、裏側リッド部材82に形成されたレールに沿ってスライド移動可能に配設され、該回動レバー部材108に連繋するスライド部材110と、裏側リッド部材82に形成されたガイド壁に沿ってスライド移動可能に配設され、スライド部材110の傾斜案内溝112に連繋する押圧部材114とから構成されている。そしてスライド部材110の内側には、該スライド部材110を常にはボックスリッド52の中央側へ付勢する圧縮バネ形態の付勢部材116が配設されている。なお第1連繋部104は、1つのグリップ部材86に対して2系列が並設されており、夫々が同期的に作動するようになっているので、同一部材、部位には同一の符号を付して説明する。
【0024】
このような第1連繋部104は、グリップ部材86を非使用状態に倒伏させた場合には、図10に例示したように、スライド部材110が付勢部材116の付勢力によりボックスリッド52の中央側へ移動するようになり、押圧部材114がボックスリッド52内へ完全に収容された状態となる。また、グリップ部材86を使用状態に起立させた場合には、図9に例示したように、回動レバー部材108がスライド部材110を押圧するようになるので、付勢部材116の付勢に抗してスライド部材110がボックスリッド52の端部側へ移動し、押圧部材114がリッド開口118を介してボックスリッド52の裏面から突出した状態となる。
【0025】
ボックス本体50の本体空間58内に配設される第2連繋部106は、図5等に例示したように、該本体空間58の側方部分に略垂直状態で昇降可能に配設され、前述した第1連繋部104の押圧部材114に連繋する昇降ロッド部材120と、該本体空間58の底部分において略水平状態で回動可能に配設され、前述した昇降ロッド部材120に連繋する回動ロッド部材122とからなり、この回動ロッド部材122の両端部に連結されて軸支部130,130により回動可能に支持されたロッド部材124,124の端部に、前述したピン挿通口74に臨んでコンソール本体10の設置受部20に配設した係止ピン22に係脱可能に係止する前述の係止フック(係止部)126,126が固定されている。このような各回動ロッド部材122は、図示しない捻りバネ等の付勢部材により回動付勢されており、前述した押圧部材114による押下力が昇降ロッド部材120に作用しない状態にあっては、回動ロッド部材122に配設した各係止フック126をピン挿通口74へ延出させ、対応の係止ピン22へ係止するようになる係止位置に保持させる。また、前述した押圧部材114がボックスリッド52の裏面から突出し、これによる押下力が昇降ロッド部材120に作用した状態にあっては、回動ロッド部材122が回動することで、前述した各係止フック126をピン挿通口74から退避させ、対応の係止ピン22に係止しない非係止位置へ姿勢変位させるようになっている。
【0026】
従って本実施例のボックスBは、グリップ部材86を非使用状態に倒伏させた場合、前述すると共に図10に例示したように、リッド開口118から押圧部材114が突出しないため昇降ロッド部材120が押し下げられず、これにより回動ロッド部材122が回動しないので各係止フック126が係止位置に姿勢保持される。また、グリップ部材86を使用状態に起立させた場合には、前述すると共に図9に例示したように、リッド開口118を介して突出した押圧部材114が、このリッド開口118に整合した本体開口70を介して昇降ロッド部材120を押し下げるようになり、これにより回動ロッド部材122が回動して各係止フック126が非係止位置へ姿勢変位するようになる。
【0027】
従って、コンソール本体10に画成した物品収納部12の上方開口部14に装着する場合、当該ボックスBを持ち上げるためにグリップ部材86,86を使用状態に起立させた際に、各係止フック126が非係止位置へ姿勢変位するようになり、この状態で該上方開口部14へセットすることで各係止ピン22および開放規制ピン24が対応のピン挿通口74,74へ適切に挿通するようになる。そして、ボックスBが上方開口部14へ適切にセットされたら、各グリップ部材86,86を非使用位置に倒伏させれば、図10に例示したように、各係止フック126が係止位置へ姿勢変位して対応の係止ピン22に係止されるようになり、コンソール本体10に対するボックスBの固定が図られる。
【0028】
また、コンソール本体10に固定されているボックスBを取り外す場合は、非使用位置となっていたグリップ部材86,86を使用位置へ起立させれば、各係止フック126が非係止位置へ変位して係止ピン22との係止が解除されるため、該グリップ部材86,86を把持しながらボックスBを上方へ引き上げるだけで、該ボックスBの離脱が許容される。
【0029】
このように本実施例のフロアコンソールFCでは、コンソール本体10に設けた物品収納部12の上方開口部14に、形状および形態の異なるリッドRまたはボックスBを選択的に着脱自在に装着し得る。すなわち、リッドRおよびボックスBによって2種類の実施形態に設定し得るので、例えばこれらリッドRおよびボックスBの両方を標準装備とした場合には、ユーザー自身が好みや目的に応じてこれらリッドRおよびボックスBの何れかを選択的に使用できるので、ユーザーの利便に供し得るようになる。また、各車種や各グレード毎にコンソール本体10を共通化したもとで、例えば低グレードの車種にはリッドRを標準装備とすると共に高グレードの車種にはボックスBを標準装備とすれば、標準装備の変更だけで各グレード毎に差別化を図ることが可能となり、成形コスト低減や成形合理化等を目指すメーカーの利便にも供し得るようになる。
