説明

ブルトン型チロシンキナーゼの阻害薬

本出願は、Btkを阻害する、一般式(A)[式中、可変基:Z又はQ、Q、Y、Y、Y及びmは、本明細書に記載されたとおりである]の5−フェニル−1H−ピリジン−2−オン、6−フェニル−2H−ピリダジン−3−オン、及び5−フェニル−1H−ピラジン−2−オン誘導体を開示する。本明細書に開示される化合物は、Btkの活性を調節し、そして過剰なBtk活性を伴う疾患を処置するために有用である。本化合物は更に、慢性関節リウマチのような異常B細胞増殖を伴う炎症性及び自己免疫性疾患を処置するのに有用である。また開示されるのは、式(A)の化合物及び少なくとも1種の担体、希釈剤又は賦形剤を含有する組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブルトン型チロシンキナーゼ(Bruton's Tyrosine Kinase)(Btk)を阻害し、そして異常B細胞活性化に起因する自己免疫性及び炎症性疾患の処置に有用な、新規な誘導体の使用に関する。本明細書に記載される新規な5−フェニル−1H−ピリジン−2−オン、6−フェニル−2H−ピリダジン−3−オン、及び5−フェニル−1H−ピラジン−2−オン誘導体は、関節炎の処置に有用である。
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼは、ヒト酵素の最大のファミリーの1つを構成し、そしてタンパク質にリン酸基を付加することにより、様々なシグナル伝達プロセスを調節する(T. Hunter, Cell 1987 50:823-829)。具体的には、チロシンキナーゼは、チロシン残基のフェノール部分でタンパク質をリン酸化する。このチロシンキナーゼファミリーは、細胞増殖、遊走、及び分化を制御するメンバーを包含する。異常キナーゼ活性は、癌、自己免疫性及び炎症性疾患を包含する種々のヒトの疾患に関係している。プロテインキナーゼは、細胞シグナル伝達の重要なレギュレーターの一員であるため、これらは、低分子キナーゼ阻害薬で細胞機能を調節するための標的を提供し、ひいては良好な薬物設計の標的となる。キナーゼ介在性疾患過程の処置の他に、キナーゼ活性の選択的かつ効果的阻害薬はまた、細胞シグナル伝達プロセスの調査及び治療的に重要な他の細胞内標的の同定にも有用である。
【0003】
自己免疫性及び/又は炎症性疾患の病理発生において、B細胞が重要な役割を演じるという良好な証拠が存在する。RituxanのようなB細胞を枯渇させるタンパク質に基づく治療薬は、慢性関節リウマチのような自己抗体主導の炎症性疾患に対して有効である(Rastetter et al. Annu Rev Med 2004 55:477)。したがってB細胞活性化においてある役割を演じるプロテインキナーゼの阻害薬は、自己抗体産生のようなB細胞介在性疾患の病態のための有用な治療薬であるはずである。
【0004】
B細胞受容体(BCR)を介するシグナル伝達は、増殖及び成熟抗体産生細胞への分化を包含する、様々なB細胞応答を制御する。BCRは、B細胞活性のための重要な調節点であり、異常なシグナル伝達は、無秩序なB細胞増殖及び病原性自己抗体の形成をもたらすことがあり、そしてこれが多数の自己免疫性及び/又は炎症性疾患を招く。ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)は、非BCR関連キナーゼであり、そしてこれは、膜近傍に位置し、BCRの直ぐ下流にある。Btkの欠如は、BCRシグナル伝達を遮断することが証明されており、よってBtkの阻害は、B細胞介在性疾患過程を遮断するための有用な治療的アプローチになりえよう。
【0005】
Btkは、チロシンキナーゼのTecファミリーの一員であり、初期B細胞発生並びに成熟B細胞活性化及び生存の決定的に重要なレギュレーターであることが証明されている(Khan et al. Immunity 1995 3:283; Ellmeier et al. J. Exp. Med. 2000 192:1611)。ヒトにおけるBtkの突然変異は、X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)をもたらす(Rosen et al. New Eng. J. Med. 1995 333:431及びLindvall et al. Immunol. Rev. 2005 203:200に総説される)。これらの患者は、免疫不全であり、そしてB細胞の成熟障害、イムノグロブリン及び末梢B細胞レベルの低下、T細胞非依存性免疫応答の減少、更にはBCR刺激後のカルシウム動員の減衰を示す。
【0006】
自己免疫性及び炎症性疾患におけるBtkの役割に関する証拠はまた、Btk欠損マウスモデルにより提供されている。全身性エリテマトーデス(SLE)の前臨床ネズミモデルにおいて、Btk欠損マウスは、疾患の進行の著しい改善を示す。更に、Btk欠損マウスは、コラーゲン誘導関節炎に対して抵抗性である(Jansson and Holmdahl Clin. Exp. Immunol. 1993 94:459)。選択的Btk阻害薬は、マウス関節炎モデルにおいて用量依存的効果が証明されている(Z. Pan et al., Chem. Med Chem. 2007 2:58-61)。
【0007】
Btkはまた、疾患の過程に関与しうるB細胞以外の細胞によっても発現される。例えば、Btkは、肥満細胞により発現され、そしてBtk欠損骨髄由来肥満細胞は、抗原誘導脱顆粒障害を示している(Iwaki et al. J. Biol. Chem. 2005 280:40261)。このことは、Btkが、アレルギーや喘息のような病的肥満細胞応答を処置するのに有用であろうことを示している。また、Btk活性が無いXLA患者からの単球は、刺激後のTNFα産生低下を示す(Horwood et al. J Exp Med 197:1603, 2003)。したがってTNFα介在性炎症は、低分子Btk阻害薬により調節できるかもしれない。また、Btkは、アポトーシスにおいてある役割を演じることが報告されており(Islam and Smith Immunol. Rev. 2000 178:49)、ひいてはBtk阻害薬は、ある種のB細胞リンパ腫及び白血病の処置に有用であろう(Feldhahn et al. J. Exp. Med. 2005 201:1837)。
【0008】
本出願は、式(A):
【0009】
【化1】


[式中、
は、下記式:
【0010】
【化2】


よりなる群から選択され;
は、NH又はOであり;
は、N又はC(Y)であり;
Rは、H、−R、−R−R−R、−R−R、又は−R−Rであり;
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルであって、そして場合により1個以上の低級アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、アミド、シアノ、オキソ、又はハロ−低級アルキルで置換されており;
は、−C(=O)、−C(=O)O、−C(=O)NR2’、−NHC(=O)O、−C(=NH)NR2’、又は−S(=O)であり;
2’は、H又は低級アルキルであり;
は、H又はRであり;
は、低級アルキル、アミノ、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルアルキルであって、そして場合により1個以上の低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ヒドロキシ低級アルキル、ヒドロキシ低級アルコキシ、低級アルキルスルホニル、低級アルキルスルホンアミド、カルバマート、カルボキシ、エステル、アミド、アシル、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、オキソ、又はハロ−低級アルキルで置換されており;
Xは、CH又はNであり;
は、H、低級アルキル、又は低級ハロアルキルであり;
は、Y2a又はY2bであり;
2aは、H又はハロゲンであり;
2bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により1個以上のY2b’で置換されている)であり;
2b’は、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
各Y2’は、独立にY2’a又はY2’bであり;
2’aは、ハロゲン又はヒドロキシであり;
2’bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により1個以上のY2’b’で置換されている)であり;
2’b’は、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
pは、0、1又は2であり;
は、Y3a又はY3bであり;
3aは、ハロゲン又はヒドロキシであり;
3bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、及びハロゲンよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
mは、0又は1であり;
は、Y4a、Y4b、Y4c、又はY4dであり;
4aは、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
4bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、及び低級アルコキシよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
4cは、低級シクロアルキル(場合により、低級アルキル、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、及び低級アルコキシよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
4dは、アミノ(場合により1個以上の低級アルキル、アルコキシ低級アルキル、又はヒドロキシ低級アルキルで置換されている)であり;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、又は低級ハロアルキルであり;そして
は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、低級チオアルキル、アミノ、又は低級ヒドロキシアルキルである]で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩を提供する。
【0011】
本出願は、式(I):
【0012】
【化3】


[式中、
は、NH又はOであり;
は、N又はC(Y)であり;
Rは、H、−R、−R−R−R、−R−R、又は−R−Rであり;
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルであって、そして場合により1個以上の低級アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、アミド、シアノ、オキソ、又はハロ−低級アルキルで置換されており;
は、−C(=O)、−C(=O)O、−C(=O)NR2’、−NHC(=O)O、−C(=NH)NR2’、又は−S(=O)であり;R2’は、H又は低級アルキルであり;
は、H又はRであり;Rは、低級アルキル、アミノ、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルアルキルであって、そして場合により1個以上の低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ヒドロキシ低級アルキル、ヒドロキシ低級アルコキシ、低級アルキルスルホニル、低級アルキルスルホンアミド、カルバマート、カルボキシ、エステル、アミド、アシル、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、オキソ、又はハロ−低級アルキルで置換されており;
Xは、CH又はNであり;
は、H、低級アルキル、又は低級ハロアルキルであり;
は、Y2a又はY2bであり;
2aは、H又はハロゲンであり;
2bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により1個以上のY2b’で置換されている)であり;
2b’は、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
各Y2’は、独立にY2’a又はY2’bであり;
2’aは、ハロゲン又はヒドロキシであり;
2’bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により1個以上のY2’b’で置換されている)であり;
2’b’は、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
pは、0、1又は2であり;
は、Y3a又はY3bであり;
3aは、ハロゲン又はヒドロキシであり;
3bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、及びハロゲンよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
mは、0又は1であり;
は、Y4a、Y4b、Y4c、又はY4dであり;
4aは、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
4bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、及び低級アルコキシよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
4cは、低級シクロアルキル(場合により、低級アルキル、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、及び低級アルコキシよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
4dは、アミノ(場合により1個以上の低級アルキル、アルコキシ低級アルキル、又はヒドロキシ低級アルキルで置換されている)であり;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、又は低級ハロアルキルであり;そして
は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、低級チオアルキル、アミノ、又は低級ヒドロキシアルキルである]で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩を提供する。
【0013】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはメチルである。
【0014】
式(I)の化合物の1つの変形において、mは0である。
【0015】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはメチルであり、そしてmは0である。
【0016】
式(I)の化合物の1つの変形において、pは0である。
【0017】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはメチルであり、そしてpは0である。
【0018】
式(I)の化合物の1つの変形において、mは0であり、そしてpは0である。
【0019】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはメチルであり、mは0であり、そしてpは0である。
【0020】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルである。
【0021】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yはメチルであり、mは0であり、そしてpは0である。
【0022】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルである。
【0023】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、そしてYは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルである。
【0024】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、そしてpは0である。
【0025】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、そしてpは0である。
【0026】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;そしてRは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)である。
【0027】
式(I)の化合物の1つの変形において、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;そしてRは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)である。
【0028】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)である。
【0029】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、そしてpは0である。
【0030】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、そしてXはCHである。
【0031】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、XはCHであり、そしてQはNHである。
【0032】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、XはCHであり、そしてQはOである。
【0033】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、そしてXはNである。
【0034】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、XはNであり、そしてQはNHである。
【0035】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、XはNであり、そしてQはOである。
【0036】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはフッ素である。
【0037】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、そしてYはフッ素である。
【0038】
式(I)の化合物の1つの変形において、XはCHである。
【0039】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、そしてYはフッ素である。
【0040】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、Yはフッ素であり、そしてXはCHである。
【0041】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、Yはフッ素であり、XはCHであり、そしてQはNHである。
【0042】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、Yはフッ素であり、XはCHであり、そしてQはOである。
【0043】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、そしてXはCHである。
【0044】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、XはCHであり、そしてQはNHである。
【0045】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、XはCHであり、そしてQはOである。
【0046】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、Yはフッ素であり、そしてXはNである。
【0047】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、Yはフッ素であり、XはNであり、そしてQはNHである。
【0048】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、Yはフッ素であり、XはNであり、そしてQはOである。
【0049】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、そしてXはNである。
【0050】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、XはNであり、そしてQはNHである。
【0051】
式(I)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、XはNであり、そしてQはOである。
【0052】
式(I)の化合物の1つの変形において、XはCHであり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、そしてpは0である。
【0053】
式(I)の化合物の1つの変形において、XはCHであり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、そしてYはフッ素である。
【0054】
式(I)の化合物の1つの変形において、QはNHである。
【0055】
式(I)の化合物の1つの変形において、QはNHであり、XはCHであり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、そしてpは0である。
【0056】
式(I)の化合物の1つの変形において、QはNHであり、XはCHであり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、そしてYはフッ素である。
【0057】
式(I)の化合物の1つの変形において、QはOである。
【0058】
式(I)の化合物の1つの変形において、QはOであり、XはCHであり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、そしてpは0である。
【0059】
式(I)の化合物の1つの変形において、QはOであり、XはCHであり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、そしてYはフッ素である。
【0060】
式(I)の化合物の1つの変形において、XはNである。
【0061】
式(I)の化合物の1つの変形において、XはNであり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、そしてpは0である。
【0062】
式(I)の化合物の1つの変形において、XはNであり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、そしてYはフッ素である。
【0063】
式(I)の化合物の1つの変形において、QはNHである。
【0064】
式(I)の化合物の1つの変形において、QはNHであり、XはNであり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、そしてpは0である。
【0065】
式(I)の化合物の1つの変形において、QはNHであり、XはNであり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、そしてYはフッ素である。
【0066】
式(I)の化合物の1つの変形において、QはOである。
【0067】
式(I)の化合物の1つの変形において、QはOであり、QはCHであり、XはNであり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、そしてpは0である。
【0068】
式(I)の化合物の1つの変形において、QはOであり、QはCHであり、XはNであり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Yはメチルであり、mは0であり、pは0であり、そしてYはフッ素である。
【0069】
式(I)の化合物の1つの変形において、RはRであり、そしてRはピペラジンである。
【0070】
式(I)の化合物の1つの変形において、RはRであり、そしてRはピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)である。
【0071】
式(I)の化合物の1つの変形において、Rは−R−Rであり、Rはピリジルであり、RはRであり、そしてRはピペラジンである。
【0072】
式(I)の化合物の1つの変形において、Rは−R−Rであり、Rはピリジルであり、RはRであり、そしてRはピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)である。
【0073】
本出願は、式(II):
【0074】
【化4】


