説明

プラスチック光ファイバの製造装置

【課題】紡糸速度を維持して生産性を落とすことなく、高い安定性で外径変動が制御できるプラスチック光ファイバの製造装置を提供する。
【解決手段】溶融樹脂をストランド状に吐出する一つ以上の吐出口を有する紡糸口金20に、保温筒30が隣接して設けられ、該保温筒30の紡糸口金20側と反対側に、冷却装置40が近接して設けられた製造装置10であって、前記冷却装置40が、溶融樹脂に吹き付ける風を整流するための多筒集合体を有しており、該多筒集合体を形成する各筒状体の開口面積Sと長さLとが、L/S=0.5〜15であるプラスチック光ファイバの製造装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック光ファイバを溶融紡糸する際に、外径変動を小さくできるプラスチック光ファイバの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック光ファイバの紡糸製造は、図7に示すような製造装置110により行われていた。この製造装置110は、溶融樹脂を連続的に吐出する1つ以上の吐出口が円周状、千鳥状又は一直線状に配置された紡糸口金120と、該紡糸口金120の直下に設けられた保温筒130と、溶融紡糸されたプラスチック光ファイバを冷却するための冷却装置140とからなっている。例えば、紡糸口金120から溶融紡糸されたプラスチック光ファイバZは保温筒130の内部を通過後、冷却装置140から吹き出された冷却風により冷却され、その後、ガイド150を経てニップロール170により引き取られて延伸工程へと送られる。
【0003】
このようなプラスチック光ファイバの製造では、紡糸工程での外径の均一性が、得られるプラスチック光ファイバの外径の均一性に大きな影響を与える。紡糸工程で外径が不均一なプラスチック光ファイバが紡糸されて延伸工程に送られると、外径が細い部分に大きな引張張力が集中し、その部分がさらに細くなってしまうため、外径の不均一性が増してしまう。したがって、得られるプラスチック光ファイバの外径を均一にするためには、紡糸工程での外径変動の制御が非常に重要である。
【0004】
紡糸工程で生じるプラスチック光ファイバの外径変動には、規則的で周期性のある外径変動と、不規則的で周期性のない外径変動とがある。規則的で周期性のある外径変動を引き起こす要因の一つとしては、定量ポンプの吐出量の変動の影響が考えられる。この外径変動を制御する方法としては、例えば、計量用のギヤポンプの一次樹脂圧力を一定にする方法が示されている(特許文献1)。また、複数のギヤ式定量ポンプを用いて溶融樹脂を吐出量の変動周期の位相が異なる複数の原料流に分配し、これらの複数の原料流を、吐出量の変動周期の位相が打ち消されるように組み合わせて合流させることにより、吐出量の変動を制御する方法が示されている(特許文献2)。しかし、これらの技術では、規則的で周期性のある外径変動は制御できても不規則的で周期性のない外径変動の制御は困難である。
【0005】
不規則的で周期性のない外径変動を制御する方法としては、冷却風を吹き出す冷却装置において、冷却風の上部の風向きを斜上向きに変化させる方法が示されている(特許文献3)。しかし、特許文献3の技術では、冷却風の吹き出し口と通過するプラスチック光ファイバとの距離によって、各プラスチック光ファイバ間に外径変動の差が生じるという問題があった。また、異なる品種のプラスチック光ファイバを製造する際には、その都度煩雑な風速の微調整が必要であった。
【0006】
特許文献4には、保温筒に冷却風が入り込まないような遮断板と、風速と温度を個別に設定できる多段構造型の冷却装置とを設け、上段部分から徐々に低い温度の風を吹きつけて溶融紡糸したプラスチック光ファイバを冷却することにより、得られるプラスチック光ファイバの外径変動を制御する方法が示されている。特許文献4の技術は、品種による煩雑な風速の微調整もなく、プラスチック光ファイバの外径変動を小さく制御できる。
【特許文献1】特開平2−24923号公報
【特許文献2】特開平5−11127号公報
【特許文献3】特開平4−225303号公報
【特許文献4】特開2005−42247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、保温筒内で発生した温風等により、冷却装置から吹き出される冷却風の方向が乱される場合があり、外径変動を充分に制御しきれないことがあった。したがって、得られるプラスチック光ファイバの外径変動がより安定に制御できる、プラスチック光ファイバの製造装置が望まれている。
