説明

ブリスター包装のための検査システム

ブリスター包装のシール領域および/または容量充填レベルを検査するための検査システムであって、この検査システムは、画像ピックアップデバイスを備え、そして画像ピックアップデバイスを提供する工程;この画像ピックアップデバイスの視野範囲に、上記ブリスター包装を、それに付着したカバーとともに提示する工程;上記シール領域を画像化して、上記シール領域のグレーレベルを決定し、そしてこの画像化されたグレーレベルを、所定のグレーレベル値と比較する工程;ならびに、上記画像化されたグレーレベルが上記所定のグレーレベル値と実質的に同じである場合にブリスター包装検査を合格とするか、または上記画像化されたグレーレベルが上記所定のグレーレベル値と実質的に同じでない場合にブリスター包装検査を不合格とする工程、を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、製造ラインにおける検査システムに関する。より詳細には、本発明は、溶液中に眼用レンズを含むブリスター包装の、シール領域および/または溶液容量を検査するための検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズのような眼用レンズは、一般的に、ブリスター包装と呼ばれる小さな容器に包装されている。このブリスター包装としては、ある量の保存溶液(例えば、生理食塩水)中に単一のレンズを含むウェルを有する、使い捨てのプラスチック容器が挙げられる。ホイル製蓋材料(lidstock)は、ブリスター包装に適用されて、それを、通常、レンズおよび溶液を含むウェルの周縁(perimeter)の周りでシールする。ホイル製蓋材料は、積層板(例えば、ブリスターに対して置かれる第一のポリプロピレン層、それに続くホイル層、その上に図画を適用するための塗装層が適用され得、これに一番上のラッカー層が続く)を含み得る。ブリスター包装に対する蓋材料のシールは、熱の適用によって実行され得る。この熱の適用は、ポリプロピレン層をプラスチックのブリスターに対してシールする。このシールプロセスは、多数のブリスター包装が非常に迅速にシールされ得るように、自動様式で実行される。自動化は、製造ラインの生産性を向上させるが、シールプロセスの間に、検出されない可能性のあるエラーを生じ得る。シールのエラーとしては、例えば、泡、空隙、粒子状物質、および過剰なシールが挙げられ得る。これらのエラーのいずれも、不完全なシールを生じ得、このことによって、レンズの汚染またはブリスターからの保存溶液の漏れが生じ、その場合、ブリスターおよびレンズを廃棄しなければならない。これまでは、手作業による検査が実行されてきた。しかし、手作業による検査は、人為的なミスにつながる傾向があり、そして多くの時間および労働力を強いるもの(time and labor intensive)である。したがって、消費者に出荷される前に不完全なシールを有するブリスターを廃棄し得るように、シールエラーの検出を含むしっかりとしたシールプロセスを有することが望ましい。ブリスター中の保存溶液の容量充填レベルを自動的に検査して、適切な量の保存溶液がブリスター包装中に調剤されることを確実にすることが、また所望される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要旨)
第一の局面において、本発明は、ブリスター包装に適用された蓋材料のシール領域におけるエラーを検出するように動作する、検査システムを提供する。この検査システムは、ブリスター包装のシール領域に向けられた画像ピックアップデバイス(例えば、カメラ)を備える。このシール領域は、代表的には、レンズおよび保存溶液を収容する窪んだウェルを取り囲む領域であるが、このシール領域はまた、ウェル周辺の、より大きなフランジ領域を含み得る。ウェル周縁の周りのシール(当該分野において、代表的には、「レーストラック(racetrack)」と称される)は、完全にシールされねばならない。完全にシールされていないならば、レンズが汚染され得、そして溶液がブリスター包装から漏れる可能性があるので、ブリスター包装は廃棄されねばならない。検査システムは、このレーストラックに対してパターン(例えば、レーストラックの周りを連続的に完全に一周して配置される、小さな正方形もしくは長方形のボックス)を適用する。画像ピックアップデバイスに接続されたソフトウェアユーティリティは、ボックス内部のグレーレベル(grey level)の所定の量または範囲に関してこのパターンを点検する。閾値グレーレベルからの差異は、エラーとして処理される。このことは、良好なシールが、一緒に結合される2つの材料(すなわち、蓋材料およびブリスターレーストラック)に対する熱、圧力および時間の正確な適用によって生じる、測定可能なグレーレベル値またはグレーレベル範囲を有することに起因する。検出されたグレーレベルが閾値および閾値範囲と異なる場合、ソフトウェアユーティリティは、検出されたエラーのサイズを計算する。このサイズが受容可能な値もしくは範囲以外である場合、ブリスターは廃棄の対象となる。