[式中、
は、NH又はOであり;
は、N又はC(Y)であり;
Rは、H、−R、−R−R−R、−R−R、又は−R−Rであり;
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルであって、そして場合により1個以上の低級アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、アミド、シアノ、オキソ、又はハロ−低級アルキルで置換されており;
は、−C(=O)、−C(=O)O、−C(=O)NR2’、−NHC(=O)O、−C(=NH)NR2’、又は−S(=O)であり;
2’は、H又は低級アルキルであり;
は、H又はRであり;
は、低級アルキル、アミノ、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルアルキルであって、そして場合により1個以上の低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ヒドロキシ低級アルキル、ヒドロキシ低級アルコキシ、低級アルキルスルホニル、低級アルキルスルホンアミド、カルバマート、カルボキシ、エステル、アミド、アシル、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、オキソ、又はハロ−低級アルキルで置換されており;
は、H、低級アルキル、又は低級ハロアルキルであり;
は、Y2a又はY2bであり;
2aは、H又はハロゲンであり;
2bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により1個以上のY2b’で置換されている)であり;
2b’は、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
各Y2’は、独立にY2’a又はY2’bであり;
2’aは、ハロゲン又はヒドロキシであり;
2’bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により1個以上のY2’b’で置換されている)であり;
2’b’は、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
pは、0、1又は2であり;
は、Y3a又はY3bであり;
3aは、ハロゲン又はヒドロキシであり;
3bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、及びハロゲンよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
mは、0又は1であり;
は、Y4a、Y4b、Y4c、又はY4dであり;
4aは、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
4bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、及び低級アルコキシよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
4cは、低級シクロアルキル(場合により、低級アルキル、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、及び低級アルコキシよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
4dは、アミノ(場合により1個以上の低級アルキル、アルコキシ低級アルキル、又はヒドロキシ低級アルキルで置換されている)であり;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、又は低級ハロアルキルであり;そして
は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、低級チオアルキル、アミノ、又は低級ヒドロキシアルキルである]で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩を提供する。
【0075】
式(II)の化合物の1つの変形において、Yはメチルである。
【0076】
式(II)の化合物の1つの変形において、mは0である。
【0077】
式(II)の化合物の1つの変形において、Yはメチルであり、そしてmは0である。
【0078】
式(II)の化合物の1つの変形において、pは0である。
【0079】
式(II)の化合物の1つの変形において、Yはメチルであり、そしてpは0である。
【0080】
式(II)の化合物の1つの変形において、mは0であり、Yはメチルであり、そしてpは0である。
【0081】
式(II)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルである。
【0082】
式(II)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、mは0であり、Yはメチルであり、そしてpは0である。
【0083】
式(II)の化合物の1つの変形において、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルである。
【0084】
式(II)の化合物の1つの変形において、Yはヒドロキシメチルであり、そしてYは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルである。
【0085】
式(II)の化合物の1つの変形において、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、そしてYは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルである。
【0086】
式(II)の化合物の1つの変形において、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;そしてRは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)である。
【0087】
式(II)の化合物の1つの変形において、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;そしてRは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)である。
【0088】
式(II)の化合物の1つの変形において、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、そしてYはフッ素である。
【0089】
式(II)の化合物の1つの変形において、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、そしてQはNHである。
【0090】
式(II)の化合物の1つの変形において、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、そしてQはOである。
【0091】
式(II)の化合物の1つの変形において、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、そしてYは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルである。
【0092】
式(II)の化合物の1つの変形において、Yはフッ素である。
【0093】
式(II)の化合物の1つの変形において、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、そしてYはフッ素である。
【0094】
式(II)の化合物の1つの変形において、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、そしてYは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルである。
【0095】
式(II)の化合物の1つの変形において、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、そしてYはフッ素である。
【0096】
式(II)の化合物の1つの変形において、QはNHである。
【0097】
式(II)の化合物の1つの変形において、QはNHであり、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、そしてYは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルである。
【0098】
式(II)の化合物の1つの変形において、QはNHであり、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、そしてYはフッ素である。
【0099】
式(II)の化合物の1つの変形において、QはOである。
【0100】
式(II)の化合物の1つの変形において、QはOであり、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、そしてYは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルである。
【0101】
式(II)の化合物の1つの変形において、QはOであり、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、そしてYはフッ素である。
【0102】
式(II)の化合物の1つの変形において、nは0であり、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、そしてYは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルである。
【0103】
式(II)の化合物の1つの変形において、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、そしてYはフッ素である。
【0104】
式(II)の化合物の1つの変形において、QはNHであり、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、そしてYは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルである。
【0105】
式(II)の化合物の1つの変形において、QはNHであり、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、そしてYはフッ素である。
【0106】
式(II)の化合物の1つの変形において、QはOであり、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、そしてYは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルである。
【0107】
式(II)の化合物の1つの変形において、QはOであり、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、そしてYはフッ素である。
【0108】
式(II)の化合物の1つの変形において、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、Yはフッ素であり、そしてQはNHである。
【0109】
式(II)の化合物の1つの変形において、mは0であり、Yはメチルであり、pは0であり、Yはヒドロキシメチルであり、Yは、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルであり、Rは−R−R−Rであり;Rは、フェニル又はピリジルであり;Rは−C(=O)であり;RはRであり;Rは、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)であり、Yはフッ素であり、そしてQはOである。
【0110】
式(II)の化合物の1つの変形において、RはRであり、そしてRはピペラジンである。
【0111】
式(II)の化合物の1つの変形において、RはRであり、そしてRはピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)である。
【0112】
式(II)の化合物の1つの変形において、Rは−R−Rであり、Rはピリジルであり、RはRであり、そしてRはピペラジンである。
【0113】
式(II)の化合物の1つの変形において、Rは−R−Rであり、Rはピリジルであり、RはRであり、そしてRはピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)である。
【0114】
本出願は、下記:
8−tert−ブチル−4−(2−ヒドロキシメチル−3−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−フェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピン−5−オン;
8−tert−ブチル−4−(2−ヒドロキシメチル−3−{1−メチル−5−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−フェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピン−5−オン;
8−tert−ブチル−4−(3−{5−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミノ]−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−2−ヒドロキシメチル−フェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピン−5−オン;
8−tert−ブチル−7−クロロ−4−(2−ヒドロキシメチル−3−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−フェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピン−5−オン;
8−tert−ブチル−7−クロロ−4−(2−ヒドロキシメチル−3−{1−メチル−5−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−フェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピン−5−オン;
8−tert−ブチル−7−フルオロ−4−(2−ヒドロキシメチル−3−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−フェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピン−5−オン;
8−シクロプロピル−4−(2−ヒドロキシメチル−3−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−フェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−オン;
8−シクロプロピル−4−{2−ヒドロキシメチル−3−[1−メチル−5−(5−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル]−フェニル}−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−オン;
8−tert−ブチル−4−(2−ヒドロキシメチル−3−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−フェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−オン;及び
8−tert−ブチル−4−(2−ヒドロキシメチル−3−{1−メチル−5−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−フェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−オン
よりなる群から選択される化合物を提供する。
【0115】
本出願は、炎症性及び/又は自己免疫性症状を処置する方法であって、これを必要とする患者に治療有効量の上記式又はその変形のいずれか1つのBtk阻害化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0116】
本出願は、関節炎を処置する方法であって、これを必要とする患者に治療有効量の上記式又はその変形のいずれか1つのBtk阻害化合物を投与することを含む方法を提供する。本出願は更に、関節炎が関節リウマチである、関節炎を処置する方法を提供する。
【0117】
本出願は、B細胞増殖を阻害する方法であって、これを必要とする患者に治療有効量の上記式又はその変形のいずれか1つのBtk阻害化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0118】
本出願は、Btk活性を阻害する方法であって、上記式又はその変形のいずれか1つのBtk阻害化合物(ここで、このBtk阻害化合物は、Btk活性のインビトロ生化学アッセイにおいて50マイクロモル以下のIC50を示す)を投与することを含む方法を提供する。
【0119】
上記方法の1つの変形において、Btk阻害化合物は、Btk活性のインビトロ生化学アッセイにおいて100ナノモル以下のIC50を示す。
【0120】
上記方法の1つの変形において、Btk阻害化合物は、Btk活性のインビトロ生化学アッセイにおいて10ナノモル以下のIC50を示す。
【0121】
本出願は、炎症性症状を処置する方法であって、これを必要とする患者に、上記式又はその変形のいずれか1つのBtk阻害化合物と併用して治療有効量の抗炎症化合物を同時投与することを含む方法を提供する。
【0122】
本出願は、関節炎を処置する方法であって、これを必要とする患者に、上記式又はその変形のいずれか1つのBtk阻害化合物と併用して治療有効量の抗炎症化合物を同時投与することを含む方法を提供する。本出願は更に、関節炎が関節リウマチである、関節炎を処置する方法を提供する。
【0123】
本出願は、リンパ腫又はBCR−ABL1白血病細胞を処置する方法であって、これを必要とする患者に治療有効量の上記又はその変形のいずれか1つのBtk阻害化合物を投与することによる方法を提供する。
【0124】
本出願は、少なくとも1種の薬学的に許容しうる担体、賦形剤又は希釈剤と混合した、上記式又はその変形のいずれか1つのBtk阻害化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0125】
本出願は、喘息を処置する方法であって、これを必要とする患者に治療有効量の上記式のいずれか1つのBtk阻害化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0126】
本出願は、ループスを処置する方法であって、これを必要とする患者に治療有効量の上記式のいずれか1つのBtk阻害化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0127】
本出願は、一般式(A)又は一般式(I)〜(II)[ここで、可変基:Z又はQ、Q、R、X、Y、Y、Y2’、Y、Y、Y、m、及びpは、本明細書に上記と同義である]の化合物を提供する。
【0128】
本発明の1つの実施態様において、式(I-1)〜(I-10)の例示Btk阻害化合物を含む、一般式(I)の化合物が提供される。
【0129】
本出願は、Btkを阻害する、式(A)又は一般式(I)〜(II):
【0130】
【化5】


