説明

フロー型実験室オゾン分解装置およびオゾン分解反応を実行する方法

本発明によるフロー型実験室規模オゾン分解装置(100)は、リザーバ(104)と、供給ポンプ(102)と、2つの入口と1つの出口を有する混合要素(120)と、リアクタユニット(110)と、圧力調整手段(160)とを含み、これらは全て流路に接続されている。オゾン分解装置(100)は、更に、オゾン源(110)と、ガス流を単一方向のみ送り且つオゾン源(110)と混合要素(120)の入口の一方の間に取り付けられた計量供給弁(112)を有する。本発明によるオゾン分解装置(100)の供給ポンプ(102)は、一定の体積流量を生成する液体ポンプであり、リザーバ(104)は、オゾン分解反応にかけられる物質を溶質として少なくとも含み、リアクタユニットは、互いに機能が異なる第1と第2のリアクタゾーンを含む。流路において、第1のリアクタゾーンの出口は、第2のリアクタゾーンの入口に接続される。更に、物質を取り入れるための入口が、リアクタゾーン間の流路内に挿入され、圧力調整手段(160)が、リアクタユニット後の流路内に取り付けられ、電気的に管理された制御が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体リザーバ、供給ポンプ、2つの入口と1つの出口を有する結合要素、リアクタユニット、および圧力調整手段を有し、これらがすべて流路に結合されたフロー型実験室規模オゾン分解装置に関し、この装置は、更に、オゾン源と、オゾン源と結合要素の入口の一方との間に取り付けられてガス流を単一方向にのみ送出する計量供給弁(dispensing valve)とを備える。本発明は、また、所定の物質のオゾン分解反応を実行する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学工業では、用語「オゾン分解(ozonolysis)」は、一般に、鎖の切断を伴う有機炭化水素化合物(具体的には、アルケンと芳香族化合物の)の酸化を指す。オゾン分解反応は、比較的あまり用いられない化学反応である。オゾン分解反応は、その危険性のために、工業、農業および医療の分野には普及していないが、消毒と下水処理には幅広く使用されている。オゾン分解反応は、通常、次々と生じかつ/または実行される2つの反応を含む。一次反応では、有機物質とそれに混合されるオゾンの発熱反応(大量の熱の発生を伴う)が起こる。一次反応に続く二次反応では、添加剤を加えることによって、一次反応でできた中間生成物(いわゆる、オゾニド)の更なる反応(選択的に分解または安定化)が起こる。オゾン分解反応を達成するには、大量のガス状オゾンの追加が必要である。しかしながら、生じる中間生成物の高い爆発危険性と反応性のために、工業規模のオゾン分解反応の実施は、比較的高コストの安全手段が用いられ且つ適切な安全措置がとられた場合のみ可能である。更に、必要量のガス状オゾンを生成するには、やはり大きな物理寸法を有する高性能なオゾン発生器を使用しなければならない。
【0003】
欧州特許第1,039,294 A2号は、オゾンヒドロキシルラジカル分析器と、その分析器によって達成される化学分析方法を開示している。前記分析器は、オゾン分解反応に対応する入口と出口を有する反応チャネルと、その入口からオゾン分解反応によって分析される反応チャネル内にサンプルを導入する供給ポンプと、ガスを含むオゾンを入口から反応チャネルと制御ユニット内に供給するオゾン発生器とを含む。オゾン発生器は、その本質上、動作したときに高電圧が印加される同心の管状電極で構成されている。反応で消費されるオゾンは、高電圧を伝える電極に酸素含有ガスを通すことにより生成される。反応チャネル内に供給される所定の量のサンプルが、分析器による分析にかけられる。すなわち、分析器はバッチ型分析器である。
【0004】
ドイツ国特許出願第19910639 A1号は、好ましくは洗車装置で使用される使用済み水を浄化するために、電気で動作する電解セルの形のオゾン発生器を有する装置を開示している。装置は、同じように、連続的に循環する水の流れに入れられてもよく、流れから取り出されリザーバ内に収集された水に入れられてもよい。使用済み水の汚染分と、水の浄化をもたらすオゾンとの間の化学反応は、処理される前記使用済み水を貯めた大きな寸法のリザーバ内で、使用済み水中に沈められた電解セル内で生成されたオゾンを使用済み水中で泡立たせ、次に水面より上のリザーバ体積から水面に達した未反応オゾンを水中に戻して連続的に再泡立てすることによって実行される。
【0005】
国際公開番号WO01/40124は、例えば集積回路などの電子部品をオゾン化した液体物質で処理する方法と工業規模の装置を開示している。前記装置は、貯蔵流体を収容し蓄積する容器と、貯蔵流体と流体連通しているオゾン源と、容器からオゾン化された貯蔵流体を放出する排気口と、容器内の圧力を調整し且つ排出の開閉を制御する背圧レギュレータユニットとを含む。オゾン化された流体は、オゾン源によって生成されたオゾンを液体中で泡立たせることによって容器内で作製される。処理効率を高めるために、適切に穿孔された部材を取り付けることによって、オゾン化された液体のオゾン泡のサイズは液体が排気口から出る前に約50μm以下に縮小される。しかしながら、装置内では不均一相のオゾン分解反応は起こらない。
【0006】
前述の解決策は、工業規模装置に基づいておりフロー型装置には基づいていない。更に、既知の解決策は、薬剤研究の発見/化合物発見段階のどちらにも使用されない。
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1,039,294号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19910639号明細書
【特許文献3】国際公開第01/40124号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上を検討すると、微量の化学物質を制御された形でオゾン分解反応させ且つその化学物質を連続的な流れで維持するオゾン分解装置を開発することが極めて必要であることは明らかである。
【0009】
以上の観点から、本発明の目的は、実行されるオゾン分解反応で反応物の量が制御式に必要とされる結果として、目的とするオゾン分解反応を安全で便利に且つ高い反応歩留まりで達成することができるフロー型オゾン分解装置を開発することである。本発明の更に他の目的は、オゾン源とリアクタユニット自体である主構成要素の製造コストが安いことにより、安価に製造し且つ実験室作業で幅広く使用することができるオゾン分解装置を提供することである。本発明の更に他の目的は、安全なオゾン分解反応方法を提供することである。本発明の更に他の目的は、本発明による解決策の詳細な考察から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの態様では、上記の目的は、フロー型実験室規模オゾン分解装置によって達成され、この装置において、供給ポンプが、一定の体積流量を生成する液体ポンプであり、液体リザーバが、オゾン分解反応にかけられる物質を溶質として少なくとも含み、リアクタユニットが、機能が異なる第1と第2のリアクタゾーンを含み、第1のリアクタゾーンの出口が、流路内の第2のリアクタゾーンの入口に接続され、物質取入れ口が、リアクタゾーン間の流路に挿入され、圧力調整手段が、リアクタユニット後の流路内に接続され電気的に管理された制御機構を備える。
【0011】
本発明による装置の好ましい実施形態は、従属請求項2から18によって定義される。
【0012】
本発明の更に他の態様では、上記の目的は、所定の物質の実験室規模オゾン分解反応を実行する方法を提供することによって達成され、この方法は、溶解されオゾン分解反応にかけられる所定量の物質を供給ポンプによって流路に供給する段階と、物質供給位置の後にある区分の流路内に配置された計量供給弁を介してオゾンを供給する段階と、溶解された物質を、オゾン供給位置の後にある流路の区分内に配置された第1と第2のリアクタゾーンを含むリアクタユニット内に導く段階と、オゾン分解反応の完了に必要な添加剤をリアクタユニットの第1のリアクタゾーン後の流路に供給する段階と、リアクタユニット後の流路内に配置された圧力調整手段によって反応の圧力を所定の圧力範囲に維持する段階と、流路の端に接続された生成物容器内のリアクタユニットの第2のリアクタゾーン内で生成された生成物を収集する段階とを含む。
