説明

プラズマ成膜方法及びその装置

【課題】厚みが大きく且つ略均等であり、しかも、表面粗さが小さい皮膜を、プラズマ成膜によって得る。
【解決手段】プラズマ発生装置16と、基材10の成膜部位との間に、整流用治具12を配置する。この整流用治具12に形成された成膜用通路22に、プラズマ発生装置16からプラズマ励起種を供給する。その一方で、液体供給装置18から液相原材料Lを基材10に供給し、付着させる。この液相原材料Lは、成膜用通路22に到達したプラズマ励起種によってブローされることで展延し、厚みが低減した液膜となる。また、液膜は、プラズマ励起種によって活性化され、重合・固化して皮膜に変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液相原材料をプラズマ励起種の活性作用下に重合させることで固化して皮膜を得るプラズマ成膜方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックや金属、又はセラミックスからなる基材の表面に対し、保護膜や機能膜等の皮膜を形成することが一般的に行われている。この種の皮膜形成、換言すれば、成膜を行う手法の1つとして、プラズマを用いるプラズマ成膜が従来から知られている。
【0003】
プラズマ成膜は、チャンバに高真空ポンプ等を付設したプラズマ成膜装置にて実施されることが一般的であるが、近時、大気圧下でプラズマを用いるプラズマ成膜を実施することが提案されている。例えば、特許文献1には、基材の表面に発生させたプラズマに対して気相の成膜用原材料(気相原材料)を供給し、これにより活性化した気相原材料を前記基材の表面上で重合させて皮膜とする技術が開示されている。
【0004】
ところで、気相原材料を使用する場合、成膜速度が小さく、しかも、気相原材料の使用効率が低いという不都合がある。気相原材料は、その一部のみが成膜に寄与し、大半は、プラズマ励起種の1つであるプラズマ化放電用ガスに同伴されて排気されるからである。
【0005】
一方、液相の成膜用原材料(液相原材料)を使用することも知られている。例えば、特許文献2には、超音波によって霧化した液相原材料をガスと混合して混合ミストとした後、該混合ミストをプラズマ化する技術が提案されている。このプラズマ化の際、前記ガスがプラズマ化放電用ガス(プラズマ励起種)となるとともに、液相原材料が活性化される。
【0006】
また、特許文献3には、噴霧された液相原材料を電気流体力学的に基材上に導き、その後、この液相原材料を、プラズマ等によって発生させたプラズマ励起種(プラズマ化放電用ガス又は気相原材料)と反応させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2837993号公報
【特許文献2】特開2007−31550号公報
【特許文献3】特表2008−504442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
液相原材料を噴霧してプラズマ成膜を行う場合、基材上の液相原材料の堆積厚みが大きいと、堆積した液相原材料の表面は容易に重合・固化するものの、内部は重合が進行し難いという不都合がある。表面はプラズマによって容易に活性化されるのに対し、内部にはプラズマが到達し難いからである。
【0009】
この不都合を回避するべく、液相原材料の供給速度を小さくすることで堆積速度を小さくすることが想起される。この場合、基材上に到達した液相原材料が一旦重合・固化して皮膜となった後、新たな液相原材料が前記皮膜上に堆積する。これが逐次的に繰り返されるので、液相原材料が未重合・未固化のままで残留することが回避されるからである。
【0010】
しかしながら、この場合、液相原材料の堆積速度を小さくする必要があるために成膜速度が小さくなってしまう。また、噴霧された液相原材料は、液滴として基材(又は先に重合・固化した皮膜)上に付着し、この状態で重合・固化するので、皮膜の形状も液滴形状となる。このため、皮膜の表面粗さが大きくなるという不具合を招く。
