説明

プラスチック表面にナノ構造を製造する方法

プラズマエッチングプロセスによりプラスチックからの基板(1)の表面にナノ構造(6)を作製する本発明による方法の場合、薄膜(2)がプラスチック基板(1)上に施与され、引き続きプラズマエッチングプロセスが実施される。本方法により作製されるナノ構造(6)によって、殊にプラスチック基板(1)の表面の反射が低減させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の上位概念に従う方法に関する。
【0002】
この特許出願は、ドイツ国特許出願10 2006 056 578.9の優先権を主張するものであり、その開示内容はこれにより引用によって組み込まれる。
【0003】
特許文献DE 102 41 708 B4からは、プラズマエッチングプロセスによってプラスチックからの基板の表面にナノ構造を作製する、プラスチック基板の反射を減少する方法が公知である。その際、プラズマイオン源によって作製される、高エネルギーイオンによる基板表面の衝撃によってナノ構造が製造される。
【0004】
いくつかのプラスチック上でのこのような反射を軽減するナノ構造の製造は、比較的困難にしか可能ではなく、殊にプラズマエッチングプロセスの際の比較的長いエッチング時間によってのみ可能であることがわかっている。
【0005】
さらに、刊行物DE 102 41 708 B4からは、例えばポリマーCR39について、約500秒の処理時間にて初めて良好な反射防止作用が得られる一方で、PMMAからの基板の場合、プラズマエッチングプロセスの継続時間は、300秒を上回るべきでないことが明らかになっている。
【0006】
様々なプラスチック基板における異なった処理時間は、同じ真空チャンバー内での作業工程における様々な材料からのプラスチック基板の同時の反射防止加工を難しくする。
【0007】
本発明の基礎をなしている課題は、プラズマエッチングプロセスによりプラスチックからの基板の表面にナノ構造を作製する改善された方法を提供することである。殊に、この改善された方法は、比較的僅かな手間で、多数のプラスチック上でのナノ構造の製造を可能にすべきであり、その際、プラズマエッチングプロセスの実施の際に必要とされる処理時間は、様々な基板材料の場合に、好ましくは本質的に異ならない。
【0008】
この課題は、特許請求項1の特徴を有する方法によって解決される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0009】
プラズマエッチングプロセスによりプラスチックからの基板の表面にナノ構造を作製する本発明による方法の場合、プラスチック基板上に薄膜が施与され、引き続きプラズマエッチングプロセスが実施される。
【0010】
プラズマエッチングプロセスの実施前に薄膜がプラスチック基板上にも施与されることによって、従来のプラズマエッチングプロセスでは困難にしか可能でないか、または比較的長い処理時間が必要とされる、反射を軽減するナノ構造が製造され得ることがわかった。さらに好ましくは、プラズマエッチングプロセスの実施のために必要とされる処理時間が、従来のプラズマエッチングプロセスと比較して短縮されることがわかった。本方法のさらに別の一利点は、プラズマエッチングプロセスの必要とされる継続時間が、様々なプラスチックからの基板の場合に、好ましくは非本質的にしか異ならないか、または全く異ならないという点にある。このことは同じ真空チャンバー内での作業工程において、様々なプラスチックからの複数のプラスチック基板の同時の反射防止加工を可能にする。
【0011】
プラズマエッチングプロセスの実施前にプラスチック基板上に施与される薄膜は、有利には酸化物膜、窒化物膜または弗化物膜である。殊に、薄膜は、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、酸化チタン膜または弗化マグネシウム膜であってよい。
【0012】
薄膜の厚さは、有利には2nmまたはそれ未満、とりわけ有利には1.5nmまたはそれ未満である。薄膜の厚さは、該薄膜が不連続的な、殊に島状の膜であるケースにおいて、本発明の範囲内では平均膜厚さと理解され得る。
【0013】
薄膜の施与は、有利にはPVD(物理蒸着)法によって、殊にスパッタリングまたは真空蒸着によって行われる。例えば、誘電性の酸化物膜または窒化物膜が、金属ターゲットの反応性スパッタリング、殊にマグネトロンスパッタリングによって製造され得る。
【0014】
真空コーティング法によって薄膜を施与する代わりに、該薄膜はプラスチック基板の表面上に、消しゴムの摩耗と似たように、ゴム状の膜の摩耗によってか、または接着テープの施与および続く剥離によっても作製され得る。
【0015】
反射軽減作用を持つナノ構造の形成を生じさせるプラズマエッチングプロセスは、好ましくは薄膜の施与直後に実施される。プラズマエッチングプロセスの実施は、好ましくは、酸素を含有するプラズマを用いて行われる。適したプラズマエッチングプロセスは、特許文献DE10241708B4からそれ自体公知であり、その開示内容はこれに関して参照によって組み込まれる。
