説明

フロアコンソール

【課題】コンソールリッドの着脱および両方向への回動を可能とすると共に、物品収納部への物品の出し入れ性の向上、安全性の向上等を考慮する。
【解決手段】コンソールリッド30の内部の一方側縁には、物品収納部12の一方側縁に設けた第1係止ピン24に係脱可能な第1係止フック58を有する第1操作機構50が配設され、内部の他方側縁には、物品収納部12の他方側縁に設けた第2係止ピン26に係脱可能な第2係止フック68を有する第2操作機構60が配設される。コンソールリッド30は、第1操作機構50および第2操作機構60を同時に操作することでコンソール本体10に対する着脱が許容され、第1操作機構50のみを操作することで他方側縁を中心とした回動が許容されると共に、第2操作機構60のみを操作することで一方側縁を中心とした回動が許容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアコンソールに関し、更に詳細には、車両のフロアに設置され、上方に開口する物品収納部を画成したコンソール本体と、このコンソール本体に装着され、前記物品収納部を開閉するコンソールリッドとからなるフロアコンソールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
セダンタイプやステーションワゴンタイプ等の自動車では、車内における前部座席間(運転席と助手席との間)のフロアに、フロアコンソールが設置されている場合が多い。このフロアコンソールは、例えばインジェクション成形部材であるコンソール本体を主体とし、チェンジレバーやカップホルダ等が該コンソール本体の上面に配設または設置される一方、このコンソール本体の後側部分には、上方へ開口する物品収納部が画成されており、身辺小間物等の物品を出し入れ可能に収納し得るようになっている。また、コンソール本体の後部上面には、前述した物品収納部の上方開口部を開放可能に閉成するコンソールリッドが配設されている。
【0003】
従来から実用化されている一般的なフロアコンソールは、物品収納部の上方開口部に配設されるコンソールリッドの後端側をコンソール本体に枢支した構造として、該コンソールリッドをコンソール本体の後方側へ開閉可能とした形態のものが主流となっていた。しかしながら、高級グレードの車両等に装備されるフロアコンソールでは、運転席の乗員および助手席の乗員の両方の利便性を考慮して、コンソール本体に対して着脱可能であると共に、該コンソール本体の左側および右側の両方へ回動させることで開放が可能なコンソールリッドを装備したものも実用化されている。このような着脱および両開き開閉が可能なコンソールリッドを具備したフロアコンソールは、例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開平4−238982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたコンソールボックス(フロアコンソール)では、開閉部材(コンソールリッド)に配設された係脱機構の操作用挟持腕および従動挟持腕が、開閉部材の裏側へ大きく突出した状態で配設されているため、次のような不都合が発生することが指摘される。第1に、取付本体から取り外した開閉部材は、車内のフロアや、運転席または助手席とフロアコンソールとの隙間等に一時的に収納しておく必要があるが、その裏面から鉤状に突出している係脱機構がカーペットや座席等に引っ掛かってしまい、スムーズな収納を行ない難いばかりか、場合によっては接触した内装部材にキズをつけてしまう虞れがあった。第2に、取付本体に対して左側方へ回動させて開放した際および右側方へ回動させて開放した際には、前述した係脱機構が開閉部材の裏側から物品収納部の上方へ突出するようになるため、該物品収納部へ出し入れしようとする物品が引っ掛かったり乗員の手や衣服が引っ掛かり易く、手が接触した際には負傷することもあり得る。第3に、開閉部材を取付本体へ閉成するに際して、係脱機構が物品収納部内へ収納した物品に突き当たって該開閉部材が適切に閉成できない虞れもあり、物品収納部の実質的な収納容積の減少を招来してしまう。
【0005】
更に係脱機構が、ギアの噛合わせ構造を採用した複雑な構造となっており、構成部品点数の増加や、成形コストが嵩む等の難点も指摘される。すなわち、特許文献1に開示のフロアコンソールは、着脱および両開き開閉が可能な開閉部材を設けたコンソールボックスの開閉装置を提案しただけであって、実際に実施するに際しての使い勝手や安全性等は殆ど考慮されたものではなかった。
【0006】