【0030】
そして、前述したボックスBの場合、外側ケース部材54の底板部および内側ケース部材56の底板部からなるボックス底部(底部分)128を着脱可能な構造にすることが可能である。このような形態のボックスBの場合は、図11に例示するように、このボックスBをコンソール本体10の物品収納部12の上方開口部14へ装着した際に、ボックス底部128を該ボックスBから取り外せば、該ボックスBの底部に形成された開口部132を介してコンソール本体10の物品収納部12およびボックスBの物品収納部60が上下連通した大容量の単一空間として画成されるので、大型サイズの物品の収納を許容し得るようになる。
【0031】
なお前述した実施例では、グリップ部材86と係止フック126とを連動させる連繋機構102を、適宜の機械的な構成部品から構成した場合を例示したが、この連繋機構102は、適宜の電気的な構成部品から構成することも可能である。例えば、前述したボックスリッド52に、グリップ部材86の姿勢変位に基づいてON・OFF制御されるスイッチ部材を配設すると共に、前述したボックス本体50に、このスイッチ部材の信号に基づいて作動制御され、前述した係止フック126を係止位置と非係止位置とに姿勢変位させる作動部材(電磁ソレノイド、電気モータ等)を配設した構成としてもよい。このような電気的な部材構成であっても、グリップ部材86の姿勢変位操作のみで、コンソール本体10に対するボックスBの着脱および固定を図ることができる。
【0032】
また前述した実施例では、開閉および着脱可能なボックスリッド52を装備したボックスBを例示したが、このボックスリッド52の形態はこれに限定されるものではない。すなわち、開閉のみ可能で着脱が不可能なタイプのボックスリッドや、着脱のみが可能なタイプのボックスリッドであってもよい。
【0033】
更に前述した実施例では、コンソール本体10に画成した物品収納部12の上方開口部14に着脱可能に装着する部材として、物品載置部36を有するリッドRおよび物品収納部60を有するボックスBを例示したが、部材の形態はこれらに限定されるものではなく、例えば上面にウレタンパッドおよび表皮を配設したアームレストや、後部座席用のディスプレイを設置するための設置台部材等、様々な目的で実施される種々形態のものが実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本願のフロアコンソールは、車両乗員室の左右座席間のフロアに設置されるコンソール本体に、上方へ開口する物品収納部を画成したフロアコンソールにおいて、物品収納部の上方開口部に、形態の異なる複数の部材を選択的に着脱自在に装着し得るよう構成したものであり、フロアコンソールを装備する全ての自動車に好適に実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】好適実施例に係るフロアコンソールを構成するコンソール本体と、このコンソール本体に着脱可能に装着される部材であるリッドおよびボックスとを示した説明斜視図である。
【図2】リッドをコンソール本体に装着して構成されたフロアコンソールの概略斜視図である。
【図3】ボックスをコンソール本体に装着して構成されたフロアコンソールの概略斜視図である。
【図4】リッドの内部構造を示した分解斜視図である。
【図5】ボックスの内部構造を一部破断して示した斜視図である。
【図6】コンソール本体に画成した物品収納部の上方開口部にリッドを装着する状態を示した説明断面図である。
【図7】コンソール本体に画成した物品収納部の上方開口部にリッドを装着した状態を示した説明断面図である。
【図8】コンソール本体に装着したリッドの開放態様を示した説明断面図であって、(a)は、一方の操作部材を操作して係止ピンと係止フックとの係止を解除した状態を示し、(b)は、他方の係止ピンをヒンジポイントとしてリッドを開放した状態を示している。
【図9】コンソール本体に画成した物品収納部の上方開口部にボックスを装着する状態を示した説明断面図である。
【図10】コンソール本体に画成した物品収納部の上方開口部にボックスを装着した後、グリップ部材を非使用位置へ倒伏させることで該ボックスを固定させた状態を示した説明断面図である。
【図11】上方開口部に装着したボックス底部を取り外し、コンソール本体の物品収納部とボックスの物品収納部を空間的に連通させた状態を示した説明断面図である。
【図12】ボックスリッドを開放させた状態で示したボックスの概略斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
10 コンソール本体
12 物品収納部
14 上方開口部
22 係止ピン(係止受部)
36 物品載置部
48 係止フック(係止部)
