説明

ブレーキライニング、及びブレーキライニングの製造方法

【課題】騒音の発生を抑制することができるとともに、製造コストの低減を図ることができ、制動力をより確実に発生することができるブレーキライニング、及びブレーキライニングの製造方法を得る。
【解決手段】ブレーキライニング18は、ロータ3に対するシュー16の変位によりロータ3に接離する接触部21、接触部21よりもシュー16に近い位置に配置され、シュー16に取り付けられる取付部22、及び接触部21及び取付部22間を連結し、接触部21と取付部22とが互いに離れた状態を保つ連結部23を備えている。接触部21は、ロータ3への接触により、シュー16に近づく方向への力を受けて弾性変形可能になっている。接触部21と取付部22との間には、シュー16に近づく方向への接触部21の弾性変形を許容する所定の隙間24が連結部23を避けて設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転体への接触により回転体に制動力を与えるブレーキライニング、及びブレーキライニングの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、制動時の騒音(例えば鳴き音や衝撃音等)の発生を抑制するために、ブレーキ摩擦材に珪藻土を混入することにより、ブレーキ摩擦材の空孔率を高める技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、従来、制動時の騒音の発生を抑制するために、中央部の材料よりも両端部の材料を柔らかくして、ディスクに対する摺動により両端部を中央部よりも磨耗させやすくした摩擦材が提案されている。この従来の摩擦材では、両端部がディスクの形状に合わせて磨耗されることにより、面圧分布の偏りが小さくなり、制動時の騒音の発生が抑制される(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−194121号公報
【特許文献2】特開2003−21181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示されているブレーキ摩擦材では、珪藻土が混入されているので、ブレーキ摩擦材の強度が低下してしまう。また、ブレーキ摩擦材の空孔率を調整するために、良好な摩擦特性を確保する上では必要のない材料や繊維を混合する必要があるので、ブレーキ摩擦材の製造コストが増加してしまう。
【0006】
また、特許文献2に示されている摩擦材では、磨耗しやすい材料を摩擦材の両端部に用いる必要があるので、材料コストが増加してしまう。さらに、摩擦材の中央部が磨耗しにくく摩擦材の両端部が磨耗しやすくなっているので、摩擦材の中央部と両端部との境界で急激に硬さが変化することになり、摩擦材の中央部と両端部との境界でスティックスリップ現象を起こすおそれもある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、騒音の発生を抑制することができるとともに、製造コストの低減を図ることができ、制動力をより確実に発生することができるブレーキライニング、及びブレーキライニングの製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るブレーキライニングは、回転体に対するシューの変位により回転体に接離する接触部、接触部よりもシューに近い位置に配置され、シューに取り付けられる取付部、及び接触部及び取付部間を連結し、接触部と取付部とが互いに離れた状態を保つ連結部を備え、接触部は、回転体への接触により、シューに近づく方向への力を受けて弾性変形可能になっており、接触部と取付部との間には、シューに近づく方向への接触部の弾性変形を許容する所定の隙間が連結部を避けて設けられている。
【0009】
また、この発明に係るブレーキライニングは、回転体に対するシューの変位により回転体に接離する接触部、及び接触部からシューに向けて突出し、シューに取り付けられる突出部を備え、接触部は、回転体への接触により、シューに近づく方向への力を受けて弾性変形可能になっており、接触部とシューとの間には、シューに近づく方向への接触部の弾性変形を許容する所定の隙間が突出部を避けて設けられている。
【0010】
また、この発明に係るブレーキライニングの製造方法は、回転体に接離する接触部と、シューに取り付けられる取付部と、接触部及び取付部間を連結し、接触部と取付部とが互いに離れた状態を保つ連結部とを有し、接触部と取付部との間に所定の隙間が連結部を避けて設けられたブレーキライニングを製造するブレーキライニングの製造方法であって、ライニング用材料を型に入れて加圧することにより、取付部を成形する第1プレス工程、第1プレス工程後、表面及び裏面のそれぞれに離型剤を付けた除去板を、取付部の上面の一部を露出させた状態で取付部の上面に配置する板配置工程、板配置工程後、取付部の上面の露出部分と除去板とを覆うようにライニング用材料を型に入れて加圧することにより、取付部と一体となった連結部及び接触部を成形する第2プレス工程、第2プレス工程後、接触部、連結部及び取付部を除去板とともに型から外す離型工程、及び離型工程後、接触部と取付部との間から除去板を外すことにより、接触部と取付部との間に所定の隙間を形成する除去工程を備えている。
【0011】
また、この発明に係るブレーキライニングの製造方法は、回転体に接離する接触部と、シューに取り付けられる取付部と、接触部及び取付部間を連結し、接触部と取付部とが互いに離れた状態を保つ連結部と、連結部を避けて接触部と取付部との間に配置された保持板とを有し、接触部と保持板との間に所定の隙間が設けられたブレーキライニングを製造するブレーキライニングの製造方法であって、ライニング用材料を型に入れて加圧することにより、取付部を成形する第1プレス工程、第1プレス工程後、所定の厚さを持つ離型層を表面及び裏面のうち、表面にのみ形成した保持板を、取付部の上面の一部を露出させた状態で取付部の上面に配置する板配置工程、板配置工程後、取付部の上面の露出部分と保持板とを覆うようにライニング用材料を型に入れて加圧することにより、取付部及び保持板と一体となった連結部及び接触部を成形する第2プレス工程、第2プレス工程後、接触部、連結部及び取付部を保持板とともに型から外す離型工程、及び離型工程後、接触部と保持板との間から離型層を焼成により除去することにより、接触部と保持板との間に所定の隙間を形成する除去工程