【0013】
本発明による方法の好ましい実施形態は、従属請求項20から24によって指定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、次に添付図面を参照して詳細に説明される。
【0015】
次に図1を参照すると、図1に概略的に示したオゾン分解装置100は、供給ポンプ102を備えた液体リザーバ104と、結合要素120,140と、反応チャネル135を備えた第1のリアクタ130とリアクタチャネル155を備えた第2のリアクタ150とを含むリアクタユニットと、圧力調整手段160と、生成物容器180と、制御ユニット190と、計量供給弁112と、およびオゾン源110とを含む。オゾン分解装置100は、更に、供給ポンプ172を備えた液体リザーバ174を含む。供給ポンプ172の入口は、液体リザーバ104と流体連通しており、その出口は、パイプ106に挿入された結合要素120の第1の入口に接続されている。パイプ114とパイプ114に組み込まれた計量供給弁112とを介して、オゾン源110は、結合要素120の第2の入口に接続される。結合要素120の出口は、第1のリアクタ130の反応チャネル135の入口に接続されている。第1のリアクタ130の反応チャネル135の出口は、パイプ107に組み込まれた結合要素140の第1の入口に接続される。結合要素140の第2の入口には、供給ポンプ172の出口が、必要に応じてパイプ176を介して接続される。供給ポンプ172の入口は、液体リザーバ174と流体連通している。結合要素140の出口は、第2のリアクタ150の反応チャネル155の入口に接続されている。第2のリアクタ150の反応チャネル155の出口は、パイプ108とパイプ108に組み込まれた圧力調整手段160とを介して生成物容器180に開いている。特定の要素を互いに接続する結果、オゾン分解装置100には、供給ポンプ102の出口から生成物容器180の入口まで延在する連続的に繋がった流路ができる。
【0016】
プログラマブル制御ユニット190は、リード線191,192,195,197を介して、供給ポンプ102、計量供給弁112、供給ポンプ172および圧力調整手段160とそれぞれ電気接続される。
【0017】
液体リザーバ104は、オゾン分解反応にかけられる物質および/またはその溶液(今後、略してサンプル溶液と呼ぶ)を収容する。オゾン分解反応の実行に触媒の存在を必要とする場合、触媒は、適切な形で、サンプル溶液に混合され、従って液体リザーバ104内にも存在する。流路内へのサンプル溶液(必要に応じて触媒も含む)の供給は、供給ポンプ102によって行われる。供給ポンプ102は、一定流量のサンプル溶液の連続な流れを維持するように適応されたHPLCポンプによって実現されることが好ましい。実際に、HPLCポンプは、圧力調整手段160によって生成され連続的に維持される圧力がある状態で、必要に応じて設定された一定の供給速度で動作する精密ポンプであり、当然ながら供給速度は任意に変更することができる。
【0018】
液体リザーバ174は、添加剤、即ち、オゾン分解反応で生成された中間生成物の分解/安定化に必要な物質および/またはその溶液(今後、略して添加剤溶液と呼ぶ)を含む。中間生成物を分解する/安定させるのに必要な第2の反応を実行するために触媒の存在が必要な場合、触媒は、適切な形で、添加剤溶液に混合され、従って液体リザーバ174内にも存在する。添加剤溶液(必要に応じて触媒も含む)の流路への供給は、供給ポンプ172によって実行される。供給ポンプ172は、また、一定流量の添加剤溶液の連続的な流れを維持するように適応されたHPLCポンプによって実現されることが好ましい。また、HPLCポンプによって実現される供給速度は、当然ながら、任意に変更することができる。
【0019】
結合要素120,140は、好ましくは、反応性オゾンに対する化学的耐性を有するプラスチック材料、好ましくフッ素化および/または塩素化重合体、より好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でできたT形要素であることが好ましい。更に他の実施形態では、結合要素120,140のフローチャネルの内側面だけが、化学的耐性を有するプラスチック材料で作製されるか、そのプラスチック材料で被覆される。第1のリアクタ130内で生じる拡散制限されたオゾン分解反応を促進するために、結合要素120は、サンプル溶液と入口に入る加圧されたオゾンとを混合する。結合要素120の出口からは、オゾンの泡を含むサンプル溶液が出る。結合要素140は、第1のリアクタ130内で生成された中間生成物と、第2の反応に加わり中間生成物を分解または安定化するのに必要な添加剤とを混合する。結合要素120,140は、当然ながら、結合要素120,140内に供給される液体とガス反応物の適切な混合を保証する他の部材として形成されてもよい。
【0020】
計量供給弁112は、一方ではオゾン源110へのサンプル溶液の逆流を阻止し、一方ではオゾンの供給を行う。計量供給弁112は、制御ユニット190によって操作される、好ましくはPTFEでできた電子制御式開閉スイッチ弁を備えることが好ましい。サンプル溶液とオゾン間の拡散制限反応の効率に関しては、反応物間の接触面の大きさが最も重要である。従って、計量供給弁112は、好ましくはサイズ約10μlを有する、できる限り小さいサイズの泡(即ち、微小気泡)を小出しするように設計される。計量供給弁112によって小出しされたオゾン泡のサイズが、予期された反応の視点から見て大きすぎる場合は、サンプル溶液に混合されるオゾン泡のサイズを小さくするために、所望の径の穿孔を有するPTFEから形成されることが好ましいエンドシート(図示せず)が、結合要素120のオゾン取り入れ口に配置される。
【0021】
周知のとおり、ガス状オゾンは極めて危険であり、その取り扱いは、一般に、特別な手段の使用と適切な安全措置への準拠を必要とする。従って、本解決策では、オゾン分解反応で消費されるオゾンガスは、優先的に現場(in-situ)で生成され、オゾンは、水から電気分解によって(即ち、水の分解によって)得られることが好ましい。従って、好ましい実施形態の1つでは、オゾン源110は、1つまたは複数の非対称圧力オゾン生成電解セルとして形成される。図2Aは、オゾン生成電解セル110’として形成され、本発明によるオゾン分解装置100に使用されるオゾン源110の好ましい実施形態を示す。セル110’内で使用される図2Bの電極構造10は、陰極(cathode)13、オゾン生成陽極(anode)16、これらの電極の間に配置されたプロトン交換膜15、および陽極16の膜15と反対側に配置された第1の電極支持体17を有する。電極支持体17は、電気接触のために貫通孔19を備えた(陽極側)支持部材18上に配置される。陰極13は、(陰極側)支持部材11内に配置された第2の(陰極側)電極支持体12上に形成される。
【0022】
電極支持体12は、一方では、例えばオゾン分解装置100の直流電力供給源と陰極13の間の電気接触を提供する働きをし、他方では、セルの動作中に電気分解に必要な水を陰極13に導きかつ生成された水素ガスを陰極13から分流する働きをする。従って、電極支持体12は、高導電性と多孔質構造を有し、更にセル110’内に生じる可能性のある最大20バールの高い圧力に耐えるための高い機械的強度とを有する部材で形成される。詳細には、電極支持体12は、支持部材11内に配置され、粒状チタンの高圧冷間成形によって作製された薄い多孔性チタンフリットである。本明細書では今後、用語「フリット(frit)」は、冷間成形により粒の粉末で作製された材料を指す。粉末チタンは、好ましくは、3つの異なるサイズの粉末チタンを層構造で含み、これらの層は、成形前に、比較的粗い粒子のチタン粉末(600〜1200μmの寸法を有する粒を含むことが好ましい)が、支持部材11の一番下に配置され、次にその上に中間サイズの粒のチタン粉末(350〜600μmの寸法を有する粒を含むことが好ましい)が塗布され、最後にその上に微粒子のチタン粉末(150〜350μmを寸法を有する粒を含むことが好ましい)が塗布されるような粒サイズの順序で配置される。従って、成形によって作製されたチタンフリットと、それから作製された陰極側電極支持体12は、深さの方向に粒度勾配を有するであろう。