60 物品収納部
126 係止フック(係止部)
128 ボックス底部(底部分)
B ボックス
R リッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアコンソールに関し、更に詳細には、車両乗員室における左右座席間のフロアに設置されるコンソール本体に、上方へ開口した物品収納部を画成したフロアコンソールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
セダンタイプやステーションワゴンタイプ等の自動車では、車内における前部座席間(運転席と助手席との間)のフロアに、フロアコンソールが設置されている場合が多い。このフロアコンソールは、例えばインジェクション成形部材であるコンソール本体を主体とし、チェンジレバーやカップホルダ等が該コンソール本体の上面に配設または設置される一方、このコンソール本体の後側部分には、上方へ開口する物品収納部が画成されており、身辺小間物等の物品を出し入れ可能に収納し得るようになっている。また、コンソール本体の後部上面には、前述した物品収納部の上方開口部を閉成可能に開放するコンソールリッドが枢設され、該コンソールリッドを開放させることで物品収納部に対する物品の出し入れが許容されるようになっている。このようなフロアコンソールは、例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開平5−139454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで従来のフロアコンソールでは、物品収納部の上方開口部に枢設したコンソールリッドを、単なる開閉可能とした形態のものが主流となっているが、なかには該コンソールリッドを着脱可能とした形態のものも提案されている。しかしながら、コンソールリッドを着脱可能とする理由は、物品収納部へ大きな物品を収納させてコンソールリッドが閉まらない場合等に、当該のコンソールリッドを一時的に取り外し得るようにするためである。すなわち従来のフロアコンソールでは、コンソール本体をユニット化して、コンソールリッドとこれとは異なる別の部材を、物品収納部の上方開口部へ装着するようにして、複数の形態のコンソールボックスに容易に構成するという技術的思想は全くなかった。
【0004】
そこで本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたもので、複数の形態に容易に構成し得るようにしたフロアコンソールを提供することを目的とする。
【0005】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため本発明は、
車両のフロアに設置されるコンソール本体に、上方へ開口する物品収納部を画成したフロアコンソールにおいて、
前記物品収納部の上方開口部に、形態の異なる複数の部材を選択的に着脱自在に装着し得るよう構成したことを特徴とする。
【0006】
なお、コンソール本体の上方開口部に係止受部を設けると共に、各部材に該係止受部と係脱自在に係止する係止部を設け、これら係止受部と係止部との係合作用下に、部材をコンソール本体に固定するようにするのが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るフロアコンソールによれば、コンソール本体に設けた物品収納部の上方開口部に、形状および形態の異なる複数の部材を選択的に着脱自在に装着し得る。従って、部材のバリエーションによって複数の実施形態に設定し得るので、各部材を標準装備とした場合には好みや目的に応じて各部材を選択的に使用できるのでユーザーの利便に供し得ると共に、各車種やグレード毎にコンソール本体を共通化して標準装備とする部材を変更するようにすれば、成形コスト低減や成形合理化を目指すメーカーの利便に供し得る等の有益な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明に係るフロアコンソールにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例】
【0009】
図1は、好適実施例に係るフロアコンソールを構成するコンソール本体および各部材を示した説明斜視図、図2は、リッド状の部材(以下、「リッド」という)をコンソール本体に装着して構成されたフロアコンソールの概略斜視図、図3は、ボックス状の部材(以下「ボックス」という)をコンソール本体に装着して構成されたフロアコンソールの概略斜視図である。本実施例のフロアコンソールFCは、コンソール本体10に画成した物品収納部12の上方開口部14に、形態の異なる複数の部材、すなわちリッドRおよびボックスBの2種類の部材を選択的に着脱自在に装着し得るよう構成することで、リッドRを装着してなる第1形態(図2)およびボックスBを装着してなる第2形態(図3)となし得るようにしたものである。
【0010】