【0016】
殊に本発明による方法は、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、PET、PMMAまたはCR39を含有するプラスチックの基板の場合に適用可能である。
【0017】
その際、薄膜の事前の施与が行われない従来のプラズマエッチングプロセスと比較して、必要とされる処理時間の減少が達成される。有利には、プラズマエッチングプロセスの継続時間は400秒またはそれ未満、とりわけ有利には、それどころか300秒またはそれ未満である。
【0018】
本発明による方法の有利な一実施態様の場合、様々なプラスチックからの複数のプラスチック基板上でのナノ構造の作製が同時に行われる。これが可能なのは、様々なプラスチックの場合に、可能な範囲で最良の反射防止加工を達成するのに必要とされる処理時間が異ならないか、または非本質的にしか異ならないからである。
【0019】
本発明により作製されるナノ構造は、好ましくは、プラスチック基板の表面から50nmまたはそれを上回る深さまでプラスチック基板内に伸びている。とりわけ有利には、ナノ構造の深さは、プラスチック基板の表面から50nm以上から200nmまでの間にある。
【0020】
プラスチック基板は、本発明による方法の場合、殊に光学素子または透明なカバーであってよく、その際、表面の反射が低減させられるべきである。本発明のさらに別の有利な一実施態様の場合、プラスチック基板はプラスチックフィルムである。本発明により比較的大きい面、殊に50cm×50cmまたはそれを上回る大きさを有する面にナノ構造を備え付けられ得ることがわかった。従って、大きい面のフィルムにもナノ構造が備え付けられ得る。
【0021】
本方法により作製されるナノ構造によって、有利には、プラスチック基板の表面の反射が低減させられる。
【0022】
本発明による方法の有利な一実施態様の場合、透明な保護膜がナノ構造上に施与される。透明な保護膜は、作製されるナノ構造を、例えば表面の洗浄に際して発生し得る外部の影響から、殊に機械的な損傷から保護する。
【0023】
好ましくは、透明な保護膜の厚さは、一方でナノ構造が外部の影響から十分に保護されており、他方でしかし、反射軽減作用が失われないように選択される。とりわけ有利には、透明な保護膜の厚さは、10nm以上から50nm以内にある。
【0024】
透明な保護膜の形成にとりわけ適しているのは、酸化ケイ素、殊にSiOである。
【0025】
本発明は以下において、図1〜4と関連する実施例を手がかりにして、さらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】中間工程を手がかりにした本発明による方法の実施例の図式的な概略図を示す図
【図2】本発明による方法の実施例におけるさらに別の一方法工程の図式的な概略図を示す図
【図3】Zeonex(R)からの未処理の基板と比較した、Zeonex(R)からの本発明による方法により処理されたプラスチック基板における波長に依存した透過率を示す図
【図4】Ultrason(R)からの未処理の基板と比較した、Ultrason(R)からの本発明による方法により処理されたプラスチック基板における波長に依存した透過率を示す図
【0027】
同じかまたは同じに作用する要素は、図中で同じ引用符号が付けられている。図は尺度通りに見なされるべきではなく、むしろ個々の要素は明示するために誇張して大きく示されていてよい。
【0028】
図1の中で示されているように、本発明による方法の最初の中間工程に際して、薄膜2がプラスチック基板1の上に施与される。プラスチック基板は、好ましくは、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、PET、PMMAまたはCR39を有する。殊に、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミドまたはポリアミドの群からのプラスチックに、本発明による方法により、従来のプラズマエッチング法と比較して比較的短いエッチング時間で、反射を軽減するナノ構造を備え付けることができる。好ましくは、しかし、PMMAまたはCR39のようなプラスチックの場合にも、従来のプラズマエッチング法と比べてプロセス継続時間の短縮が達成される。
【0029】
プラスチック基板1上に施与される薄膜2は、好ましくは、酸化物膜、窒化物膜または弗化物膜である。殊に、TiO、SiO、MgFからのまたは窒化ケイ素からの薄膜が適している。
【0030】
薄膜2は、好ましくは島状の膜であり、すなわち、膜が連続的な膜へとまだ一体化しないように、その成長が初期段階において中断された膜である。
【0031】
薄膜2は、有利には2nmまたはそれ未満の、とりわけ有利には1.5nmまたはそれ未満の厚さを有する。その際、薄膜2の厚さは(薄膜2は、殊に島状の膜であってよいので)、プラスチック基板1の表面にわたって平均値が算出された厚さと理解される。薄膜2の平均厚さは、成長に際して、例えば校正された水晶振動子測定システムによって測定され得、その際、平均層厚さは、基板上に施与された質量から計算される。島状の薄膜の平均厚さは、実際に施与された島状の膜と同じ質量を有する、厚みが一様な閉じられた膜の厚さに相当する。
