説明

ブースタバルブ

【課題】流れ状態と非流れ状態の2つの動作状態を提供する封止部材を有する、改善された流量バルブまたはブースタバルブを提供する。
【解決手段】流量バルブ10は、逆流を防ぐようにハウジングに係合する第1の状態を有する封止部材と、流量バルブ10内の流路を部分的に遮断する支持部35a、35b、35c、35dを有するプラットフォームプラットフォーム35とを備え、プラットフォーム35は、流量バルブ10内に流体を流すように、封止部材を流れを遮らない状態で支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、流量バルブに関し、より詳細には、輸送ラインの流体エネルギーを増加させると同時にブースタバルブ内の逆流を防ぐことを可能にする、差圧が低い状態に反応する可撓性の片持ち支持された封止部材を有する、ブースタバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
ブースタバルブなどの流量バルブの概念は、当技術分野でよく知られている。通常、ブースタバルブは空気圧輸送システムで使用され、輸送ライン内の空気より高圧の空気などの流体を挿入することによって、輸送ライン内の流体エネルギーを増加させ、輸送ライン内で物質を移送する助けとなる。このようなバルブの例は、Steeleの米国特許第4,313,699号、同第4,708,535号、および同第5,345,969号に見られる。
【特許文献1】米国特許第4,313,699号
【特許文献2】米国特許第4,708,535号
【特許文献3】米国特許第5,345,969号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ブースタバルブは、厳しい環境に耐え、長期間にわたって作動し、かつバルブ内の逆流を防がなければならない。さらに、ある状況では、ブースタバルブを差圧が極端に低い状態に反応させることが望ましい。本発明は、流れ状態と非流れ状態の2つの動作状態を提供する封止部材を有する、改善された流量バルブまたはブースタバルブを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ブースタバルブは、ディスク状の封止部材を備え、この封止部材は、半径方向外側に片持ち支持されており、封止部材の両側の圧力が等しい場合に撓んでハウジング内部の環状の封止面に係合する、連続した環状周辺領域を有する。封止部材の、ハウジング内部の環状封止面との部分的な周辺係合は、低い差圧での逆流を防ぐのに十分である。逆流圧力が増加した場合は、ディスク状の封止部材の中央部分が上に変位して、ハウジング内部の環状封止面から径方向内側に配置されている内部流体ポートをさらに遮断する。しかし、ブースタバルブ両端間の差圧が、変位を生じる差圧状態まで落ちると、ディスク状の封止部材の中央部分、および環状封止面に係合している封止部材の片持ち部分は、軸方向に移動可能となり、流れを遮らない状態で支持プラットフォーム上に支持される。その結果、流体として空気を使用する場合、輸送ライン内の圧力が下がり始めたほとんど直後に、輸送ラインに空気を加えることができる。したがって、ある動作段階では封止部材全体が流体流入ポートを封止し、別の動作段階では封止部材の弾力性により、斜め方向の封止が形成される。上流の圧力が下流の圧力を超える場合は、流量バルブ内の流体が封止部材にかける圧力によって、封止部材が流れを遮らずに支持された状態となり、流体が流量バルブ内を速く流れることができるようになる。
【0005】
簡潔に述べると、本発明は、逆流を防ぐためにハウジングに係合する第1の状態を有する封止部材を備えた流量バルブと、流量バルブ内を通る流路を遮断するプラットフォームとを含み、プラットフォームは、封止部材を流れを遮断しない状態で支持して、流量バルブ内を流体が流れることを可能にする。より詳細には、本発明は、流量バルブ内の流路を部分的に遮断する支持プラットフォームとハウジング上の環状封止面との間に挟まれた環状の周辺封止領域を備える、ディスク状の片持ち支持された封止部材を有する流量バルブまたはブースタバルブを含み、支持プラットフォームは、封止部材の両側の圧力が等しい場合に、環状封止面と封止接触状態にある環状封止領域を正常に保持し、封止部材は、逆流圧力の増加に反応して流体ポートを遮断する状態に変位することができ、それによって周辺封止領域から径方向内部に配置された流体ポートを封止する。流入圧力が流出圧力を超える場合、封止部材は支持プラットフォーム上に変位可能であり、それにより、流体が流量バルブの流入口から流出口へ流れるときに、支持プラットフォームが封止部材を流れを遮断しない状態で支持することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、1対の雄ねじと雌ねじによって上部11bとねじ係合している下部11aを含むハウジング11を有する、流量バルブまたはブースタバルブ10の正面図である(図3および図4参照)。ハウジング11の上端には、流体がブースタバルブ10に入ることを可能にする流入口12があり、ハウジング11の下部には、流体を通過させる流出口13がある。