を備えていることを特徴とするブレーキライニングの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係るブレーキライニングでは、シューに近づく方向への接触部の弾性変形を許容する所定の隙間が接触部と取付部との間に連結部を避けて設けられているので、回転体に接触する接触部をシューに近づく方向へ弾性変形しやすくすることができる。これにより、ブレーキライニングの回転体への接触によって生じる衝撃を吸収することができ、騒音の発生を抑制することができる。従って、摩擦特性を犠牲にする珪藻土や磨耗しやすい材料等をブレーキライニングに用いる必要がなくなり、摩擦特性を確保することができるとともに、製造コストの低減を図ることができる。また、騒音低減のために互いに性質の異なる材料を組み合わせてブレーキライニングを作製する必要もなくなるので、ブレーキライニングと回転体との間の摩擦係数の変動を小さくすることができる。さらに、接触部を回転体の形状に合わせて弾性変形させやすくすることができるので、回転体との接触面積を確保することができる。従って、制動力をより確実に発生することができる。
【0013】
また、この発明に係るブレーキライニングでは、突出部が接触部からシューに向けて突出し、シューに近づく方向への接触部の弾性変形を許容する所定の隙間が接触部とシューとの間に突出部を避けて設けられているので、回転体に接触する接触部をシューに近づく方向へ弾性変形しやすくすることができる。これにより、上記と同様に、騒音の発生を抑制することができるだけでなく、製造コストの低減も図ることができる。また、制動力をより確実に発生することもできる。
【0014】
また、この発明に係るブレーキライニングの製造方法では、ライニング用材料を型に入れて加圧し、表面及び裏面のそれぞれに離型剤を付けた除去板を型内に配置した後、ライニング用材料を型に入れて再度加圧することにより接触部、取付部及び連結部を一体に成形し、接触部と取付部との間から除去板を外すことにより接触部と取付部との間に所定の隙間を形成するようになっているので、切削等の作業を行うことなく、接触部と取付部との間に所定の隙間を形成することができる。従って、ブレーキライニングの成形に用いられる通常の設備を活用してブレーキライニングを製造することができ、ブレーキライニングの製造設備への投資を抑制することができる。
【0015】
また、この発明に係るブレーキライニングの製造方法では、所定の厚さを持つ離型層が形成された保持板を組み込んだ状態で接触部、取付部及び連結部を成形し、保持板を残したまま離型層のみを除去することにより所定の隙間を形成するので、保持板の厚さを薄くする必要がなくなり、保持板の強度を第2プレス工程時の加圧に耐えられる強度にすることができる。これにより、幅寸法が微小な所定の隙間をより均一に形成することができる。従って、回転体に対する制動力が大きなブレーキ装置にも適用可能なブレーキライニングを、通常の設備によって容易かつ安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態1によるブレーキ装置がエレベータの巻上機に適用されている構成を示す正面図である。
【図2】図1のII-II線に沿った模式的な断面図である。
【図3】図2のブレーキライニングを示す拡大図である。
【図4】図3のブレーキライニングを示す上面図である。
【図5】図3のブレーキライニングがドラム部の内周面に傾いて接触している状態を示す模式的な断面図である。
【図6】図5のブレーキライニングを示す拡大図である。
【図7】図3のブレーキライニングを製造するためにライニング用材料を加圧する第1プレス工程の状態を示す模式的な断面図である。
【図8】図7の第1プレス工程によって成形された取付部の上面に除去板を配置する板配置工程の状態を示す模式的な断面図である。
【図9】図8の板配置工程後にライニング用材料を型に入れて加圧する第2プレス工程の状態を示す模式的な断面図である。
【図10】図9の第2プレス工程によって接触部及び連結部が取付部と一体となって成形されている状態を示す模式的な断面図である。
【図11】図8の各除去板を示す上面図である。
【図12】この発明の実施の形態2によるブレーキライニングを示す断面図である。
【図13】この発明の実施の形態3によるブレーキライニングを示す断面図である。
【図14】図13のブレーキライニングを製造しているときの状態を示す模式的な断面図である。
【図15】この発明の実施の形態4によるブレーキライニングを示す断面図である。
【図16】図15のXVI-XVI線に沿った断面図である。
【図17】図15のブレーキライニングを製造するために第1プレス工程によって成形された取付部の上面に保持板を配置する板配置工程の状態を示す模式的な断面図である。
【図18】図17の板配置工程後の第2プレス工程によって接触部及び連結部が取付部と一体となって成形されている状態を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるブレーキ装置がエレベータの巻上機に適用されている構成を示す正面図である。また、図2は、図1のII-II線に沿った模式的な断面図である。図において、エレベータの巻上機1は、固定軸である主軸2と、主軸2を中心に回転されるロータ(回転体)3と、ロータ3を回転させる駆動力を発生するモータ(図示せず)とを有している。
【0018】