コンソール本体10は、車両乗員室の前部座席間(運転席および助手席の間)のフロアに、車体の前後方向へ延在するよう設置される細長箱体状に構成されており、その前側部分が図示しないインストルメントパネルの中央に連結されるようになっている。そして、チェンジレバー16が中央上面に配設されていると共に、上方へ開口した矩形状の物品収納部12が後側部分に画成されている。なお符号18は、図示しない後部座席用のカップホルダである。但しコンソール本体10は、図に例示した形状、デザインのものに限定されるものではなく、設置対象である自動車(車両)の内装デザインに合わせてその形状、サイズおよびデザイン等が適宜変更される。
【0011】
そしてコンソール本体10において、物品収納部12の上方開口部14の前側および後側に隣接した部位には、前述したリッドRおよびボックスBを該コンソール本体10に安定的に装着するための設置受部20,20が設けられている。これら設置受部20,20の内壁面(上方開口部14へ臨む面)20Aの両端部近傍には、前述したリッドRまたはボックスBを固定するため係止ピン(係止受部)22が、水平に延出した姿勢で配設されている。また、各々の係止ピン22の内側に隣接して、前述したリッドRの開放時の開放角度を規制する開放規制ピン24が、水平に延出した姿勢で配設されている。
【0012】
次に、コンソール本体10に着脱自在に装着される前述のリッドRおよびボックスBについて、図4〜図12を引用して説明する。
【0013】
リッドRは、図4に例示するように、逆トレー状の表側リッド部材30とトレー状の裏側リッド部材32とからなり、両リッド部材30,32の内部にリッド空間34を画成した矩形中空体となっており、前述した上方開口部14の開口領域に合致するサイズとされている。そして表側リッド部材30には、周縁部より中央部が陥凹的に形成されており、この陥凹部が適宜物品を載置し得る物品載置部36となっている。また裏側リッド部材32の側面から裏面に亘る端縁部には、図6および図7にも例示するように、表側リッド部材30の端縁部の一部と共に、前述した係止ピン22および開放規制ピン24の挿通を許容するピン挿通口38が形成されている。これらピン挿通口38は、係止ピン22を回動中心としてリッドRが開閉するに際し、開放規制ピン24が開閉動作の支障とならないよう考慮した開口形状となっている。一方、裏側リッド部材32において、前述のピン挿通口38に隣接する部位には、図8(b)に例示するように、リッドRが略垂直まで開放した際に開放規制ピン24が当接する開放規制片40が形成されており、この開放規制片40が開放規制ピン24に当接することで当該リッドRの開放規制が図られるようになっている。
【0014】
そして、リッドRにおける短手方向における端縁部中央には、コンソール本体10に対する当該リッドRの開閉および着脱に際し、指先操作を行なう操作レバー42,42が配設されている。これら各操作レバー42,42の両端には、リッドRの長手方向へ延在する2本のロッド部材44,44が同一軸線上に連結され、これらロッド部材44,44が裏側リッド部材32に設けた軸支部46,46に回動可能に支持されている。そして、各ロッド部材44,44の他端部には、前述したコンソール本体10の設置受部20,20に配設した係止ピン22に係脱可能に係止する係止フック(係止部)48,48が配設されている。このような各々の操作レバー42は、図示しない捻りバネ等の付勢部材により付勢されており、指先操作を行なっていない非操作状態にあっては、ロッド部材44に配設した各係止フック48を、ピン挿通口38へ延出させて対応の係止ピン22へ係止する係止位置に保持させる(図7の状態)。また、指先操作によりリッドRの表面側へ引き上げるように回動させた操作状態にあっては、ロッド部材44に配設した各係止フック48を、ピン挿通口38から退避させて対応の係止ピン22との係止が解除される非係止位置へ姿勢変位させるようになっている(図6の状態)。
【0015】
従って本実施例のリッドRは、コンソール本体10に画成した物品収納部12の上方開口部14に装着する場合、図6に例示したように、前述した両方の操作レバー42,42を指先操作して各係止フック48を非係止位置へ姿勢変位させながら該上方開口部14へセットすることで、各係止ピン22および開放規制ピン24が対応のピン挿通口38へ挿通するようになる。そして、リッドRが上方開口部14へ適切にセットされたら、各操作レバー42,42に対する指先操作を解除すれば、図7に例示したように、各係止フック48が係止位置へ姿勢変位して対応の係止ピン22と係止されるようになり、コンソール本体10に対してリッドRが固定されるに至る。なお、コンソール本体10に装着されているリッドRを取り外す場合は、前述した両方の操作レバー42,42を指先操作して各係止フック48を非係止位置へ変位させたもとで、該リッドRを上方へ引き上げるようにすればよい。
【0016】