【0007】
図2は、典型的な輸送システム20を示す。ここで、物質を受け取るためのビン21が、輸送ラインを介して離れた位置にあるビン26および27に供給を行うために使用される。ビン21内の物質は、輸送ライン22を介してビン26に供給され、輸送ライン25を介してビン27にも供給される。ビン26および27は、それぞれビン21から離れて配置されているため、摩擦損失によって輸送ライン内の流量が減少する可能性があり、より高圧の空気などの流体を輸送ラインに導入することによって輸送ライン内の流れを促進することが必要になることがある。図示したシステムでは、加圧された流体23が、導管24を通して輸送ライン22上にあるブースタバルブ10に空気を供給し、同様に、導管28を通して、輸送ライン25上にあるブースタバルブ10に空気を供給する。
【0008】
空気圧輸送システム20の動作に際しては、追加の輸送エネルギーとして高圧空気を輸送ライン内に送り込み、この高圧空気によってビン26および27への物質の移送を助ける。ブースタバルブ10はチェックバルブとしても動作するため、輸送ライン22および25の圧力が誤って高圧空気供給源23内の流体圧力を超えた場合にも、輸送ライン内のいかなる物質も、高圧空気の供給源23内に流入することが妨げられる。
【0009】
図3は、流入圧力Pと流出圧力Pが等しい場合の、閉状態である本発明のブースタバルブ10の断面図である。ブースタバルブ10は、流入口12と、圧力計などを取り付けるための任意のポート30とを有する上側ハウジング11bを備える。上側ハウジング11bは、ねじ部11eおよび11fによって下側ハウジング11aと連結されている。上側ハウジング11bと下側ハウジング11aとの間に封止リング19が延びて、ハウジング11内に封止チャンバまたは流路37を形成している。上側ハウジング11b内には、流れ挿入物31または流れ直線化部が配置されており、挿入物31は、流体をチャンバ18から送り出して封止部材40の上面41fに衝突させる挿入物31の周囲に、間隔をおいて配置された1組の流れ開口31aを備える上側基部を形成している。挿入物の中央には円筒型の側壁を有するロケータ32が配置されており、ロケータ32は、封止部材40の軸方向の変位を可能にしながら、ロケータ40aを、したがって封止部材を、横方向に変位させないよう保持している。封止部材が図3に示した位置にある場合は、上面40fは、挿入物31の下側の封止領域支持面31cから離れている。封止部材40の周辺領域40bは片持ち支持されて、環状封止面11cと封止係合している。環状封止面11cは傾いており、周辺封止領域を斜めに押さえることにより斜めの封止を形成し、それによって流出口を常に流入口から封止する。つまり、封止部材は、圧力平衡状態下では撓んで封止を形成する。したがって、封止部材40が弾性を有し、片持ち支持されてハウジングと係合しているので、封止部材は斜めに閉じた状態となり、そのため、下流圧力Pが上流圧力Pをわずかに上回っても、流出口から流入口への逆流は生じない。
【0010】
図9の分離された上面図に示された流れ挿入物31は、流れ挿入物の周囲に間隔をおいて配置された1組の流路31aを備えている。流れ挿入物31の中央には、ロケータ32が位置決めされている。流れ挿入物31の外側の円周縁部には、棚部31bが配置されており、これによって、図3で示したように、流れ挿入物を、上側ハウジング11b上の対合するリップ内に手動で取り付けることが可能になっている。したがって、挿入物を、道具を使わずに動作位置に配置することができる。図10は流れ挿入物の分離図であり、挿入物をハウジング11に取り付ける際に係止部となる、棚部またはリップ31bを示している。
【0011】
ハウジング11内には、ハウジング内の流体の流れを遮るプラットフォーム35が配置されている。すなわち、プラットフォーム35は、プラットフォームリップ35pを通り越す外周流路すなわち環状流路を形成するように、ハウジング11内の流れ領域37の中央に支持されている。プラットフォーム35は、図5〜図8により詳細に示してある。図5は、径方向外側に延びる支持部35a、35b、35cおよび35dを備える円形のプラットフォーム12の上面図である。これらの支持部は、ハウジング11aに係合して、プラットフォーム35を流れを遮断する状態で中心に支持し、そのためハウジング内を流れる流体は、プラットフォーム35の円周縁部35pの周りを流れなければならない。プラットフォーム35の上側は、環状の平らな部分35eと、図6により明確に見られる、傾斜した周辺領域35fとを有する。図3は、傾斜した封止領域11cの付近に配置された、傾斜した領域35fを示す。ロケータ35gがプラットフォーム35の中央に位置決めされており、ロケータ35gは、封止部材40の対合するロケータを内部に保持することができる円筒状の側壁を有している。図5は、支持部または脚部35a、35b、35cおよび35dの長さをxで示した、プラットフォーム35の上面図である。図7は、プラットフォームの上側斜視図であり、図8は、下側斜視図であり、それぞれプラットフォーム35から径方向外側に延びる支持部または脚部プラットフォーム35a、35b、35cおよび35dを示している。
