説明

フローティングブレーキディスクの組立方法

【課題】座金やバネ部材を連結ピンに対して精度良く組付可能なフローティングブレーキディスクの組立方法及びそれによって組立てたフローティングブレーキディスク並びにフローティングブレーキディスクの組立装置を提供する。
【解決手段】制動ディスク10と、制動ディスク10の内側に嵌合したハブディスク20と、両ディスク10、20間の連結穴31に組み付けた連結ピンと、連結ピンに外装したバネ部材33及び座金34とを備え、連結ピンとして、連結穴31に略隙間なく装着される円筒状の胴体部41と、胴体部41の一端部に形成した第1鍔部42と、胴体部41の他端部に連設したかしめ部43Aとを有し、かしめ部43Aをかしめることで胴体部41よりも大径の第2鍔部42を形成可能な連結ピンを用いたフローティングブレーキディスクの組立方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車のディスクブレーキ装置のブレーキディスクとして好適に利用可能なフローティングブレーキディスクの組立方法及びそれによって組立てたフローティングブレーキディスク並びにフローティングブレーキディスクの組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動二輪車のディスクブレーキ装置のブレーキディスクとして、ブレーキパッドが圧接される環状の制動ディスクと、制動ディスクの内側に装着されるハブディスクと、両ディスクをフローティング状態に連結する複数の連結手段とを有し、両ディスク間の隙間を利用して、ブレーキ作動時における発熱でブレーキディスクが全体的に変形して反ることを防止できるように構成した、所謂フローティングブレーキディスクが広く実用化されている。
【0003】
前記連結手段としては、制動ディスクの内周部に複数の制動側連結凹部を形成し、ハブディスクの外周部に制動側連結凹部と対向するハブ側連結凹部を形成し、両連結凹部を組み合わせて形成される連結穴に連結ピンを装着するとともに、皿バネ及び座金を連結ピンに外嵌状に装着し、連結ピンの端部をかしめることで、皿バネを介して両ディスクをフローティング状態に連結するように構成したものが広く採用されている(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
連結ピンとしては、特許文献1に記載のように、連結穴に略隙間なく装着される略円筒状の胴体部と、胴体部の一端部に形成した連結穴よりも大径の第1鍔部と、胴体部の他端部に形成した胴体部よりも小径のかしめ部と、胴体部とかしめ部との境界部分に形成した段部とを有し、胴体部に皿バネを装着した状態で、胴体部を連結穴に装着し、この状態でかしめ部をかしめて第2鍔部を形成し、第2鍔部により連結ピンとともに皿バネを両ディスクに固定して、両ディスクをフローティング状態に連結するように構成したものが採用されている。
【0005】
ところで、連結ピンのかしめ部をかしめる方法としては、特許文献1に記載のように、かしめ部にインサートを挿入して、インサートを回転させながらかしめ部を徐々に拡径させてかしめる方法と、特許文献2に記載のように、第2鍔部に適合する成形部を有するポンチでかしめ部をプレスしてかしめる方法とが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−76727
【特許文献2】特開平8−312700
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2記載のかしめ方法では、皿バネのバネ力に抗しながらかしめ部をかしめるので、かしめ途中で、かしめにより外側へ広がろうとするかしめ部の外周面の基部に座金や皿バネの内周縁の角部が噛み込まれて、第2鍔部が連結ピンの軸心直交方向に精度良く形成されず、座金や皿バネが斜めに組み付けられてしまい、連結手段による両ディスクの連結がアンバランスになって、両ディスクの連結強度が低下したり、制動時に振動やノイズが発生し易くなったりするという問題があった。また、特許文献1記載のかしめ方法では、連結ピンに対してインサートが圧接されることにより、連結ピンの表面に形成した耐蝕被膜が破損するという問題もある。
【0008】