また本実施例のリッドRは、前述した各々の操作レバー42,42を個別に操作することで、コンソール本体10の左側および右側の両方向へ開放し得るようになっている。例えば、図8(a)に例示するように、図示右側の操作レバー42を指先操作すると該操作レバー42に連結した係止フック48と係止ピン22との係止が解除され、図示左側の操作レバー42に連結した係止フック48と係止ピン22とは係止状態に保持されているため、図8(b)に例示するように、左側の係止ピン22をヒンジポイントとしたリッドRの左側開放が許容される。また、図示左側の操作レバー42を指先操作すると該操作レバー42に連結した係止フック48と係止ピン22との係止が解除され、図示右側の操作レバー42に連結した係止フック48と係止ピン22とは係止状態に保持されているため、図8(b)に2点鎖線表示するように、右側の係止ピン22をヒンジポイントとしたリッドRの右側開放が許容される。
【0017】
ボックスBは、図1および図5に例示するように、物品収納部60を画成した矩形の有底箱状をなすボックス本体50と、このボックス本体50に開閉および着脱可能に配設されるボックスリッド52とから構成されている。ボックス本体50は、有底箱状に形成されてボックスBの外部へ露出する合成樹脂製の外側ケース部材54と、この外側ケース部材54より一回り小さい有底箱体状に形成されて、前述した物品収納部60の内面として機能する合成樹脂製の内側ケース部材56とからなり、これら外側ケース部材54と内側ケース部材56との間に適宜の本体空間58を画成した二重箱形態となっている。そして本体空間58内には、後述する連繋機構102の第2連繋部106を構成する種々部材等が配設されている。
【0018】
ボックス本体50の上部には、物品収納部60の上部開口部62を挟んだ長手方向における両端縁に、所要量だけ上方へ突出した本体突出部64,64が形成されており、上部開口部62へ臨む内壁面64Aの両端部近傍には、前述したボックスリッド52の開閉動作時の支点として機能する開放支持ピン66と、該ボックスリッド52の開放角度に規定する開放規制ピン68とが、水平に延出した姿勢で夫々配設されている。そして、ボックス本体50の上部において、上部開口部62を挟んだ短手方向における両端縁には、連繋機構102の第2連繋部106を構成する昇降ロッド部材120の上端を外方(上方)へ臨ませるための本体開口70が、夫々2つずつ形成されている(図12)。また、ボックス本体50の下部部分における両端縁部は、コンソール本体10に設けた前述の設置受部20,20が整合する本体陥凹部72,72が形成されている。更に、これら本体陥凹部72,72の垂直面から底面に至る隅角部には、設置受部20に設けた前述の係止ピン22および開放規制ピン24の挿通を許容するL字状のピン挿通口74,74が形成されている。
【0019】
ボックスリッド52は、前述したリッドRの基本的構成を採用すると共に、更に把持可能なグリップ部材86,86およびこれに連繋した連繋機構102の第1連繋部104を追加して配設したもので、逆トレー状の表側リッド部材80とトレー状の裏側リッド部材82とからなり、両リッド部材80,82の内部にリッド空間84を画成した矩形中空体となっており、前述したボックス本体50の上部開口部62の開口領域に合致するサイズとされている。そして、ボックスリッド52の表側中央には、取っ手形態をなすコ字形の前述のグリップ部材86,86が回動可能に配設されており、表側リッド部材80には該グリップ部材86,86を収容するための収容部88が陥設されている。これらグリップ部材86は、前述した収容部88に収容されるように倒伏した非使用状態と、ボックスリッド52の表面から略垂直に起立した使用状態とに、指先操作により姿勢変位可能となっており、かつ夫々の状態において姿勢保持されるようになっている。
【0020】
裏側リッド部材82の側面から裏面に亘る端縁部には、前述したリッドRと同様に、表側リッド部材80の端縁部の一部と共に、前述した開放支持ピン66および開放規制ピン68の挿通を許容するピン挿通口90が形成されている(図12)。これらピン挿通口90は、開放支持ピン66を回動中心としてボックスリッド52が開閉するに際し、開放規制ピン68が開閉動作の支障とならないよう考慮した開口形状となっている。また、裏側リッド部材82において、前述のピン挿通口90に隣接する部位には、前述したリッドRと同様に、略垂直まで開放した際に開放規制ピン68が当接する開放規制片92が形成されており、この開放規制片92が開放規制ピン68に当接することで当該ボックスリッド52の開放規制が図られるようになっている。
【0021】
また、ボックスリッド52の短手方向における端縁部中央には、前述したリッドRに設けたものと基本的に同一構成であって、ボックス本体50に対する当該ボックスリッド52の開閉および着脱に際して指先操作を行なう操作レバー94,94が配設されている。これら操作レバー94の両端には、ボックスリッド52の長手方向へ延在する2本のロッド部材96,96が同一軸線上に連結され、これらロッド部材96,96が裏側リッド部材82に設けた軸支部98,98に回動可能に支持されている。そして、各ロッド部材96,96の他端部には、前述したボックス本体50の本体突出部64,64に配設した開放支持ピン66に係脱可能に係止する係止フック100,100が配設されている。このような各々の操作レバー94は、図示しない捻りバネ等の付勢部材により付勢されており、指先操作をしない非操作状態にあっては、ロッド部材96に配設した各係止フック100を、ピン挿通口90へ延出させて対応の開放支持ピン66へ係止するようになる係止位置に保持させる。また、指先操作によりボックスリッド52の表面側へ引き上げるように回動させた操作状態にあっては、前述した各係止フック100を、ピン挿通口90から退避させて対応の開放支持ピン66に対する係止が解除される非係止位置へ姿勢変位させるようになっている。従って本実施例のボックスリッド52は、前述したリッドRと同様の操作を行なうことで、ボックス本体50に対する着脱および左右両側方への開放が許容されるようになっている。
