説明

プラズマディスプレイ装置

【課題】画像表示品質を犠牲にすることなくプラズマディスプレイ装置のデータ電極駆動回路の消費電力を削減する。
【解決手段】駆動回路は、赤と緑と青との各色の画像信号S10r、S10g、S10bのそれぞれにローパスフィルタ処理を施すローパスフィルタ回路41と、各色の画像信号のそれぞれに対して、ローパスフィルタ処理を施した画像信号S30r、S30g、S30bとローパスフィルタ処理を施さない画像信号S20r、S20g、S20bとを、各色の混合係数Kr、Kg、Kbのうちの対応する色の混合係数に基づき混合する混合回路42とを有し、混合回路42は、各色の画像信号S20r、S20g、S20bのそれぞれを比較して最大値を選択し、最大値に基づき各色の混合係数Kr、Kg、Kbを設定する混合係数設定部56とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルを用いたプラズマディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイパネルとして代表的なプラズマディスプレイパネル(以下、単に「パネル」とも略記する)は、対向配置された前面基板と背面基板との間に多数の放電セルが形成されている。前面基板には1対の走査電極と維持電極とからなる表示電極対が互いに平行に複数対形成され、背面基板にはデータ電極が平行に複数形成されている。そして、表示電極対とデータ電極とが立体交差するように前面基板と背面基板とが対向配置されて密封され、内部の放電空間には放電ガスが封入されている。ここで表示電極対とデータ電極との交差する部分に放電セルが形成される。
【0003】
プラズマディスプレイパネルを駆動する方法としてはサブフィールド法、すなわち、1フィールド期間を複数のサブフィールドで構成した上で、放電セルを発光させるサブフィールドの組合せによって階調表示を行う方法が一般的である。各サブフィールドは、初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。初期化期間では初期化放電を発生し、続く書込み動作に必要な壁電荷を各電極上に形成する。書込み期間では、走査電極に走査パルスを印加するとともにデータ電極に選択的に書込みパルスを印加して放電セルで書込み放電を発生させ壁電荷を形成する書込み動作を行う。そして維持期間では表示電極対に交互に維持パルスを印加し、書込み放電を発生させた放電セルで維持放電を発生させて発光させることにより画像を表示する。
【0004】
プラズマディスプレイ装置は、走査電極を駆動するための走査電極駆動回路、維持電極を駆動するための維持電極駆動回路、データ電極を駆動するためのデータ電極駆動回路を備え、各電極の駆動回路はそれぞれの電極に必要な駆動電圧波形を印加する。この中で、データ電極駆動回路は画像信号に基づいて多数のデータ電極毎に独立に書込み動作のための書込みパルスを印加する。
【0005】
データ電極駆動回路側からパネルを見ると、各データ電極は隣接するデータ電極、走査電極および維持電極との間の浮遊容量をもつ容量性の負荷である。したがって各データ電極に駆動電圧波形を印加するためにはこの容量を充放電しなければならず、そのための消費電力が必要となる。
【0006】
データ電極駆動回路の消費電力はデータ電極のもつ容量の充放電電流が増えると増大するが、この充放電電流は表示する画像信号に大きく依存している。例えばデータ電極に書込みパルスを一度も印加しない場合には充放電電流は「0」となるので消費電力も最小となる。逆にデータ電極に書込みパルスの電圧を印加し続ける場合も充放電電流は「0」となるので消費電力も小さい。ところが、データ電極に書込みパルスをランダムに印加する場合には充放電電流は大きくなり消費電力も大きなものとなる。
【0007】
そこで、データ電極駆動回路の消費電力を削減する方法として、例えば画像信号に基づきデータ電極駆動回路の消費電力を算出し、消費電力が大きい場合には、輝度重みの最も小さいサブフィールドから書込み動作を禁止してデータ電極駆動回路の消費電力を制限する方法等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。あるいは、もとの画像信号を、データ電極駆動回路の消費電力の小さくなる画像信号に置き換えてデータ電極駆動回路の消費電力を下げる方法等が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−66638号公報
【特許文献2】特開2002−149109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記特許文献1、2に記載の方法は、消費電力が増加しすぎた場合に、プラズマディスプレイ装置を破壊から守るために主に使用され、画像の表示品質を大きく損なうおそれがあった。
【0010】
加えて、近年は大画面化、高精細化にともない、データ電極駆動回路の消費電力が定常的に増加する傾向にある。そのため、画像表示品質を犠牲にすることなく定常的に使用できる電力削減方法が望まれていた。
【0011】
