説明

ブロー成形体

【課題】ブロー成形ボトルの容器の表面に、ゴム部材を確実且つ容易に一体化できる、しこも落下時に、割れが起こることがないブロー成形体を提供する。
【解決手段】ブロー成形体の表面にゴム部材を一体化してブロー成形するにあたり、ブロー成形体本体の材質をポリオレフィン樹脂とし、このゴム部をEPRエチレンプロピレンゴム(EPR)またはEPDM(エチレンプロピレンゴム3元共重合体)から選択されたものとし、このゴムは部材がショアー硬度70A以下であるブロー成形体として、ゴム部材の容着一体化する周縁に面取り部を有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形体に関し、特に、ブロー成形体の表面にゴムをインサートしたブロー成形体とそのブロー成形体の製造方法に関する。
【従来の技術】
【0002】
ブローボトルがシャンプーやリンスなどの容器として多用されており、風呂場や水を使用する場合に、手が滑るなど、不具合を有していた。このブローボトルの製造方法としては、ブロー成形法が広く知られている。ブロー成形法は、熱可塑性樹脂を成形して、ボトル容器などを作る場合、空気圧を利用するものである。即ち、パリソンと呼ばれる原料を溶融させパイプ状にしたものを、分割した金型内に押し出し、金型を閉じてから、パリソン内に空気を吹き込み成形するものである。パリソンは空気圧により膨らみ、外側の金型に押しつけられ、冷却されて固化するので、その後金型を開いて製品を取り出せばよい。
このようなブロー成形は、特許文献1に開示されており、特許文献2〜4には、ラベルをインモールドした例が示されている。
【特許文献1】特開平11−254515号公報
【特許文献2】特開平8−91397号公報
【特許文献3】特開2002−37230号公報
【特許文献4】特開2003−226318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の不具合に対して、ブローボトルの表面に、ゴム部材を配置するという構成が有効であることが判った。
しかし、容器が落下すると、熱融着しているインサートゴムの端面より容器本体に亀裂が発生して、割れてしまうという問題があった。
本発明の課題は、ブロー成形による容器の表面に、ゴム部材を確実且つ容易に一体成形でき、しかも、成形体の落下時においてもインサートゴムの端面の亀裂の発生が抑えられ、割れてしまうという事故の発生を抑えられるブロー成形体とブロー成形体の製造方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような課題を解決するために、本発明では、ブロー成形体本体と、このブロー成形体本体の表面の少なくとも一部において前記ブロー成形体本体に一体成形されたゴム部材とを有し、前記ゴム部材の前記本体との融着側の周縁に面取り部を有することを特徴とするブロー成形体を構成する。
この場合、前記ゴム部材は、2層以上からなり、最表面層以外の層の側縁に面取りがなされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0005】
本発明のインサート成形体本体に用いるポリオレフィン樹脂に対し、適切なゴム材質を選択することにより、ブロー成形ボトルの容器の表面に、ゴム部材を確実且つ容易にインサートできるブロー成形体を提供することができる。これにより、ボトル容器の表面に、ゴム部材を一体成形できるので、滑り止め効果が発現し、風呂場に使うシャンプーやリンスの用途に有益である。そして、容器が落下したときも割れて破損する事故が防がれる。
【発明を実施するための態様】
【0006】
本発明の実施態様を図1に従って説明する。図1に示される態様において、ブロー成形体本体1に融着されてインサートされるゴム部材2は、その本体1との融着側の周縁、即ち側縁部分が厚さ方向に、外側に直線部分21と面取り部25とを有する。この場合、この周縁をなす端面(側縁)は面取り部を有していればよいが、図示のように、最外側の部分、即ち、最表面層以外の部分の周縁(側縁)を直線部分21として、それ以外の部分の側面の周縁に面取りをして、面取り部25とすることが好ましい。図示例では、2層構造とされており、その際表面層の内側の層に面取り部25を設けている。そして、ゴム部材の層厚みtは、通常0.2〜2.0mm程度とし、これに面取り部分25を厚みt0.1〜1.0mmに設けることが好ましい。さらに、直線部分21の厚みt2は0.1〜1.0mmとすることが好ましい。また、図示例における直線部分21と面取り部25の厚さ方向にて交差する角度θは、40〜60°??程度とするのがよい。
このような場合、図1では、ゴム部材の外形形状は、矩形であって、各角部にRをつけたものになっているが、この他、円形、楕円形、3角形などの多角形や星型やハート型等の種々の意匠形状であってよい。そして、通常は、その全周に亘って、その側縁(周縁)に面取り部25が設けられる。面取り部25は必ずしも側縁・周縁の全周に亘って設けなくてもよく、その一部のみに設けられていてもよいが、落下時の亀裂を防ぐ上では、図示のように、全周に設けられた方がよい。なお、直線部分21および面取り部25の角部には、曲率を持ったRが設けられる。
