説明

ブロー成形容器

【課題】 ブロー成形された積層剥離プラスチック容器の底部の、食い切り成形された底シール部における底リブを構成する一対のリブ片の耐剥離強度を、充分に高めることにより、積層剥離プラスチック容器の底割れの発生を強力に防止し、良好な使用状態を安定して維持することを目的とする。
【解決手段】 ブロー成形された積層剥離プラスチック容器1の底部7の底シール部14を、一対のリブ片15を重合圧着した底リブ16で構成し、底リブ16に、一方のリブ片15から他方に食い込む食い込み部17を複数設け、この食い込み部16の穴面部分に、底面と一体に膨出部18を設け、食い込み部16の穴面に角部16aを設けて、食い込み部16の穴形状を複雑化して耐底割れ強度を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形された積層剥離プラスチック容器の底シール部分の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自己形状保持能力の高い外層に、可撓性に富んだ袋状の内層を、容易に剥離する状態で積層させて構成した、一般にデラミボトルと称されるブロー成形壜体である積層剥離プラスチック容器が知られている。
【0003】
このブロー成形された積層剥離プラスチック容器は、相溶性の殆どない外層パリソンと内層パリソンとを共押し出しで積層パリソンに押し出し成形し、この積層パリソンをブロー成形して得られるが、ブロー金型のピンチオフ部で押し潰して食い切り成形される底シール部分は、基本的には相溶性の殆どない外層部分と内層部分との積層構造となるため、外層部分に容易に底割れが発生する、と云う不満があった。
【0004】
この不満を解消する従来技術として、ブロー金型のピンチオフ部により扁平に押し潰されて食い切り成形される底シール部を、一対のリブ片を重合圧着してパーティングラインに沿った突条状に成形した底リブを主体として構成し、この底リブに、一対のリブ片の一方から他方に食い込む食い込み部を複数設けて構成した特許文献1に示された技術が知られている。
【特許文献1】特開2006−103692号公報
【0005】
この特許文献1に示された従来技術は、図7に示すように、上端に口筒部を設けた胴部の下端に底部を設けたブロー成形積層剥離プラスチック容器において、底シール部13を、高さ幅を有する突条状とすることにより、底シール部13における外層と内層との圧着面積を大きくし、また上下に偏平な横穴状の複数の食い込み部16を設けることにより、外層と内層との圧着面積をさらに増大させるばかりでなく、圧着面に平行する剪断力に対する抗力を飛躍的に高めることができ、これにより底割れの発生し難い、機械的強度の高い底シール部13を得ることを可能としている。
【0006】
特に、各食い込み部16は、図6に示すように、この食い込み部16を成形するブロー金型のピンの、無理抜きが可能である範囲内の高さ寸法で膨出した膨出部18を有しており、この膨出部18の付設により、耐底割れ強度を充分に高めている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した従来技術は、確かに高い耐底割れ強度を、確実に得ることができるのであるが、最近では、さらに高い耐底割れ強度が求められるなってきている。
【0008】
そこで、本発明は、上記した要望を満たすべく創案されたもので、ブロー成形された積層剥離プラスチック容器の底部の、食い切り成形された底シール部における底リブを構成する一対のリブ片の耐剥離強度を、さらに高めることを技術的課題とし、もって積層剥離プラスチック容器の底割れの発生を強力に防止し、良好な使用状態を安定して維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のブロー成形容器は、ブロー成形された積層剥離プラスチック容器であって、ブロー金型のピンチオフ部により扁平に押し潰されて食い切り成形される底部の底シール部を、一対のリブ片を重合圧着して突条状に成形された底リブで構成し、この底リブに、複数の細長横穴状の食い込み部を横列配設したものである。
【0010】
容器は、自己形状保持能力を有する材料で成形され、外殻を形成する外層と、内容物を直接収納して、萎み変形自在な内袋を形成する内層とを、隔離自在に積層して構成され、外層の一部に、外気を外層と内層との間に導入する吸気孔を開設している。
【0011】
この容器の底部の底シール部を構成する底リブは、一対のリブ片を重合圧着して突条状に成形されており、この底リブには、重合した一対のリブ片の一方から他方に食い込む、複数の細長横穴状の食い込み部が横列配設されている。
【0012】
