説明

プラスチックから成る活栓ハウジングを有する、液体の移送用および貯蔵用容器のための活栓、ならびに移送用および貯蔵用容器の内側容器の排出ポートに活栓を取り付けるための、電気的に接地される接続フランジを製造する方法

【課題】液体の移送用および貯蔵用容器のための、電気的接地エレメントを備えたプラスチック製の活栓ハウジングを有する活栓である。
【解決手段】活栓ハウジング18の流入ポート20を伴う活栓13は、接続フランジ21に螺合される。接続フランジ21は、ねじフランジとして設計され、非導電性プラスチック材料から形成され、内側容器2の排出ポート12に溶接される。活栓ハウジング18の接続フランジ21は、導電性のプラスチック材料から形成された接地リードを介して、移送用および貯蔵用容器の外殻の基台に接続される。接続フランジ21および接地リードは、2Kテクノロジーを用いた射出成型器によって、2段階の製造工程で作製される。他の活栓の実施例は、接続フランジおよび接地ケーブルは導電性プラスチックから単一の部材として射出成型され、接地ケーブルは切り離しフィルムによって接続フランジのフランジリングに接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックから成る活栓ハウジングを有する活栓に関し、特に、液体の移送用および貯蔵用容器のためのフラップバルブまたはバタフライバルブに関するものである。上記貯蔵容器は、閉塞可能な注入ポート、および活栓を接続する排出ポートを有するプラスチック製の内側容器と、金属格子または金属薄板から成る外殻と、金属またはプラスチック材料から成り、少なくとも部分的に導電性を有し、内側容器を支持するパレット状基台とを備えている。
【0002】
さらに、本発明は、移送用および貯蔵用容器における内側容器の排出ポートに活栓を取り付けるための接続フランジの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1には、内側容器の排出ポートに取り付けられた、この種の(species-related)活栓に接地エレメントが設けられた液体の移送用および貯蔵用容器が開示されている。上記接地エレメントは、湾曲した金属薄板または小板として形成され、活栓の内壁(内側穴)部分に亘って広がり、固定ねじおよび接地リードを介して、容器の基台に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許発明第19815082A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような活栓は、次のような欠点を有している。すなわち、プラスチック製の活栓ハウジング内に金属薄版または小板を取り付けるためにハウジングの壁を通してねじ込まれる固定ねじのために、活栓の漏れ防止が保証されない。また、ある種の食品用液体のための移送用および貯蔵用容器では、金属部品を使用することが認められない。このため、上記のような活栓を備えた容器は、そのような食品用液体に用いることができない。さらに、上記従来の容器では、腐食性の液体が移送または貯蔵される場合には、その液体によって接地エレメントが損傷し、電気的な接地が保証されなくなる虞がある。
【0006】
帯電防止手段を備えたハウジングを有する液体容器用のいくつかの活栓が知られているが、これらは量産されるには非常に高価である。
【0007】
本発明の基本的な目的は、液体移送用および貯蔵用容器のための、この種の(species-related)活栓を改良して、液体が容器に満たされ、または容器から排出される場合に液体の摩擦によって生じる電荷を逃がすための接地を確実にして安全性を高めることである。また、そのような活栓の安価な製造方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、請求項1および請求項6の液体の移送用および貯蔵用容器のための活栓によって達成される。また、上記活栓の製造方法は請求項4に記載されている。
【0009】
従属形式の請求項は、有利な、および実際的な発明の改良を含む。
【0010】
本発明の活栓のハウジングは、金属格子またはスチールシートから成る外殻と、導電性プラスチックから成るパレット状基台とを有する液体の移送用および貯蔵用容器におけるプラスチック製の内側容器の排出ポートに、当該ハウジングを溶接(接続)するためのプラスチック製の接続フランジを備える。本発明の活栓は、電気的接地リードを介して、内側容器が空にされる際に内側容器から排出される液体の安全な電気的接地を可能にする。活栓の第1の実施例では、上記接地リードは、非導電性材料から成る接続フランジの内壁の部分を、導電性の円弧部材(ring segment)を介して、パレット状基台、または外殻に接続する。活栓の第2の実施例では、上記接地リードは、導電性プラスチックから成る接続フランジを基台、または外殻に接続する。すなわち、活栓(活栓装置)は、接続フランジを有し、上記接続フランジは、非導電性材料から成り、その内壁の部分が、導電性プラスチック製の接地リードを介して接地される。上記接地リードは、接続フランジのフランジリングに組み込まれ、移送用および貯蔵用容器のパレット状基台または外殻に接続される。また、活栓(活栓装置)は、接続フランジを有し、上記接続フランジは、導電性プラスチックから成り、接地リードを介して、移送用および貯蔵用容器の基台または外殻に接続される。何れの活栓も、従来のプラスチックハウジング全体の耐静電気性能が増強された活栓よりも大幅に安価である。