そして、ゴム部材2は、通常は平坦面であるが、本体1の形状に合致した曲面であってもよい。ゴム部材2の外形形状は、通常10〜100cm程度とする。なお、本体1のサイズは、100ml〜1.0L程度のものに適用可能である。
そして、ゴム部材2は、通常は、平坦面であるが、容器本体1の形状に合致した曲面であってもよい。これらの場合、ゴム部材2に、直線部分21と面取り部25とを設けるには、ゴム材質からの成形によって、或いは、ブロックからの研削・切除、そして、2つの部際の張り合わせ等のいずれの方法によってもよい。
このような本発明に反し、ゴム部材に面取り部25を設けない場合には、図8(b)に示されるように、本体1とゴム部材2との間に隙間19が発生しやすくなるが、本発明に従い、面取り部25を設けることによって、図8(b)に示される隙間19のサイズは図1(c)に示されるように、可及的に減少し、実質的にゼロとなり、隙間の発生は防止されて、落下時の際の割れの発生が防止されるのである。この場合、落下試験は、内容量1L程度にて、5℃において、コンクリートへの正立落下1mという過酷な条件下でも、破損個数は、皆無であるという優れた効果が発現するのである。
【0007】
次に、本発明のブロー成形体本体1とゴム部材の材質について、図1に従って説明する。
図1に示される態様では、ブロー成形体本体1と一体化してゴム部材2が設けられている。この場合は、ブロー成形体本体1の表裏の一箇所に、ゴム部材2が設けられているが、ゴム部材2は、2箇所以上に設けられていてもよい。
ブロー成形体本体1に用いる樹脂としては、ポリオレフィン樹脂を選択する。ポリオレフィン樹脂としては、特に制限はないが、ポリプロピレンまたは高密度ポリエチレンであることが好ましい。
そして、これに一体成形するゴムを部材2は、エチレンプロピレンゴム(EPR)またはエチレンプロピレンゴム3元共重合体(EPDM)から選択されたものである。これ以外のゴム材質では、ポリオレフィンとブレンドしようとしても相溶せず、ゴム中でポリオレフィンが均一に分散せず、溶着が不十分になる傾向がある。
さらに、ゴム部材のショア硬度は、70A以下であることが好ましい。この硬度以下であれば、ゴム弾性が確保される。一方この硬度を超えると、曲げ試験を何回も行い、再び元々の形状に復元したとき、曲げ部の癖形状が残ってしまう恐れがある。
これらの場合、ポリオレフィン樹脂として、先ず、ポリプロピレン樹脂について説明する。用いるポリプロピレン樹脂のパリソン温度は、165〜185℃であることが好ましい。165℃未満であると、インサート成形により、溶着し難くなる傾向があり、185℃を超えると、図8(a)に示されるように、ゴム部材2の周囲の樹脂のブロー成形体本体1に、一体化すべきゴム部材2から同心円状に皺18が広がり、弛んだ樹脂の皺18が発生し易くなってしまう傾向がある。
この場合、ポリプロピレンとしては、メルトインデックス(MI)が0.15〜2.0のものであることが好ましい。これにより、皺18の発生や接着不良が抑えられる。この場合、MIが2.0を超えると、一体化したゴム部材2の周囲のブロー成形体本体、即ち、容器本体1に、図8(a)に示されるような皺18が発生し易くなる傾向がでてくる。また、図8(b)に示されるような隙間19が発生して見栄えが悪くなったり、隙間から剥離する恐れがあったりするが、これも有効に抑制される。
用いるポリプロピレン樹脂のパリソン温度は、165〜185℃であることが好ましい。165℃未満であると、インサート成形により、溶着し難くなる傾向があり、185℃を超えると、図8(a)に示されるように、ゴム部材2の周囲から同心円状に皺18が拡がり、弛んだ樹脂の皺18が発生し易くなってしまう。そして、パリソン温度を上記のように管理することによって、これらの不具合は解消されることになる。
一方、ゴム部材中に、ゴム材質とポリプロピレン樹脂が混合されることが好ましいが、このゴム材質と混合されるポリプロピレン樹脂は、ブロックタイプのポリプロピレン樹脂および/またはランダムタイプのポリプロピレン樹脂であることが好ましい。そして、その含有量は、37〜52%であることが好ましい。37%を下回ると、溶着が不十分となる傾向があり、また、ゴム弾力がなくなる傾向がある。一方、樹脂が52%を超えると、ゴムの質感が損なわれるおそれがある。また、ポリプロリレン樹脂の曲げ弾性率は、700MPa以下であることが望ましい。700MPaを上回ってしまうと、ゴムのクッション性が損なわれ、ゴム弾力がなくなって、ブロー圧力の低い圧力での溶着が困難になってくる傾向がある。なお、ゴム部材と混合されるポリプロピレン樹脂が、ブロックタイプおよび/またはランダムタイプのポリプロピレン樹脂の混合物である場合、ブロックタイプのポリプロピレン樹脂とランダムタイプのポリプロピレン樹脂とが相溶状態で混合されていることが好ましい。
