説明

プラズマチューブアレイ型表示装置

【課題】本発明は、容易にフレーム基板からプラズマチューブアレイを剥離することができ、フレーム基板に加わった衝撃を緩衝することが可能なプラズマチューブアレイ型表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、内部に放電ガスが封入された複数のプラズマチューブ21を並列に配置してあり、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シート22と、表示電極が形成してある表示電極シート23との間に複数のプラズマチューブ21を挟持するプラズマチューブアレイ2と、プラズマチューブアレイ2の背面側を支持し、表示画面形状を規定するフレーム基板3と、柔軟性を有し、プラズマチューブアレイ2の背面側とフレーム基板3とを張り合わせる仲介シート4とを備えるプラズマチューブアレイ型表示装置1である。仲介シート4は、プラズマチューブアレイ2の背面側に張り付ける面に、複数の凸部41を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプラズマチューブを並列に配置してあるプラズマチューブアレイを用いるプラズマチューブアレイ型表示装置に関し、特に、プラズマチューブアレイとフレーム基板とを張り合わせたプラズマチューブアレイ型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示してあるように、新世代の大画面表示装置を実現する技術として、内部に放電ガスが封入された複数のプラズマチューブ(発光管)を並列に配置してあるプラズマチューブアレイ型表示装置が開発されている。例えば1m四方のプラズマチューブアレイを複数接続したプラズマチューブアレイ型表示装置は、数m×数m規模の大画面表示装置を構築することができる。プラズマチューブアレイ型表示装置では、LCD、PDP等のように大型のガラス基板を扱う必要がなく、大規模な設備も不要となり、少ないコストで、画質が均質となる表示装置を提供することができる。
【0003】
図6は、従来のプラズマチューブアレイ型表示装置のプラズマチューブアレイの構成を模式的に示す斜視図である。図6(a)は、プラズマチューブアレイ型表示装置のプラズマチューブアレイの構成を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、プラズマチューブアレイ型表示装置のプラズマチューブアレイの構成を部分的に示す斜視図であり、図6(c)は、プラズマチューブアレイ型表示装置のプラズマチューブアレイを縦横に接続した状態を示す斜視図である。
【0004】
図6(a)に示すように、従来のプラズマチューブアレイ型表示装置のプラズマチューブアレイ30は、プラズマチューブアレイ型表示装置の矩形画面の一部を構成することから、矩形形状を有しており、内部に放電ガスが封入された複数のプラズマチューブ31、31、・・・を並列に配置している。プラズマチューブ31、31、・・・はガラス製の放電細管であり、管体となる細管の径は、特に大きさが限定されるものではないが、直径0.5〜5mm程度であることが望ましい。細管の形状は、円形の断面、扁平楕円状の断面、方形の断面等、どのような形状の断面を有していても良い。また、プラズマチューブ31、31、・・・の内部にはネオン、キセノン等の放電ガスが所定の割合で所定の圧力で封入されている。
【0005】
並列に配置された複数のプラズマチューブ31、31、・・・は、各プラズマチューブ31の長手方向下面に接するように配設されているアドレス電極32、32、・・・を有する背面側のアドレス電極シート33と、各プラズマチューブ31の長手方向の上面を横切る方向に配設されている表示電極34、34、・・・を有する表面側の表示電極シート35とに挟持されている。表示電極シート35はフレキシブルシートであり、例えばポリカーボネートフィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等で構成されている。
【0006】
複数の表示電極34、34、・・・は、表示電極シート35の内面にストライプ状に配設されており、各プラズマチューブ31の上面を横切るように接している。表示電極対を構成する隣接する表示電極34、34がX電極及びY電極として機能し、X電極とY電極との間でプラズマチューブ31、31、・・・内に表示放電を発生させることになる。表示電極34のパターンは、ストライプ形状のほか、メッシュ状、梯子状、くし歯状等、当該分野で公知のパターンにて形成することができる。また、表示電極34に用いられる材料としては、例えば、ITO(酸化錫ドープ酸化インジウム)、SnO2 等の透明な導電性材料や、Ag、Au、Al、Cu、Cr等の金属の導電性材料が挙げられる。
