説明

プラスチック押出機

本発明は、熱可塑性プラスチック材料を押出すための装置(1)に関するものであり、当該装置は、押出機ハウジング(21)を有し、該ハウジング内には、駆動装置(23)によって駆動される押出機スクリュー(22)がその軸の周りを回転できるように支持されており、該ハウジングはプラスチック材料フィーダー(3)が接続された取入れ口(24)を有し、該フィーダーは少なくとも1つの空気取り入れ口(36)を有し、前記押出機ハウジング(21)は、取入れ口(24)の上流に少なくとも1つの蒸気排出口(41)を有し、かつ、空気/蒸気の通路(28)が、取入れ口(24)から蒸気排出口(41)まで定められている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性プラスチック材料を押出すための装置に関し、当該装置は押出機ハウジングを有し、該ハウジング内には、駆動装置によって駆動される押出機スクリューがその軸の周りを回転できるように支持されており、該ハウジングは取入れ口を有し、該取入れ開口部にはプラスチック材料フィーダー(送り装置)が接続されており、該フィーダーは少なくとも1つの空気入口を有する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性プラスチック廃棄物が適切なリサイクル処理に搬送される前に、それらの材料は純粋な形態になって利用可能となっている必要がある。そのため、それらは例えば、ポリオレフィン(その代表としては、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)が挙げられる)、ポリ塩化ビニル(PVC)およびポリスチレン(PS)といった個々の区分に分けられ、かつ、金属または顔料などのような付着している異物は、通常、物理的手段を用いて除去される。単一種類のプラスチック廃棄物はその後、通常、水を用いて浄化された後、プラスチック加工の従来法によって加工される。それらの方法としては、例えば、押出しが挙げられる。
【0003】
回収されたプラスチック廃棄物の処理における問題は、そのようなリサイクルプラントの装入(チャージング)に関する稼動条件が大きく異なることである。そのため、不均質の廃棄物から、製品の品質が一定である均質な製品を取得するためには、残留水分、汚染物質、密度差、および、フィード量(送り量)といった種々のレベルが制御されなければならない。
【0004】
稼働条件の変動は、特に濡れたプラスチック物品の加工に関連して、押出機の性能に悪影響を及ぼす。水分が次のような結果をもたらす限り、水分は負の効果を有する:それは、水分が、押出機の出力性能の減少および変動、不安定な溶融成果をもたらし、以って製品品質の低下、およびより大きな摩耗、そして全体として装置全体の生産性の減少をもたらす限りである。
【0005】
当該技術分野の現状からは、例えば、米国特許公報第6,126,100号が知られており、これは、熱可塑性プラスチック材料の結合型の縮小化と押出しのための装置を提案しており、処理すべき湿潤材料のための充填容器の領域内に、該湿潤材料を乾燥させるための区間をさらに設けている。この区間には、前記縮小化装置の上に、乾燥した予熱空気を注入するためのノズルが設けられている。その乾燥させる区間の上端部に、湿潤排出空気を排出するための排出口が位置しており、この湿潤排出空気は、装置の外側の乾燥ユニットの中に移され、そこで乾燥され、その後、乾燥した供給空気として利用できるようになっている。
【0006】
この構成は、縮小化装置の下流かつ該装置の後方に位置する押出機スクリューに、注入ノズルを出た乾燥空気が注がれない限り不都合である。この構成では、縮小化されたプラスチック物品中のレベルの残留水分を、押出機スクリューから排出することはもはやできず、そのため該装置の生産性が妨げられる。さらに、縮小化装置および押出機の領域に凝縮物が形成されるため、腐食物の形成が増大する。
【0007】
