説明

ブラインドの昇降規制高さ決定装置

【課題】簡単な作業で昇降規制高さ位置の調節が可能なブラインドの昇降規制高さ決定装置を提供する。
【解決手段】ヘッドボックス12内に配設される支持軸18と、遮蔽材24の昇降に伴って回転しながら支持軸18上を軸方向に移動可能であり、当接部16aを有する巻取パイプ16と、遮蔽材24が昇降規制高さ位置に達したときに、支持軸18上を軸方向に移動する巻取パイプ16の当接部16aに当接するストッパ26と、を備える。ストッパ26は、ヘッドボックス12内に配置される固定部材20に対して着脱自在で且つ複数位置で係合可能となっており、固定部材20に対するストッパ26の係合位置を調整することにより、巻取パイプ16とストッパ26との当接位置が変化して昇降規制高さ位置が調整可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽材が所望の昇降規制高さ位置に達したときに遮蔽材の昇降を規制することができ、この昇降規制高さ位置を調整することができるブラインドの昇降規制高さ決定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のブラインドの昇降規制高さ決定装置としては、特許文献1に記載されたものが知られている。この装置は、回転軸に一体回転するように外嵌されるネジ軸と、ネジ軸にねじ係合するように外嵌される移動コマと、移動コマの回転を制止して軸方向に移動させるガイドと、ボトムレール等の下降限度位置において移動コマと当接して回転軸の回転を制止するストッパとから構成される。
【0003】
回転軸を回転して遮蔽材を昇降すると、ネジ軸が回転して移動コマがネジ軸上を軸方向に移動し、遮蔽材が下限位置に到達すると、移動コマはストッパと当接して停止するため、ネジ軸及び回転軸の回転が停止し、遮蔽材を予め決定された昇降規制高さ位置である下降限度位置において停止させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−282133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の昇降規制高さ決定装置では、昇降規制高さ位置の調整を行うためには、ネジ軸に対する移動コマの位置を調整する必要がある。このため、装置を一旦ヘッドボックスから取り外して分解し、ネジ軸に対する移動コマの位置を調整してから再度組み直す必要があり、調整が容易ではないという問題がある。
【0006】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、簡単な作業で昇降規制高さ位置の調節が可能なブラインドの昇降規制高さ決定装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ヘッドボックス内に配設される支持軸と、遮蔽材の昇降に伴って回転しながら支持軸上を軸方向に移動可能であり、当接部を有する移動部材と、遮蔽材が昇降規制高さ位置に達したときに、支持軸上を軸方向に移動する移動部材の当接部に当接するストッパと、を備え、
前記ストッパは、ヘッドボックス内に配置される固定部材に対して着脱自在で且つ複数位置で係合可能となっており、固定部材に対するストッパの係合位置を調整することにより、移動部材とストッパとの当接位置が変化して前記昇降規制高さ位置が調整可能であることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、固定部材に対するストッパの係合位置を変化させることにより、移動部材の回転方向周りのストッパの角度が変化するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、固定部材に対するストッパの係合位置を変化させることにより、固定部材から突出するストッパの突出量が変化するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発明において、固定部材及びストッパの互いの接触面にはそれぞれ複数の段差部が形成されており、固定部材に対するストッパの係合角度を変化させることにより接触する段差部同士が替わって固定部材からのストッパの突出量が変化するようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、ヘッドボックス内に配設される支持軸と、遮蔽材の昇降に伴って回転しながら支持軸上を軸方向に移動可能であり、当接部を有する移動部材と、遮蔽材が昇降規制高さ位置に達したときに、支持軸上を軸方向に移動する移動部材の当接部に当接するストッパと、を備え、
