説明

フードステーホルダ

【課題】不使用時にフード側に保持されるフードステーを使用する場合においても、フードステーがフードに接触し難いフードステーホルダを提供すること。
【解決手段】棒状のフードステー(6)を不使用時に保持するフードステーホルダ(7)において、フード(3)の内壁面に固定されるベース部(71)と、ベース部(71)に設けられフード(3)から離間する方向に延在する支柱部(73)と、支柱部(73)の先端でベース部(71)側に開口して設けられフードステー(6)を保持する保持部(74)と、保持部(74)と対向し支柱部(73)から一定長さ離れたベース部(71)の位置に保持部(74)側に突出して設けられた突出部(714)とを具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの上方のカバーを構成するフードを開いた状態に維持するフードステーを保持するフードステーホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両においては、エンジンルームに配置されたエンジンの上方のカバーを構成するフードを備えている。フードは、フードヒンジ等の部品によりエンジンルームを開閉可能に車両本体に取り付けられる。エンジンルームには、フードを開状態に保持するフードステーが備えられている。フードステーは、エンジンのメンテナンス時などの使用時にフードと車両本体との間で架け渡され、フードを開状態に保持する。一方、不使用時には、エンジンルーム内の所定位置に収納される。
【0003】
フードステーは、使用時にエンジンの上方側に大きな開放空間を形成する一方、不使用時に限られた空間であるエンジンルーム内に収納することが要請される。このような要請に対応するために様々な提案がされている。例えば、フードステーの支持位置からエンジンルーム前端までの距離が短い車両においても、長いフードステーを不使用時にエンジンルーム内に収納するフードステー構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−313357号公報、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、エンジンルームにおいて、不使用時のフードステーを車体側でなく、フードの内壁面に保持する車種が普及している。このような車種において、フードステーは、フードの内壁面に取り付けられたフードステーホルダにより保持される。フードステーホルダとして、フードの内壁面から突出して設けられた支柱部と、支柱部の先端にフード側に開口して設けられた保持部とを有するものが知られている。このようなフードステーホルダにおいては、使用時にフードステーを保持部からフード側に取り外す必要がある。保持部からフードステーを取り外す作業においては、フードステーがフードに接触し、フードの変形や塗装の剥離などの不具合が発生し得る。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、不使用時にフード側に保持されるフードステーを使用する場合においても、フードステーがフードに接触し難いフードステーホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフードステーホルダは、棒状のフードステーを不使用時に保持するフードステーホルダであって、フードの内壁面に固定されるベース部と、前記ベース部に設けられ前記フードから離間する方向に延在する支柱部と、前記支柱部の先端で前記ベース部側に開口して設けられ前記フードステーを保持する保持部と、前記保持部と対向し前記支柱部から一定長さ離れたベース部の位置に前記保持部側に突出して設けられた突出部とを具備することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ベース部における保持部と対向し支柱部から離れた位置に突出部を設けたことから、使用時に保持部からフードステーを取り外す場合においても、フードステーがベース部の領域外に飛び出し難くできる。これにより、不使用時にフード側に保持されるフードステーを使用する場合においても、フードステーがフードに接触し難くできる。この結果、フードステーの接触に起因する、フードの変形や塗装の剥離などの不具合の発生を抑制できる。
【0009】
上記フードステーホルダにおいて、前記突出部における前記支柱部側の面は、前記フードから離れるに連れて前記支柱部からの距離が長くなる形状を有する。この構成によれば、突出部における支柱部側の面を、フードから離れるに連れて支柱部からの距離が長くなる形状としていることから、保持部から取り外され、支柱部と突出部との間に配置されたフードステーをベース部の領域外に移動させる場合には、フードステーをフードから遠ざかる向きに移動させる必要がある。この場合、フードステーをベース部の領域外に移動させる場合には、フードから離れる方向に手が動くこととなるので、フードステーとフードとの間に手が挟まれる事態を防止でき、取り外し作業時の安全性を向上できる。