EP 638 017 B1は、例えば発泡ポリスチレンといった、ガス供給されたプラスチック材料をリサイクルするための方法および装置を示している。この装置では、プラスチックは、溶融され、ろ過され、脱気され、造粒され、噴射剤ガスをそれぞれ供給または混合することによって再びガス供給される。このようにして、リサイクルプロセスから供給されたプラスチック材料は、最初に、切り裂き圧縮機として形成された縮小化装置の中に移され、その後、排出口を通じてスクリュー状の押出機の中に直接に供給され、その中でプラスチック材料は、可塑化され同時に脱気される。プラスチック材料を乾燥させるための空気の供給は、縮小化装置の領域内および押出機内のいずれの中にも与えられていない。その後、それぞれ可塑化したまたは溶融物状の中間生成物の形態で利用できるプラスチックが、フィルター中の汚染物質から取り出され、次いで再ガス供給のために攪拌機中にポンプで注入される。この攪拌機(押出機に似ている)は、外側に位置する駆動モーターを備える攪拌機スクリューを有することができ、あるいは該攪拌機は、回転する攪拌機スクリューの代わりに、駆動される部分のない静的な攪拌機を有することができ、このようにして噴射剤ガスが、供給された溶融物様のプラスチック中間生成物と混合されること、および発泡プラスチック材料が再度生成されることが保証される。押出機スクリューおよび攪拌機スクリューは、駆動要素に対面するこれらの端部に、逆の方向に供給をするスクリューウォームを備える区間を有する。そのため、この区間は、外部へ向かうハウジング通路に関しては、駆動軸の隔離を形成するが、空気または噴射剤ガスを注ぐことは実現されていない。やはりこの構成においても、回収されたプラスチック材料の残留水分によって、押出機の生産性が妨げられることとなる。
【0008】
AT 413 354 Bでは、好ましい熱可塑性プラスチック材料のための処理ユニットが紹介されており、すぐ下流に押出機を備える縮小化装置を有している。加工されるプラスチック物品は、フィーダーの中に充填され、そこから回転する加工ドラムに移され、その周囲には数列の同時に回転する、ずらして配列された刃が取り付けられている。縮小化装置のフレーム上の、回転する加工ドラムの反対側に固定して設けられた対向する刃によって、プラスチックは縮小化され、その後、加工ドラムの下に位置するフィーダー導管の中に移される。前記フィーダー導管の内壁には、最も低い位置に、離して配置された2つの圧縮空気注入ノズルが取り付けられており、該ノズルは、下流の押出機スクリューへの送り(フィーダー)パイプの排出口の方向に向けられている。圧縮空気を注入することにより、送りパイプの排出口の方向へのプラスチック材料の移動が促進される。このようにして、送りパイプを通じた押出機中へのプラスチック材料の空気圧式供給が得られている。
【0009】
この構成は、注入された圧縮空気によっては何らの乾燥効果も達成されないという不利な点を有する。湿潤空気を排出するための排出口は設けられていない。縮小化されたプラスチック材料の空気圧式供給によって、押出機の中に直接残留水分も移動し、これが最初に述べた稼働における問題をもたらす。
【発明の概要】
【0010】
従って、押出機への取入れ口を通じたプラスチック廃棄物の縮小化の際に種々のレベルの残留水分のプラスチック廃棄物を供給するといったような装置には、技術の現状の不利な点を減少させることに対する要求が存在する。有利には、湿潤プラスチック廃棄物の効率的な乾燥を、連続的な稼働において保証し、押出機においても保証し、それによりできる限りフィーダーの材料のどのような質の変動にも依存することなく、押出機の一定のスループット性能ならびに一定の高い製品品質の押出成形された材料を提供する装置が提供されるべきである。
【0011】
本発明は、熱可塑性プラスチック物品を押出すための装置を提供することによって、この目的を解決するものであり、該押出機ハウジングは、取入れ口の上流に少なくとも1つの蒸気排出口を有し、かつ、空気/蒸気の通路が該取入れ口から該蒸気排出口部まで定められている。
【0012】
用語「上流」とは、押出機ハウジング中で回転する押出機スクリューによる材料フィーダーに対して言う。
【0013】
本発明の有利な構成は、従属請求項および明細書において示している。
【0014】
本発明は、当該技術分野の既知の現状に対して、以下の利点を有する。
− 当該装置は、完全に連続的にかつ少ないメインテナンスで稼働させることができ、また、熱可塑性プラスチック物品(好ましくは先に既に縮小化されたもの)が、連続的に稼働するプラスチック押出機内で、直接的にあるレベルの残留水分と共に使用されてもよい。
− 供給されたプラスチック物品になおも存在している残留水分が押出機の生産性を妨げることには決してならない。これにより、押出機の排出性能も溶融性能も減少することにはならない。