【0004】
本発明の第二の局面において、検査システムは、シールされたブリスター包装中の保存溶液の容量(充填レベル)を検査するために提供される。可視化システムは、ブリスター包装内部の溶液レベルを検出するように動作する画像ピックアップデバイス(例えば、カメラ)を含む。一実施形態において、ブリスター包装は、この画像デバイスに対して垂直に提示され得る。検出された溶液レベルが所定の受容される量または範囲以外に入る場合、ブリスター包装は廃棄の対象となる。本発明の特に有益な実施形態において、上記シール検査システムは、この容量検査システムと統合される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
(詳細な説明)
図面を参照すると、図中において、親水性コンタクトレンズ12を包装するために使用される代表的ブリスター包装10が見られる。ブリスター10は、使い捨てプラスチック(例えば、ポリプロピレン)から作製され、そして窪んだウェル14を備え、このウェル14には、レンズ12が、ある量の保存溶液13(例えば、生理食塩水)とともに置かれている。カバー16は、ウェル14の周りでシールされている。カバー16は、代表的には、ホイルの積層版である。この積層版は、熱および圧力の適用によってブリスター包装に結合する第一の基底層を有する。図4に見られるように、この第一の基底層16aは、ポリプロピレンであり得る。この第一の基底層16aには、例えば、ホイル層16b、そして保護用のラッカー最上層16cが続く。カバー16は、少なくとも、ウェル14の周縁または「レーストラック」18の周りにおいてシールされている。レーストラック18は、レーストラック18の周辺のフランジ領域19に対して同一平面上にあっても、盛り上がっていてもよい。カバー16は、シールされない把持部分16dをさらに備え、使用者が容易にカバー16を把持してブリスター10からカバー16を剥離し、その中のレンズ12に接近することを可能にする。
【0006】
図5に見られるように、本発明の検査システムステーション20は、模式的に示されており、画像ピックアップデバイス(例えば、DSL5000カメラ)22を備え、この画像ピックアップデバイスは、検査されるべきブリスター包装10に向けられたレンズ24(例えば、35mmレンズ)を有する。低角度の光環(light ring)26が、ブリスター包装10と画像ピックアップデバイス22との間に配置されている。ブリスター包装10は、既に、そのウェル14中に位置するレンズ12および保存溶液13と、レーストラック18の周りでそれをシールするカバー16とを有している。シールステーション(示さず)は、レーストラック18の位置でカバーに熱および圧力を適用する熱シールステーションを備え、それによってウェル14およびその内容物をシールし得る。消費者に出荷される前に、ブリスター包装は滅菌処理を受けて、使用者の眼に対して安全に適用されるためにレンズが滅菌されていることを確実にする。したがって、このシールプロセスが、ブリスター包装中におけるレンズの滅菌が危うい状態でないようにシールを確実にしなければならないことは、明白である。したがって、本発明の第一の局面において、検査ステーション20は、ブリスター包装のシール領域(レーストラック)18を検査するために提供される。検査がシールにおける問題を示す場合、そのブリスターは廃棄の対象となる。
【0007】
検査ステーションの画像ピックアップデバイス22は、シールされたブリスター10のレーストラック領域18上にROI(目的領域(regions of interest))を投影する手段を備える。図6において28と標識されるROIは、小さな正方形もしくは長方形のボックスを備え、この図においては数個のみが示されているが、レーストラック18の全長の周りに連続したアレイとして延びる。画像ピックアップデバイス22は、ブリスター10およびレーストラック18を画像化し、そして検査用ソフトウェアを有するコンピュータ30に接続する。このコンピュータ30は、画像ピックアップデバイス22によってピックアップされた画像を分析する。本発明とともに使用するための適切な検査用ソフトウェアおよびハードウェアとしては、PPT Vision SystemによるInspection Builder 3.1が挙げられる。
【0008】