本発明の目的は、座金やバネ部材を連結ピンに対して精度良く組付可能なフローティングブレーキディスクの組立方法及びそれによって組立てたフローティングブレーキディスク並びにフローティングブレーキディスクの組立装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るフローティングブレーキディスクの組立方法は、内周部に複数の制動側連結凹部を形成した平板環状の制動ディスクと、前記制動側連結凹部と対向するハブ側連結凹部を外周部に有し、前記制動ディスクの内側に嵌合したハブディスクと、前記両連結凹部を突き合わせて形成される連結穴に組み付けた連結ピンと、連結ピンに外装したバネ部材とを備え、前記連結ピンとして、連結穴に略隙間なく装着される円筒状の胴体部と、胴体部の一端部に形成した胴体部よりも大径な第1鍔部と、胴体部の他端部に連設したかしめ部とを有し、前記かしめ部をかしめることで胴体部よりも大径の第2鍔部を形成可能な連結ピンを用いたフローティングブレーキディスクの組立方法であって、前記連結穴に連結ピンを装着するとともに、前記バネ部材を連結ピンに外嵌装着して、前記バネ部材を圧縮変形させた状態で、かしめ部をかしめて第2鍔部を形成するものである。なお、バネ部材と第2鍔部間に座金が配置されるように、バネ部材と座金とを胴体部に外嵌させ、座金でバネ部材を圧縮変形させた状態で、かしめ部をかしめることもできるし、座金を省略して、バネ部材を直接的に圧縮変形させた状態で、かしめ部をかしめることもできる。
【0010】
この組立方法では、連結ピンのかしめ部をかしめるときに、皿バネやウェブスプリングなどからなるバネ部材を圧縮変形させた状態で、連結ピンのかしめ部をかしめて第2鍔部を形成するので、かしめにより外側へ広がろうとするかしめ部の外周面の基部に座金の内周縁の角部やバネ部材の内周縁が噛み込まれることを防止して、第2鍔部を連結ピンの軸心直交方向に精度良く形成して、座金やバネ部材を精度良く組み付けることができる。このため、連結ピンのかしめ不良に起因する、両ディスクの連結強度の低下や、制動時における振動やノイズの発生を効果的に防止することができる。
【0011】
前記かしめ部をポンチでプレス成形して第2鍔部を形成することができる。この場合には、インサートを用いてかしめる場合よりも、かしめのための作業時間を短縮でき、しかも複数の連結ピンを同時にかしめることができるので、連結ピンのかしめ作業の作業効率を大幅に向上できる。また、インサートを用いる場合と比較して、耐蝕処理層の破損を防止できるので好ましい。ただし、前記かしめ部にインサートを回転させながら圧接させて、かしめ部を第2鍔部に形成することもできる。
【0012】
前記連結穴に連結ピンを装着するとともに、前記バネ部材と座金を連結ピンに外嵌装着して、前記座金を介してバネ部材を圧縮変形させた状態で、かしめ部をかしめて第2鍔部を形成することも好ましい実施例である。この場合は、かしめにより外側へ広がろうとするかしめ部の外周面の基部に座金やバネ部材の内周縁の角部が噛み込まれることを防止して、第2鍔部を連結ピンの軸心直交方向に精度良く形成して、バネ部材を精度良く組み付けることができる。
【0013】
前記連結ピンをアルミニウム合金で構成することが好ましい実施の形態である。アルミニウム合金は、ステンレスなどの鉄系金属と比較して軽量で、しかも加工性に優れ、かしめ易いので好ましい。
【0014】
前記連結ピンとして、かしめ部の先端外周面に面取り面を形成するとともに、かしめ部の内周面を全長にわたって同径に構成し、表面に耐蝕処理層を形成した連結ピンを用いることができる。この連結ピンでは、かしめ部の先端外周面に面取り面が形成されるとともに、かしめ部の内周面は全長にわたって同径に構成されているので、予め耐蝕処理層を形成した連結ピンであっても、かしめ部をかしめたときにおける耐蝕処理層の破損を防止できる。また、かしめ部をかしめて形成される鍔部は、ディスク側の面が座金と略隙間なく面接触するようにかしめることができ、座金や両ディスクと連結ピンの鍔部との接触面積を大きく設定して、連結ピンの引き抜き強度を向上することができる。
【0015】
ここで、前記面取り面としてテーパー面、凸形円弧断面の環状湾曲面または凹形円弧断面の環状湾曲面を形成することができる。このような面取り面を形成することで、かしめ部をかしめたときにおける耐蝕処理層の破損を防止できる。
【0016】
本発明に係るフローティングブレーキディスクは、前記フローティングブレーキディスクの組立方法にて組立てたものである。このため、このフローティングブレーキディスクでは、前記組立方法において説明したように、連結ピンのかしめ部をかしめるときに、皿バネやウェブスプリングなどからなるバネ部材を圧縮変形させた状態で、連結ピンのかしめ部をかしめて第2鍔部を形成しているので、かしめにより外側へ広がろうとするかしめ部の外周面の基部に座金の内周縁の角部やバネ部材の内周縁が噛み込まれることを防止して、第2鍔部を連結ピンの軸心直交方向に精度良く形成して、座金やバネ部材を精度良く組み付けることができる。このため、連結ピンのかしめ不良に起因する、両ディスクの連結強度の低下や、制動時における振動やノイズの発生を効果的に防止することができる。
【0017】