− 当該技術の現状から知られているこのような装置において、水分は、材料の供給のために設けられた供給スクリューの領域内において、または、直接的に続く押出機内において、それぞれ材料の摩耗の増大、および腐食への傾向の増大をもたらす。この材料歪みは、本発明による装置の稼働では省略される。
− 均一な稼働によって、そしてそれによる生産性の増大によって、本発明による装置は、これまでに知られている押出機(それらは、プラスチック廃棄物の処理の持続的に変動する稼働パラメータを満たすようには全く設計されていないか、または、不十分にしか満たさないように設計されており、かつ押出機の内部からのプラスチック材料の残留水分の確実な排出のための対策が何らなされていない)よりも、稼働が経済的である。
− 少なくとも1つの蒸気排出口(該蒸気排出口は、押出機の上流にプラスチック材料の送り方向と反対の方向に配置され、かつ、そのようにすることで障害物に対して保護されている)を持った押出機ハウジングの構成に起因して、プラスチック物品は、押出機内で乾燥されることになる。これにより、装置全体の内部で凝縮物の形成が確実に防止されることになる。
【0015】
当該押出し装置の有利な実施態様では、空気/蒸気の通路が、押出機ハウジングの内側表面と押出機スクリューとの間の間隙に延びている。この間隙状の断面のおかげで、押出機のこの区間に個々のプラスチック粒子が存在する場合でさえも、該空気/蒸気の通路に沿った排出口への水分の確実な排出が保証される。
【0016】
有利なことには、空気/蒸気の通路の領域内の押出機スクリューに、反対ねじ山が配置され、そのねじ山は、押出機スクリューのスクリューウォームと同じ経路の方向を有するといった構成を、当該押出し装置は有する。これにより、押出機スクリューの回転の際に、反対ねじ山(押出機スクリューの、取入れ口の上流に位置する区間に設けられている)が、この区間ではプラスチック材料の送り方向と反対の方向で働くことが得られる。このようにして、存在するどのようなプラスチック材料も蒸気排出口から離れるように押出し方向へと供給されることとなり、これにより蒸気排出口からのプラスチック物品の排出が有利に防止され、したがって空気/蒸気の通路が遮るものが無い状態に保たれる。湿潤空気は、この区間では、空気/蒸気の通路に沿って、反対ねじ山の送り方向に反対する流れとして、排出口の方へ流れることとなる。
【0017】
押出機スクリューの空気/蒸気の通路の領域にある反対ねじ山が、押出機スクリューのスクリューウォームの傾斜と比べて、より小さな傾斜およびより小さなねじ山高さを備えているならば、そして、該反対ねじ山と押出機ハウジングとの間の間隙の幅が1mm未満、好ましくは0.5mm未満であるならば、それは有利なものとなる。取入れ口の上流に位置する区間において、押出機スクリューのスクリューウォームへと直接に延びる反対ねじ山のより小さい傾斜に起因して、プラスチック材料は、この区間から、押出しに向けての意図する送り方向において、よりゆっくりと移送されることになる。送り方向に対して反対の方向にある該区間に入る、より少ない量のプラスチック物品が、反対ねじ山によって安全に運び出されることとなり、このようにして閉塞が防止される。反対ねじ山と押出機ハウジングとの間の好ましいより小さい間隙の幅は、また、より大きいプラスチックパーツが取入れ口の上流の領域に到達するのを防止すること、および、該プラスチックパーツが反対ねじ山の領域内の空気/蒸気の通路を閉塞することを防止することの助けとなる。
【0018】
本発明による目的を解決するための別の有利な実施態様では、当該押出機は、蒸気排出口に接続された蒸気吸引装置を備える。該蒸気吸引装置によって、押出機からの湿潤空気の排出または蒸気の排出がそれぞれさらに促進され、湿潤プラスチック物品の乾燥速度が有利に増大する。
【0019】
そのような蒸気吸引装置は、好ましくは側方チャンネルコンプレッサー(Seitenkanalverdichter、横方向チャンネル式圧縮機)として形成してよい。このタイプのコンプレッサーの構造は、特にコンパクトであり、従来のファンが生じさせ得るよりもより大きい圧力または負圧がそれぞれ要求されるすべての目的に適している。有利なことには、そのようなコンプレッサーでは、潤滑は必要なく、圧縮処理は、何らの油も無しに実現され、気体は汚染されない。
【0020】