そこで本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたもので、コンソールリッドを着脱および両開き開閉が可能とすると共に、更には取り外したコンソールリッドの収納性の向上、コンソールリッドの開放時における物品収納部への物品の出し入れ性の向上、安全性の向上等を考慮したフロアコンソールを提供することを目的とする。
【0007】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため本発明は、
車両のフロアに設置され、上方に開口する物品収納部を画成したコンソール本体と、このコンソール本体に装着され、前記物品収納部を開閉するコンソールリッドとからなるフロアコンソールにおいて、
前記コンソールリッドの内部の一方側縁に配設され、前記物品収納部の一方側縁に設けた第1係止受部に係脱可能な第1係止部を有する第1操作機構と、
前記コンソールリッドの内部の他方側縁に配設され、前記物品収納部の他方側縁に設けた第2係止受部に係脱可能な第2係止部を有する第2操作機構とを有し、
前記コンソールリッドは、前記第1操作機構および第2操作機構を同時に操作することでコンソール本体に対する着脱が許容され、前記第1操作機構のみを操作することで他方側縁を中心とした回動が許容されると共に、前記第2操作機構のみを操作することで一方側縁を中心とした回動が許容されるよう構成したことを特徴とする。
【0008】
そして、第1操作機構および第2操作機構は、コンソールリッドに画成されたリッド空間内に収容され、該コンソールリッドに設けた開口部に臨む第1係止部および第2係止部も、該リッド空間内に収容されて外方へ突出しない。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るフロアコンソールによれば、第1操作機構および第2操作機構、そして第1操作機構に設けた第1係止部および第2操作機構に設けた第2係止部が、コンソールリッドの内部へ収納された状態で配設されているため、該コンソールリッドの外面(表面および裏面)には突起物等が一切突出していない。従って、コンソール本体から一時的に取り外したコンソールリッドは、例えば座席脇等の狭いスペース等に対して、スムーズに収容できると共に取出すことができる利点がある。また、コンソール本体から両方向へ回動させて開放した際も、コンソールリッドの裏面に突起物等が一切突出していないため、物品収納部に対する物品の出し入れを円滑に行ない得る。更には、物品収納部に対して物品を出し入れする際に、手や衣服等が引っ掛からないなめ手が負傷することもなく、安全性の向上を図り得る。更にまた、コンソール本体に対して右側または左側へオフセットさせた状態でコンソールリッドを装着するようにすれば、該コンソールリッドに物品を載置した状態で物品収納部に対する物品の出し入れが可能となる等の有益な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明に係るフロアコンソールにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、好適実施例に係るフロアコンソールの全体構成を示した概略斜視図、図2は、コンソールリッドの内部構造を示した分解斜視図である。本実施例のフロアコンソールFCは、車両のフロアに設置されて、上方に開口する物品収納部12を画成したコンソール本体10と、このコンソール本体10に装着されて、前記物品収納部12を開閉するコンソールリッド30とからなる。そしてコンソールリッド30は、後述するように、コンソール本体10に対する着脱および左右両側方への開閉が可能に配設されている。なお説明の便宜上、コンソール本体10の長手方向を「前後方向」、短手方向を「左右方向」とし、図示しないインストルメントパネルに連結される側を前側とする。
【0012】
コンソール本体10は、車両乗員室の前部座席間(運転席および助手席の間)のフロアに、車体の前後方向へ延在するよう設置される細長箱体状に構成されており、その前側部分が図示しないインストルメントパネルの中央部分に連結されるようになっている。そして、チェンジレバー14が中央上面に配設されていると共に、上方へ開口した矩形状の物品収納部12が後側部分に画成されている。なお符号16は、図示しない後部座席用のカップホルダである。但しコンソール本体10は、図1に例示した形状、デザインのものに限定されるものではなく、設置対象である自動車(車両)の内装デザインに合わせて形状、サイズおよびデザイン等が適宜変更される。
【0013】
