説明

フロントフォーク用アウタチューブ

【課題】 下車体取付ブラケットが結合される下カラーをプラスチックパイプの中間部に設けてなるフロントフォーク用アウタチューブにおいて、プラスチックパイプに対する下カラーの位置決め性を向上すること。
【解決手段】 フロントフォーク用アウタチューブ11において、プラスチックパイプ20の上端部に上車体取付ブラケット13Aが結合される金属製上カラー30が嵌着され、プラスチックパイプ20の中間部〜下端部に金属製スリーブ40が嵌着され、スリーブ40は下車体取付ブラケット13Bが結合される下カラー41とインナチューブ12を挿入支持するシールケース42とを備えるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフロントフォーク用アウタチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
フロントフォーク用アウタチューブとして、特許文献1に記載の如く、繊維強化プラスチック(以下、FRPという)パイプの補強のために、FRPパイプの上端部に上車体取付ブラケットが結合される金属製上カラーが嵌着され、FRPパイプの中間部に下車体取付ブラケットが結合される金属製下カラーが嵌着され、FRPパイプの下端部にインナチューブを挿入支持する金属製シールケースが嵌着されてなるものがある。
【0003】
ここで、上カラーとシールケースはFRPパイプの上端面と下端面に突き当てられ、該FRPパイプに接着される。他方、下カラーはFRPパイプの中間部の適宜位置に位置設定された後、接着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-180293
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術のフロントフォーク用アウタチューブには以下の問題点がある。
(1)FRPパイプの中間部に下カラーを接着するとき、下カラーの位置設定が必要で手間がかかる。
【0006】
(2)FRPパイプを車両のフロントフォーク用アウタチューブに用いたとき、フロントフォークの車体前後方向や車体左右方向に作用する荷重が、FRPパイプにおける下カラーの下端エッジとの当たり部に応力集中を生じさせ、FRPパイプを疲労強度的に不利にする。
【0007】
(3)FRPパイプを車両のフロントフォーク用アウタチューブに用いたとき、フロントフォークの車体前後方向や車体左右方向に対するアウタチューブの曲げ剛性をパイプ周方向で適宜に変化させようとする場合には、FRPの一方向材やクロス材等のシート状素材を積層してFRPパイプを製作するときに、相積層される各シート状素材におけるFRPの繊維方向を適宜に変更したり、その積層枚数を部分的に変更する必要があり、手間がかかる。
【0008】
本発明の課題は、下車体取付ブラケットが結合される下カラーをプラスチックパイプの中間部に設けてなるフロントフォーク用アウタチューブにおいて、プラスチックパイプに対する下カラーの位置決め性を向上することにある。
【0009】
本発明の他の課題は、プラスチックパイプの疲労強度を向上することにある。
【0010】
本発明の他の課題は、アウタチューブの曲げ剛性をプラスチックパイプの周方向で簡易に変化させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、プラスチックパイプにより構成されてなるフロントフォーク用アウタチューブにおいて、プラスチックパイプの上端部に上車体取付ブラケットが結合される金属製上カラーが嵌着され、プラスチックパイプの中間部〜下端部に金属製スリーブが嵌着され、スリーブは下車体取付ブラケットが結合される下カラーとインナチューブを挿入支持するシールケースとを備えるようにしたものである。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記上カラーがプラスチックパイプの上端面に突き当てられる内周上段差部を備え、スリーブがプラスチックパイプの下端面に突き当てられる内周下段差部を備えるようにしたものである。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において更に、前記上カラーとスリーブがプラスチックパイプに接着剤を介して嵌着されてなるようにしたものである。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに係る発明において更に、前記スリーブが下カラーとシールケースに挟まれる部分を、それらの下カラーとシールケースより薄肉の薄肉連結部としてなるようにしたものである。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに係る発明において更に、前記スリーブが下カラーとシールケースに挟まれる部分に、開口部を切欠形成してなるようにしたものである。
