説明

ブチルゴムを含む過酸化物硬化熱可塑性加硫物

【課題】ブチルゴムを含む過酸化物硬化熱可塑性加硫物を提供する。
【解決手段】本発明は、熱可塑性樹脂と、ブチルゴムなどのイソモノオレフィン−マルチオレフィンエラストマーとを含む過酸化物硬化熱可塑性加硫物に関する。より具体的には、本発明は、過酸化物硬化を容易にするために、エラストマーが少なくとも3.5モル%のマルチオレフィンを含む過酸化物硬化熱可塑性加硫物に関する。本発明による熱可塑性加硫物は、コンデンサキャップ、医療用部品、および燃料電池部品などの、高純度用途向け成形品の製造に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂と、ブチルゴムなどのイソモノオレフィン−マルチオレフィンエラストマーとを含む過酸化物硬化熱可塑性加硫物に関する。より詳細には、本発明は、過酸化物の硬化を容易にするために、エラストマーが少なくとも3.5モル%のマルチオレフィンを含む過酸化物硬化熱可塑性加硫物に関する。本発明による熱可塑性加硫物は、コンデンサキャップ、医療用部品および燃料電池部品などの、高純度用途向け成形品の製造に有用である。
【背景技術】
【0002】
デュポン(Du Pont)(特許文献1)による新規な弾性繊維およびB.F.グッドリッチ(B.F.Goodrich)(特許文献2)による熱可塑性ポリウレタンの開発は、熱可塑性エラストマー(TPE)として知られる新しいクラスの材料の先がけになった。これらのそれぞれの軟化温度未満では、これらの材料は、伝統的な熱可塑性樹脂の加工性特性を持った熱硬化性エラストマーをベースにする配合物に典型的にみられる物理的特性を有する。これらの独創的な発見に続いて、ゲスラー(Gessler)ら(特許文献3)は、熱可塑性加硫物(TPV)として知られる新しいカテゴリーのTPEの製造を記載している。TPVは、熱可塑性連続相内に含有される分散した熱硬化性エラストマー相の存在によって特徴づけられる。このクラスのTPEは、エラストマー相が加硫中に熱可塑性マトリックスの全体にわたって一定の剪断応力下で分散される、動的な加硫法によって製造される。この方法は、熱硬化性ドメインサイズと、ドメインサイズの分布とを最小化すると共に、熱可塑性マトリックス内の熱硬化性エラストマー相の一様な分布を確実にする。ゲスラーらによる先駆的な研究は、商品名サントプレン(Santoprene)(登録商標)の下でモンサント(Monsanto)社によって商業化された最も商業的に重要なクラスのTPVの導入に最終的につながる将来のTPV開発のための基礎を築いた((特許文献4)および(特許文献5))。サントプレン(登録商標)は、ポリプロピレン(PP)の連続マトリックス内に分散された動的に加硫されたEPDM相をベースにしている。
【0003】
イソブチレン(IB)およびイソプレン(IP)のランダム共重合体は、ブチルゴム(IIP)と一般に言われる合成エラストマーである。1940年代以降、IIRは、イソブチレンが少量のイソプレン(1〜2モル%)とランダム共重合される、スラリー法で製造されてきた。大部分がポリイソブチレンセグメントからなるIIRの主鎖構造(図1)は、優れた空気不透過性、酸化安定性、および優れた耐疲労性をこの材料に与える((非特許文献1)を参照されたい)。
【0004】
IIRの最初の主要な用途はタイヤのインナーチューブであった。低レベルの主鎖不飽和度(約0.8〜1.8モル%)にもかかわらず、IIRはインナーチューブ用途向けに十分な加硫活性を有する。タイヤのインナーライナーの発展と共に、IIRの硬化反応性を、ブタジエンゴム(BR)またはスチレン−ブタジエンゴム(SBR)などの従来のジエン−ベースのエラストマーについて典型的にみられるレベルまで高めることが必要になった。この目的を達成するために、ハロゲン化グレードのブチルゴムが開発された。有機IIR溶液を元素状塩素または臭素で処理すると、クロロブチルゴム(CIIR)およびブロモブチルゴム(BIIR)などの、ハロブチルゴム(HIIR)(図2)が単離される。これらの材料は、ポリマー主鎖に沿って反応性ハロゲン化アリルが存在することが特徴である。
【0005】
商業的に入手可能なグレードのブチルゴムをベースにするTPVの製造において、IIRおよび/またはHIIRと相溶性の幾つかの硬化パッケージがある。標準ブチルゴムは、伝統的な硫黄促進剤硬化システムまたはフェノール樹脂をベースにする硬化システムで加硫することできる。ハロゲン化グレードのブチルゴムで、硬化多様性が増大する。伝統的な硫黄またはフェノール樹脂ベースの硬化システムに加えて、ハロブチルゴムは、多官能性窒素もしくは硫黄ベースの求核試薬、ビスマレイミド、またはZnOなどのルイス酸で硬化させることができる。実際に、ゲスラーらによって提供されたTPVの最初の例は、ポリプロピレンの連続マトリックス内に分散されたZnO硬化クロロブチルエラストマー相から構成された。TPVのベースになるブチルのタイプを選択する際に、ハロブチルは多数の不利な点を有する。用いられる硬化システムにかかわらず、ハロブチルゴムをベースにする硬化品が加硫によって誘発された熱分解によって生じる少量の有機ハロゲン化物を含有することは当業者に周知である。有機ハロゲン化物のレベルは極めて少ないが、これらの存在により、医薬品および消費者商品のさまざまな用途でハロブチルをベースにしたTPVの使用が排除されうる。