そしてコンソール本体10において、物品収納部12の上方開口部18の前縁および後縁に隣接した部位には、図3に例示するように、前述したコンソールリッド30の安定的な着脱および安定的な開閉を許容する設置突部20,20が設けられている。これら設置突部20,20の内壁面(上方開口部18へ臨む面)22において、物品収納部12の一方端縁である左側端縁に臨む端部近傍には、前述したコンソールリッド30の固定および回動支点として機能する第1係止ピン(第1係止受部)24,24が、水平に延出した姿勢で対向的に配設されている。また、各設置突部20,20の内壁面22において、物品収納部12の他方端縁である右側側縁に臨む端部近傍には、前述したコンソールリッド30の固定および回動支点として機能する第2係止ピン(第2係止受部)26,26が、水平に延出した姿勢で対向的に配設されている。更に、各々の第1係止ピン24および第2係止ピン26の内側に隣接して、前述したコンソールリッド30が開放した際の開放角度を規制する開放規制ピン28が、水平に延出した姿勢で配設されている。更にまた、第1係止ピン24と第2係止ピン26との中間、すなわち各設置突部20,20の内壁面22の中央部分には、これら第1係止ピン24および第2係止ピン26と同一形態の第3係止ピン70が水平に延出した状態で対向的に配設されており、後述するように、第1係止フック58および第2係止フック68が係脱可能となっている。
【0014】
コンソールリッド30は、図2に例示するように、逆トレー状の表側リッド部材32とトレー状の裏側リッド部材34とからなり、両リッド部材32,34を組み付けた際に内部にリッド空間36が画成された矩形中空体となっており、前述した上方開口部18の開口領域に合致するサイズとされている。そして表側リッド部材32には、周縁部より中央部が陥凹的に形成されており、この陥凹部が適宜物品を載置し得る物品載置部38として機能するようになっている。また、裏側リッド部材34の側面から裏面に亘る端縁部には、図3および図6にも例示するように、表側リッド部材32の端縁部に形成した突部と共に、前述した第1係止ピン24または第2係止ピン26および開放規制ピン28の挿通を許容する第1ピン挿通口(開口部)40,40が形成されている。これら第1ピン挿通口40は、第1係止ピン24または第2係止ピン26を回動中心としてコンソールリッド30が開閉するに際し、開放規制ピン28が開閉動作の支障とならないよう考慮した開口形状となっている。一方、裏側リッド部材34において、前述の第1ピン挿通口40に隣接する部位には、図7および図8等に例示するように、コンソールリッド30が略垂直まで開放した際に開放規制ピン28が当接する開放規制片42が形成されており、この開放規制片42が開放規制ピン28に当接することで当該コンソールリッド30の開放規制が図られるようになっている。更に、裏側リッド部材34の側面中央から裏面に亘る端縁部には、図3および図6にも例示するように、前述した第1係止ピン24および開放規制ピン28の挿通、第2係止ピン26および開放規制ピン28の挿通、第3係止ピン70の挿通を許容する第2ピン挿通口48が形成されている。
【0015】
そして、コンソールリッド30のリッド空間36における一方側縁である左側縁には、前述の第1係止ピン24,24に係脱可能な第1係止フック(第1係止部)58,58を有する第1操作機構50が配設されている。また、コンソールリッド30のリッド空間36における他方側縁である右側縁には、前述の第2係止ピン26,26に係脱可能な第2係止フック(第2係止部)68,68を有する第2操作機構60が配設されている。これによりコンソールリッド30は、後述するように、第1操作機構50および第2操作機構60を同時に操作することでコンソール本体10に対する着脱が許容され、第1操作機構50のみを操作することで右側縁をヒンジ中心とした回動により右側方への開放が許容されると共に、第2操作機構60のみを操作することで左側縁をヒンジ中心とした回動により左側方への開放が許容されるように構成されている。
【0016】
第1操作機構50は、コンソールリッド30のリッド空間36内において回動可能に配設され、第1係止フック58が固定されたロッド52と、このロッド52に固定されて、コンソールリッド30から外方へ臨む操作レバー54と、常にはロッド52を一方向へ回動付勢し、第1係止フック58を対応する第1係止ピン24へ係止状態に保持する捻りバネ(付勢部材)56とから構成されている。すなわち、操作レバー54の前後両端に2本のロッド52,52が同一軸線上に連結されていると共に、各ロッド52,52の先端部に前述した第1係止フック58,58が固定されており、これらロッド52,52が裏側リッド部材34に設けた軸支部44,44に回動可能に支持されている。また捻りバネ56は、一方のロッド52へ装着されていて、その一端部が操作レバー54に係止されると共に、他端部が裏側リッド部材34の適宜位置に係止されている。なお実施例では、2本のロッド52,52を同一軸線上に連結した形態を採用されているが、単一の長尺のロッドを採用するようにしてもよい。