【0016】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明において更に、前記スリーブが車体左右方向の側面に開口部を切欠形成してなるようにしたものである。
【0017】
請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれかに係る発明において更に、前記プラスチックパイプがFRPパイプであるようにしたものである。
【0018】
請求項8に係る発明は、請求項1〜7のいずれかに係る発明において更に、前記プラスチックパイプの内周に金属製薄肉管が嵌合されてなるようにしたものである。
【0019】
請求項9に係る発明は、車体側のアウタチューブに車軸側のインナチューブを摺動自在に挿入した倒立型フロントフォークにおいて、請求項1〜7のいずれかに記載のフロントフォーク用アウタチューブを用いてなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0020】
(請求項1)
(a)フロントフォーク用アウタチューブにおいて、プラスチックパイプの上端部に上車体取付ブラケットが結合される金属製上カラーが嵌着され、プラスチックパイプの中間部〜下端部に金属製スリーブが嵌着され、スリーブは下車体取付ブラケットが結合される下カラーとインナチューブを挿入支持するシールケースとを備える。
【0021】
下カラーとシールケースとを備えるスリーブが、プラスチックパイプの中間部〜下端部に嵌着される。スリーブはプラスチックパイプの下端部に対して容易に位置設定され、結果としてスリーブが備える下カラーをプラスチックパイプに対して容易に位置決めできるものになる。
【0022】
下車体取付ブラケットが結合される下カラーにシールケースが連結されてスリーブを構成し、このスリーブがプラスチックパイプの中間部〜下端部に嵌着される。従って、下カラーがプラスチックパイプに当たる下端エッジの如くを有さず、プラスチックパイプに下カラーの下端エッジとの当たりに起因する応力集中を生じない。プラスチックパイプの疲労強度が向上する。
【0023】
(請求項2)
(b)上カラーはプラスチックパイプの上端面に突き当てられる内周上段差部により、プラスチックパイプに対して容易に位置決めされる。
【0024】
下カラーはプラスチックパイプの下端面に突き当てられる内周下段差部により、プラスチックパイプに対して容易に位置決めされる。
【0025】
(請求項3)
(c)上カラーとスリーブはプラスチックパイプに接着剤を介して嵌着される。これにより、上カラーとプラスチックパイプを強固に一体化できる。また、スリーブとプラスチックパイプを強固に一体化できる。
【0026】
(請求項4)
(d)スリーブが下カラーとシールケースに挟まれる部分を、それらの下カラーとシールケースより薄肉の薄肉連結部とする。これにより、スリーブにおいて強度を必要としない連結部を薄肉にしてスリーブ全体の軽量化を図りながら、下カラーとシールケースを連結できる。
【0027】
(請求項5)
(e)スリーブが下カラーとシールケースに挟まれる部分に、開口部を切欠形成した。スリーブの開口部を設けた部分の剛性が低下する。アウタチューブを構成するプラスチックパイプにスリーブを嵌着したとき、アウタチューブのパイプ周方向でスリーブの開口部を設けた方向の曲げ剛性を低下させるものになり、アウタチューブの曲げ剛性をプラスチックパイプの周方向で簡易に変化させることができる。
【0028】
(請求項6)
(f)アウタチューブを構成するプラスチックパイプに嵌着したスリーブが車体左右方向の側面に開口部を切欠形成してなるとき、アウタチューブの曲げ剛性を車体左右方向で低下させるものになる。即ち、このアウタチューブにあっては、車体取付部の下方部分の車体前後方向における曲げ剛性を大きくして変形しにくくし、車体左右方向における曲げ剛性を小さくして変形し易くすることにより、ブレーキ時にフロントフォークに作用する車体前後方向の荷重に対するしっかり感の確保と、コーナリング時にフロントフォークに作用する車幅方向の荷重に対する衝撃吸収性の向上を図るものになる。
【0029】
(請求項7)
(g)プラスチックパイプがCFRP(炭素繊維強化プラスチック)等のFRPとすることにより、アウタチューブをより軽量化しながら高強度化できる。
【0030】
(請求項8)
(h)プラスチックパイプの内周に金属製薄肉管を嵌合することにより、プラスチックパイプの真円度を確保し、インナチューブの摺動性を向上できる。
【0031】
(請求項9)