次に、高密度ポリエチレン樹脂をパリソンとして用いる場合について説明する。この場合は、パリソン温度を150〜170℃で、成形する。150℃未満の温度では、ブロー成形が行えない可能性が生じてくる。また、170℃を超えるパリソン温度では、図7(b)に示されるように、ゴムの周囲に皺18が生じる傾向がある。また、高密度ポリエチレン樹脂のMIは、0.3〜3.0であることが好ましい。MIが0.3未満であると、図7(b)に示されるように、本体1とゴム部材2との間に隙間19が発生しやすくなる。また、MIが3.0を超えると、図7(a)に示されるように、皺18が発生しやすくなる。
また、ゴム部材に添加するポリエチレン樹脂(PE)としては、低密度ポリエチレン(LDPE)や、直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)のいずれかを用いることが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、或いは、併用してもよい。併用する場合の併用割合は、任意である。このようなポリエチレン樹脂は、32〜57%含有されることが好ましい。32%を下回ると、溶着が不十分になる傾向があり、また、57%を超えると、ゴムの質感が損なわれるおそれがある。
さらに、ポリエチレン樹脂(PE)の曲げ弾性率は、150MPa以下とすることが好ましい。150MPaを超えると、ゴムのクッション性が損なわれ、ブロー圧力の低い圧力での溶着が困難になってくる傾向がある。この場合は、上記のとおり、パリソン温度を150〜170℃で、成形する。
以上、詳述したように、本発明では、所定のポリオレフィン樹脂の容器本体の表面に、所定のゴム部材を一体成形する。一体成形を行うには、以下のようにすればよい。
本発明においては、金型内で、ブロー成形を行う。この際、図2に示されるように、金型3内の所定の位置に、ゴム部材1を載置して、金型を設置した基板4を介して管6からの吸引に寄り、減圧力で吸引する。なお、以下に説明する図2以降、即ち図2〜図7では、説明を簡略化するために、ゴム部材2は、直線部21のみをもつ形状に描いており、面取り部25の存在は省略しているが、面取り部25を有することは言うまでもない。
図2(a)、(b)に示される例では、隙間パーツ50により、吸引する例が示される。また、図3(a)、(b)に示される例では、多孔質の焼結金属55を介在させて、吸引により、減圧吸引する例が示される。
このように、図4に示されるように、金型3にゴム部材2を固定した後、図4に示されるように、パリソン10を導入し、高圧でエアーを吹き込み、冷却・固化した後、金型を開けば、図5に示されるように、表面にゴム部材2を一体的に保持したブロー成形体本体1が得られる。この際、図6に示されるように、本体1の凹部形状の部分15に、本体の表面と同一の面を形成するように、ゴム部材2を一体化することができる。その他、図7に示されるように、ブロー成形体本体1の凹形状の部分15にゴム部材2を一体化して、表面から凹んだ位置にゴム部材2を一体成形することもできる。図5、6に示される例では、本体1の表側および裏側の2箇所の部分に相互に離間して、2個のゴム部材2,2を設けた例が示されているが、これに拘わらず、ボトル容器の使い勝手に応じて、本体1の外周上に、周方向に亘って、ゴム部材2を設けてたり、1箇所のみに1個だけゴム部材を設けてもよい。
【発明の実施例】
【0008】
以下に、本発明の実施例を示す。
【実施例1】
【0009】
ブロー成形体本体1に、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)を用い、ゴム部材2に、エチレンプロピレンゴム(EPR)に低密度ポリエチレン(LLDPE)を添加したものを下記の表1に示されるような比率で配合したものを用いて、内容量800ml、平均胴厚0.8mmのブロー成形容器を得た。
この場合、本体1のHDPEのメルトインデックス(MI)は、1.5であり、ゴム硬度は、60Aであり、成形温度は、165℃とした。さらに、ゴム部材2は、総厚みt0.8mmとした。直線部は21は、110x70mmの矩形とし、0.3mmの厚みtに形成した。この直線部分21に一体的に接して、これと相似形の底面形状で、0.5mmの厚みtで、その側縁(周縁)が45°の角度θで直線部21に当接する面取り部25を設けた。
これらの試料番号1〜5に対し、落下試験を行った。落下試験は、5℃にて、1mの高さから、コンクリートへの正立落下で試験数n=10で行った。
結果を表1に示す。
表中、○は、10回の繰り返し落下中、割れ発生全く無し、
△ は、10回の繰り返し落下中、1〜4回目で割れ発生、
×は、10回の繰り返し落下中、4〜8回目で割れ発生である。