細長横穴状をした食い込み部は、この食い込み部を成形する、ブロー金型のピンの無理抜きが可能である範囲内の高さ寸法で、膨出した膨出部を有していることに加えて、その穴面に角部を有したものとなっている。
【0013】
一対のリブ片を重合圧着して突条状となった底リブで構成された底シール部は、圧着方向に沿って外層、内層、内層、外層の順で積層した壁構造となっていて、高さ幅を有する突条構造となっていることから、大きな圧着面積を有するものとなり、これにより相溶性の低い外層と内層との間であっても大きな圧着強度を得ることが可能となる。
【0014】
底リブに形成された食い込み部は、一方のリブ片から他方のリブ片に食い込む構造となっているので、底リブにおける外層と内層との重合面は、この食い込み部で凹凸状となり、これにより重合面積が増大して圧着強度が高められると共に、圧着面の主体部分に平行する剪断力に対する抗力が高くなる。
【0015】
食い込み部は、強い押圧力による底リブの局部的な押圧変形により成形されるので、食い込み部付近の底リブ部分には強い押圧力が作用し、このため食い込み部における外層と内層とは強力に圧着されることになり、強い圧着強度を発揮する。
【0016】
また、食い込み部の周囲に位置する樹脂材料は、特に膨出部が一体に形成された底部分付近の部分が、他の部分よりも押圧されて大きく変位するので、この変位量の違いにより、食い込み部の周囲に位置する両リブ片の重合面に、両リブ片の剥離方向に対してアンダーカット状に湾曲する噛み合い部を形成することになる。
【0017】
このように、噛み合い部は、両リブ片の剥離方向に噛み合うアンダーカットとして機能するので、両リブ片の剥離を強力に阻止する。
【0018】
なお、食い込み部を成形するブロー金型のピンの離型時の無理抜きは、底シール部の樹脂材料温度が、無理抜きによる変形を自己復帰させる粘弾性を発揮することのできる範囲内にあるので、噛み合い部は確実に成形されることになる。
【0019】
食い込み部は、その穴面に角部を有しているので、この角部を設けることにより、食い込み部の穴形状が複雑化し、これにより剥離方向に対する抗力を高める。
【0020】
本発明によるブロー成形容器の別の構成は、隣り合った食い込み部を、間隔を空けて配置した、ことにある。
【0021】
隣合った食い込み部を、間隔を空けて配置したものにあっては、複数の食い込み部を設けることによる、底シール部自体の機械的強度が低下する、と云う不都合の発生を阻止する。
【0022】
また、本発明によるブロー成形容器の別の構成は、少なくとも底シール部の中央部に位置する食い込み部を、「V」の字状に構成した、ことにある。
【0023】
この少なくとも底シール部の中央部に位置する食い込み部を「V」の字状に構成したものにあっては、各食い込み部が、その大きさの割には、上下左右の広い範囲に遍在することになり、これにより両リブ片の圧着を、広い範囲で達成することになり、また形状が単純であるので、成形を無理なく簡単に行うことができ、さらに剥離が発生し易いとされている底シール部の中央部の耐剥離強度を、充分に高めることができる。
【0024】
また、本発明によるブロー成形容器の別の構成は、少なくとも底シール部の中央部に位置する食い込み部を、「T」の字状に構成した、ことにある。
【0025】
この少なくとも底シール部の中央部に位置する食い込み部を「T」の字状に構成したものにあっては、各食い込み部が、その大きさの割には、上下左右の広い範囲に遍在することになり、これにより両リブ片の圧着を、広い範囲で達成することになり、また「T」の字形状が複雑な孔部構造を形成するので、これにより剥離方向に対する抗力が、きわめて強大なものとなり、さらに剥離が発生し易いとされている底シール部の中央部の耐剥離強度を、充分に高めることができる。
【0026】
また、本発明によるブロー成形容器の別の構成は、食い込み部を、上下の向きを順に反転させることにより、千鳥足状に上下に変位した状態で設けた、ことにある。
【0027】
この食い込み部を、上下の向きを順に反転させることにより、千鳥足状に上下に変位した状態で設けたものにあっては、食い込み部が発揮する圧着力を、上下方向に均等に作用させることになり、また横方向に隣接する食い込み部の間隔を無理に小さくすることなく、パーティングラインに沿った底リブの全幅範囲に亘って、食い込み部を略均等に配置することができる。
【0028】
また、本発明によるブロー成形容器の別の構成は、食い込み部の食い込み方向を、交互に反転させた、ことにある。
【0029】
この食い込み部の食い込み方向を、交互に反転させたものにあっては、隣り合った食い込み部の食い込み方向が反対であるので、食い込み部成形時に付近の外層と内層とが、強引に引っ張られて大きく延び変形することになるので、外層と内層との圧着面積が増大すると共に、外層と内層とがより強力に圧着されることになり、これにより底シール部全体としての圧着強度が高められる。