【0010】
また、上記フードステーホルダにおいて、前記突出部における前記支柱部側の面は、前記フードステーの外周面に沿った曲面形状を有する。この構成によれば、突出部における支柱部側の面を、フードステーの外周面に沿った曲面形状としていることから、保持部から取り外したフードステーの外周面を突出部の一面で受けることができるので、フードステーがベース部の領域外に飛び出す事態を効果的に抑制できる。
【0011】
また、上記フードステーホルダにおいて、前記突出部における前記支柱部と反対側の面は、前記フードから前記保持部に向かうテーパ形状を有する。この構成によれば、突出部における支柱部と反対側の面を、フードから保持部に向かうテーパ形状としていることから、使用したフードステーを保持部で保持させる際に、突出部がフードステーの移動を邪魔し難くでき、保持部に対するフードステーの取り付け作業をスムーズに行うことができる。
【0012】
また、上記フードステーホルダにおいて、前記保持部は、前記支柱部の先端側に前記フードステーの保持領域を有すると共に、当該保持領域に前記フードステーを案内する案内部を有する。この構成によれば、保持部の保持領域にフードステーを案内する案内部を設けたことから、使用したフードステーを保持部で保持させる際に、フードステーを保持領域に案内でき、効率的に保持部に対するフードステーの取り付け作業を行うことができる。
【0013】
また、上記フードステーホルダにおいて、前記案内部は、前記フードから離れるに連れて前記支柱部からの距離が短くなる形状を有する。この構成によれば、案内部の形状を、フードから離れるに連れて支柱部からの距離が短くなる形状としていることから、使用したフードステーを保持部で保持させる際に、確実にフードステーを保持領域に案内でき、効率的に保持部に対するフードステーの取り付け作業を行うことができる。
【0014】
本発明の保持部品は、棒状の開放姿勢維持部品を不使用時に保持する保持部品であって、開閉部品の内壁面に固定されるベース部と、前記ベース部に設けられ前記開閉部品から離間する方向に延在する支柱部と、前記支柱部の先端で前記ベース部側に開口して設けられ前記開放姿勢維持部品を保持する保持部と、前記保持部と対向し前記支柱部から一定長さ離れたベース部の位置に前記保持部側に突出して設けられた突出部とを具備することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、ベース部における保持部と対向し支柱部から離れた位置に突出部を設けたことから、使用時に保持部から開放姿勢維持部品を取り外す場合においても、開放姿勢維持部品がベース部の領域外に飛び出し難くできる。これにより、不使用時に開閉部品側に保持される開放姿勢維持部品を使用する場合においても、開放姿勢維持部品が開閉部品に接触し難くできる。この結果、開放姿勢維持部品の接触に起因する、開閉部品の変形や塗装の剥離などの不具合の発生を抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、不使用時にフード側に保持されるフードステーを使用する場合においても、フードステーがフードに接触し難いフードステーホルダを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係るフードステーホルダが適用される自動車の斜視図である。
【図2】本実施の形態に係るフードステーホルダが適用される自動車の斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る自動車のフード内のフードステー周辺の拡大斜視図である。
【図4】本実施の形態に係るフードステーホルダ周辺の拡大斜視図である。
【図5】本実施の形態に係るフードステーホルダの斜視図(A)及び側面図(B)である。
【図6】本実施の形態に係るフードステーホルダからフードステーを取り外す際及びフードステーホルダでフードステーを保持させる際の動作を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1及び図2は、本実施の形態に係るフードステーホルダが適用される自動車の斜視図である。図1においては、フードが閉じた状態(閉状態)における自動車を示し、図2においては、フードの開いた状態(開状態)における自動車を示している。
【0019】
図1及び図2に示すように、自動車1の前方部分には、エンジンルーム2を開閉するフード3が設けられている。フード3は、鋼製の板金に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことで形成される。例えば、フード3は、フードアウターパネルとフードインナーパネルとを重ねて構成される。フード3は、その後端部近傍にて左右一対のフードヒンジ4a、4bを介して車体5に支持されている。フード3は、これらのフードヒンジ4a、4bにより、その前端部が上下方向に揺動可能に車体5に取り付けられている。なお、フード3は、ボンネットとも呼ぶことができる。
【0020】