【0023】
陰極側支持部材11は、例えば環状部材に形成された特別な化学的耐性を有するプラスチックで作製される。しかしながら、支持部材11が、他の材料で作製されてもよく、また任意の他の形状を有することができることも明らかである。
【0024】
効率的なセル動作の必須条件は、膜15だけでなく陰極13と陽極16の間の良好な電気接触である。従って、チタンフリットで作製された電極支持体12上の陰極13の形成は、きわめて高い重要性を有する。図2Bの電極構造10では、陰極13には、極めて細かい粒子の白金粉(白金黒とも呼ばれる)が使用されることが好ましい。
【0025】
プロトン交換(または、プロトン伝導)膜15は、好ましくはスルホニル化されたパーフッ化高分子樹脂膜、最も好ましくはDuPont de Nemours社の高分子膜Nafion(登録商標)の形であることが好ましい。膜15は、セル110’の固体電解質である。更に、膜15は、陰極と陽極に発生したガスの分離を提供する。電気分解に必要な水は、陰極13を備えた第2の電極支持体12を介して膜15の一方の側に導入され、それに対して使用される酸素とオゾンのガス状混合物は、膜15の反対側、即ち陽極16に生成される。
【0026】
陽極16は、陽極側の電気化学反応を支援する働きをする。陽極16には、導電性金属、半金属および/またはその酸化物が一般に使用される。遷移金属酸化物の使用は、一般に入手可能で且つ安価であるため有利である。しかしながら、これらの酸化物の機械的強度は低く、従って、高い機械的強度を有し且つ極めて腐食性の強い酸素とオゾンのガス混合物に対する化学的耐性を有する基板上に配置されなければならず、その結果、前記酸化物が動作中に機械的に破損されることなく、セル110’内に生じる高い圧力を許容することができる。
【0027】
陽極16を支持するために使用される電極支持体17には、高い導電率を有する貴金属(例えば、白金)または合金および/若しくはその混合物が使用される。電極支持体は、好ましくは少なくとも0.8mmの径を有する貫通孔を有する適切に穿孔された白金シートとして形成される。
【0028】
陽極側支持部材18は、陽極16からのセル110’の動作中に陽極16で生成された酸素とオゾンのガス状混合物を除去する働きをする。更に、支持部材18は、完全な電気接触を実現し、またその間に均質な遷移面を提供するために、電極支持体17を陽極16に固定し、陽極16を膜15に固定するために使用される。図2Bに示した電極構造10では、支持部材18は、弾力性のあり多孔質の化学的耐性を有する材料、好ましくは高圧成形によって粒状PTFEから作製されたPTFEフリットで作製される。支持部材18には貫通孔19が設けられている。組み立てられたセル110’において、貫通孔19は、陽極側電極支持体17と電源とを電気接続するために使用される陽極側導電部材を収容するように適応される。
【0029】
オゾン分解装置100のオゾン源110を構成するオゾン生成セル110’では、陽極16は、優れた導電性、可塑性、高い旋回性、および極めて腐食性の強い酸素とオゾンのガス混合物に対する高い化学的耐性を有する材料、好ましくは少なくとも10重量%のPTFEを含む二酸化鉛とPTFEの混合物で作製される。二酸化鉛とPTFEの混合物は、他の添加剤を使用せずに周囲温度で固相原料から作製される。陽極16を作製する前に、陽極16の材料として使用される二酸化鉛とPTFEの混合物の第1の成分となる二酸化鉛は、連続粉砕にかけられ、その結果、最初の巨視的サイズの二酸化鉛片から、コロイドサイズの二酸化鉛粒子(即ち、0.5〜100μmの平均粒径を有する)ができる。陽極16の材料として使用される二酸化鉛とPTFEの混合物の他の成分には、繊維状(生綿形)構造と50〜100μmの厚さを有し、最大1mmの長さを有する固体PTFEフィラメントが使用される。そのような寸法を有するPTFEフィラメントは、PTFEブロックの砥粒加工または研磨によって作製することができる。
【0030】
陽極16の材料を作製するために、コロイドサイズに粉砕された、例えば約1600mgの量の二酸化鉛と、例えば細かい基本フィラメントの形の約300mgの量のPTFEとが十分に混合される。数分間、好ましくは10分間混合した後で、これにより得られた混合物が、特にこのために作製されたフリット成形ツールに注入され、次に少なくとも50MPaの圧力、好ましくは250MPaの圧力を加えて押し込まれ、0.25mmの厚さを有するシートが形成される。成形工程中に、PTFEフィラメントは、からまり溶解して同時に二酸化鉛粒子が接合される。得られた二酸化鉛/PTFEシートは、コンパクトな寸法と連続面を有し、このシートは、容易に機械的に形成することができ、更に弾力性と展性を有する。次に、陽極16は、これにより得られた二酸化鉛/PTFEシートを所望のサイズに切断し、それを成形することによって作製される。
【0031】
図2Aに示され、また電極構造10を利用することにより達成されるセル110’の構造を設計するとき、またセル110’の材料を選択するとき、酸素とオゾンのガス状混合物に対する化学的耐性と、水の電気分解によって生成されるガスの圧力による機械的強度が考慮される。組み立てられた状態のセル110’は、ぴったりと封止された状態で合わされ固定された陰極側半体セル210と陽極側半体セル215から構成される。電極構造10は、半体セル210内に形成され且つ下側壁と側壁によって画定されたシート240内に配置され、そこで前記電極構造10の支持部材11(図2Bを参照)は、シート240の下側壁と接する。半体セル215の圧縮フランジ245の外側面とシート240の側壁はぴったりと当接される。半体セル215には、電極構造10の陽極側を収容するくぼみ248を備え、前記くぼみ248は、圧縮フランジ245によって横方向が画定される。組み立てられたセル110’では、電極構造10の支持部材18(図2Bに示した)は、くぼみ248内で半体セル215と密着し、一方、圧縮フランジ245は、電極構造10をシート240の下側壁に押し、それにより電極構造10がしっかり固定される。
【0032】
陰極側半体セル210は、水供給コネクタ260、水素および水排出コネクタ262、および陰極側電気コネクタケーシング230を密封式に収容するための貫通孔(図示せず)を備える。陽極側半体セル215は、オゾン/酸素ガス排出コネクタ265と陽極側電気コネクタケーシング235を密閉式に収容するための貫通孔(図示せず)を備える。半体セル210,215は、化学的耐性を有し且つガスを通さない材料、好ましくはある種のプラスチックで作製され、射出成形、機械加工または別の成形プロセスによって形成されることが好ましい。
【0033】
電源と陰極13(図2Bを参照)を電気接続するために配置された電気コネクタケーシング230内に少なくとも1つの導電部材250がある。導電部材250は、その長手方向軸に沿って圧縮力の作用により可逆的に変形可能な部材の形であり、前記部材250は、円筒コイルばねとして形成されることが好ましい。また、導電部材250はチタンで作製されることが好ましい。
【0034】
電気コネクタケーシング235内に、電源と電極支持体17を電気接続するように配置された少なくとも1つの導電部材255がある(図2Bを参照)。導電部材255は、その長手方向軸に沿って圧縮力の作用により可逆的に変形可能な部材の形であり、前記部材255は、円筒コイルばねとして形成されることが好ましい。また、導電部材255は、白金で作製されることが好ましい。弾性部品として形成された導電部材250,255を使用することにより、サイズ誤差と温度変動による寸法の変化をなくすことができる。