【0011】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、厚みが略均等であり且つ表面粗さが小さい皮膜を大きな成膜速度で得ることが可能なプラズマ成膜方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明は、第1液相原材料を、プラズマ発生装置から導出されたプラズマ励起種、又は前記第1液相原材料と同一種又は異種の液体からなり前記第1液相原材料とは別の供給経路から供給された第2液相原材料が前記プラズマ励起種によって励起された励起種の活性作用下に重合させることで固化して皮膜を得るプラズマ成膜方法であって、
前記第1液相原材料を基材上に堆積する工程と、
前記基材上の前記第1液相原材料を前記プラズマ励起種のみ、又は前記励起種を含む前記プラズマ励起種の流れでブローすることによって展延するとともに、展延した前記第1液相原材料を、前記プラズマ励起種、又は前記励起種の活性作用下に重合させることで固化して皮膜を得る工程と、
を有し、
前記流れを、前記第1液相原材料を展延する方向、又は、前記第1液相原材料を展延する方向と該方向に対して90°〜180°の角度をなす方向とに進行させて前記第1液相原材料をブローするとともに、
前記流れが前記第1液相原材料を展延する際の流速と、前記第1液相原材料の20℃での蒸気圧との積を100(m・Pa)/s以下に設定することを特徴とする。なお、「s」は秒を表し、以下においても同様である。
【0013】
すなわち、本発明においては、第1液相原材料をブローすることによって、皮膜の厚みに近似し得る所定の厚みの液膜を形成する。このようにして液膜となった第1液相原材料を重合・固化させることにより、所望の厚みの皮膜を得ることができる。この場合、皮膜の厚みも略均等となる上、表面粗さも小さくなる。また、液膜から所定の厚みの皮膜にするまでの時間が短いので、成膜速度が向上する。
【0014】
以上のように、本発明によれば、厚みが略均等であり且つ表面粗さが小さい皮膜を、大きな成膜速度で得ることが可能となる。
【0015】
また、第1液相原材料を所望の厚みよりも大きな厚みとして堆積させた後に所定の厚みの液膜とするので、第1液相原材料を噴霧するときのように供給量を高精度に制御する必要がない。すなわち、供給量の制御が簡素化する。
【0016】
さらに、第1液相原材料を展延することで所定の厚みの液膜を形成し、その後、この液膜から皮膜を得るので、基材上に供給された第1液相原材料の大半を液膜(皮膜)とすることが可能である。換言すれば、第1液相原材料のほとんどが皮膜の形成に寄与する。このため、第1液相原材料の使用効率を向上させることができるので、材料コストの低廉化、及び省資源化を図ることができる。
【0017】
ここで、第1液相原材料が展延する前に気化してしまうと、所定の厚みの皮膜を得ることが困難となる。これを回避するべく、本発明では、プラズマ励起種、又は励起種を含むプラズマ励起種の流れ(以下、単に「流れ」とも表記する)が液相原材料を展延する際の流速と、液相原材料の20℃での蒸気圧との積を、100(m・Pa)/s以下に設定するようにしている。この場合、第1液相原材料が気化する前に該第1液相原材料が展延するとともに重合・固化を起こすからである。すなわち、第1液相原材料の気化が抑制されるようになるので、所望の厚みの皮膜を形成することが容易となる。
【0018】
本発明においては、前記流れが前記第1液相原材料を展延する際の流速を第1液相原材料の20℃での粘度で除し、さらに、1000で除した値を、50〜1000m−1の範囲内に設定することが好ましい。なお、ここでいう「粘度」は動粘度である。
【0019】
この場合、第1液相原材料の展延度が適切な範囲内となり、その結果、内部まで十分に固化した皮膜を所望の厚みで得ることが容易となる。
【0020】
プラズマ励起種、又は励起種を含むプラズマ励起種を、基材のプラズマ励起種の進行方向に対して直交する方向(幅方向)の全域にわたって接触させながら進行させるようにしてもよい。この場合、堆積した第1液相原材料が基材の幅方向全域にわたって展延する。すなわち、基材の幅方向全域が液膜で被覆され、この状態で、該液膜が重合・固化して皮膜となる。従って、1回の成膜作業で基材の幅方向全域に皮膜を形成することができる。すなわち、基材の幅方向に沿う皮膜形成作業を繰り返して行う必要がないので、基材に対する成膜効率が向上する。