【0011】
本発明は、図面の図解を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】液体の移送用および貯蔵用容器の斜視図である。
【図2】移送用および貯蔵用容器における内側容器の排出ポートに溶接された接続フランジの部分破断拡大斜視図である。
【図3】2Kテクノロジーによる射出成型によって第1ステージで製造される活栓の接続フランジの拡大斜視図である。
【図4】2Kテクノロジーによる射出成型によって第2ステージで接地リードと伴に製造される活栓の接続フランジの拡大斜視図である。
【図5】図4の活栓の接続フランジの正面図である。
【図6】活栓を有する移送用および貯蔵用容器の排出部の拡大斜視図である。
【図7】接地リードと伴に単一部材として導電性プラスチック材料から射出成型される接続フランジの斜視図である。
【図8】図7の接続フランジの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す使い捨ておよび再利用可能な液体の移送用および貯蔵用容器1は、主要構成部材として、プラスチックから成り交換可能な立方体形状の内側容器2と、交差する金属製の水平および垂直の格子棧15,16により格子外殻の形に形成され、上記内側容器2を支持する外殻14と、欧州標準(European standard)に従った長さおよび幅を有し上記内側容器2を支持するパレット状の基台17とを備えている。上記内側容器2は、前壁3、後壁4、2つの側壁5,6、排出底部(drainage base)として形成された底壁7、頂壁8、この頂壁8に形成され、キャップ10によって閉塞可能な注入ポート9、および当該内側容器2の前壁3の下部における凹部11に内側容器2と一体にブロー成型によって形成され、活栓13、特にボールバルブまたはフラップバルブが取り付けられる排出ポート12(活栓ポート)を備えている。
【0014】
活栓13の活栓ハウジング18は、高密度ポリエチレン(PE−HD)から射出成型されている。上記活栓ハウジング18は、雌ねじ19が形成された流入ポート20によって、対応する雄ねじ22が形成された接続フランジ21に螺合され、かつ、これにより、シールされている。上記接続フランジ21は、好ましくは突合せ溶接(mirror-imaged welding)によって、上記螺合された活栓13と伴に内側容器2の排出ポート12に接続されている。接続フランジ21は、非導電性プラスチック、例えばポリエチレンの射出成型部品として作製される(図2)。
【0015】
活栓13は、図3〜図5に接地リード23として示されるように、例えばナノ粒子を含むポリエチレンなどの導電性プラスチックから成る1つの部材としての接地エレメントを備えている。上記接地リード23は、接続フランジ21の内壁24に組み込まれる円弧部材25と、接続フランジ21のフランジリング26に嵌め込まれる接続ブリッジ27と、活栓ハウジング18の(活栓ハウジング18が接続される)接続フランジ21を移送用および貯蔵用容器1の基台17または外殻14に電気的に接続するフレキシブルなケーブル28とを備えている。
【0016】
図6に示すように、活栓ハウジング18の接続フランジ21における接地リード23は、ケーブル28の自由端29に形成されたラグ30を介して、ねじ32とナット33により、移送用および貯蔵用容器1の基台17に設けられた板金基板31に螺着されている。
【0017】
図3〜図5に示す接続フランジ21、およびこれと一体的に適合される接地リード23は、共に2Kテクノロジーを用いた射出成型器によって作製される。
【0018】
第1の方法ステップにおいては、接続フランジ21は、非導電性プラスチック、例えば高密度ポリエチレン(PE−HD)から射出成型される。接続フランジ21には、接地リード23の円弧部材25用に内壁24に設けられる凹部34、および接地リード23の接続ブリッジ27用に接続フランジ21のフランジリング26に設けられる溝部35が形成される。接続フランジ21には、また、保持リブ40、および接地リード23におけるケーブル28のための切り取り部41と伴に、保持リング39用に、フランジリング26の外周部38に設けられる円弧形状の凹部36と、これに連続する溝部37とが形成される(図3)。