【0017】
第2操作機構60は、基本的には第1操作機構50と同一構成とされ、コンソールリッド30のリッド空間36内において回動可能に配設され、第2係止フック68が固定されたロッド62と、このロッド62に固定されて、コンソールリッド30から外方へ臨む操作レバー64と、常にはロッド62を一方向へ回動付勢し、第2係止フック68を対応する第2係止ピン26へ係止状態に保持する捻りバネ(付勢部材)66とから構成されている。すなわち、操作レバー64の前後両端に2本のロッド62,62が同一軸線上に連結されていると共に、各ロッド62,62の先端部に前述した第2係止フック68,68が固定されており、これらロッド62,62が裏側リッド部材34に設けた軸支部46,46に回動可能に支持されている。また捻りバネ66は、一方のロッド62へ装着されていて、その一端部が操作レバー64に係止されると共に、他端部が裏側リッド部材34の適宜位置に係止されている。
【0018】
そして、前述した第1操作機構50および第2操作機構60は、コンソールリッド30のリッド空間36内に収容されており、各操作レバー54,64はコンソールリッド30の表面から殆ど突出しないように配設される。また、第1ピン挿通口40に臨む第1係止フック58および第2係止フック68も、リッド空間36内に収容されてコンソールリッド30の裏面から外方へ全く突出しないように配設されている。すなわちコンソールリッド30は、その表面および裏面には突起物が全くなく、全体的に略平坦な平板形状を呈している。
【0019】
このような第1操作機構50および第2操作機構60は、前述した捻りバネ56,66による付勢力により、操作レバー54,64に対する指先操作を行なっていない非操作状態にあっては、第1係止フック58および第2係止フック68を、第1ピン挿通口40へ延出させて対応の第1係止ピン24および第2係止ピン26へ係止した状態となる係止位置に保持させる(図5の状態)。また、指先操作により操作レバー54,64をコンソールリッド30の表面側へ引き上げるように回動させた操作状態にあっては、第1係止フック58および第2係止フック68を、第1ピン挿通口40から退避させて対応の第1係止ピン24および第2係止ピン26との係止状態が解除される非係止位置へ姿勢変位させるようになっている(図4の状態)。
【0020】
次に、前述のように構成された本実施例のフロアコンソールFCの作用につき、図3〜図8を引用して説明する。
【0021】
本実施例のフロアコンソールFCは、コンソール本体10に画成した物品収納部12の上方開口部18へコンソールリッド30を装着する場合、図3および図4に例示したように、前述した両方の操作レバー54,64を指先操作して夫々の第1係止フック58および第2係止フック68を非係止位置へ姿勢変位させ、この状態で該設置突部20,20間へセットすることで、各第1係止ピン24、各第2係止ピン26および各開放規制ピン28が対応の第1ピン挿通口40へ挿通すると共に、各第3係止ピン70が第2ピン挿通口48へ挿通するようになる。そして、コンソールリッド30が上方開口部18へ適切にセットされたら、各操作レバー54,64に対する指先操作を解除すれば、図5に例示するように、各第1係止フック58および各第2係止フック68が係止位置へ姿勢変位して対応の第1係止ピン24および第2係止ピン26に係止されるようになる。これによりコンソールリッド30は、物品収納部12を閉成した状態でコンソール本体10に固定されるに至る。
【0022】
ここで図5に例示したように、コンソール本体10に固定されたコンソールリッド30は、その裏面が平坦となっているため、上方開口部18から物品収納部12内へ全く突出していない。従って、上方開口部18の高さまで物品収納部12内へ種々物品を収納したとしても、コンソールリッド30の適切な閉成が許容されるようになるから、該物品収納部12の収納容積が減少することがない。
【0023】
また、コンソール本体10に装着されているコンソールリッド30を取り外す場合は、前述した両方の操作レバー54,64を指先操作して各々の第1係止フック58および第2係止フック68を非係止位置へ変位させたもとで、当該のコンソールリッド30を上方へ引き上げるようにすれば、簡単かつ容易にコンソールリッド30を取り外すことができる。
【0024】