本発明に係るフローティングブレーキディスクの組立装置は、内周部に複数の制動側連結凹部を形成した平板環状の制動ディスクと、前記制動側連結凹部と対向するハブ側連結凹部を外周部に有し、前記制動ディスクの内側に嵌合したハブディスクと、前記両連結凹部を突き合わせて形成される連結穴に組み付けた連結ピンと、連結ピンに外装したバネ部材とを備え、前記連結ピンとして、連結穴に略隙間なく装着される円筒状の胴体部と、胴体部の一端部に形成した胴体部よりも大径な第1鍔部と、胴体部の他端部に連設したかしめ部とを有し、前記かしめ部をかしめることで胴体部よりも大径の第2鍔部を形成可能な連結ピンを用いたフローティングブレーキディスクの組立装置であって、前記制動ディスクの内側にハブディスクを嵌め合わせて、前記連結穴が形成されるように、制動側連結凹部にハブ側連結凹部を突き合わせた状態で、両ディスクを水平に支持するとともに、前記第1鍔部を下側にして連結ピンを縦向きに支持し、前記連結ピンを前記連結穴に対して設定高さに挿通配置する支持台と、両ディスクの上側に突出する連結ピンの胴体部に外嵌装着したバネ部材を圧縮する圧縮手段と、前記連結ピンのかしめ部を上側からかしめて第2鍔部を形成するかしめ手段とを備えたものである。
【0018】
この組立装置では、かしめ手段により連結ピンのかしめ部をかしめるときに、圧縮手段により皿バネやウェブスプリングなどのバネ部材を圧縮するので、かしめにより外側へ広がろうとするかしめ部の外周面の基部に座金の内周縁の角部やバネ部材の内周縁が噛み込まれることを防止して、第2鍔部を連結ピンの軸心直交方向に精度良く形成して、座金やバネ部材を精度良く組み付けることができる。このため、連結ピンのかしめ不良に起因する、両ディスクの連結強度の低下や、制動時における振動やノイズの発生を効果的に防止することができる。
【0019】
前記かしめ手段として、プレス成形によりかしめ部をかしめるポンチを有するものを用いることができる。この場合には、前記圧縮手段として、前記バネ部材を圧縮する圧縮部材を前記ポンチに外嵌状に設け、前記圧縮部材を常時下方へ付勢する付勢手段を設け、圧縮部材でバネ部材を圧縮した状態で、ポンチでかしめ部をプレス成形可能となすことが好ましい実施例である。
【0020】
前記かしめ手段として、先端部をかしめ部に圧接させながら回転させることで、かしめ部をかしめるインサートを有するものを用いることもできる。
【0021】
前記圧縮手段として、胴体部に外装した座金を介してバネ部材を圧縮するものを用いることこができる。この場合には、かしめ手段により連結ピンのかしめ部をかしめるときに、圧縮手段により座金を介してバネ部材を圧縮するので、かしめにより外側へ広がろうとするかしめ部の外周面の基部に座金の内周縁の角部やバネ部材の内周縁が噛み込まれることを防止して、第2鍔部を連結ピンの軸心直交方向に精度良く形成して、座金やバネ部材を精度良く組み付けることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るフローティングブレーキディスクの組立方法及びそれによって組立てたフローティングブレーキディスク並びにフローティングブレーキディスクの組立装置によれば、連結ピンのかしめ部をかしめるときに、皿バネやウェブスプリングなどからなるバネ部材を圧縮変形させた状態で、連結ピンのかしめ部をかしめて第2鍔部を形成するので、かしめにより外側へ広がろうとするかしめ部の外周面の基部に座金の内周縁の角部やバネ部材の内周縁が噛み込まれることを防止して、第2鍔部を連結ピンの軸心直交方向に精度良く形成して、座金やバネ部材を精度良く組み付けることができる。このため、連結ピンのかしめ不良に起因する、両ディスクの連結強度の低下や、制動時における振動やノイズの発生を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ブレーキディスクの斜視図
【図2】ブレーキディスクの正面図
【図3】図1のIII-III線断面図
【図4】(a)は連結ピンの縦断面図、(b)(c)は他の構成の連結ピンの縦断面図
【図5】(a)〜(d)は他の構成の連結ピンの縦断面図
【図6】プレスによる組立装置の説明図
【図7】ブレーキディスクの組立方法の説明図で、(a)はバネ部材の圧縮開始直前の説明図、(b)はバネ部材の圧縮後、かしめ開始直前の説明図
【図8】かしめ完了時におけるブレーキディスクの組立方法の説明図
【図9】インサートによる組立装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図3に示すように、フローティングブレーキディスク1は、自動二輪車用のブレーキディスクで、平板環状の制動ディスク10と、制動ディスク10の内側に所定の隙間をあけて内嵌装着したハブディスク20と、制動ディスク10とハブディスク20とをフローティング状態に連結する複数の連結手段30とを備えている。
【0025】
