説明

ブラシ毛素材作製方法

【課題】本発明は、金属製ブラシ毛素材中に砥粒を混入したブラシ毛素材作製方法に関するものである。
【解決手段】本発明のブラシ毛素材作製方法は、金属素材を加熱する工程、前記金属素材を徐冷する工程、前記金属素材の上から砥粒を添加する工程、および所定の形状に成形する工程とから構成されている。前記金属素材の加熱工程は、次の工程で徐冷することにより、前記金属素材を柔らかくして前記砥粒の粒子を破壊することなく、前記金属素材に混入させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製ブラシ毛素材中に砥粒を混入したブラシ毛素材作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2008−12125号公報に記載されているブラシ毛素材は、砥粒が混入された合成樹脂素材と金属素材を一体化させることにより、両素材の良い所を合体したものである。異なる種類の材料は、接着剤を用いて接着することができる。しかし、素材が異なるだけでなく、異なる砥粒が入っているブラシ毛素材は、接着(接着剤による)、溶着、電着による接合が十分でなく、特に、接着剤による接着の場合、研磨または研削時に悪臭を発生するという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008―12125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来のブラシ毛素材は、合成樹脂製ブラシ毛素材の中に砥粒等の粉末が混入されている。前記ブラシ毛素材および砥粒は、異なった性質のものが混合されている。前記異なった物質どうしで、かつ、異なる砥粒の入ったブラシ毛素材は、溶着または電着を均一にすることが困難であった。前記合成樹脂製ブラシ毛素材と金属製ブラシ毛素材を合体したブラシは、必ず柔らかい部分と硬い部分が混在しているため、被研磨部材を均等に研磨することができなかった。
【0005】
前記砥粒入りの合成樹脂製ブラシ毛素材は、ステンレス製部材の研磨、あるいはシャフト等の円柱部材のバリ取り研磨、孔の内部の研磨等が行われていた。しかし、前記合成樹脂製ブラシ毛素材は、磨耗が激しく、十分に品質の良い研磨が必ずしも行われていなかった。たとえば、ステンレス素材からなるシャフトは、前記従来のブラシで研磨、バリ取りを行った場合、金属および合成樹脂としての異なった性質があるため、正確な作業ができない場合があった。
【0006】
たとえば、ステンレス素材は、鉄に対するニッケル、クロムの含有割合、製法等によって研磨の程度が微妙に異なる場合が多い。また、前記バリ取りは、使用するブラシ毛素材、機械、電圧(100ボルト、200ボルト)等によって、微妙に異なって仕上がることが判っている。本出願人は、前記原因が合成樹脂製ブラシ毛素材と砥粒との関係であることに気づいた。
【0007】
以上のような課題を解決するために、本出願人は、金属部材に砥粒を混入したブラシ毛素材作製方法を提供することを目的とする。また、本発明は、金属部材上に砥粒を振りかけた状態で、圧延、引き抜き、鍛造することにより、金属部材に砥粒が混入したブラシ毛素材作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(第1発明)
第1発明のブラシ毛素材作製方法は、金属素材を高温に加熱する工程と、前記加熱された金属素材を徐冷する工程と、前記金属素材が所定の温度になった際に、砥粒を上部から添加すると同時に、加圧成形して所定の形状にする工程と、によって金属素材に砥粒が埋め込まれたブラシ毛素材とすることを特徴とする。
【0009】
(第2発明)
第2発明のブラシ毛素材作製方法は、金属素材を高温に加熱する工程と、前記加熱された金属素材を徐冷する工程と、前記金属素材が所定の温度になった際に、砥粒を上部から添加すると同時に、圧延成形する工程と、前記圧延成形された金属素材を加圧成形して所定の形状にする工程と、によって金属素材に砥粒が埋め込まれたブラシ毛素材とすることを特徴とする。