一方、本実施例のフロアコンソールFCは、コンソール本体10へコンソールリッド30を装着した状態において、前述した各々の操作レバー54,64を個別に操作することで、コンソール本体10の左側方または右側方の両方向へコンソールリッド30を開放し得るようになっている。例えば、図7(a)に例示するように、第1操作機構50における操作レバー54のみを指先操作して各第1係止フック58と各第1係止ピン24との係止状態を解除させた場合、第2操作機構60のロッド62に固定した各第2係止フック68と各第2係止ピン26とは係止状態に保持されているため、図6および図7(b)に例示するように、各第2係止ピン26をヒンジポイントとしたコンソールリッド30の右側方への開放が許容される。従って、フロアコンソールFCの左側に位置する図示しない座席側へ物品収納部12が開口するので、この左側の座席に着座した乗員が該物品収納部12に対して容易に物品の出し入れを行ない得るようになる。
【0025】
また、図8(a)に例示するように、第2操作機構60における操作レバー64のみを指先操作して各第2係止フック68と各第2係止ピン26との係止状態を解除させた場合、第1操作機構50のロッド52に固定した各第1係止フック58と各第1係止ピン24とは係止状態に保持されているため、図8(b)に例示するように、各第1係止ピン24をヒンジポイントとしたコンソールリッド30の左側方への開放が許容される。従って、フロアコンソールFCの右側に位置する図示しない座席側へ物品収納部12が開口するので、この右側の座席に着座した乗員が該物品収納部12に対して容易に物品の出し入れを行ない得るようになる。
【0026】
なおコンソールリッド30は、右側方または左側方へ回動してコンソール本体10に対して略垂直姿勢まで回動すると、前述した開放規制ピン28に開放規制片42が当接してこれ以上の開放は規制される。しかしながら、図7(b)および図8(b)に図示したように、該コンソールリッド30の裏面は第1係止フック58や第2係止フック68等が全く突出せずに平坦となっているため、物品収納部12に対する物品の出し入れを円滑に行ない得る。すなわち、物品収納部12に対して物品を出し入れするに際し、該物品や乗員の手および衣服等が引っ掛かるような突出部分が全くないので、物品の出し入れを行ない易いと共に手が負傷することもない。
【0027】
一方、本実施例のフロアコンソールFCは、第1係止ピン24および第2係止ピン26の間に設けた前述の第3係止ピン70を利用して、コンソール本体10から取り外したコンソールリッド30を、該コンソール本体10に対して左側または右側へオフセットさせて物品収納部12の上方開口部18を部分的に開放させた状態で装着することが可能となっている。例えば、図9(a)に例示するように、第1操作機構50における操作レバー54を指先操作しながら各第1係止フック58を各第3係止ピン70に係止させるようにすると、第2係止ピン26および開放規制ピン28が第2ピン挿通口48へ挿通するようになり、物品収納部12の上方開口部18の左側領域を部分的に開放させた状態でコンソールリッド30がコンソール本体10へ水平状態で装着される。また、図9(b)に例示するように、第2操作機構60における操作レバー64を指先操作しながら各第2係止フック68を各第3係止ピン70に係止させるようにすると、第1係止ピン24および開放規制ピン28が第2ピン挿通口48へ挿通するようになり、物品収納部12の上方開口部18の右側領域を部分的に開放させた状態でコンソールリッド30がコンソール本体10へ水平状態で装着される。
【0028】
これにより、例えば物品載置部38に物品が載置されている場合、コンソールリッド30を水平状態に保持したままで、該物品を取り除くことなく図5の状態から図9(a)または図9(b)の状態に変更して、部分的に開口した上方開口部18を介して物品収納部12に対する物品の出し入れを行なうことが可能である。また、物品収納部12へ収納しようとする物品または該物品収納部12から取り出した物品を、物品載置部38へ一時的に載置させておくことも可能である。
【0029】
なお、第3係止ピン70の設置位置および第2ピン挿通口48の形成位置を変更調整したり、これらの配設個数を増やすことにより、コンソール本体10に対するコンソールリッド30のオフセット量の増減調整が可能となり、上方開口部18の開口面積を変化させることも可能となる。
【0030】
このように本実施例のフロアコンソールFCでは、第1操作機構50および第2操作機構60、そして第1操作機構50のロッド52に固定された第1係止フック58および第2操作機構60のロッド62に固定された第2係止フック68が、コンソールリッド30のリッド空間36内へ完全に収納された状態で配設されている。このため、コンソールリッド30の外面(表面および裏面)には鉤状を呈する突起物等が一切突出していない。従って、コンソール本体10から一時的に取り外したコンソールリッド30は、例えば座席脇等の狭いスペース等に対し、スムーズに収容できると共にスムーズに取出すことができる。また、この際に内装部材等にキズをつけてしまう虞れもない。
