説明

ブラックマトリックス用感光性樹脂組成物及びそれを用いた硬化物ならびにカラーフィルター

【課題】反応性に富むように光開始剤残基を有すると共に、界面活性機能を備えるように界面活性基を有した界面活性光開始剤を、更に界面活性光開始剤以外の光重合開始剤と併用することにより、開始剤の添加量を少なくしながらも、十分な硬化厚みを得ることができるようなブラックマトリックス用感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)アルカリ現像性バインダー樹脂、(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー、(C)少なくとも一つの界面活性光開始剤、(D)少なくとも一つの非界面活性光開始剤、及び(E)遮光性顔料分散体を必須の成分として含有するブラックマトリックス用感光性樹脂組成物であって、前記界面活性光開始剤(C)として、
一般式 SA―Z―PI (1)
(式中、PIは光開始剤残基を表し、Zは2価の連結基を表し、SAは界面活性基を表す)で表される少なくとも一つの界面活性光開始剤を含有するブラックマトリックス用感光性樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性組成物及びそれを用いた硬化物並びにカラーフィルターに関し、詳しくは、カラーフィルター用のブラックレジストに適した感光性樹脂組成物、及びそれを用いた硬化物、並びにカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置は、光の透過量あるいは反射量を制御する液晶部とカラーフィルターを構成要素とするが、そのカラーフィルターの製造方法は、通常、ガラス、プラスチックシート等の透明基板の表面に黒色のマトリックスを形成し、続いて、赤、緑、青の異なる色相を順次、ストライプ状あるいはモザイク状等の色パターンで形成する方法が用いられている。パターンサイズはカラーフィルターの用途並びにそれぞれの色により異なるが赤、緑、青の画素は100μm以下へ、ブラックマトリックスは10μm以下へ細線化され、これにともなって感光性樹脂材料には高い寸法精度が求められている。ここ数年、液晶テレビ、液晶モニター、カラー液晶携帯電話などあらゆる分野でカラー液晶表示装置が用いられてきた。カラーフィルターはカラー液晶表示装置の視認性を左右する重要な部材の一つであり、視認性の向上、すなわち、鮮明な画像を得るためには、カラーフィルターを構成する赤、緑、青などの画素を今まで以上に高色純度化、及び、ブラックマトリックスでは高遮光化を達成する必要があり、感光性樹脂組成物に着色剤を従来よりも多量に添加しなければならない。
【0003】
しかし、着色剤(顔料)の含有量が増加すると、カラーフィルター形成時、特にブラックレジスト膜では紫外線領域の光が塗膜深部にまで届きにくくなり、光硬化性組成物中の硬化不良によってパターンの密着不良や現像時のパターン剥がれ、エッジ形状のシャープ性損失が生じる問題が発生する。
【0004】
そこで、高濃度の着色剤が含まれる場合でも硬化不良が生じないように、高感度の光重合開始剤や重合度の高いアクリルモノマーを用いたりすることがある。しかしながら、現在の技術では光重合開始剤やアクリルモノマーについて高感度化が限界に来ているのが現状であり、ブラックマトリックスの高遮光を達成させることは非常に困難となっている。そのため、光重合開始剤について、高感度化を達成し、低露光量でのパターン寸法安定性、パターン密着性、パターンのエッジ形状のシャープ性が良好なパターンを広い現像マージンで得ることが求められている。
【0005】
このような状況のもと、特許文献1には、顔料濃度を高めて良好な色再現性を図りつつ感度低下を防止するために、高感度光重合開始剤としてハロメチルオキサジアゾール系化合物、ハロメチル-S-トリアジン系化合物の使用例が開示されている。しかし、これらの化合物は酸素による反応阻害により表面平坦性低下は改善されるものの、パターン寸法精度の点では依然として満足すべき水準には達していない。
【0006】
また、特許文献2〜5などには高感度光重合開始剤として感光性樹脂組成物にオキシムエステル系の光重合開始剤を用いた例が開示されているが、併用されているアルカリ可溶性樹脂化合物の感度及び現像特性が十分でないため、高濃度の着色剤を含む感光性樹脂組成物では良好なパターン形成を行うことは困難である。更には、特許文献6〜12には、ビスフェノールフルオレン構造を有するカラーフィルター用感光性樹脂組成物の実施例が示されているが、高濃度顔料領域においては良好なパターン形成をおこなうための十分な感度や密着性が得られていない。
【0007】
一方で、特許文献13〜15にはいくつかの界面活性光開始剤が記載されている。これら界面活性機能を有する界面活性光開始剤では、界面活性部分の作用によって、少量でも光重合性レジスト膜の表層に光重合開始剤が集積し、光が当たる部分のみに光重合開始剤を存在させることができ、光重合に寄与しない膜内部の存在量を減らし、結果として光重合開始剤の添加量を減らすことができるため、過剰な光重合開始剤の添加による問題点を解消することができる。しかしながら、従来知られている上記界面活性光開始剤は光重合開始剤としての機能が不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平1-152449号公報
【特許文献2】特開平7-278214号公報
【特許文献3】特開2001-264530号公報
【特許文献4】特開2002-323762号公報
【特許文献5】特開2003-96118号公報
【特許文献6】特開2004-10838号公報
【特許文献7】特開2003-270785号公報
【特許文献8】特開平10-301276号公報
【特許文献9】特開平9-197663号公報
【特許文献10】特開平9-95638号公報
【特許文献11】特開平7-3122号公報
【特許文献12】特開2006-276421号公報
【特許文献13】特表2004-515611号公報
【特許文献14】特表2004-515612号公報
【特許文献15】特表2004-522819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明者等は、光重合開始剤のより高感度化を達成して、高顔料濃度の場合でも、少ない露光量で寸法安定性、密着性、エッジ形状のシャープ性等に優れたパターンを広い現像マージンで得られるようにするために鋭意検討した。その結果、従来のような界面活性光開始剤を単独で使用した場合、界面活性光開始剤が表層にのみ集積するため、光重合性レジスト膜の表面からごくわずかな厚みしか光重合せず、現像時にパターンが剥離してしまう、あるいは光重合した部分がひさし状にせりだすため、この部分が脱落しやすく、パターンが部分的に細くなったり、脱落したパターンの一部が異物として残るなどの問題があるところ、界面活性型の光開始剤ではないものと併用することで、これらの問題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
したがって、本発明の目的は、反応性に富むように光開始剤残基を有すると共に、界面活性機能を備えるように界面活性基を有した界面活性光開始剤を、更に界面活性光開始剤以外の光重合開始剤と併用することにより、開始剤の添加量を少なくしながらも、十分な硬化厚みを得ることができるようなブラックマトリックス用感光性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、(A)アルカリ現像性バインダー樹脂、(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー、(C)少なくとも一つの界面活性光開始剤、(D)少なくとも一つの非界面活性光開始剤、及び(E)遮光性顔料分散体を必須の成分として含有するブラックマトリックス用感光性樹脂組成物であって、前記界面活性光開始剤(C)として、式(1):
【化1】