本発明はこれらの課題に鑑みなされたものであり、画像表示品質を犠牲にすることなくデータ電極駆動回路の消費電力を削減したプラズマディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、行方向に長い表示電極対と列方向に長いデータ電極とが交差する位置に放電セルを形成し、赤に発光する蛍光体層が設けられた放電セルと緑に発光する蛍光体層が設けられた放電セルと青に発光する蛍光体層が設けられた放電セルとで1つの画素を構成したプラズマディスプレイパネルと、書込み期間を有する複数のサブフィールドで1つのフィールドを構成するとともにプラズマディスプレイパネルの各電極に印加する駆動電圧波形を発生する駆動回路とを備えたプラズマディスプレイ装置であって、駆動回路は、赤と緑と青との各色の画像信号のそれぞれにローパスフィルタ処理を施すローパスフィルタ回路と、各色の画像信号のそれぞれに対して、ローパスフィルタ処理を施した画像信号とローパスフィルタ処理を施さない画像信号とを、各色の混合係数に基づき混合する混合回路とを有し、混合回路は、各色の画像信号のそれぞれを比較して最大値を選択し、最大値に基づき各色の混合係数を設定する混合係数設定部とを有することを特徴とする。この構成により、画像表示品質を犠牲にすることなくデータ電極駆動回路の消費電力を削減したプラズマディスプレイ装置を提供することができる。
【0013】
また本発明は、行方向に長い表示電極対と列方向に長いデータ電極とが交差する位置に放電セルを形成し、赤に発光する蛍光体層が設けられた放電セルと緑に発光する蛍光体層が設けられた放電セルと青に発光する蛍光体層が設けられた放電セルとで1つの画素を構成したプラズマディスプレイパネルと、書込み期間を有する複数のサブフィールドで1つのフィールドを構成するとともにプラズマディスプレイパネルの各電極に印加する駆動電圧波形を発生する駆動回路とを備えたプラズマディスプレイ装置であって、駆動回路は、赤と緑と青との各色の画像信号のそれぞれにローパスフィルタ処理を施すローパスフィルタ回路と、各色の画像信号のそれぞれに対して、ローパスフィルタ処理を施した画像信号とローパスフィルタ処理を施さない画像信号とを、各色の混合係数に基づき混合する混合回路とを有し、混合回路は、各色の画像信号のそれぞれに対して、ローパスフィルタ処理を施した画像信号とローパスフィルタ処理を施さない画像信号との差分を算出し、差分の最大値に基づき各色の混合係数を設定する混合係数設定部とを有することを特徴とする。この構成によっても、画像表示品質を犠牲にすることなくデータ電極駆動回路の消費電力を削減したプラズマディスプレイ装置を提供することができる。
【0014】
また本発明のプラズマディスプレイ装置のローパスフィルタ回路は、各色の画像信号とのそれぞれに対して、同じデータ電極を共有し書込み期間において連続して書込み動作を行う3つの放電セルで表示する3つの画像信号の中央値を選択する中央値選択部を有することが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像表示品質を犠牲にすることなくデータ電極駆動回路の消費電力を削減したプラズマディスプレイ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置のパネルの分解斜視図である。
【図2】同プラズマディスプレイ装置のパネルの電極配列図である。
【図3】同プラズマディスプレイ装置のパネルの各電極に印加する駆動電圧波形を示す図である。
【図4】同プラズマディスプレイ装置の回路ブロック図である。
【図5】同プラズマディスプレイ装置の画像信号処理回路の回路ブロック図である。
【図6】同プラズマディスプレイ装置のLPF回路の動作を説明する図である。
【図7】同プラズマディスプレイ装置の混合係数設定部の回路ブロック図である。
【図8A】同プラズマディスプレイ装置の混合回路の動作の説明図である。
【図8B】同プラズマディスプレイ装置の混合回路の動作の説明図である。
【図9】本発明の実施の形態2におけるプラズマディスプレイ装置の混合係数設定部の回路ブロック図である。
【図10A】同プラズマディスプレイ装置の混合回路の動作の説明図である。
【図10B】同プラズマディスプレイ装置の混合回路の動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置について、図面を用いて説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置のパネル10の分解斜視図である。ガラス製の前面基板11上には、走査電極12と維持電極13とからなる表示電極対14が複数形成されている。そして走査電極12と維持電極13とを覆うように誘電体層15が形成され、その誘電体層15上に保護層16が形成されている。背面基板21上にはデータ電極22が複数形成され、データ電極22を覆うように誘電体層23が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁24が形成されている。そして、隔壁24の側面および誘電体層23上には赤色に発光する蛍光体層25R、緑色に発光する蛍光体層25Gおよび青色に発光する蛍光体層25Bが設けられている。
【0019】
これらの前面基板11と背面基板21とは、微小な放電空間を挟んで表示電極対14とデータ電極22とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着されている。そして放電空間には、例えばネオンとキセノンの混合ガスが放電ガスとして封入されている。放電空間は隔壁24によって複数の区画に仕切られており、表示電極対14とデータ電極22とが交差する部分に放電セルが形成されている。ここで、赤色に発光する蛍光体層25Rが設けられた放電セル、緑色に発光する蛍光体層25Gが設けられた放電セル、青色に発光する蛍光体層25Bが設けられた放電セルが1組で1つの画素を構成している。そしてこれらの放電セルが放電、発光することにより画像が表示される。
【0020】