前記当接部は、移動部材に対して着脱自在で且つ複数位置で係合可能となっており、移動部材に対する当接部の係合位置を調整することにより、移動部材とストッパとの当接位置が変化して前記昇降規制高さ位置が調整可能であることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、移動部材に対する当接部の係合位置を変化させることにより、移動部材の回転方向周りの当接部の角度が変化するようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項5または6記載の発明において、移動部材に対する当接部の係合位置を変化させることにより、移動部材から突出する当接部の突出量が変化するようにしたことを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項5ないし7のいずれか1項に記載の発明において、移動部材及び当接部の互いの接触面にはそれぞれ複数の段差部が形成されており、移動部材に対する当接部の係合角度を変化させることにより接触する段差部同士が替わって移動部材からの当接部の突出量が変化するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ブラインドの組立時、組立後の検査段階またはブラインド設置段階において、ストッパまたは当接部を固定部材または移動部材に対して着脱して、係合位置を調整することにより、昇降規制高さ位置を調整することができるため、簡単な作業で調整を行うことができる。構造が簡素なため、安価に改良することができる。
【0016】
ストッパまたは当接部の移動部材の回転方向周りの角度を変化させることで、移動部材とストッパとの当接位置を変化させて、昇降規制高さ位置を調整することができる。
【0017】
ストッパまたは当接部の突出量を変化させることにより、昇降規制高さ位置の調整量の幅を大きくすることができる。
【0018】
固定部材及びストッパに形成した段差部同士、あるいは移動部材及び当接部に形成した段差部同士を接触させる構造とし、その段差部を替えることで、突出量の変化量を既定量とすることができ、調整量の目安とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るブラインドの昇降規制高さ決定装置が適用されるブラインドの正面図である。
【図2】(a)は本発明の第1の実施形態に係る昇降規制高さ決定装置の部分断面図であり、(b)はストッパの正面図である。
【図3】(a)は第1の実施形態において、ストッパを固定部材から取外した状態を示す部分断面図であり、(b)はストッパの正面図である。
【図4】(a)は第1の実施形態において、ストッパを図2とは角度を変えて固定部材に係合した状態を示す部分断面図であり、(b)はストッパの正面図である。
【図5】(a)は第1の実施形態において、ストッパに当接部が当接した状態を示す部分断面図であり、(b)はストッパの正面図である。
【図6】第2の実施形態に係る昇降規制高さ決定装置の部分断面図である。
【図7】第2の実施形態において、ストッパを図6とは角度を変えて固定部材に係合した状態を示す部分断面図である。
【図8】(a)は第3の実施形態に係る昇降規制高さ決定装置の部分断面図であり、(b)は係合キャップの正面図である。
【図9】(a)は第3の実施形態において、当接部を移動部材から取外した状態を示す部分断面図であり、(b)は係合キャップの正面図である。
【図10】(a)は第3の実施形態において、当接部を図8とは角度を変えて移動部材に係合した状態を示す部分断面図であり、(b)は係合キャップの正面図である。
【図11】(a)は第3の実施形態において、ストッパに当接部が当接した状態を示す部分断面図であり、(b)は係合キャップの正面図である。
【図12】第4の実施形態に係る昇降規制高さ決定装置の部分断面図である。
【図13】第4の実施形態において、当接部を移動部材から取外した状態を示す部分断面図である。
【図14】第5の実施形態に係る昇降規制高さ決定装置の部分断面図である。
【図15】第5の実施形態において、ストッパを固定部材から取外した状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、図面を用いて本発明の第1の実施形態を説明する。
【0021】
図1に示すように、本発明に係るブラインドの昇降規制高さ決定装置が適用されるブラインドは、ヘッドボックスから垂下される遮蔽材を昇降可能にする任意のブラインドに適用することができ、図示したものは、プリーツスクリーンに適用した例を表している。しかしながら、これに限るものではなく、ラダーコードを介してヘッドボックスから垂下される多数のスラットを遮蔽材とする横型ブラインドまたはローマンシェードといったその他任意の種類のブラインドに適用することができる。