[式中、可変基:Z又はQ、Q、R、X、Y、Y、Y2’、Y、Y、Y、m、及びpは、本明細書に上記と同義である]で示される、5−フェニル−1H−ピリジン−2−オン、6−フェニル−2H−ピリダジン−3−オン、及び5−フェニル−1H−ピラジン−2−オン誘導体を開示する。
【0131】
「本明細書に上記と同義の」という句は、本明細書又は最も広い請求の範囲に提供される、各基について最も広い定義のことをいう。提供される全ての他の態様、変形及び実施態様において、各実施態様において存在することができ、そして明示的に定義されていない置換基は、本明細書に提供される最も広い定義を留保する。
【0132】
一般式(A)又は一般式(I)〜(II)の化合物は、ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)を阻害する。上流キナーゼによるBtkの活性化は、ホスホリパーゼ−Cγの活性化をもたらし、次にこれが、炎症促進性メディエーターの放出を刺激する。5−フェニル−1H−ピリジン−2−オン、6−フェニル−2H−ピリダジン−3−オン、及び5−フェニル−1H−ピラジン−2−オン環系上に、1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−オン、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピン−5−オン、1,2,3,4−テトラヒドロ−ピリド[2,3−e][1,4]ジアゼピン−5−オン、又は7,8−ジヒドロ−6H−9−オキサ−1,6−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−5−オンの側鎖を組み込んだ一般式(A)若しくは一般式(I)〜(II)の化合物、又はその誘導体は、他の側鎖を持つ類似体に比較して、予想外に強化された阻害活性を示す。式(A)又は式(I)〜(II)の化合物は、関節炎並びに他の炎症性及び自己免疫性疾患の処置に有用である。よって式(A)又は式(I)〜(II)の化合物は、関節炎の処置に有用である。式(A)又は式(I)〜(II)の化合物は細胞内のBtkを阻害するのに、及びB細胞発生を調節するのに有用である。本発明は更に、薬学的に許容しうる担体、賦形剤又は希釈剤と混合した、式(A)又は式(I)〜(II)の化合物を含有する医薬組成物を含む。
【0133】
「a」又は「an」実体という句は、本明細書において使用されるとき、1つ以上のその実体のことをいう;例えば、a compoundは、1種以上の化合物又は少なくとも1種の化合物のことをいう。そのため、「a」(又は「an」)、「1つ(1種)以上(one or more)」、及び「少なくとも1つ(1種)」という用語は、本明細書において互換的に使用することができる。
【0134】
「本明細書に上記と同義の」という句は、本明細書又は最も広い請求の範囲に提供される、各基について最も広い定義のことをいう。後述の全ての他の実施態様において、各実施態様において存在することができ、そして明示的に定義されていない置換基は、本明細書に提供される最も広い定義を留保する。
【0135】
本明細書において使用されるとき、請求項の移行句中であろうと本文中であろうと、「含む(comprise(s))」及び「含んでいる(comprising)」という用語は、制限のない意味を有するものと解釈すべきである。即ち、この用語は、「少なくとも有する」又は「少なくとも包含する」という句と同義語として解釈すべきである。方法の文脈において使用されるとき、「含んでいる」という用語は、その方法が、少なくとも記述された工程を包含するが、追加の工程を包含してもよいことを意味する。化合物又は組成物の文脈において使用されるとき、「含んでいる」という用語は、その化合物又は組成物が、少なくとも記述された特徴又は成分を包含するが、また追加の特徴又は成分も包含してもよいことを意味する。
【0136】
本明細書において使用されるとき、特に具体的に断りない限り、「又は(or)」という単語は、「及び/又は」の「包含的」な意味で使用されるのであり、「いずれか/又は(either/or)」の「排他的」な意味で使用されるのではない。
【0137】
「独立に」という用語は、本明細書において、ある可変基が、同じ化合物内のそれと同じか又は異なる定義を有する可変基が存在するかしないかに関係なく、任意の1つの場合に当てはまることを示すために使用される。即ち、R”が2回出現し、そして「独立に炭素又は窒素」として定義される化合物では、両方のR”が炭素であっても、両方のR”が窒素であっても、又は一方のR”が炭素で、もう一方が窒素であってもよい。
【0138】
任意の可変基が、本発明において利用又は特許請求される化合物を描写及び記述する任意の部分又は式中に2回以上現れるとき、出現毎のその定義は、他のあらゆる出現でのその定義とは独立している。また、置換基及び/又は可変基の組合せは、そのような化合物が安定な化合物となる場合に限り許容される。
【0139】
結合の末端の「」又は結合を通過して描かれる「-----」という記号は、それぞれ官能基又は他の化学部分の、それが一部となっている分子の残部への結合点を意味する。即ち、例えば、下記式:
【0140】
【化6】

【0141】
(区別できる頂点で結ばれるのとは対照的に)環系の中へと描かれる結合は、この結合が、任意の適切な環原子に結合してよいことを示す。
【0142】
「場合による」又は「場合により」という用語は、本明細書において使用されるとき、続いて記述される事象又は状況が、起こってもよいが起こる必要はないこと、及びその記述が、その事象又は状況が起こる場合と起こらない場合とを包含することを意味する。例えば、「場合により置換されている」とは、その場合により置換されている部分は、水素でも置換基でも組み込んでいてよいことを意味する。
【0143】
「場合による結合」という句は、その結合が存在してもしなくともよいことを意味し、そしてこの記述は、単結合、二重結合、又は三重結合を包含する。ある置換基が、「結合」又は「非存在」を規定されているならば、この置換基に繋がっている原子は、直接結合されている。
【0144】
「約(about)」という用語は、本明細書において、およそ(approximately)、ほぼ(in the region of)、大体(roughly)、又は前後(around)を意味するのに使用される。「約」という用語が、数値範囲と併せて使用されるとき、これは、記載された数値の上下に境界を拡大することにより、その範囲に修正を加えている。一般に、「約」という用語は、本明細書において、表示値の上下20%の変動で数値に修正を加えるために使用される。
【0145】
式(A)又は式(I)〜(II)の若干の化合物は、互変異性を示すかもしれない。互変異性化合物は、2つ以上の相互転換可能な種として存在することができる。プロトトロピック互変異性体は、2つの原子間の共有結合した水素原子の移動に由来する。互変異性体は、一般に平衡状態で存在し、個々の互変異性体を単離しようという試みは、通常、その化学的性質及び物性が化合物の混合物と一致する混合物の生成に終わる。平衡の位置は、分子内の化学特性に依存する。例えば、アセトアルデヒドのような多くの脂肪族アルデヒド及びケトンでは、ケト型が優位を占めるが、一方フェノール類では、エノール型が優位を占める。普通のプロトトロピック互変異性体は、
【数1】