なお、パネル10の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置のパネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向に長い複数本の走査電極12および同数本の維持電極13が配列され、列方向に長い複数本のデータ電極22が配列されている。そして、1対の走査電極12および維持電極13からなる表示電極対14と1本のデータ電極22とが交差する位置に放電セルが形成されている。こうして複数の放電セルは、複数の画素行および複数の画素列が形成されるように行列状に配置されている。
【0022】
このように配列された電極間には電極間容量が存在する。例えば1本のデータ電極22に注目すると、対向する複数本の走査電極12および維持電極13との間に容量が存在し、隣接するデータ電極22との間にも容量が存在する。このようにデータ電極22は駆動回路から見ると容量性の負荷である。
【0023】
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形とその動作について説明する。本実施の形態においては、1フィールドを10のサブフィールド(SF1、SF2、・・・、SF9、SF10)に分割し、各サブフィールドはそれぞれ(1、2、3、6、11、18、30、44、60、81)の輝度重みをもつものとして説明する。しかし、本発明は、サブフィールド数、輝度重みが上記に限定されるものではない。
【0024】
各サブフィールドは初期化期間、書込み期間、維持期間を有する。図3は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置のパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形を示す図である。図3には3つのサブフィールドSF1〜SF3に対する駆動電圧波形を示しているが、他のサブフィールドにおける駆動電圧波形もほぼ同様である。
【0025】
サブフィールドSF1の初期化期間では、データ電極22および維持電極13に電圧0(V)を印加するとともに、走査電極12に電圧Vi1から電圧Vi2に向かって緩やかに上昇するランプ電圧を印加する。その後、維持電極13に電圧Ve1を印加するとともに、走査電極12に電圧Vi3から電圧Vi4に向かって緩やかに下降するランプ電圧を印加する。すると各放電セルで微弱な初期化放電が発生し、続く書込み動作に必要な壁電荷を各電極上に形成する。
【0026】
なお、初期化期間の動作としては、サブフィールドSF2、SF3の初期化期間に示したように、走査電極12に対して緩やかに下降するランプ電圧を印加するだけでもよい。
【0027】
続く書込み期間では、維持電極13に電圧Ve2を、走査電極12に電圧Vcをそれぞれ印加する。次に、1行目の走査電極12に走査パルス電圧Vaを印加するとともに、発光すべき放電セルに対応するデータ電極22に書込みパルス電圧Vdを印加する。すると走査パルス電圧Vaと書込みパルス電圧Vdとが同時に印加された1行目の放電セルでは書込み放電が発生し、放電セルの走査電極12上および維持電極13上に壁電荷を蓄積する書込み動作が行われる。
【0028】
次に、2行目の走査電極12に走査パルス電圧Vaを印加するとともに、発光すべき放電セルに対応するデータ電極22に書込みパルス電圧Vdを印加する。すると走査パルス電圧Vaと書込みパルス電圧Vdとが同時に印加された2行目の放電セルでは書込み放電が発生して書込み動作が行われる。以上の書込み動作を全ての行の放電セルに至るまで順次繰り返し、発光すべき放電セルに対して選択的に書込み放電を発生させ壁電荷を形成する。
【0029】
なお上述したように、各データ電極22は容量性の負荷である。したがって書込み期間において、各データ電極に印加する電圧を電圧0(V)から書込みパルス電圧Vdへ、あるいは書込みパルス電圧Vdから電圧0(V)へ切り換える毎にこの容量を充放電しなければならない。そしてその充放電の回数が多いと、後述するデータ電極駆動回路の消費電力も多くなる。
【0030】
続く維持期間では、維持電極13に電圧0(V)を印加するとともに、走査電極12に維持パルス電圧Vsを印加する。すると、書込み放電を起こした放電セルでは維持放電が起こり発光する。
【0031】
次に、走査電極12に電圧0(V)を印加するとともに、維持電極13に維持パルス電圧Vsを印加する。すると維持放電を起こした放電セルでは再び維持放電が起こり発光する。以降、輝度重みに応じた維持パルスを走査電極12と維持電極13とに交互に印加して、放電セルを発光させる。
【0032】
そして、維持期間の最後には電圧Vrに向かって緩やかに上昇するランプ電圧を走査電極12に印加して、データ電極22上の正の壁電圧を残したまま、走査電極12上および維持電極13上の壁電圧を弱める。こうして維持期間における維持動作が終了する。
【0033】
続くサブフィールドSF2〜SF10においても維持パルス数を除いてサブフィールドSF1と同様の動作を行う。このようにして、あらかじめ輝度重みの定められた複数のサブフィールドで1フィールド期間を構成し、放電セルを発光させるサブフィールドを組合せて階調を表示している。
【0034】
図4は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置30の回路ブロック図である。プラズマディスプレイ装置30はパネル10と駆動回路とを備え、駆動回路は、画像信号処理回路31、データ電極駆動回路32、走査電極駆動回路33、維持電極駆動回路34、タイミング発生回路35および各回路ブロックに必要な電源を供給する電源回路(図示せず)を備えている。
【0035】
画像信号処理回路31は、赤の画像信号、緑の画像信号、青の画像信号を入力し、それぞれの画像信号に対してデータ電極の消費電力が小さくなる信号処理を施すとともに、サブフィールドのそれぞれにおける発光・非発光をデジタル信号のそれぞれのビットの「1」、「0」に対応させた赤の画像データ、緑の画像データ、青の画像データを出力する。なお詳細は後述するが、赤の画像信号、緑の画像信号、青の画像信号のそれぞれに対して信号処理を施す。したがって1つの色を決めると、1つの画素というのは1つの放電セルに対応する。