【0022】
ブラインド10は、壁面または天井面にブラケット11を介して取り付けられるヘッドボックス12を有しており、ヘッドボックス12内には、回転軸14が回転可能に配設されている。回転軸14の一端は、ヘッドボックス12の一端に配設されている図示していないプーリに一体に回転可能に連結される。プーリにはヘッドボックス12から垂下する操作紐15が巻き掛けられており、操作紐15を操作することによりプーリを回転操作可能となっている。但し、回転軸14の回転駆動は、電動式とすることもでき、電動モータの出力軸に回転軸14を連結することも可能である。
【0023】
また、回転軸14の他端側には、巻取パイプ(移動部材)16が回転軸14と同軸に且つ回転軸14に対して相対回転不能に且つ軸方向に摺動自在に配設される。巻取パイプ16の他端はネジ軸(支持軸)18の一端に螺合しており、ネジ軸18の他端はヘッドボックス12の他端に配設されている固定部材20に回転不能に固定されている。巻取パイプ16には、複数の昇降コード22の上端が巻取り及び巻解き可能に連結されており、各昇降コード22の下端は、ヘッドボックス12から垂下している遮蔽材としての襞つきのスクリーン24の各襞を挿通し、スクリーン24の最下端に配置されるボトムレール25に連結される。
【0024】
図2ないし図5に基づいて第1の実施形態の昇降規制高さ決定装置について詳述する。
【0025】
固定部材20の巻取パイプ16との対向面には、巻取パイプ16及びネジ軸18と同軸に、且つネジ軸18が内部を貫通する係合凹部20aが形成されており、係合凹部20aの内周面には円周方向に間隔を空けて軸方向に延びる複数の突条20bが形成される。
【0026】
係合凹部20aにはストッパ26が着脱自在に係合される。ストッパ26は、図2(b)に示すように円筒状の形状を有しており、ストッパ26は中心部にネジ軸18が貫通する中心孔部26bを有しており、ストッパ26の巻取パイプ16との対向面の一部には、巻取パイプ16方向に突出する突出部26aが形成されている。また、ストッパ26の外周面には円周方向に間隔を空けて軸方向に延びる複数の溝26cが形成されている。
【0027】
ストッパ26は、ネジ軸18に対して軸方向に摺動自在で且つネジ軸18の周りで回転可能となっており、ネジ軸18の軸方向に摺動することにより係合凹部20aに対して着脱可能となっている。また、ストッパ26が係合凹部20a内に挿入されたときに、ストッパ26の溝26cと突条20bとが嵌合することで、ストッパ26は固定部材20に対して回り止めされて係合される。ストッパ26は、隣り合う溝26c同士が形成する角度の単位で係合角度を変更可能に係合凹部20aと係合する。なお、溝26cと突条20bとの嵌合とする代わりに、多角形同士の嵌合とすることも可能である。
【0028】
図2(a)に示すように、ストッパ26が係合凹部20a内に完全に挿入されたときに、突出部26aのみが固定部材20の端面から突出し、その他の部分は固定部材20の端面と同一面を構成する。
【0029】
一方、巻取パイプ16のストッパ26との対向面の一部にはストッパ26方向に突出する当接部16aが設けられており、巻取パイプ16がネジ軸18上を回転しながら軸方向に摺動することにより、当接部16aがストッパ26の突出部26aに当接し、巻取パイプ16の回転及び摺動が拘束される。巻取パイプ16は回転することにより昇降コード22を巻取りまたは巻解いてスクリーン24を昇降させるが、当接部16aがストッパ26の突出部26aに当接し、巻取パイプ16の回転が拘束された時点で、スクリーン24の昇降が停止するため、この位置でスクリーン24の昇降規制高さが決定されることになる。巻取パイプ16の当接部16aとストッパ26の突出部26aとの当接は、スクリーン24が上昇するときと下降するときのどちらで設定してもよい。
【0030】
次に、スクリーン24の昇降規制高さ位置を決定する方法について説明する。
【0031】
まず、図2(a)に示すように、巻取パイプ16を予めストッパ26から離反させて、作業し易い位置まで移動させておく。
【0032】
この状態から、図3(a)に示すように、ストッパ26をネジ軸18の図中矢印A方向に摺動させて係合凹部20aとの係合を解除し固定部材20から取り外す。
【0033】
この後、図4(a)中二点鎖線で示すように、ストッパ26を固定部材20から取外した状態のまま、ストッパ26をネジ軸18の周りで回転させて(図示の例では180°回転させる)、突出部26aの位置をネジ軸18の周りで異なる位置にする。そして、図4(a)中実線で示すように、ストッパ26をネジ軸18の軸方向に図3(a)のA方向と逆方向に摺動させ、係合凹部20aと係合させて固定部材20に取付ける。