を包含する。後の2つは、ヘテロアリール及び複素環において特に一般的であり、そして本発明は、本化合物の全ての互変異性型を包含する。
【0146】
本明細書において使用される技術及び科学用語は、特に定義されない限り、本発明が関係する分野の当業者により通常理解されている意味を有する。本明細書では、当業者には知られている種々の方法及び材料について述べる。薬理学の一般原理を説明する標準的な参考文献は、Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th Ed., McGraw Hill Companies Inc., New York (2001)を包含する。当業者に知られている任意の適切な材料及び/又は方法を、本発明を実施する際に利用することができる。しかし、好ましい材料及び方法は記載される。以下の説明及び実施例において述べられる材料、試薬などは、特に断りない限り、市販のものを入手できる。
【0147】
本明細書に記載された定義は、「ヘテロアルキルアリール」、「ハロアルキルヘテロアリール」、「アリールアルキルヘテロシクリル」、「アルキルカルボニル」、「アルコキシアルキル」などのような、化学的に関連する組合せを形成するために付加してもよい。「アルキル」という用語が、「フェニルアルキル」又は「ヒドロキシアルキル」中のように、別の用語に続く接尾辞として使用されるとき、これは、他の具体的に命名される基から選択される1〜2個の置換基で置換されている、上記と同義のアルキル基のことをいうものである。即ち、例えば、「フェニルアルキル」とは、1〜2個のフェニル置換基を有するアルキル基のことをいい、よってベンジル、フェニルエチル、及びビフェニルを包含する。「アルキルアミノアルキル」は、1〜2個のアルキルアミノ置換基を有するアルキル基である。「ヒドロキシアルキル」は、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルなどを包含する。したがって、本明細書において使用されるとき、「ヒドロキシアルキル」という用語は、下に定義されるヘテロアルキル基のサブセットを定義するために使用される。−(ar)アルキルという用語は、非置換アルキル又はアラルキル基のいずれかのことをいう。(ヘテロ)アリール又は(het)アリールという用語は、アリール又はヘテロアリール基のいずれかのことをいう。
【0148】
「アシル」という用語は、本明細書において使用されるとき、式:−C(=O)R(式中、Rは、水素又は本明細書中と同義の低級アルキルである)の基を意味する。「アルキルカルボニル」という用語は、本明細書において使用されるとき、式:−C(=O)R(式中、Rは、本明細書中と同義のアルキルである)の基を意味する。C1−6アシルという用語は、Rが1〜6個の炭素原子を含有する−C(=O)R基のことをいう。「アリールカルボニル」という用語は、本明細書において使用されるとき、式:−C(=O)R(式中、Rは、アリール基である)の基を意味し;「ベンゾイル」という用語は、本明細書において使用されるとき、Rがフェニルである「アリールカルボニル」基である。
【0149】
「アルキル」という用語は、本明細書において使用されるとき、1〜10個の炭素原子を含有する、非分岐又は分岐鎖の飽和の一価炭化水素残基を意味する。「低級アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐鎖の炭化水素残基を意味する。「C1−10アルキル」は、本明細書において使用されるとき、1〜10個の炭素原子からなるアルキルのことをいう。アルキル基又は低級アルキル基の例は、特に限定されないが、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル又はペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びオクチルを包含する。
【0150】
「アルキル」という用語が、「フェニルアルキル」、又は「ヒドロキシアルキル」中のように、別の用語に続く接尾辞として使用されるとき、これは、他の具体的に命名される基から選択される1〜2個の置換基で置換されている、上記と同義のアルキル基のことをいうものである。即ち、例えば、「フェニルアルキル」は、このフェニルアルキル部分の結合点は、このアルキレンラジカル上にあるという了解のもとで、R’R”−ラジカル(ここで、R’は、フェニルラジカルであり、そしてR”は、本明細書中と同義のアルキレンラジカルである)を意味する。アリールアルキルラジカルの例は、特に限定されないが、ベンジル、フェニルエチル、3−フェニルプロピルを包含する。「アリールアルキル」又は「アラルキル」という用語は、R’がアリールラジカルであることを除いて同様に解釈される。「(het)アリールアルキル」又は「(het)アラルキル」という用語は、R’が、場合によりアリール又はヘテロアリールラジカルであることを除いて同様に解釈される。
【0151】
「ハロアルキル」又は「ハロ−低級アルキル」又は「低級ハロアルキル」という用語は、1個以上の炭素原子が、1個以上のハロゲン原子で置換されている、1〜6個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐鎖炭化水素残基のことをいう。
【0152】
「アルキレン」又は「アルキレニル」という用語は、本明細書において使用されるとき、特に断りない限り、1〜10個の炭素原子の二価飽和直鎖炭化水素ラジカル(例えば、(CH)、又は2〜10個の炭素原子の分岐飽和二価炭化水素ラジカル(例えば、−CHMe−又は−CHCH(i−Pr)CH−)を意味する。メチレンの場合を除いて、アルキレン基の開放原子価は、同じ原子に結合していない。アルキレンラジカルの例は、特に限定されないが、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチル−プロピレン、1,1−ジメチル−エチレン、ブチレン、2−エチルブチレンを包含する。
【0153】
「アルコキシ」という用語は、本明細書において使用されるとき、−O−アルキル基(ここで、アルキルは、上記と同義である)を意味する。「低級アルコキシ」は、本明細書において使用されるとき、前記と同義の「低級アルキル」基を持つアルコキシ基を意味する。「C10アルコキシ」は、本明細書において使用されるとき、アルキルがC10である、−O−アルキルのことをいう。アルコキシ基又は低級アルコキシ基の例は、特に限定されないが、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ(これらの異性体を包含する)を包含する。
【0154】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、本明細書において使用されるとき、異なる炭素原子上の1〜3個の水素原子が、ヒドロキシル基により置換されている、本明細書中と同義のアルキルラジカルを意味する。
【0155】
「アルキルスルホニル」及び「アリールスルホニル」という用語は、本明細書において使用されるとき、式:−S(=O)R(式中、Rは、それぞれアルキル又はアリールであり、そしてアルキル及びアリールは、本明細書中と同義である)の基のことをいう。「ヘテロアルキルスルホニル」という用語は、本明細書において使用されるとき、式:−S(=O)R(式中、Rは、本明細書中と同義の「ヘテロアルキル」である)の基を意味する。
【0156】
「アルキルスルホニルアミノ」及び「アリールスルホニルアミノ」という用語は、本明細書において使用されるとき、式:−NR’S(=O)R(式中、Rは、それぞれアルキル又はアリールであり、R’は、水素又はC1−3アルキルであり、そしてアルキル及びアリールは、本明細書中と同義である)の基のことをいう。
【0157】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書において使用されるとき、3〜8個の炭素原子を含有する飽和炭素環、即ち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルのことをいう。「C3−7シクロアルキル」とは、本明細書において使用されるとき、炭素環内の3〜7個の炭素からなるシクロアルキルのことをいう。
【0158】
カルボキシ−アルキルという用語は、本明細書において使用されるとき、ただし、このアルキルラジカルの結合点は、炭素原子を介するという了解のもとで、1個の水素原子がカルボキシルで置換されている、アルキル部分のことをいう。「カルボキシ」又は「カルボキシル」という用語は、−COH残基のことをいう。
【0159】
「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」という用語は、本明細書において使用されるとき、このヘテロアリールラジカルの結合点は、芳香環上にあるという了解のもとで、環あたり4〜8個の原子を含有し、1個以上のN、O又はSヘテロ原子を組み込み、残りの環原子が炭素である、少なくとも1個の芳香環を有する、5〜12個の環原子の単環式又は二環式ラジカルを意味する。当業者には周知のとおり、ヘテロアリール環は、その全炭素の対応物よりも芳香族性が小さい。よって本発明の目的には、ヘテロアリール基は、ある程度の芳香族性しか必要としない。ヘテロアリール部分の例は、5〜6個の環原子及び1〜3個のヘテロ原子を有する単環式芳香族複素環を包含し、そして特に限定されないが、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾリン、チアジアゾール及びオキサジアゾリン(これらは、場合により、ヒドロキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ、チオ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、低級ハロアルキル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、及びジアルキルアミノアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル及びカルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アルキルカルボニルアミノ及びアリールカルボニルアミノから選択される1個以上、好ましくは1個又は2個の置換基で置換されていてもよい)を包含する。二環式部分の例は、特に限定されないが、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール及びベンゾイソチアゾールを包含する。二環式部分は、場合によりいずれかの環上で置換されていてもよい;しかし結合点は、ヘテロ原子を含有する環上である。
【0160】
「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルキル」又は「複素環」という用語は、本明細書において使用されるとき、1個以上の環ヘテロ原子(N、O又はS(O)0−2から選択される)を組み込んだ、環あたり3〜8個の原子の、スピロ環系を包含する、1個以上の環、好ましくは1〜2個の環よりなる、一価飽和環状ラジカルを意味するが、そしてこれは、場合により、特に断りない限り、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、低級ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノから選択される1個以上、好ましくは1個又は2個の置換基で独立に置換されていてもよい。複素環ラジカルの例は、特に限定されないが、アゼチジニル、ピロリジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、キヌクリジニル及びイミダゾリニルを包含する。
【0161】
共通に使用される略語は、以下を包含する:アセチル(Ac)、アゾ−ビス−イソブチリルニトリル(AIBN)、大気圧(Atm)、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN又はBBN)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ピロ炭酸ジ−tert−ブチル又はboc無水物(BOCO)、ベンジル(Bn)、ブチル(Bu)、ケミカルアブストラクト登録番号(CASRN)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ又はZ)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)、ジベンジリデンアセトン(dba)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,2−ジクロロエタン(DCE)、ジクロロメタン(DCM)、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジ−イソ−プロピル(DIAD)、水素化ジ−イソ−ブチルアルミニウム(DIBAL又はDIBAL−H)、ジ−イソ−プロピルエチルアミン(DIPEA)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、エチル(Et)、酢酸エチル(EtOAc)、エタノール(EtOH)、2−エトキシ−2H−キノリン−1−カルボン酸エチルエステル(EEDQ)、ジエチルエーテル(EtO)、ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム(HATU)、酢酸(HOAc)、1−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、イソ−プロパノール(IPA)、リチウムヘキサメチルジシラザン(LiHMDS)、メタノール(MeOH)、融点(mp)、MeSO−(メシル又はMs)、メチル(Me)、アセトニトリル(MeCN)、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、質量スペクトル(ms)、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、N−カルボキシ無水物(NCA)、N−クロロスクシンイミド(NCS)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−メチルピロリドン(NMP)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、二クロム酸ピリジニウム(PDC)、フェニル(Ph)、プロピル(Pr)、イソ−プロピル(i−Pr)、ポンド/平方インチ(psi)、ピリジン(pyr)、室温(rt又はRT)、tert−ブチルジメチルシリル又はt−BuMeSi(TBDMS)、トリエチルアミン(TEA又はEtN)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、トリフラート又はCFSO−(Tf)、トリフルオロ酢酸(TFA)、1,1’−ビス−2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−2,6−ジオン(TMHD)、テトラフルオロホウ酸O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム(TBTU)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、テトラヒドロフラン(THF)、トリメチルシリル又はMeSi(TMS)、p−トルエンスルホン酸一水和物(TsOH又はpTsOH)、4−Me−CSO−又はトシル(Ts)、N−ウレタン−N−カルボキシ無水物(UNCA)。接頭辞のnormal(n)、iso(i−)、secondary(sec−)、tertiary(tert−)及びneoを包含する従来の命名法は、アルキル部分と共に使用されるとき、その通常の意味を有する。(J. Rigaudy and D.P. Klesney, Nomenclature in Organic Chemistry, IUPAC 1979 Pergamon Press, Oxford)。
【0162】
本発明に包含され、本発明の範囲内の代表的化合物の例は、以下の表に与えられる。これらの後述の実施例及び調製法は、当業者が、本発明をより明確に理解し、かつ実施することができるように与えられる。これらは、本発明の範囲を限定するものと考えるべきでなく、単に本発明の例示及び代表例と考えるべきである。
【0163】
一般に、本出願において使用される命名法は、IUPACの体系的命名法の生成のためのBeilstein Instituteのコンピュータ化システムである、AUTONOMTM v.4.0に基づく。描かれる構造とこの構造に与えられる名称の間に矛盾が存在するならば、描かれる構造を重視すべきである。更に、ある構造又は構造の一部の立体化学が、例えば、太線又は点線で示されていないならば、この構造又は構造の一部は、その全ての立体異性体を包含するものと解釈すべきである。
【0164】
表Iは、一般式(A)又は一般式(I)〜(II)の化合物の例を図示している:
【0165】
【表1】