【0007】
表示電極34の形成方法としては、当該分野で公知の各種の方法を適用することができる。例えば、印刷等の厚膜形成技術を用いて形成しても良いし、物理的堆積法又は化学的堆積法からなる薄膜形成技術とホトリソグラフィによるパターンニング技術を用いて形成しても良い。厚膜形成技術としては、スクリーン印刷法等が挙げられる。薄膜形成技術のうち、物理的堆積法としては、蒸着法、スパッタ法等が挙げられる。化学的堆積法としては、熱CVD法、光CVD法、あるいはプラズマCVD法等が挙げられる。
【0008】
アドレス電極32、32、・・・は、プラズマチューブアレイ30の背面に、プラズマチューブ31、31、・・・の長手方向に沿ってプラズマチューブ31ごとに設けられ、対となる表示電極34、34、・・・との交差部に発光セルを形成する。アドレス電極32も、当該分野で公知の各種の材料と方法とを用いて形成することができる。なお、アドレス電極32、32、・・・が形成してあるアドレス電極シート33は、便宜上1枚のシートで示してあるが、実際には各プラズマチューブ31の管径寸法の微小な違いに基づくプラズマチューブ31とアドレス電極32との間の位置ずれ誤差を吸収し、プラズマチューブ31の長手方向に対して交差する方向の表示画面のフレキシビリティを確保する観点から、例えばRGB1組3本のプラズマチューブ31毎に、又はRGB8組24本のプラズマチューブ31毎に、複数枚分離されている。
【0009】
上記構成において、プラズマチューブアレイ型表示装置のプラズマチューブアレイ30をカラー表示対応とする場合には、図6(b)に示すように、プラズマチューブ31ごとに赤色(R)用の蛍光体層36R、緑色(G)用の蛍光体層36G、青色(B)用の蛍光体層36Bを有する。RGB3色のプラズマチューブ31、31、31を一組として一つの画素を構成することで、カラー表示に対応することができる。なお、蛍光体層36は、赤色(R)用の蛍光体層36Rでは、紫外線照射により赤色発光する(Y、Gd)BO3 :Eu3+等の蛍光体材料を用いる。緑色(G)用の蛍光体層36Gでは、緑色発光するZn2 SiO4 :Mn等の蛍光体材料を用い、青色(B)用の蛍光体層36Bでは、青色発光するBaMgAl1217:Eu2+等の蛍光体材料を用いる。
【0010】
図6(c)は、上述したプラズマチューブアレイ型表示装置のプラズマチューブアレイ30を縦横に接続したプラズマチューブアレイ型表示装置45を模式的に示す斜視図である。図6(c)では、4枚のプラズマチューブアレイ30、30、・・・から1枚の大画面用のプラズマチューブアレイ型表示装置45を構成しており、1枚1枚のプラズマチューブアレイ30は、駆動回路、電源回路等を含まない。大画面用のプラズマチューブアレイ型表示装置45を構成した段階で、全体を一つの表示装置として駆動回路、電源回路等を組み込むことで、プラズマチューブアレイ30、30、・・・ごとに表示画像の品質のばらつきが少ない大画面用の表示装置を構成することができる。横方向に連結されたプラズマチューブアレイ30、30間は互いの表示電極34、34同士を接続することにより共通駆動することができ、縦方向に連結されたプラズマチューブアレイ30、30は、それぞれのアドレス電極32、32を画面の上下にそれぞれ導出してアドレス駆動回路に接続することで、アドレス電極32、32同士は接続することなく、上側2個のプラズマチューブアレイ30、30の画面と下側2個のプラズマチューブアレイ30、30の画面とを公知のいわゆるデュアルスキャンの手法にて並行して駆動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−27598号公報
【特許文献2】特許第3499849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のようにプラズマチューブアレイ30自体は、フレキシブルシートであるアドレス電極シート33及び表示電極シート35によりプラズマチューブ31、31、・・・を挟持している構成であることから、そのままでは形状を維持することは困難である。したがって、プラズマチューブアレイ30と構造体のフレーム基板とを直接張り合わせることによりプラズマチューブアレイ型表示装置45を形成している。
【0013】
しかし、プラズマチューブアレイ30とフレーム基板とを直接張り合わせるので、フレーム基板からプラズマチューブアレイ30を剥離するときに、プラズマチューブアレイ30に力が加わりプラズマチューブ31が破損する、あるいはフレーム基板を傷つける可能性が高く、誤った位置でプラズマチューブアレイ30とフレーム基板とを張り合わせた場合に、プラズマチューブアレイ30及びフレーム基板を再利用することができないという問題があった。また、プラズマチューブアレイ30とフレーム基板とを直接張り合わせるので、故障したプラズマチューブアレイ30を交換する場合、フレーム基板からプラズマチューブアレイ30を剥離することが困難であり、交換作業に多大な時間が必要になるという問題があった。