【0035】
半体セル210,215の外側壁、即ち電極構造10と接触していない壁は、陰極側制限板220と陽極側制限板225を備える。制限板220,225は、外部の機械的影響から半体セル210,215を保護する働きをする。従って、制限板220,225は、高い機械的強度を有する材料、好ましくはステンレス鋼で作製される。水供給コネクタ260、水素および水排出コネクタ262、および陰極側電気コネクタケーシング230は、制限板220に形成された貫通孔(図示せず)に確実に(但し、取り外し可能に)固定される。同様に、オゾン/酸素ガス排出コネクタ265と陽極側電気コネクタケーシング235は、制限板225内に形成された貫通孔(図示せず)内にしっかりと(但し、解放可能に)固定される。最後に、セル110’を一体で保持し、セル110’の中心部分を構成する電極構造10を密閉し、半体セル210,215内のセル110’の部品間の必要な電気的および機械的接触を提供するために、半体セル210,215と制限板220,225に形成された貫通孔内に通しボルト285を嵌め、前記通しボルト285をねじナット290によって締め付ける。
【0036】
生成されるオゾンの量の調整は、電気分解に使用する直流電流の量によって行われる。生成されるガス状オゾンの圧力は、結合要素120に供給される前で、好ましくは1〜50バール、より好ましくは最大約30バールである。オゾン源110を1つまたは複数の電解セル110’として提供することで、危険なオゾン取り扱いプロセスが極めて安全になる。本発明によるオゾン分解装置100の一部として利用可能なオゾン源110の更に他の実施形態は、本特許出願と同じ国際出願日に出願された「Ozone generating electrolysis cell」と題するPCTの国際特許出願に詳細に開示されている。
【0037】
リアクタユニットの第1の反応区分を構成する第1のリアクタ130は、その最も単純な形態で、入口と出口を備えた反応チャネル135を有する、好ましくは管状の閉鎖(好ましくは円筒状)部材として形成される。サンプル溶液とオゾンの拡散制限反応(即ち、計画的なオゾン分解反応)は、リアクタ130内で行われるというより、反応チャネル135内で行われる。第1のリアクタ130は、反応チャネル135と伝熱または熱交換関係にある主要温度調整手段132を備える。温度調整手段132は、オゾン泡を含むサンプル溶液の望ましい温度の設定を行う。温度調整手段132の好ましい実施形態は、例えば、反応チャネル135の所定の区分に巻き付けられた、例えば加熱/冷却ストランドの形、または反応チャネル135の所定の区分とその壁を介して接触するカスケード型ペルチェ(Peltier)ユニットである。温度調整手段132は、電気リード線136によって制御ユニット190に接続される。温度調整手段132は、リアクタ130内の温度を連続的に測定する温度センサ(図示せず)によって提供される信号に基づいて、電気リード線136を介して制御ユニット190によって操作される。
【0038】
リアクタユニットの第2の反応区分を構成する第2のリアクタ150は、その最も単純な形では、入口と出口を備えた反応チャネル155を有する、好ましくは管状の閉鎖(好ましくは円筒状)部材として形成される。リアクタ130から出る中間生成物/オゾン/酸素混合物と、結合要素140に加えられる添加剤の化学反応、即ち中間生成物の分解/安定化反応は、リアクタ150内で行われるというより、その反応チャネル155内で行われる。第2のリアクタ150は、反応チャネル155と伝熱または熱交換関係を有する主要温度調整手段152を備える。温度調整手段152は、中間生成物と添加剤の混合物の望ましい温度の設定を行う。温度調整手段152の好ましい実施形態は、反応チャネル155の所定の区分に巻き付けられた、例えば加熱/冷却ストランド、または反応チャネル155の所定の区分とその壁を介して接触しているカスケード型ペルチェユニットの形である。温度調整手段152は、電気リード線156によって制御ユニット190に接続される。温度調整手段152は、リアクタ150内の温度を連続的に測定する温度センサ(図示せず)によって提供される信号に基づいて、電気リード線156を介して制御ユニット190によって操作される。リアクタ130,150の反応チャネル135,155内の温度はそれぞれ、制御ユニット190によって互いに独立に制御することができる。
【0039】
単純な管として構成された第1のリアクタ130と第2のリアクタ150の実施形態では、反応チャネル135,155の内径は、最大4〜5mmであることが好ましく、一方反応チャネル135,155の長さは、一般に、30〜100mm、より好ましくは40〜50mmである。一般に、反応チャネル135,155の長さは、入口から入れられた反応混合物で計画された反応の完成を可能にし、同時に前記混合物が反応チャネル内を通ることができるように選択されることが好ましい。
【0040】
第1のリアクタ130は、パイプ106と107の適切に形成された区分の間に取り外し可能な方式で、好ましくは着脱式接続によって接続される。同様に、第2のリアクタ150は、パイプ107と108の適切に形成された区分の間に取り外し可能な方式で、好ましくは着脱式接続によって接続される。従って、リアクタ130,150の可能な実施形態では、反応チャネル135,155の入口と出口はそれぞれ、ねじが切られ、パイプ107と108および/またはパイプ106と107の間に適切なシーリングを利用したフレア継手によって接続される。
【0041】
図3Aと図3Bは、マイクロ流体リアクタ130’の形でオゾン分解装置100内に使用されている第1のリアクタ130と第2のリアクタ150の更に他の可能な実施形態を示す。前記マイクロ流体リアクタ130’は、特定の構造のものであり、低コストで製造することができる。
【0042】
先行技術では、用語「マイクロ流体リアクタ」は、一般に、入口と出口を備え、連続的または短い周期で中断しながら断続的に流れる反応混合物を収容するために使用される密封チャネルを指し、反応混合物の流れ方向に垂直な前記チャネルの寸法は、0.5mm以下である。図3Aに示したマイクロ流体リアクタ130’は、第1の面320Aと第2の面320Bによって画定されたリアクタシート320、リアクタシート320の第1の面320Aと接触している第1の制限部材310、リアクタシート320の第2の面320Bを覆う閉鎖部材330、閉鎖部材330と接触し、その周囲に沿った支持部材340、および閉鎖部材330と反対の支持部材340の面に当たる第2の制限部材360を含む。閉鎖部材330、支持部材340および制限部材360は一緒に、その間の冷却チャンバ353を画定する。冷却チャンバ353内で、温度制御ユニット350は、閉鎖部材330と接触して配置される。温度制御ユニット350は、支持部材340によってその場所にしっかりと固定される。この構成では、温度制御ユニット350は、第2の制限部材360から隙間によって分離され、即ち、温度制御ユニット350と第2の制限部材360は、互いに接触しない。冷却チャンバ353は、第2の制限部材360内に形成された、好ましくはねじが切られた貫通孔367,369を介して外部環境と連通状態にある。
【0043】
第1と第2の制限部材310,360は、その間に配置された要素をまとめ、それらの要素を外部の機械的衝撃から守る働きをする。従って、制限部材310,360は、高い機械的強度の鋼(例えば、ステンレス鋼)で作製される。制限部材310は、更に、外部環境とリアクタシート320内に形成されたチャネルとの間の連通を可能にする貫通孔(図示せず)を備える。貫通孔367,369の一方は、リアクタ130’の温度制御ユニット350の隣りの隙間によって画定されたフローチャネル355内に開いた冷却材供給手段357を密封され且つ取り外し可能な方式で収容する。冷却材供給手段357の密封接続は、制限部材360と冷却材供給手段357自体の間に配置されたガスケット358によって提供される。ガスケット358は、O型リングとして形成されることが好ましい。制限部材360に形成されたねじ切りされた貫通孔367,369の他方は、冷却剤排出手段359を密封され且つ取り外し可能な方式で収容するように適応されており、前記冷却剤排出手段359は隙間355から開いている。冷却剤排出手段359の密封接続は、制限部材360と冷却剤排出手段359自体の間に配置されたガスケット(図示せず)によって提供され、ガスケットは、O型リングとして形成されることが好ましい。