制動ディスク10は、耐磨耗性に優れたステンレス鋼や炭素鋼からなる平坦な金属板をプレス成形した後、ブレーキパッド(図示略)が摺接される環状の摺動部11を熱処理して製作されている。摺動部11には、放熱性能を向上するとともに重量を軽減するため、複数の小孔12が形成されている。小孔12としては、図1、図2に示すような丸孔以外に細長いスリット状の長孔を形成することも可能で、小孔12の形状や個数や配列は、ブレーキディスク1の意匠性や摺動部11における放熱性を考慮して適宜に設定することができる。制動ディスク10の外周部及び内周部には複数の凹部13、14が円周方向に一定間隔おきに形成され、ブレーキディスク1の放熱性が高められるとともに軽量化が促進され、意匠的にも斬新さが表現されるように構成されている。凹部13、14の個数や形状は任意に設定可能である。ただし、凹部13、14の少なくとも一方を省略したブレーキディスク1に対しても、本発明を同様に適用することができる。制動ディスク10の寸法は、例えば外径300mm、厚さ6mmに設定したものを採用できる。
【0026】
ハブディスク20は、例えば軽量化を図るためアルミニウム合金等の軽金属材料で構成されている。ハブディスク20の中央部にはホイールハブの端部が挿通する取付孔21が形成されるとともに、取付孔21を取り囲むようにホイールハブへの取付用の複数のボルト挿通孔22が形成されている。ハブディスク20の半径方向の途中部には複数の軽減孔23が周方向に一定間隔おきに形成されている。
【0027】
図1〜図3に示すブレーキディスク1では、制動ディスク10とハブディスク20とを同一平面内に配置したが、車体側の構成に応じて、制動ディスク10とハブディスク20とを、ブレーキディスク1の厚さ方向(軸心方向)に一定間隔をあけた平行な平面内に配置することも可能である。また、両ディスク10、20の厚さは、同じに設定することもできるし、異なる厚さに設定することもできる。尚、本発明は、ブレーキディスク1の組立方法に特徴を有するものであり、制動ディスク10やハブディスク20の構成に関しては、既存の構成のものを適宜に採用することができる。
【0028】
連結手段30は、制動ディスク10とハブディスク20間に円周方向に一定間隔おきに設けられている。図1では、10個の連結手段30で制動ディスク10とハブディスク20とをフローティング状態に連結したが、10個以外の個数の連結手段30で両ディスク10、20をフローティング状態に連結することも可能である。
【0029】
連結手段30について説明すると、図1〜図3に示すように、連結手段30の配設位置において、制動ディスク10の内周部には半円形の制動側連結凹部15が形成され、ハブディスク20の外周部には半円形のハブ側連結凹部25が制動側連結凹部15と対向状に形成され、両ディスク10、20を組み合わせた状態で、両ディスク10、20間には連結凹部15、25により略円形の連結穴31が形成される。連結穴31には連結ピン32が装着され、この連結ピン32より両ディスク10、20の相対回転及び軸方向への相対移動が規制される。連結ピン32には両ディスク10、20が同一平面内に位置するように付勢する皿バネからなるバネ部材33と該バネ部材33を受け止める座金34が取付けられ、両ディスク10、20は連結ピン32とバネ部材33と座金34を介してフローティング状態に連結されている。ただし、座金34は省略することも可能である。
【0030】
前記連結ピン32は、図3に示すように、アルミニウム合金やマグネシウム合金などの軽金属材料からなり、中心孔40を有する円筒状の中空部材で構成され、連結穴31に略隙間なく内嵌状に装着される円筒状の胴体部41と、胴体部41の一端部に形成された連結穴31よりも大径の抜け止め用の第1鍔部42と、胴体部41の他端部に形成された連結穴31よりも大径の抜け止め用の第2鍔部43であって、図4(a)、図6、図7に示す連結ピン32Aのかしめ部43Aをかしめて形成した第2鍔部43とを備えている。
【0031】
図4(a)に図示の連結ピン32Aは、連結ピン32の第2鍔部43をかしめにより形成する前のものであり、胴体部41の上端部には第2鍔部43に対応させて円筒状のかしめ部43Aが連設されている。この連結ピン32Aには、アルマイト処理やメッキ処理などが施され、連結ピン32Aの表面にはアルミニウムの酸化被膜やクロムメッキなどの耐蝕処理層(図示略)が形成されている。ただし、連結ピン32は、軽合金以外の金属材料、例えばステンレスなどで構成することも可能で、この場合には耐食処理を省略することもできる。
【0032】
連結ピン32Aの胴体部41の外周面の長さ方向の途中部には段差部44が形成され、段差部44よりも上側の胴体部41は段差部44よりも下側の胴体部41よりも小径に構成され、かしめ部43Aの外径は段差部44よりも上側の胴体部41と同径に構成されている。ただし、段差部44は、かしめによる変形が、胴体部41のうちの連結穴31に31に隙間なく嵌合する部分に悪影響を及ぼさない位置であれば任意の位置に形成することが可能で、例えばかしめ部43Aと胴体部41の境界部に段差部44を形成することもできる。また、前述のように、段差部44を設けて、かしめ部43Aを胴体部41よりも小径に構成すると、かしめ部43Aのかしめ作業が容易になるので好ましいが、段差部44を省略した連結ピン32、即ちかしめ部43Aの外径を胴体部41と同径に構成した連結ピン32を採用することも可能である。
【0033】