(式中、PIは光開始剤残基を表し、Zは2価の連結基を表し、SAは界面活性基を表す)で表される少なくとも一つの界面活性光開始剤を含有することを特徴とするブラックマトリックス用感光性樹脂組成物である。
【0012】
ここで、式(1)における界面活性基SAは、疎水基、親水基のどちらか一方であるか、又は、連結し、硬化物を得たとき表面に集中する、式(2b)や(2c)のようなものを表し、本発明では、式(1)の化合物において、SAが炭素数1〜15のパーフルオロアルケニル基で表される界面活性基、又は、ケイ素数4〜30のシリコーン基で表される界面活性基であるのが良い。
【0013】
また、本発明では、式(1)の化合物において、好適には、SAは、C2n+1(式中、nは1〜15の整数を表す)で表される直鎖のパーフルオロアルケニル基であるか;
式(2b1)または(2b2)で表されるパーフルオロアルケニル基であるか;
【化2】


または、式(2c)で表されるシリコーン基
【化3】


〔式(2c)中、nは1〜30の数であると共に、n+m+pは4〜30の数であり、繰り返し単位n、m及びpがランダム又はブロックに分布していてもよく、また、Gは、C1−C18アルキル又は下記式で表される基であり、
【化4】


は、C1−C18アルキル又は下記式で表される基であり、
【化5】


、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、互いに独立して、水素、C1−C18アルキル、フェニル、C2−C6ヒドロキシアルキル、C2−C6アミノアルキル、又はC5−C8シクロアルキルであり、
は、非置換のC1−C18アルキル、ヒドロキシ、C1−C12アルコキシ、ハロゲン、C3−C8シクロアルキル若しくはN(R11)(R12)で置換されているC1−C18アルキルであるか;Rは、非置換のフェニル、又はC1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ若しくはN(R11)(R12)で置換されているフェニルであるか;Rは、C5−C8シクロアルキルを表す(R11、R12はC1−C18アルキルを示す)〕であるのが良い。
【0014】
更に、本発明では、式(1)の化合物において、好適には、Zは、C1−C12アルキレン、−U−C1−C10アルキレン、−U−C3−C12シクロアルキレン、−U−C6−C12ビシクロアルキレン、1以上の不連続なC3−C12シクロアルキレン、−U−C3−C12シクロアルキレン、C6−C12ビシクロアルキレン若しくは−U−C6−C12ビシクロアルキレンにより中断されている−U−C1−C10アルキレン、1以上の不連続なO及びC3−C12シクロアルキレン、−U−C3−C12シクロアルキレン、C6−C12ビシクロアルキレン及び/若しくは−U−C6−C12ビシクロアルキレンにより中断されている−U−C1−C10アルキレン、
【化6】


−(CH−CH(OH)−CH−O−CO−(CH−、−(CH−O−(CH−CH(OH)−CH−O−CO−(CH−、C2−C10アルケニレン、C2−C10アルキニレン、−(CH−O−、−(CH)a−O−(CH−、−(CH−O−(CH−O−、−(CH−NR18−(CH−、−(CH−NR18−(CH−O−、−(CH−NR18−(CH−O−(CH−、−(C2−C10アルケニレン)−O−(CH−、−(C2−C10アルケニレン)−O−、−(C2−C10アルキニレン)−O−(CH−又は−(C2−C10アルキニレン)−O−であり;
−U−は、−COO−、−(CH−COO−、−Si−又は(CH−Si−であり;
a、b及びcは、互いに独立して、0〜10の数であるが、但し、当該メチレン基が酸素原子2個の間、又は酸素原子1個と窒素原子1個の間に位置する場合、a、b及びcはそれぞれ少なくとも1であり;dは1〜10の数であり;R18はC1−C10アルキルである〕で表される連結基であるのが良い。
【0015】
更にまた、PIは、下記式(3):
【化7】


[式中、Pは、エステル基、アセチル基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基、ハロゲン基、スルホン基、トリフルオロスルホニル基、ジアゾ基を表し、ここで、エステル基、カルボニル基は、炭素数1から20のアルキル基(炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよい)、炭素数3から20のシクロアルキル基(炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよい)、アリール基、アラルキル基又は複素環基(これらはアルキル基、ハロゲン原子及び/又は複素環基で置換されていてもよい)が結合していてもよく、ジアゾ基は、アリール基、アラルキル基又は複素環基が結合していてもよい。;
Yは、下記式(4):
【化8】


〔式中、Aは−R16−OR16、−COR16、−SR16、又は−NR1617を表し、Bは−R16、−OR16、−COR16、−SR16、−CONR1617又は−CNを表し、上記R16及びR17は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を表し、これらはハロゲン原子及び/又は複素環基で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、又はエステル結合により中断されていてもよく、また、R16及びR17は一緒になって環を形成してもよい。〕]で表される光開始剤残基であるのが良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物は、(C)成分として界面活性光開始剤を含み、特にこれが反応性に富んだ光開始剤残基を有すると共に界面活性機能を備えた界面活性基を有するため、塗膜表面に集積して表面での硬化性が高く、また、(D)成分として非界面活性光開始剤を含むため、表層部のみならず厚み方向まで十分に硬化性を付与せしめることができる。すなわち、本発明の感光性樹脂組成物は、紫外線または電子線照射後に発生する開始剤ラジカル濃度が高いため、硬化した部分がアルカリ現像液に対する不溶性が大きくなるため、薄膜または高着色剤濃度においても微細パターンを形成することができる。そのため、本発明のカラーフィルター用感光性樹脂組成物は、特に、カラーフィルター樹脂ブラックマトリクス材料として好適である。また、本発明のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物は、カラー液晶表示装置、カラーファクシミリ、イメージセンサー等の各種の多色表示体や、光学機器等に使用されるカラーフィルター用の着色インク、及び、これらによって形成されたブラックマトリックスを有するカラーフィルターや、テレビ、ビデオモニター、あるいは、コンピューターのディスプレー等に好適に使用することができる。特に、カラーフィルター保護膜材料として好適である。更には、このようにして得られたカラーフィルターは、例えば、透過型、反射型あるいは半透過型のカラー液晶表示装置、カラー撮像管素子、カラーセンサー等に極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の感光性樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ現像性バインダー樹脂を含み、好適には下記一般式(5)で表されるような樹脂を含み、このような(A)アルカリ可溶性樹脂(アルカリ現像性バインダー樹脂)を主成分として含有するアルカリ現像型感光性樹脂組成物である。ここで、一般式(5)で表される(A)アルカリ可溶性樹脂は、(メタ)アクリル酸を有するジオール化合物に由来する光重合性不飽和基を有するためにラジカル重合性を有する他、酸一無水物及び酸二無水物に由来する酸性基を含有するためアルカリ可溶性を有する。
【化9】


(ただし、R21、R22、R23、R24は、独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子又はフェニル基を示し、R25は水素原子又はメチル基を示す。また、Jは-CO-、-SO2-、-C(CF3)2-、-Si(CH3)2-、-CH2-、-C(CH3)2-、-O-、9,9-フルオレニレン基又は直結合を示し、Kは4価のカルボン酸残基を示す。Mは下記一般式(6)で表される置換基を示し、nは1〜20の数を表す。)
【化10】