【0006】
IIRはいかなる有機ハロゲン化物または有機ハロゲン化物前駆体も有さないが、この材料の硬化多様性はハロブチルゴムのそれよりはるかに大きく制限される。上記と同様の理由により、硫黄促進剤硬化システムの使用は、医薬品および消費者商品最終用途にとって問題があると見られる可能性がある。この場合は、望ましくない有機または無機の硫化物が加硫プロセスの副生物として生成する。硫黄ベースの硬化システムを使用すると、熱安定性が限られたオリゴ−スルフィド架橋が生じるというさらなる不利益がある。低硫黄硬化システムは、285kJ/モルの解離エネルギーを有するC−S結合を有する。伝統的な硫黄硬化システムは、155〜270kJ/モルの範囲のS−S共有結合エネルギーのオリゴ−スルフィド架橋を有する(非特許文献2)。所与のTPVの熱可塑性成分を溶解させ、かつ/または軟化させるために必要とされる加工温度が高いことを考慮すると、硫黄ベースの硬化システムを用いることには問題がある。
【0007】
IIRと共にフェノール樹脂をベースにした硬化システムを用いることにより、優れた耐熱性、耐疲労性への柔軟性、および低レベルの圧縮永久歪みを有する硬化品が生み出される。IIRをベースにしたTPVのためには、フェノール樹脂硬化システムが伝統的な硫黄硬化パッケージより優れている(熱的に不安定なC−SおよびS−S架橋に対して、C−C架橋はより強い)。実際に、樹脂硬化IIRをベースにするTPVは、商品名トレフシン(Trefsin)(登録商標)の下でAES社から入手可能である。トレフシン(登録商標)は、ガスおよび水分両方の高レベルの不透過性が必要とされる用途で使用される。
【0008】
樹脂硬化システムを用いることにより、硫黄をベースにした硬化剤で通常直面する安定性制限が回避されるが、他の制限が存在する。具体的には、樹脂硬化TPVはより吸湿性であり、変色し得る。欠陥の発生を最小限にするために、過剰の、吸収された水分を、製品の製造前に、非常に長い、高温の乾燥プロセスによって除去しなければならない。これらの材料が変色する傾向があるため、より多くの量の顔料の添加あるいは顔料の種類の追加使用が必要となる(非特許文献3)。
【0009】
過酸化物硬化システムは、上で論じた硬化システムより優れた幾つかの利点を有する。過酸化物硬化配合物は、典型的には、極めて速い硬化速度を示し、得られた硬化品は優れた耐熱性および低い圧縮永久歪みを有する傾向がある。加えて、過酸化物硬化性調合物は、それらが抽出可能ないかなる無機不純物も含有せず、そして非変色性であるという点において「きれい」であると考えられる。したがって、このきれいなゴム物品は、例えば、コンデンサキャップ、生物医学デバイス、製薬デバイス(医薬含有バイアル中のストッパー、注射器のプランジャー)で、および場合により燃料電池用シールに使用することができる。ガスおよび水蒸気不透過性が高いレベルで必要とされる場合、過酸化物硬化ブチルTPVが望ましいであろう。具体的には、硫黄ベースの硬化剤を含むハロブチルゴムまたは標準ブチルゴムの使用を回避することによって、完成品が抽出可能な有機および/または無機ハロゲン化物またはスルフィドで汚染される可能性が排除される。樹脂硬化されたブチルベースのTPVと比較して、過酸化物硬化ブチルTPVは、高レベルの吸湿性を有することがなく、変色する傾向もないであろう。これらの機能強化は、医薬品および消費者商品用途向けに特に有益であろう。
【0010】
ポリイソブチレンおよびブチルゴムが有機過酸化物の作用下で分解することは十分に認められる。さらに、(特許文献6)および(特許文献7)は、C〜Cイソモノオレフィンと、最高で10重量%までのイソプレンまたは最高で20重量%までのパラ−アルキルスチレンとの共重合体が、高剪断混合にさらされたときに分子量低下を受けることを教示している。この影響は、過酸化物などのフリーラジカル開始剤の存在下で増強され、TPV用途では望ましくない。最近、連続プロセスで製造することができる新規グレードの高イソプレン(IP)ブチルゴムを用いるブチル−ベースの過酸化物硬化性配合物の製造が同時係属中の(特許文献8)に記載された。特に、(特許文献8)は、3〜8モル%の範囲のイソプレン濃度のIIRの連続製造を記載している。これらの新規グレードのIIRを過酸化物硬化させる能力は(特許文献9)に記載されている。
【特許文献1】米国特許第2,623,031号明細書
【特許文献2】米国特許第2,871,218号明細書
【特許文献3】米国特許第3,037,954号明細書
【特許文献4】米国特許第4,130,535号明細書
【特許文献5】米国特許第4,311,628号明細書