【0022】
そして前述のように構成されたボックスBは、前述したグリップ部材86,86を使用状態または非使用状態に姿勢変位させた際に、連繋機構102による連繋により、ボックス本体50の底部に配設した各係止フック(係止部)126を連動させて非係止位置と係止位置とに姿勢変位させる構造となっている。すなわち、両グリップ部材86を使用状態(起立状態)に姿勢変位させると各係止フック126が非係止位置に姿勢変位して係止ピン22に対する係止が解除され、コンソール本体10に対する当該ボックスBの離脱(着脱)を許容する一方、両グリップ部材86を非使用状態(倒伏状態)に姿勢変位させると各係止フック126が係止位置に姿勢変位して係止ピン22に係止し、コンソール本体10に対する当該ボックスBの固定が許容される構造となっている。このようなグリップ部材86の姿勢変位と係止ピン22の姿勢変位とを連動させる連繋機構102は、ボックスリッド52のリッド空間84内に配設されて、グリップ部材86に連繋する第1連繋部104と、ボックス本体50の本体空間58内に配設されて、第1連繋部104および係止フック126に夫々連繋する第2連繋部106とから構成されている。
【0023】
ボックスリッド52のリッド空間84内に配設される第1連繋部104は、図5、図9および図10等に例示したように、グリップ部材86を回動可能に支持する支軸ピンに配設された回動レバー部材108と、裏側リッド部材82に形成されたレールに沿ってスライド移動可能に配設され、該回動レバー部材108に連繋するスライド部材110と、裏側リッド部材82に形成されたガイド壁に沿ってスライド移動可能に配設され、スライド部材110の傾斜案内溝112に連繋する押圧部材114とから構成されている。そしてスライド部材110の内側には、該スライド部材110を常にはボックスリッド52の中央側へ付勢する圧縮バネ形態の付勢部材116が配設されている。なお第1連繋部104は、1つのグリップ部材86に対して2系列が並設されており、夫々が同期的に作動するようになっているので、同一部材、部位には同一の符号を付して説明する。
【0024】
このような第1連繋部104は、グリップ部材86を非使用状態に倒伏させた場合には、図10に例示したように、スライド部材110が付勢部材116の付勢力によりボックスリッド52の中央側へ移動するようになり、押圧部材114がボックスリッド52内へ完全に収容された状態となる。また、グリップ部材86を使用状態に起立させた場合には、図9に例示したように、回動レバー部材108がスライド部材110を押圧するようになるので、付勢部材116の付勢に抗してスライド部材110がボックスリッド52の端部側へ移動し、押圧部材114がリッド開口118を介してボックスリッド52の裏面から突出した状態となる。
【0025】
ボックス本体50の本体空間58内に配設される第2連繋部106は、図5等に例示したように、該本体空間58の側方部分に略垂直状態で昇降可能に配設され、前述した第1連繋部104の押圧部材114に連繋する昇降ロッド部材120と、該本体空間58の底部分において略水平状態で回動可能に配設され、前述した昇降ロッド部材120に連繋する回動ロッド部材122とからなり、この回動ロッド部材122の両端部に連結されて軸支部130,130により回動可能に支持されたロッド部材124,124の端部に、前述したピン挿通口74に臨んでコンソール本体10の設置受部20に配設した係止ピン22に係脱可能に係止する前述の係止フック(係止部)126,126が固定されている。このような各回動ロッド部材122は、図示しない捻りバネ等の付勢部材により回動付勢されており、前述した押圧部材114による押下力が昇降ロッド部材120に作用しない状態にあっては、回動ロッド部材122に配設した各係止フック126をピン挿通口74へ延出させ、対応の係止ピン22へ係止するようになる係止位置に保持させる。また、前述した押圧部材114がボックスリッド52の裏面から突出し、これによる押下力が昇降ロッド部材120に作用した状態にあっては、回動ロッド部材122が回動することで、前述した各係止フック126をピン挿通口74から退避させ、対応の係止ピン22に係止しない非係止位置へ姿勢変位させるようになっている。
【0026】
従って本実施例のボックスBは、グリップ部材86を非使用状態に倒伏させた場合、前述すると共に図10に例示したように、リッド開口118から押圧部材114が突出しないため昇降ロッド部材120が押し下げられず、これにより回動ロッド部材122が回動しないので各係止フック126が係止位置に姿勢保持される。また、グリップ部材86を使用状態に起立させた場合には、前述すると共に図9に例示したように、リッド開口118を介して突出した押圧部材114が、このリッド開口118に整合した本体開口70を介して昇降ロッド部材120を押し下げるようになり、これにより回動ロッド部材122が回動して各係止フック126が非係止位置へ姿勢変位するようになる。