(但し、Lは2または3価のカルボン酸残基を示し、qは1または2である)
【0018】
(A)のアルカリ可溶性樹脂は、ビスフェノール類から誘導される2個のグリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物に、(メタ)アクリル酸を反応させて得られたジオール化合物に、ジカルボン酸類とテトラカルボン酸類の少なくとも各1種類と、重合性二重結合を含有するオキシラン化合物を反応させて得られたカルボキシル基含有交互共重合体である。一般式(5)のアルカリ可溶性樹脂は、重合性不飽和二重結合とカルボキシル基とを併せ持つため、アルカリ現像型感光性樹脂組成物に優れた光硬化性、良現像性、パターニング特性を与えて保護膜、遮光膜、赤、緑、青の各画素の物性向上をもたらす。
【0019】
本発明の、一般式(5)で表わされるアルカリ可溶性樹脂の製造方法について詳細に説明する。
まず、一般式(5)のアルカリ可溶性樹脂は、好ましくは、一般式(7)で表されるエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物から誘導される。このエポキシ化合物はビスフェノール類から誘導される。
【化11】


一般式(7)において、R21、R22、R23、R24は、独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子又はフェニル基を示すが、好ましくは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又はフェニル基であるが、さらに好ましくは水素原子である。Jは-CO-、-SO2-、-C(CF3)2-、-Si(CH3)2-、-CH2-、-C(CH3)2-、-O-、9,9-フルオレニレン基又は直結合を示すが、9,9-フルオレニレン基がより好ましい。ここで、9,9-フルオレニレン基は、下記式一般式(8)で表される基をいう。
【化12】

【0020】
好ましい一般式(5)のアルカリ可溶性樹脂を与えるビスフェノール類としては、次のようなものが挙げられる。ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)エーテル等。また、Xが9,9−フルオレニル基である9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)フルオレン等も好ましく挙げられる。更には、4,4'-ビフェノール、3,3'-ビフェノール等も好ましく挙げられる。
【0021】
一般式(5)のアルカリ可溶性樹脂は、上記のようなビスフェノール類から誘導されるエポキシ化合物から得ることができるが、かかるエポキシ化合物の他にフェノールノボラック型エポキシ化合物や、クレゾールノボラック型エポキシ化合物等も2個のグリシジルエーテル基を有する化合物を有意に含むものであれば使用することができる。また、ビスフェノール類をグリシジルエーテル化する際に、下記一般式(9)で表わされるオリゴマー単位が混入することになるが、一般式(9)におけるmの平均値が0〜10、好ましくは0〜2の範囲であれば、本樹脂組成物の性能には問題はない。
【化13】

【0022】
このようなエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応は、エポキシ化合物1モルに対し、約2モルの(メタ)アクリル酸を使用して行うが、かかる反応は前記特許文献11から公知である。この反応で得られる反応物は、前記特許文献11等に記載されている他、下記一般式(10)で表されるようなエポキシ(メタ)アクリレート化合物である。
【化14】

【0023】
重合性不飽和基の数が多いほど、高感度光重合開始剤による光重合反応に伴う架橋構造が発達し、アルカリ現像液に対するパターンの不溶性が向上する。このためアルカリ現像型感光性樹脂組成物に使用するアルカリ可溶性樹脂は、分子中に備える重合性不飽和基の数を表わすアクリル当量が小さいものが効果的である。アクリル当量の小さなアルカリ可溶性樹脂を製造する方法については、特に限定されるものでないが、好ましくは以下に述べるような製造方法が望ましい。次に、重合性不飽和基を含有するジオール化合物、酸二無水物、重合性不飽和基を含有するエポキシ化合物、及び酸一無水物の反応による本発明のアルカリ可溶性樹脂の製造方法を説明する。本発明のアルカリ可溶性樹脂の製造方法の一例を下記反応式(I)に示す。
【化15】


(ただし、R21、R22、R23、R24、R25、J、KおよびMは一般式(5)と同じであり、Mは下記一般式(6)で表される置換基を示し、nは1〜20の数であり、qは0または1の数を示す。)
【化16】


(但し、Lは2または3価のカルボン酸残基を示し、pは1または2を示す)
【0024】
反応式(I)に示すように、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応で得られた上記一般式(10)のエポキシ(メタ)アクリレート化合物と、酸成分を反応させて一般式(11)で表される化合物を得る。溶媒、触媒等の反応条件に関しては前記特許文献11などに詳細に記載されている。酸成分としては、エポキシ(メタ)アクリレート化合物分子中の水酸基と反応し得る酸二無水物が使用される。この酸成分は飽和、または、不飽和どちらでも効果的である。
【0025】
酸二無水物としては、飽和直鎖炭化水素テトラカルボン酸の酸二無水物や脂環式テトラカルボン酸の酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸の酸二無水物が使用される。ここで、飽和直鎖炭化水素テトラカルボン酸の酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸、ペンタンテトラカルボン酸、ヘキサンテトラカルボン酸の酸二無水物があり、更には飽和炭化水素が置換された飽和鎖状飽和環状テトラカルボン酸の酸二無水物でもよい。また、脂環式テトラカルボン酸の酸二無水物としては、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、シクロへプタンテトラカルボン酸、ノルボルナンテトラカルボン酸の酸二無水物があり、更には飽和炭化水素が置換された脂環式テトラカルボン酸の酸二無水物でもよい。また、芳香族テトラカルボン酸の酸二無水物としては、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸の酸二無水物がある。本発明における酸二無水物として好ましくはビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸の酸二無水物であり、さらに好ましくはビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸の酸二無水物である。これら酸二無水物は、2種以上を併せて使用することもできる。
【0026】
エポキシ(メタ)アクリレート化合物と、酸成分を反応させて一般式(11)で表わされる化合物を製造する方法については、特に制限されるものでなく、前記特許文献11に記載のような公知の方法を採用することができる。好ましくは、一般式(11)で表される化合物の末端が水酸基となるように、一般式(10)で表される重合性不飽和基を有するジオール化合物(A)に対する酸二無水物のモル比が50モル%以上100モル%未満となるように定量的に反応させることが望ましい。モル比が50モル%未満の場合は、未反応エポキシ(メタ)アクリレート化合物の含有量が増大してアルカリ可溶性樹脂組成物の経時安定性低下が懸念される。一方、モル比が100モル%以上の場合は、一般式(11)で表される化合物の末端が酸無水物となり、また、未反応酸二無水物化合物の含有量が増大して後にオキシラン化合物を反応させる際の副反応が懸念される。また、反応温度としては、90〜130℃で仕込み原料を均一に溶解させると共に反応を行い、引き続いて40〜80℃で反応及び熟成を行うことが好ましい。
【0027】
引き続き、上述の一般式(11)で表される化合物の水酸基と酸一無水物とを反応させ、一般式(5)で表されるアルカリ可溶性樹脂を得る。ここで、酸一無水物としては、直鎖炭化水素ジカルボン酸の酸無水物や飽和環状炭化水素、芳香族ジカルボン酸の酸無水物が使用される。飽和直鎖炭化水素ジカルボン酸酸無水物としては、例えば、コハク酸、アセチルコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、シトラリンゴ酸、マロン酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、オキソグルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、ジグリコール酸等の無水物があり、更には炭化水素基が置換された直鎖炭化水素ジカルボン酸無水物でもよい。飽和環状炭化水素ジカルボン酸の酸無水物としては、例えば、ヘキサヒドロフタル酸、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、ヘキサヒドロトリメリット酸等の酸無水物があり、更には飽和炭化水素が置換された脂環式ジカルボン酸の酸無水物でもよい。不飽和ジカルボン酸の酸無水物としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、トリメリット酸の酸無水物でもよい。本発明における酸一無水物として好ましくはコハク酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、フタル酸、トリメリット酸の無水物であり、さらに好ましくはコハク酸、イタコン酸、テトラヒドロフタルの酸無水物である。
【0028】
前記反応の反応温度としては、20〜120℃の範囲が好ましく、より好ましくは、40〜90℃である。一般式(5)で表される化合物を合成する際の酸一無水物のモル比は、前記重合性不飽和基を有するジオール化合物(a)、酸二無水物(b)及びオキシラン化合物(c)から換算される式(2×((a)-(b))+(c))に対して20〜110モル%である。酸一無水物のモル比は前記一般式(5)で表されるアルカリ可溶性樹脂の酸価を調整する目的で、上述の範囲で任意に変更できる。
【0029】
一般式(5)を製造する方法の一例を9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンを出発原料とする場合について示せば、次のようである。先ず、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンとエピクロロヒドリンとを反応させて下記一般式(12)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物を合成し、このビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物とCH2=CHR25-COOH(R25は前記と同じ)で表される(メタ)アクリル酸とを反応させて下記一般式(11)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂を合成する。次いで、このビスフェノールフルオレン型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の溶剤中で加熱下、酸二無水物、オキシラン化合物、酸一無水物と順次反応させ、一般式(5)のアルカリ可溶性樹脂を得る。
【化17】