【0166】
本明細書に記載されているピリジノン及びピリダジノン誘導体は、キナーゼ阻害薬、特にBtk阻害薬である。これらの阻害薬は、Btk阻害及び/又はB細胞増殖の阻害に応答性の疾患を包含する、哺乳動物におけるキナーゼ阻害に応答性の1種以上の疾患を処置するのに使用することができる。いかなる特定の理論に拘束されるものではないが、本発明の化合物とBtkとの相互作用により、Btk活性の阻害が生じ、ひいてはこれらの化合物の医薬としての有用性が生じる。したがって、本発明は、Btk活性の阻害、及び/又はB細胞増殖を阻害することに応答性の疾患を有する、哺乳動物、例えば、ヒトを処置する方法であって、このような疾患を有する哺乳動物に有効量の少なくとも1種の本明細書に提供される化学物質を投与することを含む方法を包含する。有効濃度は、例えば、この化合物の血中濃度を測定することにより実験的に、又は生物学的利用能を算出することにより理論的に解明することができる。Btkに加えて作用させられる他のキナーゼは、特に限定されないが、他のチロシンキナーゼ類及びセリン/トレオニンキナーゼ類を包含する。
【0167】
キナーゼは、増殖、分化、及び細胞死(アポトーシス)のような基本的細胞過程を制御するシグナル伝達経路において注目すべき役割を演じる。異常キナーゼ活性は、多発性癌、自己免疫性及び/又は炎症性疾患、並びに急性炎症反応を包含する、広範な疾患に関係している。重要な細胞シグナル伝達経路におけるキナーゼの多面的な役割は、キナーゼ及びシグナル伝達経路を標的とする新規な薬物を同定するための重要な機会を提供する。
【0168】
実施態様は、Btk活性及び/又はB細胞増殖の阻害に応答性の、自己免疫性及び/又は炎症性疾患、あるいは急性炎症反応を有する患者を処置する方法を包含する。
【0169】
本発明の化合物及び組成物を用いて作用させることができる、自己免疫性及び/又は炎症性疾患は、特に限定されないが、乾癬、アレルギー、クローン病、過敏性腸症候群、シェーグレン病、組織移植片拒絶、及び移植臓器の超急性拒絶、喘息、全身性エリテマトーデス(及び関連する糸球体腎炎)、皮膚筋炎、多発性硬化症、強皮症、血管炎(ANCA関連及び他の血管炎)、自己免疫性溶血性及び血小板減少状態、グッドパスチャー症候群(並びに関連する糸球体腎炎及び肺出血)、アテローム動脈硬化症、慢性関節リウマチ、慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、アジソン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、糖尿病、敗血性ショック、並びに重症筋無力症を包含する。
【0170】
本明細書に包含されるのは、少なくとも1種の本明細書に提供される化学物質が、抗炎症剤と併用して投与される、処置の方法である。抗炎症剤は、特に限定されないが、NSAID、非特異的及びCOX−2特異的シクロオキシゲナーゼ酵素阻害薬、金化合物、コルチコステロイド、メトトレキサート、腫瘍壊死因子(TNF)受容体アンタゴニスト、免疫抑制剤及びメトトレキサートを包含する。
【0171】
NSAIDの例は、特に限定されないが、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン及びナプロキセンナトリウム、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウムとミソプロストールの併用、スリンダク、オキサプロジン、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、エトドラク、フェノプロフェンカルシウム、ケトプロフェンナトリウム、ナブメトン、スルファサラジン、トルメチンナトリウム、並びにヒドロキシクロロキンを包含する。NSAIDの例はまた、セレコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ及び/又はエトリコキシブのような、COX−2特異的阻害薬をも包含する。
【0172】
幾つかの実施態様において、抗炎症剤は、サリチル酸類である。サリチル酸類は、特に限定されないが、アセチルサリチル酸又はアスピリン、サリチル酸ナトリウム、並びにサリチル酸コリン及びマグネシウムを包含する。
【0173】
抗炎症剤はまた、コルチコステロイドであってもよい。例えば、コルチコステロイドは、コルチゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、又はプレドニゾンであってよい。
【0174】
更なる実施態様において、抗炎症剤は、金チオリンゴ酸ナトリウム又はオーラノフィンのような金化合物である。
【0175】
本発明はまた、抗炎症剤が、メトトレキサートのようなジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害薬又はレフルノミドのようなジヒドロオロチン酸デヒドロゲナーゼ阻害薬などの代謝阻害薬である、実施態様を包含する。
【0176】
本発明の他の実施態様は、少なくとも1種の抗炎症化合物が、抗C5モノクローナル抗体(エクリズマブ又はペキセリズマブなど)、TNFアンタゴニスト(エタネルセプトなど)、又はインフリキシマブ(抗TNFαモノクローナル抗体である)である併用に関する。
【0177】
本発明の更に他の実施態様は、少なくとも1種の活性物質が、メトトレキサート、レフルノミド、シクロスポリン、タクロリムス、アザチオプリン、及びミコフェノール酸モフェチルから選択される免疫抑制化合物のような免疫抑制化合物である併用に関する。
【0178】
BTKを発現するB細胞及びB細胞前駆体は、特に限定されないが、B細胞リンパ腫、リンパ腫(ホジキン及び非ホジキンリンパ腫を包含する)、有毛細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、慢性及び急性骨髄性白血病並びに慢性及び急性リンパ性白血病を包含する、B細胞悪性腫瘍の病理に関係している。
【0179】
BTKは、B系統リンパ系細胞におけるFas/APO−1(CD−95)細胞死誘導シグナル伝達複合体(DISC)の阻害薬であることが証明されている。白血病/リンパ腫細胞の運命は、DISCにより活性化されるカスパーゼの対立するアポトーシス促進効果と、BTK及び/又はその基質が関与する上流の抗アポトーシス調節機序との均衡のもとに存在しうる(Vassilev et al., J. Biol. Chem. 1998, 274, 1646-1656)。
【0180】
また、BTK阻害薬が、化学増感剤として有用であり、ひいては他の化学療法薬、特にアポトーシスを誘導する薬物と併用して有用であることが発見されている。化学増感性BTK阻害薬と併用して使用することができる他の化学療法薬の例は、トポイソメラーゼI阻害薬(カンプトテシン又はトポテカン)、トポイソメラーゼII阻害薬(例えば、ダウノマイシン及びエトポシド)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、メルファラン及びBCNU)、チューブリン指向物質(例えば、タキソール及びビンブラスチン)及び生物学的作用物質(例えば、抗CD20抗体のIDEC8のような抗体、免疫毒素、及びサイトカイン類)を包含する。
【0181】
Btk活性はまた、第9及び第22染色体の一部の転座に起因するbcr−abl融合遺伝子を発現する、一部の白血病にも関連している。この異常は、慢性骨髄性白血病において普通に観測される。Btkは、bcr−ablキナーゼにより構成的にリン酸化されるが、これが、下流の生存シグナルを開始させ、bcr−abl細胞におけるアポトーシスを回避させる(N. Feldhahn et al. J. Exp. Med. 2005 201(11):1837-1852)。
【0182】
本発明の化合物は、多種多様な経口投与剤形に及び担体中に処方することができる。経口投与は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤、シロップ剤、又は懸濁剤の剤形で行うことができる。本発明の化合物は、他の投与経路の中でも、持続(点滴静注)局所の非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経皮(浸透増強剤を包含してもよい)、バッカル、鼻内、吸入及び坐剤投与を包含する、他の投与経路により投与されるとき有効である。好ましい投与のやり方は、一般に、疾患の程度及び活性成分に対する患者の応答性により調整することができる、便利な1日用量に基づく投薬法を利用する経口投与である。
【0183】
本発明の化合物、並びにその薬学的に利用しうる塩は、1種以上の従来の賦形剤、担体、又は希釈剤と一緒に、医薬組成物及び単位用量の形にしてもよい。この医薬組成物及び単位用量剤形は、更なる活性化合物又は成分を含むか又は含まない、従来の割合の従来の成分よりなっていてよく、そして単位用量剤形は、使用すべき目的の1日用量範囲に相応しい任意の適切な有効量の活性成分を含有してよい。本医薬組成物は、経口使用のために、錠剤若しくは充填カプセル剤のような固体、半固体、粉剤、徐放製剤、又は液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤若しくは充填カプセル剤のような液体として;あるいは直腸内又は膣内投与用の坐剤の剤形で;あるいは非経口使用のために無菌注射液の剤形で使用してもよい。典型的な製剤は、約5%〜約95%の活性化合物(w/w)を含有する。「製剤」又は「投与剤形」という用語は、活性化合物の固体及び液体調剤の両方を包含するものであり、そして当業者であれば、活性成分が、標的臓器又は組織に応じて、並びに必要用量及び薬物動態パラメーターに応じて様々な製剤として存在しうることを理解しよう。
【0184】
「賦形剤」という用語は、本明細書において使用されるとき、一般に安全で無毒であり、かつ生物学的にも他の意味でも不適切でない、医薬組成物を調製するのに有用な化合物のことをいい、そしてヒトの医薬としての使用だけでなく獣医学的使用にも許容しうる賦形剤を包含する。本発明の化合物は、単独で投与することができるが、一般には、意図される投与経路及び標準的医薬品実務に照らして選択される、1種以上の適切な製剤賦形剤、希釈剤又は担体と混合して投与されよう。
【0185】
「薬学的に許容しうる」とは、一般に安全で無毒であり、かつ生物学的にも他の意味でも不適切でない、医薬組成物を調製するのに有用であることを意味し、そしてヒトの医薬としての使用だけでなく獣医学的使用にも許容しうることを包含する。
【0186】
活性成分の「薬学的に許容しうる塩」の形はまた、最初に、非塩形には存在しなかった所望の薬物動態特性を活性成分に与えることができ、そして活性成分の薬力学に対して、体内でのその治療活性に関して良い影響を及ぼすことさえある。ある化合物の「薬学的に許容しうる塩」という句は、薬学的に許容しうるものであって、かつ親化合物の望ましい薬理活性を持つ塩を意味する。このような塩は、以下を包含する:(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸と形成される酸付加塩;又は酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンフルスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第3級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などのような有機酸と形成される酸付加塩;あるいは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、若しくはアルミニウムイオンにより置換されるときか、又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどのような有機塩基と配位結合するときのいずれかに形成される塩。
【0187】
固体製剤は、粉剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒剤を包含する。固体担体は、希釈剤、着香剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、保存料、錠剤崩壊剤、又は封入材料としても作用しうる、1種以上の物質であってよい。粉剤では、担体は、一般には微粉化活性成分との混合物である微粉化固体である。錠剤では、活性成分は、一般には必要な結合能力を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状及びサイズに圧縮される。適切な担体は、特に限定されないが、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖類、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ロウ、カカオ脂などを包含する。固体製剤は、活性成分の他に、着色料、香味料、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有してもよい。
【0188】
液体製剤もまた、経口投与に適しており、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤を包含する液体製剤を包含する。これらは、使用の直前に液体製剤に変換することを目的とした固体製剤を包含する。乳剤は、溶液中に、例えば、水性プロピレングリコール溶液中に調製してもよいか、又はレシチン、モノオレイン酸ソルビタン、又はアラビアゴムのような乳化剤を含有してもよい。水性液剤は、活性成分を水に溶解し、そして適切な着色料、香味料、安定化剤、及び増粘剤を加えることにより調製できる。水性懸濁剤は、天然又は合成ゴムのような粘性物質、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び他の周知の懸濁剤で、水に微粉化活性成分を分散させることにより調製することができる。
【0189】
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注射、例えば、ボーラス注射又は持続注入による)用に処方してもよく、そしてアンプル、プレフィルドシリンジ、少量輸液として単位用量剤形で、あるいは保存料を加えた多回投与用容器に入れて提示してもよい。本組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤、又は乳剤のような剤形、例えば、水性ポリエチレングリコール中の液剤の形をとってよい。油性又は非水性の担体、希釈剤、溶剤又はビヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、及び注射用有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)を包含し、そして保存剤、湿潤剤、乳化剤又は懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤のような製剤助剤を含有してもよい。あるいは、活性成分は、適切なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質不含の水で使用前に構成するための、無菌固体の無菌的単離により、又は溶液からの凍結乾燥により得られる粉末剤形にしてもよい。
【0190】
本発明の化合物は、軟膏剤、クリーム剤若しくはローション剤として、又は経皮パッチとして、表皮への局所投与用に処方してもよい。軟膏剤及びクリーム剤は、例えば、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤を加えた水性又は油性基剤と共に処方することができる。ローション剤は、水性又は油性基剤と共に処方することができるが、一般にはまた1種以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、又は着色剤も含有するだろう。口内の局所投与に適した製剤は、着香基剤、通常はショ糖及びアラビアゴム又はトラガント中に活性物質を含むトローチ剤;ゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアラビアゴムのような不活性基剤中に活性成分を含むパスティーユ剤;並びに適切な液体担体中に活性成分を含む洗口液を包含する。
【0191】
本発明の化合物は、坐剤としての投与用に処方してもよい。脂肪酸グリセリドの混合物又はカカオ脂のような低融点ロウを最初に融解して、例えば、撹拌により、活性成分を均質に分散させる。融解した均質混合物は次に、便利なサイズの鋳型に注ぎ入れ、冷却して凝固するのを待つ。
【0192】
本発明の化合物は、膣内投与用に処方してもよい。活性成分の他に、当該分野において適切であることが知られている担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレー。
【0193】
本発明の化合物は、鼻内投与用に処方してもよい。この液剤又は懸濁剤は、従来手段により、例えば、スポイト、ピペット又はスプレーで直接鼻腔内に適用される。本製剤は、単回又は多回投与剤形として提供することができる。スポイト又はピペットの後者の場合に、これは、患者が適切な所定容量の液剤又は懸濁剤を投与することにより達成できる。スプレーの場合に、これは、例えば、計量噴霧スプレーポンプを用いて達成できる。
【0194】
本発明の化合物は、特に気管への、そして経鼻投与を包含する、エアゾール投与用に処方してもよい。本化合物は一般に、例えば、5ミクロン以下というオーダーの小粒度を有する。このような粒度は、当該分野において既知の手段により、例えば、微粉化により得られる。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、又はジクロロテトラフルオロエタン)、又は二酸化炭素若しくは他の適切なガスのような適切な噴射剤と共に加圧パックにして提供される。エアゾールは、便利にはまたレシチンのような界面活性剤を含有してもよい。薬物の用量は、計量バルブにより制御することができる。あるいは活性成分は、乾燥粉末、例えば、乳糖、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなデンプン誘導体、及びポリビニルピロリドン(PVP)のような、適切な粉末基剤中の本化合物の粉末混合物の形で提供してもよい。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成する。この粉末組成物は、単位用量剤形として、例えば、吸入器を用いてそこから粉末を投与する、例えば、ゼラチンのカプセル若しくはカートリッジとして、又はブリスターパックとして提示することができる。
【0195】
必要に応じて、製剤は、活性成分の徐放投与又は放出制御投与に合わせた腸溶性コーティングを施して調製することができる。例えば、本発明の化合物は、経皮又は皮下薬物送達装置中に処方することができる。これらの送達システムは、本化合物の徐放が必要であるとき、及び治療法の患者コンプライアンスが決定的に重要なときに有利である。経皮送達システム中の化合物は、しばしば皮膚接着性固体支持体に取り付けられる。目的の化合物はまた、浸透増強剤、例えば、Azone(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)と合わせることができる。徐放性送達システムは、手術又は注射により皮下層へと皮下挿入される。皮下インプラントでは、脂溶性膜、例えば、シリコーンゴム、又は生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸中に本化合物を封入する。
【0196】
適切な製剤は、製剤の担体、希釈剤及び賦形剤と共に、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995, edited by Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。熟練の製剤科学者であれば、本明細書の教示に含まれる製剤を修飾することにより、本発明の組成物を不安定にすることなく、又はその治療活性を損なうことなく、特定の投与経路用の多数の製剤を提供することができる。
【0197】
本化合物の水又は他のビヒクルへの可溶性を高めるためのこれらの修飾は、例えば、若干の修飾(塩形成、エステル化など)により容易に達成できようが、これらは充分に当該分野における通常の技能の範囲内である。また、患者の最大の有益な効果を目指して本化合物の薬物動態を操るために、特定化合物の投与経路及び用法用量を修飾することもまた、充分に当該分野における通常の技能の範囲内である。
【0198】
「治療有効量」という用語は、本明細書において使用されるとき、ある個人の疾患の症状を軽減させるのに必要な量を意味する。用量は、各特定症例における個々の要求に適応させられる。この用量は、処置すべき疾患の重篤度、患者の年齢及び全般的な健康状態、患者の処置に使用される他の医薬、投与の経路及び剤形、並びに担当医の優先傾向及び経験のような、多数の要因に応じて広い限界内で変化させることができる。経口投与には、1日に約0.01〜約1000mg/kg体重の間の1日用量が単剤療法及び/又は併用療法において適切であろう。好ましい1日用量は、1日に約0.1〜約500mg/kg体重、更に好ましくは0.1〜約100mg/kg体重、そして最も好ましくは1.0〜約10mg/kg体重の間である。よって、70kgのヒトへの投与には、用量範囲は、1日に約7mg〜0.7gであろう。1日用量は、単回用量として、又は分割用量にして、典型的には1日に1〜5回の用量の間で投与することができる。一般に、処置は、化合物の最適用量より少ない低用量で開始する。その後、用量は、個々の患者の最適効果に到達するまで少しずつ増加させる。本明細書に記載される疾患の処置における当業者であれば、過度の実験を行うことなく、かつ個人の知識、経験及び本明細書中の開示に信頼をおいて、所定の疾患及び患者のための本発明の化合物の治療有効量を突きとめることができよう。
【0199】
本製剤は、好ましくは単位用量剤形にされる。このような剤形では、本製剤は、適切な量の活性成分を含有する単位用量に細分される。この単位用量剤形は、包装された製剤であってよく、このパッケージは、パック入り錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル入りの粉剤のような、離散量の製剤を含有する。また、この単位用量剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、又はトローチ剤それ自体であってもよく、あるいは適切な数のこれらのいずれかが包装された形であってもよい。
【0200】
実施例
実施例1
2−ニトロ−4−tert−ブチル−N−(2,2−ジエトキシ−エチル)−ベンズアミドの調製:
【化7】