【0027】
従って、コンソール本体10に画成した物品収納部12の上方開口部14に装着する場合、当該ボックスBを持ち上げるためにグリップ部材86,86を使用状態に起立させた際に、各係止フック126が非係止位置へ姿勢変位するようになり、この状態で該上方開口部14へセットすることで各係止ピン22および開放規制ピン24が対応のピン挿通口74,74へ適切に挿通するようになる。そして、ボックスBが上方開口部14へ適切にセットされたら、各グリップ部材86,86を非使用位置に倒伏させれば、図10に例示したように、各係止フック126が係止位置へ姿勢変位して対応の係止ピン22に係止されるようになり、コンソール本体10に対するボックスBの固定が図られる。
【0028】
また、コンソール本体10に固定されているボックスBを取り外す場合は、非使用位置となっていたグリップ部材86,86を使用位置へ起立させれば、各係止フック126が非係止位置へ変位して係止ピン22との係止が解除されるため、該グリップ部材86,86を把持しながらボックスBを上方へ引き上げるだけで、該ボックスBの離脱が許容される。
【0029】
このように本実施例のフロアコンソールFCでは、コンソール本体10に設けた物品収納部12の上方開口部14に、形状および形態の異なるリッドRまたはボックスBを選択的に着脱自在に装着し得る。すなわち、リッドRおよびボックスBによって2種類の実施形態に設定し得るので、例えばこれらリッドRおよびボックスBの両方を標準装備とした場合には、ユーザー自身が好みや目的に応じてこれらリッドRおよびボックスBの何れかを選択的に使用できるので、ユーザーの利便に供し得るようになる。また、各車種や各グレード毎にコンソール本体10を共通化したもとで、例えば低グレードの車種にはリッドRを標準装備とすると共に高グレードの車種にはボックスBを標準装備とすれば、標準装備の変更だけで各グレード毎に差別化を図ることが可能となり、成形コスト低減や成形合理化等を目指すメーカーの利便にも供し得るようになる。
【0030】
そして、前述したボックスBの場合、外側ケース部材54の底板部および内側ケース部材56の底板部からなるボックス底部(底部分)128を着脱可能な構造にすることが可能である。このような形態のボックスBの場合は、図11に例示するように、このボックスBをコンソール本体10の物品収納部12の上方開口部14へ装着した際に、ボックス底部128を該ボックスBから取り外せば、該ボックスBの底部に形成された開口部132を介してコンソール本体10の物品収納部12およびボックスBの物品収納部60が上下連通した大容量の単一空間として画成されるので、大型サイズの物品の収納を許容し得るようになる。
【0031】
なお前述した実施例では、グリップ部材86と係止フック126とを連動させる連繋機構102を、適宜の機械的な構成部品から構成した場合を例示したが、この連繋機構102は、適宜の電気的な構成部品から構成することも可能である。例えば、前述したボックスリッド52に、グリップ部材86の姿勢変位に基づいてON・OFF制御されるスイッチ部材を配設すると共に、前述したボックス本体50に、このスイッチ部材の信号に基づいて作動制御され、前述した係止フック126を係止位置と非係止位置とに姿勢変位させる作動部材(電磁ソレノイド、電気モータ等)を配設した構成としてもよい。このような電気的な部材構成であっても、グリップ部材86の姿勢変位操作のみで、コンソール本体10に対するボックスBの着脱および固定を図ることができる。
【0032】
また前述した実施例では、開閉および着脱可能なボックスリッド52を装備したボックスBを例示したが、このボックスリッド52の形態はこれに限定されるものではない。すなわち、開閉のみ可能で着脱が不可能なタイプのボックスリッドや、着脱のみが可能なタイプのボックスリッドであってもよい。
【0033】
更に前述した実施例では、コンソール本体10に画成した物品収納部12の上方開口部14に着脱可能に装着する部材として、物品載置部36を有するリッドRおよび物品収納部60を有するボックスBを例示したが、部材の形態はこれらに限定されるものではなく、例えば上面にウレタンパッドおよび表皮を配設したアームレストや、後部座席用のディスプレイを設置するための設置台部材等、様々な目的で実施される種々形態のものが実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本願のフロアコンソールは、車両乗員室の左右座席間のフロアに設置されるコンソール本体に、上方へ開口する物品収納部を画成したフロアコンソールにおいて、物品収納部の上方開口部に、形態の異なる複数の部材を選択的に着脱自在に装着し得るよう構成したものであり、フロアコンソールを装備する全ての自動車に好適に実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】好適実施例に係るフロアコンソールを構成するコンソール本体と、このコンソール本体に着脱可能に装着される部材であるリッドおよびボックスとを示した説明斜視図である。