連結ピン32Aにおける、かしめ部43Aと胴体部41の内周面の直径は全長にわたって同径に構成され、かしめ部43Aの先端外周面には、先端側へ行くにしたがって縮径する円錐状の面取り面45Aが形成され、連結ピン32の先端外周部は面取り面45Aを形成することで減肉されている。そして、このようにかしめ部43Aの内周面の直径を全長にわたって同径に構成するとともに、連結ピン32の先端外周部に面取り面45Aを形成することで、かしめ部43Aをかしめて第2鍔部43を形成するときに、連結ピン32Aの耐蝕処理層が破損しないように構成されている。また、かしめて形成した第2鍔部43の座金34側の端面は、連結ピン32の軸心直交方向の面内に配置される幅の広い環状面47に形成され、この環状面47により第2鍔部43と座金34との接触面積が大きく設定されて、連結ピン32の引き抜き強度が高められている。ただし、面取り面45Aを省略し、連結ピン32Aの端部を連結ピン32Aの軸心に直交する端面で構成することも可能である。
【0034】
尚、面取り面45Aの構成を部分的に変更した他の連結ピン32の実施例として、図4(b)、(c)に示す連結ピン32B、32Cのように、面取り面45B、45Cの傾斜角度θを変更したものを採用することができる。傾斜角度θは、20°未満の場合には、薄平板形状になって引き抜き強度が低下し、45°を超えると先槍(先細)形状になって引き抜き強度が低下するので、傾斜角度θは20°〜45°に設定することが好ましい。また、図4(a)(b)に示すように、連結ピン32A、32Bの中心線に直交する環状の端面46を形成するともできるし、図4(c)に示す連結ピン32Cのように、面取り面45Cを先鋭に形成することもできる。更に、円錐面状の面取り面45A〜45Cに代えて、図5(a)(b)に示す連結ピン32D、32Eのように、連結ピン32D、32Eの半径方向外方側へ突出する凸形円弧断面の環状湾曲面からなる面取り面45D、45Eや、図5(c)(d)に示す連結ピン32F、32Gのように、連結ピン32F、32Gの半径方向内側へ突出する凹形円弧断面の環状湾曲面からなる面取り面45F、45Gを形成することもできる。図5(a)(b)に示す面取り面45D、45Eの円弧の半径R1は、任意に設定可能であるが、5mm未満の場合には、先槍(先細)形状になって引き抜き強度が低下し、20mmを超えるとピンに欠損が発生する可能性があるので、半径R1は5mm〜20mmに設定することが好ましい。また、図5(c)(d)に示す面取り面45F、45Gの円弧の半径R2は任意に設定可能であるが、5mm未満の場合には、ピンに欠損が発生する可能性があり、20mmを超えると、先槍(先細)形状になって引き抜き強度が低下するので、半径R2は5mm〜20mmに設定することが好ましい。また、面取り面45A〜45Gの上端部や下端部にアールを形成して角を丸めることも、耐蝕処理層の破損を防止する上で好ましい。
【0035】
第1鍔部42と両ディスク10、20間において胴体部41にはバネ部材33と座金34が外嵌状に装着され、両ディスク10、20はバネ部材33により同一平面内に配置されるように付勢されている。ただし、連結ピン32として、胴体部41の横断面形状が楕円形や正方形や長方形などの方形状のものを採用することもでき、この場合には、連結穴31の形状も胴体部41に適合する形状に形成することになる。
【0036】
前記バネ部材33は、図3に示すように、緩やかな円錐状の皿バネで構成され、第1鍔部42と両ディスク10、20間にバネ部材33を組付けた状態で、バネ部材33が多少圧縮されるように、両ディスク10、20と第2鍔部43間の距離Hは、バネ部材33の自然状態での高さに座金34の厚さを加算した長さよりも多少短く設定されている。但し、バネ部材33として、皿バネに代えてウェブスプリングなどを採用することもできる。また、座金34を省略する場合には、距離Hは、バネ部材33の自然状態での高さよりも多少短く設定することになる。
【0037】
フローティングブレーキディスク1の組立装置50は、両ディスク10、20及び連結ピン32Aを支持する支持台51であって、制動ディスク10の内側にハブディスク20を嵌め合わせて、連結穴31が形成されるように、制動側連結凹部15にハブ側連結凹部25を突き合わせた状態で、両ディスク10、20を水平に支持するとともに、前記第1鍔部42を下側にして連結ピン32Aを縦向きに支持し、前記連結ピン32を連結穴31に対して設定高さに挿通配置する支持台51と、両ディスク10、20から上側へ突出する連結ピン32の胴体部41に外嵌装着したバネ部材33を、バネ部材33の上側において胴体部41に外嵌装着した座金34を介して圧縮する圧縮手段52と、連結ピン32のかしめ部43Aを上側からかしめて第2鍔部43を形成するかしめ手段53とを備えている。
【0038】