【0014】
さらに、プラズマチューブアレイ30と、変形、キズ、又は接着剤の塗布ムラにより凹凸が生じているフレーム基板とを直接張り合わせた場合、フレーム基板の凹凸に沿ってプラズマチューブアレイ30が変形して、プラズマチューブ31に力が加わりプラズマチューブ31に発光不良が生じる可能性がある。また、プラズマチューブアレイ30とフレーム基板とを直接張り合わせてあるので、フレーム基板に加わった衝撃が、プラズマチューブアレイ30に直接伝わり、プラズマチューブ31が破損する可能性がある。
【0015】
また、複数のプラズマチューブ31、31、・・・を並列に配置してあるので、駆動電圧が印加された場合にはプラズマチューブ31内部の圧力変動、温度変化等に起因してプラズマチューブ31、31、・・・の形状が微妙に変動する。さらに、プラズマチューブ31自体の製造精度にもばらつきがあり、管径等のサイズの不一致等も生じており、これらの要因が互いに関連しあうことにより、駆動入力パターンによってはプラズマチューブアレイ30に固有の振動モードと共振し、プラズマチューブアレイ30から異音が発生するという現象が生じる。
【0016】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、容易にフレーム基板からプラズマチューブアレイを剥離することができ、フレーム基板に加わった衝撃を緩衝することが可能なプラズマチューブアレイ型表示装置を提供することを目的とする。また、本発明は、プラズマチューブアレイから発生する異音を効果的に抑制することができるプラズマチューブアレイ型表示装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために第1発明に係るプラズマチューブアレイ型表示装置は、内部に放電ガスが封入された複数のプラズマチューブを並列に配置してあり、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シートと、表示電極が形成してある表示電極シートとの間に前記複数のプラズマチューブを挟持するプラズマチューブアレイと、該プラズマチューブアレイの背面側を支持し、表示画面形状を規定するフレーム基板と、柔軟性を有し、前記プラズマチューブアレイの背面側と前記フレーム基板とを張り合わせる仲介シートとを備えるプラズマチューブアレイ型表示装置において、前記仲介シートは、前記プラズマチューブアレイの背面側に張り付ける面に、複数の凸部を有する。
【0018】
第1発明では、プラズマチューブアレイの背面側とフレーム基板とを直接張り合わせるのではなく、プラズマチューブアレイの背面側に張り付ける面に複数の凸部を有する仲介シートを介して、プラズマチューブアレイの背面側とフレーム基板とを張り合わせるので、容易にフレーム基板からプラズマチューブアレイを剥離することができる。また、プラズマチューブアレイの背面側とフレーム基板とを、柔軟性を有する仲介シートを介して張り合わせるので、フレーム基板が変形、キズ、又は接着剤の塗布ムラにより凹凸が生じている場合でも、仲介シートでフレーム基板の凹凸によるプラズマチューブアレイの変形を抑えて、プラズマチューブに加わる力を軽減してプラズマチューブの発光不良を防ぐことができる。さらに、プラズマチューブアレイの背面側とフレーム基板とを、柔軟性を有する仲介シートを介して張り合わせるので、フレーム基板に加わった衝撃を仲介シートで緩衝することができ、プラズマチューブアレイに直接伝わることがなく、プラズマチューブが破損する可能性を低減することができる。また、仲介シートでプラズマチューブアレイの振動を抑え、プラズマチューブアレイから発生する異音を効果的に抑制することができる。
【0019】
また、第2発明に係るプラズマチューブアレイ型表示装置は、第1発明において、前記仲介シートは、一つの前記凸部で10本未満の前記プラズマチューブを支持する。
【0020】
第2発明では、一つの凸部で10本未満のプラズマチューブを支持するのでプラズマチューブアレイの背面側に仲介シートの凸部のそれぞれを張り付ける面積が小さくなり、仲介シートからプラズマチューブアレイを剥がしやすくなることで、より容易にフレーム基板からプラズマチューブアレイを剥離することができる。
【0021】