【0032】
プラスチック基板1への薄膜2の施与は、例えば蒸着源3からの真空蒸着によって行われる。殊に蒸着源3は、電子線蒸着源または熱蒸着源であってよい。代替的にその他のPVD法も、薄膜2の施与に使用され得る。殊に、スパッタリングによる、例えば反応性マグネトロンスパッタリングによる施与が適している。スパッタリングを用いた薄膜2の施与は、プラスチック基板1の比較的大きい面も均一に薄膜2でコーティングされ得るという利点を有する。例えば、より大きいプラスチック基板も、例えば50cm×50cmまたはそれを上回るサイズによりコーティングすることが可能である。
【0033】
プラスチック基板1への薄膜2の施与後、プラスチック基板1の表面にナノ構造を作製するプラズマエッチングプロセスが実施される。プラズマの作製のために、例えばプラズマイオン源4が使用される。殊にプラズマは、酸素が供給されるアルゴンプラズマであってよい。プラズマ5の中で、高エネルギーイオンが基板に向かって加速させられ、かつ、この仕方でナノ構造が作製される。適したプラズマイオン源4およびプラズマエッチングプロセスの実施に適した運転パラメータは、例えば刊行物DE10241708B4から公知であり、かつ、それゆえこの箇所でさらに詳しくは説明されない。典型的に真空蒸着装置中で熱蒸着および/または電子線蒸着のために使用される、従来技術において記載されるこのプラズマイオン源の代わりに、プラズマエッチングプロセスはその他のプラズマ源によっても実施され得る。例えば、エッチングステーションとしてスパッタリング装置中に配置されていてよい高周波プラズマ源も適している。
【0034】
前で挙げられた刊行物中に記載される方法と比較して、プラズマエッチングプロセスの必要とされる継続時間が薄膜2の事前の施与によって好ましくは短縮されることが、好ましくは明らかになった。殊に、プラズマエッチングプロセスの継続時間は400秒またはそれ未満、有利には300秒またはそれ未満であってよい。エッチングプロセスの継続時間は、様々なエッチング時間により処理された試験体のスペクトル透過率の測定を手がかりにして最適化され得る。エッチング時間が長すぎるとナノ構造における散乱光損失が発生する一方で、エッチング時間が短すぎると最小反射率がより短い波長に向かって不所望にずれることがあり得る。
【0035】
プラズマエッチングプロセスによって、プラスチック基板1の表面にナノ構造6が作製される。前もって施与された薄膜2は、プラズマエッチングプロセスに際して完全にまたは部分的にプラスチック基板1の表面から除去され得る。ナノ構造6は、好ましくは、プラスチック基板1の表面から50nmを上回る深さまで基板内に伸びている。とりわけ有利には、ナノ構造6は、それどころか100nmまたはそれを上回る深さまで基板内に伸びている。横方向において、ナノ構造の構造サイズは、好ましくは70nmまたはそれ未満であり、すなわち比較的大きいアスペクト比が達成される。
【0036】
本発明の有利な一実施態様の場合、図2で示されているように、プラスチック基板1の表面でのナノ構造6の作製後、該ナノ構造6の上に透明な保護膜7が施与される。透明な保護膜7によって、ナノ構造6は、外部の影響から、殊に機械的な損傷から保護される。殊に、そのことによって、ナノ構造がプラスチック基板1の表面の洗浄に際して損傷されるというリスクが低下する。
【0037】
透明な保護膜7は、10nm未満の非常に僅かな保護厚さの場合にのみナノ構造6を模倣することが確認された。より大きい層厚さの場合、例えば表面の拭き取りの際の機械的な損傷からナノ構造を十分に保護する閉じられた膜が形成される。その際、層厚さが50nm、とりわけ有利には40nmを超えない場合、作製されたナノ構造6の反射軽減作用は透明な薄膜によって損なわれないか、または非本質的にしか損なわれない。有利には、透明な保護膜は、それゆえ10nm以上から50nm以内の厚さを有する。
【0038】
ナノ構造6の反射軽減作用を損なわないために、透明な保護膜が僅かな屈折率を有する場合、さらに好ましい。有利には、透明な保護膜はSiO膜である。
【0039】
透明な保護膜7がナノ構造6上に施与される場合、事前のエッチングプロセスの継続時間が、保護膜を後で施与しない方法の場合より短く選択される場合に好ましい。好ましくは、本発明のこの実施態様の場合、エッチングプロセスの継続時間は200秒またはそれ未満である。
【0040】
ナノ構造6の反射軽減作用に基づき、本発明による方法は、例えばディスプレイの透明なカバーにおけるか、または光学素子における、投射光線の反射が望まれていないプラスチック基板1のために適している。
【0041】
殊に本発明による方法は、大きい面のプラスチック基板1のためにも、例えば光学的な表示エレメントのカバーのために、またはプラスチックフィルムの反射防止加工に使用され得る。