【0030】
また、圧着面の主体部分に対して、食い込み部が交互に反対側に位置するので、複数の食い込み部により、両リブ片が圧着面の主体部分の両側で噛み合う状態となり、これにより両リブ片の結合が構造的に高められる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明のブロー成形容器にあっては、底リブにおける外層と内層との重合面が、食い込み部により凹凸状となり、これにより重合面積が増大して圧着強度が高められると共に、圧着面の主体部分に平行する剪断力に対する抗力が高くなる。
【0032】
また、食い込み部の膨出部に対応して位置する両リブ片の重合面に、両リブ片の剥離方向に対してアンダーカット状に湾曲する噛み合い部が形成され、この噛み合い部は、両リブ片の剥離方向に噛み合うアンダーカットとして機能するので、両リブ片の剥離を強力に阻止し、これにより底割れの発生を強力に阻止することになる。
【0033】
さらに、各食い込み部は、その穴形状の複雑化により、剥離方向に対する抗力が高められているので、耐底割れ強度を高めることになる。
【0034】
食い込み部を、間隔を空けて配置したものにあっては、食い込み部を形成することにより、底シール部自体の機械的強度が低下する、と云う不都合の発生を阻止するので、底シール部の必要とする強度を確保して、耐底割れ強度を安定して発揮させることができる。
【0035】
食い込み部を「V」の字状に構成したものにあっては、各食い込み部を、その大きさの割には、上下左右の広い範囲に遍在させることができるので、両リブ片の圧着を、広い範囲で達成することになり、これにより両リブ片間を略均等に圧着して、安定した圧着状態を得ることができ、また形状が単純であるので、成形を無理なく簡単に行うことができ、これにより良好な成形性を得ることができる。
【0036】
食い込み部を「T」の字状に構成したものにあっては、各食い込み部が、その大きさの割には、上下左右の広い範囲に遍在することができるので、両リブ片の圧着を、広い範囲で達成することになり、これにより両リブ片間を略均等に圧着して、安定した圧着状態を得ることができ、また形状が複雑な孔部構造を形成するので、剥離方向に対する抗力が、きわめて強大なものとなり、これにより高い耐底割れ強度を得ることができる。
【0037】
食い込み部を、上下の向きを順に反転させることにより、千鳥足状に上下に変位した状態で設けたものにあっては、底リブの上下方向およびパーティングラインに沿った底リブの全幅範囲に亘って、食い込み部を無理なく略均等に配置することができるので、底リブ全域に亘って、耐剥離強度および圧着強度の強化を均等に達成でき、これにより底リブの安定した圧着組付きを維持することができる。
【0038】
食い込み部の食い込み方向を、交互に反転させたものにあっては、隣り合った食い込み部の食い込み方向が逆となるので、両リブ片が互いに他方に食い込んで噛み合う状態となると共に、食い込み部における外層と内層との圧着力が強められ、さらに底シール部における外層と内層との圧着面積が増加することになり、もって底シール部における外層と内層との耐剥離強度および圧着強度が更に高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0040】
図1は、本発明による容器1の正面図、図2は側面図、図3は底面図で、容器1は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂材料で、必要とする自己形状保持能力を持たせて成形された外層2と、ナイロン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート等の、外層2に対して相溶性の低い合成樹脂材料で、撓み変形が自在な袋状に成形された内層3とを積層(図2参照)させたブロー成形容器である。
【0041】
この容器1の胴部4は円筒形状をしており、胴部4の上端に起立連設され、外周面に螺条を刻設した口筒部5の前後の外層2部分には、外気を外層2と内層3との間に導入するための吸気孔6が開設されており、胴部4の下端には円形の底壁10を有する底部7が連設されている。
【0042】
底部7(図3参照)は、容器1の脚部を構成する周囲の脚壁8と、この脚壁8に囲まれて容器1内に陥没している底壁10と、この底壁10と一体に連結し、パーティングライン上に位置して底壁10を横断する底シール部13とから構成されている。
【0043】
脚壁8(図2、図3参照)は、外側の略直立した円筒状壁部分と、内側の下方に拡径したテーパー円筒状部分の下端間を、円弧状に連結した壁構造となっており、パーティングラインが位置する部分に、一部を切り欠いた凹欠部9を形成して構成されている。