【化18】


【化19】

【0030】
本発明のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物は、上述したように、好適には一般式(5)のアルカリ可溶性樹脂を樹脂成分の主成分として含有する。ここで、樹脂成分とは、重合又は硬化させることにより樹脂となる成分をいい、樹脂の他、オリゴマー、モノマーを含む。また、主成分として含有するとは、30wt%以上、好ましくは50wt%以上、より好ましくは60wt%以上含むことをいう。好適には、本発明の感光性樹脂組成物は、一般式(5)で表されるアルカリ可溶性樹脂を必須成分として含めばよく、一般式(5)の樹脂以外の成分は樹脂成分であっても、溶剤や充填材や着色剤等の非樹脂成分であってもよい。
【0031】
ブラックマトリックス用感光性樹脂組成物としての特徴を生かすためには、下記(A)、(B)、(C)、(D)および(E)成分を必須の成分として含有する。すなわち、(A)一般式(5)で表されるような1分子内にカルボン酸基及び重合性不飽和基を有するアルカリ現像性バインダー樹脂、(B)少なくとも1個以上のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー、(C)一般式(1)で表される少なくとも一つの界面活性光開始剤、(D)少なくとも一つの非界面活性光開始剤、及び(E)遮光性顔料分散体である。
【0032】
このうち、(B)成分の少なくとも1個以上のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ジメタノールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類を挙げることができ、これらの化合物は、その1種又は2種以上を使用することができる。
【0033】
これら(B)成分と一般式(5)で表される(A)成分のアルカリ可溶性樹脂の配合割合は、重量比で(A)/(B)で20/80〜90/10であり、好ましくは40/60〜80/20であるのがよい。アルカリ可溶性樹脂の配合割合が少ないと、光硬化後の硬化物が脆くなり、また、未露光部において塗膜の酸価が低いためにアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターンエッジががたつきシャープにならないといった問題が生じ、また、多いと、樹脂に占める光反応性官能基の割合が少なく架橋構造の形成が十分でなく、更に、樹脂成分における酸価度が高過ぎて、露光部におけるアルカリ現像液に対する溶解性が高くなることから、形成されたパターンが目標とする線幅より細ったり、パターンの欠落が生じ易くなるといった問題が生じるおそれがある。
【0034】
また、(C)成分としては、一般式(1)で表される界面活性光重合開始剤が挙げられる。界面活性光重合開始剤の分子内の界面活性基SAは、界面活性な物質である必要はなく、ブラックマトリックス用感光性樹脂組成物の表面に集積する作用があれば良く、樹脂組成物中の材料の比重差を利用するか、溶剤乾燥過程におけるスピノーダル相分離現象を利用するか、あるいは気−液界面に吸着する界面活性な物質であれば良く、特に界面活性な物質は表面に集積する作用が高く、好適である。界面活性な物質としては、1分子内に長鎖アルキル基のような親油基とスルホン酸やエチレンオキシド基のような親水基をもち、共有結合で連結した構造をした物質であるか、または、パーフルオロアルキル基やパーフルオロアルケニル基のような撥水撥油基をもつ構造をした物質であるか、または、シロキサン鎖のような分子間力が低い基をもつ構造をした物質である。光重合開始剤残基PIの構造は、成分(D)の非界面活性光重合開始剤から水素1個を取り除いた1価の構造であればよく、カラーフィルター用途であれば365nmの紫外線に対し吸収波長を有して光重合が出来ればよく、ブラックマトリックス用感光性樹脂組成物であれば、遊離基を発生させる部位がオキシムエステル結合であって、特に反応性の高いメチルラジカルを発生させる式(3)の化合物において、
【化20】


のものが好適である。さらに光重合開始剤部位へ連結基の付く位置は、光重合開始剤構造の分光波長やラジカル生成に悪い影響を及ぼさない位置が良い。光重合開始剤部位PIが界面活性基SAへ連結する個数は1個に限らず、複数個連結してもよく、式(2C)の化合物において、光重合開始剤部位PIがnは1〜30の数、連結する。
【化21】