表1



試料 容器本体 インサートゴム 落 下 試 験 結 果
(5℃、1m、コンクリート正立落下)
番号 材質比率 n=10
樹脂材質 EPR:LLDP 端面面取り 端面面取り無し
1 HDPE −
2 HDPE 5:5 〇 △
3 HDPE 5:5 〇 ×
4 HDPE 6:4 〇 △
5 HDPE 6:4 〇 ×


表1に示される結果から、本発明による面取りの効果が明らかである。


【実験例2】
【0010】
ブロー成形体本体に、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)を用い、ゴム部材に添加するポリプロピレン樹脂として、LLDPE:LDPEの1:1の混合物を用い、樹脂肉厚は、1.5〜2mmとし、インサートゴムの肉厚は、1.0mmとした。HDPEボトル樹脂のMIを下記表1に示されるように、種々変更し、その際の成形のパリソン温度を同時に表1に示されるように変更して、図1に示される構成でブロー成形を行った。この際、ゴム:樹脂の比率は、50:50に固定し、樹脂の曲げ弾性率は、150MPaとし、ゴム硬度は、60Aとした。
結果を表1に示す。ゴムと樹脂との境目に、隙間の発生と皺の発生があるかないかを確認した(評価1)。この場合、評価1として、インサートしたゴムと樹脂の境目に、隙間19が発生していたときは、×皺発生とした。また、インサートしたゴムの周囲に、弛んだ樹脂の皺18が発生したときは、×皺発生とした。そして、これらのいずれもがなかったときは、◎良好と評価した。また、これらのいずれかが僅かに発生したときには、 △やや良好と評価した。結果を表2に示す。