フード3の内壁面には、フード3を開状態に保持するフードステー6が備えられている。フードステー6は、例えば、鋼製の丸棒部材に折り曲げ加工を施すことで形成される。フードステー6は、一端部がフード3の内壁面に回動可能に支持されている。他端部を車体5側に回動させ、車体5とフード3との間にフードステー6を架け渡すことにより、フード3を開状態に保持することができる。
【0021】
図3は、本実施の形態に係る自動車1のフード3内のフードステー6周辺の拡大斜視図である。なお、図3においては、フードステー6によりフード3を開状態に保持した場合について示しているが、説明の便宜上、フード3の内壁面に保持された状態のフードステー6Aについて破線で示している。
【0022】
図3に示すように、フードステー6は、略直線形状を有するロッド部61と、ロッド部61の一端に折り曲げ形成された接続部62と、ロッド部61の他端に折り曲げ形成された係合部63とを有している。フードステー6は、接続部62を介してフード3の内壁面(例えば、フードインナーパネル)に取り付けられている。例えば、フードステー6は、接続部62を介して右方側のフードヒンジ4aの近傍のフード3の内壁面に取り付けられる。
【0023】
接続部62は、例えば、フードヒンジ4aの補強部品であるフードヒンジリンフォースに対し、結合部品であるフードステーリンケージを介して回動可能に支持される。フードヒンジリンフォースに対して接続部62を回動可能に支持することで、フードステー6は、図3に示す破線で示す収納状態と、実線で示す係合状態との間の位置を移動できる。なお、フードステー6は、不使用時に収納状態とされ、使用時に係合状態とされる。
【0024】
収納状態において、フードステー6は、係合部63近傍に配置されたロッド部61の被保持部61aが、フード3の内壁面(例えば、フードインナーパネル)に装着されたフードステーホルダ7により保持される。ロッド部61の被保持部61aがフードステーホルダ7に保持されることで、フードステー6は、フード3の内壁面に沿って保持された状態となる。
【0025】
図4は、本実施の形態に係るフードステーホルダ7周辺の拡大斜視図である。図4に示すように、フードステーホルダ7は、一端でフード3の内壁面に取り付けられ、他端でフードステー6のロッド部61(被保持部61a)を保持する。フードステーホルダ7は、フード3に取り付けられた状態において、フードステー6を保持する部分がフード3の内壁面から僅かに突出した状態で配置される。なお、このフードステーホルダ7の構成については後述する。
【0026】
フード3を開状態に保持する場合、収納状態からフードステー6が図3に示す矢印A方向に回動されて係合状態とされる。係合状態において、フードステー6は、係合部63が車体5側の一部に係合する。例えば、係合部63は、自動車1の右方側のランプの取り付けに利用されるランプサポートメンバー8に係合する。係合部63がランプサポートメンバー8等に係合することで、フードステー6がフード3と車体5との間で架け渡された状態となる。架け渡された状態において、フードステー6は、突っ張り棒として機能する。これにより、フード3は、開状態を保持する。
【0027】
フードステー6を収納状態に戻す場合には、まず、係合部63によるランプサポートメンバー8との係合が解除される。そして、フードステー6が図3に示す矢印B方向にフード3側に回動される。さらに、ロッド部61の被保持部61aがフードステーホルダ7により保持される。これにより、フードステー6が収納状態とされる。
【0028】
ここで、本実施の形態に係るフードステーホルダ7の構成について説明する。フードステーホルダ7は、例えば、硬質の樹脂材料を成形して形成される。図5A及び図5Bは、それぞれ本実施の形態に係るフードステーホルダ7の斜視図及び側面図である。以下においては、説明の便宜上、図5Bに示す上下方向をフードステーホルダ7の上下方向と呼び、図5Bに示す左右方向をフードステーホルダ7の左右方向と呼ぶものとする。
【0029】
図5A、図5Bに示すように、フードステーホルダ7は、ベース部71を有している。ベース部71は、概して正方形状の基準面711と、この基準面711の下面の左方側の領域に設けられた当接部712とを有している。ベース部71(基準面711)の上面中央には、概して角棒形状の装着部72が設けられている。一方、基準面711の下面の右方側の領域(すなわち、当接部712の右方側の領域)には、下方側に向けて延びる支柱部73が設けられている。この支柱部73の下端部には、基準面711(当接部712)側に開口した保持部74が設けられている。
【0030】