【0012】
図3では、プラットフォーム35は中央流れ領域に保持されており、径方向に延びる脚部35cおよび35dと、この断面図では示されない脚部35aおよび35bとによる流れ遮断部を形成している。プラットフォーム35は、外側円周リップ35pを備え、この外側円周リップ35pは、ハウジング13内の円周領域13aから距離ΔR離れて位置し、プラットフォーム35の周縁部の周りに環状流路を形成している。
【0013】
図3に示した実施形態では、ディスク状の封止部材40は、流れ挿入物31とプラットフォーム35の間に位置決めされ、部分的にプラットフォーム35によって支持されている。封止部材40が、図11の分離された側面図および図12の分離された斜視図に示されている。封止部材は、エラストマーなどの可撓性材料でできた平らなディスク40bを備える。封止部材40の中央部には、ポストを有する上側ロケータ40aが配置されており、封止部材40の中央部の反対側には、やはり封止部材40から延びるポストを有するさらなるロケータ40cが配置されている。封止部材40を示すこの実施形態では、ロケータ40aおよび40cはゴムなどの弾性材料でできている。ただし、ロケータ40aおよび40cは、封止部材を中央位置に維持するために使われるので、他の材料で作ることもできる。封止部材40は、プラットフォーム35と挿入物31の間に位置決めされる一片の成型部材であることが好ましいが、所望なら、封止部材40を複数の部品で形成することもできる。
【0014】
図11は、封止部材40が、ロケータ40aおよび40bの中央軸39に対してほぼ垂直に延出している、緩和状態の封止部材40の側面図である。ロケータ40aは上側センタリング部材を構成し、同様に、ロケータ40bは下側センタリング部材を構成している。ロケータ40aおよび40bは、先に示したようなエラストマー材料、または封止部材40に固定可能なその他の材料から作製することができる。ロケータの用途は、ブースタバルブが流れ状態または非流れ状態にある場合に、封止部材を中央位置に維持することである。フランジ40dが、封止部材40の下側の一部分に沿って平行に延びており、ロケータ40bがフランジ40dのハブとなっている。したがって、封止部材40は、上側ロケータおよび下側ロケータを備え、両ロケータにより封止部材の径方向変位が制止されるが、封止部材40の軸方向変位は可能になる。
【0015】
図3は、プラットフォーム35によって支持された可撓性部材40のフランジ40dを示す。図では、封止部材の外側周辺領域40bがハウジング11bの環状部分または環状封止領域11cと接触状態にある。すなわち封止部材は、図11に示すように、正常に片持ち支持されて径方向外側に延びる。しかし、フランジ40dは、ハウジング内に挿入されたときプラットフォーム35に係合して、封止部材40を上向きに支持し、これによって、封止部材の周辺領域がハウジング11bの環状封止部分11cと接触して、封止部材40を通り越す逆流を防ぐ斜めの封止を形成する。したがって、圧力領域37内の圧力がわずかでも上昇すると、封止部材40bはバルブ10を通る流れをさらに封止するので、流出口13からの流体は、封止部材40bを越えて流れることができない。すなわち、圧力がさらに上昇すると、封止部材40全体が流れ挿入物31の下側支持面31cに押し付けられて、バルブ10内の逆流を防ぐ。図3Aは、バルブ10を通る流れが、複数の流れポート31aにわたって延在する封止部材40によって遮断された状態を示す。図3Aは、封止部材40がハウジング11内で軸方向に変位しても、封止部材が径方向に変位することを防ぐことにより封止部材40を中央位置に維持することができるロケータ40aを示す。したがって、図3および図3Aに示した図では、下流圧力Pが上流圧力P以上である限り、下流圧力Pが実質的に上昇しても、封止部材とハウジングの間の封止区域が増大して、バルブ10を通る逆流は防止される。したがって、バルブ10は、封止部材40のブロウアウトを生じずに、広範囲の差圧にわたって動作することができる。
【0016】
下流圧力Pが上流圧力Pより低くなった場合は、加圧された流体を加えて、圧力を、したがって輸送エネルギーを適切なレベルまで上げることが望ましい。本発明では、圧力Pが圧力Pを超えると、封止部材40は、その両側の差圧に反応して封止を解除する。これによって、流体を高圧領域Pから低圧領域Pへ流すことが可能になる。
【0017】