支持台51は、フローティングブレーキディスク1における連結ピン32の取付位置に対応させて設けられ、両ディスク10、20は、制動側連結凹部15の周辺部及びハブ側連結凹部25の周辺部を複数の支持台51上に載置することで、略水平に支持される。支持台51には、フローティングブレーキディスク1における連結ピン32の取付位置に対応させて、連結ピン32Aの第1鍔部42を収容して連結ピン32Aを縦向きに支持する収容部54が設けられ、収容部54の深さは第1鍔部42の厚さよりも組付状態でのバネ部材33の変形可能な高さTだけ深く設定されている。なお、支持台51は、連結ピン32の取付位置に対応させて独立に設けることもできるし、連結ピン32に対応させて複数の収容部54を形成した一体的な平板状の部材で構成することもできる。
【0039】
かしめ手段53は、図6〜図8に示すように、収容部54に対応させて設けたポンチ55と、ポンチ55を昇降する図示外の昇降手段とを有している。ポンチ55の下端部には、連結ピン32Aの中心孔40に挿入されてかしめ部43Aの先端部を外側へ押し広げる円錐台状の第1成形面55aと、押し広げたかしめ部43Aの先端部を連結ピン32の半径方向外方側へ案内する第2成形面55bとが設けられ、圧縮手段52により座金34を介してバネ部材33を押えた状態で、ポンチ55でかしめ部43Aをかしめて第2鍔部43をプレス成形できるように構成したものである。なお、複数のポンチ55を1つの昇降手段で昇降して、複数の連結ピン32を同時にかしめることも好ましい実施例である。
【0040】
圧縮手段52について説明すると、ポンチ55には円筒状の圧縮部材56が外装され、圧縮部材56の外周部には上下方向に細長い1対の案内スリット57が形成され、ポンチ55には案内スリット57を挿通する規制ピン58が固定され、圧縮部材56は案内スリット57を介してポンチ55に対して一定距離だけ上下方向に移動自在に取付けられている。ポンチ55の上部には圧縮部材56を下方へ常時付勢する圧縮コイルバネからなる付勢手段59が設けられている。ポンチ55と圧縮部材56の位置関係は、図7(b)に示すように、圧縮部材56の下端部で座金34を押圧して、バネ部材33を圧縮した状態で、図8に示すように、ポンチ55で連結ピン32のかしめ部43Aをかしめて、第2鍔部43を形成できるような位置関係に配置されている。この圧縮手段52は、かしめ手段53とは別個に設けることもできるが、本実施例のように、かしめ手段53と連動させて駆動することで、部品点数を少なくして組立装置50の製作コストを低減できるので好ましい。また、圧縮部材56としては、バネ部材33を圧縮できるものであれば任意の構成のものを採用することが可能である。また、圧縮部材56は、必ずしも座金34の上面の全周にわたって当接させる必要はなく、例えば複数のロッドからなる圧縮部材や、複数の部分円弧状部材からなる圧縮部材などを採用することもできる。更に、バネ部材33をバランスよく圧縮できるように、圧縮部材56の下端部にゴムなどの弾性部材を設けることも可能である。また、制動ディスク10とハブディスク20の厚さが異なる場合には、圧縮部材56の下端部にゴムなどからなる弾性部材を設けて、この弾性部材により厚さの差を吸収したり、圧縮部材56の下面に制動ディスク10とハブディスク20の厚さに適合する傾斜面を形成して、座金34やバネ部材33を傾斜状に配置させたり、圧縮部材56に代えて複数のロッドや部分円弧状部材からなる圧縮部材を設け、該圧縮部材をそれぞれ独立に座金34やバネ部材33に圧接させたりして、厚さの差を吸収することも可能である。ただし、圧縮手段52としては、図示した以外の構成を採用することも可能である。なお、座金34を省略する場合には、圧縮部材56でバネ部材33を直接的に圧縮することになる。
【0041】
次に、前記フローティングブレーキディスク1の組立方法について、図面を参照しながら簡単に説明する。
先ず、図6に示すように、支持台51に形成された10個の収容部54に第1鍔部42を夫々装着して10本の連結ピン32Aを支持台51に縦向きにセットする。
【0042】
次に、制動ディスク10の10個の制動側連結凹部15を10個の連結ピン32Aに夫々臨ませて、上方より制動ディスク10を支持台51の上面にセットするとともに、ハブディスク20の10個のハブ側連結凹部25を10個の連結ピン32Aに夫々臨ませて、上方よりハブディスク20を支持台51の上面にセットする。
【0043】
次に、連結ピン32Aのかしめ部43Aの下半部にバネ部材33及び座金34を外嵌状に装着してから、ポンチ55を下降させて、連結ピン32のかしめ部43Aをかしめて第2鍔部43を形成することになる。具体的には、先ず、図7(a)に示すように、圧縮部材56の下端部が座金34に当接するまでポンチ55を下降させ、更にポンチ55を下降させると、図7(b)に示すように、付勢手段59の付勢力に抗して圧縮部材56が相対的に上方へ移動し、付勢手段59の付勢力によりバネ部材33が圧縮され、更にポンチ55を下降させると、図8に示すように、圧縮部材56によりバネ部材33が圧縮されながら、ポンチ55が下降して、成形面55a、55bでかしめ部43Aをかしめて第2鍔部43を形成し、連結ピン32とバネ部材33及び座金34とで両ディスク10、20をフローティング状態に連結する。ただし、座金34を省略する場合には、連結ピン32Aのかしめ部43Aの下半部にバネ部材33を外嵌状に装着してから、ポンチ55を下降させて、圧縮部材56によりバネ部材33を圧縮してから、ポンチ55の成形面55a、55bでかしめ部43Aをかしめて第2鍔部43を形成し、連結ピン32とバネ部材33とで両ディスク10、20をフローティング状態に連結することになる。