また、第3発明に係るプラズマチューブアレイ型表示装置は、第1又は第2発明において、前記仲介シートは、前記凸部と前記プラズマチューブアレイの背面側とを第1の接着剤又は第1の両面接着テープで接着し、前記凸部を有する面の反対側の面と前記フレーム基板とを第2の接着剤又は第2の両面接着テープで接着してある。
【0022】
第3発明では、仲介シートは、凸部とプラズマチューブアレイの背面側とを第1の接着剤又は第1の両面接着テープで接着し、凸部を有する面の反対側の面とフレーム基板とを第2の接着剤又は第2の両面接着テープで接着してあるので、プラズマチューブアレイとフレーム基板とを直接張り合わせる従来の作業と同じ作業で、仲介シートを介してプラズマチューブアレイの背面側とフレーム基板とを張り合わせることができる。
【0023】
また、第4発明に係るプラズマチューブアレイ型表示装置は、第3発明において、前記第1の接着剤又は前記第1の両面接着テープの接着力は、前記第2の接着剤又は前記第2の両面接着テープの接着力に比べて弱い。
【0024】
第4発明では、第1の接着剤又は第1の両面接着テープの接着力は、第2の接着剤又は第2の両面接着テープの接着力に比べて弱いので、フレーム基板からプラズマチューブアレイを剥離するときに、仲介シートからプラズマチューブアレイが剥がれ、プラズマチューブアレイに無理な力を加えることなく、フレーム基板からプラズマチューブアレイを剥離することができる。
【0025】
また、第5発明に係るプラズマチューブアレイ型表示装置は、第1乃至第4発明のいずれか一つにおいて、前記仲介シートは、前記凸部を有する面の反対側の面に、複数の凹部を有する。
【0026】
第5発明では、仲介シートは、凸部を有する面の反対側の面に、複数の凹部を有するので、仲介シートの一面をフレーム基板に張り付けてあるのではなく、凹部以外の仲介シートの面をフレーム基板に張り付けてあるため、フレーム基板に仲介シートを張り付ける面積が小さくなり、仲介シートからフレーム基板を剥がしやすくなる。
【0027】
また、第6発明に係るプラズマチューブアレイ型表示装置は、第1乃至第5発明のいずれか一つにおいて、前記仲介シートに、前記フレーム基板から前記プラズマチューブアレイを剥離するために前記凸部又は前記プラズマチューブアレイの背面側と前記凸部との接着部分を切断する切断糸が設けてある。
【0028】
第6発明では、仲介シートに、フレーム基板からプラズマチューブアレイを剥離するために凸部又はプラズマチューブアレイの背面側と凸部との接着部分を切断する切断糸が設けてあるので、フレーム基板からプラズマチューブアレイを剥離するために、予め工具を用意しておく必要がなく、切断糸を移動させて凸部又はプラズマチューブアレイの背面側と凸部との接着部分を切断して、容易にフレーム基板からプラズマチューブアレイを剥離することができる。
【0029】
また、第7発明に係るプラズマチューブアレイ型表示装置は、第1乃至第6発明のいずれか一つにおいて、前記仲介シートの前記凸部には、前記プラズマチューブアレイと平行に切れ込みを複数入れてある。
【0030】
第7発明では、仲介シートの凸部には、プラズマチューブアレイと平行に切れ込みを複数入れてあるので、フレーム基板からプラズマチューブアレイを剥がす方向に力を加えると、切れ込みを起点にして凸部を簡単に切断することができ、予め工具を用意しておく必要がなく、フレーム基板からプラズマチューブアレイを剥離することができる。
【発明の効果】
【0031】
上記構成によれば、プラズマチューブアレイ型表示装置は、プラズマチューブアレイの背面側とフレーム基板とを張り合わせる、柔軟性を有する仲介シートを備え、仲介シートは、プラズマチューブアレイの背面側に張り付ける面に、複数の凸部を有するため、プラズマチューブアレイの背面側とフレーム基板とを直接張り合わせるのではなく、プラズマチューブアレイの背面側に張り付ける面に複数の凸部を有する仲介シートを介して、プラズマチューブアレイの背面側とフレーム基板とを張り合わせるので、容易にフレーム基板からプラズマチューブアレイを剥離することができる。そのため、誤った位置でプラズマチューブアレイの背面側とフレーム基板とを張り合わせた場合でも、プラズマチューブアレイ及びフレーム基板を再利用することができ、故障したプラズマチューブアレイを交換する場合、交換作業に要する時間を低減することができる。
【0032】