押出し装置の別の有利な構成は、蒸気排出口と蒸気吸引装置との間に水分離器が接続されているものである。蒸気吸引装置(例えば、側方チャンネルコンプレッサー)の上流の吸引側に設けられている水分離器によって、該蒸気吸引装置は腐食から保護され、排出空気の水分が選択的に回収され、排出される。
【0021】
2つの図面において、本発明の対象物の可能な構成を、異なる見方で、模式的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、当該押出し装置1を上面図にて表しており、図中、押出機2およびプラスチック材料フィーダー3は、部分的に切り開いて示している。
【図2】図2は、当該押出し装置1の特定の構成の詳細を上面図にて示しており、図中、押出機2およびプラスチック材料フィーダー3の部分もまた断面図として示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明による押出し装置1の構成を示しており、当該押出し装置は、重要なユニットである、押出機2とプラスチック材料フィーダー3と蒸気排出装置4とを有する。
【0024】
押出機2は、円筒状の押出機ハウジング21を有し、押出機スクリュー22が該押出機ハウジングの中に配置され、かつその軸の周りを回転できるように支持されており、該押出機スクリューは一方の端部で駆動装置23に連結され、それによって駆動される。押出機ハウジング21は、取入れ口24を有し、これを通って縮小化されたプラスチック物品が矢印25の方向にプラスチック材料フィーダー3から押出機2または押出機スクリュー22それぞれの中に移動し、そこからさらに押出機2の排出口26に送られる。押出機2の反対側の端部には、反対ねじ山(gegengewinde)27を持った区間が位置し、押出機スクリュー22上のスクリューねじ山を持った区間と直接的に隣接して配置されている。反対ねじ山27は、取入れ口24に対して押出機スクリュー22の上流において、駆動装置23に直接的に隣接して位置している。固定された押出機ハウジング21とは反対に、該反対ねじ山27は、押出機スクリュー22と同時に同じ方向に回転するものであって、より小さな間隙の幅29を有する。図1では、押出機ハウジング21は、軸方向を見せるように切り開かれて示されており、該ハウジングの中に位置し、反対ねじ山27を持った区間を有する押出機スクリュー22が見えるようになっている。それら個々の区間は、直列的に示されている。押出機スクリュー22上の区間221は、取入れ口24の上流に位置し、蒸気排出口41にまで延びている。押出機スクリュー22上の区間222は、取入れゾーンとも称し、該取入れ口24から圧縮ゾーン223にまで延びている。取入れゾーン222では、押出されるべきプラスチック材料は、押出機2の中に送られ、溶融され、圧縮される。取入れゾーン222の直後には、圧縮ゾーン223が続き、そこで押出機スクリュー22の円錐状部分におけるねじ山高さの減少に起因して、材料はさらに圧縮される。続く排出ゾーン224では、材料の排出のために必要な圧力が形成され、こうして示されていないその後に続くツールの中への送りが保証される。
【0025】
プラスチック材料フィーダー3は、円筒状ハウジング31を有し、該ハウジングはその内部に位置する供給スクリュー32を持っており、該供給スクリュー(上述の押出機スクリュー22に似ている)にもねじ山が設けられており、該供給スクリューはその軸の周りを回転できるように支持されている。さらに、プラスチック材料フィーダー3は、供給スクリュー32のシャフトを駆動する駆動装置33を有する。破線によって図1に示すように、フィーダー3の上には、より大きな送り材料のための縮小化装置34が位置していることが好ましく、それは、この縮小化装置34によって縮小化されるプラスチック物品の処理によって、次に続く押出機1に不具合の無い稼働を保証するためである。該縮小化装置34は、その底部側に、供給スクリュー32内へのプラスチック物品の材料送りのための開口部35を有する。縮小化されたプラスチック物品は、該供給スクリュー32によって取り込まれ、取入れ口24を25の方向に通って押出機2の中に移送され、そこでさらに、押出機スクリュー22から下流に排出口26の方向へ移送されることになる。例えば供給スクリュー32の送りレートが高すぎる場合には、プラスチック物品のより小さな部分的な流れが、取入れ口24の上流に位置する押出機スクリュー22の区間221にも到達することがある。