【0021】
また、本発明は、第1液相原材料を、プラズマ発生装置から導出されたプラズマ励起種、又は前記第1液相原材料と同一種又は異種の液体からなり前記第1液相原材料とは別の供給経路から供給された第2液相原材料が前記プラズマ励起種によって励起された励起種の活性作用下に重合させることで固化して皮膜を得るためのプラズマ成膜装置であって、
基材に対して第1液相原材料を供給するための液相原材料供給手段と、
プラズマ励起種を得るためのプラズマ発生装置と、
前記プラズマ発生装置から供給された前記プラズマ励起種、又は前記励起種を含む前記プラズマ励起種の流れを、前記基材に供給されて付着した前記第1液相原材料に向かって案内するための整流用治具と、
を有し、
前記整流用治具に、前記第1液相原材料を展延する方向に沿って延在する1本の直線状流通路、又は、前記第1液相原材料を展延する方向と該方向に対して90°〜180°の角度をなす方向とに沿って延在する複数本の直線状流通路が形成され、
前記流れは、前記第1液相原材料を展延する方向に沿って延在する前記直線状流通路を進行する際、前記基材に供給されて付着した前記第1液相原材料を展延することを特徴とする。
【0022】
このような構成とすることにより、上記したプラズマ成膜方法を容易に実施することができる。すなわち、厚みが略均等であり且つ表面粗さが小さい皮膜を、大きな成膜速度で得ることができる。また、第1液相原材料の供給量の制御を簡素化することができ、さらに、液相原材料の使用効率を向上させて材料コストの低廉化、及び省資源化を図ることができる。
【0023】
なお、第1液相原材料を展延する方向に沿って延在する直線状流通路を、前記プラズマ励起種の進行方向に対して直交する方向に比して幅広に設けることが好ましい。これにより、1回の成膜作業で基材の幅方向全域に皮膜を形成することができるようになるので、基材に対する成膜効率が向上する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、液相原材料を噴霧することなく成膜部位に供給し付着させた後、該液相原材料をプラズマ励起種でブローして展延することで所定の厚みの液膜とするとともに、該液膜を活性化して重合・固化させることで所定の厚みの皮膜を得るようにしている。これにより、皮膜を所望の厚みとして形成することができる。
【0025】
また、このようにして皮膜を形成することにより、所望の厚みの皮膜を得るに至るまでの成膜速度を、液相原材料を噴霧して所望の厚みの皮膜を得るに至るまでの成膜速度に比して小さくすることができる。すなわち、成膜速度が向上する。そして、液膜の表面が比較的平滑であるために、皮膜の表面粗さも小さくなる。結局、厚みが略均等であり表面粗さが小さな皮膜を容易に、且つ大きな成膜速度で得ることができる。
【0026】
また、液相原材料を供給する際に高精度の供給量制御を行う必要がないので、制御を簡素化することができる。
【0027】
さらに、堆積した液相原材料を展延することで所定の厚みの液膜を形成するので、供給された液相原材料のほとんどが皮膜の形成に寄与する。このため、液相原材料の使用効率を向上させることができる。これに伴って材料コストが低廉化するとともに、省資源化を図ることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係るプラズマ成膜装置の要部概略斜視図である。
【図2】前記プラズマ成膜装置の要部縦断面側面図である。
【図3】前記プラズマ成膜装置の要部概略正面図である。
【図4】前記プラズマ成膜装置を構成するプラズマ発生装置を変位させるとともに、堆積した液相原材料をプラズマ励起種によってブローして展延し、液膜とした状態を示す要部縦断面側面図である。
【図5】図4からさらにプラズマ発生装置を変位させた状態を示す要部縦断面側面図である。
【図6】別の実施の形態に係るプラズマ成膜装置の要部縦断面側面図である。
【図7】また別の実施の形態に係るプラズマ成膜装置の要部縦断面側面図である。
【図8】さらに別の実施の形態に係るプラズマ成膜装置の要部縦断面側面図である。
【図9】実施例1〜6及び比較例1〜6を実施した際の各パラメータの設定値と、結果とを併せて示す図表である。