そこで、本発明では、紡糸速度を維持して生産性を落とすことなく、高い安定性で外径変動が制御できるプラスチック光ファイバの製造装置を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、溶融樹脂をストランド状に吐出する一つ以上の吐出口を有する紡糸口金に、保温筒が隣接して設けられ、該保温筒の紡糸口金側と反対側に、冷却装置が近接して設けられた製造装置であって、前記冷却装置が、溶融樹脂に吹き付ける風を整流するための多筒集合体を有しており、該多筒集合体を形成する各筒状体の開口面積Sと長さLとが、L/S=0.5〜15であるプラスチック光ファイバの製造装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のプラスチック光ファイバの製造装置によれば、高い生産性を保ったまま、外径変動が小さく抑えられたプラスチック光ファイバが高い安定性で製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のプラスチック光ファイバの製造装置の一実施形態例について、図1〜5に基づいて詳細に説明する。
本発明のプラスチック光ファイバの製造装置10は、図1に示すように、紡糸口金20、保温筒30、冷却装置40、ガイド50、外径計測器60、及びニップロール70を備えている。
【0011】
紡糸口金20には、例えば、円周状、千鳥状或いは一直線状に配置された一つ以上の吐出口が設けられる。また、紡糸口金20の直下に保温筒30が備え付けられる。保温筒30の下側には溶融紡糸されたプラスチック光ファイバが通過するための開口部32が設けられる。また、保温筒30の下には、溶融紡糸されたプラスチック光ファイバを冷却するための冷却装置40が設けられる。
【0012】
本実施形態例の冷却装置は、図1に示すように、冷却装置40を3段重ね、風速及び温度が個別に設定できる3段構造型(以下、3段重ねにした各冷却装置40を、上段から順に上段冷却装置40a、中段冷却装置40b、下段冷却装置40cとする。)である。冷却装置は、単独で使用してもよく、上記のように複数積み重ねて使用してもよい。
冷却装置40を複数積み重ねて使用して溶融紡糸されたプラスチック光ファイバを冷却する際は、上側にある冷却装置からの冷却風の温度よりも下側にある冷却装置からの冷却風の温度の方が低くなるように設定するのがよい。例えば、図1では、上段冷却装置40aよりも中段冷却装置40b、中段冷却装置40bよりも下段冷却装置40cの方が、冷却風の温度が低くなるのがよい。また、中段冷却装置40bと下段冷却装置40cからの冷却風は、上段冷却装置からの冷却風の温度より低ければ、同じ温度であっても構わない。このようにすることで、プラスチック光ファイバの外径変動が制御し易くなる。
また、冷却装置40は、図2に示すように、例えば、ブロア41、抵抗体42、冷温水コイル43、多筒集合体45等の部品が備えられるが、設定した温度の、均一な冷却風を吹き出せるものであれば部品の種類や、その数量及び配置は特に限定されない。
まず、ブロア41により吹き出された風が抵抗体42により拡散された後に、冷温水コイル43に送られる。冷温水コイル43には外部の冷温水循環装置44から循環水が供給されており、この循環水の温度をフィードバック制御することにより冷却風の温度が調節される。冷温水コイル43を通過した風は、吹き溜まり部dで一旦吹き溜まり、均一にされた後、多筒集合体45のそれぞれの筒状体46から吹き出される。
【0013】
本発明のプラスチック光ファイバの製造装置10の特徴は、冷却装置40が多筒集合体45を有していることにある。従来のプラスチック光ファイバの製造装置では、冷却装置から吹き出す冷却風全体を金網等により一括して整流していたため、高い整流効果が得られていなかった。そのため、保温筒30内から吹き出してくる温風等によって冷却風が乱される場合があり、得られるプラスチック光ファイバの外径変動が制御しきれないことがあった。しかし、本発明の製造装置10では、多筒集合体45を利用し、冷却装置40から吹き出す冷却風をそれぞれの筒状体46により整流する。このようにすれば、各筒状体46により冷却風を分割して別々に整流でき、さらに筒状体の長さを長くすれば整流効果を非常に高くすることができる。そのため、冷却装置40から吹き出された冷却風は、保温筒30から吹き出される温風等によって乱されることなく直進するため、プラスチック光ファイバの外径変動が所望の通りに制御できる。