【0044】
この組立装置50及び組立方法では、圧縮手段52でバネ部材33を圧縮しながら、かしめ手段53でかしめ部43Aをかしめて第2鍔部43を形成するので、かしめにより外側へ広がろうとするかしめ部43Aの外周面の基部に座金34の内周縁の角部やバネ部材33の内周縁が噛み込まれることを防止して、第2鍔部43を連結ピン32の軸心直交方向に精度良く形成して、座金34やバネ部材33を精度良く組み付けることができる。このため、連結ピン32のかしめ不良に起因する、両ディスク10、20の連結強度の低下や、制動時における振動やノイズの発生を効果的に防止することができる。なお、本実施の形態では、制動ディスク10とハブディスク20の厚さが同じ場合について説明したが、異なる場合でも同様にして両ディスク10、20を連結ピン32で連結することができる。
【0045】
このようにして製作したフローティングブレーキディスクでは、連結ピン32のかしめ不良に起因する、両ディスク10、20の連結強度の低下や、制動時における振動やノイズの発生を効果的に防止することができる。また、連結ピン32として、かしめ部43Aの先端外周部に面取り面45Aを形成し、かしめ部43Aの内周面をその全長にわたって同径に形成したものを用いているので、かしめ部43Aをかしめて第2鍔部43を形成したときに、耐蝕被膜層が破損するという問題を防止できる。また、第2鍔部43の座金34側には平坦な環状面47が形成され、第2鍔部43と座金34との接触面積が広くなるので、連結ピン32の引き抜き強度を向上できる。更に、かしめ部43Aと胴体部41間に段差部44が形成されるとともに、かしめ部43Aは胴体部41よりも薄肉に構成されているので、かしめ荷重が胴体部41側へ作用することが抑制され、かしめ荷重による胴体部41の変形を防止出来る。
【0046】
なお、かしめ手段53として、インサートを用いた回転式のかしめ手段を採用することもできる。具体的には、図9に示すかしめ手段60のように、軸心P1を中心として回転自在に支持された支持ヘッド61と、支持ヘッド61の偏心位置において支持ヘッド61の軸心P1に対して傾斜状に配置された軸心P2を中心として回転自在な円柱状のインサート62と、連結ピン32Aの載置するための前記実施例と同様の構成の凹部54を有する支持台51とを備え、インサート62の先端部に、連結ピン32Aの中心孔40に挿入されてかしめ部43Aの先端部を外側へ押し広げる円錐台状の成形面62aを形成し、支持ヘッド61を軸心P1回りに回転させるとともに、インサート62を軸心P2回りに回転させながら、インサート62の成形面62aをかしめ部43Aの先端内周面に圧接させて、かしめ部43Aをかしめて第2鍔部43を成形できるように構成したものを採用できる。この場合には、圧縮手段として、座金34を上側から押圧してバネ部材33を圧縮するリング状の圧縮部材65を有する圧縮手段を、かしめ手段53とは別個に昇降可能に設けることになり、圧縮部材65でバネ部材33を圧縮しながら、かしめ手段53でかしめ部43Aをかしめて第2鍔部43を形成することになる。なお、このかしめ手段60を用いる場合においても、圧縮部材65でバネ部材33を直接的に圧縮しながら、かしめ部43Aをかしめることで、座金34を省略したブレーキディスクを製作できる。
【符号の説明】
【0047】
1 フローティングブレーキディスク
10 制動ディスク 11 摺動部
12 小孔 13 凹部
15 制動側連結凹部
20 ハブディスク 21 取付孔
22 ボルト挿通孔 23 軽減孔
25 ハブ側連結凹部
30 連結手段 31 連結穴
32 連結ピン 33 バネ部材
34 座金
32A 連結ピン 32B 連結ピン
32C 連結ピン 32D 連結ピン
32F 連結ピン
40 中心孔 41 胴体部
42 第1鍔部 43 第2鍔部
43A かしめ部 44 段差部
45A 面取り面 45B 面取り面
45C 面取り面 45D 面取り面
45F 面取り面
46 端面 47 環状面
50 組立装置 51 支持台
52 圧縮手段 53 かしめ手段
54 収容部 55 ポンチ
55a 第1成形面 55b 第2成形面
56 圧縮部材 57 案内スリット
58 規制ピン 59 付勢手段
60 かしめ手段 61 支持ヘッド
62 インサート 62a 成形面