特に、界面活性基SAの分子量が光重合開始剤部位PIより大きいと、配合重量当りの開始ラジカルの発生濃度が低くなるため、光重合開始剤部位PIが界面活性基SAへ連結する個数は1個以上が好ましい。
【0035】
更に、成分(D)の非界面活性光重合開始剤については、界面活性基SAを持たない構造であり、以下のような開始剤であればよく、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p'-ビスジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、等のベンゾインエーテル類、2-(o-クロロフェニル)-4,5-フェニルビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)ビイミダゾール、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2、4,5-トリアリールビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物類、2-トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル-5-(p-シアノスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-メトキシスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチルチアゾール化合物類、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-メチル−4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-フェニル-4、6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロRメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(3,4,5-トリメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メチルチオスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等のハロメチル−s−トリアジン系化合物類、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(o-ベンゾイルオキシム)、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-o-ベンゾアート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-o-アセタート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1-オンオキシム-o-アセタート、エタノン,1-{9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル}-,1-(o-アセチルオキシム)等のo-アシルオキシム系化合物類、ベンジルジメチルケタール、チオキサンソン、2-クロロチオキサンソン、2,4-ジエチルチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2-イソプロピルチオキサンソン等のイオウ化合物、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類、アゾビスイソブチルニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物、トリエタノールアミン、トリエチルアミン等の第3級アミンなどが挙げられる。これらの光重合開始剤は、その1種又は2種以上を使用することができる。
【0036】
(C)成分および(D)成分の光重合開始剤の合計使用量は、一般式(5)で表されるアルカリ可溶性樹脂及び(B)の光重合性モノマー各成分の合計100重量部を基準として2〜60重量部であるのがよく、好ましくは6〜15重量部であるのがよい。(C)成分および(D)成分の光重合開始剤の配合割合が少ないと、光重合の速度が遅くなって感度が低下し、一方、多過ぎると感度が強すぎてパターン線幅がパターンマスクに対して太った状態になり、マスクに対して忠実な線幅が再現できない、又は、パターンエッジががたつきシャープにならないといった問題が生じるおそれがある。また、、界面活性光開始剤(C)単独使用での配合重量よりも、界面活性光開始剤(C)の配合重量と非界面活性光開始剤(D)の配合重量の合計重量の方が少なくなるようにするのが好ましく、さらに好ましくは界面活性光開始剤(C)と非界面活性光開始剤の重量比が100:0〜100:600の範囲であるのがよい。界面活性光開始剤(C)の添加割合がこの範囲より多いと表面に集積する光開始剤量が少ないため開始剤添加量低減効果が得られない。なお、(C)および(D)の光重合開始剤には光増感作用を併せ持つものも含まれるが、別途光増感剤を添加してもなんらさしつかえない。
【0037】
また、成分(E)の遮光性顔料分散体は、遮光性顔料を分散させて得られるものであればよく、このうち遮光性顔料としては、黒色有機顔料、混色有機顔料又は遮光材などが挙げられ、黒色有機顔料としては、例えばペリレンブラック、シアニンブラック等が挙げられる。混色有機顔料としては、赤、青、緑、紫、黄色、シアニン、マゼンタ等から選ばれる少なくとも2種以上の顔料を混合して擬似黒色化されたものが挙げられる。遮光材としては、カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラック、シアニンブラックを挙げることができ、2種以上を適宜選択して用いることもできるが、特にカーボンブラックが、遮光性、表面平滑性、分散安定性、樹脂との相溶性が良好な点で好ましい。
【0038】
また、遮光性顔料は所望により、分散剤と共に使用することができる。このような分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を挙げることができる。前記界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類等を挙げることができる。(E)成分のうち遮光性顔料の使用量は、一般式(5)で表される(A)のアルカリ可溶性樹脂と(B)成分との総量100重量部に対して30〜390重量部、好ましくは50〜370重量部の範囲がよい。遮光性顔料の使用量がこの範囲より少ないと、遮光性が十分でなくなり、望ましい遮光率を得るためには膜厚を厚くしなければならなくなり、カラーフィルターの面平滑性が得にくい。反対に、多すぎると、(E)成分を含むカラーフィルター用感光性樹脂組成物の分散安定性が低下し、また、本来のバインダーとなる感光性樹脂の含有量も減少するため、現像特性を損なうと共に膜形成能が損なわれるという好ましくない問題が生じるおそれがある。
【0039】
(E)遮光性顔料分散体は遮光性顔料を溶媒に分散してなるが、ブラックマトリックス用感光性樹脂組成物中の顔料の含有量が増加すると、カラーフィルター形成時、特にブラックレジスト膜では紫外線領域の光が塗膜深部にまで届きにくくなり、感光性樹脂組成物中の硬化不良によってパターンの密着不良や現像時のパターン剥がれ、エッジ形状のシャープ性損失が生じる。例えば、非界面活性開始剤単独使用の場合、遮光率ODが4.0/μmとなるように遮光性顔料を配合した樹脂組成物では、膜厚1μmの塗膜表面に照射した光が100%とすると、表面から深部に向かい0.25μm透過した高さで10%まで減衰し、さらに0.25μm透過した高さで1%まで減衰する。このとき樹脂組成物が積算露光量1mJ/cmで硬化する場合、積算露光量100mJ/cmの光照射を行なうと、塗膜表面から0.5μmの深さまで光重合反応が生じ、硬化させることができる。したがって、塗膜表面が硬化し、深部は未硬化となっているが、現像液による未露光部の溶解除去に対し、塗膜表面を所定の現像時間保護することができるため、パターンを形成することができる。すなわち高濃度の着色剤が含まれる場合でも硬化不良が生じないように、高感度の光重合開始剤や重合度の高いアクリルモノマーを用いたり、光重合開始剤の添加量を増やしたりすることがあるが、膜内部とくに膜深部は光重合に寄与せず、結果として光重合開始剤の過剰な添加となる問題点がある。そのため現在の技術では光重合開始剤やアクリルモノマーについて高感度化が限界に来ているのが現状であり、ブラックマトリックスの高遮光を達成させることは非常に困難となっている。
【0040】
そこで、本発明における(C)成分の界面活性機能を有する界面活性光開始剤では、界面活性部分の作用によって、少量でも光重合性レジスト膜の表層に光重合開始剤が集積し、光が当たる部分のみに光重合開始剤を存在させることができ、光重合に寄与しない膜内部の存在量を減らし、結果として光重合開始剤の添加量を減らすことができるため、過剰な光重合開始剤の添加による問題点を解消することができる。(C)の界面活性光重合開始剤の使用量は、一般式(5)で表される(A)のアルカリ可溶性樹脂及び(B)成分の総量100重量部に対して1〜20重量部、好ましくは3〜15重量部の範囲がよい。(C)の界面活性光重合開始剤の使用量がこれより少ないと、深部の硬化性が十分でなくなり、パターンを得るためには(D)の非界面活性光重合開始剤を多くしなければならなくなり、感度が低下する。反対に多すぎると、表面の硬化性が増すが、一般式(5)で表される(A)のアルカリ可溶性樹脂及び(B)成分の総量が減り、感度が低下する。
【0041】
一般式(5)で表される(A)のアルカリ可溶性樹脂、(B)の光重合性モノマー、(C)および(D)の光重合開始剤及び(E)の遮光性顔料を必須成分として含む感光性樹脂組成物は、カラーフィルター用ブラックマトリックス材料などに有用であり、必要により溶剤に溶解されたり、各種添加剤が配合される。すなわち、本発明の感光性樹脂組成物をカラーフィルター用等に使用する場合においては、前記各成分の他に溶剤を使用することが好ましい。溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−若しくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N-メチル-2-ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類等が挙げられ、これらを用いて溶解、混合させることにより、均一な溶液状の組成物とすることができる。
【0042】
また、本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤、連鎖移動剤、熱重合禁止剤、可塑剤、充填材、溶剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を配合することができる。連鎖移動剤としては、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、イソシアヌル酸トリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトブチレート)等を挙げられる。熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、フェノチアジン等を挙げることができ、可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等を挙げることができ、充填材としては、グラスファイバー、シリカ、マイカ、アルミナ等を挙げることができ、また、消泡剤やレベリング剤としては、例えば、シリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物を挙げることができる。
【0043】
本発明のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物は、溶剤を除いた固形分(固形分には硬化後に固形分となるモノマーを含む)中に、(A)の一般式(5)で表されるアルカリ可溶性樹脂、(B)の光重合性モノマー、(C)および(D)の光重合開始剤及び(E)遮光性顔料が合計で70wt%以上、好ましくは80wt%、より好ましくは90wt%以上含むことが望ましい。溶剤の量は、目標とする粘度によって変化するが、全体量に対して20〜90wt%の範囲が望ましい。
【0044】
本発明では、例えば、上記感光性樹脂組成物の溶液を、基板等に塗布し、乾燥し、光(紫外線、放射線等を含む)を照射し、これを硬化させることにより所定の硬化膜を得ることができる。この際、光が当たる部分と当たらない部分とを設けて、光が当たる部分だけを硬化させ、他の部分をアルカリ溶液で溶解させれば、所望のパターンの塗膜が得られる。
【0045】
次に、本発明の感光性樹脂組成物を遮光層に用いた一般的なカラーフィルターの製造法について説明する。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層を形成し、この基板上に、例えば赤色の顔料が分散された感光性樹脂組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ性現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。その後、緑色又は青色の顔料が分散された感光性樹脂組成物の液状組成物を用い、前記と同様にして、各液状組成物の塗布、プリベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び青色の画素アレイを同一基板上に順次形成することにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素アレイが基板上に配置し、更に、この上に保護膜として、感光性樹脂組成物の液状組成物を前記と同様にして、各液状組成物の塗布、プリベーク、露光、現像及びポストベークを行って、保護膜が形成されたカラーフィルターを得る。