【0044】
リアクタシート320は、化学的耐性を有し、容易に機械加工可能な耐熱材料で作製される。リアクタシート320の材料は、化学的耐性を有するプラスチック材料、好ましくはフッ素化および/または塩素化重合体、より好ましくはPTFEである。反応チャネル325は、リアクタ130’の動作中に反応物またはその混合物のための適切なスペースを保証し、また計画された化学反応(即ち、オゾン分解反応または中間生成物を分解/安定化するための反応)に対応するために使用され、リアクタシート320の面320Bに形成され、反応チャネル325の詳細は、図3Bに示されている。
【0045】
図3Bから分かるように、反応チャネル325には、制限部材310の貫通孔内にそれぞれ取り付けられたコネクタ380,382,384と流体連通した通路390,392,394を備える。通路390,392は、反応物を供給するために使用され、一方通路394は、Y形状を有し、反応チャネル325に組み込まれた混合器として働く結合要素329によって作製された反応混合物中で起こる化学反応の反応生成物を排出するために使用される。結合要素329と通路394の間に延在する反応チャネル325の区分の長さは、結合要素329によって互いに接触する反応物の所望の化学反応が、反応物が通路394に達する前に行われるように選択される。図3Bに示したように、小さい寸法を有するリアクタ130’の設計を容易にするために、反応チャネル325は、並列に延在する比較的長い区分と、この区分と垂直に延在する比較的短い区分とを含む。反応チャネル325のこの形態の別の利点は、チャネル容積に対するチャネル面積の比が大きいので、反応物/反応混合物の温度を迅速且つ確実に変更することができることである。
【0046】
反応チャネル325は、リアクタシート320を適切に締め付けた後で、回転加工面を有する加工ツール、好ましくはボール型加工ツールを、リアクタシート320の材料と塑性度に応じて選択された圧縮力を加えることによって面320Bに押し当て、前記回転加工面が、プログラムに従って制限部材310の適所に配置された案内(または制御)装置内でガイドされるように面320Bに形成される。加えられる圧縮力の値は、加工ツールのボールが、形成する反応チャネル325の望みの深さまでリアクタシート320の本体に押し込まれるように選択される。次に、反応チャネル325は、制御部の適切な調整に従って必要な反応チャネル325の所定の経路に沿ってボール型加工ツールを連続的に前進させることにより形成され、前進速度は、一般に、0.1〜5mm/秒の範囲である。回転加工面を有する加工ツールが連続的に前進している間、リアクタシート320の材料は、反応チャネル325の周囲に沿って稠密になり、生じるせん断力により押し出され、その結果、反応チャネル325のそれぞれに沿って密封エッジが形成される。反応チャネル325と密封エッジの寸法は、加工ツールの加工面の径に依存する。前記ボール型加工ツールを使用する場合、反応チャネル325の幅と反応チャネル325と共に形成される密封エッジのサイズは、加工ツールのボールの径を変化させることにより調整することができる。反応チャネル325の深さは、ボール型加工ツールのボールの高さ位置を変化させることによって調整することができる。
【0047】
リアクタシート320に形成された反応チャネル325の密閉は、閉鎖部材330を面320Bまたはそこから突出する密封エッジ上に配置し、閉鎖部材330の平面と垂直な圧縮力を加えることによって行われる。加えられた力により密封エッジが変形され、その結果、リアクタシート320と閉鎖部材330の間に密封接合ができる。この場合、圧縮力は、面320B全体の代わりに、面320Bの密封エッジの上にだけ分散され、それにより信頼性の高い密閉が得られることに注意されたい。閉鎖部材330には、優れた熱伝導性と化学的耐性を有し且つ滑らかな表面を有する材料でできたシート状部材/薄膜が使用される。優れた熱伝導性が必須条件の場合、閉鎖部材330は、最大20μmの厚さを有するPTFE薄膜で作製される。
【0048】
反応チャネル325を密閉した後、リアクタシート320には、制限部材310に取り付けられたコネクタと通路390,392,394の間の連通を可能にするために、通路390,392,394にリアクタシート320の厚さ全体に貫通孔が設けられる。
【0049】
支持部材340は、アルミニウムでできた正方形フレームの形であることが好ましい。
【0050】
図3Aに示したように、支持部材340内に収容された温度制御ユニット350は、閉鎖部材330と接している位置で、反応チャネル325に対して閉鎖部材330の反対側に配置される。温度制御ユニット350の好ましい実施形態は、カスケード型ペルチェユニット(互いに接触した複数であるが、好ましくは2個のペルチェ素子を含む)として形成されることが好ましく、その動作はペルチエ効果に基づく。当業者には明らかなように、ペルチェ素子は、2枚の薄いセラミックシートとその間の複数の半導体シートを含む装置であり、素子に適切な電流と電圧が印加されたときに、その2つの面の間に一定の温度差を提供する。その最も単純な形では、ペルチェ素子の底面に2つの異なる金属層があり、そこに電流が流れる結果、金属層間に熱流が生じる。これにより、低温面と高温面ができる。マイクロ流体リアクタ130’に使用される温度制御ユニット350の第1のペルチェ素子351の低温面は、反応チャネル325内に収容されたリアクタシート320または反応物/反応混合物と、閉鎖部材330を介して接している。同時に、マイクロ流体リアクタ130’に使用される温度制御ユニット350の第1のペルチェ素子351の高温面は、第2のペルチェ素子352の低温面と接している。リアクタ130’の温度を制御するために使用される温度制御ユニット350は、好ましくは共通ケーシング内の2つの前述のペルチェ素子351,352、の一体型ユニットによって構成される。
【0051】
マイクロ流体リアクタ130’の第1の制限部材310、リアクタシート320、閉鎖部材330、および温度制御ユニット350の支持部材340は、リアクタシート320と閉鎖部材330の間の完全な封止を作製し維持するために、適切な締結機構によって保持され締め付けられる。締結機構は、前記部品のそれぞれに形成されリアクタ130’の厚さ全体にわたって通る貫通孔(図示せず)に差し込まれた通しボルト370と、通しボルト370にねじ式に嵌められたナット372とによって構成されることが好ましい。
【0052】
本発明によるオゾン分解装置100内で利用可能なマイクロ流体リアクタ130’では、流体構造を構成するために使用される面全体は25cmであり、チャネルの長さは65mmであり、チャネルの平均径は400μmであり、チャネルの深さも400μmであり、入口と出口の数は3個であり、単一の結合要素が使用され、チャネル内の最低到達温度は−50℃(+5Wの熱負荷で)、チャネル内の最高到達温度は350℃であり、リアクタの最大動作圧力は30バールであり、温度の最大変化率は8℃/秒である(0〜20℃の範囲内で)。
【0053】
本発明によるオゾン分解装置100のリアクタ130,150の更に他の可能な実施形態は、本特許出願と同じ国際出願日に出願された「Method of forming a sealed channel of a Microfluidic reactor and a microfluidic reactor comprising such channel」と題するPCT国際特許出願に詳細に開示されている。リアクタ130,150として使用される図3Aと図3Bに示したマイクロ流体リアクタ130’の場合、結合要素120,140は、マイクロ流体リアクタ130’内に形成された反応チャネル325に組み込まれ、従ってそのような要素を更に他に使用する必要がないことに注意されたい。そのような事例では、供給ポンプ102の出口と計量供給弁112の出口は、第1のリアクタ130を構成するマイクロ流体リアクタ130’の入口に直接接続され、供給ポンプ172の出口とリアクタ130の出口は、第2のリアクタ150を構成するマイクロ流体リアクタ130’の入口に直接接続される。更に、前記マイクロ流体リアクタ130’を使用するとき、温度調整手段132,152は、マイクロ流体リアクタ130自体の温度制御ユニット350によって提供される。