図4は、開状態の流量バルブ10を示す。開状態では、周縁40bを備える封止部材40は下側に撓み、プラットフォーム35の傾いた周縁35fによって支持される。すなわち、このとき高圧空気Pは、支持されていない周縁35fを環状封止表面11cから離す方向に押し、矢印で示したように流路31aを通じて流体を流すことを可能にする。プラットフォーム35がその上に封止部材40を支持するところまで、流体圧力によって封止部材40が変位する。傾いた環状面35fによって、エラストマー封止部材40が、プラットフォーム35上で流れを妨げない状態に変位することが可能になる。矢印からわかるように、流体は次いで、封止部材40bに沿い、縁11cを越えて径方向外側に流れ、流出口13に入る。この状態では、加圧された空気などの流体は、流入口12から流出口13へ流れ、パイプラインに流入して、輸送ライン内の輸送流路の圧力およびエネルギーを増大させることができる。プラットフォームがハウジング内の流路を遮るので、可撓性の変位可能な封止部材を、プラットフォームと流入する流体の圧力とによって、流れを遮らない状態で支持することができる。これによって、流体が、封止部材40に沿って流れ、周縁40fを通過し、プラットフォーム35とハウジング11の間に形成された環状流路内を流れることが可能になる。
【0018】
したがって本発明は、内部に流路47を有するハウジング11を備えた流量バルブと、ハウジング内の流路に流れを遮るように位置決めされたプラットフォーム35とを含み、弾性の封止部材40が、プラットフォーム35の近傍に配置されている。圧力PとPが等しい緩和状態では、封止部材40は、ハウジング11内の封止領域11cと正常に係合して、流体が流量バルブ内で第1方向へ流れないようにし、封止部材40は、流体が流量バルブ内で第2方向へ流れるのに反応して、プラットフォーム35上に弾性的に変位可能であり、プラットフォーム35は封止部材40を流れを妨げない状態で支持する。したがって流量バルブは、空気圧輸送システム用のブースタバルブ10とすることができる。ブースタバルブでは、ハウジングは流入口12および流出口13を有し、プラットフォーム35は、ブースタバルブの流路内に配置されている。バルブ10は、封止部材40を備え、プラットフォーム35は、封止領域40bをハウジングの部分11cに対して部分的に撓んだ封止状態で正常に保持して、流出口から流入口への逆流を防ぐ。封止部材40は、流入口の圧力が流出口よりも高いときそれに反応して撓み、封止部材40の両側の差圧によって封止部材を封止状態(図3および図3A)から封止解除状態(図4)にし、それによって流入口12から流出口13への流体のブースト流れを可能にする。
【0019】
流量バルブおよびブースタバルブでは空気などの気体が最もよく使用されるが、本発明では、液体などの流体を使用することもできる。さらに、本発明の流量バルブをチェックバルブとして使用して、逆流を防止することもできる。
【0020】
図13は、1組のボルト52、53、54、55、56、および57(図14参照)によって互いに近接して保持された上側部材51aと下側部材51bを備えるハウジング51を有する、インライン型流量バルブ50の代替実施形態の正面図である。流量バルブ13は、ハウジング51の一端から延びる流出口60と、ハウジング51の反対側の端部から延びる流入口61とを備える。図15の流量バルブでは、流入口61および流出口60が、中央軸線59に沿って配置されている。
【0021】
図14は、図13の流量バルブの上面図であり、流入路61aがハウジング51に対して中央に配置された、流入口61を示している。同心状に間隔をあけて配置された1組の流路63aを有する流れ直線化部63が、流入ポート61から見える。流入口61は、バルブを流体の供給源にねじ接続することを可能にするねじ部61aを備える。
【0022】
図15は、図14の線15−15に沿った、図14の流量バルブ60の断面図である。流量バルブは、上側ハウジング51aとして、あるいは図3に示したように別個の構成要素として形成することができる流れ挿入物63を備える。同様に、下側ハウジング64は、同心状に位置決めされ、その中を通る流体を方向付ける、1組の流路64aを備える。図15の実施形態では、流量バルブのハウジング51を形成する流量バルブの上側ハウジング51aおよび下側ハウジング51bは、円周上に間隔をおいて配置された6本1組のボルト(図14参照)によって、互いに近接して保持されている。図15は、一端にワッシャ57aを有し、反対側の端部にワッシャ57bおよびナット57cを有するボルト57を示す。ボルト57は、ハウジング51a内の穴60eおよびハウジング51b内の穴60dを通って延びている。この2つの穴の間に、プラットフォーム支持リング70が挟まれており、支持リング70は、内部にボルトが延びる穴70aを有する。その他のボルトもそれぞれ同様に配置されるので、ここでは説明しない。したがって、ボルト57およびナット57cとその対応部品は、協働して、上側ハウジング51aと下側ハウジング51bとを封止状態に保持する。