装着部72は、フード3の内壁面に形成された矩形状の開口部(図示略)に挿入される。この開口部は、装着部72の断面外形と略同一の寸法に設けられている。装着部72の対向する一対の壁面部721a、721bには、係合部722a、722bが設けられている(図5において、壁面部721b、係合部722bは不図示)。係合部722a、722bは、それぞれ壁面部721a、721bの中央で上下方向に延在して設けられている。係合部722a、722bは、上端部で壁面部721a、721bに接続され、下端部近傍が内側に移動可能に構成されている。係合部722a、722bは、その中央部より下方側の位置に頂部を有し、その上方側及び下方側に斜面部が連続して設けられている。係合部722a、722bは、フード3の内壁面の開口部に対する装着部72の挿入に伴って、装着部72の内側に退避した後、開口部を越えた位置で初期位置(図5に示す位置)に復帰する。これにより、フード3の内壁面にフードステーホルダ7が固定される。
【0031】
基準面711は、平面形状を有し、フードステーホルダ7がフード3に装着された状態でその内壁面と対向して配置される(図4参照)。フード3の内壁面の開口部周辺は、平面形状を有している。開口部周辺の内壁面に対向して配置されることにより、基準面711は、フードステーホルダ7を安定した状態で固定できる。フード3に装着された状態において、フードステーホルダ7は、ベース部71(基準面711)より下方側の部分のみがフード3から突出した状態となる。
【0032】
当接部712は、支柱部73における基準面711よりも僅かに下方側の位置と、基準面711の下面の左方側端部とを連結する板状部713で構成される。板状部713は、支柱部73から左方側に基準面711と平行に延び、基準面711の左方側端部の下方側領域で上方側に湾曲した形状を有する。この板状部713の湾曲した部分には、保持部74側に突出する突出部714が設けられている。なお、図5Bにおいては、説明の便宜上、板状部713と突出部714との境界位置に破線を示している。
【0033】
突出部714は、任意の形状を採用することができるが、本実施の形態では下方側に凸形状を有する突起714aと、この突起714aに連続して設けられた曲面714b、714cとで構成されている。突出部714は、ベース部71における保持部74と対向する位置であって、支柱部73の左方側面から一定長さだけ離れた位置に設けられている。例えば、突出部714は、支柱部73の左方側面からフードステー6の半径と同等の長さ、或いは、半径よりも長い長さだけ離間する位置に設けられている。突出部714は、詳細について後述するように、保持部74から取り外されたフードステー6と当接して、そのベース部71の領域外へ飛び出すのを規制する役割を果たす。
【0034】
当接部712の突出部714において、支柱部73側の曲面714bは、下方側に向かうに連れて支柱部73からの距離が長くなる形状を有している。言い換えると、支柱部73側の曲面714bは、フード3から離れるに連れて支柱部73からの距離が長くなる形状を有している。また、支柱部73側の曲面714bは、フードステー6の外周面に沿った形状を有している。一方、当接部712の突出部714において、支柱部73と反対側の曲面714cは、下方側に向けて保持部74に向かうテーパ形状を有している。言い換えると、支柱部73と反対側の曲面714cは、フード3から保持部74に向かうテーパ形状を有している。
【0035】
支柱部73は、基準面711の左右方向の中央から下方側に向けて垂直に延びる板状部731と、この板状部731と直交して設けられたリブ状部732とを有している。リブ状部732は、支柱部73及び保持部74を補強するために設けられている。保持部74は、支柱部73の板状部731及びリブ状部732を基準面711側に円弧状に変形させて設けられている。保持部74を構成する板状部731の内側には、フードステー6の被保持部61aの保持領域741が設けられている。保持領域741は、フードステー6の被保持部61aの径と略同一の寸法に設けられている。
【0036】
保持部74を構成する板状部731のうち、保持領域741の上方側に配置された部分は、案内部742を構成する。案内部742は、下方側に向かって支柱部73からの距離が短くなる形状を有している。言い換えると、案内部742は、フード3から離れるに連れて支柱部73からの距離が短くなる形状を有している。案内部742は、フードステー6をフードステーホルダ7に取り付ける際に保持部74の保持領域741にフードステー6を案内する役割を果たす。
【0037】
次に、本実施の形態に係るフードステーホルダ7からフードステー6を取り外す際及びフードステーホルダ7でフードステー6を保持させる際の動作について説明する。図6は、本実施の形態に係るフードステーホルダ7からフードステー6を取り外す際及びフードステーホルダ7でフードステー6を保持させる際の動作を説明するための模式図である。図6A、図6Bにおいては、フードステーホルダ7からフードステー6を取り外す際の動作を示し、図6Cにおいては、フードステーホルダ7でフードステー6を保持させる際の動作を示している。
【0038】
フードステーホルダ7に保持された状態のフードステー6を使用する場合、フードステー6は、図6Aに示すように、保持部74からフード3側(上方側)に移動して取り外される。取り外されたフードステー6は、ベース部71の当接部712に当接する。この場合において、当接部712には突出部714が設けられていることから、フードステー6のベース部71よりも左側への移動を規制する。これにより、フードステー6がベース部71の領域外に飛び出し難くでき、フードステー6がフード3に接触し難くできる。この結果、フードステー6の接触に起因する、フード3の変形や塗装の剥離などの不具合の発生を抑制できる。