(i)倒立型フロントフォークのアウタチューブにおいて、上述(a)〜(h)を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1はフロントフォークの要部を示す断面図である。
【図2】図2はアウタチューブを示す正面図である。
【図3】図3はアウタチューブを示す側面図である。
【図4】図4は図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図5は図3のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図6はスリーブを示す斜視図である。
【図7】図7はフロントフォークを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
左右の倒立型フロントフォーク10は、図7に示す如く、車体側アウタチューブ11に車軸側インナチューブ12を摺動自在に挿入し、減衰機構を内蔵している。左右のアウタチューブ11は上車体取付ブラケット13Aと下車体取付ブラケット13Bで連結され、上車体取付ブラケット13Aと下車体取付ブラケット13Bをつなぐ不図示のハンドル回転軸が車体フレームのヘッドパイプに枢支され、上車体取付ブラケット13Aにはバーハンドル14が固定されている。左右のインナチューブ12の下端部に設けた車軸ブラケット15は、車輪16の車軸を枢支している。
【0034】
フロントフォーク10は、図1に示す如く、アウタチューブ11の下端開口部にオイルシール17を設け、インナチューブ12をオイルシール17に通してアウタチューブ11に挿入している。アウタチューブ11とインナチューブ12は、アウタチューブ11の下端内周部に設けたブッシュ18Aと、インナチューブ12の上端外周部に設けたブッシュ18Bを介して、互いに摺動自在になっている。尚、アウタチューブ11の上端開口部にはキャップ19が螺着されている。
【0035】
フロントフォーク10に内蔵される減衰機構は、図示省略されているが、アウタチューブ11とインナチューブ12の一方に支持したピストンロッドをアウタチューブ11とインナチューブ12の他方に設けたダンパシリンダ内の作動油室に挿入し、ピストンロッドの先端ピストンに減衰力発生装置を設けることにより構成できる。又は、アウタチューブ11に支持したピストンロッドをインナチューブ12内の作動油室に挿入し、ピストンロッドの先端ピストンに減衰力発生装置を設けることにより構成できる。
【0036】
フロントフォーク10は、アウタチューブ11をFRP等のプラスチックパイプにより構成し、インナチューブ12をアルミ、鉄等の金属パイプ、又はFRP等のプラスチックパイプにより構成している。以下、アウタチューブ11の構成について詳述する。
【0037】
アウタチューブ11は、図2〜図5に示す如く、FRP等のプラスチックパイプ、本実施例では円管状のCFRPパイプ20を有する。CFRPパイプ20は、例えばシートワインディング法により製作でき、CFRPの一方向材やクロス材等のシート状素材を芯棒に多重に巻付けて管状成形される。
【0038】
アウタチューブ11は、CFRPパイプ20の上端部に上車体取付ブラケット13Aが結合される金属製上カラー30が嵌着される。上カラー30の構成金属としては、アルミ、チタン、マグネシウム、鉄等を採用できる。
【0039】
上カラー30は、CFRPパイプ20への嵌着方向端でCFRPパイプ20の上端面に突き当てられる内周上段差部30Fを備える。上カラー30は、CFRPパイプ20の上端側からその外周に接着剤を介して嵌着され、一体結合される。上カラー30の下端外周面は、上カラー30の下端部がCFRPパイプ20に及ぼす応力を緩和するため、上カラー30の下端部を先端に向けて次第に薄肉とするテーパ面30Tとされている。尚、上カラー30の上端内周部にはキャップ19が螺着される。
【0040】
アウタチューブ11は、CFRPパイプ20の中間部〜下端部に金属製スリーブ40が嵌着される。金属製スリーブ40は、下車体取付ブラケット13Bが結合される下カラー41と、インナチューブ12を挿入支持するシールケース42とを備える。シールケース42の内周にオイルシール17、ブッシュ18Aが収容される。スリーブ40の構成金属としては、アルミ、チタン、マグネシウム、鉄等を採用できる。
【0041】
スリーブ40は、CFRPパイプ20への嵌着方向端でCFRPパイプ20の下端面に突き当てられる内周下段差部40Fを備える。スリーブ40は、CFRPパイプ20の下端側からその外周に接着剤を介して嵌着され、一体結合される。スリーブ40の上端外周面は、スリーブ40の上端部がCFRPパイプ20に及ぼす応力を緩和するため、スリーブ40の上端部を先端に向けて次第に薄肉とするテーパ面40Tとされている。
【0042】