【0023】
図15は、撓んだ状態の外側周辺封止領域90aを有するディスク状の封止部材90を示しており、周辺封止領域は、封止部材90が本来弾性を有するため、斜めの封止を形成している。すなわち、封止部材90は、いずれも中央軸線100に沿って延びる上側ロケータ93または一体型ポスト、および下側ロケータ94または一体型ポストから、横方向すなわち径方向外側に延びるように形成されている。封止部材の外側周辺領域90aは、通常の径方向に延びた状態から撓んで、ハウジング封止面51dに係合し、外側周辺領域90aを封止部51dに押し付けて保持して、バルブ60の流入口と流出口との間に斜めの封止を形成する。すなわち、斜めの封止によって、封止部材90の両側の流体差圧を利用せずに、流入口を流出口から隔離する。しかし、流入圧力が流出圧力より大きくなると、斜めの封止が解除されてバルブ60を開き、流入口61から流出口60に流体を流す。反対に、流出圧力が上昇して流入圧力より大きくなると、封止部材90が上方に変位して、圧力封止状態となり、流れポート63a内の流体の流れを遮断する。
【0024】
図16は、上側ハウジング51aを下側ハウジング51bに組み付けるための、円周上に間隔をおいて配置された1組の穴70a、70b、70c、70d、70eおよび70fを有する、プラットフォーム支持リング70の切開斜視図である。プラットフォーム支持リング70は、互いに等間隔離して配置された、プラットフォーム80を支持するための、3個1組の同一のプラットフォーム耳スロットを備える。図16では、耳スロット72および71のみが見える。各耳スロットは、プラットフォーム80の耳を受け、プラットフォーム80を、流路85内の中央に、流れを遮る状態で支持する。
【0025】
プラットフォーム80が、図17に分離された図で示されている。プラットフォーム80は、流量バルブがブースト状態のときに封止部材を支持するという点で、プラットフォーム35と同様である。プラットフォーム80は、プラットフォーム支持リング70の耳スロット内に挿入される、放射状に延びた1組の耳81、82、および83を備える。プラットフォーム支持部80は、ハウジング51内の流路85の流れを遮るように、中央に配置される。すなわち、プラットフォーム80は、ハウジング51内を通る流体の中央での流れを遮るが、流体が周辺リップ80eを越えて流れることはできる。すなわち、プラットフォーム80は、リップ80eを通過する外周流路または環状流路を形成するように、ハウジング51内の流れ領域85の中央に支持される。プラットフォーム80の上側は、封止部材90を支持する平らな環状部分80bと、封止部材の両側の差圧がほとんどまたは全くない状態のときは封止部材90を支持しない、環状の傾いた部分80cとを含む。プラットフォーム80の中央には、ロケータ80cが配置され、円筒状の側壁を備えている。この側壁は、封止部材が開状態から封止状態に移動するか、またはその逆のときに、封止部材90が横方向すなわち径方向に変位することを防ぐように、封止部材90から延びた対合するロケータ94またはポストを保持することができる。
【0026】
図18は、封止部材90の代替実施形態の切開斜視図である。封止部材90は、かかる力に反応して封止部材が撓むことを可能にしながら、さらなる構造的支持を封止部材に提供するために封止部材90内に埋め込まれた支持織物91を含むこと以外は、封止部材40と同じである。すなわち、織物は、封止部材を、封止部材をバルブ60からブロウアウトさせる恐れのあるより高いブロウアウト圧力状態、すなわちより高い差圧状態におくことを可能にするために使用される。
【0027】
図18aは、封止部材90の側面図である。封止部材90は、より大きい中央ポート封止領域を形成するための、厚さtの中央封止部材領域90eより通常は薄い厚さtを有する外側周辺封止領域90fを含む。中央封止領域90eは、直径がxであり、これは、ポート63aを覆うことができる流れ挿入物63の直径とほぼ等しい。この実施形態では、この2つの厚みが異なるので、封止部材がさまざまな圧力状態で反応して封止することが可能となる。すなわち、外側周辺領域90fは、図15に示したように、差圧ゼロ状態で撓んで封止係合を提供する。流入口内の流体を、封止部材の両側の差圧によって排出口内の流体から隔離する必要がないため、これを斜めの封止と呼ぶ。しかし、逆流圧力、すなわち排出口内の圧力が実質的に上昇した場合、外側部分90fよりも厚い、すなわち重厚な中央封止部材90eは、より大きい差圧に耐えることができる。中央封止領域の直径xが流れ挿入物63の直径x以上の大きさであるため、中央封止領域90eはポート63aを遮断することができることが、図21に示されている。大きい中央封止領域90eは、封止部材のブロウアウトを生じることなく、かなりの差圧に耐えることができる。図21は、中央領域90eがどのように高圧逆流封止を形成するかを示している。すなわち、封止領域90eは流れ挿入物63の下側63bに係合して、そのポート63aを遮断する。