【0031】
更に、コンソール本体10の左側方または右側方へ回動させて開放した際も、コンソールリッド30の裏面に突起物等が一切突出していないため、物品収納部12に対する物品の出し入れを円滑に行ない得る。しかもコンソールリッド30は、図7(b)および図8(b)に例示したように、略鉛直状態まで開放した際でも前述したように裏面に突起物が一切突出していないため、物品収納部12に対する物品の出し入れが行ない難くなることはない。そして前述したように、物品収納部12に対して物品を出し入れする際に、手や衣服等が引っ掛からないなめ手が負傷する不都合が発生することもなく、安全性の向上を図ることもできる。
【0032】
また、コンソール本体10に対して右側または左側へオフセットさせた状態でコンソールリッド30を装着すれば、該コンソールリッド30の物品載置部38に物品を載置した状態で物品収納部12に対する物品の出し入れが可能である。
【0033】
(変更例)
なお前述した実施例では、コンソールリッド30の両開き態様として、コンソール本体10の左側方および右側方へ回動させて開放する形態のものを例示したが、本願のフロアコンソールFCは、図10に例示するように、コンソール本体10の前方および後方へ回動させて開放する態様としても実施可能である。すなわち、コンソール本体10において、物品収納部12の上方開口部18の左側縁および右側縁に隣接した部位に設置突部20,20を設け、これら設置突部20,20の内壁面22において、物品収納部12の一方端縁である前端縁に臨む端部近傍に第1係止ピン(第1係止受部)24,24を対向的に配設すると共に、物品収納部12の他方端縁である後端縁に臨む端部近傍に第2係止ピン(第2係止受部)26,26を対向的に配設し、更に開放規制ピン28を配設する。
【0034】
このもとで、コンソールリッド30のリッド空間36における一方側縁である前端縁に、前述の第1係止ピン24,24に係脱可能な第1係止フック(第1係止部)58,58を有する第1操作機構50を配設し(図10では視認できない)、該コンソールリッド30のリッド空間36における他方側縁である後端縁に、前述の第2係止ピン26,26に係脱可能な第2係止フック(第2係止部)68,68を有する第2操作機構60を配設する。
【0035】
これによりコンソールリッド30は、第1操作機構50および第2操作機構60を同時に操作することで、第1実施例と同様にコンソール本体10に対する着脱が許容され、第1操作機構50のみを操作することで後端縁をヒンジ中心とした後方側への開放が許容されると共に、第2操作機構60のみを操作することで前端縁をヒンジ中心とした前方への開放が許容される。このような着脱および前後両開きが可能な形態としても、前述した実施例と同等の作用効果が得られる。但し、前後両開きタイプの場合、コンソールリッド30を後方へ開放させることで前部座席の乗員の利便に供し得る一方、図10に例示したように該コンソールリッド30を前方へ開放させた場合には、後部座席の乗員の利便にも供し得るようになる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本願のフロアコンソールは、車両のフロアに設置され、上方に開口する物品収納部を画成したコンソール本体と、このコンソール本体に装着され、前記物品収納部を開閉するコンソールリッドとから構成したものであり、フロアコンソールを装備する全ての自動車等に好適に実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】好適実施例に係るフロアコンソールを、コンソール本体に装着したコンソールリッドを閉成した状態で示した概略斜視図である。
【図2】コンソールリッドの内部構造を示した分解斜視図である。
【図3】コンソール本体に画成した物品収納部の上方開口部にコンソールリッドを装着する状態を示した説明斜視図である。
【図4】コンソール本体に画成した物品収納部の上方開口部にコンソールリッドを装着する状態を示した説明断面図である。
【図5】コンソール本体に画成した物品収納部の上方開口部にコンソールリッドを装着した状態を示した説明断面図である。
【図6】コンソール本体に装着したコンソールリッドを、コンソール本体の右側方へ開放させた状態を示した説明斜視図である。
【図7】コンソール本体に装着したコンソールリッドを、コンソール本体の右側方へ開放させる際の態様を示した説明断面図であって、(a)は、第1操作機構の操作レバーを操作して第1係止ピンと第1係止フックとの係止を解除した状態を示し、(b)は、第2係止ピンをヒンジポイントとしてコンソールリッドを開放させた状態を示している。