【0044】
底壁10(図2、図3参照)は、脚壁8内周縁に連続する球弧状の斜面部11と、この斜面部11の中央部をパーティングラインに沿って横断し、長径をパーティングラインに沿わせた略楕円球弧壁状のドーム構造をして、容器1の内方に湾曲陥没した肉厚な隆起部12とから構成されている。
【0045】
底シール部13(図3、図4、図5、図6参照)は、両端を脚壁8の凹欠部9に連続させた状態で、底壁10の隆起部12の中央を横断して位置しており、パリソンを容器1にブロー成形する際に、このパリソンを前後から扁平に押し潰して食い切ることにより得られる一対のリブ片14を、そのまま重合圧着して突条状に成形された底リブ15を主体として構成され、この底リブ15の下端面には、底リブ15の略全長に亘ってパリソンの食い切り跡である食い切り片20が残存形成されている。
【0046】
底リブ15には、一方のリブ片14から他方のリブ片14に食い込む、穴面に角部を有する複数の細長横穴状の食い込み部16が、リブ片14の肉厚よりも大きく、底リブ15の厚みよりもわずかに小さい深さで、その陥没方向を交互に反転させて、かつその上下姿勢を交互に反転させることにより、千鳥足状に上下に変位した状態で横列形成されている。
【0047】
また、底シール部13は、パーティングラインに沿って底壁10を横断する縦リブ構造となっており、ブロー成形完了後における経時収縮変形による、底壁10の中央部分の垂れ下がり変形の発生を確実に防止している。
【0048】
各食い込み部16は、基本的には左右に長い横穴状となっていて、図4および図5に示すように、上下姿勢を交互に反転させることにより、千鳥足状に上下に変位した状態で配置されており、その縦断面構造は、図6に示すように、底部分と一体に、ブロー金型のピンの無理抜きが可能な高さ範囲内の膨出高さで膨出部18を形成したものとなっている。
【0049】
このように、食い込み部16が、膨出部18を有する構造となっているので、図6に示すように、この膨出部18を設けた食い込み部16が押し込み成形されることにより、押された樹脂が逃げて、食い込み部16の近傍には、両リブ片14の重合面がアンダーカット構造に湾曲する噛み合い部19が形成され、この噛み合い部19が両リブ片14の剥離を強力に阻止する。
【0050】
図4は、食い込み部16の第一の実施例を示すもので、中央部に角部16aを設けて、開角度の大きい「V」の字状に折れ曲がった左右に細長い横穴状となっていて、その折れ曲がり側に膨出部18を位置させており、中央部の三つの内の両端のものが、上下姿勢を反転させている。
【0051】
図4に示した第一の実施例において、左右両端の食い込み部16は、寸法上の関係から、折れ曲がり程度の小さい「V」の字状となっている。
【0052】
この図4に示された食い込み部16の第一の実施例にあっては、角部16aで区画された両部分が、上下方向および左右方向に、等しく対向するので、食い込み部16が発揮する剥離方向に対する抗力を、底シール部13の全域に略均等に作用させることになる。
【0053】
図5は、食い込み部16の第二の実施例を示すもので、左右に細長い横穴部分の中央に、角部16aを形成することにより、縦に短い横穴部分を連設して、「T」の字状となっていて、角部16aを設けた側とは反対側に左右に細長い横穴部分の穴面に膨出部18を位置させており、中央部の三つの内の中央のものが、上下姿勢を反転させている。
【0054】
図5に示した第二の実施例において、左右両端の食い込み部16は、寸法上の関係から、単純に左右に細長い横穴状となっている。
【0055】
この図5に示された食い込み部16の第二の実施例にあっては、食い込み部16の横穴としての構造が複雑であるので、その分、食い込み部16が発揮する剥離方向に対する抗力を強いものとすることができる。
【0056】
各食い込み部16の食い込み方向側のリブ片14部分に形成される圧着部17は、充分に肉薄な平板状となっているが、食い込み部16の形状が、基本的には左右に長い横穴状となっており、かつ膨出部18が設けられていることから、その大きさ(面積)は無理なく大きいものとすることができる。
【0057】
また、圧着部17の厚さは、必要とする機械的強度を維持できる範囲内で、できる限り薄いことが望ましく、底リブ15の厚さの10分の1〜20分の1程度が適当である。
【0058】
このように、圧着部17を充分に肉薄な平板状とすることにより、底シール部13の冷却硬化時における収縮が殆ど起こらず、また収縮変形力が周囲から作用しても、この変形力を圧着部17全体の撓み変形として吸収し、これにより圧着部17における剥離発生を阻止する。
【0059】