【0019】
次の第2の方法ステップにおいては、同じ射出成型器によって、導電性プラスチック、例えば例えばナノ粒子を含むポリエチレンが、あらかじめ形成された上記接続フランジ21上に成型され、円弧部材25、接続ブリッジ27、およびケーブル28を有する接地リード23が形成される(図4および図5)。
【0020】
活栓ハウジング18が螺合される接続フランジ21が移送用および貯蔵用容器1における内側容器2の排出ポート12に溶接された後、接続フランジ21におけるフランジリング26の外周部38上に形成された保持リング39の保持リブ40の切り取り部41によって、接地リード23のフレキシブルなケーブル28が切り離される。
【0021】
接続フランジ21の内壁24に組み込まれる円弧部材25、および接地リード23におけるケーブル28の自由端29の固定用のラグ30は、射出成型プロセスにおいてオーバーモールドで成型され、そして、導電性を高めるために表面が剥ぎ取られる(peeled off)。
【0022】
活栓ハウジング18と接続フランジ21とは、接続フランジ21のフランジリング26に射出成型されたラグ43を活栓ハウジング18上の対応するラグ(不図示)に接続する、止め輪42(circlip)によって形成される、いたずら防止シール(tamper-resistant seal)を介して互いに接続される(図3および図6)。
【0023】
他の接続フランジ44は、図7および図8にねじフランジ(threaded flange)として示され、導電性プラスチック、例えば例えばナノ粒子を含む高密度ポリエチレン(PE−HD)の射出成型により、半剛体の接地ケーブル45(接地リード)を有する単一部材として形成される。上記接続フランジ44には、図2に示すように活栓ハウジング18が流入ポート20により螺合され、これにより、活栓ハウジング18(接続フランジ44)は内側容器2の排出ポート12に溶接される。
【0024】
接地ケーブル45の一端部46は、ブリッジ47を介して接続フランジ44のフランジリング26に取り付けられ、接地ケーブル45の他端部48は、移送用および貯蔵用容器1における外殻14の基台17または外殻14に取り付けられる固定ラグ49を有している。
【0025】
ブリッジ47と固定ラグ49との間のケーブル部50は、接続フランジ44のフランジリング26に切り取りフィルム51によって接合されている。この接合は、活栓13を伴う接続フランジ44が内側容器2の排出ポート12に溶接された後、接地ケーブル45における、ブリッジ47と、移送用および貯蔵用容器1の基台17または外殻14への固定ラグ49との間のケーブル部50が、接続フランジ44のフランジリング26から切り離され得るようになっている。
【0026】
接続フランジ21の内壁24の円筒部52は、接続フランジ21の導電性を高めるために表面が剥ぎ取られる。
【符号の説明】
【0027】
1 移送用および貯蔵用容器
2 内側容器
3 前壁
4 後壁
5,6 側壁
7 底壁
8 頂壁
9 注入ポート
10 キャップ
11 凹部
12 排出ポート
13 活栓
14 外殻
15,16 水平および垂直の格子棧
17 基台
18 活栓ハウジング
19 雌ねじ
20 流入ポート
21 接続フランジ
22 雄ねじ
23 接地リード
24 内壁
25 円弧部材
26 フランジリング
27 接続ブリッジ
28 ケーブル
29 自由端
30 ラグ
31 板金基板
32 ねじ
33 ナット
34 凹部
35 溝部
36 凹部
37 溝部
38 外周部
39 保持リング
40 保持リブ
41 切り取り部
42 止め輪
43 ラグ
44 接続フランジ
45 接地ケーブル
46 一端部
47 ブリッジ
48 他端部
49 固定ラグ
50 ケーブル部
51 切り取りフィルム
52 円筒部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉塞可能な注入ポート、および活栓を接続する排出ポートを有するプラスチック製の内側容器と、
金属格子または金属薄板から成る外殻と、
金属またはプラスチック材料から成り、少なくとも部分的に導電性を有し、内側容器を支持するパレット状基台と
を備えた液体の移送用および貯蔵用容器のための、
プラスチック製の活栓ハウジングを有する活栓、特にフラップバルブまたはバタフライバルブであって、
非導電性プラスチックから成り、流入ポート(20)を伴う活栓ハウジング(18)が螺合され、当該接続フランジ(21)と伴に上記活栓ハウジング(18)が内側容器(2)の排出ポート(12)に溶接される接続フランジ(21)、および
活栓(13)の電気的接地エレメント、
を備え、
上記接地エレメントは、
導電性プラスチックから成り、
接続フランジ(21)の内壁(24)に組み込まれた少なくとも1つの円弧部材(25)、