【0034】
この後、スクリーン24を昇降させるために操作紐15を操作してプーリを回転させると、図5(a)に示すように、回転軸14と一体に巻取パイプ16が図中矢印B方向に回転して昇降コード22を巻取りまたは巻解きながらネジ軸18上を図中矢印C方向に摺動していく。そして、当接部16aがネジ軸18の上方に位置するストッパ26の突出部26aに当接すると、巻取パイプ16の回転が拘束される。このように、ストッパ26の突出部26aの位置を図2に示す位置から、巻取パイプ16の回転方向に180°変更したことにより、当接部16aが突出部26aに当接する位置が巻取パイプ16の半回転分変更される。このため、巻取パイプ16の回転量が半回転分増減し、巻取パイプ16が昇降コード22を巻取りあるいは巻解く長さも巻取パイプ16の半回転分変更されるため、スクリーン24の昇降規制高さ位置が変更される。
【0035】
なお、固定部材20に対するストッパ26の取付け角度即ち係合角度の変更は、突出部26aが180°変更される角度に限定されるものではなく、隣合う溝26c同士が形成する角度単位ごとであれば任意の角度で変更することができる。これにより、高さ位置を大幅に変えたり、微調整したりすることができる。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、図6及び図7に基づいて、第2の実施形態を説明する。
【0037】
第2の実施形態では、固定部材20の係合凹部20aの底面20cの形状とストッパ26の底面26dの形状とが第1の実施形態と相違しており、その他の構成は第1の実施形態と同様であるので、相違する点のみ詳述し、同様の部分は説明を省略する。
【0038】
図6に示すように、係合凹部20aは底面20cには、ネジ軸18の周囲で階段形状に変化するように複数の段差部が形成されている。段差部の高さは一定であることが望ましい。同様に、ストッパ26の底面26dにも、係合凹部20aの底面20cの階段形状と一致する形状となるように複数の段差部が形成されている。
【0039】
ストッパ26の底面26dの階段の位相と係合凹部20aの底面20cの階段の位相とを完全に一致させるようにストッパ26を係合凹部20aに挿入すると、ストッパ26は係合凹部20aの完全に奥まで挿入されて、突出部26aが最も引き込んだ位置となる(図6)。反対に、ストッパ26の底面26dの階段の位相と、係合凹部20aの底面20cの階段の位相とを完全にずらしてストッパ26を係合凹部20aに挿入すると、ストッパ26は係合凹部20aに奥までは挿入できず、よって、突出部26aが固定部材20から最大突出した位置となる(図7)。
【0040】
図7に示すように、突出部26aが突出した状態にあると、巻取パイプ16の当接部16aと突出部20aとが図6の状態にあるときに比べて、巻取パイプ16が少ない回転で当接することになるので、スクリーン24の昇降規制高さ位置を変化させることができる。
【0041】
このように、固定部材20に対するストッパ26の取付け角度即ち係合角度を変更することにより、突出部26aの周方向位置のみならず、突出量も変化するので、第1の実施形態よりもより広い幅で高さ位置を調整することができる。階段の段差部の高さを既定量とすることで、突出量を既定量単位で変更できるため、調整量の目安とすることができる。
【0042】
階段の段差部は、好ましくは、ストッパ26の溝26cに同期して円周方向に間隔を空けて形成されるとよく、こうして突出部26aの周方向位置と突出量との間に相関を持たせるとよい。相関を持たせることによって、ストッパ26の係合角度がどの位置であっても、最適な突出部26aの位置に、巻取パイプ16の当接部16aが当接するように調整されるようになっていると好ましい。
【0043】
(第3の実施形態)
図8ないし図11に基づいて、第3の実施形態を説明する。ここでは、第1及び第2の実施形態と相違する構成のみを説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0044】
固定部材20の巻取パイプ16との対向面の一部には、巻取パイプ16方向に突出するストッパとしての突出部20eが形成されている。一方の巻取パイプ16の固定部材20と対向する端部には、他の部分よりも拡径した拡径部16bが設けられており、拡径部16bの外周面には、軸方向に延びる溝(不図示)が拡径部16bの円周方向に間隔を空けて複数形成されている。
【0045】