【0036】
データ電極駆動回路32は、複数本のデータ電極22のそれぞれに書込みパルス電圧Vdまたは電圧0(V)を印加するための複数個のスイッチ回路39を備えている。そして画像信号処理回路31から出力された各色の画像データを各データ電極22に対応する書込みパルスに変換し、各データ電極22に印加する。
【0037】
タイミング発生回路35は水平同期信号、垂直同期信号をもとにして各回路の動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、それぞれの回路へ供給する。走査電極駆動回路33はタイミング信号に基づいて各走査電極12に印加する駆動電圧波形を発生する。維持電極駆動回路34はタイミング信号に基づいて維持電極13に印加する駆動電圧波形を発生する。
【0038】
図5は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置30の画像信号処理回路31の回路ブロック図である。以下、赤の画像信号およびその信号処理を行う回路ブロックを明示する場合には添え字rを、緑の画像信号およびその信号処理を行う回路ブロック明示する場合には添え字gを、青の画像信号およびその信号処理を行う回路ブロック明示する場合には添え字bをそれぞれ付して表記する。
【0039】
画像信号処理回路31は、ローパスフィルタ回路41(以下、「LPF回路41」と略記する)、混合回路42、画像データ変換回路43を有する。LPF回路41は表示画像の空間周波数の高周波成分を抑制する。本実施の形態においては、赤の画像信号S10rを入力し、表示画像の垂直方向の高周波成分のみを抑制するローパスフィルタ処理(以下、「LPF処理」と略記する)を施して画像信号S30rを出力する。緑の画像信号S10g、青の画像信号S10bについても同様である。混合回路42は、LPF処理を施さない赤の画像信号S20rとLPF処理を施した赤の画像信号S30rとを赤の混合係数Krに基づき混合した画像信号S40rを出力する。緑の画像信号S20g、S30g、青の画像信号S20b、S30bについても同様である。各色の混合係数Kは詳細は後述するが、画像信号に基づき画素毎に決定する。画像データ変換回路43は、混合回路42から出力された画像信号S40r、S40g、S40bを入力して、サブフィールドのそれぞれにおける発光・非発光を示す画像データS50を出力する。このような画像データ変換回路43は、例えばROM等を用いた変換テーブル43r、43g、43bを用いて構成することができる。
【0040】
赤の画像信号S10rに対するLPF回路41は、1H遅延部51r、1H遅延部52r、中央値選択部53r、平均算出部54rを有する。1H遅延部51rは、入力した画像信号S10rを1水平帰線期間だけ遅延して画像信号S20rを出力する。1H遅延部52rは、入力した画像信号S20rをさらに1水平帰線期間だけ遅延して画像信号S21rを出力する。中央値選択部53rは、画像信号S10rと画像信号S20rと画像信号S21rとを入力し、それぞれを比較して中央値(メジアン値)を出力する。平均算出部54rは、中央値選択部53rから出力された画像信号と画像信号S20rとの平均値を計算し、画像信号30rとして出力する。ここで、画像信号S20rは、LPF処理を施さない画像信号であり、画像信号S30rはLPF処理を施した画像信号である。
【0041】
緑の画像信号S10g、青の画像信号S10bに対するLPF回路41の構成ついても同様である。
【0042】
図6は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置30のLPF回路41の動作を説明する図である。本実施の形態においては、上述したように書込み期間において1行目の放電セル、2行目の放電セル、3行目の放電セル、・・・の順に順次書込み動作を行っている。したがって、中央値選択部53rは、同じデータ電極を共有し、書込み期間において連続して書込み動作を行う3つの放電セルで表示する3つの赤の画像信号の中央値を選択する。すなわち、赤の画像信号S20rを表示する画素に注目すると、画像信号S21rを表示する画素は注目画素の1画素上の画素であり、画像信号S10rを表示する画素は注目画素の1画素下の画素である。そして中央値選択部53rは、注目画素の画像信号S20rと、その上の画素の画像信号S21rと、その下の画素の画像信号S10rとを比較して中央値を出力する。
【0043】
平均算出部54rは、中央値選択部53rの出力と注目画素の画像信号S20rとの平均値を計算してLPF処理を施した画像信号S30rとして出力する。したがって、注目画素で表示する画像信号S20rが画像信号S21rおよび画像信号S10rよりも大きい場合には、中央値選択部53rは、上および下の画素で表示する画像信号の大きいほうを選択し、平均算出部54rは、中央値選択部53rの出力と注目画素の画像信号S20rとの平均値を計算する。その結果、LPF処理を施した画像信号S30rはLPF処理を施さない画像信号S20rよりも小さい値になる。
【0044】
また、注目画素で表示する画像信号S20rが画像信号S21rおよび画像信号S10rの間の値となる場合には、中央値選択部53rは画像信号S20rを選択する。したがって平均算出部54rは画像信号S20rを出力するので、LPF処理を施した画像信号S30rはLPF処理を施さない画像信号S20rに等しい。
【0045】