【0046】
感光性樹脂組成物の液状組成物を基板に塗布する際には、公知の溶液浸漬法、スプレー法の他、ローラーコーター機、ランドコーター機やスピナー機を用いる方法等の何れの方法をも採用することができる。これらの方法によって、所望の厚さに塗布した後、溶剤を除去する(プリベーク)ことにより、被膜が形成される。プリベークはオーブン、ホットプレート等による加熱、真空乾燥又はこれらの組み合わせることによって行われる。プリベークにおける加熱温度及び加熱時間は使用する溶剤に応じて適宜選択され、例えば80〜120℃の温度で1〜10分間行われる。
【0047】
カラーフィルターを作製する際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が250〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。また感光性放射線を照射する露光装置は、レンズ、反射鏡等の光学部品に使用する材質により特定の波長範囲が吸収される。感光性樹脂組成物を露光するには、波長が250〜320nmの範囲にある放射線を含むことが好ましい。なお、波長が320〜450nmの範囲にある放射線で露光すると、塗膜の光重合反応が不十分で、現像工程においてパターンが溶解、または剥離する。また、このアルカリ現像に適した現像液としては、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩の水溶液、アルカリ金属の水酸化物の水溶液等を挙げることができるが、特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩を0.05〜10重量%含有する弱アルカリ性水溶液を用いて20〜30℃の温度で現像するのがよく、市販の現像機や超音波洗浄機等を用いて微細な画像を精密に形成することができる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で10〜120秒が好ましい。
【0048】
このようにして現像した後、180〜250℃の温度及び20〜100分の条件で熱処理(ポストベーク)が行われる。このポストベークは、パターニングされた塗膜と基板との密着性を高めるため等の目的で行われる。これはプリベークと同様に、オーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。本発明のパターニングされた塗膜は、以上のフォトリソグラフィー法による各工程を経て形成される。
【0049】
ブラックマトリックスを備えたカラーフィルターを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、透明フィルム(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフォン等)上にITO、金等の透明電極が蒸着あるいはパターニングされたもの等が用いられる。また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【実施例】
【0050】
以下に、合成例及び実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによりその範囲を限定されるものではない。なお、以下の合成例における樹脂の評価は、断りのない限り以下の通りである。
【0051】
[固形分濃度]
樹脂溶液1gをガラスフィルターWgに含浸させて秤量し(Wg)、160℃にて2hr加熱した後の重量(Wg)から次式より求めた。
固形分濃度(重量%)=100×(W―W)/(W―W
【0052】
[酸価]
樹脂溶液をジオキサンに溶解させ、フェノールフタレインを指示薬として1/10N−KOH水溶液で滴定して求めた。
【0053】
[分子量]
テトラヒドロフランを展開溶媒として、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)にて標準ポリスチレン換算値として重量平均分子量(Mw)を求めた値である。
【0054】
また、合成例で使用する略号は次のとおりである。
FHPA:ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂とアクリル酸との等当量反応物(新日鐵化学社製、ASF-400溶液:固形分濃度50wt%、固形分換算の酸価1.28mgKOH/g)
TPP:トリフェニルホスフィン
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
BPDA:ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
THPA:テトラヒドロフタル酸無水物
THF:テトラヒドロフラン
DMSO:ジメチルスルホキシド
【0055】
[合成例1]アルカリ現像性バインダー樹脂(A)の合成例
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中にFHPAの50%PGMEA溶液206.26g(0.17mol)と、BPDA 0.085mol、THPA 0.085mol、PGMEA26.0g及びTPP 0.45gを仕込み、120〜125℃に加熱下に6hr撹拌し、固形分濃度55.6wt%の樹脂溶液(i)を得た。得られた樹脂の酸価(固形分換算)は103.0mgKOH/g、GPC分析によるMwは2600であった。
【0056】
[合成例2]界面活性光開始剤(C−1)の合成例
カルバゾール-9-エタノール3gをジクロロメタン30mlに溶解させ、0℃に冷却し、塩化アルミニウム4g、及び塩化-2-メチルベンゾイル3.88mlを加え、5分間攪拌した。次に塩化アルミニウム2.08g、及び塩化アセチル1.06mlを加え、室温で1時間攪拌した。水10mlを滴下し、反応を停止し、ジクロロメタンにより抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和食塩水にて洗浄、乾燥、濃縮させることにより、ジアシルエステル体を得た。
【0057】
該ジアシルエステル体5gをTHF30mlに溶解させ、メタノール30ml、及び5%水酸化カリウム水溶液30mlを加え、室温で5時間攪拌した。5時間後、水20ml、及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させ、酢酸エチルにより3回抽出して、有機層を乾燥、及び濃縮して、ジアシル体の粗生成物を得た。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、ジアシル体を4.38g得た。
【0058】
該ジアシル体3gをアセトニトリルに溶解させ、トリエチルアミン1.69ml、及びヘキサフルオロプロペントリマー 5.44gを加え、5時間攪拌した。水を加えて反応を停止し、酢酸エチルにより抽出して、有機層を乾燥、及び濃縮させることにより粗生成物を得た。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、ジアシルRf体を5.5g得た。
【0059】
該ジアシルRf体4gをエタノール65mlに溶解させ、水20ml、酢酸ナトリウム878.4mg、及び塩化ヒドロキシルアンモニウム381.5mgを加えた。溶液を3時間加熱還流し、室温に冷却した。水20mlを加えて反応を停止させ、析出した白色固体をTHF30mlで溶解させた。溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥濃縮して、オキシム体粗生成物を得た。
【0060】
該オキシム体粗生成物をt-ブチルメチルエーテル60mlに溶解させ、溶液を0℃に冷却し、トリエチルアミン1.25ml、及び塩化アセチル0.532mlを加えた。溶液を室温に昇温し、4時間攪拌した。4時間後、水を加えて反応を停止させ、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を乾燥濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、界面活性光開始剤(C−1)を3.7g得た。
【0061】
[合成例3]界面活性光開始剤(C−2)の合成例
カルバゾール0.5gをDMSO15mlに溶解させ、NaOH0.18gを水6mlに溶かし、加え30分攪拌した。3-ブロモプロペンを0.39ml加え1時間攪拌した。反応液に水を加えて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。有機層を乾燥し、濃縮してアリル化体粗生成物を得た。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、アリル化体を0.61g得た。
【0062】
該アリル化体組成生物3gをジクロロメタン50mlに溶解させ、0℃に冷却し、塩化アルミニウム2.12g、及び塩化-2-メチルベンゾイル1.98mlを加え、5分間攪拌した。次に塩化アルミニウム2.61g、及び塩化アセチル1.28mlを加え、室温で1時間攪拌した。水10mlを滴下し、反応を停止し、ジクロロメタンにより抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和食塩水にて洗浄し、乾燥、及び濃縮させることにより、ジアシルエステル体の粗生成物を得た。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、ジアシル体を4.73g得た。
【0063】
該ジアシル体0.50g、シロキサン化合物(米国Gelest社製、HMS−991)0.38g、及びポリエチレングリコールアリルエーテル(日本油脂社製、ユニオックスPKA-5006)0.50gをトルエン5.7mlに溶解させ、5分間撹拌した。触媒Pt・(CH2=CH(Me)SiO)4(米国Gelest社製、Platinum-cyclovinylmethylsiloxane complex)3.4mgを加え、100℃で撹拌し、NMRより、ジアシル体ピークの消失を確認してから、ブチルビニルエーテル0.73mlを加え、100℃でNMRより、ビニル体ピークの消失を確認するまで撹拌し、室温に冷却した。セライト10gを加え、ろ過にて触媒を除去、ジクロロメタンにより抽出し、有機層を乾燥、及び濃縮させることにより、界面活性カルバゾール誘導体を1.42g得た。
【0064】
該界面活性カルバゾール誘導体1.42gをエタノール16mlに溶解させ、水4ml、酢酸ナトリウム0.15g、及び塩化ヒドロキシルアンモニウム0.10gを加えた。溶液を3時間加熱還流し、室温に冷却した。水20mlを加えて反応を停止させた。溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和食塩水で洗浄して、乾燥濃縮し、オキシム体粗生成物を得た。
【0065】
該オキシム体粗生成物をt-ブチルメチルエーテル15mlに溶解させ、溶液を0℃に冷却し、トリエチルアミン0.31ml、及び塩化アセチル0.11mlを加えた。溶液を室温に昇温し、4時間攪拌した。4時間後、水を加えて反応を停止させ、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を乾燥濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、界面活性光開始剤(C−2)を0.58g得た。
【0066】
[合成例4]界面活性光開始剤(C−3)の合成例
カルバゾールのジアシル体は、合成例3に記載された方法で調整した。
該ジアシル体4.68g、及びシロキサン化合物(米国Gelest社製、DMS-H03)4.87gをトルエン50.9mlに溶解させ、5分間撹拌した。触媒Pt・(CH2=CH(Me)SiO)4(米国Gelest社製、Platinum-cyclovinylmethylsiloxanecomplex)3.4mgを加え、135℃で撹拌し、NMRより、ジアシル体ピークの消失を確認するまで撹拌した。室温に冷却し、セライト10gを加え、ろ過にて触媒を除去し、ジクロロメタンにより抽出し、有機層を乾燥、及び濃縮させることにより、界面活性カルバゾール誘導体を9.92g得た。
【0067】
該界面活性カルバゾール誘導体9.92gをエタノール160mlに溶解させ、水40ml、酢酸ナトリウム1.67g、及び塩化ヒドロキシルアンモニウム1.19gを加えた。溶液を9時間加熱還流し、室温に冷却した。溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥濃縮し、オキシム体粗生成物9.99gを得た。
【0068】
該オキシム体粗生成物9.99gをテトラヒドロフラン100mlに溶解させ、トリエチルアミン3.6ml、及び塩化アセチル1.2mlを加えた。溶液を30分攪拌後、水を加えて反応を停止させ、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を乾燥濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、界面活性光開始剤(C−3)を10.6g得た。
【0069】
上記合成例で得られたものを使用して感光性樹脂組成物を調製し、評価を行った。ここで、実施例、及び比較例におけるカラーフィルターの製造で用いた原料及び略号は以下の通りである。
【0070】
(i):上記合成例1で得られたアルカリ可溶性樹脂
(ii)成分:トリメチロールプロパントリアクリレート
(iii)-1成分:以下の化学式で表される上記合成例2で得られた界面活性光重合開始剤(C−1)
【化22】