【特許文献6】米国特許第3,862,265号明細書
【特許文献7】米国特許第4,749,505号明細書
【特許文献8】カナダ国特許出願第2,418,884号明細書
【特許文献9】カナダ国特許出願第2,458,741号明細書
【非特許文献1】チュ、C.Y.(Chu,C.Y.)、ブコフ、R.(Vukov,R.)著、Macromolecules、18(1985)、1423−1430ページ
【非特許文献2】サートマー硬化コンセプト(Sartomer Cure Concepts)第1巻
【非特許文献3】K.ナスカー(K.Naskar)、J.W.M.ノールデルメール(J.W.M.Noordermeer)著、「動的に加硫される熱可塑性エラストマー中の架橋剤としての新規過酸化物(Novel Peroxides as Crosslinking Agents in Dynamically Vulcanized Thermoplastic Elastomers)」、2006 IRC、フランス国リオン(Lyon,France)で頒布された論文
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書では、分散されたエラストマー相が、例えば、動的に加硫された過酸化物硬化高イソプレンブチルゴムである、新規なクラスのブチル−ベースのTPVの製造を記載する。
【0012】
本発明によれば、熱可塑性樹脂;および、少なくとも1種のC〜Cイソモノオレフィンモノマーに由来する繰り返し単位と、少なくとも1種のC〜Cマルチオレフィンモノマーに由来する繰り返し単位少なくとも3.5モル%とを含む非ハロゲン化エラストマー、を含む過酸化物硬化熱可塑性加硫物が提供される。
【0013】
本発明の別の態様によれば、熱可塑性樹脂を供給する工程と、少なくとも1種のC〜Cイソモノオレフィンモノマーに由来する繰り返し単位と少なくとも1種のC〜Cマルチオレフィンモノマーに由来する繰り返し単位少なくとも3.5モル%とを含む非ハロゲン化エラストマーを供給する工程と、熱活性化型過酸化物硬化システムを供給する工程と、熱可塑性加硫物を形成させるために少なくとも100℃の温度で熱可塑性樹脂および非ハロゲン化エラストマーを過酸化物硬化システムと一緒に混合する工程とによって製造された熱可塑性加硫物が提供される。
【0014】
本発明の要約を記載してきたが、以下に、その好ましい実施態様を、添付の図を参照しながら例証として説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、特定のイソオレフィンまたはイソモノオレフィンに限定されない。しかし、炭素原子4〜16個の範囲内、特に、炭素原子の4〜7個の範囲内のイソモノオレフィン(例えば、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、4−メチル−1−ペンテンおよびこれらの混合物など)が好ましい。イソブテンが最も好ましい。
【0016】
本発明は、特定のマルチオレフィンに限定されない。当業者によって知られるイソオレフィンと共重合可能なあらゆるマルチオレフィンを使用することができる。しかし、炭素原子4〜14個の範囲内のマルチオレフィン(例えば、イソプレン、ブタジエン、2−メチルブタジエン、2,4−ジメチルブタジエン、ピペリレン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、2−ネオペンチルブタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2−メチル−1,6−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、1−ビニル−シクロヘキサジエンおよびこれらの混合物など)、特に共役ジエンが好ましく用いられる。イソプレンが特に好ましく用いられる。
【0017】
本発明では、β−ピネンを、イソオレフィンのためのコモノマーとして使用することもできる。追加的なモノマーとして、当業者によって知られるイソオレフィンおよび/またはジエンと共重合可能なあらゆるモノマーを用いることができる。α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、シクロペンタジエン、およびメチルシクロペンタジエンが好ましく用いられる。インデンおよび他のスチレン誘導体を本発明で用いることもできる。
【0018】
マルチオレフィン含有率は、少なくとも3.5モル%より高く、より好ましくは4.0モル%より高く、さらにより好ましくは4.5モル%より高く、さらにより好ましくは5.0モル%より高く、さらにより好ましくは6.0モル%より高く、さらにより好ましくは7.0モル%より高く、その上より好ましくは7.5モル%より高い。
【0019】