【図10】比較例4〜6を実施する際に用いたプラズマ成膜装置の縦断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るプラズマ成膜方法につき、それを実施するプラズマ成膜装置との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1及び図2は、それぞれ、本実施の形態に係るプラズマ成膜装置の要部概略斜視図、要部縦断面側面図である。このプラズマ成膜装置は、基材10に対して成膜を行うためのものであり、該基材10の所定の成膜部位を覆う整流用治具12と、後述するプラズマ励起種を基材10に向けて照射するべく整流用治具12に臨んで形成された照射部14を含むプラズマ発生装置16と、液相原材料供給手段としての液体供給装置18(図2参照)とを有する。
【0031】
成膜基板である基材10は、この場合、その上端面が平坦面として形成された平板形状材であり、例えば、プラスチック、金属、セラミックス等からなる。なお、基材10の材質は、木材や石等であってもよい。基材10の材料の好適な具体例としては、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂等の樹脂、鉄、アルミニウム等の金属、ガラス、磁器等のセラミックスが挙げられる。
【0032】
基材10と照射部14との間に介在される整流用治具12は、プラズマ発生装置16に対して交換可能に取り付けられている。
【0033】
この整流用治具12は、基材10の上端面の所定の成膜部位を覆い、且つ該成膜部位に対してプラズマ励起種を到達させるとともに、プラズマ励起種を該成膜部位から離間させる流れを設けるためのものである。すなわち、整流用治具12には、照射部14から成膜部位に向かうように鉛直方向に沿って延在する供給通路20と、該供給通路20から略垂直に折曲し且つ水平方向に沿って延在する直線形状流通路としての成膜用通路22とが形成されている。成膜用通路22の開放端である排出口24からは、プラズマ励起種が失活した放電用ガスが放出される。照射部14又は供給通路20よりも上流側で放電用ガスに対して原材料が混合された場合には、一旦プラズマ励起種となった後に失活した原材料が放出されることもある。なお、成膜部位には、後述するように液相原材料Lが供給される。
【0034】
要部概略正面図である図3に示すように、成膜用通路22の幅方向寸法W1は、基材10の幅方向寸法W2に比して小さく設定される。このため、成膜用通路22は、基材10の上端面の幅方向寸法に比して若干短いものの、その略全体にわたって延在する。図1に矢印Yとして示すように、基材10及び成膜用通路22の幅方向は、プラズマ励起種の進行方向(図2における矢印X方向)に対して直交する方向である。
【0035】
成膜用通路22は、断面略四角形状に形成されており、このため、その断面積は、幅方向寸法W1と高さ方向寸法Hとの積に略近似される。すなわち、成膜用通路22の断面積をSとした場合、下記の式(1)が成り立つ。
S=W1×H …(1)
【0036】
プラズマ励起種の供給通路20への導出流速(吹付流速)、及び成膜用通路22を流通する際の流速(排気流速)は、照射部14から成膜用通路22に導入されるプラズマ励起種の流量や、成膜用通路22の断面積Sを適宜変更することによって調整することができる。なお、成膜用通路22の断面積Sは、例えば、幅方向寸法W1又は高さ方向寸法Hの少なくともいずれか一方が相違する成膜用通路22が形成された別の整流用治具に交換することによって変更することができる。
【0037】
このように構成される整流用治具12に連なるようにして設けられたプラズマ発生装置16には、プラズマ励起種を生成するための放電用ガスがガスライン26を介して送気される。放電用ガスは、プラズマ発生装置16の内部において、図示しないプラズマ発生機構の作用下にプラズマ化され、プラズマ励起種の1つとして照射部14から照射される。このような照射部14を含むプラズマ発生装置16は公知のものであり、このため、詳細な説明を省略する。
【0038】
なお、ガスライン26からプラズマ発生装置16に導入される放電用ガスの流量、ひいては照射部14から供給通路20に供給されるプラズマ励起種の流量は、図示しない公知の流量制御器を介して調整することが可能である。