本発明のプラスチック光ファイバの製造装置10では、多筒集合体45を形成する各筒状体46は、該筒状体46の開口面積Sと長さLとが、L/S=0.5〜15となるようにする。筒状体46の開口面積Sと長さLとの関係は、L/S=1〜12の範囲であるのが好ましい。L/Sが15以下であれば冷却装置から冷却風を吹き出すのに大きなエネルギーが必要なくなるため、経済性が高くなる。また、L/Sが0.5以上であれば、冷却装置から吹き出される冷却風が充分に整流され、吹き出された冷却風の方向が安定する。
【0014】
冷却装置40の多筒集合体45としては、例えば、図3に示すようなハニカムを用いることができる。この場合にはアルミハニカムであるのが好ましいが、これに限定されない。また、ハニカム以外であってもよく、例えば、断面四角形、断面五角形、断面円形等の筒状体の集合体であってもよく、いくつかの種類の筒状体を混合して集合体としたものであってもよい。また、各筒状体のL/S値は0.5〜15の範囲であれば異なっていてもよい。
【0015】
また、本発明の冷却装置40は、図4に示すように、ブロア41の多筒集合体45側に、外部に設置された冷水循環装置48から冷水が供給される冷水コイル47と電気ヒータ49とを設け、冷水コイル47により冷却された風を電気ヒータ49によって加熱することにより、設定した温度の冷却風とするものであっても構わない。このとき、冷水コイル47はブロア41よりも多筒集合体45側にあっても、多筒集合体45側と逆側にあってもよい。
【0016】
冷却装置40(本実施形態例では上段冷却装置40a)は、図1に示すように、冷却装置40から出る冷却風のうち最も上側の冷却風が、保温筒30のすぐ下側を通るように設けるのがよい。このように、冷却装置40と保温筒30との間の距離を小さくすることにより、保温筒30から吹き出てくる温風により対流が生じるのを防ぎ易くなる。
【0017】
また、製造装置10の保温筒30には、保温筒30内部の温度と気流を安定させるため、遮断板31を設けてもよい。遮断板31には、溶融紡糸されたプラスチック光ファイバが通過するための開口部32が形成される(図1)。遮断板31の設置は、冷却風の風速が0.4m/sec以上の場合に効果的である。また、遮断板31を設けていれば、上段冷却装置40aから吹き出された冷却風Xが保温筒30内部へと侵入して、保温筒30内部の気流を乱すことがなくなる。そのため、プラスチック光ファイバの外径変動を抑えることができる。また、例えば、図7に示すように遮断板を設けない場合には、保温筒130の冷却装置140から遠い側の内側面134に冷却風が衝突し、はね返った冷却風が冷却装置から遠い側にあるプラスチック光ファイバに集中して衝突するため、各プラスチック光ファイバ間の外径変動に差がでてしまうことがある。図1に示すように、遮断板31を設けておけば、保温筒30内への冷却風の侵入を防ぎ易く、保温筒30の内側面34への冷却風の衝突が防げるため、各プラスチック光ファイバ間の外径変動差を小さくし易い。
【0018】
遮断板31は、図5(a)、(b)に示すような構造であるのが好ましい。図5(a)の遮断板31は、保温筒30内部へと傾斜して設けられている。一方、図5(b)の遮断板は冷却装置40側へと傾斜して設けられている。また、遮断板31は、図5(c)に示すような、水平に設置した遮断板31に開口部32を設け、該開口部32の周縁部の保温筒内部側に側部33cが形成されたものや、図5(d)に示すような、開口部32の周縁部に冷却装置側へと側部33dが形成されたものであるのがより好ましい。また、水平に設けた遮断板31に形成させる開口部32の開口径が、プラスチック光ファイバに接触しない範囲でできるだけ小さく設けられた遮断板31がさらに好ましい。また、遮断板31は、図5(c)、図5(d)のように遮断板31が水平に設けられ、該遮断板31に開口部32がプラスチック光ファイバ1本に対して1つずつ設けられているのが特に好ましい。
【0019】