【0054】
第2のリアクタ150の更に他の可能な実施形態は、反応性装填物を含む圧縮カラムの形で提供することができる。そのような事例では、反応性装填物は、固相での中間生成物の分解/安定化反応に必要な添加剤を含むことが好ましく、従って液相添加剤を供給しなくてもよい。従って、圧縮カラムとして、例えば国際特許出願番号PCT/HU2005/000090に開示された代替可能なカートリッジリアクタを優先的に使用することができる。
【0055】
圧力調整手段160は、流路の端に配置された電子制御式モータ駆動高精度圧力調整弁であり、オゾン分解反応に必要な圧力を調整し、流路内でその圧力をの一定値に維持する。圧力調整弁は、その構造の結果として、極めて感度が高く、圧力値を極めて小さなステップで、即ちほとんど連続的に設定することができる。圧力調整手段160の動作範囲は、1〜100バール、好ましくは10〜30バールの範囲である。圧力調整手段160は、電気リード線197を介して送られた適切なトリガ信号によって制御ユニット190によって操作される。
【0056】
パイプ106,107,108,114,176は、0.05〜5mmの範囲の内径、好ましく0.05mmの内径を有する毛細管として形成され、耐圧性で且つ化学的耐性を有する材料で作製される。
【0057】
図1に示したように、本発明によるオゾン分解装置100の更に他の可能な実施形態は、補助温度調整手段185を備える。補助温度調整手段185は、それぞれ熱交換器186および187を介して、第1のリアクタ130の主温度調整手段132および/または第2のリアクタ150の主温度調整手段152と伝熱関係にある。(図3Aに示したマイクロ流体リアクタ130’がそれぞれリアクタ130,150として使用されるとき、熱交換器186,187は、リアクタ自体の温度制御ユニット350と伝熱関係にある。)他方、補助温度調整手段185は、その外部環境と伝熱/熱交換関係にある。補助温度調整手段185は、電気リード線189を介して送られる適切なトリガ信号によって制御ユニット190によって操作される。
【0058】
以下では、実験室規模のオゾン分解装置100の動作について詳細に述べる。
【0059】
オゾン分解装置100を始動した後、制御ユニット190からの信号に応じて、供給ポンプ102は、サンプル溶液を液体リザーバ104からパイプ106を介して流路に、好ましくは0.1ml/分〜10ml/分の間、一般には0.25ml/分の予め設定された一定流量で供給し始める。同時に、制御ユニット190からの第1の信号に応じて計量供給弁112が開き、次に比較的短い時間期間内の第1の信号の後の第2の信号に応じて計量供給弁112が閉じ、次に制御ユニット190から別のコマンドを受け取るまでこの開閉操作を繰り返す。計量供給弁112の開閉操作の結果として、所定量のガス状オゾンが、オゾン源110からパイプ114を通って流路に次々と送られる。オゾンの供給を維持するために、パイプ114に流れるガス状オゾンの圧力は、パイプ106に流れるサンプル溶液の圧力より常に高くなる。計量供給弁112の一番最初の開放と同時に、圧力調整手段160は、制御ユニット190からの信号に再び応じて閉じ、流路内に規定される(またオゾン分解反応によって必要とされる)圧力を高める。供給されたサンプル溶液とガス状オゾンは、結合要素120内で出会って混合される。オゾン泡を含むサンプル溶液は、結合要素120の出口からパイプ106を介して第1のリアクタ130に流れ込む。リアクタ130の反応チャネル135内では、オゾン泡を含むサンプル溶液の温度は、制御ユニット190の監視下で温度調整手段132によって所望の値に設定される。その間に、リアクタ130内に供給されたサンプル溶液は、反応チャネル135のリアクタ130の出口の方に進む。進行中に、反応チャネル135内で所望のオゾン分解反応が起こる。反応チャネル135内の全サンプル溶液への反応の拡張は、一方では反応チャネル135内の温度を調整/維持することによって保証され、他方では圧力調整手段160によって流路内に維持される圧力によって保証される。反応チャネル135を通るサンプル溶液から生成され、必要に応じてガス状オゾンと酸素と混合される中間生成物は、リアクタ130の出口とパイプ107を通って結合要素140に流れ込む。これと同時に、制御ユニット190からの信号に応じて、添加剤溶液が、供給ポンプ172によって、事前設定された流量で液体リザーバ174から結合要素140の他の入口に供給される。結合要素140内では、中間生成物は、添加剤溶液と混ざる。結合要素140から、中間生成物と添加剤溶液の混合物は、第2のリアクタ150に入り、その反応チャネル155内で、中間生成物の分解/安定化反応が、制御ユニット190の監視下で温度調整手段152によって設定された温度で行われる。リアクタ150の出口から出る最終生成物、オゾンおよび酸素の混合物が、圧力調整手段160によって生成物容器180に入る。適切なユニットによって、危険なオゾンは、生成物容器180内に排出された混合物から抽出され、例えば加熱や触媒プロセスによって破壊されるか、オゾン源110の出口に再循環される。その間に、混合物の酸素分は単に環境に漏れる。
【0060】
オゾン分解反応を達成するのに必要な構造部材に加えて、本発明によるオゾン分解装置100は、表示装置(図示せず)とデータ入力用のキーボードとを備える。本発明によるオゾン分解装置100とそのユニットの動作は、図示していない直流電源によって保証される。
【0061】
本発明によるフロー型実験室規模オゾン分解装置100の連続的に繋がった流路の全容積は、最大50cm、より好ましくは最大25cmである。
【0062】
オゾン分解装置100の多数の修正が可能であり、更に装置自体が更に他の追加ユニットを備えることができることは当業者に明かである。詳細には、修正のうちの1つはオゾン源110に関連し、オゾン源110は、例えばオゾン源110自体によって生成されたガス状オゾンの濃度を測定するユニットや、オゾン源110自体によって生成されたガス状オゾンの含水量を減らす乾燥ユニットで実施することもできる。乾燥ユニットは、凍結型乾燥ユニットであることが好ましい。
【0063】
以下では、本発明によるオゾン分解装置100を、その応用例と利点と共に、実施例として示す。本発明によるオゾン分解装置100は、実施例の反応を達成するのに特に適している。その理由は、不均一相(気体/液体)で生じる反応の事例において、重要な接触期間の長さと接触面のサイズを制御できることである。これに加えて、ほとんどのオゾン分解反応は、室温より低い温度にする必要があり、またほとんどの反応では、オゾニドの更に他の化学プロセスは冷却環境も必要である。ここで発熱反応が起こるとき、本発明によるオゾン分解装置100に使用される温度調整システムによって大幅に促進される素早く且つ確実な方法で反応熱を発散させることが不可欠である。本発明によるオゾン分解装置100の場合には、オゾニドを生成する化学反応とオゾニドを分解する化学反応の間に明確に規定された時間期間が経過するので(第1のリアクタ130から出る混合物が結合要素140に達しなければならないので)、副反応の発生を大幅に減少させることができ、即ち標的化合物をより高い歩留まりで生成することができる。
【実施例】
【0064】
<実施例1>