ブチルポリマーは、1種以上のマルチオレフィン架橋剤に由来する単位をさらに含む。用語「架橋剤」は、当業者に公知であり、ポリマー鎖に付加することになるモノマーと対比して、ポリマー鎖間に化学的架橋をもたらす化合物を意味すると理解される。いくつかの簡単な予備試験により、ある化合物がモノマーとして機能するか、あるいは架橋剤として機能するかが示されるであろう。架橋剤の選択は特に制限されない。好ましくは、架橋剤はマルチオレフィン系炭化水素化合物を含む。これらの例は、ノルボルナジエン、2−イソプロペニルノルボルネン、2−ビニルノルボルネン、1,3,5−ヘキサトリエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルトルエン,ジビニルキシレン、およびこれらのC〜C20アルキル置換誘導体である。より好ましくは、マルチオレフィン架橋剤はジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、およびこれらのC〜C20アルキル置換誘導体、ならびにこれらの化合物の混合物である。最も好ましくは、マルチオレフィン架橋剤は、ジビニルベンゼンおよび/またはジイソプロペニルベンゼンを含む。
【0020】
好ましくは、エラストマーを製造するために用いられるモノマー混合物は、80重量%〜95重量%の範囲の少なくとも1種のイソモノオレフィンモノマー、4.0重量%〜20重量%の範囲の少なくとも1種のマルチオレフィンモノマー、および0.01重量%〜1重量%の範囲の少なくとも1種のマルチオレフィン架橋剤を含む。より好ましくは、モノマー混合物は、83重量%〜94重量%の範囲の少なくとも1種のイソモノオレフィンモノマー、5.0重量%〜17重量%の範囲のマルチオレフィンモノマー、および0.01重量%〜1重量%の範囲の少なくとも1種のマルチオレフィン架橋剤を含む。最も好ましくは、モノマー混合物は85重量%〜93重量%の範囲の少なくとも1種のイソモノオレフィンモノマー、6.0重量%〜15重量%の範囲の少なくとも1種のマルチオレフィンモノマー、および0.01重量%〜1重量%の範囲の少なくとも1種のマルチオレフィン架橋剤を含む。
【0021】
エラストマーの重量平均分子量Mは、好ましくは240kg/モルより大、より好ましくは300kg/モルより大、さらにより好ましくは500kg/モルより大、さらにより好ましくは600kg/モルより大、最もより好ましくは700kg/モルより大である。
【0022】
熱可塑性加硫物の形成に用いるために好適であるとして当業者に知られる任意の熱可塑性樹脂を使用することができる。選択される熱可塑性樹脂は、好ましくは60〜250℃の範囲の温度で溶融する。好適な熱可塑性樹脂の例として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アリル樹脂、エチレンビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0023】
エラストマーは、好ましくは熱可塑性加硫物の20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%、さらにより好ましくは40〜60重量%の量で供給する。エラストマーは熱可塑性樹脂と混合され、かつ、混合物の過酸化物硬化後に形成された熱可塑性加硫物が全体にわたって実質的に一貫性のある特性を有するように、熱可塑性樹脂の全体にわたって好ましくは均一に分散される。熱可塑性樹脂中のエラストマーの均一な分散を達成する任意の好適な混合方法または混合装置を用いることができ、例えば、内部ミキサー、ミル、または押出機を用いることができる。好ましい方法では、熱可塑性樹脂およびエラストマーは、ペレットまたはビーズとして供給され、少なくとも熱可塑性樹脂を、好ましくは熱可塑性樹脂およびエラストマーの両方を溶融させるのに十分な条件を実現する押出機を用いて混合される。熱可塑性樹脂およびエラストマーは、一緒にまたは順次に押出機に供給されうる。混合時の押出機中の熱可塑性樹脂およびエラストマーの温度は好ましくは少なくとも100℃、より好ましくは少なくとも130℃、さらにより好ましくは少なくとも150℃、さらにより好ましくは少なくとも160℃、さらにより好ましくは少なくとも170℃である。
【0024】
熱可塑性樹脂およびエラストマーが十分に混合された後、熱可塑性加硫物を形成させるために過酸化物硬化システムが用いられる。好適な過酸化物硬化システムは、当業者に周知であり、典型的には、加硫架橋反応を開始するために熱活性化型過酸化物を用いる。本発明は特定の過酸化物硬化システムに限定されない。例えば、無機または有機過酸化物が好適である。ジアルキルペルオキシド、ケタールペルオキシド、アラルキルペルオキシド、ペルオキシドエーテル、またはペルオキシドエステルなどの有機過酸化物が好ましい。