ベースラインの読みを得るため、良好と分かっているシールが、直接に入力されるか、または画像ピックアップデバイス22により測定されるかのいずれかによって、コンピュータ30に保存される。画像画素が、そのグレーレベル(コントラスト)について分析され、これによって、受容されるベースライン数値が得られる。検査のためのブリスター包装を受け取った場合、画像ピックアップデバイス22は、ブリスターレーストラック18を画像化し、そしてソフトウェアユーティリティが、ROIを調べて、それらのグレーレベルを決定する。この読みは、コンピュータ上で上記ベースライン数値と比較され、それらが受容可能な偏差の範囲内である場合、このブリスター包装はシール検査を合格する。あるいはグレーレベルが受容可能な偏差の範囲外である場合、ソフトウェアユーティリティは、次に、受容可能な偏差の範囲外の領域のサイズを調べる。この領域が受容できないサイズである場合、このブリスター包装は廃棄の対象となる。あるいは、このサイズが受容可能なパラメータの範囲内であると判断される場合、このブリスター包装はシール検査を合格する。領域サイズが計算されて、コンピュータに既に入力されている受容可能な値と比較される第二の分析工程は、このコンピュータによるグレーレベル分析工程と連続するように統合され得ることに注意すること。この第二の分析はまた、グレーレベル分析が失敗したブリスター包装を決定するのに十分であると決定されるならば、所望される場合、排除され得る。
【0009】
ブリスター包装は、図5に示されるように、検査の間、垂直に向けられ得ることに注意すること。ウェル14の底部は、画像ピックアップデバイスに向けられる。ブリスター包装は半透明であるので、画像ピックアップデバイスは、包装を通してレーストラック18を見ることができる。熱シールプロセスは、カバー16がブリスターレーストラック18に接着されている状態で、レーストラック18において特定のグレーレベルが見えるようにさせる。このグレーレベルは、カバー16のシールされていない領域(すなわち、レーストラック18の内部および外部両方の領域)において現れるグレーレベルに対してコントラストを有する。良好なシールは、レーストラック18の全周に、特定のグレーレベルを有する。したがって、このグレーレベルを測定することによって、システムが、検査を受けている各ブリスターと既知の受容可能なグレーレベルとを比較することが可能になる。受容可能な偏差範囲外のグレーレベルは、拒絶される。例えば、図7は、検査を受けている代表的なブリスター包装10を示す。ここでは、参照数字30で、シールの空隙という形態でシールエラーが示されている。このシール領域における空隙は、ウェル14からの保存溶液の漏れ、およびその中のレンズ12の汚染を引き起こす可能性がある。検査システム20は、受容可能なグレーレベルにおける差異としてこの領域を読み取り、そしてこのブリスター包装を廃棄の対象とする。このシステムは、作業者に対して、失敗した包装の除去をベルを鳴らして警告し得るか、またはこのシステムは、製造ラインからブリスターを引き出すように、自動機器に対して命令するシグナルを送り得る。図8は、カバー16とレーストラック18との間に捕捉された気泡32という形態の、シールエラーの別の型を示す。この型のシールエラーもやはり、シールの一体性を危うくし、その中のレンズ12を汚染する可能性がある。したがって、検査システムは、このブリスターを廃棄の対象とする。上記で考察されるように、第二の分析工程が実行され得、この工程において、受容可能なパラメータ外であると検出されるグレーレベルの領域サイズが計算され、そしてコンピュータに既に入力されている受容可能な領域の値と比較される。
【0010】
本発明の別の局面において、保存溶液13の充填レベル(容量)がまた、検査システム20によって検査され得る。画像ピックアップデバイス22は、充填ラインFL(溶液の充填レベルを示す)におけるコントラストの差異を読み取る。この充填レベルが閾値レベルより下であると検出される場合、ブリスターは、廃棄の対象となる。有益な実施形態において、この容量検査は、シール検査と一緒に行われる。
【0011】
ブリスター包装が、自動的、連続的に検査ステーション20に提示され得、そしてコンベヤ、および/または画像ピックアップデバイス22に対して正しい向きにブリスター包装を提示する固定デバイスによって扱われ得ることに注意すること。
【0012】
本発明は、本明細書中において、特定のブリスター包装デザインに関連して記載されたが、本発明が、他のブリスター包装デザインとともに使用され得ることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、代表的ブリスター包装の透視図であり、部分的に剥離されたカバーを示している。
【図2】図2は、図1の線2−2にほぼ沿ったブリスター包装の断面図である(カバーがブリスター包装に対してシールされていることを除く)。
【図3】図3は、ブリスター包装の底部平面図である。