【0042】
図3には、未処理のZeonex(R)基板(曲線8)と比較した、Zeonex(R)からの本発明による方法により両側が処理されたプラスチック基板(曲線9)の測定された透過率が示されている。曲線8、9は、可視スペクトル領域中での透過率が、本発明による方法を用いたプラスチック基板の向かい合う両表面でのナノ構造の作製によって、著しく改善され得ることを明確に示す。
【0043】
この実施例にて使用されるZeonex(R)からのプラスチック基板は、例えばPMMAと比較して比較的良好な耐熱変形性によって特徴付けられ、かつ殊に約125℃の温度まで使用可能である。図示された透過率測定(曲線9)は、直径55mmおよび1mmの厚さを有する、本発明による方法によって両側にナノ構造を備え付けられた試験体を用いて実施した。ナノ構造の製造のために、真空蒸着装置APS904(Leybold Optics)中でTiOの薄膜を電子線蒸着によってプラスチック基板上に析出させた。これは、例えば約1×10−5mbarのプロセス圧力にて行ってよい。TiO薄膜を、0.03nm/秒の蒸着速度にて約1.25nmの厚さで析出させ、その際、層厚さを、成長中に、校正された水晶振動子測定システムによって検出した。薄膜の成長は未処理の基板上で行い、殊に薄膜を成長させる前にプラズマ前処理を実施しなかった。
【0044】
プラズマエッチングプロセスによるナノ構造の作製は、真空蒸発装置中に取り付けられたプラズマイオン源によって、真空サイクルを合間に中断することなく行った。エッチング作業の実施のために、アルゴンを14sccmの流量で、かつ酸素を30sccmの流量で真空チャンバー内に通した。プラズマイオン源は、基板キャリアに衝突するArイオンのエネルギーの基準である、120VのBIAS電圧および50Aの放電電流により作動させた。エッチングプロセスは、300秒の継続時間によるプロセスパラメータにより実施した。より短いエッチング時間の場合、可能な範囲で最良の反射軽減が可視スペクトル領域中でなお達成されない一方で、より長いエッチング時間の場合、ナノ構造が備え付けられた試験体において散乱光損失が発生することがわかった。
【0045】
図3には、未処理(曲線10)の、および本発明による方法により処理された(曲線11)ポリエーテルスルホン Ultrason(R) E2010からのプラスチック基板における波長に依存して測定された透過率が示されている。このポリマーは、200℃を超える温度範囲までの比較的高い耐熱変形性を有する熱可塑性物質である。それが特徴とするのは、多くの光学的な使用にとって好ましいが、しかしながら、空気との界面で不都合にも高い反射損失を生じさせ得るn=1.65の比較的高い屈折率である。
【0046】
測定された透過率曲線10および11は、本発明による方法を用いた処理によって、実施例で使用される1.5mmの厚さのUltrason(R)からの試験体の、殊に可視スペクトル領域中での透過率が高められ得たことを明確に示し、その際、例えば550nmの波長にて10%を上回る透過率の上昇が達成された。
【0047】
試験体の製造のために、約1nmの厚さを有するケイ素−窒化物膜をプラスチック基板上に析出させた。ケイ素−窒化物薄膜の析出は、マグネトロンスパッタリング装置中で、SiターゲットのAr/Nプラズマ中における300Wの出力での反応性DCスパッタリングによって行い、その際、アルゴンは10sccmの流量で、かつ窒素は15sccmの流量で真空チャンバー内に通した。
【0048】
ナノ構造の作製は、スパッタリング装置のエッチングステーションにおいて真空サイクルの事前の中断なしに実施したエッチング作業により行った。該エッチングは、アルゴン/酸素プラズマ中で行った。その際、13.56MHzの周波数を有する高周波プラズマおよび100Wのプラズマ出力を使用し、その際、アルゴンは10sccmの流量で、かつ酸素は20sccmの流量で真空チャンバー内に導入した。前で説明した実施例の場合と同じように、可能な範囲で最良の反射低減を達成するエッチング時間は約300秒であることがわかった。
【0049】
本発明は、実施例を手がかりとする説明によって制限されていない。むしろ本発明は、全ての新規の特徴ならびに特徴の全ての組み合わせを包含し、これは殊に、特許請求の範囲における特徴の全ての組み合わせを含み、たとえこの特徴またはこの組み合わせ自体が特許請求の範囲または実施例の中に明確には記載されていない場合も同様である。
【符号の説明】
【0050】
1 基板、 2 薄膜、 3 蒸着源、 4 プラズマイオン源、 5 プラズマ、 6 ナノ構造、 7 保護膜、 8 未処理のZeonex(R)基板、 9 本発明による方法により両側が処理されたZeonex(R)からのプラスチック基板、 10 未処理のUltrason(R) E2010からのプラスチック基板、 11 本発明による方法により処理されたUltrason(R) E2010からのプラスチック基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマエッチングプロセスによりプラスチックからの基板(1)の表面にナノ構造(6)を作製する方法において、2nmまたはそれ未満の平均厚さを有する薄膜(2)を基板(1)に施与し、続けてプラズマエッチングプロセスを実施することを特徴とする方法。