過酸化物硬化システムでの使用に好適な過酸化物の例としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、4,4−ジ−(t−ブチルペルオキシ)吉草酸ブチル、1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ペルオキシ安息香酸t−ブチル、3,5,5−トリメチルペルオキシヘキサン酸t−ブチル、ジベンジルペルオキシド、ジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ−2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、またはこれらの混合物が挙げられる。通常、配合物中の過酸化物の量は1〜10phr(phr=ゴム100重量部当たり)の範囲、好ましくは1〜5phrの範囲にある。酸化防止剤は、過酸化物硬化システムの一部として過酸化物と併せて使用されてもよい。硬化は通常100〜200℃、好ましくは130〜180℃の範囲の温度で行われる。過酸化物はポリマーに結合した形態で有利に利用することができる。ライン・ケミー・ラインナウ有限責任会社(Rhein Chemie Rheinau GmbH、D)製のポリディスパージョン(Poly−dispersion)(登録商標)T(VC)D−40P(ポリマー固定ジ−t−ブチルペルオキシ−イソプロピルベンゼン)などの、好適な系が商業的に入手可能である。
【0025】
好ましい実施形態では、過酸化物硬化システムは、押出機中で混合された熱可塑性樹脂およびエラストマーに加えられる。過酸化物硬化システムは、押出機の混合工程で採用される温度次第で、加硫を開始する前または加硫の開始と同時に熱可塑性樹脂およびエラストマーと混合される。過酸化物架橋を熱的に開始するために必要とされる温度より低い温度で混合される場合、温度を上げて熱可塑性加硫物を形成させる。
【0026】
熱可塑性加硫物は、高純度用途に特に好適なさまざまな成形品を製造するために使用することができる。成形品は、任意の好適な方法、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形などによって成形することができる。成形品には、例えば、コンデンサキャップ、医療用部品〔例えば、生物医学デバイスの部品または製薬デバイスの部品(例えば、医薬含有バイアルでのストッパー、注射器のプランジャーなど)〕、および/または燃料電池部品(例えば、シールなど)が含まれ得る。
【0027】
本発明の熱可塑性加硫物から製造された成形品は、驚くほど良好なリサイクル性を示す。リサイクル後に、本発明による成形品は引張強さおよび極限伸びの損失が比較的小さい。本発明の熱可塑性加硫物は、3回のリサイクル繰り返し後の引張強さおよび極限伸びの損失が、(これらの特性についての初期値と比べて)55%未満である。本発明によるTPVのリサイクル性は、特に燃料電池などの大量市場用途で、著しく環境上有益である。
【0028】
本発明の熱可塑性加硫物は、ブチルゴムまたはブチルゴム配合物での使用に好適であることが当業者に知られているタイプの鉱物または非鉱物充填剤を含んでもよい。その量は通常、熱可塑性加硫物の1〜50重量%である。充填剤は、押出機に、熱可塑性樹脂とエラストマーとの混合中に添加することができ、かつ/あるいはエラストマーの形成中にエラストマー自体に添加することができる。好適な充填剤の例には、カーボンブラック、タルク、シリカ、二酸化チタンなどが挙げられる。本発明の熱可塑性加硫物は、ゴム用のさらなる助剤製品〔例えば、反応促進剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、酸化防止剤、発泡剤、老化防止剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン安定剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、ブロー剤、染料、顔料、ワックス、増量剤、有機酸、インヒビター、金属酸化物、ならびにゴム工業で知られている活性化剤(例えば、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオールなど)〕をさらに含有することもできる。
【0029】
本発明のさらなる特徴を、下記実施例を参照して以下に記載する。
【実施例】
【0030】
装置
硬度および応力歪み特性は、ASTM(米国材料試験協会)D−2240の規定に従ってA−2型デュロメーターを使用して測定した。応力歪みデータをASTM D−412方法Aの規定に従って23℃で作成した。2mm厚さの引張用シート(15,000psiのプレス中、熱可塑性マトリックス材料の融点以上の温度で合計14分間成形されたもの)からカットしたダイCダンベルを使用した。H NMRスペクトルは、ブルッカー(Bruker)DRX500(登録商標)分光器(500.13MHz H)を使用して、CDCl中テトラメチルシラン基準の化学シフトで記録した。TPVは、ファレル(Farrel)標準150mm直径ミルおよびブラベンダー・インテリ−トルク・プラスチ−コーダー(Brabender Intelli−Torque Plasti−corder)(登録商標)を用いて製造した。