ロータ3は、図2に示すように、複数の軸受4を介して主軸2に回転自在に取り付けられている。また、ロータ3は、主軸2と同軸に配置された筒状の綱車部5と、主軸2と同軸に配置され、綱車部5の外径よりも大きな内径を持つ筒状のドラム部6と、綱車部5とドラム部6とを結ぶ中間部7とを有している。綱車部5、ドラム部6及び中間部7は、主軸2を中心として一体に回転される。
【0019】
綱車部5の外周部には、複数の綱車溝8が設けられている。綱車部5には、かご及び釣合おもりを吊り下げる図示しない複数本の懸吊体(例えばロープやベルト等)が各綱車溝8に挿入された状態で巻き掛けられる。これにより、かご及び釣合おもりは、ロータ3の回転に応じて昇降路内を昇降される。
【0020】
ドラム部6の径方向内側には、ブレーキ装置9が設けられている。ブレーキ装置9は、ドラム部6の内周面に接離する方向へ変位可能な一対の可動体10と、主軸2に支持され、各可動体10を変位させる一対のアクチュエータ11とを有している。
【0021】
各アクチュエータ11は、主軸2に対して固定された固定鉄心12と、固定鉄心12と可動体10との間で縮められ、ドラム部6の内周面に接触する方向へ可動体10を付勢する複数の付勢ばね(付勢体)13と、固定鉄心12に設けられ、各付勢ばね13の付勢力に逆らってドラム部6の内周面から離れる方向へ可動体10を吸引する電磁吸引力を発生するブレーキコイル(開放装置)14とを有している。
【0022】
各可動体10は、固定鉄心12に対向する可動鉄心15と、ドラム部6の内周面に対向するシュー16と、シュー16を可動鉄心15から離した状態で可動鉄心15及びシュー16を互いに連結する複数の支持ボルト17と、シュー16に設けられ、可動体10の変位によりドラム部6の内周面に接離する複数のブレーキライニング18とを有している。
【0023】
各支持ボルト17の一端部は、可動鉄心15に螺合されている。可動鉄心15とシュー16との間の距離は、各支持ボルト17の可動鉄心15に対する螺合量の調整により調整される。各支持ボルト17の他端部には、曲面部17aが設けられている。各支持ボルト17は、曲面部17aをシュー16に接触させた状態でシュー16に取り付けられている。これにより、シュー16は、各支持ボルト17に対して揺動可能になっている。
【0024】
付勢ばね13は、固定鉄心12と可動鉄心15との間で縮められている。ブレーキコイル14への通電が停止されているときには、付勢ばね13の付勢力により、ブレーキライニング18がドラム部6の内周面に押し付けられている(接触している)。ロータ3には、ブレーキライニング18がドラム部6の内周面に接触することにより制動力が与えられる。
【0025】
可動鉄心15は、ブレーキコイル14への通電により電磁吸引力を受けるようになっている。可動体10は、可動鉄心15が電磁吸引力を受けることにより、各付勢ばね13の付勢力に逆らって、ドラム部6の内周面から離れる方向へ変位される。ロータ3に与えられている制動力は、ブレーキライニング18がドラム部6から離れることにより消滅する。
【0026】
図3は、図2のブレーキライニング18を示す拡大図である。また、図4は、図3のブレーキライニング18を示す上面図である。図において、ブレーキライニング18は、繊維(基材)19及び調合材料20により構成されている。調合材料20には、摩擦調整剤、充填剤及び結合剤が含まれている。
【0027】
繊維19としては、例えばガラス繊維、スチール繊維、アラミド繊維、炭素繊維又はチタン酸カリウム繊維等が用いられている。摩擦調整剤としては、例えばカシューダスト、ゴムダスト、銅、亜鉛、アルミナ又はジルコニア等が用いられている。充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム又は硫化スズ等が用いられている。結合剤としては、例えばフェノール樹脂、メラニン樹脂又はポリイミド等が用いられている。
【0028】
ブレーキライニング18は、シュー16の変位によりドラム部6の内周面に接離する接触部21と、接触部21よりもシュー16に近い位置に配置され、シュー16に取り付けられる取付部22と、接触部21及び取付部22間を連結し、接触部21と取付部22とが互いに離れた状態を保つ連結部23とを有している。
【0029】
接触部21は、ドラム部6の内周面への接触により、シュー16に近づく方向への力を受けて弾性変形可能になっている。連結部23は、接触部21及び取付部22のそれぞれの一部同士のみを連結している。これにより、接触部21と取付部22との間には、シュー16に近づく方向(即ち、取付部22に近づく方向)への接触部21の弾性変形を許容する所定の隙間(空間)24が連結部23を避けて設けられている。接触部21は、連結部23が接続された部分よりも、所定の隙間24が隣接する部分で、取付部22に近づく方向へ弾性変形しやすくなっている。所定の隙間24は、ブレーキライニング18の外周面で開放されている。即ち、所定の隙間24は、接触部21と取付部22との間から外部へ開放されている。
【0030】
この例では、接触部21及び取付部22のそれぞれの中央部同士のみを連結部23が連結している。従って、この例では、所定の隙間24が連結部23を囲んで接触部21と取付部22との間に形成されている。これにより、接触部21の外周部が接触部21の中央部よりも弾性変形しやすくなっている。なお、この例では、ブレーキライニング18の厚さ方向に沿って見たときの接触部21、取付部22及び連結部23のそれぞれの形状が、図4に示すように矩形状となっている。また、この例では、ブレーキライニング18の厚さ方向に沿って見たときに、連結部23の外形の大きさが接触部21の外形の大きさよりも小さくなっており、接触部21及び取付部22のそれぞれの外形の大きさが同じになっている。
【0031】