【0010】
(第3発明)
第3発明のブラシ毛素材作製方法は、金属素材を高温に加熱する工程と、前記加熱された金属素材を徐冷する工程と、前記金属素材が所定の温度になった際に、砥粒を上部から添加すると同時に、前記金属素材を引き抜く工程と、前記引き抜かれた金属素材を加圧成形して所定の形状にする工程と、によって金属素材に砥粒が埋め込まれたブラシ毛素材とすることを特徴とする。
【0011】
(第4発明)
第4発明のブラシ毛素材作製方法は、金属素材を高温に加熱する工程と、前記加熱された金属素材を徐冷する工程と、前記金属素材が所定の温度になった際に、砥粒を上部から添加すると同時に、前記金属素材の上部を加圧する鍛造成形工程と、前記鍛造された金属素材を加圧成形して所定の形状にする工程と、によって金属素材に砥粒が埋め込まれたブラシ毛素材とすることを特徴とする。
【0012】
(第5発明)
第5発明のブラシ毛素材作製方法は、上部から砥粒が添加された金属素材を前記砥粒側を内側および/または外側にして折り畳み、外側から砥粒を添加した後、加圧することを特徴とする。
【0013】
(第6発明)
第6発明のブラシ毛素材作製方法において、前記砥粒は、ダイヤモンド、タングステン、レニウム、タンタル、モリブデンの少なくとも一つであることを特徴とする。
【0014】
(第7発明)
第7発明のブラシ毛素材作製方法は、前記成形された複数のブラシ毛素材の周囲をカバーリングすることを特徴とする。
【0015】
(第8発明)
第8発明のブラシ毛素材作製方法は、前記成形された複数のブラシ毛素材の中に少なくとも1本の棒状の香物質を入れ、周囲をカバーリングすることを特徴とする。
【0016】
(第9発明)
第9発明のブラシ毛素材作製方法は、前記成形されたブラシ毛素材の周囲に金属を溶射してコーティングをしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、金属素材を加熱した後、徐冷し、柔らかくなった時点で、金属素材に砥粒を混入させることができた。
【0018】
本発明によれば、金属素材を加熱した後、徐冷し、柔らかくなった時点で、金属素材に砥粒を振りかけ、その後、圧延、引き抜き、鍛造の少なくとも一つにより、品質の高いブラシ毛素材を得ることができた。
【0019】
本発明によれば、金属素材を加熱した後、徐冷し、柔らかくなった時点で、砥粒を打ち込んでいるため、合成樹脂製ブラシ毛素材に無い品質の優れたブラシ素材を得ることができた。
【0020】
本発明によれば、金属素材に砥粒を入れているため、合成樹脂製部材に砥粒を入れた場合と比較して、ブラシ寿命が長いだけでなく、均質なブラシ毛素材を得ることがてきる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(イ)から(ホ)は本発明の第1実施例であり、金属素材に砥粒を入れたブラシ毛素材の作製方法を説明するための概念斜視図である。(実施例1)
【図2】(イ)および(ロ)は本発明の第2実施例であり、金属素材を圧延しながら砥粒を混入したブラシ毛素材の作製方法を説明するための概念図である。(実施例2)
【図3】(イ)および(ロ)は本発明の第3実施例であり、金属素材を引き延ばしあるいは鍛造しながら砥粒を混入したブラシ毛素材の作製方法を説明するための概念図である。(実施例3)
【図4】(イ)は本発明の第4実施例であり、金属素材に砥粒を入れた棒状体の周囲をカバーリングしたブラシ毛素材の作製方法を説明するための図で、(ロ)は棒状体に香物質を入れたブラシ毛素材の作製方法を説明するための概念図である。(実施例4)
【図5】(イ)から(ハ)は本発明の第5実施例であり、砥粒入り金属素材の周囲を溶射して覆ったブラシ毛素材の作製方法を説明するための概念図である。(実施例5)
【図6】(イ)から(ハ)は本発明の第6実施例であり、砥粒入り金属素材を重ねたものを圧延、引延し、鍛造によりブラシ毛素材の作製方法を概念説明するための図である。(実施例6)
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1発明)