例えば、本実施形態例のように、冷却装置40を3段重ねて使用する際には、上段冷却装置40aから吹き出される冷却風の温度は、20〜70℃の範囲とするのがよい。前記冷却風の温度をこの範囲とすることで、該冷却風の風速が0.4m/sec未満の場合でも、上段冷却装置40aからの冷却風による流体塊cと、紡糸口金20からの輻射熱及びプラスチック光ファイバからの放熱により保温筒30内部に発生した温度の高い流体塊bとの温度差により生じる流体塊aの熱膨張が防ぎ易くなる(図1)。そのため、流体塊aが流体塊cよりも軽くなって浮力が生じることが原因で発生する自然対流が抑えられるため、自然対流の断続的なプラスチック光ファイバへの衝突が起き難くなり、製造されるプラスチック光ファイバの外径変動が制御し易くなる。また、上段冷却装置40aからの冷却風の温度を20℃以上とすれば、流体塊aの部分の空気密度が小さくなるため、前記冷却風の方向が保たれ易くなる。また、上段冷却装置40aからの冷却風の温度を70℃以下とすれば、中段冷却装置40b、下段冷却装置40cからの冷却風との温度差が小さくでき、それにより生じる上昇気流により外径変動が大きくなることを防ぎ易くなる。
【0020】
また、プラスチック光ファイバの表面温度を充分に低下させてから、ガイド50やニップロール70と接触させるため、中段冷却装置40b及び下段冷却装置40cからの冷却風は、上段冷却装置40aよりも低い温度で、かつ5〜25℃であるのが好ましい。また、下段冷却装置40cからの冷却風の温度は、中段冷却装置40bの冷却風の温度以下に設定される。このような温度範囲とすることで、プラスチック光ファイバがガイド50やニップロール70に接触する際の、傷等の欠陥の発生が防ぎ易くなる。また、中段冷却装置40b及び下段冷却装置40cからの冷却風の風速は0.3〜1.5m/secであるのが好ましい。
【0021】
上段冷却装置40aからの冷却風の風速は0.2〜0.8m/secであるのがよく、温度が20〜70℃であれば、品種ごとに風速を調整しなくとも、高い安定性でほとんどのプラスチック光ファイバの外径変動が制御できる。ここで、冷却風の風速の斑は、各段の冷却装置40から吹き出される冷却風それぞれについて、各段の平均流速から±0.1m/secの範囲内であるのが好ましい。また、温度斑についても、格段の冷却装置40からの冷却風それぞれについて、各段の平均温度から±1℃の範囲であるのが好ましい。
【0022】
尚、本実施形態例では、冷却装置40を3段重ねたものを説明したが、それ以上の多段構造型であってもよい。例えば、上段冷却装置40aをさらに多段に分割し、プラスチック光ファイバに吹き付ける冷却風の温度が20〜70℃で、上段から下段に向かって温度が低くなるような設定としてもよい。
また、保温筒30の長さe及び上段冷却装置40aの高さfは、プラスチック光ファイバYが冷却固化されるまでの時間及び紡糸速度によって適宜設定できるが、共に50〜500mmの範囲とするのが好ましい。
【実施例】
【0023】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を詳細に説明する。尚、本発明は以下の記載によって限定されない。
実施例及び比較例における評価方法は以下に示す通りである。
[プラスチック光ファイバの外径変動率]
紡糸工程後のプラスチック光ファイバの外径をキーエンス(株)製のレーザ外径測定器(図1の外径測定器6)により、サンプル間隔0.1sec、サンプル時間30minで測定し、この外径測定結果から標準偏差を求めた。次に、この標準偏差の3倍値(3σ)を外径変動とし、この値を用いて外径変動率を求めた。尚、外径変動率とは式(1)で算出される。
A=(B/C)×100 ・・・(1)
ここで、Aは外径変動率(%)、Bは標準偏差の3倍値(3σ)、Cは平均外径を示す。
【0024】
[外径変動差]
冷却装置に一番遠い側のプラスチック光ファイバの外径変動率(A)と、一番近い側のプラスチック光ファイバの外径変動率(A)とを用いて外径変動差A(%)を求めた。
= |(A)−(A)|
【0025】
[実施例1]
芯材としてポリメチルメタクリレート(PMMA)、鞘材としてフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン(80/20(mol%))を溶融樹脂として用いた。製造装置は、図1及び図2に示した装置構成で、紡糸口金20は円周状に配置された4つの吐出口を有しており、保温筒30の長さfは300mmである。また、冷却装置40aの長さgは300mmである。冷却装置40を形成する多筒集合体45としてはアルミハニカムを用い、各筒状体46の開口面積Sを10mm、長さLを100mmとした(L/S=10)。遮断板31は、図6に示すように、紡糸口金20から紡出されたプラスチック光ファイバからの距離gが12mm、開口径hが100mmとなるように開口部32を設けた。ニップロールの引取速度を20m/min、紡糸温度を230℃とし、上段冷却装置40aからの冷却風の温度を25℃、風速を0.5m/secとした。また、中段冷却装置40bからの冷却風の温度を20℃、風速を0.5m/secとし、下段冷却装置40cからの冷却風の温度を20℃、風速を0.5m/secとした。この製造装置10によりファイバ外径750μmのプラスチック光ファイバの製造を試みた。