図5は、図3のブレーキライニング18がドラム部6の内周面に傾いて接触している状態を示す模式的な断面図である。また、図6は、図5のブレーキライニング18を示す拡大図である。図に示すように、シュー16は各支持ボルト17に対して揺動可能になっているので、ブレーキライニング18がドラム部6の内周面に傾いて接触する(即ち、ブレーキライニング18がドラム部6の内周面に片当たりする)ことがある。ブレーキライニング18がドラム部6の内周面に片当たりするときには、接触部21の外周部がドラム部6の内周面に押されてシュー16に近づく方向へ弾性変形される。ブレーキライニング18がドラム部6の内周面から受ける衝撃は、接触部21の弾性変形によりブレーキライニング18に吸収される。
【0032】
次に、動作について説明する。かご及び釣合おもりを昇降させるときには、巻上機1のモータに駆動力を発生させるとともに、ブレーキコイル14への通電により電磁吸引力を発生させて可動体10をドラム部6の内周面から離しておく。これにより、ロータ3への制動力の付与が解除されて、ロータ3がモータの駆動力により回転される。
【0033】
かご及び釣合おもりが通常停止されると、図示しない制御装置の制御により、ブレーキコイル14への通電が停止される。これにより、電磁吸引力の発生が停止し、可動体10が付勢ばね13の付勢力によりドラム部6の内周面に向かって変位される。この後、ブレーキライニング18がドラム部6の内周面に接触して押し付けられることにより、ロータ3に制動力が与えられる。これにより、ロータ3の回転が防止され、かごの停止位置が保持される。
【0034】
ブレーキライニング18がドラム部6の内周面に片当たりする場合、接触部21の外周部のみがドラム部6の内周面に接触する。接触部21の外周部の取付部22側には所定の隙間24が形成されているので、接触部21の外周部は、ドラム部6の内周面に接触することにより、ドラム部6の内周面に押されて取付部22に近づく方向へ弾性変形される。これにより、衝撃力がブレーキライニング18に吸収されるとともに、ドラム部6の内周面に対するブレーキライニング18の接触面積も確保される。
【0035】
次に、ブレーキライニング18の製造方法について説明する。図7〜図10は、図3のブレーキライニング18を製造するときの手順を示す構成図である。ブレーキライニング18を製造するときには、まず、繊維19及び調合材料20をあらかじめ混合してライニング用材料としておく。この後、図7に示すように、所定量のライニング用材料をダイ(型)31に入れて、ライニング用材料を加熱しながらパンチ32により所定の圧力でライニング用材料を加圧し、取付部22を短時間成形する。この後、パンチ32による加圧を一旦解除する(第1プレス工程)。
【0036】
この後、図8に示すように、一対の除去板33を取付部22の上面に配置する。このとき、取付部22の上面の一部を露出させた状態で取付部22の上面に各除去板33を配置する。各除去板33の表面及び裏面のそれぞれには、離型剤が付けられている(板配置工程)。
【0037】
図11は、図8の各除去板33を示す上面図である。各除去板33は、互いにつき合わせて接触させることにより額縁状(環状)となる形状とされている。この例では、各除去板33をつき合わせて接触させた状態で各除去板33が取付部22の上面に重ねられる。従って、各除去板33が取付部22の上面に重ねられた状態では、取付部22の上面の中央部のみが露出される。除去板33の材料としては、例えば鉄やフッ素系の樹脂等が用いられている。除去板33に付けられる離型剤としては、フッ素系の樹脂(PFA(4フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル)やFEP(4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体)等)やCF3系のポリマ等が用いられている。離型剤は、例えば塗布や焼付け等により除去板33に付けられている。
【0038】
この後、図9に示すように、ダイ31内の取付部22の上面の露出部分と除去板33とを覆うようにライニング用材料をダイ31に入れて、再度、ライニング用材料を加熱しながらパンチ32により所定の圧力で所定の時間だけライニング用材料を加圧する。これにより、図10に示すように、取付部22と一体となった連結部23及び接触部21が成形される。この後、パンチ32による加圧を解除する(第2プレス工程)。
【0039】
この後、一体となった接触部21、取付部22及び連結部23を除去板33とともにダイ31から外す。このとき、各除去板33は、接触部21と取付部22との間に挟まれた状態で接触部21と取付部22との間から外部に露出している(離型工程)。
【0040】
この後、接触部21と取付部22との間から各除去板33を外す。このとき、各除去板33の表面及び裏面のそれぞれに離型剤が付けられているので、接触部21と取付部22との間から各除去板33を容易に外すことができる。これにより、接触部21と取付部22との間に所定の隙間24が形成される(除去工程)。
【0041】
この後、接触部21、取付部22及び連結部23を所定の温度で焼成することによりブレーキライニング18が完成する。完成したブレーキライニング18は、取付部22を例えば接着剤等でシュー16に固着することにより、シュー16に取り付けられる。
【0042】
このようなブレーキライニング18では、シュー16に近づく方向への接触部21の弾性変形を許容する所定の隙間24が接触部21と取付部22との間に連結部23を避けて設けられているので、ロータ3に接触する接触部21をシュー16に近づく方向へ弾性変形しやすくすることができる。これにより、ブレーキライニング18のロータ3への接触によって生じる衝撃をブレーキライニング18で吸収することができ、騒音の発生を抑制することができる。従って、摩擦特性を犠牲にする珪藻土や磨耗しやすい材料等をブレーキライニング18に用いる必要がなくなり、摩擦特性を確保することができるとともに、製造コストの低減を図ることができる。また、騒音低減のために互いに性質の異なる材料を組み合わせてブレーキライニングを作製する必要もなくなるので、ブレーキライニング18とロータ3との間の摩擦係数の変動を小さくすることができる。さらに、接触部21をロータ3の形状に合わせて弾性変形させやすくすることができるので、ロータ3との接触面積を確保することができる。従って、制動力をより確実に発生することができる。