第1発明のブラシ毛素材作製方法は、金属素材を加熱する工程、前記金属素材を徐冷により、前記金属素材を焼き鈍す工程、砥粒を添加(撒く、あるいはまぶす)する工程、および所定の形状に成形する工程とから構成されている。前記金属素材の加熱工程は、次の工程である徐冷工程により、前記金属素材を柔らかくするためのものであり、融点と比較してかなり低い温度である。
【0023】
前記徐冷工程は、砥粒の種類によって決まる所定温度に低下した際に、砥粒を上部から添加する。前記徐冷工程は、砥粒の粒子を破壊することなく、前記金属素材に混入できる温度である。前記砥粒は、温度と加圧により、成形しながら所定の形状に成形する。前記砥粒入り金属素材は、所定の大きさに成形されて、ブラシ毛素材となる。なお、金属素材は、鉄、アルミニウム、銅、これらに類似した金属、あるいはこれらの合金を含み、前記金属素材の硬さに適した砥粒を選択する。
【0024】
(第2発明)
第2発明のブラシ毛素材作製方法は、板状または棒状に成形する際の方法が異なるのみである。すなわち、第2発明は、加圧成形として、圧延加工が選ばれる。前記圧延加工は、前記砥粒を上部から混入させ易いだけでなく、ローラによって前記金属素材を成形するため、所望の形状を容易に得ることができる。前記加圧成形および砥粒の添加は、複数箇所、多段によって行われる。
【0025】
(第3発明)
第3発明のブラシ毛素材作製方法は、金属素材が所定の温度に低下した際に、言い換えると前記金属素材が柔らかくなった際に、砥粒を上部から添加すると同時に、前記金属素材を引き抜いている点で、第2発明と異なっている。前記金属素材は、ダイス等の型材により、引き抜かれる際に所望の形状からなるブラシ毛素材が得られる。前記ダイスは、連続して多段設けることができる。
【0026】
(第4発明)
第4発明のブラシ毛素材作製方法は、徐冷により、砥粒が金属素材に入り易い温度になった際に、砥粒を上部から添加すると同時に、金属素材の上部を加圧して、鍛造を行うことにより所望の形状にする。第4発明のブラシ毛素材作製方法は、金属素材を鍛造することにより丈夫なものを作製することができる。前記鍛造は、打ち下ろす部分を複数段、連続して打つ、時間を少しずつ変えて打ち下ろす等公知の方法を用いることができる。
【0027】
(第5発明)
第5発明のブラシ毛素材作製方法は、上部から砥粒が添加された金属素材を前記砥粒側を内側、外側、あるいは複数回折り返して畳み込み、折り返す度に外側から砥粒を添加した後、加圧する。前記金属素材は、砥粒が内部に押し込まれた後、所定の形状に成形されてブラシ毛素材ができあがる。前記折り返す回数は、任意である。また、前記金属素材は、折り返す際に、砥粒を内側あるいは外側にすることができる。
【0028】
(第6発明)
第6発明のブラシ毛素材作製方法は、砥粒として、ダイヤモンド、タングステン、レニウム、タンタル、モリブデン等の少なくとも一つである。前記ダイヤモンドは、通常、人工的に作製された工業ダイヤモンドであり、高い温度に耐えることができない。したがって、前記ダイヤモンドの砥粒は、徐冷中温度が低い状態で添加される。前記タングステン、レニウム、タンタル、モリブデンは、融点および硬度が鉄より高いため、ブラシ毛素材が鉄鋼の場合、徐冷により焼き鈍されて柔らかくなった状態で混入させると、良質なブラシ毛素材となる。
【0029】
(第7発明)
第7発明のブラシ毛素材作製方法は、成形された複数のブラシ毛素材の周囲をたとえば、金属製の筒状カバーによってカバーリングする。前記金属製筒状カバーは、複数のブラシ毛素材を覆っているため、研磨中に広がることがなく、所望の場所を研磨することができる。
【0030】
(第8発明)
第8発明のブラシ毛素材作製方法は、成形された複数のブラシ毛素材の中に、同じく成形された少なくとも1本の棒状の香物質を入れ、その周囲がカバーリングされる。前記ブラシ毛素材と一緒にした少なくとも1本の棒状の香物質は、研磨に際し、前記ブラシ毛素材と香物質の端面が同じ面で消耗するため、常に一定の臭いを発散する。
【0031】
(第9発明)