【0039】
場合によっては、整流用治具12、プラズマ発生装置16又はガスライン26のいずれかに対して図示しないガスラインをさらに付設し、このガスラインから気相原材料を供給するようにしてもよい。
【0040】
プラズマ成膜装置は図示しない変位機構をさらに備え、プラズマ発生装置16は、この変位機構の作用下に、成膜用通路22の延在方向である矢印X方向(図2参照)、すなわち、プラズマ励起種の進行方向に沿って変位される。
【0041】
液体供給装置18は、供給管28を介して基材10の上端面に液相原材料Lを供給するためのものであり、公知のもので構成される。従って、本実施の形態において、液相原材料Lは、液相状態を維持して基材10の上端面に供給される。
【0042】
ここで、液相原材料Lとしては、大気圧、25℃にて液相であり、それ自身のみでは反応性を示さない物質が選定される。さらに、蒸気圧が小さく気化し難い物質が一層好ましい。このような物質の好適な例としては、ヘキサメチルジシロキサン、環状シロキサン(例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン)、シルセスキオキサン誘導体、Si−H結合を有するシロキサンのモノマー又はオリゴマーや、メタノール、エタノール、低分子チオール等が挙げられる。又は、特表2004−510571号公報の段落[0011]に記載された物質や、特表2008−518109号公報の段落[0024]、[0025]に記載された有機ケイ素化合物を用いるようにしてもよい。なお、2個以上のSi−O結合を含む化合物が特に好適である。
【0043】
本実施の形態に係るプラズマ成膜装置は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その動作及び作用効果につき、本実施の形態に係るプラズマ成膜方法との関係で説明する。
【0044】
基材10の成膜部位に対して成膜を行う場合、先ず、ガスライン26を介して放電用ガスをプラズマ発生装置16に導入する。ここで、放電用ガスの好適な例としては、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが挙げられる。
【0045】
さらに、図示しない前記ガスラインを介して気相原材料を供給するようにしてもよい。気相原材料の好適な例としては、酸素又は窒素等が挙げられる。
【0046】
プラズマ発生装置16に対して気相原材料を供給した場合、気相原材料は、例えば、放電用ガスに混合された後、該放電用ガスとともにプラズマ化される。すなわち、気相原材料もプラズマ励起種となり、照射部14から供給通路20に照射される。
【0047】
一方、整流用治具12に対して気相原材料を供給した場合、気相原材料は、供給通路20においてプラズマ化した放電用ガスに添加される。この際、気相原材料は、上記のようにしてプラズマ化した放電用ガスからエネルギを付与され、その結果、プラズマ励起種となる。
【0048】
以上のように、放電用ガスのみを供給した場合には該放電用ガスのみがプラズマ励起種となり、放電用ガスとともに気体原材料を供給した場合には、両者がプラズマ励起種となる。
【0049】
又は、ガスライン26から気相原材料のみを供給し、これをプラズマ発生機構によってプラズマ化してプラズマ励起種を得るようにしてもよい。
【0050】
不活性ガスと酸素の混合ガスをプラズマ化してプラズマ励起種を得る場合を例示して説明すると、この場合、先ず、ヘリウムやアルゴン等の不活性ガスに対して乾燥処理を施し、水分を除去する。さらに、この乾性不活性ガスをプラズマ発生装置16に向けて送気する。その一方で、酸素をプラズマ発生装置16に向けて送気し、乾性不活性ガスと混合する。これにより、乾性不活性ガスと酸素との混合ガスが得られる。
【0051】
この混合ガスを、プラズマ発生装置16において、前記プラズマ発生機構の作用下にプラズマ化する。すなわち、照射部14からは、プラズマ化された混合ガスがプラズマ励起種として供給通路20に向かって導出される。
【0052】