この拡径部16bには係合キャップ30が着脱自在に係合可能であり、係合キャップ30の固定部材20との対向面には固定部材20方向に突出する当接部30aが形成されている。また、係合キャップ30は、図8(b)に示すように、中心部にネジ軸18が貫通する中心孔部30cを有しており、中心孔部30cの内周面には中心方向に突出し軸方向に延びる突条30bが円周方向に間隔を空けて複数形成されており、巻取パイプ16の拡径部16bの溝に嵌合する。
【0046】
係合キャップ30は、ネジ軸18に対して軸方向に摺動自在で且つネジ軸18の周りで回転可能となっており、ネジ軸18の軸方向に摺動することにより拡径部16bに対して着脱可能となっている。係合キャップ30は、隣合う突条30b同士が形成する角度の単位で係合角度を変更可能に巻取パイプ16の拡径部16bに係合する。
【0047】
なお、この例では、固定部材20に突出部20eを直接形成する構成としたが、第1及び第2実施形態と同様に固定部材20とストッパ26とを用いた構成とすることもできる。また、突条30bと溝との嵌合とする代わりに、多角形同士の嵌合とすることも可能である。
【0048】
次に、第3の実施形態における昇降規制高さ位置を決定する方法について説明する。
【0049】
まず、図8に示すように、巻取パイプ16を固定部材20から離反させて作業し易い位置に移動させる。
【0050】
この状態から、係合キャップ30をネジ軸18の図9中矢印D方向に摺動させて巻取パイプ16の拡径部16bとの係合を解除し拡径部16bから取り外す。
【0051】
この後、図10(a)中二点鎖線で示すように、係合キャップ30を拡径部16bから取外した状態のまま、係合キャップ30をネジ軸18の周りで回転させて(図示の例では180°回転させる)、当接部30aの位置をネジ軸18の周りで異なる位置にする。そして、図10(a)中実線で示すように、係合キャップ30をネジ軸18の軸方向に図9のD方向と逆方向に摺動させ、拡径部16bに係合させて巻取パイプ16に取付ける。
【0052】
この後、スクリーン24を昇降させるために操作紐15を操作してプーリを回転させると、図11(a)に示すように、回転軸14と一体に巻取パイプ16が図中矢印E方向に回転して昇降コード22を巻取りあるいは巻解きながら、ネジ軸18上を図中矢印F方向に摺動していく。そして、当接部30aがネジ軸18の下方に位置する突出部20eに当接すると、巻取パイプ16の回転が拘束される。このように、係合キャップ30の当接部30aの位置を図8に示す位置から、巻取パイプ16の回転方向に180°変更したことにより、当接部30aが突出部20eに当接する位置が巻取パイプ16の半回転分変更される。このため、巻取パイプ16の回転量が半回転分増減し、巻取パイプ16が昇降コード22を巻取りあるいは巻解く長さも巻取パイプ16の半回転分変更されるため、スクリーン24の昇降規制高さ位置が変更される。
【0053】
なお、巻取パイプ16に対する係合キャップ30の取付け角度即ち係合角度の変更は、当接部30aが180°変更される角度に限定されるものではなく、前記隣合う突条30b同士が形成する角度単位ごとであれば任意の角度で変更することができ、これにより、高さ位置を大幅に変えたり、微調整したりすることができる。
【0054】
また、本実施形態における巻取パイプ16の拡径部16bと係合キャップ30との接触面に、第2の実施形態と同様の階段状に変化するように複数の段差部を形成して、係合キャップ30の拡径部16bからの突出量の増減幅を大きくするようにすることもできる。
【0055】
(第4の実施形態)
次に、図12及び図13に基づいて、第4の実施形態を説明する。ここでは、第3の実施形態と相違する構成のみを説明し、第3の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0056】
図12(a)に示すように、巻取パイプ16の拡径部16bには、第3の実施形態の溝に代えて、これの円周方向の任意の位置に拡径部16bの中心方向に向かってネジ穴16cが1つ形成されている。また、係合キャップ30の側壁には、第3の実施形態の突条30bに代えて、円周方向に等間隔に中心方向に向かう複数の孔30dが貫通しており、これら複数の孔30dは、係合キャップ30を拡径部16bに係合し、係合キャップ30を回転させることにより、いずれの孔30dの位置も拡径部16bのネジ穴16cの位置と一致することが可能なようにそれぞれ配設されている。係合キャップ30と拡径部16bとは、係合キャップ30の外側からビス32によって孔30dとネジ穴16cとをネジ止めすることにより連結される。
【0057】
次に、第4の実施形態における昇降規制高さ位置を決定する方法について説明する。
【0058】