第9発明のブラシ毛素材作製方法は、成形された一つのブラシ毛素材の周囲に金属を溶かした状態で吹き付け、溶射等によりコーティングする。前記コーティングされたブラシ毛素材は、
【実施例1】
【0032】
図1(イ)から(ホ)は本発明の第1実施例であり、金属素材に砥粒を入れたブラシ毛素材の作製方法を説明するための概念斜視図である。図1(イ)において、金属素材11は、所定の温度まで加熱された後、徐冷を開始する。前記金属素材11は、焼き鈍されて、砥粒12が破壊されない温度に低下した際に、前記砥粒12が、たとえば、上方から撒かれる。その後、前記金属素材11は、前記温度の内に、上から砥粒を加圧することにより、内部に前記砥粒が入り込む。
【0033】
図1(ロ)および(ハ)に示す例は、図1(イ)に示す、砥粒が表面に振りかけられた金属素材11が二つ折りあるいは三つ折りにするとともに、加圧されて、内部に砥粒が埋め込まれている。前記金属素材11を折る回数および砥粒側を内側あるいは外側にすることは、任意である。図1(ニ)および(ホ)に示す例は、前記一枚または複数枚が重ねられた砥粒入りの金属素材が角柱状体15および円柱状体16に成形または切断されている。
【0034】
本実施例は、金属素材11、あるいは砥粒12の種類および大きさによって決まる所定温度になった時点で、前記砥粒12が上部から添加される。前記所定温度は、金属素材および/または砥粒の材質、大きさにより決まるものである。なお、前記金属素材11は、鋼鉄、アルミニウム、銅、あるいはこれらの合金を含み、前記金属素材11の硬さ、あるいは研磨目的に適した砥粒12が選択される。また、前記角柱状体15および円柱状体16は、ワークあるいは前記ワークの研磨目的によって太さが異なる。また、前記砥粒12は、研磨目的によって、種類または大きさ等が選択される。
【実施例2】
【0035】
図2(イ)および(ロ)は本発明の第2実施例であり、金属素材を圧延しながら砥粒を混入したブラシ毛素材の作製方法を説明するための概念図である。図2(イ)において、金属素材11は、圧延ローラ23、23′の間を通過する際に、圧延される。図2(イ)に示す金属素材11は、板状に圧延される途中で、砥粒12が圧入され、砥粒12′入りのブラシ毛素材11′となる。前記圧延加工は、前記砥粒12を上部から混入させ易いだけでなく、圧延ローラ23、23′によって前記金属素材11を成形するため、所望の形状を容易に得ることができる。前記加圧成形および砥粒の添加は、複数箇所、多段によって行われる。
【0036】
図2(ロ)において、多段圧延加工の例が示されている。金属素材11−1は、所定温度に焼き鈍された状態の時に、砥粒22−1から22−4が撒かれ、圧延ローラ23−1から23−4によって、内部に入る。前記圧延ローラ23の段数は、金属素材11および砥粒22の種類等によって異なる。また、前記金属素材11は、ブラシ毛素材の使用目的等によって、砥粒の種類、厚さ、等がそれぞれ異なる。
【実施例3】
【0037】
図3(イ)および(ロ)は本発明の第3実施例であり、金属素材を引き延ばしあるいは鍛造しながら砥粒を混入したブラシ毛素材の作製方法を説明するための概念図である。図3(イ)において、金属素材11は、加熱した後、所定の温度に徐々に低下した際に、言い換えると前記金属素材11が柔らかくなった際に、砥粒12を上部の開口33から添加される。これと同時に、前記金属素材11は、ダイス31および押し出し棒32によって引き抜かれる。前記金属素材11は、ダイス31等の金型材により、引き抜かれる際に所望の形状で、砥粒12を一部に含むブラシ毛素材が得られる。前記ダイス31は、連続して多段設けることができる。
【0038】
図3(ロ)において、金属素材11は、基台36の上に載置されているとともに、たとえば、複数の加圧ハンマー34−1から34−4あるいはプレス(図示されていない)により、叩かれる。砥粒12は、たとえば、加圧ハンマーの間において、振りかけられる。前記金属素材11または加圧ハンマー34のいずれかの移動、高熱から徐冷中に、前記砥粒12は、金属素材11の内部に入る。
【0039】