【0031】
原材料
すべての試薬は、特に明記しない限り、シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)(オンタリオ州オークビル(Oakville,Ontario))から入手したままの状態で使用した。IIR(RB301)(登録商標)はランクセス社(LANXESS Inc.)によって供給されたままの状態で使用し、EPDM(ブナ(Buna)EP G 5450)(登録商標)はランクセス社(LANXESS Corp.)によって供給されたままの状態で使用した。HVA #2(登録商標)(併用剤)はデュポン・カナダ社(DuPont Canada Inc.)によって供給されたままの状態で使用し、サンパー(Sunpar)2280(登録商標)(可塑剤)はR.E.キャロル社(R.E.Carroll Inc.)によって供給されたままの状態で使用し、イルガノックス(Irganox)1010(登録商標)(酸化防止剤)はチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Corp.)によって供給されたままの状態で使用し、カーボンブラック(Carbon Black)IRB#7(登録商標)(充填剤)はバレンタイン・エンタープライズ社(Balentine Enterprises Inc.)によって供給されたままの状態で使用し、トリガノックス(Triganox)145−45B−pd(登録商標)(過酸化物)はH.M.ロイアル(H.M.Royal)によって供給されたままの状態で使用した。
【0032】
実施例1 7.5モル%のイソプレンを含有するブチルゴムの製造
次の実施例は、最高で8.0モル%までのイソプレン含有率と、35〜40MUのムーニー(Mooney)粘度(125℃でML1+8)とを有する新規グレードのIIRの、連続プロセスによる製造を例示する。
【0033】
モノマーのフィード組成は、4.40重量%のイソプレン(IPまたはIC5)および25.7重量%のイソブテン(IBまたはIC4)で構成した。この混合フィードを5900kg/時の速度で連続重合反応器へ導入した。加えて、DVBを5.4〜6kg/時の速度で反応器へ導入した。重合を204〜227kg/時の速さでのAlCl/MeCl溶液(MeCl中0.23重量%のAlCl)の導入によって開始させた。連続反応の内部温度を、蒸発冷却法を用いることによって−95〜−100℃に維持した。反応器内で十分に滞留させた後、新たに形成されたポリマークラムを、水性フラッシュタンクを用いてMeCl希釈剤から分離した。この時点で、約1重量%のステアリン酸をポリマークラムへ導入した。乾燥前に、0.1重量%のイルガノックス(Irganox)(登録商標)1010をポリマーに加えた。得られた材料の乾燥は、コンベヤオーブンを使用して行った。表1に最終材料の特性を列挙する。
【0034】
【表1】

【0035】
実施例2〜4
下記の実施例は、ブチル/アイソタクチックポリプロピレン(iPP)TPVの物理的特性に対する過酸化物および併用剤使用量の影響を実証する。表2にリストされた原料を用いたTPV実施例2〜4を、180℃、150rpmで作動するブラベンダープラスチ−コーダー(Brabender Plasti−Corder)(登録商標)を使用して製造した。プラスチックを先ず加え、3分間溶融させた(段階1)。実施例1を次に加え、プラスチックと2分間混合させた(段階2)。過酸化物および併用剤を次に加え、ブチル成分を1分間動的に加硫させた(段階3)。酸化防止剤を次に加え、混合物を30秒後にあけた(段階4)。配合物を次にミルの中へ通して冷却し、シートオフ(sheet off)した。
【0036】
【表2】

【0037】
表2に提示されたデータから理解できるように、過酸化物および併用剤の濃度を上げると、より高い引張強さおよび硬度をもたらすが、同時に極限伸びを下げる。しかし、伸びの損失(−14%)は、引張強さの増加率(+91%)ほど顕著ではなかった。
【0038】
実施例4〜8
次の実施例は、TPVの物理的特性に対する混合時間の影響を実証する。上述のような各段階の混合時間を、表3に示すように実施例4〜8について変動させた。
【0039】
【表3】

【0040】
表3に提示されたデータは、(各段階の)混合時間どうしの間に存在する最終TPVの物理的特性との相互依存性を例示する。最も長い段階1の時間(すなわちプラスチック溶融段階)で製造されたTPVが最良バランスの特性を有した。
【0041】
実施例9〜12
次の実施例は、TPVの物理的特性に対する型温度の影響を例示する。TPV実施例9〜12を表4にリストされた原料で製造した。これらの実施例は、先ず、実施例1、可塑剤、充填剤および併用剤のマスターバッチを作製することによって製造した。第2の工程は、ブラベンダープラスチ−コーダー(登録商標)中、180℃、150rpmでの混合工程であった。プラスチックを加え、4分間溶融させた。マスターバッチを次に加え、2分間プラスチックと混合させた。過酸化物を次に加え、IIRを1分間動的に加硫させた。酸化防止剤を次に加え、混合物を30秒後にあけた。配合物を次にミルの中へ通して冷却し、シートオフした。