外層2を低密度ポリエチレン製とし、また内層3をナイロン製として、全高を154.3mm、胴部外径を44.8mm、底リブ15の高さを5mm、幅を38mm、厚みを1.8mmに成形した容器1を使用して、図7に示した底シール部13を設けた従来技術例と、図4に示した実施例を設けた本発明の第一の実施形態例と、図5に示した実施例を設けた本発明の第二の実施形態例との、耐底割れ強度の比較をした。
【0060】
従来技術例および本発明の二つの実施形態例においては、食い込み部16の数は5、膨出部18の膨出高さ0.1mmと同じであるが、圧着部17の合計面積は、従来技術例の場合は20.32mm、本発明の第一の実施形態例の場合は22.32mm、そして本発明の第二の実施形態例の場合は23.39mmであった。
【0061】
この従来技術例と本発明の二つの実施形態例の容器1の底部7に対して、オートグラフ測定器を使用して、パーティングラインに沿った方向から、20mm/minで押圧力を作用させた試験を数回行ったところ、従来技術例の場合では、平均で、3.48mmの歪量が発生した55.31Nの押圧力が作用したところで底割れが発生したのに対し、本発明の第一の実施形態例の場合では、平均で、7.75mmの歪量が発生した193.67Nの押圧力が作用したところで底割れが発生し、また本発明の第二の実施形態例の場合では、平均で、7.62mmの歪量が発生した179.37Nの押圧力が作用したところで底割れが発生した。
【0062】
この比較実測結果から明らかなように、図示した従来技術例に比べて、図示した本発明の二つの実施形態例は、その耐底割れ強度が3倍以上に高められた。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態例を示す、全体正面図である。
【図2】図1に示した実施形態例の一部破断した、全体側面図である。
【図3】図1に示した実施形態例の、全体底面図である。
【図4】図1に示した実施形態例の、パーティングラインからわずかに外れた位置で縦断した、底部拡大縦断正面図である。
【図5】底部の他の実施例を示す、パーティングラインからわずかに外れた位置で縦断した、底部拡大縦断正面図である。
【図6】図4および図5に示した実施形態例の、底シール部の構造の詳細を示す、要部拡大縦断面側面図である。
【図7】従来技術例の容器の、底シール部の構造の詳細を示す、要部拡大縦断面側面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 ; 容器
2 ; 外層
3 ; 内層
4 ; 胴部
5 ; 口筒部
6 ; 吸気孔
7 ; 底部
8 ; 脚壁
9 ; 凹欠部
10 ; 底壁
11 ; 斜面部
12 ; 隆起部
13 ; 底シール部
14 ; リブ片
15 ; 底リブ
16 ; 食い込み部
16a; 角部
17 ; 圧着部
18 ; 膨出部
19 ; 噛み合い部
20 ; 食い切り片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形された積層剥離プラスチック容器であって、外層に吸気孔を開設し、ブロー金型のピンチオフ部により扁平に押し潰されて食い切り成形される底部の底シール部を、一対のリブ片を重合圧着して突条状に成形された底リブで構成し、該底リブに、前記重合した一対のリブ片の一方から他方に食い込む、複数の食い込み部を横列配設し、該食い込み部の穴面部分に、該食い込み部を成形するブロー金型のピンの無理抜きが可能である範囲内の高さ寸法で膨出した膨出部を、前記食い込み部の底部分と一体に設け、前記食い込み部を、穴面に角部を有する細長横穴状として成るブロー成形容器。
【請求項2】
隣り合った食い込み部を、間隔を空けて配置した請求項1記載のブロー成形容器。
【請求項3】
少なくとも底シール部の中央部に位置する食い込み部を、「V」の字状に構成した請求項1または2に記載のブロー成形容器。
【請求項4】
少なくとも底シール部の中央部に位置する食い込み部を、「T」の字状に構成した請求項1または2に記載のブロー成形容器。
【請求項5】
食い込み部を、上下の向きを順に反転させることにより、千鳥足状に上下に変位した状態で設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載のブロー成形容器。
【請求項6】
食い込み部の食い込み方向を、交互に反転させた請求項1〜5のいずれか1項に記載のブロー成形容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−114856(P2008−114856A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296830(P2006−296830)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】