【請求項2】
薄膜(2)が、酸化物膜、窒化物膜または弗化物膜であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
薄膜(2)が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化チタンまたは弗化マグネシウムを含有することを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
薄膜(2)を、スパッタリングまたは真空蒸着によって施与することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
薄膜(2)を、ゴム状の膜の摩耗によってか、または接着テープの施与および剥離によって施与することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
薄膜(2)が島状の膜であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
基板が(1)が、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、PET、PMMAまたはCR39を含有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
プラズマエッチングプロセスの継続時間が400秒またはそれ未満であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
様々なプラスチックからの複数の基板(1)上へのナノ構造(6)の作製を、同一の真空チャンバー内で同時に実施することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
ナノ構造(6)が、基板(1)の表面から50nmまたはそれを上回る深さまで基板(1)内に伸びていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
ナノ構造(6)が、基板(1)の表面から50nmから200nmまでの深さまで基板(1)内に伸びていることを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
基板(1)が光学素子であることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
基板(1)が光学的な表示デバイスの透明なカバーであることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
基板(1)がプラスチックフィルムであることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
ナノ構造が、基板(1)の反射を低減させることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
透明な保護膜(7)をナノ構造(6)上に施与することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
透明な保護膜(7)が10nm以上から50nm以内の厚さを有することを特徴とする、請求項16記載の方法。
【請求項18】
透明な保護膜(7)がSiO膜であることを特徴とする、請求項16または17記載の方法。
【請求項19】
プラズマエッチングプロセスの継続時間が200秒またはそれ未満であることを特徴とする、請求項16から18までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−511079(P2010−511079A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538587(P2009−538587)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【国際出願番号】PCT/DE2007/002151
【国際公開番号】WO2008/064663
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(594102418)フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ (63)
【氏名又は名称原語表記】Fraunhofer−Gesellschaft zur Foerderung der angewandten Forschung e.V.
【住所又は居所原語表記】Hansastrasse 27c, D−80686 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】