2−ニトロ−4−tert−ブチル安息香酸(1.5g、7mmol、J. Am. Chem. Soc, 1955, 77, 5441により調製)を室温でTHF中で撹拌し、ジイソプロピルエチルアミン1.7ml(13mmol、2当量)を加え、続いて2−アミノアセトアルデヒドジエチルアセタール984mg(7.7mmol、1.1当量)を加えた。(3−ジメチルアミノ−プロピル)−エチル−カルボジイミド(1.55g、8mmol、1.2当量)を加え、続いて触媒量(約50mg)のヒドロキシベンゾトリアゾール水和物を加えた。この混合物を室温で16時間撹拌し、水で希釈し、ジエチルエーテルで3×抽出し、エーテル層を水、食塩水で洗浄して、MgSOで乾燥した。真空下で溶媒を除去し、続いてヘキサン中25%酢酸エチルで溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにより、標題化合物0.950g、(M+H)=224を得た。
【0201】
実施例2
2−ニトロ−4−tert−ブチル−N−(2−オキソ−エチル)−ベンズアミドの調製:
【化8】


1N HCl水溶液2mlを、室温でアセトン20ml中で撹拌しながら2−アミノ−4−tert−ブチル−N−(2,2−ジエトキシ−エチル)−ベンズアミド950mg(3mmol)に加えた。12時間撹拌し、次に1N HCl水溶液2mlを加え、更に6時間撹拌を続けた。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで3×抽出し、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した。真空下で溶媒を除去して、油の標題化合物717mgを得たが、これを精製することなく次の工程に使用した。
【0202】
実施例3
8−tert−ブチル−2−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−オンの調製:
【化9】


10重量%のPd担持炭素70mgを、アルゴン下で少量のメタノールで湿らせた。ここに、メタノール20mlに溶解した2−ニトロ−4−tert−ブチル−N−(2−オキソ−エチル)−ベンズアミド717mg(3mmol)を加えた。このフラスコを真空にして、バルーンをバラストとして用いて雰囲気を水素ガスで置換し、この混合物を3時間水素化した。反応液をアルゴン下セライトにより濾過して、セライトを酢酸エチルで洗浄した。真空下で溶媒を除去することにより、固体を得た。NMR及びLC/MSは、これが1:1混合物としての標題化合物と8−tert−ブチル−3,4−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−オンとの混合物であることを示すが、これを精製することなく使用した。
【0203】
実施例4
8−tert−ブチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−オンの調製:
【化10】


8−tert−ブチル−3,4−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−オン275mgをメタノール5mlに溶解した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(139mg、2mmol、2当量)を加えて、この反応液を16時間撹拌した。反応を水でクエンチし、酢酸エチルで3×抽出し、飽和重炭酸ナトリウム、食塩水で洗浄して、MgSOで乾燥した。真空下で溶媒を除去して、残渣は、ヘキサン中80%〜100%酢酸エチルで溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにより、標題化合物、98mg、(M+H)=219を得た。
【0204】
実施例5
2−ブロモ−6−(8−tert−ブチル−5−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−イル)−ベンズアルデヒドの調製:
【化11】


8−tert−ブチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−オン(420mg、2mmol)、2,6−ジブロモベンズアルデヒド(2.03g、8mmol、3当量)、キサントホス(22mg、0.02当量)、及び炭酸セシウム(1.23g、4mmol、2当量)をジオキサン(5.0mL)にとり、アルゴンガス流でこの混合物を1分間バブリングした。触媒のPd(dba)(33mg、0.03当量)を加えて、アルゴンで更に1分間バブリングした。生じた混合物をアルゴン下で密閉して、100℃で18時間撹拌した。この反応物を冷却して濾過した。集めた固体を水で粉砕して濾過することにより、固体を得た。ジオキサンの濾液をこの固体と合わせて、真空下で溶媒を除去し、残渣は、ヘキサン中の50%酢酸エチルで溶出するクロマトグラフィーに付すことにより、固体、81mg、(M+H)=402を得た。
【0205】
実施例6
2−(8−tert−ブチル−5−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−イル)−6−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−ベンズアルデヒドの調製:
【化12】


2−ブロモ−6−(8−tert−ブチル−5−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−イル)−ベンズアルデヒド(0.100g、0.23mmol)、1−メチル−3−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピリジン−2−オン(0.091g、1.0当量)、キサントホス(12mg、0.09当量)、及びリン酸カリウム(0.096g、2当量)をn−ブタノール(3mL)及び水(0.5mL)にとり、アルゴン流でこの混合物を1分間バブリングした。Pd(dba)(0.008g、0.06当量)を加えて、更に1分間アルゴンでバブリングした。反応物をアルゴン下で加熱して、100℃で3時間撹拌した。反応物を冷却し、真空下で溶媒を除去して、シリカゲルカラムに直接載せ、100%酢酸エチルで溶出し、次いでCHCl中の4% MeOHで溶出することにより、不純物を含む60:40混合物(主要成分として標題化合物)としての褐色の固体76mgとして標題化合物を得たが、これを更に精製することなく使用した。
【0206】
実施例7
8−tert−ブチル−4−(2−ヒドロキシメチル−3−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−フェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−オンの調製:
【化13】


2−(8−tert−ブチル−5−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−4−イル)−6−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−ベンズアルデヒドが主要成分である、前工程からの60:40混合物76mgをTHF 3mlに溶解して、無水エタノール3mlを加えた。水素化ホウ素ナトリウム(5mg、1当量)を加えて、反応物を20分間撹拌すると、この間に反応物は紫色から無色に変化した。反応を水でクエンチし、次に氷酢酸1滴を加えた。この混合物を酢酸エチルで3×抽出し、有機層を合わせて、重炭酸ナトリウム飽和水溶液及び食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過して、真空下で有機溶媒を除去した。残渣は、最初に塩化メチレンで、次に塩化メチレン中の3%メタノールで溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにより、標題化合物を白色固体、33mg、(M+H)=637として得た。
【0207】
実施例8
2−[2−(3−tert−ブチル−フェノキシ)−エチル]−[1,3]ジオキサンの調製:
【化14】


水酸化ナトリウム(3.46g、1.3当量)を水(20mL)にとり、約30分間撹拌した。次いで3−tert−ブチルフェノール(10.0g、66.6mmol)を加え、生じた混合物を室温で30分間撹拌した。次に、2−(2−ブロモエチル)−[1,3]ジオキサン(9.9mL、1.1当量)を加え、生じた混合物を40時間加熱還流した。この反応混合物を室温まで冷却し、次いで酢酸エチル(150mL)を加え、撹拌しながらpH=4になるまで酢酸を加え、続いて水(100mL)及び酢酸エチル(150mL)で希釈した。分液後、層を分離して、次いで有機層を水(3×100mL)で洗浄して、酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して濃縮することにより、標題化合物を無色の油(16.91g)として得た。
【0208】
実施例9
7−tert−ブチル−クロマン−4−オールの調製:
【化15】


濃塩酸(70mL)を氷浴中で冷却し、次にTHF約40mLを加えて撹拌した。0℃で撹拌しながら、THF(30mL)中の2−[2−(3−tert−ブチル−フェノキシ)−エチル]−[1,3]ジオキサン(8.48g、32.1mmol)をゆっくり加えた。添加が完了した後、氷浴を取り外して、生じた混合物を室温で3時間激しく撹拌した。次にエーテル(300mL)を加え、層を分離して、有機層を水(3×100mL)で抽出し、そして最後に硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して濃縮することにより、標題化合物を明黄色の油として得たが、これを更に精製することなく次の工程に使用した。
【0209】
実施例10
7−tert−ブチル−クロマン−4−オンの調製:
【化16】


7−tert−ブチル−クロマン−4−オール(32.1mmolと想定)をジクロロメタン(250mL)にとり、撹拌しながらPCC(14.36g、2当量)を少量ずつ加えた。添加が完了した後、生じた混合物を約3時間撹拌し、この時でTLC分析によると反応が完了していた。ヘキサン約250mLをこの混合物に加え、次にこれをセライトのパッドにより濾過して、濾液を濃縮した。ヘキサン中の2%酢酸エチル〜ヘキサン中の10%酢酸エチルの勾配で溶出するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物をオフホワイト色の固体(3.838g)(M+H)=205として得た。
【0210】
実施例11
8−tert−ブチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピン−5−オンの調製:
【化17】


7−tert−ブチル−クロマン−4−オン(1.3g、6.36mmol)をジクロロメタン(11.25mL)及びメタンスルホン酸(7.5mL)にとり、0℃に冷却した。0℃で撹拌しながらアジ化ナトリウム(827mg、2当量)を少量ずつ加えた。生じた混合物を0℃で3時間撹拌したが、TLC分析によると出発物質がもはや残っていなかったため、反応混合物をNaOHの20%水溶液(25mL)に0℃で注ぎ入れた。この溶液を10分間撹拌し、次にジクロロメタン(3×50mL)で抽出して、合わせたジクロロメタン層を食塩水(1×50mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して濃縮した。ヘキサン中の5%酢酸エチル〜100%酢酸エチルの勾配で溶出するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を白色の固体(1.304g)(M+H)=220として得た。
【0211】
実施例12
2−ブロモ−6−(8−tert−ブチル−5−オキソ−2,3−ジヒドロ−5H−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピン−4−イル)−ベンズアルデヒドの調製:
【化18】


8−tert−ブチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピン−5−オン(600mg、2.74mmol)、2,6−ジブロモベンズアルデヒド(3.62g、5当量)、キサントホス(71mg、0.045当量)、及び炭酸セシウム(1.25g、1.4当量)をジオキサン(5.3mL)にとり、アルゴン流でこの混合物を10分間バブリングした。触媒のPd(dba)(47mg、0.03当量)を加え、生じた混合物をアルゴン下に置いて、100℃で3時間撹拌した。TLCによると反応が完了したため、この混合物を室温に冷却後、酢酸エチル(150mL)及び水(50mL)を加え、層を分液して分離した。有機層を更に水(3×50mL)で洗浄し、最後に食塩水(1×50mL)で洗浄し、次に硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して濃縮した。5%酢酸エチル〜30%酢酸エチルの勾配で溶出するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物をオフホワイト色の粉末(793mg)(M+H)=404として得た。
【0212】
実施例13
2−(8−tert−ブチル−5−オキソ−2,3−ジヒドロ−5H−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピン−4−イル)−6−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−ベンズアルデヒドの調製:
【化19】