表2
メルトインデックス(MI)
成形温度 0.15 0.3 1.5 3.0 4.0
145℃ ×隙間発生 ×隙間発 ×隙間発生 ×隙間発 ×隙間発生
150℃ ×隙間発生 ◎良好 ◎良好 ◎良好 △やや良好
155℃ ×隙間発生 ◎良好 ◎良好 ◎良好 ×皺発生
160℃ ×隙間発生 ◎良好 ◎良好 ◎良好 ×皺発生
165℃ △やや良好 ◎良好 ◎良好 ◎良好 ×皺発生
170℃ △やや良好 ◎良好 ◎良好 ◎良好 ×皺発生
175℃ ×皺発生 ×皺発生 ×皺発生 ×皺発生 ×皺発生
表2に示される結果から、パリソン温度150〜170℃およびMI0.3〜3では、隙間の発生も皺の発生もなく、この数値限定による臨界的効果が明らかである。
次に、上記の条件において、メルトインデックスMIを1.5に、また、ゴム硬度を60Aに固定して、インサートゴムのゴム:樹脂の比率を種々変更し、成形温度による依存性を評価した。この場合、ゴムと樹脂が溶着された部位を破断するまで引っ張り試験をした結果、ゴムと樹脂との界面が剥離する現象の有無を観察して、剥離の有無を◎、〇、×、△で評価した(評価2)。また1mm厚みのゴム片を360°合わせて曲げを行い、ゴム単体の場合と比較して、元々の形状に復元したときに、曲げ部の癖形状が残るか否かを評価(評価3)して、ゴム弾力の有無を接着◎、〇、×、△で評価した。結果を表3、表4に示す。
表3
_______________________________________________
成形温度 インサートゴム:樹脂比成形温度

145℃ ×ゴム弾力無 ×接着不 ×接着不良 ×接着不良
150℃ ×ゴム弾力無 ◎良好 ◎ 良好 ×接着不良
155℃ ×ゴム弾力無 ◎良好 ◎良好 ×接着不良
160℃ ×ゴム弾力無 ◎良好 ◎良好 ×接着不良
165℃ ×ゴム弾力無 ◎良好 ◎良好 ×接着不良
170℃ ×ゴム弾力無 ◎良好 ◎良好 △やや良好
175℃ ×ゴム弾力無 ×皺発生 ×皺発生 ×皺発生


表4
インサートゴム:樹脂比率
成形温度 43:57 48:52 63:37 68:32
145℃ ×接着不良 ×接着不良 ×接着不良 ×接着不良
150℃ ◎良好 ◎良好 ◎良好 ◎良好
155℃ ◎良好 ◎良好 ◎良好 ◎良好
160℃ ◎良好 ◎良好 ◎良好 ◎良好
165℃ ◎良好 ◎良好 ◎良好 ◎良好
170℃ ◎良好 ◎良好 ◎良好 ◎良好
175℃ ×皺発生 ×皺発生 ×皺発生 ×皺発生△