【0028】
図18は、織物91が内部に延在している封止部材90の断面図である。封止部材90にさらなる支持を提供するために、織物以外の補強用の可撓性材料を使用することができることを指摘しておく。
【0029】
図19および図20は、バルブ60の動作中の、封止部材90の様々な位置を示している。図19は、圧力Pと圧力Pが等しいまたは実質的に等しい、差圧ゼロ状態にある封止部材90を示している。斜めの封止状態と呼ばれるこの状態では、封止部材90の外側周辺領域が、封止面51dとの弾性係合のみによって、内側ハウジング51上の環状封止面51dと封止係合するように保持されている。この状態では、封止部材90の両側の差圧が上昇すると、流量バルブ60の2つの異なる動作モードが生じることができる。流入圧力Pが流出圧力Pより大きい場合は、図20に示したように、封止部材90が、プラットフォーム80によって支持されるところまで下方向に変位するので、斜めの封止が解除される。この状態で、流体はハウジング60内を流れ、流量バルブ60内の流路85内に流れを遮断しない状態でプラットフォーム80により保持されている、封止部材90の周りを流れる。矢印は、バルブ60内の流れの方向を示している。
【0030】
流出圧力Pが流入圧力Pを超えた場合、流量バルブ60が、流出口60から流入口61への逆流を防ぐためのチェックバルブとして機能する。図21は、流体差圧の上昇により封止部材90が上方向に変位し、封止部材90の上側封止面90aが流れ挿入物63上の支持面63bによって支持された状態を示している。この状態では、ポート63aを遮断して流量バルブ60内の逆流を防ぐ状態に中央封止部材90eを保持するための封止力が、差圧によってもたらされる。さらに、封止部材の軸方向変位によって、封止部材は、封止部材90の中央封止領域90eがより強力な支持を得ることができ、したがって流出圧力が流入圧力を実質的に上回った場合に封止部材のブロウアウトを防ぐことができる状態に位置決めされる。
【0031】
したがって、本発明は、流入口および流出口を備えるハウジングと、ハウジング内の可撓性封止部材とを有するブースタバルブの、複数の実施形態を含む。この可撓性の封止部材は、少なくとも部分的に撓んで、流入口の流体を流出口の流体から隔離するように斜めの封止を形成し、流入口の圧力が流出口より高いときそれに反応して斜めの封止を解除し、封止部材を隔離状態から開状態へと変位させ、それによって、流体のブースト流れを流入口から流出口へ流す。封止部材の一端は、図示したような中実構造、あるいは多孔性または可撓性構造を有する、流れを妨げない状態で封止部材を保持することができるプラットフォームによって支持されている。流出口にかかる圧力が流入口にかかる圧力を超えた場合は、ポスト95および96によって横方向の変位が抑えられた封止部材が、ポート63aを遮断するように流れ挿入物63によって支持され、それによって、流出圧力が流入圧力を実質的に上回ったとしても、流出口から流入口への流れを妨げる。
【0032】
したがって、本発明は、流入口および流出口を備えるハウジングと、ハウジング内の弾性封止部材とを有するブースタバルブを含む。この可撓性の封止部材は、少なくとも部分的に撓んで、流入口の流体を流出口の流体から隔離するように斜めの封止を形成し、流入口の圧力が流出口より高くなるとそれに反応して斜めの封止を解除し、封止部材を斜めの封止状態から開状態へと変位させ、それによって、流体のブースタ流れを流入口から流出口へ流す。ブースタバルブは、ハウジング内に配置されるプラットフォームを備えることができる。プラットフォームは、流体が流入口から流出口に流れるときに、封止部材を流れを妨げない状態で保持するようにブースタバルブ内の流路内に配置される。この弾性部材は、補強用の織物を内部に備える。所望なら、可撓性の封止部材の撓みを、プラットフォーム上の封止部材による支持のみによって維持することができる。封止部材は、封止部材を流路内中央に維持するためのロケータを備えることができる。ロケータは、封止部材の第1の面から延び、別のロケータは、封止部材が封止状態から開状態に変位したときに、封止部材を流路内中央に維持するように封止部材の第2の面から延びることができる。動作に際しては、流出口の圧力が流入口より高いとき、封止部材が斜め状態から封止状態に変位し、この封止部材は、流体流入ポートを遮断しそれによってブースタバルブ内の流れを妨げるさらなる封止部材を含む。流出口よりも流入口の圧力が高い状態では、システムは、斜めの封止を解除してバルブ内に流体を流すことを可能にするのに十分な力を生じる。
【0033】