2−ブロモ−6−(8−tert−ブチル−5−オキソ−2,3−ジヒドロ−5H−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピン−4−イル)−ベンズアルデヒド(109mg、0.27mmol)、1−メチル−3−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピリジン−2−オン(179mg、1.5当量)、XPHOS(8mg、0.06当量)、及びリン酸カリウム(115mg、2当量)をn−ブタノール(2mL)及び水(0.5mL)にとり、アルゴン流でこの混合物を10分間バブリングした。次に触媒のPd(dba)(5mg、0.03当量)を加えて、この反応液をアルゴン下に置き、100℃で40分間撹拌した。TLC分析によると反応が完了したため、これを室温に冷却して酢酸エチル(150mL)及び水(50mL)で希釈した。層を分液し、次に分離して、有機層を水(3×50mL)で更に洗浄し、そして最後に食塩水(1×50mL)で洗浄した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して濃縮した。ジクロロメタン中の7%メタノールで溶出するシリカゲルの分取薄層クロマトグラフィーにより精製して、標題化合物をオフホワイト色の粉末(168mg)(M+H)=636として得た。
【0213】
実施例14
8−tert−ブチル−4−(2−ヒドロキシメチル−3−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−フェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピン−5−オンの調製:
【化20】


イソプロパノール(5mL)及びTHF(10mL)中の2−(8−tert−ブチル−5−オキソ−2,3−ジヒドロ−5H−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピン−4−イル)−6−{1−メチル−5−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−ベンズアルデヒド(0.27mmol)に、0℃で撹拌しながら水素化ホウ素ナトリウム(21mg、2当量)を加え、次いで氷浴を取り外して、生じた混合物を室温で45分間撹拌した。TLCが反応の終了を示したため、混合物を酢酸エチル(150mL)及び水(50mL)で希釈した。層を分液し、次に分離して、有機層を水(3×50mL)で更に洗浄し、そして最後に食塩水(1×50mL)で洗浄した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して濃縮した。ジクロロメタン中の10%メタノールで溶出するシリカゲルの薄層クロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を明灰色の粉末(94mg)、(M+H)=638として得た。
【0214】
アッセイデータ
ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)阻害アッセイ
本アッセイは、濾過による放射性33Pリン酸化生成物の捕捉である。Btk、ビオチン化SHペプチド基質(Src相同)、及びATPの相互作用により、ペプチド基質のリン酸化が起こる。ビオチン化生成物は、ストレプトアビジンセファロースビーズに結合する。全ての結合した放射性標識生成物をシンチレーションカウンターにより検出する。
【0215】
アッセイされるプレートは、96ウェルのポリプロピレン(Greiner)及び96ウェルの1.2μm親水性PVDFフィルタープレート(Millipore)である。ここで報告される濃度は、最終アッセイ濃度である:DMSO(Burdick and Jackson)中10〜100μMの化合物、5〜10nM Btk酵素(His標識、完全長)、30μMペプチド基質(Biotin-Aca-AAAEEIYGEI-NH2)、100μM ATP(Sigma)、8mMイミダゾール(Sigma、pH7.2)、8mMグリセロール−2−リン酸(Sigma)、200μM EGTA(Roche Diagnostics)、1mM MnCl(Sigma)、20mM MgCl(Sigma)、0.1mg/ml BSA(Sigma)、2mM DTT(Sigma)、1μCi 33P ATP(Amersham)、20%ストレプトアビジンセファロースビーズ(Amersham)、50mM EDTA(Gibco)、2M NaCl(Gibco)、1%リン酸を含む2M NaCl(Gibco)、microscint-20(Perkin Elmer)。
【0216】
IC50の決定は、標準的96ウェルプレートのアッセイテンプレートから得られるデータを利用して、1化合物あたりデータ10点から算出する。1種の対照化合物及び7種の未知の阻害薬を各プレートで試験して、各プレートは2回実行した。典型的には、化合物は、100μMから開始して3nMで終わる半対数(half-log)系列で希釈した。対照化合物は、スタウロスポリンとした。バックグラウンドは、ペプチド基質の非存在下でカウントした。総活性は、ペプチド基質の存在下で求めた。以下のプロトコールを使用してBtk阻害を求めた。
【0217】
1) 試料調製:試験化合物を半対数の増分でアッセイ緩衝液(イミダゾール、グリセロール−2−リン酸、EGTA、MnCl、MgCl、BSA)に希釈した。
2) ビーズ調製
a) 500gで遠心分離することによりビーズをすすぐ。
b) PBS及びEDTAでビーズを再構成して20%ビーズスラリーを作成する。
3) 基質なしの反応混合物(アッセイ緩衝液、DTT、ATP、33P ATP)及び基質ありの混合物(アッセイ緩衝液、DTT、ATP、33P ATP、ペプチド基質)を30℃で15分間プレインキュベートする。
4) アッセイを開始するために、酵素緩衝液(イミダゾール、グリセロール−2−リン酸、BSA)中の10μL Btk及び10μLの試験化合物をRTで10分間プレインキュベートする。
5) 基質なしかありの30μLの反応混合物をBtk及び化合物に加える。
6) 50μLの総アッセイ混合物を30℃で30分間インキュベートする。
7) 40μLのアッセイ液をフィルタープレート中の150μLビーズスラリーに移すことにより、反応を停止させる。
8) 以下の工程で、30分後にフィルタープレートを洗浄する。
a) 3×250μL NaCl
b) 3×250μL NaCl(1%リン酸を含有する)
c) 1×250μL H
9) 65℃で1時間又はRTで一晩プレートを乾燥する。
10) 50μLのmicroscint-20を加えて、33P(cpm)をシンチレーションカウンターでカウントする。
生データ(cpm)から活性パーセントを算出する:
活性パーセント=(試料−bkg)/(総活性−bkg)×100
活性パーセントから、1サイト(one-site)用量反応シグモイドモデルを用いてIC50を算出する:
y=A+((B−A)/(1+((x/C))))
x=化合物濃度、y=活性%、A=最小、B=最大、C=IC50、D=1(ヒルの傾き)
【0218】
CD69発現により測定される全血中のB細胞活性化の阻害
ヒト血中のB細胞のB細胞受容体介在性活性化を抑制するBtk阻害薬の能力を試験するための手順は以下のとおりである:
【0219】
ヒト全血(HWB)を健常ボランティア(以下の制限を持つ:24時間薬物を使わない非喫煙者)から得る。血液は、静脈穿刺により、ヘパリンナトリウムで抗凝固処理したVacutainerチューブに採取する。試験化合物は、PBS(20×)に所望の開始薬物濃度の10倍に希釈し、PBS中の10% DMSOに3倍系列で希釈することにより、9点の用量反応曲線を作成する。各化合物の希釈液5.5μlを二重反復で2mlの96ウェルV底プレート(Analytical Sales and Services, #59623-23)に加え;PBS中の10% DMSO 5.5μlを対照及び刺激なしのウェルに加える。HWB(100μl)を各ウェルに加え、混合後にプレートを37℃、5% CO、湿度100%で30分間インキュベートする。ヤギF(ab’)2抗ヒトIgM(Southern Biotech, #2022-14)(500μg/ml溶液10μl、最終濃度50μg/ml)を各ウェル(刺激なしのウェルを除く)に混合しながら加え、プレートを更に20時間インキュベートする。20時間のインキュベーション後、試料を蛍光プローブ標識抗体(15μl PEマウス抗ヒトCD20、BD Pharmingen, #555623、及び/又は20μl APCマウス抗ヒトCD69、BD Pharmingen #555533)と共に37℃、5% CO、湿度100%で30分間インキュベートする。補償調整及び初期電圧設定のため、誘導される対照、非染色及び単回染色を含める。次に試料を1×Pharmingen Lyse Buffer(BD Pharmingen #555899)1mlで溶解して、プレートを1800rpmで5分間遠心分離する。上清を吸引により除去して、残ったペレットを再度1×Pharmingen Lyse Buffer更に1mlで溶解して、前と同様にプレートを遠心沈降させる。上清を吸引して、残ったペレットをFACs緩衝液(PBS+1% FBS)中で洗浄する。最後の遠心後、上清を除去して、ペレットをFACs緩衝液180μlに再懸濁する。試料を、BD LSR IIフローサイトメーター上のHTS 96ウェルシステムで測定させるのに適切な96ウェルプレートに移す。使用される蛍光色素分子に適切な励起及び発光波長を用いて、データを獲得し、Cell Quest Softwareを用いて陽性細胞パーセント値を得る。結果は、最初にFACS分析ソフトウェア(Flow Jo)により分析する。試験化合物のIC50は、抗IgMによる刺激後にCD20陽性でもあるCD69陽性細胞の割合を50%低下させる濃度として定義される(刺激なしバックグラウンドの8個のウェルの平均を差し引いた後の、8個の対照ウェルの平均)。IC50値は、XLfitソフトウェア、バージョン3、方程式201を用いて算出する。
【0220】
本アッセイに関する代表化合物のデータは、以下表IIにリストする。
【0221】
【表2】

【0222】
B細胞活性化の阻害−Ramos細胞におけるB細胞FLIPRアッセイ
本発明の化合物によるB細胞活性化の阻害は、抗IgM刺激B細胞応答に及ぼす試験化合物の作用を測定することにより証明する。
【0223】
B細胞FLIPRアッセイは、抗IgM抗体による刺激からの細胞内カルシウム上昇の阻害薬候補の作用を測定する、細胞に基づいた機能的方法である。Ramos細胞(ヒトBurkittリンパ腫細胞株。ATCC番号:CRL-1596)を増殖培地(Growth Media)(後述)で培養した。アッセイの1日前に、Ramos細胞を新鮮増殖培地(上記と同じ)に再懸濁して、組織培養フラスコ中で0.5×10/mLの濃度に設定した。アッセイ当日、細胞をカウントして、組織培養フラスコ中で、1μM FLUO-3AM(TefLabs Cat-No. 0116、無水DMSO及び10% Pluronic acid中で調製)を補足した増殖培地中で1×10/mLの濃度に設定して、37℃(4% CO)で1時間インキュベートする。細胞外色素を除去するために、遠心分離(5分、1000rpm)により細胞を集めて、FLIPR緩衝液(後述)に1×10細胞/mLで再懸濁し、次に96ウェルのポリ−D−リシン被覆した黒色/透明プレート(BD Cat-No. 356692)中にウェルあたり1×10細胞で分注した。試験化合物を100μM〜0.03μMの範囲の種々の濃度(7濃度、詳細は後述)で加えて、細胞と共にRTで30分間インキュベートさせた。Ramos細胞のCa2+シグナル伝達は、10μg/mL抗IgM(Southern Biotech、Cat-No. 2020-01)の添加により刺激して、FLIPR(Molecular Devices、480nm励起のアルゴンレーザーを有するCCDカメラを用いて96ウェルプレートの画像を捕捉)で測定した。
【0224】
培地/緩衝液:
増殖培地: RPMI 1640培地[L−グルタミン(Invitrogen、Cat-No. 61870-010)、10%ウシ胎仔血清(Fetal Bovine Serum)(FBS、Summit Biotechnology Cat-No. FP-100-05);1mMピルビン酸ナトリウム(Invitrogen、Cat. No. 11360-070)を含む]。
FLIPR緩衝液: HBSS(Invitrogen、Cat-No. 141175-079)、2mM CaCl(Sigma、Cat-No. C-4901)、ヘペス(Invitrogen、Cat-No. 15630-080)、2.5mM プロベネシド(Sigma、Cat-No. P-8761)、0.1% BSA(Sigma、Cat-No. A-7906)、11mMブドウ糖(Sigma、Cat-No. G-7528)。
【0225】
化合物希釈の詳細:
100μMの最高最終アッセイ濃度を実現するために、24μLの10mM化合物原液(DMSO中に作成)を576μLのFLIPR緩衝液に直接加える。試験化合物は、FLIPR緩衝液に希釈(Biomek 2000ロボット分注器を用いて)することにより、以下の希釈系列を得る:ビヒクル、1.00×10−4M、1.00×10−5、3.16×10−6、1.00×10−6、3.16×10−7、1.00×10−7、3.16×10−8
【0226】
アッセイ及び分析:
カルシウムの細胞内上昇は、最大−最小統計量(Molecular Devices社のFLIPR対照及び統計値エクスポートソフトウェアを用いて、刺激性抗体の添加に起因するピーク値から休止基線値を差し引く)を用いて報告した。非線形曲線当てはめ(GraphPad Prismソフトウェア)を利用してIC50を求めた。
【0227】
幾つかの経路による投与のための本発明化合物の医薬組成物は、本実施例に記載されるように調製した。
【0228】
【表3】