【図4】図4は、カバーの拡大断面図であり、カバーの個々の層を示している。
【図5】図5は、本発明の検査システム設定の模式図である。
【図6】図6は、ブリスター包装の底部平面図であり、検査を受けているブリスター包装のシール領域の一部において、白色のROIの連続的アレイを示している。
【図7】図7は、検査システムによって検出されたシールエラーの1つの型を示す、図6の図である。
【図8】図8は、考えられるシールエラーのなお別の型を示す、図7の図である。
【図9】図9は、ブリスター包装の底部平面図であり、包装の容量充填レベルの検査を示している。
【図10】図10は、異なる充填レベルを示す、図9の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリスター包装とカバーとの間のシール領域を検査する方法であって、該方法は、以下の工程:
a)画像ピックアップデバイスを提供する工程;
b)該画像ピックアップデバイスの視野範囲に、該ブリスター包装を、それに付着したカバーとともに提示する工程;
c)該シール領域のグレーレベルを画像化して、該シール領域のグレーレベルを決定し、そして該画像化されたグレーレベルを、所定のグレーレベル値と比較する工程;ならびに
d)該画像化されたグレーレベルが該所定のグレーレベル値と実質的に同じである場合に該ブリスター包装検査を合格とするか、または該画像化されたグレーレベルが該所定のグレーレベル値と実質的に同じでない場合に該ブリスター包装検査を不合格とする工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記画像化されたシール領域上に一連のROIを投影する工程をさらに包含し、ここで、該シール領域のグレーレベルの画像化が、各ROIの内部に生じる、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、以下:前記所定のグレーレベル値と同じでない、画像化されたグレーレベルのサイズを計算する工程、および該サイズが所定の受容可能なサイズと実質的に同じであるかもしくは所定の受容可能なサイズより小さい場合に、前記ブリスター包装検査を合格とするか、または該サイズが該所定の受容可能なサイズより大きい場合に、該ブリスター包装検査を不合格とする工程、をさらに包含する、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、以下:前記ブリスター包装内に保持された溶液の充填レベルを画像化する工程、および該画像化された充填レベルを所定の受容可能な充填レベルと比較して、該画像化された充填レベルが該所定の受容される充填レベルと実質的に同じである場合に、該ブリスター包装を合格とするか、または該画像化された充填レベルが該所定の受容可能な充填レベル未満である場合に、該ブリスター包装を不合格とする工程、をさらに包含する、方法。
【請求項5】
前記ブリスター包装が、前記検査の間、垂直方向に向けられている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
シールされたブリスター包装中の溶液の充填レベルを検査する方法であって、該方法は、以下の工程:
a)画像ピックアップデバイスを提供する工程;
b)該画像ピックアップデバイスの視野範囲に、該ブリスター包装を提示する工程;
c)該ブリスター包装内部の溶液の充填レベルを画像化して、該ブリスター包装内部の溶液の充填レベルを決定し、そして該画像化された充填レベルを、所定の充填レベル値と比較する工程;ならびに
d)該画像化された充填レベルが該所定の充填レベル値と実質的に同じである場合に該ブリスター包装検査を合格とするか、または該画像化された充填レベルが該所定の充填レベル値と実質的に同じでない場合に該ブリスター包装検査を不合格とする工程、
を包含する、方法。
【請求項7】
前記ブリスター包装が、前記画像ピックアップデバイスに対して垂直方向に向けられている、請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−530975(P2007−530975A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506236(P2007−506236)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/009510
【国際公開番号】WO2005/100959
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(391008847)ボシュ・アンド・ロム・インコーポレイテッド (137)
【氏名又は名称原語表記】BAUSCH & LOMB INCORPORATED
【Fターム(参考)】