本発明は、封止係合のための中央封止領域および周辺封止領域を有する、中心軸線から径方向外側に延びた弾性部材と、弾性部材が横方向に変位することを防ぐように中心軸線上に位置決めされたロケータとを備えるブースタバルブを含む。ブースタバルブの封止部材は、円形ディスク形状の一片のエラストマーとすることができる。さらにブースタバルブ封止部材は、ブロウアウトを防止するために、ブースタバルブ封止部材の周辺封止領域よりも厚い、ブースタバルブ封止部材の中央封止領域を備えることができる。さらに、補強部材を内部に埋め込むこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のブースタバルブの正面図である。
【図2】輸送システムの輸送ラインに図1のブースタバルブが配置された、輸送システムを示す図である。
【図3】正常に閉じた状態である図2のブースタバルブの断面図である。
【図3A】逆流圧力がブースタバルブへの流入圧力を実質的に上回っている、支持された状態の図3のブースタバルブの断面図である。
【図4】開状態である、図3のブースタバルブの断面図である。
【図5】図1のブースタバルブの流路内に配置されているプラットフォーム挿入物の上面図である。
【図6】図5のプラットフォーム挿入物の側面図である。
【図7】図5のプラットフォーム挿入物の上側を示す斜視図である。
【図8】図5のプラットフォーム挿入物の下側を示す斜視図である。
【図9】図1のブースタバルブの流れ挿入物の断面図である。
【図10】図9の流れ挿入物の、線10−10に沿った断面図である。
【図11】図1のブースタバルブ内にある封止部材の側面図である。
【図12】図11の封止部材の斜視図である。
【図13】流量バルブの代替実施形態の正面図である。
【図14】図13の流量バルブの上面図である。
【図15】図14の流量バルブの、図14の線15−15に沿った断面図である。
【図16】プラットフォーム支持リングの切開斜視図である。
【図17】図16のプラットフォーム支持リングと係合する耳を有するプラットフォームの斜視図である。
【図18】織物の支持体を有する封止部材の代替実施形態の切開斜視図である。
【図19】差圧ゼロ状態での、図13の流量バルブを示す図である。
【図20】封止部材が流れを遮らない状態で流量バルブ内のプラットフォーム上に支持されたときに、流体が流量バルブを通って送られる、ブースト状態にある図13の流量バルブを示す図である。
【図21】封止部材が流量バルブ内の逆流を防いでいる、閉状態にある図13の流量バルブを示す図である。
【符号の説明】
【0035】
10 ブースタバルブ
11 ハウジング
11a 上部ハウジング上部
11b ハウジング下部
11c 環状封止面
12 流入口
13 流出口
18 チャンバ
31 流れ挿入物
31a 流れポート
31c 封止領域支持面
32 ロケータ
35 プラットフォーム
35P 外側円周リップ
40 封止部材
下流圧力
上流圧力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口および流出口を有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、前記ブースタバルブ内の流路内に配置されているプラットフォームと、
封止部材と
を備えるブースタバルブであって、
前記プラットフォームは、前記流出口を前記流入口から隔離するために、前記封止部材の封止領域を、前記ハウジングの一部分に対して部分的に撓んだ封止状態で正常に保持し、前記封止部材は、前記封止部材の両側の流体差圧によって前記封止部材が前記封止状態から封止解除状態になり、それによって流入口から流出口への流体のブースタ流れが可能になるように、前記流入口の圧力が前記流出口より高いときそれに反応して撓むことができる、ブースタバルブ。
【請求項2】
前記封止部材がエラストマーを含む、請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項3】
前記封止部材が、前記封止部材を前記ハウジング内の流れ領域の中央に維持するためのロケータを備える、請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項4】
前記封止部材が、前記プラットフォームに係合し、前記封止部材を前記ハウジング内の流れ領域の中央に維持するための、ロケータポストを有する、請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項5】
前記ロケータポストが前記封止部材の第1の面上にあり、さらなるロケータポストが、前記封止部材の反対側の面上にあり、前記ロケータポストと前記さらなるロケータポストが協働して、前記封止部材を前記ハウジング内の流れ領域の中央に維持する、請求項4に記載のブースタバルブ。
【請求項6】
前記ハウジングが、流体が内部を通って流れる挿入物を備え、前記挿入物が、前記封止部材を流れの中央に維持するためのロケータを備える、請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項7】
前記封止部材が、ロケータを有するディスクを備え、前記ロケータが、前記ディスクの両面から延びる、請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項8】