【0043】
また、所定の隙間24は、接触部21の外周部と取付部22との間に設けられているので、ブレーキライニング18がロータ3に片当たりした場合であっても、接触部21の外周部を弾性変形しやすくすることができ、ブレーキライニング18がロータ3に接触したときの騒音の発生を抑制することができる。
【0044】
また、このようなブレーキライニング18の製造方法では、ライニング用材料をダイ31に入れて加圧し、表面及び裏面のそれぞれに離型剤を付けた除去板33をダイ31内に配置した後、ライニング用材料をダイ31に入れて再度加圧することにより接触部21、取付部22及び連結部23を一体に成形し、接触部21と取付部22との間から除去板33を外すことにより接触部21と取付部22との間に所定の隙間24を形成するようになっているので、切削等の作業を行うことなく、接触部21と取付部22との間に所定の隙間24を形成することができる。従って、ブレーキライニングの成形に用いられる通常の設備を活用してブレーキライニング18を製造することができ、ブレーキライニング18の製造設備への投資を抑制することができる。
【0045】
また、上記の例では、ブレーキライニング18が繊維19及び調合材料20で構成されているが、ブレーキライニング18を構成する材料にセラミック系の研磨材をさらに含めてもよい。このようにすれば、ブレーキライニング18がロータ3に接触したときの騒音を抑制したまま、ブレーキライニング18とロータ3との間の摩擦係数を大きくすることができる。これにより、ブレーキライニング18をロータ3に接触させる力を小さくすることができるので、付勢ばね13の付勢力を小さくすることができるだけでなく、ブレーキコイル14への通電による電磁吸引力も小さくすることができる。従って、ブレーキ装置9の消費電力を低減することができるとともに、付勢ばね13、ブレーキコイル14、固定鉄心12及び可動鉄心15の小形化を図ることができ、ブレーキ装置9の全体の小形化を図ることができる。
【0046】
実施の形態2.
実施の形態1では、接触部21と取付部22との間に所定の隙間24が設けられているが、取付部22をなくして、接触部21をシュー16に直接対向させることにより、接触部21とシュー16との間に所定の隙間24を設けてもよい。
【0047】
即ち、図12は、この発明の実施の形態2によるブレーキライニングを示す断面図である。図において、ブレーキライニング18は、ドラム部6の内周面に接離する接触部21と、接触部21からシュー16に向けて突出し、シュー16に取り付けられる突出部41とを有している。ブレーキライニング18を構成する材料は、実施の形態1のブレーキライニング18と同様である。
【0048】
突出部41は、接触部21の一部のみから突出している。また、突出部41は、接触部21をシュー16から離した状態で例えば接着剤等によりシュー16に固着されている。これにより、接触部21とシュー16との間には、シュー16に近づく方向への接触部21の弾性変形を許容する所定の隙間(空間)24が突出部41を避けて設けられている。所定の隙間24は、接触部21とシュー16との間から外部へ開放されている。
【0049】
この例では、接触部21の中央部から突出部41が突出している。従って、この例では、所定の隙間24が突出部41を囲んで接触部21とシュー16との間に形成されている。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0050】
実施の形態2によるブレーキライニング18は、実施の形態1による第1プレス工程を省いた手順により製造される。
【0051】
即ち、まず、表面及び裏面に離型剤を付けた一対の除去板を型内に配置する。各除去板は、互いにつき合わせることにより額縁状(環状)となる形状とされている。除去板は、額縁状の1枚の板であってもよい(板配置工程)。
【0052】
この後、繊維19及び調合材料20をあらかじめ混合して作っておいたライニング用材料を型に入れて、ライニング用材料を加熱しながらパンチにより所定の圧力で所定の時間だけ加圧する。これにより、接触部21及び突出部41が一体成形される。この後パンチによる加圧を解除する(プレス工程)。
【0053】
この後、接触部21及び突出部41を除去板とともに型から外し(離型工程)、接触部21及び突出部41から除去板を外す(除去工程)。
【0054】
この後、接触部21及び突出部41を所定の温度で焼成することによりブレーキライニング18が完成する。完成したブレーキライニング18は、接触部21をシュー16から離した状態で突出部41を例えば接着剤等でシュー16に固着することにより、シュー16に取り付けられる。
【0055】
このようなブレーキライニング18では、突出部41が接触部21からシュー16に向けて突出し、シュー16に近づく方向への接触部21の弾性変形を許容する所定の隙間24が接触部21とシュー16との間に突出部41を避けて設けられているので、ロータ3に接触する接触部21をシュー16に近づく方向へ弾性変形しやすくすることができる。これにより、実施の形態1と同様に、騒音の発生を抑制することができるだけでなく、製造コストの低減も図ることができる。また、制動力をより確実に発生することができる。
【0056】
また、このようなブレーキライニング18の製造方法では、表面及び裏面のそれぞれに離型剤を付けた除去板を型内に配置した後、ライニング用材料を型に入れて加圧することにより接触部21及び突出部41を一体に成形し、接触部21及び突出部41から除去板を外すことによりブレーキライニング18を製造するようになっているので、ブレーキライニングの成形に用いられる通常の設備を活用してブレーキライニング18を製造することができ、ブレーキライニング18の製造設備への投資を抑制することができる。また、実施の形態1よりも製造工程の数を減らすことができ、ブレーキライニング18をさらに容易に製造することができる。
【0057】
実施の形態3.