また、プラズマチューブアレイの背面側とフレーム基板とを、柔軟性を有する仲介シートを介して張り合わせるので、フレーム基板が変形、キズ、又は接着剤の塗布ムラにより凹凸が生じている場合でも、仲介シートでフレーム基板の凹凸によるプラズマチューブアレイの変形を抑えて、プラズマチューブに加わる力を軽減してプラズマチューブの発光不良を防ぐことができる。さらに、プラズマチューブアレイの背面側とフレーム基板とを、柔軟性を有する仲介シートを介して張り合わせるので、フレーム基板に加わった衝撃を仲介シートで緩衝することができ、プラズマチューブアレイに直接伝わることがなく、プラズマチューブが破損する可能性を低減することができる。また、仲介シートでプラズマチューブアレイの振動を抑え、プラズマチューブアレイから発生する異音を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1に係るプラズマチューブアレイ型表示装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るプラズマチューブアレイ型表示装置の仲介シートの構成を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るプラズマチューブアレイ型表示装置の仲介シートの別の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るプラズマチューブアレイ型表示装置の仲介シートの構成を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係るプラズマチューブアレイ型表示装置の仲介シートの構成を示す概略図である。
【図6】従来のプラズマチューブアレイ型表示装置のプラズマチューブアレイの構成を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るプラズマチューブアレイ型表示装置の構成を示す断面図である。図1に示すプラズマチューブアレイ型表示装置1は、内部に放電ガスが封入された複数のプラズマチューブ21、21、・・・を並列に配置してあり、背面側にあってアドレス電極が形成してあるアドレス電極シート22と、表示面側にあって表示電極が形成してある表示電極シート23との間に複数のプラズマチューブ21、21、・・・を挟持するプラズマチューブアレイ2、プラズマチューブアレイ2の背面側を支持し、表示画面形状を規定するフレーム基板3、柔軟性を有し、プラズマチューブアレイ2の背面側とフレーム基板3とを張り合わせる仲介シート4を備えている。
【0036】
プラズマチューブアレイ2は、図6に示すプラズマチューブアレイ30と実質的に同じ構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
フレーム基板3は、アルミ、カーボン強化樹脂等を用いて形成された、プラズマチューブアレイ2と張り合わせるための基板である。フレーム基板3は、フレキシブルなプラズマチューブアレイ2の画面形状を規定する機能を有し、図1に示すプラズマチューブアレイ2の背面側と張り合わせる面が全体として凹面となるように湾曲させた形状である。なお、プラズマチューブアレイ2の背面側とフレーム基板3とを、柔軟性を有する仲介シート4を介して張り合わせるので、プラズマチューブアレイ2の背面側とフレーム基板3とを直接張り合わせる場合に比べて、プラズマチューブアレイ2の背面側と張り合わせるフレーム基板3の面に、変形、キズ、又は接着剤の塗布ムラにより凹凸が生じている場合でも、仲介シート4でフレーム基板3の凹凸によるプラズマチューブアレイ2の変形を抑えることができるので、プラズマチューブアレイ2の背面側と張り合わせる面の精度が悪いフレーム基板3を用いることができる。
【0038】
仲介シート(緩衝シート)4は、柔軟性を有するように、硬度12以下、好ましくは硬度8〜5程度の薄いシリコン樹脂等を用いて形成されている。また、仲介シート4は、プラズマチューブアレイ2のアドレス電極シート22(プラズマチューブアレイ2の背面側)に張り付ける面に、複数の凸部41を有する。プラズマチューブアレイ2の背面側とフレーム基板3とを直接張り合わせるのではなく、プラズマチューブアレイ2のアドレス電極シート22に張り付ける面に複数の凸部41を有する仲介シート4を介して、プラズマチューブアレイ2の背面側とフレーム基板3とを張り合わせるので、容易にフレーム基板3からプラズマチューブアレイ2を剥離することができる。図2は、本発明の実施の形態1に係るプラズマチューブアレイ型表示装置1の仲介シート4の構成を示す概略図である。図2(a)の断面図に示すように、仲介シート4は、凸部41を有する面の反対側の面に、凸部41の位置に対応して複数の凹部42を有する。そのため、仲介シート4の一面をフレーム基板3に張り付けてあるのではなく、凹部42以外の仲介シート4の面をフレーム基板3に張り付けてあるため、フレーム基板3に仲介シート4を張り付ける面積が小さくなり、仲介シート4からフレーム基板3を剥がしやすくなる。
【0039】