また、注目画素で表示する画像信号S20rが画像信号S21rおよび画像信号S10rよりも小さい場合には、中央値選択部53rは上および下の画素で表示する画像信号の小さいほうを選択し、平均算出部54rは中央値選択部53rの出力と注目画素の画像信号S20rとの平均値を計算する。その結果、LPF処理を施した画像信号S30rはLPF処理を施さない画像信号S20rよりも大きい値になる。
【0046】
このように、本実施の形態におけるLPF回路41の出力する画像信号S30rは、画像信号S20rが画像信号S21rおよび画像信号S10rの間の値をとる場合には画像信号S20rに等しい。
【0047】
緑の画像信号S10g、青の画像信号S10bについても同様である。
【0048】
大雑把に言えば、表示画像の空間周波数の高調波成分を抑制するとデータ電極駆動回路32の消費電力が減少する傾向にある。しかし正確には、各サブフィールドの書込み期間においてデータ電極に印加する電圧が頻繁に変化することによりデータ電極の消費電力が増加する。したがってデータ電極駆動回路32の消費電力に大きく関与するのは表示画像の空間周波数の垂直方向の成分である。また表示画像の垂直方向の変化であっても、ステップ状の変化は1回の変化であるので消費電力はそれほど大きくならない。むしろステップ状の変化にLPF処理を施して緩やかな変化にすると、各サブフィールドの書込み期間においてデータ電極に印加する電圧の変化の回数が増加して消費電力が増加するおそれがある。
【0049】
しかし本実施の形態におけるLPF回路41は、電力削減に有効な空間周波数の垂直方向の成分にのみにLPF処理を施し、水平方向の成分にはLPF処理を施さない。また表示画像のステップ状の階調変化はそのまま出力する。そのため、画像表示品質の低下を抑制しつつ効果的に電力を抑制することができる。
【0050】
混合回路42は、混合係数設定部56と信号混合部57r、57g、57bとを有する。
【0051】
混合係数設定部56は、LPF処理を施さない画像信号とLPF処理を施した画像信号とを混合する割合を決める混合係数を設定する。すなわち、混合係数設定部56は、赤の画像信号S20rと赤の画像信号S30rとを混合する割合を決める混合係数Krを設定し、緑の画像信号S20gと緑の画像信号S30gとを混合する割合を決める混合係数Kgを設定し、青の画像信号S20bと青の画像信号S30bとを混合する割合を決める混合係数Kbを設定する。
【0052】
信号混合部57rは、画像信号S20rと画像信号S30rとを混合係数Krに基づき混合して画像信号S40rを出力する。信号混合部57gは、画像信号S20gと画像信号S30gとを混合係数Kgに基づき混合して画像信号S40gを出力する。信号混合部57bは、画像信号S20bと画像信号S30bとを混合係数Kbに基づき混合して画像信号S40bを出力する。画像信号S40rは、例えば、
(画像信号S40r)=(1−Kr)×(画像信号S20r)+Kr×(画像信号S30r)
として生成される。同様に、
(画像信号S40g)=(1−Kg)×(画像信号S20g)+Kg×(画像信号S30g)
(画像信号S40b)=(1−Kb)×(画像信号S20b)+Kb×(画像信号S30b)
である。ここで各混合係数は、0≦Kr≦1、0≦Kg≦1、0≦Kb≦1である。
【0053】
図7は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置30の混合係数設定部56の回路ブロック図である。
【0054】
混合係数設定部56は、最大値選択部61と、赤の画像信号の信号処理を行う最大値選択部64r、除算部65r、減算部66r、乗算部67r、係数制限部68rと、緑の画像信号の信号処理を行う最大値選択部64g、除算部65g、減算部66g、乗算部67g、係数制限部68gと、青の画像信号の信号処理を行う最大値選択部64b、除算部65b、減算部66b、乗算部67b、係数制限部68bとを有する。
【0055】
最大値選択部61は、LPF処理を施さない赤の画像信号S20rと緑の画像信号S20gと青の画像信号S20bとを入力し、最も大きい画像信号の値を出力する。
【0056】
赤の画像信号の信号処理を行う最大値選択部64rは、LPF処理を施さない画像信号S20rとLPF処理を施した画像信号S30rとを入力し、大きいほうの値を出力する。除算部65rは最大値選択部64rの出力を最大値選択部61の出力で除算して、信号S31rとして出力する。したがって信号S31rは、最大値選択部64rの出力を最大値選択部61の出力で正規化した値である。
【0057】
減算部66rは所定の閾値C66から信号S31rを減ずる。乗算部67rは減算部66rの出力に所定の定数C67を乗ずる。係数制限部68rは、乗算部67rの出力が混合係数の上限値を超えた場合には上限値を赤の混合係数Krとして出力し、混合係数の下限値に満たない場合には下限値を赤の混合係数Krとして出力する。それ以外の場合には乗算部67rの出力を赤の混合係数Krとして出力する。
【0058】
緑の画像信号の信号処理を行う最大値選択部64g、除算部65g、減算部66g、乗算部67g、係数制限部68gについても、赤の画像信号の信号処理を行う最大値選択部64r、除算部65r、減算部66r、乗算部67r、係数制限部68rと同様であるため詳細な説明を省略する。また青の画像信号の信号処理を行う最大値選択部64b、除算部65b、減算部66b、乗算部67b、係数制限部68bについても同様である。こうして、混合係数設定部56は、赤、緑、青の各色の画像信号に対して、LPF処理を施さない画像信号とLPF処理を施した画像信号とを混合する割合を決める混合係数Kr、Kg、Kbを設定する。
【0059】