表3、表4に示される結果から、本発明における成形温度とゴム:樹脂比率の効果が明らかである。
さらに、上記において、ゴム:樹脂の比率を50:50に、また、成形温度を160℃に、それぞれ、固定して、ゴム硬度とインサート混合樹脂の曲げ弾性率とを変化させ、同様に、ブロー成形体を得た。上記j評価1,2とともに、1mm厚みのゴム片を360°合わせて曲げを行い、ゴム単体の場合と比較して、元々の形状に復元したときに、曲げ部の癖形状が残るか否かを評価(評価3)した。結果を表5に示す。
表5
______________________________________________________________
インサートゴム硬度 インサート混合樹脂の曲げ弾性率
ショアーA硬度 70Mpa 150Mpa 200Mpa
45 ◎良好 ◎良好 △やや良好
55 ◎良好 ◎良好 △やや良好
60 ◎良好 ◎良好 △やや良好
70 ◎良好 ◎良好 △やや良好
78 ×ゴム弾力無 ×ゴム弾力無 ×ゴム弾力無
___________________________________________________

ゴムと樹脂が溶着された部位を破断するまで引っ張り試験をした結果、ゴムと樹脂との界面が剥離する現象も観察されず(評価2)、また、1mm厚みのゴム片を360°合わせて曲げを行い、ゴム単体の場合と比較して、元々の形状に復元したときに、曲げ部の癖形状が残るか否かを評価(評価3)して、ゴム弾力の有無を評価したところ、癖形状は残らず、良好な結果を得た。

【実験例3】
【0011】
ブロー成形体本体に、ポリプロピレン樹脂を用い、ゴム部材に添加する樹脂として、ブロックタイプのPPとランダムPPタイプのPPとの1:1の混合物を用いて、成形温度を160〜190℃に変えた他は、同様な条件で、ブロー成形インサート成形体を作製し、同様な評価を行った。
この場合、MIは、0.1〜2.5の範囲で変え、また、樹脂:ゴムの比率は、50:50とし、ゴム硬度は60A、樹脂曲げ弾性率は540Mpaに、それぞれ固定した。評価1の結果を表6に示す。
表6
メルトインデックス(MI)
成形温度 0.1 0.15 0.3 2.0 2.5
160℃ ×隙間発生 ×隙間発生 ×隙間発生 ×隙間発生 ×隙間発生
165℃ ×隙間発生 ◎良好 ◎良好 ◎ 良好 △やや良好
170℃ ×隙間発生 ◎良好 ◎良好 ◎良好 △やや良好
175℃ ×隙間発生 ◎良 ◎良好 ◎良好 △やや良好
180℃ ×隙間発生 ◎良好 ◎良好 ◎良好 ×皺発生
185℃ △やや良好 ◎良好 ◎良好 ◎良好 ×皺発生
190℃ ×皺発生 ×皺発生 ×皺発生 × 皺発生 × 皺発生
表6に示されるように、成形温度を165〜185℃に変えた結果、前記に評価1,2,3とも同様に優れた結果を得た。一方、樹脂組成を変化ざせて、MIを変化させたところ、MIが0.15〜2.0の範囲において、前記の評価1,2,3とも同様に優れた結果を得た。
一方、樹脂:ゴムの比率を変化させたところ、下記表7、表8に示されるように、樹脂37〜52%において、評価1,2,3とも同様に優れた結果を得た。
この場合、成形温度とインサートゴム:樹脂の比率との関係を評価した。結果を表6、7に示す。なお、メルトインデックスMIは2.0、ゴム硬度は60Aとした。
表7

インサートゴム:樹脂比率
成形温度 40:60 50:50 60:40 70:30
160℃ ×ゴム弾力無 ×接着不良 ×接着不良 ×接着不良
165℃ ×ゴム弾力無 ◎良好 ◎良好 ×接着不良
170℃ ×ゴム弾力無 ◎良好 ◎良好 ×接着不良
175℃ ×ゴム弾力無 ◎良好 ◎良好 △やや良好
180℃ ×ゴム弾力無 ◎良好 ◎良好 △やや良好
185℃ ×ゴム弾力無 ◎良好 ◎良好 △やや良好
190℃ ×ゴム弾力無 ×皺発生 ×皺発生 ×皺発生
__________________________________________________________