スリーブ40は、図6に示す如く、下カラー41とシールケース42に挟まれる部分を、それらの下カラー41とシールケース42より薄肉の筒状薄肉連結部43としている。
【0043】
スリーブ40は、下カラー41とシールケース42に挟まれる部分、本実施例では上述の薄肉連結部43に、窓状開口部44を切欠形成している。本実施例では、スリーブ40の周方向における車体左右方向の両側面に開口部44を切欠形成し、スリーブ40のその方向での剛性を低下させ、ひいてはスリーブ40がCFRPパイプ20に設けられてなるアウタチューブ11のその方向での曲げ剛性を低下させている。開口部44は、スリーブ40の中心軸に直交する下辺44Aと、下辺44Aの両端部からスリーブ40の中心軸に沿う方向に延在する両側縦辺44Bと、両側縦辺44Bの上端部をつなぐ円弧状上辺44Cの4辺によって囲み形成され、下辺44Aをシールケース42の側に、上辺44Cを下カラー41の側に配置するように切欠形成される。
【0044】
アウタチューブ11にあっては、CFRPパイプ20の内周に、CFRPパイプ20の真円度を確保し、インナチューブ12の摺動性を向上するためのアルミ、鉄等の金属製薄肉管を嵌合することができる。CFRPパイプ20に嵌合された金属製薄肉管は上カラー30の内周上段差部30Fとスリーブ40の内周下段差部40Fに衝合して抜け止めされる。
【0045】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)フロントフォーク用アウタチューブ11において、CFRPパイプ20の上端部に上車体取付ブラケット13Aが結合される金属製上カラー30が嵌着され、CFRPパイプ20の中間部〜下端部に金属製スリーブ40が嵌着され、スリーブ40は下車体取付ブラケット13Bが結合される下カラー41とインナチューブ12を挿入支持するシールケース42とを備える。
【0046】
下カラー41とシールケース42とを備えるスリーブ40が、CFRPパイプ20の中間部〜下端部に嵌着される。スリーブ40はCFRPパイプ20の下端部に対して容易に位置設定され、結果としてスリーブ40が備える下カラー41をCFRPパイプ20に対して容易に位置決めできるものになる。
【0047】
下車体取付ブラケット13Bが結合される下カラー41にシールケース42が連結されてスリーブ40を構成し、このスリーブ40がCFRPパイプ20の中間部〜下端部に嵌着される。従って、下カラー41がCFRPパイプ20に当たる下端エッジの如くを有さず、CFRPパイプ20に下カラー41の下端エッジとの当たりに起因する応力集中を生じない。CFRPパイプ20の疲労強度が向上する。
【0048】
(b)上カラー30はCFRPパイプ20の上端面に突き当てられる内周上段差部30Fにより、CFRPパイプ20に対して容易に位置決めされる。
【0049】
下カラー41はCFRPパイプ20の下端面に突き当てられる内周下段差部40Fにより、CFRPパイプ20に対して容易に位置決めされる。
【0050】
(c)上カラー30とスリーブ40はCFRPパイプ20に接着剤を介して嵌着される。これにより、上カラー30とCFRPパイプ20を強固に一体化できる。また、スリーブ40とCFRPパイプ20を強固に一体化できる。
【0051】
(d)スリーブ40が下カラー41とシールケース42に挟まれる部分を、それらの下カラー41とシールケース42より薄肉の薄肉連結部43とする。これにより、スリーブ40において強度を必要としない連結部43を薄肉にしてスリーブ40全体の軽量化を図りながら、下カラー41とシールケース42を連結できる。
【0052】
(e)スリーブ40が下カラー41とシールケース42に挟まれる部分に、開口部44を切欠形成した。スリーブ40の開口部44を設けた部分の剛性が低下する。アウタチューブ11を構成するCFRPパイプ20にスリーブ40を嵌着したとき、アウタチューブ11のパイプ周方向でスリーブ40の開口部44を設けた方向の曲げ剛性を低下させるものになり、アウタチューブ11の曲げ剛性をCFRPパイプ20の周方向で簡易に変化させることができる。
【0053】
(f)アウタチューブ11を構成するCFRPパイプ20に嵌着したスリーブ40が車体左右方向の側面に開口部44を切欠形成してなるとき、アウタチューブ11の曲げ剛性を車体左右方向で低下させるものになる。即ち、このアウタチューブ11にあっては、車体取付部の下方部分の車体前後方向における曲げ剛性を大きくして変形しにくくし、車体左右方向における曲げ剛性を小さくして変形し易くすることにより、ブレーキ時にフロントフォークに作用する車体前後方向の荷重に対するしっかり感の確保と、コーナリング時にフロントフォークに作用する車幅方向の荷重に対する衝撃吸収性の向上を図るものになる。
【0054】