図8Aおよび図8Bは、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置30の混合回路42の動作の説明図である。図8Aは画像信号の一例を示しており、実線はLPF処理を施さない画像信号S20r、S20g、S20bを示し、破線はLPF処理を施した画像信号S30r、S30g、S30bを示している。ここで横軸は時間を示し、縦軸は画像信号の大きさである表示階調を示している。また図8Bは除算部の出力と混合係数との関係を示す図であり、横軸は除算部65r、65g、65bから出力された信号S31r、S31g、S31bの大きさを示し、縦軸は混合係数Kr、Kg、Kbを示している。本実施の形態においては、赤の画像信号の信号処理を行う除算部65rから出力される信号S31rが所定の閾値C66よりも大きい場合にはLPF処理を施した画像信号S20rの混合比が「0」となるように、混合係数Krを「0」とする。また画像信号S31rが所定の閾値C66以下の場合には、信号S31rが小さいほどLPF処理を施した画像信号S20rの混合比が大きくなるように混合係数Krを設定する。ただし混合係数Krが「1」を超えることがないように制限されている。緑の画像信号の信号処理を行う各回路ブロック、青の画像信号の信号処理を行う各回路ブロックについても同様である。
【0060】
例えば、所定の閾値C66が「0.8」、所定の定数C67が「2」に設定されており、混合係数の上限値が「1」、下限値が「0」に設定されているとする。
【0061】
図8Aの時刻t1において、例えば赤の画像信号S20rの表示階調が「100」、赤の画像信号S30rの表示階調が「120」、緑の画像信号S20gの表示階調が「200」、緑の画像信号S30gの表示階調が「150」、青の画像信号S20bの表示階調が「40」、青の画像信号S30bの表示階調が「30」であったとする。最大値選択部61は赤の画像信号S20rと緑の画像信号S20gと青の画像信号S20bとを比較し、最大値である緑の画像信号S20gを選択して「200」を出力する。
【0062】
赤の画像信号の信号処理を行う最大選択部64rは「100」と「120」とを比較して「120」を出力する。除算部65rは「120」を「200」で除して「0.6」を信号S31rとして出力する。減算部66rは「0.8」から「0.6」を減じて「0.2」を出力する。乗算部67rは「0.2」に「2」を乗じて「0.4」を出力する。「0.4」は混合係数の上限値を下限値との間であるので、係数制限部68rは「0.4」をそのまま混合係数Krとして出力する。すると信号混合部57rは、LPF処理を施さない画像信号S20rを6割、LPF処理を施した画像信号S30rを4割の割合で混合した画像信号S40rを出力する。
【0063】
緑の画像信号の信号処理を行う最大選択部64gは「200」と「150」とを比較して「200」を出力する。除算部65gは「200」を「200」で除して「1」を信号S31gとして出力する。減算部66gは「0.8」から「1」を減じて「−0.2」を出力する。乗算部67gは「−0.2」に「2」を乗じて「−0.4」を出力する。「−0.4」は混合係数の下限値に満たないので、係数制限部68gは下限値「0」を混合係数Kgとして出力する。すると信号混合部57gは、LPF処理を施さない画像信号S20gを画像信号S40gとして出力する。
【0064】
青の画像信号の信号処理を行う最大選択部64bは「40」と「30」とを比較して「40」を出力する。除算部65bは「40」を「200」で除して「0.2」を信号S31bとして出力する。減算部66bは「0.8」から「0.2」を減じて「0.6」を出力する。乗算部67bは「0.6」に「2」を乗じて「1.2」を出力する。「1.2」は混合係数の上限値を超えているので、係数制限部68bは上限値「1」を混合係数Kbとして出力する。すると信号混合部57bは、LPF処理を施した画像信号S30bを画像信号S40bとして出力する。
【0065】
このようにして画像信号処理回路31は、赤の画像信号、緑の画像信号、青の画像信号のうち、最も表示階調の高い色の画像信号に対しては画像表示品質を優先してLPF処理を施さない。それ以外の色の画像信号に対しては、最も表示階調の高い色の画像信号で正規化した値が大きい場合には、画像表示品質を優先してLPF処理を施した画像信号の混合比を減らし、最も表示階調の高い色の画像信号で正規化した値が小さい場合にはLPF処理による画像表示品質の変化が視認しにくいので、消費電力の抑制を優先してLPF処理を施した画像信号の混合比を増やしている。
【0066】
なお本実施の形態においては、混合係数の上限値を「1」、下限値を「0」としたが、上限値および下限値はこれらの値に限定されるものではなく、プラズマディスプレイ装置の仕様等に基づき、最適な値に設定することが望ましい。
【0067】
(実施の形態2)
実施の形態2におけるプラズマディスプレイ装置30に用いるパネル10および駆動回路の回路ブロックは実施の形態1と同じである。実施の形態2が実施の形態1と異なるところは混合係数設定部56である。
【0068】
図9は、本発明の実施の形態2におけるプラズマディスプレイ装置30の混合係数設定部56の回路ブロック図である。
【0069】
混合係数設定部56は、最大値選択部81と、赤の画像信号の信号処理を行う差分算出部84r、除算部85r、減算部86r、乗算部87r、係数制限部88rと、緑の画像信号の信号処理を行う差分算出部84g、除算部85g、減算部86g、乗算部87g、係数制限部88gと、青の画像信号の信号処理を行う差分算出部84b、除算部85b、減算部86b、乗算部87b、係数制限部88bとを有する。
【0070】