図13は、この発明の実施の形態3によるブレーキライニング18を示す断面図である。図において、取付部22は、シュー16に対して着脱可能な基板(着脱部材)51に固着されている。ブレーキライニング18は、基板51に直接成形されている。この例では、基板51が複数のねじ(締結部材)によりシュー16に固定される。
【0058】
取付部22を構成する材料は、接触部21及び連結部23を構成する材料と異なっている。接触部21及び連結部23を構成する材料は、実施の形態1のブレーキライニング18を構成する材料と同様である。
【0059】
取付部22は、繊維19及び接着用調合材料52により構成されている。取付部22を構成する材料に含まれる繊維19は、接触部21及び連結部23を構成する材料に含まれる繊維19と同じである。接着用調合材料52は、接触部21及び連結部23を構成する材料に含まれる調合材料20よりも、結合剤の混合比率を大きくした材料である。従って、取付部22を構成する材料は、接触部21及び連結部23を構成する材料よりも基板51への固着力が大きい材料とされている。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0060】
次に、実施の形態3によるブレーキライニング18の製造方法について説明する。図14は、図13のブレーキライニング18を製造しているときの状態を示す模式的な断面図である。まず、断面矩形状の筒状のダイ(型)53を立てて配置し、ダイ53の下面に基板51を当てて、ダイ53の下面の開口部を基板51で塞いでおく。また、繊維19及び接着用調合材料52を混合した第1のライニング用材料と、繊維19及び調合材料20を混合した第2のライニング用材料とをあらかじめ作っておく。
【0061】
この後、所定量の第1のライニング用材料をダイ53に入れ、第1のライニング用材料を基板51の上面に載せる。この後、第1のライニング用材料を加熱しながらパンチにより所定の圧力で第1のライニング用材料を加圧する。これにより、ダイ53内で取付部22が成形される。この後、パンチによる加圧を一旦解除する(第1プレス工程)。
【0062】
この後、実施の形態1と同様に、表面及び裏面のそれぞれに離型剤を付けた一対の除去板33を取付部22の上面に配置する(板配置工程)。
【0063】
この後、第2のライニング用材料をダイ53に入れて、第1及び第2のライニング用材料をまとめて加熱しながら、パンチにより所定の圧力で所定の時間だけ加圧する。この後、パンチによる加圧を解除する。これにより、図14に示すように、取付部22と一体となった連結部23及び接触部21が成形される(第2プレス工程)。
【0064】
この後、接触部21、取付部22及び連結部23を除去板33とともにダイ53から外す。このとき、取付部22は基板51に固着された状態になっている(離型工程)。
【0065】
この後、接触部21と取付部22との間から各除去板33を外し、接触部21と取付部22との間に所定の隙間24を形成する(除去工程)。
【0066】
この後、接触部21、取付部22及び連結部23を所定の温度で焼成することにより、基板51に固着されたブレーキライニング18が完成する。ブレーキライニング18は、基板51をねじでシュー16に固定することによりシュー16に取り付けられる。また、ブレーキライニング18は、ねじを外すことによりシュー16から取り外される。
【0067】
このようなブレーキライニング18では、シュー16に対して着脱可能な基板51に取付部22が固着されているので、シュー16に対して基板51を着脱することにより、シュー16に対してブレーキライニング18を着脱可能にすることができる。これにより、シュー16に対するブレーキライニング18の着脱を容易にすることができる。また、ブレーキライニング18をシュー16に直接固着する必要がなくなるので、製造工程の簡素化を図ることができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0068】
なお、上記の例では、取付部22を構成する材料と、接触部21及び連結部23を構成する材料とが、互いに異なる材料となっているが、取付部22を構成する材料と、連結部23を構成する材料とを同じ材料とし、接触部21を構成する材料を、取付部22及び連結部23の材料と異なる材料としてもよい。
【0069】
また、上記の例では、接触部21、取付部22及び連結部23を有するブレーキライニング18が基板51に固着されているが、接触部21及び突出部41を有する実施の形態2のブレーキライニング18を基板51に固着してもよい。この場合、突出部41が基板51に固着される。また、所定の隙間は、接触部21と基板51との間に突出部41を避けて形成される。
【0070】
実施の形態4.