(g)CFRPパイプ20がCFRP(炭素繊維強化プラスチック)等のFRPとすることにより、アウタチューブ11をより軽量化しながら高強度化できる。
【0055】
(h)CFRPパイプ20の内周に金属製薄肉管を嵌合することにより、CFRPパイプ20の真円度を確保し、インナチューブ12の摺動性を向上できる。
【0056】
(i)倒立型フロントフォーク10のアウタチューブ11において、上述(a)〜(h)を実現できる。
【0057】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、スリーブ40の下カラー41とシールケース42に挟まれる部分に切欠形成される開口部は、スリーブ40の周方向における車体前後方向の側面に設ける等、スリーブ40の剛性、ひいてはスリーブ40がプラスチックパイプ20に設けられてなるアウタチューブ11の曲げ剛性をプラスチックパイプ20の周方向でいか様に変化させるかに応じて、スリーブ40の周方向の適宜位置に設定される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、プラスチックパイプにより構成されてなるフロントフォーク用アウタチューブにおいて、プラスチックパイプの上端部に上車体取付ブラケットが結合される金属製上カラーが嵌着され、プラスチックパイプの中間部〜下端部に金属製スリーブが嵌着され、スリーブは下車体取付ブラケットが結合される下カラーとインナチューブを挿入支持するシールケースとを備える。これにより、下車体取付ブラケットが結合される下カラーをプラスチックパイプの中間部に設けてなるフロントフォーク用アウタチューブにおいて、プラスチックパイプに対する下カラーの位置決め性を向上することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 フロントフォーク
11 アウタチューブ
12 インナチューブ
13A 上車体取付ブラケット
13B 下車体取付ブラケット
17 オイルシール
20 CFRPパイプ
30 上カラー
30F 内周上段差部
40 スリーブ
40F 内周下段差部
41 下カラー
42 シールケース
43 連結部
44 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックパイプにより構成されてなるフロントフォーク用アウタチューブにおいて、
プラスチックパイプの上端部に上車体取付ブラケットが結合される金属製上カラーが嵌着され、
プラスチックパイプの中間部〜下端部に金属製スリーブが嵌着され、スリーブは下車体取付ブラケットが結合される下カラーとインナチューブを挿入支持するシールケースとを備えることを特徴とするフロントフォーク用アウタチューブ。
【請求項2】
前記上カラーがプラスチックパイプの上端面に突き当てられる内周上段差部を備え、
スリーブがプラスチックパイプの下端面に突き当てられる内周下段差部を備える請求項1に記載のフロントフォーク用アウタチューブ。
【請求項3】
前記上カラーとスリーブがプラスチックパイプに接着剤を介して嵌着されてなる請求項1又は2に記載のフロントフォーク用アウタチューブ。
【請求項4】
前記スリーブが下カラーとシールケースに挟まれる部分を、それらの下カラーとシールケースより薄肉の薄肉連結部としてなる請求項1〜3のいずれかに記載のフロントフォーク用アウタチューブ。
【請求項5】
前記スリーブが下カラーとシールケースに挟まれる部分に、開口部を切欠形成してなる請求項1〜4のいずれかに記載のフロントフォーク用アウタチューブ。
【請求項6】
前記スリーブが車体左右方向の側面に開口部を切欠形成してなる請求項5に記載のフロントフォーク用アウタチューブ。
【請求項7】
前記プラスチックパイプがFRPパイプである請求項1〜6のいずれかに記載のフロントフォーク用アウタチューブ。
【請求項8】
前記プラスチックパイプの内周に金属製薄肉管が嵌合されてなる請求項1〜7のいずれかに記載のフロントフォーク用アウタチューブ。
【請求項9】
車体側のアウタチューブに車軸側のインナチューブを摺動自在に挿入した倒立型フロントフォークにおいて、
請求項1〜7のいずれかに記載のフロントフォーク用アウタチューブを用いてなる倒立型フロントフォーク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−68310(P2013−68310A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209188(P2011−209188)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000146010)株式会社ショーワ (715)
【Fターム(参考)】