その一方で、図2に示すように、液体供給装置18から液相原材料Lを基材10の成膜部位に供給する。液相原材料Lの供給タイミングは、プラズマ励起種が照射部14から照射されると同時であってもよいし、前記照射の前後であってもよい。なお、液相原材料Lの好適な例は上記した通りである。
【0053】
液相原材料Lは、所定の厚み及び幅方向寸法を有する帯状の厚液膜として基材10の成膜部位に付着する。この時点では、厚液膜の厚みは、最終的に得ようとする皮膜の厚みよりも大きい。また、厚液膜は、基材10の幅方向略全域にわたって延在する。
【0054】
照射部14から照射されたプラズマ励起種は、供給通路20を通過して成膜用通路22に到達し、さらに、液相原材料Lに接触する。このため、液相原材料Lがプラズマ励起種の流れによってブローされ、その結果、図4及び図5に示すように、該液相原材料Lがプラズマ励起種の進行方向(矢印X方向)に沿って順次展延される。なお、このようにして液相原材料Lがブローされる間、プラズマ発生装置16及び液体供給装置18は、前記変位機構の作用下に、矢印X方向に沿って変位される。
【0055】
図1及び図3に示すように、プラズマ励起種は、プラズマ励起種の進行方向(図2の矢印X方向)に対して直交する方向である幅方向の略全域にわたって照射される。従って、帯状に延在する液相原材料Lの全体が、矢印X方向に向かってブローされて展延する。
【0056】
液相原材料Lは、上記した展延に伴って、厚液膜状態から、厚みが低減し且つ略均等な薄液膜となる。この薄液膜の厚みは、皮膜としての厚みに近似することができる。すなわち、本実施の形態においては、厚液膜として供給された液相原材料Lを展延することによって、皮膜の厚みに近似し得る厚みの薄液膜が形成される。
【0057】
液相原材料Lは、このようにして薄液膜となる一方で、プラズマ励起種に含まれるプラズマ化した酸素(プラズマ化した気相原材料)、又はプラズマ化した不活性ガスや、酸素のエネルギ準位が低下することで発生したラジカル等によって固化される。上記したように液相原材料Lが皮膜の厚みに近似し得る厚みの薄液膜にされているため、この薄液膜を固化することにより、所望の厚みを有する固相重合体からなる皮膜が形成される。
【0058】
また、上記したように薄液膜が基材10の幅方向全域にわたって延在しているので、1回の作業で基材10の幅方向の略全域にわたって皮膜を形成することができる。従って、基材10の幅方向に対する皮膜形成作業の回数を1回のみとすることができる。このため、基材10への成膜効率が向上する。
【0059】
なお、厚液膜(液相原材料L)の展延度は、液相原材料Lから所望の厚みの皮膜が得られるように設定される。液相原材料Lの展延度が過度に大きい場合には、液相原材料Lの厚みの低減速度が大きくなるので、皮膜の厚みが過度に小さくなる。すなわち、所望の厚みの皮膜が得ることが容易でなくなる。一方、液相原材料Lの展延度が過度に小さい場合には、厚液膜の厚みを低減することが困難であるため(厚液膜の厚みが大きなままであるため)、厚液膜の内部をプラズマ励起種で活性化することが容易でなくなる。従って、液相原材料Lを十分に重合・固化させることが容易ではない。
【0060】
液相原材料Lの展延度は、該液相原材料Lの粘度が大きいほど小さく、また、成膜用通路22を通過して排出口24から導出されるプラズマ励起種の流速(排気流速)が大きいほど大きくなる。従って、液相原材料Lの粘度及びプラズマ励起種の排気流速は、適切な展延度が得られるように設定される。具体的には、プラズマ励起種の排気流速を液相原材料Lの20℃での粘度で除し、さらに、1000で除した値を、50〜1000m−1の範囲内に設定することが好ましい。
【0061】
前記の値をこのような数値範囲内に設定することにより、内部まで十分に固化した皮膜を所望の厚みで得ることが容易となる。換言すれば、プラズマ励起種の排気流速(すなわち、プラズマ励起種が液相原材料Lを展延する際の流速)を設定することにより、皮膜の厚みを制御することが可能である。
【0062】
また、液相原材料Lが容易に気化する物質である場合であっても、プラズマ励起種の排気流速を低下することによって重合・固化させることが可能である。この場合、液相原材料Lが気化する前に、該液相原材料Lの展延及び重合・固化が進行するからである。