この区間221では、図1に示されるように、取り入れ口24のところに直接に、押出機スクリュー22はスクリューウォームを備えており、該スクリューウォームは、区間222、223、および、224における傾斜と同じ傾斜を持っており、かつ、さらに上流には、該押出機スクリュー22は、該スクリューウォームの傾斜と比べて好ましくはより小さな傾斜を有する反対ねじ山27を有しており、プラスチック物品は力のみによって押出機スクリュー22の送り方向と反対の方向へと、取入れ口24から離れるように供給されることがある。それは例えば、押出機2が、排出口26の領域にある自由端部において、圧縮ゾーン223の領域または排出ゾーン224において、閉塞されている場合にである。通常の稼働では、誤って押出機スクリュー22の区間221の中へ、送り方向に対向する流れとして移動したプラスチック部分は、所望の移送方向25へ、排出口26の方向に、確実に再移送されることになる。
【0026】
プラスチック材料フィーダー3のハウジング31には、少なくとも1つの空気取り入れ口36が設けられており、その中に、矢印37の方向に、外側から圧縮空気が吹き込まれる。該圧縮空気は、好ましくは乾燥しており、かつ予熱されており、取り入れ口24の方向に押出機の中へ供給されるプラスチック物品と同じ方向に供給スクリュー32内を流れる。供給スクリュー32内のプラスチック物品の残留水分は、圧縮空気によって吸収されることとなる。押出機2が取入れ口の上流に少なくとも1つの蒸気排出口41を有するという本発明の構成によって、空気または蒸気は、それぞれに、区間221内で空気/蒸気の通路28に沿って、送り方向25とは反対の方向に、矢印の方向へ、蒸気排出口41まで流れる。プラスチック材料は、押出機の区間222内で溶融され、その後、区間223内で圧縮され、それにより排出ゾーン224内において先行する区間を気密に閉ざし、その結果、押出機2の内部の蒸気は、排出口26を通っては出て行くことができないかまたは単に微小な部分的な流れとしてしか出て行くことができない。
【0027】
蒸気排出装置4は、図2では、蒸気排出口41を有し、これは取入れ口24の上流の押出機ハウジング21に設けられており、蒸気排出ライン42に接続されている。その後、空気/蒸気の混合物は、水分離器43に入り、その中で冷却され、水分は、凝縮物の形態で分離される。水分離器からの排出空気は、蒸気吸引装置44によって吸い出され、この蒸気吸引装置は、側方チャンネルコンプレッサーとして形成されていることが好ましい。この蒸気吸引機44によって、蒸気排出装置全体にわずかな陰圧が広がり、空気/蒸気の混合物が押出機2の区間221から確実に吸い出されることが保証される。
【0028】
図2は、当該押出し装置1の押出機2の詳細を示すと共に、プラスチック物品の縮小化装置34の特定の構成の底部の断面図を示している。該縮小化装置34の底部の領域には、空気取入れ口36がいくつか設けられており、湿潤プラスチック物品を乾燥させるための圧縮空気が該空気取入れ口内に矢印37の方向に注入される。この構成では、供給された空気は、縮小化されるべきプラスチック物品とともに、例えば、縮小化装置の底部において、くさび状の取り付けられたシートまたは尾根状突起によってガイドされ、開口部35へ、さらには下に位置するプラスチック材料フィーダー3の供給スクリュー32の中へ移動する。さらに、プラスチック材料フィーダー3の供給スクリュー32のハウジング31に、直接さらなる空気取り入れ口36を1個またはいくつか配置することもでき、この空気取り入れ口を通じても、空気、好ましくは圧縮空気が吹き込まれる。この開口部またはこれらの開口部群は、断面図に示される縮小化装置34の下に見えないように位置しているため、図2にそれを図示することは省略している。
【0029】
注入された空気は、やはり供給スクリュー32を通って、取り入れ口24へ流れ、そこから押出機ハウジング21内を、区間221内の空気/蒸気の通路28に沿って、矢印の方向に、蒸気排出口41まで流れる。図2は、押出機スクリュー22の領域内の蒸気排出口41を示しており、該スクリューには反対ねじ山27が備えられ、これは、該反対ねじ山27と押出機ハウジング21との間により小さな間隙の幅29を形成するためのものである。空気/蒸気の混合物は、蒸気排出ライン42を通って、押出機1を出て行く。図2には、蒸気排出ライン中に設けられるのが好ましい水分離器や、場合によっては存在する蒸気吸引装置は示していない。