図15は、この発明の実施の形態4によるブレーキライニングを示す断面図である。また、図16は、図15のXVI-XVI線に沿った断面図である。図において、ブレーキライニング18は、実施の形態1と同様の接触部21、取付部22及び連結部23に加えて、接触部21、取付部22及び連結部23よりも硬い保持板61を有している。
【0071】
保持板61は、接触部21と取付部22との間に連結部23を避けて配置されている。また、保持板61は、接触部21から離れた状態で取付部22に重ねられている。これにより、接触部21と保持板61との間には、シュー16に近づく方向(即ち、取付部22に近づく方向)への接触部21の弾性変形を許容する所定の隙間24が設けられている。所定の隙間24の幅寸法(接触部21と保持板61との間の距離)は、保持板61の厚さよりも小さく設定されている。
【0072】
この例では、保持板61が連結部23を囲んで配置されている。また、この例では、保持板61の形状が額縁状とされている。さらに、この例では、所定の隙間24の幅寸法がサブミリメートル単位の寸法になっている。保持板61の材料としては、例えば鉄等の金属や耐熱性のポリイミド樹脂等が用いられている。
【0073】
保持板61には、取付部22に近づく方向への接触部21の弾性変形により接触部21の外周端部(一部)が接触可能になっている。これにより、取付部22に近づく方向への接触部21の弾性変形量が規制される。即ち、保持板61は、取付部22に近づく方向へ弾性変形する接触部21を受けることにより、接触部21の弾性変形量を規制する。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0074】
次に、実施の形態4によるブレーキライニング18の製造方法について説明する。図17及び図18は、図15のブレーキライニング18を製造するときの手順を示す断面図である。まず、実施の形態1と同様に、所定量のライニング用材料をダイ31に入れて、ライニング用材料を加熱しながら加圧することにより、取付部22を成形する(第1プレス工程)。
【0075】
この後、図17に示すように、所定の厚さを持つ離型層62を形成した保持板61を取付部22の上面に配置する。このとき、取付部22の上面の一部を露出させた状態で保持板61を取付部22の上面に配置する。離型層62は、保持板61の表面及び裏面のうち、表面にのみ形成されている。また、保持板61は、取付部22の上面に裏面を接触させた状態で取付部22に重ねられる。離型層62の厚さは、保持板61の厚さよりも小さくされている。離型層62の材料としては、実施の形態1の離型剤の材料と同様の材料が用いられている。離型層62は、例えば塗布や焼付け等により保持板61の表面に形成されている(板配置工程)。
【0076】
この後、実施の形態1と同様に、ライニング用材料をダイ31に入れて、再度、ライニング用材料を加熱しながら加圧する。これにより、図18に示すように、取付部22及び保持板61と一体となった連結部23及び接触部21が成形される(第2プレス工程)。
【0077】
この後、一体となった接触部21、取付部22及び連結部23を保持板61とともにダイ31から外す(離型工程)。
【0078】
この後、離型層62を焼成により炭化させて、接触部21と保持板61との間から離型層62を除去する。これにより、接触部21と保持板61との間に所定の隙間24が形成され、接触部21、取付部22、連結部23及び保持板61を有するブレーキライニング18が完成する(除去工程)。
【0079】
この後、ブレーキライニング18は、実施の形態1と同様にしてシュー16に取り付けられる。
【0080】
ここで、ドラム部6の内周面に対するブレーキライニング18の押圧力が大きい場合、所定の隙間24の幅寸法が広すぎると、接触部21の弾性変形が規制されず、接触部21の弾性変形量が大きくなりすぎてしまうことがある。この場合には、接触部21の弾性変形量を小さくするために、所定の隙間24の幅寸法を小さくする必要があるが、実施の形態1によるブレーキライニング18の製造方法では、除去板33の厚さを薄くしすぎると、第2プレス工程時の加圧により除去板33が変形して、均一な隙間24を得ることができなくなるおそれがある。
【0081】
実施の形態4によるブレーキライニング18の製造方法によれば、離型層62が形成された保持板61を組み込んだ状態で接触部21、取付部22及び連結部23を成形し、保持板61を残したまま離型層62のみを除去することにより所定の隙間24を形成するので、保持板61の厚さを薄くする必要がなくなり、保持板61の強度を第2プレス工程時の加圧に耐えられる強度にすることができる。これにより、幅寸法が微小な所定の隙間24をより均一に形成することができる。従って、ロータ3に対する制動力が大きなブレーキ装置9にも適用可能なブレーキライニング18を、通常の設備によって容易かつ安価に製造することができる。
【0082】
また、実施の形態4によるブレーキライニング18では、接触部21と取付部22との間に保持板61が配置され、接触部21と保持板61との間に所定の隙間24が設けられているので、所定の隙間24の幅寸法を容易に小さくすることができる。これにより、接触部21の弾性変形量を保持板61で規制することができ、接触部21の弾性変形量が大きくなりすぎることを防止することができる。従って、ブレーキライニング18の強度を確保しながら、ブレーキライニング18のロータ3への接触によって生じる衝撃をブレーキライニング18で吸収して騒音の発生を抑制することができる。これにより、ロータ3に対する制動力が大きなブレーキ装置9にも、ブレーキライニング18を適用可能にすることができる。