【0042】
【表4】

【0043】
TPVをプレコ(PRECO)(登録商標)プレス中、15,000psiで14分間成形し、次にPHI(登録商標)プレス中で20分間冷却した。実施例9〜12の成形温度を、表5に示すように変動させた。
【0044】
【表5】

【0045】
表5は、引張強さおよび引張伸びが200℃で最大値となり、より高いおよびより低い温度では顕著に低下することを示す。このデータは、TPVの最適な物理的特性を得る際の成形温度の重要性を例示する。
【0046】
実施例13〜15
以下に、標準グレードのIIR(RB301)(登録商標)の代わりに高IP IIR(実施例1)を用いることに関連した物理特性の利点を例示する。追加の比較例として、EPDMゴム(ブナ(Buna)EP G5450(登録商標)、実施例13)をベースにしたTPVを、実施例14〜15で採用したものと同じ混合手順を用いて製造した(表6を参照)。3つの実施例はいずれも、スチームプレス中、25,000psiで14分間成形し、次に、10,000psiのコールドプレス中に20分間置いた。
【0047】
【表6】

【0048】
表6は、高IP IIRをベースにしたTPVが、EPDMをベースにしたTPVよりはるかに良好な引張強さおよび極限伸びを有したことを示す。標準グレードのブチルゴムが過酸化物の作用下に分解することが知られているという事実を考慮すると、RB301(登録商標)をベースにするTPV(実施例14)は得られなかったと考えられる。
【0049】
実施例15〜18
次の実施例は、高IP IIRをベースにしたTPVのリサイクル性を示す。実施例15(上記のような)を細長い小片にカットし、同じ条件下に再成形して実施例16を作製した(第1リサイクル)。次に、実施例16を細長い小片にカットし、再成形して実施例17を作製した(第2リサイクル)。実施例17を次に細長い小片にカットし、再成形して実施例18を作製した(第3リサイクル)。表7に、実施例15〜18の応力/歪み特性を列挙する。
【0050】
【表7】

【0051】
表7は、第1リサイクル後に、TPVの引張強さが25%低下し、極限伸びが31%低下したことを示す。次いで、第2リサイクル後には、引張強さが初期から53%低下し、極限伸びが初期から26%低下した。第3リサイクル後には、引張強さが初期から43%、初期極限伸びが初期から51%最終的に低下した。
【0052】
新規グレードの過酸化物硬化性高イソプレンブチルゴム(実施例1)を用いることにより、過酸化物硬化IIR/iPP TPVを製造することが可能になる。過酸化物硬化システムの使用は、伝統的なグレードのIIRまたはHIIRについて公知の硬化システムと比較して多数の利点をもたらす。過酸化物硬化で生成した(C−SまたはS−S架橋に対して)より強いC−C架橋の結果として、本発明のTPVが、硫黄硬化類似体と比較して高いレベルの熱安定性を有することが予期される。
【0053】
上記のTPVは、非ハロゲン化グレードのブチルゴムをベースにしているので、最終物品は、いかなる有機または無機ハロゲン化物またはスルフィド加硫副生物も含有しないはずである。さらに、フェノール樹脂硬化システムの使用を回避することによって、吸湿性および製品変色のレベルの増大も回避されるであろう。これらの利点を考慮すると、本明細書に記載したTPVは、多数の医薬品および消費者商品の用途に役立つであろう。
【0054】
前述の事項は本発明の好ましい実施形態を説明するものであり、本発明の他の特徴および実施形態が当業者に明らかであろう。次の特許請求の範囲は、前述の事項に関連して広範に解釈されるべきであり、明確に特許請求されていない他の変形および二次的な組み合わせを包含することが本発明者によって意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】ブチルゴム(IIR)の構造の先行技術例である。
【図2】ハロブチルゴム(HIIR)の構造の先行技術例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)熱可塑性樹脂、および
b)少なくとも1種のC〜Cイソモノオレフィンモノマーに由来する繰り返し単位と、少なくとも1種のC〜Cマルチオレフィンモノマーに由来する繰り返し単位少なくとも3.5モル%とを含む非ハロゲン化エラストマー、
を含む過酸化物硬化熱可塑性加硫物。
【請求項2】
前記イソモノオレフィンがイソブテンを含み、そして前記マルチオレフィンがイソプレンを含む、請求項1に記載の熱可塑性加硫物。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アリル樹脂、エチレンビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ塩化ビニリデンまたはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の熱可塑性加硫物。