0.025mol/lの濃度を有するメタノール/ジクロロメタン中の5−メチル−1−H−インドール(5-metil-1-H-indol)の溶液(1:1)を、オゾン分解装置100の液体リザーバ104から、供給ポンプ102によって、マイクロ流体リアクタとして提供された第1のリアクタ130の反応チャネル135に送り込む。更に、一定量の5体積%のオゾンを含むオゾンと酸素のガス状混合物を、計量供給弁112の制御された動作によって、図3Aに示したマイクロ流体リアクタとして提供される第1のリアクタ130の反応チャネル135に送り込む。前記反応物は、反応チャネル135内で混合することができる。リアクタ130内を通る5−メチル−1−H−インドールの溶液の流量は、0.25ml/分で一定に維持され、プロセスの間中、リアクタ130内で5バールの圧力が連続的に維持される。反応は0℃の温度で実行される。リアクタ130から取り出されたオゾニド分との混合物は、パイプ107を介して第2のリアクタ150の反応チャネル155内に導かれる。ここで、第2のリアクタ150は、入口と出口を有する反応チャネル155を提供し且つ固定化された形態の水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)を含む管状リアクタとして形成される。反応は、−15℃の温度で実行される。第2の試薬NaBHは、反応の中間生成物(生成されたオゾニド)の分解を保証する。リアクタ150内の平均滞留時間は数秒である。反応生成物は、N−(2−ヒドロキシメチル−4−メチルフェニル)−ホルムアミドである。高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)分析によれば、反応生成物の純度は98%である。
【0065】
従来のリアクタによって実行される反応の歩留まりは、約60〜65%であり、これは、主に、制御が困難な反応条件によるものであり、従って反応の副生成物の割合からのものである(例えば、Journal of the Chemical Society (1953), pp.3440-3443、またはJournal of the Chemical Society (1950), pp.612-618を参照)。改善された条件下で実現される反応の場合、歩留まりは、純度が高くなるほど低下する。
【0066】
<実施例2>
本発明によるオゾン分解装置100による連続的な流れのオゾン分解に関する我々の研究は、芳香族炭化水素とインドールの2つの主要グループの化合物を含む。「古典的な」方法によるこれらの種のオゾン分解とその結果は周知である。オゾン分解後、中間生成物を消滅させるための還元処理(reductive workup)が選択される。このための最良の選択は、水素化ホウ素ナトリウムを満たしたリアクタ150であることが分かっている。適用された条件下で得られた結果から、本発明によるオゾン分解装置100によって実行されるオゾン分解の反応速度も選択レベルも温度に依存しないことが分かる。この結論は、スチルベンとインドールの両方に行われた実験によって支援され、生成物の分布は、−40℃、−20℃、0℃および20℃の温度で同じである。オゾンより多い過剰なオレフィンを使用すると、変換の程度は、適用されるすべての温度で同じままである(表1)。様々な温度での変換のこの不変性は、本発明によるオゾン分解装置100内のオゾン分解反応と同じ程度の比率で二次反応または副反応が起こらないことを示す。
【0067】
【表1】

【0068】
オゾン分解反応に関する文献によれば、望ましくない副反応を回避するためには、そのようなタイプの反応の大部分を低温で行わなければならない。この観点から、本発明によるオゾン分解装置を利用して行った我々の研究では、変換率がリアクタ内の温度に依存しないことは予期されていなかった。この偶然の発見は、変換率の低下のない本発明によるオゾン分解装置によって、好ましくは周囲温度でも様々なオゾン分解反応を実行できることを意味することは明らかである。
【0069】
具体的には、周囲温度における本発明によるオゾン分解装置100内のスチルベンとテトラフェニル−エチレンのオゾン分解により、主生成物としてそれぞれベンジルアルコールとジフェニルカルビノールができる。前記反応の変換率を表2にまとめる。
【0070】
【表2】

【0071】
以上の実験の結果から、本発明によるオゾン分解装置が、先行技術による及び今日用いられているオゾン分解反応を実行する装置と対照的に、優れた熱伝達率を有することが分かる。従って、その優れた熱除去能力の結果として、本発明によるオゾン分解装置は、集中的発熱を伴う発熱反応においてさえ適切な速度で反応中にリアクタ内で生成された熱の除去を保証し、それにより反応混合物の過熱が抑制され、従って望ましくない副反応の開始と進行が抑制される。これに対して、従来のリアクタは、十分に迅速に熱を除去することができず、従って従来のリアクタを使用するときの副反応を回避するために過冷却と反応混合物の遅い加熱が必要とされる。これは、行われる標的反応に必要な時間を長くし、更に反応速度を低下させ望ましくない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実験室規模オゾン分解装置の実施形態の概略ブロック図である。
【図2A】本発明によるオゾン分解装置内に使用されるオゾン生成電解セルの可能な実施形態の断面図である。
【図2B】図2Aのオゾン生成電界セルの電極構造を概略的に示す図である。
【図3A】本発明によるオゾン分解装置内で優先的に使用されるマイクロ流体リアクタの可能な実施形態の断面図である。
【図3B】図3Aに示したマイクロ流体リアクタの線A−Aに沿った断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の物質のオゾン分解反応を実行するためのフロー型実験室規模オゾン分解装置において、
液体リザーバ(104)と、供給ポンプ(102)と、2つの入口と1つの出口を有する結合要素(120)と、リアクタユニットと、圧力調整手段(160)とを備え、これらがすべて流路に接続されており、更に、オゾン源(110)と、ガス流を単一方向だけに送り且つ前記オゾン源(110)と前記結合要素(120)の入口の一方との間に取り付けられた計量供給弁(112)とを備えた装置(100)であって、
前記供給ポンプ(102)は、一定の体積流量を生成する液体ポンプであり、前記液体リザーバ(104)は、オゾン分解反応にかけられる物質を溶質として少なくとも含み、前記リアクタユニットは、機能が異なる第1と第2のリアクタゾーンを含み、前記第1のリアクタゾーンの出口は、前記流路内の前記第2のリアクタゾーンの入口に接続され、物質取入れ口は、前記リアクタゾーンの間の流路に挿入され、前記圧力調整手段(160)は、前記リアクタユニット後の流路内に接続され且つ電気的に管理された制御機構を備えることを特徴とする実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項2】
前記リアクタユニットの前記リアクタゾーンは、物理的に分離した第1と第2のリアクタ(130,150)として提供されることを特徴とする、請求項1に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項3】
前記第1のリアクタ(130)は、リアクタ(130)と伝熱関係にある温度調整手段(132)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項4】
前記第2のリアクタ(150)は、リアクタ(150)と伝熱関係にある温度調整手段(152)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項5】
前記物質取入れ口は、2つの入口と1つの出口を有する結合要素(140)として構成され、前記第1のリアクタ(130)の出口は、前記結合要素(140)の入口の一方に接続され、前記第2のリアクタ(150)の入口は、前記結合要素(140)の出口に接続され、第2の液体リザーバ(174)は、第2の供給ポンプ(172)を介して前記結合要素(140)の他方の入口に接続され、前記第2の液体リザーバ(174)は、オゾン分解反応の完了に必要な少なくとも1つの添加剤を収容することを特徴とする、請求項2に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項6】