(Rfは、上記式(2b1)または(2b2)で表されるパーフルオロアルケニル基を表す。)
【0071】
(iii)-2成分:以下の化学式で表される上記合成例3で得られた界面活性光重合開始剤(C−2)
【化23】

【0072】
(iii)-3成分:以下の化学式で表される上記合成例2で得られた界面活性光重合開始剤(C−3)
【化24】

【0073】
(iv)-1成分:オキシムエステル系光重合開始剤(チバ・ジャパン製、イルガキュアOXE02)
(iv)-2成分:2-(4’-エチル-4-ビフェニリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン
(v)成分:顔料濃度20.0%、総固形分25%のカーボン分散体(平均粒径100〜130nm)
溶剤-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤-2:シクロヘキサノン
添加剤:シランカップリング剤(東レダウコーニング製SH-6040)
【0074】
[参考例1〜12、比較参考例1、実施例1〜19、比較例1〜3]
上記の配合成分を表1及び表2に示す割合で配合し、合成例1で得られたアルカリ可溶性樹脂を用いてブラックレジスト用感光性樹脂組成物を調製した。参考例、参考比較例、実施例、比較例における接触角、及び硬化層厚みの評価サンプルの作成方法は以下の通りである。
【0075】
上記で得られた各感光性樹脂組成物を、スピンコーターを用いて125mm×125mmのガラス基板上にポストベーク後の膜厚が2.0μmとなるように塗布し、80℃で1分間プリベークして塗布板を作成した。その後、テストパターンマスクを塗布板上に設置し、超高圧水銀ランプで波長365nmの積算露光量が200mJ/cm2となるよう紫外線を照射し感光部分の光硬化反応を行った。次に、この露光済み塗板を0.02wt%炭酸ソーダ水溶液中、23℃のDip現像にてパターンが現像されてからさらに90秒の現像を行い、さらにDip水洗を行い、塗膜の未露光部及び硬化層下部の未硬化部を除去した。その後、ガラス基板側から250mJ/cm2の紫外線を照射し未硬化部分の光硬化反応を行った。そして、参考例1〜12、及び比較参考例1における接触角の評価結果を表1に、実施例1〜19、及び比較例1〜3における硬化層厚みの評価結果を表2に示す。これらの評価方法は以下の通りである。
【0076】
接触角:硬化膜上に純水を所定量滴下し、側面から観察した際の水滴の接触角を記録した。自動接触角測定装置(データフィジックス社製 商品名 OCA 20)を用いて測定した。
硬化層厚み:パターンを横切るようにガラス基板を切断し、パターン断面の端面部分を切断面側から観察して、現像により溶解除去されずに残った硬化層厚みを電子顕微鏡(キーエンス社製 商品名 3Dリアルサーフェスビュー VE-8800)を用いて測定した。
総合評価:硬化層厚みと開始剤合計部数を評価し、優れた表面硬化性と配合部数の低減が両立(○)、もしくは許容範囲の表面硬化性または配合部数の低減のいずれか一方を達成(△)、を示すことを確認した。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
上記表1の結果から明らかなように、参考例1〜12は比較参考例例1と比較して接触角が高く、膜表面に光開始剤が集積していることが確認された。一方、上記表2の結果から明らかなように、実施例1〜19、特に実施例5、9〜12、15〜17及び19は、比較例1と比較して硬化層厚みが0.9〜1.1μmと同等でありながら、界面活性光重合開始剤(iii)と光重合開始剤(iv)の合計部数が少ない。すなわち、紫外線または電子線照射後に発生するラジカルが膜表面に集積し、光硬化反応を膜表面で効果的に進行させるため、光開始剤添加量を少なくでき、膜表面を選択的に硬化させる界面活性光重合開始剤を提供できることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ現像性バインダー樹脂、
(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー、
(C)少なくとも一つの界面活性光開始剤、
(D)少なくとも一つの非界面活性光開始剤、及び
(E)遮光性顔料分散体
を必須の成分として含有するブラックマトリックス用感光性樹脂組成物であって、前記界面活性光開始剤(C)として、式(1):
【化1】