【0030】
処理されるプラスチック物品は、供給スクリュー32から取入れ口24を通って押出機2の内部に送られるとすぐに、矢印25の方向に向けられ、そこで押出機スクリュー22に取り込まれる。図1の場合と同様に、図2の構成においても、区間221は、できるだけプラスチック材料がない状態に保たれる。それにもかかわらず、いくらかのプラスチック物品が取入れ口24の上流の区間221の中に移動した場合、駆動装置23に隣接する、反対ねじ山27を有する区間と微小な障害の無い間隙の幅29によって、空気/蒸気の通路28の閉塞が確実に防止されることとなる。このようにして、押出機2の内部から排出口41を通じて、蒸気を確実に排出することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性プラスチック材料を押出すための装置(1)であって、当該装置は、押出機ハウジング(21)を有し、該ハウジング内には、駆動装置(23)によって駆動される押出機スクリュー(22)がその軸の周りを回転できるように支持されており、前記ハウジングはプラスチック材料フィーダー(3)が接続された取入れ口(24)を有し、前記フィーダーは少なくとも1つの空気取り入れ口(36)を有し、その特徴が、
前記押出機ハウジング(21)が、取入れ口(24)の上流に少なくとも1つの蒸気排出口(41)を有し、かつ、空気/蒸気の通路(28)が、取入れ口(24)から蒸気排出口(41)まで定められていることである、
前記熱可塑性プラスチック材料を押出すための装置(1)。
【請求項2】
空気/蒸気の通路(28)が、押出機ハウジング(21)の内側表面と押出機スクリュー(22)との間の間隙(29)に延びていることを特徴とする、請求項1に記載の押出し装置(1)。
【請求項3】
空気/蒸気の通路(28)の領域内の押出機スクリュー(22)に反対ねじ山(27)が配置され、該反対ねじ山(27)が、押出機スクリュー(22)のスクリューウォームと同じ経路方向を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の押出し装置(1)。
【請求項4】
空気/蒸気の通路(28)の領域内の押出機スクリュー(22)に、押出機スクリュー(22)のスクリューウォームの傾斜と比べて、より小さな傾斜を持った、および、任意選択的により小さなねじ山高さを持った反対ねじ山(27)が設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の押出し装置(1)。
【請求項5】
反対ねじ山(27)と押出機ハウジング(21)との間の間隙の幅(29)が、1mm未満、好ましくは0.5mm未満であることを特徴とする、請求項3または4に記載の押出し装置(1)。
【請求項6】
蒸気吸引装置(44)が、少なくとも1つの蒸気排出口(41)に接続されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の押出し装置(1)。
【請求項7】
蒸気吸引装置(44)が、側方チャンネルコンプレッサーとして形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の押出し装置(1)。
【請求項8】
蒸気排出口(41)と蒸気吸引装置(44)との間に水分離器(43)が接続されていることを特徴とする、請求項6または7に記載の押出し装置(1)。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−516793(P2012−516793A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548629(P2011−548629)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050438
【国際公開番号】WO2010/089173
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(599047712)スターリンガー ウント コムパニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (9)
【Fターム(参考)】