前記封止部材が、前記プラットフォーム上のロケータ用の凹部内に延びるロケータを備える、請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項9】
前記プラットフォームが、前記プラットフォームの円周縁部を通り越す周囲流体流れを可能にするように前記ハウジング内中央に支持される、請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項10】
前記プラットフォームが傾いた周辺支持領域を有する、請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項11】
前記封止部材が、流れを通す挿入物と前記プラットフォームの間に配置される、請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項12】
前記封止部材が、前記中央封止領域を備える可撓性のディスクを有し、前記中央封止領域が前記封止部材の前記封止領域の厚さより厚い、請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項13】
前記封止部材の周辺領域が前記プラットフォームに支持係合したとき、前記ハウジングの一部分と前記封止部材の間を流体が流れることができ、前記プラットフォームの前記周縁部を通り越す周囲流れが可能になるように、前記プラットフォームが、その周囲全体にわたり前記ハウジングから十分に離れて配置される、前記請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項14】
前記プラットフォームは、前記封止部材が封止解除状態のときに、前記封止部材の周縁部を通り越す流れが可能になるように前記封止部材を片持ち支持する、請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項15】
流体が前記封止部材の上流側に衝突することによって前記封止部材が前記プラットフォームに向かって押され、前記プラットフォームが、前記封止部材を流れを遮らない状態に維持するように支持する、請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項16】
前記封止部材が流れ状態から非流れ状態にまたはその逆に撓むことを可能にしながら、前記封止部材を横方向の変位から保持するようにロケータを前記封止部材上に備える、請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項17】
前記封止部材が弾性封止部材を含む、請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項18】
前記封止部材が、前記ハウジングの前記部分を封止するための可撓性の周辺封止領域を含む、請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項19】
第1のビンと、
第2のビンと、
前記第1のビンを前記第2のビンに接続する空気圧輸送ラインと、
空気供給源と
を備える空気圧輸送システム内に配置されたブースタバルブであって、
空気供給源に接続された流入口および前記空気圧輸送ラインに接続された流出口と、プラットフォームにより内部が部分的に遮られた流路と、前記流路を閉状態に正常に維持する封止部材とを備え、前記封止部材が、前記輸送ライン内の圧力が前記空気供給源の圧力より低くなるとそれに反応して、前記プラットフォーム上に支持された前記封止部材の周りおよび前記輸送ライン内に空気が流れるように前記プラットフォーム上に変位可能であり、それによって前記輸送ライン内の物質の流量を増大させる、請求項1に記載のブースタバルブ。
【請求項20】
前記プラットフォームがロケータを備え、前記封止部材が、前記封止部材の軸方向変位を可能にしながら前記封止部材の横方向変位を防止するためのロケータを備え、前記プラットフォームが、前記流入口と前記流出口の圧力差がない場合に、前記封止部材を前記ハウジングに対して封止状態で支持する、請求項19に記載の空気圧輸送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−189147(P2006−189147A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−279448(P2005−279448)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(595027228)ダイナミック・エアー・インコーポレーテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】Dynamic Air.Inc.
【Fターム(参考)】