【図2】リッドをコンソール本体に装着して構成されたフロアコンソールの概略斜視図である。
【図3】ボックスをコンソール本体に装着して構成されたフロアコンソールの概略斜視図である。
【図4】リッドの内部構造を示した分解斜視図である。
【図5】ボックスの内部構造を一部破断して示した斜視図である。
【図6】コンソール本体に画成した物品収納部の上方開口部にリッドを装着する状態を示した説明断面図である。
【図7】コンソール本体に画成した物品収納部の上方開口部にリッドを装着した状態を示した説明断面図である。
【図8】コンソール本体に装着したリッドの開放態様を示した説明断面図であって、(a)は、一方の操作部材を操作して係止ピンと係止フックとの係止を解除した状態を示し、(b)は、他方の係止ピンをヒンジポイントとしてリッドを開放した状態を示している。
【図9】コンソール本体に画成した物品収納部の上方開口部にボックスを装着する状態を示した説明断面図である。
【図10】コンソール本体に画成した物品収納部の上方開口部にボックスを装着した後、グリップ部材を非使用位置へ倒伏させることで該ボックスを固定させた状態を示した説明断面図である。
【図11】上方開口部に装着したボックス底部を取り外し、コンソール本体の物品収納部とボックスの物品収納部を空間的に連通させた状態を示した説明断面図である。
【図12】ボックスリッドを開放させた状態で示したボックスの概略斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
10 コンソール本体
12 物品収納部
14 上方開口部
22 係止ピン(係止受部)
36 物品載置部
48 係止フック(係止部)
60 物品収納部
126 係止フック(係止部)
128 ボックス底部(底部分)
B ボックス
R リッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアに設置されるコンソール本体(10)に、上方へ開口する物品収納部(12)を画成したフロアコンソールにおいて、
前記物品収納部(12)の上方開口部(14)に、形態の異なる複数の部材(R,B)を選択的に着脱自在に装着し得るよう構成した
ことを特徴とするフロアコンソール。
【請求項2】
前記部材(R)は、その上面に物品載置部(36)を形成したリッド状を呈している請求項1記載のフロアコンソール。
【請求項3】
前記部材(B)は、その内部に物品収納部(60)を画成したボックス状を呈している請求項1記載のフロアコンソール。
【請求項4】
前記コンソール本体(10)の上方開口部(14)に係止受部(22)を設けると共に、前記各部材(R,B)に該係止受部(22)と係脱自在に係止する係止部(48,126)を設け、これら係止受部(22)と係止部(48,126)との係合作用下に、部材(R,B)をコンソール本体(10)に固定するようにした請求項1〜3の何れかに記載のフロアコンソール。
【請求項5】
前記部材(B)の底部分(128)を該部材(B)から取り外すことで、前記各々の物品収納部(12,60)が空間的に連通させ得る請求項1または3記載のフロアコンソール。
【請求項1】
車両のフロアに設置されるコンソール本体(10)に、上方へ開口する物品収納部(12)を画成したフロアコンソールにおいて、
前記物品収納部(12)の上方開口部(14)に、形態の異なる複数の部材(R,B)を選択的に着脱自在に装着し得るよう構成した
ことを特徴とするフロアコンソール。
【請求項2】
前記部材(R)は、その上面に物品載置部(36)を形成したリッド状を呈している請求項1記載のフロアコンソール。
【請求項3】
前記部材(B)は、その内部に物品収納部(60)を画成したボックス状を呈している請求項1記載のフロアコンソール。
【請求項4】
前記コンソール本体(10)の上方開口部(14)に係止受部(22)を設けると共に、前記各部材(R,B)に該係止受部(22)と係脱自在に係止する係止部(48,126)を設け、これら係止受部(22)と係止部(48,126)との係合作用下に、部材(R,B)をコンソール本体(10)に固定するようにした請求項1〜3の何れかに記載のフロアコンソール。
【請求項5】
前記部材(B)の底部分(128)を該部材(B)から取り外すことで、前記各々の物品収納部(12,60)が空間的に連通させ得る請求項1または3記載のフロアコンソール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−44392(P2006−44392A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226078(P2004−226078)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
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