【0026】
[実施例2]
多筒集合体45を形成する各筒状体46の開口面積Sを20mm、長さLを100mm(L/S=5.0)とした以外は、実施例1と同様にプラスチック光ファイバの製造を行った。
【0027】
[実施例3]
多筒集合体45を形成する各筒状体46の開口面積Sを70mm、長さLを100mm(L/S=1.4)とした以外は、実施例1と同様にプラスチック光ファイバの製造を行った。
【0028】
[比較例1]
多筒集合体45を形成する各筒状体46の開口面積Sを300mm、長さLを100mm(L/S=0.3)とした以外は、実施例1と同様にプラスチック光ファイバの製造を行った。
【0029】
[比較例2]
多筒集合体45を形成する各筒状体46の開口面積Sを10mm、長さLを200mm(L/S=20)とした以外は、実施例1と同様にプラスチック光ファイバの製造を行った。
実施例1〜3及び比較例1〜2における各筒状体の条件と製造されたプラスチック光ファイバの評価を表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
多筒集合体を形成する各筒状体の開口面積Sと長さLが適切な条件である実施例1〜3では、製造されたプラスチック光ファイバの外径変動率が小さく、また、冷却装置に近い側と遠い側のプラスチック光ファイバの外径変動差も小さい。
一方、L/Sが小さい比較例1では、製造されたプラスチック光ファイバの外径変動率は大きく、また、冷却装置に近い側と遠い側のプラスチック光ファイバの外径変動差も大きい。同様に、L/Sが大きい比較例2でも、製造されたプラスチック光ファイバの外径変動率は大きく、また、冷却装置に近い側と遠い側のプラスチック光ファイバの外径変動差も大きい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のプラスチック光ファイバの製造装置によれば、高い安定性で、製造されるプラスチック光ファイバの外径変動が小さく抑えられ、各プラスチック光ファイバ間の外径変動差も小さくできる。このように、本発明の製造装置は、品質に優れたプラスチック光ファイバが安定的に製造できるため有用である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のプラスチック光ファイバの製造装置の一例を示す概略図である。
【図2】図1の製造装置10の冷却装置40を詳細に示した概略図である。
【図3】本発明の製造装置10の多筒集合体45を開口面側から見た正面図である。
【図4】図1の製造装置の冷却装置40の他の形態を詳細に示した概略図である。
【図5】図1の製造装置の遮断板30の構造を示す概略図である。
【図6】実施例及び比較例に用いた遮断板を冷却装置40側から見た正面図である。
【図7】従来のプラスチック光ファイバの製造装置を示した概略図である。
【符号の説明】
【0034】
10 プラスチック光ファイバの製造装置
20 紡糸口金
30 保温筒
40 冷却装置
45 多筒集合体
46 筒状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融樹脂をストランド状に吐出する一つ以上の吐出口を有する紡糸口金に、保温筒が隣接して設けられ、該保温筒の紡糸口金側と反対側に、冷却装置が近接して設けられた製造装置であって、
前記冷却装置が、溶融樹脂に吹き付ける風を整流するための多筒集合体を有しており、該多筒集合体を形成する各筒状体の開口面積Sと長さLとが、L/S=0.5〜15であるプラスチック光ファイバの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−62660(P2009−62660A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233897(P2007−233897)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】