【0039】
特に、突出部714における支柱部側の曲面714bは、フードステー6(被保持部61a)の外周面に沿った曲面形状を有している。このため、保持部74から取り外したフードステー6の外周面を突出部714の一面で受け止めることができるので、フードステー6の勢いを吸収でき、フードステー6がベース部71の領域外に飛び出す事態を効果的に抑制できる。
【0040】
また、突出部714における支柱部73側の曲面714bは、下方側に向かって支柱部73からの距離が長くなる形状を有している。このため、保持部74から取り外され、支柱部73と突出部714との間に配置されたフードステー6をベース部71の領域外に移動させる場合には、図6Bに示すように、フードステー6をフード3から遠ざかる向きに移動させる必要がある。この場合、フードステー6をベース部71の領域外に移動させる場合には、フード3から離れる方向に手が動くこととなるので、保持部74からフードステー6を取り外した場合にフードステー6とフード3との間に手が挟まれる事態を防止でき、取り外し作業時の安全性を向上できる。
【0041】
一方、フードステー6をフードステーホルダ7に保持させる場合には、図6Cに示すように、ベース部71の領域外からフードステー6を保持部74側に移動させる。具体的には、突出部714の左方側から保持部74の保持領域741に向けてフードステー6を移動させる。この場合において、突出部714における支柱部73と反対側の曲面714cは、フード3から保持部74に向かうテーパ形状を有している。このため、保持部74でフードステー6を保持させる際に突出部714cがフードステー6の移動を邪魔し難くでき、保持部74に対するフードステー6の取り付け作業をスムーズに行うことができる。
【0042】
また、保持部74には、保持領域741にフードステー6を案内する案内部742が設けられている。このため、保持部74でフードステー6を保持させる際に、フードステー6を保持領域741に案内でき、効率的にフードステーホルダ7でフードステー6を保持させることができる。特に、案内部742は、フード3から離れるに連れて支柱部73からの距離が短くなる形状を有している。このため、使用したフードステー6を保持部で保持させる際に、確実にフードステー6を保持領域741に案内でき、効率的に保持部74に対するフードステー6の取り付け作業を行うことができる。
【0043】
このように本実施の形態に係るフードステーホルダ7によれば、ベース部71における支柱部73から離間する位置に突出部714を設けたことから、使用時に保持部74からフードステー6を取り外す場合においても、フードステー6がベース部71の領域外に飛び出し難くできる。これにより、不使用時にフード3側に保持されるフードステー6を使用する場合においても、フードステー6がフード3に接触し難くできる。この結果、フードステー6の接触に起因する、フード3の変形や塗装の剥離などの不具合の発生を抑制できる。
【0044】
一般にフードステーホルダ6の保持力を強くすると、フードステーホルダ7からフードステー6を取り外す際に受ける反動が大きくなり、フードステー6がフード3に接触し易くなる。しかしながら、フードステー6を保持する保持部74に対向し、支柱部73から一定長さ離れた位置に突出部714を設けることにより、ベース部72の領域外へのフードステー6の飛び出しを抑制できる。この結果、フードステーホルダ7の保持力を、フード3との接触を考慮することなく柔軟に設定できる。
【0045】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0046】
例えば、上記実施の形態に係るフードステーホルダ7においては、ベース部71が有する当接部712の一部に突出部714を設ける場合について説明している。しかしながら、突出部714が設けられる位置については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、ベース部71に当接部712を設けず、ベース部71の基準面711の一部に突出部714を設けることも可能である。このように変形した場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
また、上記実施の形態に係るフードステーホルダ7においては、当接部712において、突出部714が板状部713の幅方向(図5Bに示す紙面奥行き方向)と同一の寸法に構成された場合について示している。しかしながら、突出部714の形状については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、板状部713の幅方向の一部(中央部や両端部)のみに対応する寸法に構成することも可能である。このように変形した場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