【0083】
上記の例では、実施の形態1によるブレーキライニング18に保持板61が適用されているが、実施の形態3によるブレーキライニング18に保持板61を適用してもよい。
【0084】
また、実施の形態1〜4では、ブレーキライニング18がエレベータの巻上機のブレーキ装置9に適用されているが、例えば、ホイスト等の産業機器や電動モータ、自動車等に組み込まれるブレーキ装置にブレーキライニング18を適用してもよい。
【符号の説明】
【0085】
3 ロータ(回転体)、16 シュー、21 接触部、22 取付部、23 連結部、24 所定の隙間、31,53 型、33 除去板、41 突出部、51 基板(着脱部材)、61 保持板、62 離型層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体に対するシューの変位により上記回転体に接離する接触部、
上記接触部よりも上記シューに近い位置に配置され、上記シューに取り付けられる取付部、及び
上記接触部及び上記取付部間を連結し、上記接触部と上記取付部とが互いに離れた状態を保つ連結部
を備え、
上記接触部は、上記回転体への接触により、上記シューに近づく方向への力を受けて弾性変形可能になっており、
上記接触部と上記取付部との間には、上記シューに近づく方向への上記接触部の弾性変形を許容する所定の隙間が上記連結部を避けて設けられていることを特徴とするブレーキライニング。
【請求項2】
上記所定の隙間は、上記接触部の外周部と上記取付部との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のブレーキライニング。
【請求項3】
上記取付部は、上記シューに対して着脱可能な着脱部材に固着されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブレーキライニング。
【請求項4】
上記接触部と上記取付部との間に上記連結部を避けて配置された保持板
をさらに備え、
上記所定の隙間は、上記接触部と上記保持板との間に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のブレーキライニング。
【請求項5】
回転体に対するシューの変位により上記回転体に接離する接触部、及び
上記接触部から上記シューに向けて突出し、上記シューに取り付けられる突出部
を備え、
上記接触部は、上記回転体への接触により、上記シューに近づく方向への力を受けて弾性変形可能になっており、
上記接触部と上記シューとの間には、上記シューに近づく方向への上記接触部の弾性変形を許容する所定の隙間が上記突出部を避けて設けられていることを特徴とするブレーキライニング。
【請求項6】
回転体に接離する接触部と、シューに取り付けられる取付部と、上記接触部及び上記取付部間を連結し、上記接触部と上記取付部とが互いに離れた状態を保つ連結部とを有し、上記接触部と上記取付部との間に所定の隙間が上記連結部を避けて設けられたブレーキライニングを製造するブレーキライニングの製造方法であって、
ライニング用材料を型に入れて加圧することにより、上記取付部を成形する第1プレス工程、
上記第1プレス工程後、表面及び裏面のそれぞれに離型剤を付けた除去板を、上記取付部の上面の一部を露出させた状態で上記取付部の上面に配置する板配置工程、
上記板配置工程後、上記取付部の上面の露出部分と上記除去板とを覆うようにライニング用材料を上記型に入れて加圧することにより、上記取付部と一体となった上記連結部及び上記接触部を成形する第2プレス工程、
上記第2プレス工程後、上記接触部、上記連結部及び上記取付部を上記除去板とともに上記型から外す離型工程、及び
上記離型工程後、上記接触部と上記取付部との間から上記除去板を外すことにより、上記接触部と上記取付部との間に上記所定の隙間を形成する除去工程
を備えていることを特徴とするブレーキライニングの製造方法。
【請求項7】
回転体に接離する接触部と、シューに取り付けられる取付部と、上記接触部及び上記取付部間を連結し、上記接触部と上記取付部とが互いに離れた状態を保つ連結部と、上記連結部を避けて上記接触部と上記取付部との間に配置された保持板とを有し、上記接触部と上記保持板との間に所定の隙間が設けられたブレーキライニングを製造するブレーキライニングの製造方法であって、
ライニング用材料を型に入れて加圧することにより、上記取付部を成形する第1プレス工程、
上記第1プレス工程後、所定の厚さを持つ離型層を表面及び裏面のうち、表面にのみ形成した保持板を、上記取付部の上面の一部を露出させた状態で上記取付部の上面に配置する板配置工程、
上記板配置工程後、上記取付部の上面の露出部分と上記保持板とを覆うようにライニング用材料を上記型に入れて加圧することにより、上記取付部及び上記保持板と一体となった上記連結部及び上記接触部を成形する第2プレス工程、
上記第2プレス工程後、上記接触部、上記連結部及び上記取付部を上記保持板とともに上記型から外す離型工程、及び
上記離型工程後、上記接触部と上記保持板との間から上記離型層を焼成により除去することにより、上記接触部と上記保持板との間に上記所定の隙間を形成する除去工程
を備えていることを特徴とするブレーキライニングの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−145140(P2012−145140A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2144(P2011−2144)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】