【請求項4】
前記非ハロゲン化エラストマーが、少なくとも1種のC〜Cマルチオレフィンモノマーに由来する繰り返し単位を少なくとも5モル%含む、請求項1に記載の熱可塑性加硫物。
【請求項5】
前記非ハロゲン化エラストマーが、少なくとも1種のC〜Cマルチオレフィンモノマーに由来する繰り返し単位を少なくとも7.5モル%含む、請求項1に記載の熱可塑性加硫物。
【請求項6】
前記非ハロゲン化エラストマーが熱可塑性加硫物の20〜80重量%の量で存在する、請求項1に記載の熱可塑性加硫物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性加硫物から製造された成形品。
【請求項8】
コンデンサキャップ、注射器部品または燃料電池部品を含む、請求項7に記載の成形品。
【請求項9】
引張強さの損失が初期の55%未満であり、かつ、極限伸びの損失が初期の55%未満である状態で、少なくとも3回リサイクルできる、請求項7に記載の成形品。
【請求項10】
a)熱可塑性樹脂を供給する工程と、
b)少なくとも1種のC〜Cイソモノオレフィンモノマーに由来する繰り返し単位と、少なくとも1種のC〜Cマルチオレフィンモノマーに由来する繰り返し単位少なくとも3.5モル%とを含む非ハロゲン化エラストマーを供給する工程と、
c)熱活性化型過酸化物硬化システムを供給する工程と、
d)熱可塑性加硫物を形成させるために、前記熱可塑性樹脂および非ハロゲン化エラストマーを前記過酸化物硬化システムと一緒に、少なくとも100℃の温度で混合する工程と
によって製造された熱可塑性加硫物。
【請求項11】
前記イソモノオレフィンがイソブテンを含み、そして前記マルチオレフィンがイソプレンを含む、請求項10に記載の熱可塑性加硫物。
【請求項12】
前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アリル樹脂、エチレンビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ塩化ビニリデンまたはこれらの混合物を含む、請求項10に記載の熱可塑性加硫物。
【請求項13】
前記非ハロゲン化エラストマーが、少なくとも1種のC〜Cマルチオレフィンモノマーに由来する繰り返し単位を少なくとも5モル%含む、請求項10に記載の熱可塑性加硫物。
【請求項14】
前記非ハロゲン化エラストマーが、少なくとも1種のC〜Cマルチオレフィンモノマーに由来する繰り返し単位を少なくとも7.5モル%含む、請求項10に記載の熱可塑性加硫物。
【請求項15】
前記非ハロゲン化エラストマーが、熱可塑性加硫物の20〜80重量%の量で存在する、請求項10に記載の熱可塑性加硫物。
【請求項16】
前記過酸化物硬化システムが2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、4,4−ジ−(t−ブチルペルオキシ)吉草酸ブチル、1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ペルオキシ安息香酸t−ブチル、3,5,5−トリメチルペルオキシヘキサン酸t−ブチル、ジベンジルペルオキシド、ジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ−2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシドまたはこれらの混合物を含む、請求項10に記載の熱可塑性加硫物。
【請求項17】
前記混合工程が、前記熱可塑性樹脂の溶融を引き起こす条件下にて押出機で行われる、請求項10〜16のいずれか一項に記載の熱可塑性加硫物。
【請求項18】
前記混合工程が、前記エラストマーの溶融を引き起こす条件下にて押出機で行われ、かつ、前記エラストマーが熱可塑性樹脂中に分散される、請求項17に記載の熱可塑性加硫物。
【請求項19】
前記過酸化物硬化システムが、押出機中の溶融した熱可塑性樹脂およびエラストマーに添加される、請求項17に記載の熱可塑性加硫物。
【請求項20】
前記過酸化物硬化システムの添加後の、前記押出機中の溶融した熱可塑性樹脂およびエラストマーの温度が少なくとも130℃である、請求項19に記載の熱可塑性加硫物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−63576(P2008−63576A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228020(P2007−228020)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(506241042)ランクセス・インコーポレーテッド (20)
【Fターム(参考)】