活栓ハウジング(18)の接続フランジ(21)のフランジリング(26)に嵌め込まれた接続ブリッジ(27)、および
活栓ハウジング(18)の接続フランジ(21)を移送用および貯蔵用容器(1)の基台(17)または外殻(14)に接続するケーブル(28)を有し、一体的に形成された接地リード(23)を含むことを特徴とする活栓。
【請求項2】
請求項1の活栓であって、
活栓ハウジング(18)の接続フランジ(21)の接地リード(23)におけるケーブル(28)の自由端(29)に、接地リード(23)を移送用および貯蔵用容器(1)の基台(17)または外殻(14)に固定するラグ(30)が形成されていることを特徴とする活栓。
【請求項3】
請求項1および請求項2のうち何れか1項の活栓であって、
接続フランジ(21)の接地リード(23)は、ナノ粒子を含む高密度ポリエチレン(PE−HD)から成っていることを特徴とする活栓。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうち何れか1項の活栓の活栓ハウジングのための接続フランジ、および接地リードを製造する方法であって、
射出成型器によって2Kテクノロジーが用いられ、
第1の方法ステップにおいて、接続フランジ(21)は、非導電性プラスチックから射出成型され、
接地リード(23)の円弧部材(25)用に内壁(24)に設けられる少なくとも1つの凹部(34)、および
接地リード(23)の接続ブリッジ(27)用に接続フランジ(21)のフランジリング(26)に設けられる溝部(35)が形成されるとともに、
さらに、保持リブ(40)、および接地リード(23)におけるケーブル(28)のための切り取り部(41)と伴に、保持リング(39)用に、接続フランジ(21)のフランジリング(26)の外周部(38)に設けられる円弧形状の凹部(36)と、これに連続する中心軸方向の溝部(37)とが形成され、
第2の方法ステップにおいて、同じ射出成型器によって、導電性プラスチックが、あらかじめ形成された上記接続フランジ(21)上に成型され、円弧部材(25)、接続ブリッジ(27)、およびケーブル(28)を有する接地リード(23)が形成されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4の方法であって、
接続フランジ(21)の内壁(24)に組み込まれる円弧部材(25)、および活栓(13)の接続フランジ(21)の接地リード(23)におけるケーブル(28)の自由端(29)の固定用のラグ(30)は、オーバーモールドで成型され、導電性を高めるために表面が剥ぎ取られることを特徴とする方法。
【請求項6】
閉塞可能な注入ポート、および活栓を接続する排出ポートを有するプラスチック製の内側容器と、
金属格子または金属薄板から成る外殻と、
金属またはプラスチック材料から成り、少なくとも部分的に導電性を有し、内側容器を支持するパレット状基台と
を備えた液体の移送用および貯蔵用容器のための、
プラスチック製の活栓ハウジングを有する活栓、特にフラップバルブまたはバタフライバルブであって、
導電性プラスチックから成り、ねじフランジとして、流入ポート(20)を伴う活栓ハウジング(18)が螺合され、当該接続フランジ(44)と伴に上記活栓ハウジング(18)が内側容器(2)の排出ポート(12)に溶接される接続フランジ(44)、および
射出成型によって接続フランジ(44)と一体的に形成され、一端部(46)は、ブリッジ(47)を介して接続フランジ(44)のフランジリング(26)に取り付けられ、他端部(48)は、移送用および貯蔵用容器(1)における外殻(14)の基台(17)または外殻(14)に取り付けられる固定ラグ(49)を有するフレキシブルな接地ケーブル(45)
を備え、
上記ブリッジ(47)と固定ラグ(49)との間のケーブル部(50)は、接続フランジ(44)のフランジリング(26)に、切り取りフィルム(51)によって接続され、活栓(13)を伴う接続フランジ(44)が内側容器(2)の排出ポート(12)に溶接された後、接地ケーブル(45)における、ブリッジ(47)と、移送用および貯蔵用容器(1)の基台(17)または外殻(14)への固定ラグ(49)との間のケーブル部(50)が、接続フランジ(44)のフランジリング(26)から切り離し可能になっていることを特徴とする活栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−241507(P2010−241507A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87190(P2010−87190)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(510094263)
【Fターム(参考)】