図12(a)に示すように、通常は、係合キャップ30は巻取パイプ16の拡径部16bにビス32でネジ止めされて固定されているため、昇降規制高さ位置を変更する場合は、図13(a)に示すように、まず、ビス32を取り外して、係合キャップ30をネジ軸18の図13(a)中矢印G方向に摺動させて巻取パイプ16の拡径部16bから取り外す。その後は、当接部30aが所望の角度位置に位置するまで、ネジ軸18の周りで係合キャップ30を回転させて、再び係合キャップ30をネジ軸18の軸方向に摺動させて、図12(a)に示すように巻取パイプ16の拡径部16bに係合させる。このとき、係合キャップ30の孔30dの位置と拡径部16bのネジ穴16cの位置とがずれていた場合、係合キャップ30を若干回転させることにより位置を一致させ、ビス32を係合キャップ30の孔30dに挿入して、拡径部16bのネジ穴16c内にネジ込み、係合キャップ30を巻取パイプ16に連結する。これにより、当接部30aの変更された角度分だけ、巻取パイプ16の回転角度が変更されるため、スクリーン24の昇降規制高さ位置を変更することができる。
【0059】
なお、ビス32を取り外したあと、係合キャップ30を巻取パイプ16の拡径部16bから外し、ネジ軸18の周りで係合キャップ30を回転させて当接部30aの角度位置を調整する代わりに、係合キャップ30を拡径部16bから外すことなく係合したままの状態で、係合キャップ30を回転することによって当接部30aの角度位置を調整しても良い。
【0060】
また、第1または第2の実施形態における、ストッパ26と固定部材20との係合においても、この実施形態と同様に構成することができ、例えば、ストッパ26に複数のネジ穴を形成し、固定部材20に孔を形成して、孔とネジ穴との位置を合わせて、ビスで固定するようにすることも可能である。
【0061】
(第5の実施形態)
次に、図14及び図15に基づいて、第5の実施形態について説明する。ここでは、第1及び第2の実施形態と相違する構成のみを説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0062】
図14に示すように、固定部材20の係合凹部20aは軸方向に貫通しており、この係合凹部20a内に、ストッパ26が挿入される。ストッパ26の軸方向両端部は、固定部材20から外部に突出しており、このうち巻取パイプ16と対向する一端部は第1及び第2の実施形態と同様の形状を有し、突出部26aが突出している。一方、ストッパ26の他端部は、固定部材20の係合凹部20aよりも拡径したフランジ部26eを備え、このフランジ部26eが固定部材20の端面に当接して、ストッパ26のそれ以上の係合凹部20a内への挿入が規制されている。ストッパ26の中心孔部26bはストッパ26の軸方向全長にわたって形成されているため、ネジ軸18の端部は中心孔部26b内に相対回転不能に配置される。また、ヘッドボックス12の端部カバー12aは、容易に着脱自在となっている。
【0063】
次に、第5の実施形態における昇降規制高さ位置を決定する方法について説明する。
【0064】
図14に示す状態から昇降規制高さ位置を変更する場合は、図15に示すように、まず、端部カバー12aをヘッドボックス12から図15中矢印H方向に取り外して、ヘッドボックス12の端部を開放する。次に、開放されたヘッドボックス12の端部からストッパ26を図15中矢印J方向に引き出し、ストッパ26を固定部材20からヘッドボックス12外に取り出す。この後、突出部26aが所望の角度位置になるようにストッパ26を回転させて、ヘッドボックス12の端部から固定部材20の係合凹部20a内にストッパ26を再び挿入する。このとき、ストッパ26の中心孔部26bにネジ軸18が挿通するようにし、図14に示すように、ストッパ26のフランジ部26eが固定部材20の端面に当接する位置まで挿入することにより、挿入が終了する。この後、端部カバー12aをヘッドボックス12の端部に再び装着して、作業を終了する。これにより、突出部26aの変更された角度分だけ、巻取パイプ16の回転角度が変更されるため、スクリーン24の昇降規制高さ位置を変更することができる。
【0065】
これによって、ヘッドボックス12の側部から調整を行うことができるので、調整を容易にすることができる。
【0066】
なお、第1ないし第5の実施形態においては、スクリーン24の昇降及び昇降規制高さ決定装置の移動部材として、昇降コードが巻取り及び巻解き可能に連結された巻取パイプ16を用いたが、これに限定されるものではなく、スクリーン24の昇降に昇降コードが巻取り及び巻解き可能に連結される巻取ドラムとは異なるが、昇降に伴って回転する移動コマを移動部材として用いて、移動コマに当接部を設けて、ネジ軸18上を軸方向に移動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