表8
インサートゴム:樹脂比率
成形温度 43:57 48:52 63:37 68:32
160℃ ×ゴム弾力無 ×接着不良 ×接着不良 ×接着不良
165℃ ×ゴム弾力無 ◎良好 ◎良好 ×接着不良
170℃ ×ゴム弾力無 ◎良好 ◎良好 ×接着不良
175℃ ×ゴム弾力無 ◎良好 ◎良好 △やや良好
180℃ ×ゴム弾力無 ◎良好 ◎良好 △やや良好
185℃ ×ゴム弾性無 ◎良好 ◎良好 ◎良好
190℃ ×ゴム弾力無 ×皺発生 ×皺発生 ×皺発生
___________________________________________________

表7、表8に示される結果から、本発明におけるゴム:樹脂比率の効果が明らかである。
さらに、上記において、ゴム:樹脂の比率を50:50に、また、成形温度を150℃に、それぞれ、固定して、ゴム硬度とインサート混合樹脂の曲げ弾性率とを変化させ、同様に、ブロー成形体を得た。結果を表9に示す。なお、ゴム部材に添加するポリプロピレン樹脂は、ランダムタイプのポリプロピレン樹脂とした。
表9
______________________________________________________________
インサートゴム硬度 インサート混合樹脂の曲げ弾性率
ショアーA硬度 540Mpa 700Mpa 850Mpa
45 ◎良好 ◎良好 △やや良好
55 ◎良好 ◎良好 △やや良好
60 ◎良好 ◎良好 △やや良好
70 ◎良好 ◎良好 ×ゴム弾力無
78 ×ゴム弾力無 ×ゴム弾力無 ×ゴム弾力無
___________________________________________________

本発明の範囲では、ゴムと樹脂が溶着された部位を破断するまで引っ張り試験をした結果、ゴムと樹脂との界面が剥離する現象も観察されず(評価2)、また、1mm厚みのゴム片を360°合わせて曲げを行い、ゴム単体の場合と比較して、元々の形状に復元したときに、曲げ部の癖形状が残るか否かを評価(評価3)して、ゴム弾力の有無を評価したところ、癖形状は残らず、良好な結果を得た。
【産業上の利用可能性】
【0012】
ブローボトルの表面に、ゴムを一体的にインサートできるので、風呂に使うシャンプー、リンス等のブローボトル、トリートメント用のブローボトル、ディスペンサー、トリガー付きのブローボトルなど、ハンドリングの必要なブローボトルに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のブロー成形体を説明するための構成図であって、このうち、(a)が正面図であり、(b)が用いるゴム部材を誇張して描いた拡大正面図であり、(c)が部分拡大断面図である。
【図2】本発明のブロー成形体の製造方法の他の例を説明するための構成図であって、このうち、(a)が断面図であり、(b)が用いる部材の正面図である。
【図3】本発明のブロー成形体の製造方法の他の例を説明するための構成図であって、このうち、(a)が断面図であり、(b)が用いる部材の正面図である。
【図4】本発明のブロー成形体の製造方法の例を説明するための断面図である。
【図5】本発明のブロー成形体の製造方法を説明するための断面図である。
【図6】本発明のブロー成形体を説明するための断面図である。
【図7】本発明のブロー成形体の他の例を説明するための断面図である。
【図8】従来ののブロー成形体の不都合を説明するための構成図であり、このうち、(a)が正面図であり、(b)が部分断面図である。
【符号の説明】
【0014】
1ブロー成形体本体
10パリソン
18皺
19隙間
2 ゴム部材
21直線部分
25面取り部
3 金型
50 隙間パーツ
55 多孔質の焼結金属


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形体本体と、このブロー成形体本体の表面の少なくとも一部において前記ブロー成形体本体に融着されて一体成形されたゴム部材とを有し、
前記ゴム部材は、前記本体との融着側の周縁に面取り部を有することを特徴とするブロー成形体。
【請求項2】
前記ゴム部材は、2層以上からなり、最表面層以外の層の側縁に面取りがなされている請求項1のブロー成形体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−202402(P2009−202402A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46243(P2008−46243)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】