仲介シート4の凸部41における頂面(トップ部)の横方向の寸法d1は、仲介シート4の隣接する凸部41間の寸法d2と略同じで、10本分のプラズマチューブ21のトータル管径に相当する10mm未満である。プラズマチューブ21の直径を1mmとすると、仲介シート4は、一つの凸部41で10本未満のプラズマチューブ21を支持する。そのため、プラズマチューブアレイ2のアドレス電極シート22に仲介シート4の凸部41のそれぞれを張り付ける面積が小さくなり、仲介シート4からプラズマチューブアレイ2を剥がしやすくなることで、より容易にフレーム基板3からプラズマチューブアレイ2を剥離することができる。
【0040】
さらに、仲介シート4は、凸部41の頂面(トップ部)における厚みttに比べて、凸部41以外の部分(ベース部)における厚みtbの方が厚く、例えば、トップ部における厚みttが0.1mm〜0.5mm、ベース部における厚みtbが0.5mm〜1.0mmである。
【0041】
図2(b)の平面図に示すように、仲介シート4の凸部41を平面視した場合の形状は円形である。つまり、仲介シート4の凸部41は、円錐台形状である。しかし、仲介シート4の凸部41を平面視した場合の形状は円形に限定されるものではなく、三角形、矩形、多角形等の他の形状であっても良い。また、仲介シート4の凸部41は、錐台形状に限定されるものではなく、柱状であっても良い。
【0042】
仲介シート4のアドレス電極シート22に張り付ける面に有する凸部41の分散配置は、図2(b)に示すように規則的に分散配置されている場合に限定されるものではなく、ランダムに配置されていても良いが均等に分散配置されているのが好ましい。また、仲介シート4の凸部41を平面視した場合の形状が全て同じ形状である場合に限定されるものではなく、それぞれ異なる形状であっても良い。
【0043】
仲介シート4は、1枚のプラズマチューブアレイ2に対して1枚のシートで構成するのが作業性の面から好ましいが、図2(b)のように分離した複数枚のシートを隣接配置して構成しても良い。例えば、1m×1mのプラズマチューブアレイ2に対して、10cm×10cmの安価な小シートを縦横に100枚張り付けて全体に及ぶ仲介シート4を構成することもできる。
【0044】
仲介シート4は、凸部41とアドレス電極シート22とを接着剤5で接着し、凸部41を有する面の反対側の面とフレーム基板3とを接着剤6で接着してある。プラズマチューブアレイ2の背面側とフレーム基板3とを直接張り合わせる従来の作業と同じ作業で、仲介シート4を介してプラズマチューブアレイ2の背面側とフレーム基板3とを張り合わせることができる。なお、接着剤に代えて両面接着テープを用いても良い。また、凸部41とアドレス電極シート22とを接着剤で接着し、凸部41を有する面の反対側の面とフレーム基板3とを両面接着テープで接着しても、凸部41とアドレス電極シート22とを両面接着テープで接着し、凸部41を有する面の反対側の面とフレーム基板3とを接着剤で接着しても良い。さらに、仲介シート4自体が接着性を有する材料で構成されている場合は、接着剤又は両面接着テープは不要である。
【0045】
凸部41とアドレス電極シート22とを接着する接着剤(第1の接着剤)又は両面接着テープ(第1の両面接着テープ)は、凸部41を有する面の反対側の面とフレーム基板3とを接着する接着剤(第2の接着剤)又は両面接着テープ(第2の両面接着テープ)と同じであっても、異なっていても良い。なお、凸部41とアドレス電極シート22とを接着する接着剤(第1の接着剤)又は両面接着テープ(第1の両面接着テープ)の接着力が、凸部41を有する面の反対側の面とフレーム基板3とを接着する接着剤(第2の接着剤)又は両面接着テープ(第2の両面接着テープ)の接着力に比べて弱い場合、フレーム基板3からプラズマチューブアレイ2を剥離するときに、仲介シート4からプラズマチューブアレイ2が剥がれ、プラズマチューブアレイ2に無理な力を加えることなく、フレーム基板3からプラズマチューブアレイ2を剥離することができる。
【0046】
以上のように、本発明の実施の形態1に係るプラズマチューブアレイ型表示装置1は、プラズマチューブアレイ2の背面側とフレーム基板3とを張り合わせる、柔軟性を有する仲介シート4を備え、仲介シート4は、プラズマチューブアレイ2の背面側に張り付ける面に、複数の凸部41を有するため、プラズマチューブアレイ2の背面側とフレーム基板3とを直接張り合わせるのではなく、プラズマチューブアレイ2の背面側に張り付ける面に複数の凸部41を有する仲介シート4を介して、プラズマチューブアレイ2の背面側とフレーム基板3とを張り合わせるので、容易にフレーム基板3からプラズマチューブアレイ2を剥離することができる。そのため、誤った位置でプラズマチューブアレイ2とフレーム基板3とを張り合わせた場合でも、プラズマチューブアレイ2及びフレーム基板3を再利用することができ、故障したプラズマチューブアレイ2を交換する場合、交換作業に要する時間を低減することができる。また、上述のようにアドレス電極シート22が、例えばRGB8組24本のプラズマチューブ21毎に、複数枚分離して構成されている場合、フレーム基板3から剥離したプラズマチューブアレイ2の内、不良プラズマチューブ21を含むアドレス電極シート22単位で、表示電極シート23から剥離して交換することも可能である。なお、本発明の実施の形態1に係るプラズマチューブアレイ型表示装置1は、仲介シート4を、プラズマチューブアレイ2のアドレス電極シート22に直接張り付ける場合に限定されるものではなく、光反射機能や電磁波シールド機能等を有する別のフィルムを介してプラズマチューブアレイ2のアドレス電極シート22に張り付けても良い。