12 ヘッドボックス
16 巻取パイプ(移動部材)
16a 当接部
18 ネジ軸(支持軸)
20 固定部材
20c 底面(段差部)
20e 突出部(ストッパ)
24 スクリーン(遮蔽材)
26 ストッパ
26d 底面(段差部)
30a 当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックス(12)内に配設される支持軸(18)と、遮蔽材(24)の昇降に伴って回転しながら支持軸(18)上を軸方向に移動可能であり、当接部(16a)を有する移動部材(16)と、遮蔽材(24)が昇降規制高さ位置に達したときに、支持軸(18)上を軸方向に移動する移動部材(16)の当接部(16a)に当接するストッパ(26)と、を備え、
前記ストッパ(26)は、ヘッドボックス(12)内に配置される固定部材(20)に対して着脱自在で且つ複数位置で係合可能となっており、固定部材(20)に対するストッパ(26)の係合位置を調整することにより、移動部材(16)とストッパ(26)との当接位置が変化して前記昇降規制高さ位置が調整可能であることを特徴とするブラインドの昇降規制高さ決定装置。
【請求項2】
固定部材(20)に対するストッパ(26)の係合位置を変化させることにより、移動部材(16)の回転方向周りのストッパの角度が変化するようにしたことを特徴とする請求項1記載のブラインドの昇降規制高さ決定装置。
【請求項3】
固定部材(20)に対するストッパ(26)の係合位置を変化させることにより、固定部材(20)から突出するストッパ(26)の突出量が変化するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載のブラインドの昇降規制高さ決定装置。
【請求項4】
固定部材(20)及びストッパ(26)の互いの接触面にはそれぞれ複数の段差部(20c、26d)が形成されており、固定部材に対するストッパの係合角度を変化させることにより接触する段差部(20c、26d)同士が替わって固定部材(20)からのストッパ(26)の突出量が変化するようにしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のブラインドの昇降規制高さ決定装置。
【請求項5】
ヘッドボックス(12)内に配設される支持軸と、遮蔽材(24)の昇降に伴って回転しながら支持軸(18)上を軸方向に移動可能であり、当接部(30a)を有する移動部材(16)と、遮蔽材(24)が昇降規制高さ位置に達したときに、支持軸(18)上を軸方向に移動する移動部材(16)の当接部(30a)に当接するストッパ(20e)と、を備え、
前記当接部(30a)は、移動部材(16)に対して着脱自在で且つ複数位置で係合可能となっており、移動部材(16)に対する当接部(30a)の係合位置を調整することにより、移動部材(16)とストッパ(20e)との当接位置が変化して前記昇降規制高さ位置が調整可能であることを特徴とするブラインドの昇降規制高さ決定装置。
【請求項6】
移動部材(16)に対する当接部(30a)の係合位置を変化させることにより、移動部材(16)の回転方向周りの当接部(30a)の角度が変化するようにしたことを特徴とする請求項5記載のブラインドの昇降規制高さ決定装置。
【請求項7】
移動部材(16)に対する当接部(30a)の係合位置を変化させることにより、移動部材(16)から突出する当接部(30a)の突出量が変化するようにしたことを特徴とする請求項5または6記載のブラインドの昇降規制高さ決定装置。
【請求項8】
移動部材(16)及び当接部(30a)の互いの接触面にはそれぞれ複数の段差部が形成されており、移動部材に対する当接部の係合角度を変化させることにより接触する段差部同士が替わって移動部材からの当接部の突出量が変化するようにしたことを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載のブラインドの昇降規制高さ決定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−122217(P2012−122217A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272388(P2010−272388)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000134958)株式会社ニチベイ (158)
【Fターム(参考)】