赤の画像信号の信号処理を行う差分算出部84rは、LPF処理を施さない画像信号S20rとLPF処理を施した画像信号S30rとを入力し、その差の絶対値を出力する。緑の画像信号の信号処理を行う差分算出部84gは、LPF処理を施さない画像信号S20gとLPF処理を施した画像信号S30gとを入力し、その差の絶対値を出力する。青の画像信号の信号処理を行う差分算出部84bは、LPF処理を施さない画像信号S20bとLPF処理を施した画像信号S30bとを入力し、その差の絶対値を出力する。最大値選択部81は、差分算出部84rの出力と差分算出部84gの出力と差分算出部84bの出力とを入力し、最も大きい値を出力する。
【0071】
赤の画像信号の信号処理を行う除算部85rは差分算出部84rの出力を最大値選択部81の出力で除算して、信号S33rとして出力する。したがって信号S33rは、差分算出部84rの出力を最大値選択部81の出力で正規化した値である。
【0072】
減算部86rは所定の閾値C86から信号S33rを減ずる。乗算部87rは減算部86rの出力に所定の定数C87を乗ずる。係数制限部88rは、乗算部87rの出力が混合係数の上限値を超えた場合には上限値を赤の混合係数Krとして出力し、混合係数の下限値に満たない場合には下限値を赤の混合係数Krとして出力する。それ以外の場合には乗算部87rの出力を赤の混合係数Krとして出力する。
【0073】
緑の画像信号の信号処理を行う除算部85g、減算部86g、乗算部87g、係数制限部88gについても、赤の画像信号の信号処理を行う除算部85r、減算部86r、乗算部87r、係数制限部88rと同様であるため詳細な説明を省略する。また青の画像信号の信号処理を行う除算部85b、減算部86b、乗算部87b、係数制限部88bについても同様である。こうして、混合係数設定部56は、赤、緑、青の各色の画像信号に対して、LPF処理を施さない画像信号とLPF処理を施した画像信号とを混合する割合を決める混合係数Kr、Kg、Kbを設定する。
【0074】
図10Aおよび図10Bは、本発明の実施の形態2におけるプラズマディスプレイ装置30の混合回路42の動作の説明図である。図10Aは画像信号の一例を示しており、実線はLPF処理を施さない画像信号S20r、S20g、S20bを示し、破線はLPF処理を施した画像信号S30r、S30g、S30bを示している。ここで横軸は時間を示し、縦軸は画像信号の大きさである表示階調を示している。また図10Bは除算部の出力と混合係数との関係を示す図であり、横軸は除算部65r、65g、65bから出力された信号S33r、S33g、S33bの大きさを示し、縦軸は混合係数Kr、Kg、Kbを示している。本実施の形態においては、赤の画像信号の信号処理を行う除算部85rから出力される信号S33rが所定の閾値C86よりも大きい場合にはLPF処理を施した画像信号S20rの混合比が「0」となるように、混合係数Krを「0」とする。また画像信号S33rが所定の閾値C86以下の場合には、信号S33rが小さいほどLPF処理を施した画像信号S20rの混合比が大きくなるように混合係数Krを設定する。ただし混合係数Krが「1」を超えることがないように制限されている。緑の画像信号の信号処理を行う各回路ブロック、青の画像信号の信号処理を行う各回路ブロックについても同様である。
【0075】
例えば、所定の閾値C86が「0.8」、所定の定数C87が「2」に設定されており、混合係数の上限値が「1」、下限値が「0」に設定されているとする。
【0076】
図10Aの時刻t1において、例えば赤の画像信号S20rの表示階調が「200」、赤の画像信号S30rの表示階調が「150」、緑の画像信号S20gの表示階調が「120」、緑の画像信号S30gの表示階調が「140」、青の画像信号S20bの表示階調が「5」、青の画像信号S30bの表示階調が「10」であったとする。
【0077】
赤の画像信号の信号処理を行う差分算出回路84rは「200」と「150」の差分値「50」を出力し、緑の画像信号の信号処理を行う差分算出回路84gは「120」と「140」の差分値「20」を出力し、青の画像信号の信号処理を行う差分算出回路84bは「5」と「10」の差分値「5」を出力する。最大値選択部81は差分算出回路84rの出力と差分算出回路84gの出力と差分算出回路84bの出力とを比較し、最大値である「50」を出力する。
【0078】
赤の画像信号の信号処理を行う除算部85rは「50」を「50」で除して「1.0」を信号S33rとして出力する。減算部86rは「0.8」から「1.0」を減じて「−0.2」を出力する。乗算部87rは「−0.2」に「2」を乗じて「−0.4」を出力する。「−0.4」は混合係数の下限値に満たないので、係数制限部88rは下限値「0」を混合係数Krとして出力する。すると信号混合部57rは、LPF処理を施さない画像信号S20rを画像信号S40rとして出力する。
【0079】
緑の画像信号の信号処理を行う除算部85gは「20」を「50」で除して「0.4」を信号S33gとして出力する。減算部86gは「0.8」から「0.4」を減じて「0.4」を出力する。乗算部87gは「0.4」に「2」を乗じて「0.8」を出力する。「0.8」は混合係数の上限値を下限値との間であるので、係数制限部88gは「0.8」をそのまま混合係数Kgとして出力する。すると信号混合部57gは、LPF処理を施さない画像信号S20gを2割、LPF処理を施した画像信号S30rを8割の割合で混合した画像信号S40gを出力する。
【0080】
青の画像信号の信号処理を行う除算部85bは「5」を「50」で除して「0.1」を信号S33bとして出力する。減算部86bは「0.8」から「0.1」を減じて「0.7」を出力する。乗算部87bは「0.7」に「2」を乗じて「1.4」を出力する。「1.4」は混合係数の上限値を超えているので、係数制限部88bは上限値「1」を混合係数Kbとして出力する。すると信号混合部57bは、LPF処理を施した画像信号S30bを画像信号S40bとして出力する。