【0047】
また、プラズマチューブアレイ2の背面側とフレーム基板3とを、柔軟性を有する仲介シート4を介して張り合わせるので、フレーム基板3が変形、キズ、又は接着剤の塗布ムラにより凹凸が生じている場合でも、仲介シート4でフレーム基板3の凹凸によるプラズマチューブアレイ2の変形を抑えて、プラズマチューブ21に加わる力を軽減してプラズマチューブ21の発光不良を防ぐことができる。さらに、プラズマチューブアレイ2の背面側とフレーム基板3とを、柔軟性を有する仲介シート4を介して張り合わせるので、フレーム基板3に加わった衝撃を仲介シート4で緩衝することができ、プラズマチューブアレイ2に直接伝わることがなく、プラズマチューブ21が破損する可能性を低減することができる。また、仲介シート4でプラズマチューブアレイ2の振動を抑え、プラズマチューブアレイ2から発生する異音を効果的に抑制することができる。
【0048】
なお、図1では、仲介シート4を介してフレーム基板3と張り合わせたプラズマチューブアレイ2を、1枚のプラズマチューブアレイ型表示装置1として説明したが、仲介シート4を介してフレーム基板3と張り合わせたプラズマチューブアレイ2を、1枚のサブモジュールとしても良い。該サブモジュールを複数枚縦横に連結することで、大画面用のプラズマチューブアレイ型表示装置を構成することができる。
【0049】
また、仲介シート4は、図2(a)に示すように、凸部41を有する面の反対側の面に、複数の凹部42を有する形状に限定されるものではなく、凸部41を有する面の反対側の面で、凸部41の内部に空間を有する形状であっても良い。図3は、本発明の実施の形態1に係るプラズマチューブアレイ型表示装置1の仲介シート4の別の構成を示す断面図である。図3に示す仲介シート4は、凸部41を有する面の反対側の面が平面で、凸部41の内部に空間43を有する形状で、空間43に液体、ゲル、又は空気等を封入してある。
【0050】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係るプラズマチューブアレイ型表示装置1の仲介シート4の構成を示す断面図である。本発明の実施の形態2に係るプラズマチューブアレイ型表示装置1は、仲介シート4の構成が異なる以外は構成が同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0051】
図4に示す仲介シート4は、プラズマチューブアレイ2のアドレス電極シート22(プラズマチューブアレイ2の背面側)に張り付ける面に、複数の凸部41を有し、凸部41を有する面の反対側の面に、凸部41の位置に対応して複数の凹部42を有する。さらに、仲介シート4の凸部41には、プラズマチューブアレイ2と平行に切れ込みを複数入れてある。そのため、フレーム基板3からプラズマチューブアレイ2を剥がす方向に力を加えると、切れ込み44を起点にして凸部41を簡単に切断することができる。
【0052】
以上のように、本発明の実施の形態2に係るプラズマチューブアレイ型表示装置1は、仲介シート4の凸部41には、プラズマチューブアレイ2と平行に切れ込み44を複数入れてあるので、フレーム基板3からプラズマチューブアレイ2を剥がす方向に力を加えると、切れ込み44を起点にして凸部41を簡単に切断することができ、予め工具を用意しておく必要がなく、フレーム基板3からプラズマチューブアレイ2を剥離することができる。
【0053】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3に係るプラズマチューブアレイ型表示装置1の仲介シート4の構成を示す概略図である。図5(a)の断面図に示すように、仲介シート4に、フレーム基板3からプラズマチューブアレイ2を剥離するために凸部41又はプラズマチューブアレイ2のアドレス電極シート22(プラズマチューブアレイ2の背面側)と凸部41との接着部分を切断する切断糸46が設けてある。切断糸46は、それぞれの凸部41の近傍に設けてある。また、図5(b)の平面図に示すように、切断糸46は、凸部41の配置に沿って繋がった一本の糸である。