前記金属素材11は、徐冷により、砥粒12が入り易い温度になった際に、砥粒12を上部から添加すると同時に、上部から加圧して、鍛造を行うことにより所望の形状にする。前記金属素材11は、鍛造することにより丈夫なものを作製することができる。前記鍛造は、打ち下ろす部分を複数段、連続して打つ、時間を少しずつ変えて打ち下ろす等公知の方法を用いることができる。
【0040】
前記砥粒12は、ダイヤモンド、タングステン、レニウム、タンタル、モリブデン等の少なくとも一つである。前記ダイヤモンドは、通常、人工的に作製された工業ダイヤモンドであり、高い温度に耐えることができない。したがって、前記ダイヤモンドの砥粒12は、徐冷中で、温度が比較的低い状態で添加される。前記金属素材11となる鉄鋼、タングステン、レニウム、タンタル、モリブデンは、融点および硬度が砥粒より高いため、加熱後、徐冷により柔らかくなった状態で混入させると、良質なブラシ毛素材となる。
【実施例4】
【0041】
図4(イ)および(ロ)は、本発明の第4実施例であり、金属素材に砥粒を入れた棒状体の周囲をカバーリングしたブラシ毛素材の作製方法を説明するための概念図で、(ロ)は棒状体に香物質を入れたブラシ毛素材の作製方法を説明するための図である。図4(イ)において、成形された複数のブラシ毛素材41、41′、41″は、その周囲に、たとえば、金属製の筒状カバーとして、金属パイプ42によってカバーリングされる。前記金属パイプ42は、複数のブラシ毛素材41、41′、41″を覆っているため、研磨中に広がることがなく、所望の場所を研磨することができる。
【0042】
図4(ロ)において、成形された複数のブラシ毛素材41、41′、41″は、たとえば、中心に、同じく成形された少なくとも1本の棒状の香物質43を入れ、その周囲がカバーリングされる。前記ブラシ毛素材41、41′、41″と一緒にした棒状の香物質43は、研磨に際し、同じ面で消耗するように成形されているため、常に一定の臭いを発散する。前記ブラシ毛素材41、41′、41″、および香物質43の数は、任意である。
【実施例5】
【0043】
図5(イ)から(ハ)は本発明の第5実施例であり、砥粒入り金属素材の周囲を溶射して覆ったブラシ毛素材の作製方法を説明するための概念図である。図5(イ)において、成形された砥粒を含む金属製ブラシ毛素材51は、ノズル52から金属が溶かされた状態で吹き付けられ、周囲に溶射等によるコーティング53が施される。(図5(ロ))図5(ハ)は、前記金属製ブラシ毛素材51の周囲に被膜51が成形されている状態を示す。
【実施例6】
【0044】
図6(イ)から(ハ)は本発明の第6実施例であり、砥粒入り金属素材を重ねたものを圧延、引延し、鍛造によりブラシ毛素材の作製方法を説明するための概念図である。図6(イ)において、ブラシ毛素材61−1から61−4が積層されている。前記ブラシ毛素材61−1から61−4は、砥粒62−1および62−2が互いの面に圧入されている。前記ブラシ毛素材61−1から61−4は、面の向きを互い違いにすることも可能である。前記ブラシ毛素材61−1から61−4は、ローラ63の間を通過する際に、圧延されて板部材64が成形される。
【0045】
前記ブラシ毛素材61は、複数回折り返して畳み込み、折り返す度に外側から砥粒を添加した後、加圧ローラ63によって圧延加工される。図6(ロ)において、砥粒62が入ったブラシ毛素材61は、基台65とプレス66によって、矢印に示す薄い素材に圧延される。図6(ハ)において、複数重ねられた砥粒62入りブラシ毛素材61は、ダイス67および押し出し棒69により押し出されて、板状部材または棒状部材64が成形される。図6に示された実施例によって作製されたブラシ毛素材61は、必要に応じて、箔状にすることも可能である。
【0046】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、持許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明のブラシ毛素材作製方法は、素材および砥粒の種類およびこれらの混合物により、焼き鈍し温度が異なる。また、本発明のブラシ毛素材を使用した研磨装置は、ワークの種類、あるいは前記ワークの適用場所によって、ブラシ毛素材に砥粒を入れる温度が異なるため、それぞれ試行錯誤によって、最適な温度を決めている。