65 圧縮部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周部に複数の制動側連結凹部を形成した平板環状の制動ディスクと、前記制動側連結凹部と対向するハブ側連結凹部を外周部に有し、前記制動ディスクの内側に嵌合したハブディスクと、前記両連結凹部を突き合わせて形成される連結穴に組み付けた連結ピンと、連結ピンに外装したバネ部材とを備え、前記連結ピンとして、連結穴に略隙間なく装着される円筒状の胴体部と、胴体部の一端部に形成した胴体部よりも大径な第1鍔部と、胴体部の他端部に連設したかしめ部とを有し、前記かしめ部をかしめることで胴体部よりも大径の第2鍔部を形成可能な連結ピンを用いたフローティングブレーキディスクの組立方法であって、
前記連結穴に連結ピンを装着するとともに、前記バネ部材を連結ピンに外嵌装着して、前記バネ部材を圧縮変形させた状態で、かしめ部をかしめて第2鍔部を形成する、
ことを特徴とするフローティングブレーキディスクの組立方法。
【請求項2】
前記かしめ部をポンチでプレス成形して第2鍔部を形成する請求項1記載のフローティングブレーキディスクの組立方法。
【請求項3】
前記かしめ部にインサートを回転させながら圧接させて、かしめ部を第2鍔部に形成する請求項1記載のフローティングブレーキディスクの組立方法。
【請求項4】
前記連結穴に連結ピンを装着するとともに、前記バネ部材と座金を連結ピンに外嵌装着して、前記座金を介してバネ部材を圧縮変形させた状態で、かしめ部をかしめて第2鍔部を形成する請求項1〜3のいずれか1項記載のフローティングブレーキディスクの組立方法。
【請求項5】
前記連結ピンがアルミニウム合金からなる請求項1〜4のいずれか1項記載のフローティングブレーキディスクの組立方法。
【請求項6】
前記連結ピンとして、かしめ部の先端外周面に面取り面を形成するとともに、かしめ部の内周面を全長にわたって同径に構成し、表面に耐蝕処理層を形成した連結ピンを用いた請求項1〜5のいずれか1項記載のフローティングブレーキディスクの組立方法。
【請求項7】
前記面取り面としてテーパー面、凸形円弧断面の環状湾曲面または凹形円弧断面の環状湾曲面を形成した請求項6記載のフローティングブレーキディスクの組立方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の組立方法にて組立てたことを特徴とするフローティングブレーキディスク。
【請求項9】
内周部に複数の制動側連結凹部を形成した平板環状の制動ディスクと、前記制動側連結凹部と対向するハブ側連結凹部を外周部に有し、前記制動ディスクの内側に嵌合したハブディスクと、前記両連結凹部を突き合わせて形成される連結穴に組み付けた連結ピンと、連結ピンに外装したバネ部材とを備え、前記連結ピンとして、連結穴に略隙間なく装着される円筒状の胴体部と、胴体部の一端部に形成した胴体部よりも大径な第1鍔部と、胴体部の他端部に連設したかしめ部とを有し、前記かしめ部をかしめることで胴体部よりも大径の第2鍔部を形成可能な連結ピンを用いたフローティングブレーキディスクの組立装置であって、
前記制動ディスクの内側にハブディスクを嵌め合わせて、前記連結穴が形成されるように、制動側連結凹部にハブ側連結凹部を突き合わせた状態で、両ディスクを水平に支持するとともに、前記第1鍔部を下側にして連結ピンを縦向きに支持し、前記連結ピンを前記連結穴に対して設定高さに挿通配置する支持台と、
両ディスクの上側に突出する連結ピンの胴体部に外嵌装着したバネ部材を圧縮する圧縮手段と、
前記連結ピンのかしめ部を上側からかしめて第2鍔部を形成するかしめ手段と、
を備えたことを特徴とするフローティングブレーキディスクの組立装置。
【請求項10】
前記かしめ手段として、プレス成形によりかしめ部をかしめるポンチを有するものを用いた請求項9記載のフローティングブレーキディスクの組立装置。
【請求項11】
前記圧縮手段として、前記バネ部材を圧縮する圧縮部材を前記ポンチに外嵌状に設け、前記圧縮部材を常時下方へ付勢する付勢手段を設け、圧縮部材でバネ部材を圧縮した状態で、ポンチでかしめ部をプレス成形可能となした請求項10記載のフローティングブレーキディスクの組立装置。
【請求項12】
前記かしめ手段として、先端部をかしめ部に圧接させながら回転させることで、かしめ部をかしめるインサートを有するものを用いた請求項9記載のフローティングブレーキディスクの組立装置。
【請求項13】
前記圧縮手段として、胴体部に外装した座金を介してバネ部材を圧縮するものを用いた請求項9〜12のいずれか1項記載のフローティングブレーキディスクの組立装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−261481(P2010−261481A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111032(P2009−111032)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(305032254)サンスター技研株式会社 (97)
【Fターム(参考)】