【0081】
これにより、垂直方向の空間周波数成分の高い領域であっても、赤の画像信号、緑の画像信号、青の画像信号のうち、その高周波成分の振幅が最も大きい色の画像信号に対しては重要なディテールであると判断してLPF処理を施さない。それ以外の色の画像信号に対しては、振幅が最も大きい色の画像信号で正規化した振幅の値が大きい場合には、画像表示品質を優先してLPF処理を施した画像信号の混合比を減らし、振幅が最も大きい色の画像信号で正規化した振幅の値が小さい場合には重要なディテールではないと判断して、消費電力の抑制を優先してLPF処理を施した画像信号の混合比を増やしている。
【0082】
なお、実施の形態1、2において用いた具体的な各数値は、単に一例を挙げたに過ぎず、パネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等に合わせて、適宜最適な値に設定することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、画像表示品質を犠牲にすることなくデータ電極駆動回路の消費電力を削減することができ、プラズマディスプレイ装置として有用である。
【符号の説明】
【0084】
10 パネル
12 走査電極
13 維持電極
14 表示電極対
22 データ電極
25R 赤色に発光する蛍光体層
25G 緑色に発光する蛍光体層
25B 青色に発光する蛍光体層
30 プラズマディスプレイ装置
31 画像信号処理回路
32 データ電極駆動回路
33 走査電極駆動回路
34 維持電極駆動回路
35 タイミング発生回路
41 LPF回路
42 混合回路
43 画像データ変換回路
51r,52r,51g,52g,51b,52b 1H遅延部
53r,53g,53b 中央値選択部
54r,54g,54b 平均算出部
56 混合係数設定部
57r,57g,57b 信号混合部
61,64r,64g,64b,81 最大値選択部
65r,65g,65b,85r,85g,85b 除算部
66r,66g,66b,86r,86g,86b 減算部
67r,67g,67b,87r,87g,87b 乗算部
68r,68g,68b,88r,88g,88b 係数制限部
84r,84g,84b 差分算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
行方向に長い表示電極対と列方向に長いデータ電極とが交差する位置に放電セルを形成し、赤に発光する蛍光体層が設けられた前記放電セルと緑に発光する蛍光体層が設けられた前記放電セルと青に発光する蛍光体層が設けられた前記放電セルとで1つの画素を構成したプラズマディスプレイパネルと、書込み期間を有する複数のサブフィールドで1つのフィールドを構成するとともに前記プラズマディスプレイパネルの各電極に印加する駆動電圧波形を発生する駆動回路とを備えたプラズマディスプレイ装置であって、
前記駆動回路は、
赤と緑と青との各色の画像信号のそれぞれにローパスフィルタ処理を施すローパスフィルタ回路と、
前記各色の画像信号のそれぞれに対して、前記ローパスフィルタ処理を施した画像信号とローパスフィルタ処理を施さない画像信号とを、各色の混合係数に基づき混合する混合回路とを有し、
前記混合回路は、
前記各色の画像信号のそれぞれを比較して最大値を選択し、前記最大値に基づき前記各色の混合係数を設定する混合係数設定部とを有することを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項2】
行方向に長い表示電極対と列方向に長いデータ電極とが交差する位置に放電セルを形成し、赤に発光する蛍光体層が設けられた前記放電セルと緑に発光する蛍光体層が設けられた前記放電セルと青に発光する蛍光体層が設けられた前記放電セルとで1つの画素を構成したプラズマディスプレイパネルと、書込み期間を有する複数のサブフィールドで1つのフィールドを構成するとともに前記プラズマディスプレイパネルの各電極に印加する駆動電圧波形を発生する駆動回路とを備えたプラズマディスプレイ装置であって、
前記駆動回路は、
赤と緑と青との各色の画像信号のそれぞれにローパスフィルタ処理を施すローパスフィルタ回路と、
前記各色の画像信号のそれぞれに対して、前記ローパスフィルタ処理を施した画像信号とローパスフィルタ処理を施さない画像信号とを、各色の混合係数に基づき混合する混合回路とを有し、
前記混合回路は、
前記各色の画像信号のそれぞれに対して、ローパスフィルタ処理を施した画像信号とローパスフィルタ処理を施さない画像信号との差分を算出し、前記差分の最大値に基づき前記各色の混合係数を設定する混合係数設定部とを有することを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項3】
前記ローパスフィルタ回路は、前記各色の画像信号とのそれぞれに対して、同じデータ電極を共有し前記書込み期間において連続して書込み動作を行う3つの放電セルで表示する3つの画像信号の中央値を選択する中央値選択部を有することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のプラズマディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2011−145429(P2011−145429A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5477(P2010−5477)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】