さらに、上記実施の形態に係るフードステーホルダ7においては、突出部714が、突起714aと、この突起714aに連続して設けられた曲面714b、714cとで構成された場合について示している。しかしながら、突出部714の形状については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、突起と、この突起に連続して設けられた一対の傾斜面とで構成することも可能である。また、突起に曲面と傾斜面とを連続して設けるようにしても良い。
【0049】
また、上記実施の形態においては、本発明を、フード3を開状態に維持するフードステー6を保持する保持部品であるフードステーホルダ7に具現化した場合について説明している。しかしながら、本発明は、不使用時のフードステー6を保持するフードステーホルダ7に限定されるものではなく他の保持部品にも適用することが可能である。
【0050】
具体的には、本発明には、棒状の開放姿勢維持部品を不使用時に保持する保持部品が含まれる。開閉部品の内壁面に固定されるベース部と、ベース部に設けられ開閉部品から離間する方向に延在する支柱部と、支柱部の先端でベース部側に開口して設けられ開放姿勢維持部品を保持する保持部と、保持部と対向し支柱部から一定長さ離れたベース部の位置に保持部側に突出して設けられた突出部とを具備することを特徴とする保持部品が含まれる。
【0051】
上記保持部品が保持する開放姿勢維持部品としては、例えば、自動車の後方部分に備えられるトランクや、キャンピングカーに搭載されるポップアップルーフを開いた状態に維持するステーなどが考えられる。前者の場合には、トランクパネル(ラゲッジコンバートメントドア)に対してステーを接触し難くでき、その変形や塗装の剥離などの不具合の発生を抑制できる。同様に、後者の場合には、ポップアップルーフパネルに対してステーを接触し難くでき、その変形や塗装の剥離などの不具合の発生を抑制できる。
【符号の説明】
【0052】
1 自動車
2 エンジンルーム
3 フード
4a、4b フードヒンジ
5 車体
6(6A) フードステー
61 ロッド部
61a 被保持部
62 接続部
63 係合部
7 フードステーホルダ
71 ベース部
711 基準面
712 当接部
713 板状部
714 突出部
714a 突起
714b、714c 曲面
72 装着部
73 支柱部
731 板状部
732 リブ状部
74 保持部
741 保持領域
742 案内部
8 ランプサポートメンバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状のフードステーを不使用時に保持するフードステーホルダであって、
フードの内壁面に固定されるベース部と、前記ベース部に設けられ前記フードから離間する方向に延在する支柱部と、前記支柱部の先端で前記ベース部側に開口して設けられ前記フードステーを保持する保持部と、前記保持部と対向し前記支柱部から一定長さ離れたベース部の位置に前記保持部側に突出して設けられた突出部とを具備することを特徴とするフードステーホルダ。
【請求項2】
前記突出部における前記支柱部側の面は、前記フードから離れるに連れて前記支柱部からの距離が長くなる形状を有することを特徴とする請求項1記載のフードステーホルダ。
【請求項3】
前記突出部における前記支柱部側の面は、前記フードステーの外周面に沿った曲面形状を有することを特徴とする請求項2記載のフードステーホルダ。
【請求項4】
前記突出部における前記支柱部と反対側の面は、前記フードから前記保持部に向かうテーパ形状を有することを特徴とする請求項1記載のフードステーホルダ。
【請求項5】
前記保持部は、前記支柱部の先端側に前記フードステーの保持領域を有すると共に、当該保持領域に前記フードステーを案内する案内部を有することを特徴とする請求項4記載のフードステーホルダ。
【請求項6】
前記案内部は、前記フードから離れるに連れて前記支柱部からの距離が短くなる形状を有することを特徴とする請求項5記載のフードステーホルダ。
【請求項7】
棒状の開放姿勢維持部品を不使用時に保持する保持部品であって、
開閉部品の内壁面に固定されるベース部と、前記ベース部に設けられ前記開閉部品から離間する方向に延在する支柱部と、前記支柱部の先端で前記ベース部側に開口して設けられ前記開放姿勢維持部品を保持する保持部と、前記保持部と対向し前記支柱部から一定長さ離れたベース部の位置に前記保持部側に突出して設けられた突出部とを具備することを特徴とする保持部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−224217(P2012−224217A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93699(P2011−93699)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】