前記第1のリアクタ(130)は、入口と、出口と、化学反応に対応する反応チャネル(325)とを有するマイクロ流体リアクタ(130’)として提供され、前記マイクロ流体リアクタ(130’)は、冷間成形によってリアクタシート(320)の表面に作製され且つ前記リアクタシート(320)の前記表面に押し付けられた閉鎖部材(330)によって密閉された密封反応チャネル(325)と、前記反応チャネル(325)と反対側の前記閉鎖部材(330)の表面と接触して配置され且つ前記閉鎖部材(330)を介して前記反応チャネル(325)と伝熱関係にある温度制御ユニット(350)とを備えることを特徴とする、請求項5に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項7】
前記結合要素(120)は、前記反応チャネル(325)の一体部材として形成されることを特徴とする、請求項6に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項8】
前記温度調整手段(132)は、前記温度制御ユニット(350)によって提供されることを特徴とする、請求項6に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項9】
前記第2のリアクタ(150)は、前記第1のリアクタ(130)と同じ構造を有するマイクロ流体リアクタ(130’)として提供されることを特徴とする、請求項2に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項10】
前記第2のリアクタ(150)は、反応性装填物を有する圧縮カラムとして提供され、前記装填物は、オゾン分解反応の完了に必要な添加剤を含むことを特徴とする、請求項2に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項11】
前記オゾン源(110)は、オゾンを現場(in-situ)で生成することを特徴とする、請求項1に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項12】
前記オゾン源(110)は、少なくとも1つの非対称圧力オゾン生成電解セル(110’)として提供されることを特徴とする、請求項11に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項13】
前記オゾン生成電解セル(110’)は、
陰極(13)と、
鉛(IV)酸化物とポリテトラフルオロエチレンの混合物を含む陽極(16)と、
陰極(13)と陽極(16)の間に配置された膜(15)と、
前記膜(15)の反対側にある陽極(16)の側面と接触し、導電性で且つ液体と気体を透過する第1の電極支持体(17)とを備え、前記電極支持体(17)の前記側面は、白金を含む層で覆われた面を有し、前記陽極(16)の材料は、コロイドサイズの鉛(IV)酸化物粒子と、最大1mmの径を有するポリテトラフルオロエチレンフィラメントとの高圧成形によって作製された混合物であることを特徴とする、請求項12に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項14】
適切な電気接続によって前記計量供給弁(112)と、前記供給ポンプ(102)と、前記圧力調整手段(160)に接続された中央制御装置(190)を更に有することを特徴とする、請求項1に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項15】
前記供給ポンプ(102)と前記圧力調整手段(160)の間の流路に沿って測定された全内部容量が、最大50cm、好ましくは最大25cmであることを特徴とする、請求項1に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項16】
前記第1のリアクタ(130)の前記温度調整手段(132)は、適切な電気接続によって前記中央制御装置(190)と接続されていることを特徴とする、請求項3および14に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項17】
前記第2のリアクタ(150)の前記温度調整手段(152)は、適切な電気接続によって前記中央制御装置(190)と接続されている、請求項4および14に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項18】
前記第1のリアクタ(130)の前記温度調整手段(132)および/または前記第2のリアクタ(150)の前記温度調整手段(152)と熱交換関係にあり且つ適切な電気接続によって前記中央制御装置(190)と接続された補助温度調整手段(185)を更に含むことを特徴とする、請求項16および17に記載の実験室規模オゾン分解装置(100)。
【請求項19】
溶剤に溶かされた物質のオゾン分解反応を実行する実験室規模の方法であって、
(i)溶解されオゾン分解反応にかけられる所定量の物質を供給ポンプ(102)によって流路に供給する段階と、
(ii)オゾンを計量供給弁(112)を介して物質供給位置の後にある区分内の流路に供給する段階と、
(iii)溶解された物質を、オゾン供給位置の後にある流路の区分内に配置された第1と第2のリアクタゾーンを含むリアクタユニット内に導く段階と、
(iv)オゾン分解反応の完了に必要な添加剤を前記リアクタユニットの前記第1のリアクタゾーンの後の流路に供給する段階と、
(v)反応の圧力を、前記リアクタユニット後の流路内に配置された圧力調整手段(160)によって所定の圧力範囲に維持する段階と、
(vi)流路の端に接続された生成物容器(180)内の前記リアクタユニットの第2のリアクタゾーン内に生成された生成物を収集する段階とを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記オゾンは、前記流路内に断続的に供給されることを特徴とする、請求項19によるオゾン分解反応を実行する実験室規模の方法。
【請求項21】
前記溶解された物質の温度は、前記リアクタユニットの前記第1のリアクタゾーン内で実行される反応の規定された温度に変更されることを特徴とする、請求項19によるオゾン分解反応を実行する実験室規模の方法。
【請求項22】
前記第1のリアクタゾーン内で実行される反応によって生成される中間生成物を分解しまたは安定化させる反応は、前記リアクタユニットの前記第2のリアクタゾーンで実行されることを特徴とする、請求項21によるオゾン分解反応を実行する実験室規模の方法。
【請求項23】
前記第1のリアクタゾーン内で生成される前記中間生成物の温度と前記流路内に供給される前記添加剤の温度は、前記リアクタユニットの前記第2のリアクタゾーン内で前記リアクタユニットの前記第2のリアクタゾーン内で実行される反応の規定された温度に変更されることを特徴とする、請求項22によりオゾン分解反応を実行する実験室規模の方法。
【請求項24】
前記流路に沿って測定され、前記リアクタユニットの容積も含む全内容積は、最大50cm、好ましくは最大25cmであることを特徴とする、請求項19によるオゾン分解反応を実行する実験室規模の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2009−520596(P2009−520596A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546653(P2008−546653)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/HU2006/000125
【国際公開番号】WO2007/072097
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(508189164)タレスナノ ナノテクノロジアイ ゼットアールテー (3)
【Fターム(参考)】