【図8】コンソール本体に装着したコンソールリッドを、コンソール本体の左側方へ開放させる際の態様を示した説明断面図であって、(a)は、第2操作機構の操作レバーを操作して第2係止ピンと第2係止フックとの係止を解除した状態を示し、(b)は、第1係止ピンをヒンジポイントとしてコンソールリッドを開放させた状態を示している。
【図9】(a)は、コンソール本体に対して右側へオフセットした状態でコンソールリッドを装着した状態を示した説明断面図であり、(b)は、コンソール本体に対して左側へオフセットした状態でコンソールリッドを装着した状態を示した説明断面図である。
【図10】コンソールリッドを前後両開きタイプとした変更例に係るフロアコンソールを示した概略斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
10 コンソール本体
12 物品収納部
24 第1係止ピン(第1係止受部)
26 第2係止ピン(第2係止受部)
30 コンソールリッド
36 リッド空間
40 第1ピン挿通口(開口部)
50 第1操作機構
52 ロッド
54 操作レバー
56 捻りバネ(付勢部材)
58 第1係止フック(第1係止部)
60 第2操作機構
62 ロッド
64 操作レバー
66 捻りバネ(付勢部材)
68 第2係止フック(第2係止部)
70 第3係止ピン(第3係止受部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアに設置され、上方に開口する物品収納部(12)を画成したコンソール本体(10)と、このコンソール本体(10)に装着され、前記物品収納部(12)を開閉するコンソールリッド(30)とからなるフロアコンソールにおいて、
前記コンソールリッド(30)の内部の一方側縁に配設され、前記物品収納部(12)の一方側縁に設けた第1係止受部(24)に係脱可能な第1係止部(58)を有する第1操作機構(50)と、
前記コンソールリッド(30)の内部の他方側縁に配設され、前記物品収納部(12)の他方側縁に設けた第2係止受部(26)に係脱可能な第2係止部(68)を有する第2操作機構(60)とを有し、
前記コンソールリッド(30)は、前記第1操作機構(50)および第2操作機構(60)を同時に操作することでコンソール本体(10)に対する着脱が許容され、前記第1操作機構(50)のみを操作することで他方側縁を中心とした回動が許容されると共に、前記第2操作機構(60)のみを操作することで一方側縁を中心とした回動が許容されるよう構成した
ことを特徴としたフロアコンソール。
【請求項2】
前記第1操作機構(50)および第2操作機構(60)は、前記コンソールリッド(30)に画成されたリッド空間(36)内に収容され、該コンソールリッド(30)に設けた開口部(40)に臨む前記第1係止部(58)および第2係止部(68)も、該リッド空間(36)内に収容されて外方へ突出しない請求項1記載のフロアコンソール。
【請求項3】
前記第1操作機構(50)および第2操作機構(60)は、
前記コンソールリッド(30)の内部に回動可能に配設され、前記第1係止部(58)または第2係止部(68)が固定されたロッド(52,62)と、
前記ロッド(52,62)に固定され、前記コンソールリッド(30)から外方へ臨む操作レバー(54,64)と、
常には前記ロッド(52,62)を一方向へ回動付勢し、前記第1係止部(58)または第2係止部(68)を対応する前記第1係止受部(24)または第2係止受部(26)へ係止状態に保持する付勢部材(56,66)とから構成される請求項1または2記載のフロアコンソール。
【請求項4】
前記第1係止受部(24)と第2係止受部(26)との間に、前記第1係止部(58)および第2係止部(68)が係脱可能な第3係止受部(70)を設け、
これら第1係止部(58)または第2係止部(68)を前記第3係止受部(70)に係止させた場合、前記物品収納部(12)を部分的に開放させた状態で前記コンソールリッド(30)をコンソール本体(10)に装着し得る請求項1〜3の何れかに記載のフロアコンソール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−62605(P2006−62605A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250407(P2004−250407)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】