成分を混合し、それぞれ約100mgを含有するようにカプセルに分注する。1カプセルがほぼ全投薬用1日量となる。
【0229】
【表4】


成分を合わせ、メタノールのような溶媒を使用して粒状にする。次に製剤を乾燥させ、適切な錠剤成形機を用いて錠剤(活性化合物約20mg含有)を形成する。
【0230】
【表5】


成分を混合して、経口投与用の懸濁剤を形成する。
【0231】
【表6】


活性成分を注射用水の一部に溶解する。次に十分な量の塩化ナトリウムを撹拌しながら加えて、溶液を等張にする。注射用水の残りを溶液に負荷し、0.2μm膜フィルタを通して濾過し、滅菌条件下で包装する。
【0232】
【表7】


成分を一緒に溶融し、蒸気浴上で混合し、全重量2.5gを含有するように鋳型に注ぐ。
【0233】
【表8】

【0234】
マウスのコラーゲン誘導関節炎(mCIA)
0日目にマウスに、完全フロイントアジュバント(CFA)中のII型コラーゲンの乳濁液を、尾の基部又は背中の幾つかの位置に注射(i.d.)する。コラーゲン免疫後、約21〜35日で、マウスは関節炎を発症する。関節炎の発症は、21日目に不完全フロイントアジュバント(IFA)中のコラーゲンを全身投与(i.d.)して同期(追加免疫)する。追加免疫に対するシグナルである軽度関節炎(スコア1又は2;後述のスコアの説明を参照のこと)の発症について、20日後から毎日マウスを検査する。追加免疫後、マウスにスコアをつけ、所定の時間(典型的には2〜3週間)及び投与頻度(毎日(QD)又は1日2回(BID))で、候補治療薬を投与する。
【0235】
ラットのコラーゲン誘導関節炎(rCIA)
0日目にラットに、不完全フロイントアジュバント(IFA)中のウシII型コラーゲンの乳濁液を、背中の幾つかの位置に皮内(i.d.)注射する。7日目頃にコラーゲン乳濁液の追加免疫注射(i.d.)を、尾の基部又は背中の別の部位に行う。関節炎は一般に、最初のコラーゲン注射の12〜14日後に観察される。14日目以降は、後述(関節炎の評価)のように関節炎の発症について、ラットを評価することができる。2回目の抗原刺激の時点から開始し、そして所定の時間(典型的には2〜3週間)及び投与頻度(毎日(QD)又は1日2回(BID))で、ラットに候補治療薬を予防的に投与する。
【0236】
関節炎の評価:
両方のモデルで、後述の基準による4足蹠の評価を伴う採点システムを用いて足蹠及び肢関節の進行性炎症を定量する:
採点: 1=足蹠又は1つの趾の腫脹及び/又は発赤。
2=2つ以上の関節の腫脹。
3=3つ以上の関節が関係する足蹠の大きな腫脹。
4=足蹠及び趾全体の重篤な関節炎。
【0237】
評価は、基線測定については0日目に行い、最初の徴候又は腫脹が現れたら再び開始して1週間に最高3回の評価を実験の最後まで行う。個々の足蹠の4つのスコアを足して、1匹あたり最大スコア16を与える、各マウスの関節炎指標を得る。
【0238】
上述の発明は、明確さ及び理解を目的として説明及び実施例を介して幾分詳細に記載されている。当業者であれば、添付の請求の範囲内で変更及び改変を加えうることは明白であろう。したがって当然のことながら、上記の記載は、説明を目的とするものであって制限するものではない。よって本発明の範囲は、上記の記載に照らして決定すべきでなく、代わりに、以下に添付される請求の範囲(このような請求の範囲が権利を与えられるものの均等物の全容と共に)に照らして決定すべきである。
【0239】
本出願に引用される全ての特許、特許出願及び刊行物は、あたかもそれぞれ個々の特許、特許出願又は刊行物が個々に示されているのと同じ程度に、全ての目的にその全体が引用例として本明細書に取り込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A):
【化21】


[式中、
は、下記式:
【化22】


よりなる群から選択され;
は、NH又はOであり;
は、N又はC(Y)であり;
Rは、H、−R、−R−R−R、−R−R、又は−R−Rであり;
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルであって、そして場合により1個以上の低級アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、アミド、シアノ、オキソ、又はハロ−低級アルキルで置換されており;
は、−C(=O)、−C(=O)O、−C(=O)NR2’、−NHC(=O)O、−C(=NH)NR2’、又は−S(=O)であり;
2’は、H又は低級アルキルであり;
は、H又はRであり;
は、低級アルキル、アミノ、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルアルキルであって、そして場合により1個以上の低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ヒドロキシ低級アルキル、ヒドロキシ低級アルコキシ、低級アルキルスルホニル、低級アルキルスルホンアミド、カルバマート、カルボキシ、エステル、アミド、アシル、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、オキソ、又はハロ−低級アルキルで置換されており;
Xは、CH又はNであり;
は、H、低級アルキル、又は低級ハロアルキルであり;
は、Y2a又はY2bであり;
2aは、H又はハロゲンであり;
2bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により1個以上のY2b’で置換されている)であり;
2b’は、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
各Y2’は、独立にY2’a又はY2’bであり;
2’aは、ハロゲン又はヒドロキシであり;
2’bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により1個以上のY2’b’で置換されている)であり;
2’b’は、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
pは、0、1又は2であり;
は、Y3a又はY3bであり;
3aは、ハロゲン又はヒドロキシであり;
3bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、及びハロゲンよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
mは、0又は1であり;
は、Y4a、Y4b、Y4c、又はY4dであり;
4aは、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
4bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、及び低級アルコキシよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
4cは、低級シクロアルキル(場合により、低級アルキル、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、及び低級アルコキシよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
4dは、アミノ(場合により1個以上の低級アルキル、アルコキシ低級アルキル、又はヒドロキシ低級アルキルで置換されている)であり;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、又は低級ハロアルキルであり;そして
は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、低級チオアルキル、アミノ、又は低級ヒドロキシアルキルである]で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I):
【化23】


[式中、
は、NH又はOであり;
は、N又はC(Y)であり;
Rは、H、−R、−R−R−R、−R−R、又は−R−Rであり;
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルであって、そして場合により1個以上の低級アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、アミド、シアノ、オキソ、又はハロ−低級アルキルで置換されており;
は、−C(=O)、−C(=O)O、−C(=O)NR2’、−NHC(=O)O、−C(=NH)NR2’、又は−S(=O)であり;
2’は、H又は低級アルキルであり;
は、H又はRであり;
は、低級アルキル、アミノ、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルアルキルであって、そして場合により1個以上の低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ヒドロキシ低級アルキル、ヒドロキシ低級アルコキシ、低級アルキルスルホニル、低級アルキルスルホンアミド、カルバマート、カルボキシ、エステル、アミド、アシル、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、オキソ、又はハロ−低級アルキルで置換されており;
Xは、CH又はNであり;
は、H、低級アルキル、又は低級ハロアルキルであり;
は、Y2a又はY2bであり;
2aは、H又はハロゲンであり;
2bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により1個以上のY2b’で置換されている)であり;
2b’は、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
各Y2’は、独立にY2’a又はY2’bであり;
2’aは、ハロゲン又はヒドロキシであり;
2’bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により1個以上のY2’b’で置換されている)であり;
2’b’は、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
pは、0、1又は2であり;
は、Y3a又はY3bであり;
3aは、ハロゲン又はヒドロキシであり;
3bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、及びハロゲンよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
mは、0又は1であり;
は、Y4a、Y4b、Y4c、又はY4dであり;
4aは、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
4bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、及び低級アルコキシよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
4cは、低級シクロアルキル(場合により、低級アルキル、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、及び低級アルコキシよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
4dは、アミノ(場合により1個以上の低級アルキル、アルコキシ低級アルキル、又はヒドロキシ低級アルキルで置換されている)であり;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、又は低級ハロアルキルであり;そして
は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、低級チオアルキル、アミノ、又は低級ヒドロキシアルキルである]で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項3】
が、メチルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
mが、0である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
pが、0である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、ヒドロキシメチルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
が、tert−ブチル、ジメチルアミン、又はシクロプロピルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Rが、−R−R−Rであり;Rが、フェニル又はピリジルであり;Rが、−C(=O)であり;Rが、Rであり;そしてRが、モルホリン又はピペラジン(場合により1個以上の低級アルキルで置換されている)である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、フッ素である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Xが、CHである、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
が、NHである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、Oである、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
Xが、Nである、請求項7に記載の化合物。
【請求項14】
が、NHである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
が、Oである、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1に記載の式(II):
【化24】


[式中、
は、NH又はOであり;
は、N又はC(Y)であり;
Rは、H、−R、−R−R−R、−R−R、又は−R−Rであり;
は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルであって、そして場合により1個以上の低級アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、アミド、シアノ、オキソ、又はハロ−低級アルキルで置換されており;
は、−C(=O)、−C(=O)O、−C(=O)NR2’、−NHC(=O)O、−C(=NH)NR2’、又は−S(=O)であり;
2’は、H又は低級アルキルであり;
は、H又はRであり;
は、低級アルキル、アミノ、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルアルキルであって、そして場合により1個以上の低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ヒドロキシ低級アルキル、ヒドロキシ低級アルコキシ、低級アルキルスルホニル、低級アルキルスルホンアミド、カルバマート、カルボキシ、エステル、アミド、アシル、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、オキソ、又はハロ−低級アルキルで置換されており;
は、H、低級アルキル、又は低級ハロアルキルであり;
は、Y2a又はY2bであり;
2aは、H又はハロゲンであり;
2bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により1個以上のY2b’で置換されている)であり;
2b’は、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
各Y2’は、独立にY2’a又はY2’bであり;
2’aは、ハロゲン又はヒドロキシであり;
2’bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により1個以上のY2’b’で置換されている)であり;
2’b’は、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
pは、0、1又は2であり;
は、Y3a又はY3bであり;
3aは、ハロゲン又はヒドロキシであり;
3bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、及びハロゲンよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
mは、0又は1であり;
は、Y4a、Y4b、Y4c、又はY4dであり;
4aは、ヒドロキシ又はハロゲンであり;
4bは、低級アルコキシ又は低級アルキル(場合により、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、及び低級アルコキシよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
4cは、低級シクロアルキル(場合により、低級アルキル、低級ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、及び低級アルコキシよりなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
4dは、アミノ(場合により1個以上の低級アルキル、アルコキシ低級アルキル、又はヒドロキシ低級アルキルで置換されている)であり;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、低級ヒドロキシアルキル、又は低級ハロアルキルであり;そして
は、H、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、低級チオアルキル、アミノ、又は低級ヒドロキシアルキルである]で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項17】
炎症性及び/又は自己免疫性症状を処置する方法であって、これを必要とする患者に治療有効量の請求項1〜16のいずれか1項に記載のBtk阻害化合物を投与することを含む方法。
【請求項18】
少なくとも1種の薬学的に許容しうる担体、賦形剤又は希釈剤と混合した、請求項1〜16のいずれか1項に記載のBtk阻害化合物を含む医薬組成物。
【請求項19】
炎症性及び/又は自己免疫性症状を処置するのに使用するための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
本明細書に記載された発明。

【公表番号】特表2012−524748(P2012−524748A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506475(P2012−506475)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055227
【国際公開番号】WO2010/122038
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】