【0054】
フレーム基板3からプラズマチューブアレイ2を剥離するとき、凸部41の近傍に設けた切断糸46の端部を矢印の方向に引っ張ることで凸部41又はプラズマチューブアレイ2のアドレス電極シート22と凸部41との接着部分を切断する。凸部41に、図4に示す切れ込み44を設けた仲介シート4に対して同様に切断糸46を設けた場合、切断糸46を用いて凸部41をより簡単に切断して、フレーム基板3からプラズマチュ−ブアレイ2を剥離することができる。切断糸46の材質は、凸部41を切断又はプラズマチューブアレイ2のアドレス電極シート22と凸部41との接着部分を切断することができる強度があれば、繊維、樹脂、及び金属等のいずれであっても良い。
【0055】
以上のように、本発明の実施の形態3に係るプラズマチューブアレイ型表示装置1は、仲介シート4に、フレーム基板3からプラズマチューブアレイ2を剥離するときに凸部41又はプラズマチューブアレイ2のアドレス電極シート22と凸部41との接着部分を切断する切断糸46が設けてあるので、何らの工具を用いることなく、容易にフレーム基板3からプラズマチューブアレイ2を剥離することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 プラズマチューブアレイ型表示装置
2 プラズマチューブアレイ
3 フレーム基板
4 仲介シート
5、6 接着剤
21 プラズマチューブ
22 アドレス電極シート
23 表示電極シート
41 凸部
42 凹部
43 空間
44 切れ込み
46 切断糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に放電ガスが封入された複数のプラズマチューブを並列に配置してあり、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シートと、表示電極が形成してある表示電極シートとの間に前記複数のプラズマチューブを挟持するプラズマチューブアレイと、
該プラズマチューブアレイの背面側を支持し、表示画面形状を規定するフレーム基板と、
柔軟性を有し、前記プラズマチューブアレイの背面側と前記フレーム基板とを張り合わせる仲介シートと
を備えるプラズマチューブアレイ型表示装置において、
前記仲介シートは、前記プラズマチューブアレイの背面側に張り付ける面に、複数の凸部を有することを特徴とするプラズマチューブアレイ型表示装置。
【請求項2】
前記仲介シートは、一つの前記凸部で10本未満の前記プラズマチューブを支持することを特徴とする請求項1に記載のプラズマチューブアレイ型表示装置。
【請求項3】
前記仲介シートは、前記凸部と前記プラズマチューブアレイの背面側とを第1の接着剤又は第1の両面接着テープで接着し、前記凸部を有する面の反対側の面と前記フレーム基板とを第2の接着剤又は第2の両面接着テープで接着してあることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマチューブアレイ型表示装置。
【請求項4】
前記第1の接着剤又は前記第1の両面接着テープの接着力は、前記第2の接着剤又は前記第2の両面接着テープの接着力に比べて弱いことを特徴とする請求項3に記載のプラズマチューブアレイ型表示装置。
【請求項5】
前記仲介シートは、前記凸部を有する面の反対側の面に、複数の凹部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプラズマチューブアレイ型表示装置。
【請求項6】
前記仲介シートに、前記フレーム基板から前記プラズマチューブアレイを剥離するために前記凸部又は前記プラズマチューブアレイの背面側と前記凸部との接着部分を切断する切断糸が設けてあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプラズマチューブアレイ型表示装置。
【請求項7】
前記仲介シートの前記凸部には、前記プラズマチューブアレイと平行に切れ込みを複数入れてあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプラズマチューブアレイ型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−123965(P2012−123965A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272366(P2010−272366)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(506025648)篠田プラズマ株式会社 (29)
【Fターム(参考)】