【符号の説明】
【0047】
11・・・金属素材 31・・・ダイス
12・・・砥粒 32・・・押し棒
13・・・二つ折り 33・・・孔
14・・・三つ折り 34・・・加圧ハンマー
15・・・角柱状体 35・・・基台
16・・・円柱状体
23、23′・・・圧延ローラ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属素材を高温に加熱する工程と、
前記加熱された金属素材を徐冷する工程と、
前記金属素材が所定の温度になった際に、砥粒を上部から添加すると同時に、加圧成形して所定の形状にする工程と、
によって金属素材に砥粒が埋め込まれたブラシ毛素材とすることを特徴とするブラシ毛素材作製方法。
【請求項2】
金属素材を高温に加熱する工程と、
前記加熱された金属素材を徐冷する工程と、
前記金属素材が所定の温度になった際に、砥粒を上部から添加すると同時に、圧延成形する工程と、
前記圧延成形された金属素材を加圧成形して所定の形状にする工程と、
によって金属素材に砥粒が埋め込まれたブラシ毛素材とすることを特徴とするブラシ毛素材作製方法。
【請求項3】
金属素材を高温に加熱する工程と、
前記加熱された金属素材を徐冷する工程と、
前記金属素材が所定の温度になった際に、砥粒を上部から添加すると同時に、前記金属素材を引き抜く工程と、
前記引き抜かれた金属素材を加圧成形して所定の形状にする工程と、
によって金属素材に砥粒が埋め込まれたブラシ毛素材とすることを特徴とするブラシ毛素材作製方法。
【請求項4】
金属素材を高温に加熱する工程と、
前記加熱された金属素材を徐冷する工程と、
前記金属素材が所定の温度になった際に、砥粒を上部から添加すると同時に、前記金属素材の上部を加圧する鍛造成形工程と、
前記鍛造された金属素材を加圧成形して所定の形状にする工程と、
によって金属素材に砥粒が埋め込まれたブラシ毛素材とすることを特徴とするブラシ毛素材作製方法。
【請求項5】
上部から砥粒が添加された金属素材を前記砥粒側を内側および/または外側にして折り畳み、外側から砥粒を添加した後、加圧することを特徴とするを請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたブラシ毛素材作製方法。
【請求項6】
前記砥粒は、ダイヤモンド、タングステン、レニウム、タンタル、モリブデンの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載されたブラシ毛素材作製方法。
【請求項7】
前記成形された複数のブラシ毛素材の周囲をカバーリングすることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載されたブラシ毛素材作製方法。
【請求項8】
前記成形された複数のブラシ毛素材の中に少なくとも1本の棒状の香物質を入れ、周囲をカバーリングすることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載されたブラシ毛素材作製方法。
【請求項9】
前記成形されたブラシ毛素材の周囲に金属を溶射してコーティングをしたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載されたブラシ毛素材作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−56042(P2012−56042A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202977(P2010−202977)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(398029234)
【出願人】(506324806)
【Fターム(参考)】