(式中、PIは光開始剤残基を表し、Zは2価の連結基を表し、SAは界面活性基を表す)で表される少なくとも一つの界面活性光開始剤を含有することを特徴とするブラックマトリックス用感光性樹脂組成物。
【請求項2】
式(1)の化合物において、SAが炭素数1〜15のパーフルオロアルキル基で表される界面活性基、又は、炭素数1〜15のパーフルオロアルケニル基で表される界面活性基、又は、ケイ素数4〜30のシリコーン基で表される界面活性基である請求項1記載のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物。
【請求項3】
式(2b1)または(2b2)で表されるパーフルオロアルケニル基であるか;
【化2】


または、式(2c)で表されるシリコーン基
【化3】


〔式(2c)中、nは1〜30の数であると共に、n+m+pは4〜30の数であり、繰り返し単位n、m及びpがランダム又はブロックに分布していてもよく、また、Gは、C1−C18アルキル又は下記式で表される基であり、
【化4】


は、C1−C18アルキル又は下記式で表される基であり、
【化5】


、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、互いに独立して、水素、C1−C18アルキル、フェニル、C2−C6ヒドロキシアルキル、C2−C6アミノアルキル、又はC5−C8シクロアルキルであり、
は、非置換のC1−C18アルキル、ヒドロキシ、C1−C12アルコキシ、ハロゲン、C3−C8シクロアルキル若しくはN(R11)(R12)で置換されているC1−C18アルキルであるか;Rは、非置換のフェニル、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ若しくはN(R11)(R12)で置換されているフェニルであるか;Rは、C5−C8シクロアルキルを表す(R11、R12はC1−C18アルキルを示す)〕である請求項2に記載のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物。
【請求項4】
式(1)の化合物において、Zは、C1−C12アルキレン、−U−C1−C10アルキレン、−U−C3−C12シクロアルキレン、−U−C6−C12ビシクロアルキレン、1以上の不連続なC3−C12シクロアルキレン、−U−C3−C12シクロアルキレン、C6−C12ビシクロアルキレン若しくは−U−C6−C12 ビシクロアルキレンにより中断されている−U−C1−C10 アルキレン、1以上の不連続なO及びC3−C12シクロアルキレン、−U−C3−C12シクロアルキレン、C6−C12ビシクロアルキレン及び/若しくは−U−C6−C12ビシクロアルキレンにより中断されている−U−C1−C10アルキレン、
【化6】


−(CH−CH(OH)−CH−O−CO−(CH−、−(CH−O−(CH−CH(OH)−CH−O−CO−(CH−、C2−C10アルケニレン、C2−C10アルキニレン、−(CH−O−、−(CH−O−(CH−、−(CH−O−(CH−O−、−(CH−NR18−(CH−、−(CH−NR18−(CH−O−、−(CH−NR18−(CH−O−(CH−、−(C2−C10アルケニレン)−O−(CH−、−(C2−C10アルケニレン)−O−、−(C2−C10アルキニレン)−O−(CH−又は−(C2−C10アルキニレン)−O−であり;
−U−は、−COO−、−(CH−COO−、−Si−又は(CH−Si−であり;
a、b及びcは、互いに独立して、0〜10の数であるが、但し、当該メチレン基が酸素原子2個の間、又は酸素原子1個と窒素原子1個の間に位置する場合、これらは少なくとも1であり;dは1〜10の数であり;R18はC1−C10アルキルである〕で表される連結基である請求項2に記載のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物。
【請求項5】
式(1)において、PIは、下記式(3):
【化7】


[式中、Pは、エステル基、アセチル基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基、ハロゲン基、スルホン基、トリフルオロスルホニル基、ジアゾ基を表し、ここで、エステル基、カルボニル基は、炭素数1から20のアルキル基(炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよい)、炭素数3から20のシクロアルキル基(炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよい)、アリール基、アラルキル基又は複素環基(これらはアルキル基、ハロゲン原子及び/又は複素環基で置換されていてもよい)が結合していてもよく、ジアゾ基は、アリール基、アラルキル基又は複素環基が結合していてもよい。;
Yは、下記式(4):
【化8】


〔式中、Aは−R16−OR16、−COR16、−SR16、又は−NR1617を表し、Bは−R16、−OR16、−COR16、−SR16、−CONR1617又は−CNを表し、上記R16及びR17は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を表し、これらはハロゲン原子及び/又は複素環基で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、又はエステル結合により中断されていてもよく、また、R16及びR17は一緒になって環を形成してもよい。〕]で表される光開始剤残基である請求項2に記載のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物。
【請求項6】
式(3)の化合物において、
【化9】


である請求項5に記載のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物。
【請求項7】
式(1)の化合物において、
【化10】


である請求項1〜6のいずれかに記載のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物。
【請求項8】
式(1)の化合物において、
【化11】


である請求項1〜7のいずれかに記載のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物。
【請求項9】
界面活性光開始剤(C)の配合重量よりも非界面活性光開始剤(D)の配合重量の方が多い請求項1〜8のいずれかに記載のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物。
【請求項10】
(C)成分と(D)成分の合計が、全樹脂固形分[〔(A)+(B)〕の合計]に対して3〜17重量%である請求項1〜9のいずれかに記載のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物。
【請求項11】
アルカリ現像性バインダー樹脂(A)と光重合性モノマー(B)の固形分重量比(A)/(B)が0.40〜9.00である請求項1〜10のいずれかに記載のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物。
【請求項12】
(A)成分が、グリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物を、更に多塩基酸カルボン酸又はその無水物と反応させて得られた一般式(5)で表される不飽和基含有樹脂である請求項1〜11のいずれかに記載のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物。
【化12】

〔ただし、R21、R22、R23、及びR24は、独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子又はフェニル基を示し、R25は水素原子又はメチル基を示す。また、Jは-CO-、-SO2-、-C(CF3)2-、-Si(CH3)2-、-CH2-、-C(CH3)2-、-O-、9,9-フルオレニレン基又は直結合を示し、Kは4価のカルボン酸残基を示し、Mは下記一般式(6)で表される置換基を示し、nは1〜20の数を表す。
【化13】


(但し、Lは2または3価のカルボン酸残基を示し、qは1または2である)〕
【請求項13】
全樹脂固形分[〔(A)+(B)+(C)+(D)+(E)〕の合計]の総量100重量%に対して遮光性顔料分散体(E)に含まれる遮光性顔料の割合が40〜60重量%である請求項1〜12のいずれかに記載のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物。
【請求項14】
遮光性顔料分散体(E)に含まれる遮光性顔料がカーボンブラックである請求項1〜13のいずれかに記載のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物を硬化させて形成した硬化物。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれかに記載のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物を塗布、硬化させて得られる硬化物によって形成されたカラーフィルター。

【公開番号】特開2011−81126(P2011−81126A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232310(P2009−232310)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【Fターム(参考)】