【0063】
具体的には、プラズマ励起種の排気流速[m/s]に対して液相原材料Lの20℃での蒸気圧[Pa]を乗じることで得られる積の値を、100(m・Pa)/s以下に設定することが好ましい。これにより液相原材料Lの気化が抑制されるようになるので、皮膜を所望の厚みのものとして形成することが一層容易となる。
【0064】
上記したように、プラズマ励起種の吹付流速及び排気流速は、照射部14から供給通路20を経て成膜用通路22に導入されるプラズマ励起種の流量(例えば、プラズマ発生装置16に導入される放電用ガスの流量)や、成膜用通路22の断面積Sを変更することによって調整することができる。換言すれば、用いる液相原材料Lの20℃での粘度及び蒸気圧に応じて、照射部14から成膜用通路22に導入される放電用ガスの流量を調整したり、適切な断面積Sを有する成膜用通路22が形成された整流用治具12を選定したりすることにより、成膜用通路22を通過するプラズマ励起種の排気流速を液相原材料Lの20℃での粘度で除し、さらに1000で除した値を50〜1000m−1の範囲内とし、且つプラズマ励起種の排気流速と液相原材料Lの20℃での蒸気圧との積の値を100(m・Pa)/s以下とすることができる。
【0065】
以上のように、本実施の形態においては、液相原材料Lを噴霧することなく帯状の厚液膜として成膜部位に供給し付着させた後、該液相原材料Lをプラズマ励起種の流れでブローして展延するとともに活性化させ、これにより重合・固化させて所定の厚みの皮膜を得るようにしている。これにより、皮膜を所望の厚みとして形成することができる。
【0066】
また、液相原材料Lを厚液膜として供給し、これを展延するので、液体原材料を噴霧するときのように高精度の供給量制御を行う必要がない。換言すれば、制御を簡素化することができる。
【0067】
さらに、厚液膜を展延することで所定の厚みの薄液膜を形成し、さらに、この薄液膜から皮膜を得るので、供給された液相原材料Lのほとんどを皮膜とすることが可能である。このため、液相原材料Lに皮膜の形成に寄与しない分が発生することを考慮して大過剰の液相原材料Lを供給する必要がほとんどない。上記から諒解されるように、液相原材料Lのほとんどが皮膜の形成に寄与するからである。
【0068】
以上のような理由から、液相原材料Lの使用効率を向上させることができる。これに伴って材料コストが低廉化するとともに、省資源化を図ることが容易となる。
【0069】
しかも、厚みが略均等な液膜となった液相原材料Lを重合・固化させて皮膜とするので、皮膜の厚みも略均等となる。その上、液膜の表面がミスト等の液滴と比較して平滑であるので、皮膜の表面粗さも小さくなる。そして、所望の厚みまで低減された液相原材料Lを重合・固化させるので、所望の厚みの皮膜を得るに至るまでの成膜速度を、液相原材料Lを微少量ずつ噴霧して重合・固化することで所望の厚みの皮膜を得るに至るまでの成膜速度に比して小さくすることができる。すなわち、成膜速度が向上する。
【0070】
このように、本実施の形態によれば、厚みが略均等であり表面粗さが小さな皮膜を容易に、且つ大きな成膜速度で得ることができる。
【0071】
加えて、20℃での粘度や蒸気圧が大きな物質を液相原材料Lとして使用した場合であっても、上記したように、プラズマ励起種の流速を適切に設定することによって皮膜を得ることが可能となる。
【0072】
さらにまた、本実施の形態においては、プラズマ成膜を実施する際に多く使用される真空チャンバに比して簡素且つ軽量なチャンバを用いて成膜を実施することができる。従って、設備投資が高騰することもない。
【0073】
以上のようにして成膜を行った後、基材10の別部位に対して成膜を行う場合には、整流用治具12を新たな成膜部位に移動させ、整流用治具12の供給通路20が当該新たな成膜部位に臨むようにすればよい。本実施の形態では、このようにして成膜を繰り返すことで、基材10の所望の部位に対して成膜を行うことが可能である。すなわち、基材10の形状や寸法に制約を受けることなく、成膜を行うことができる。
【0074】
なお、本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0075】
例えば、上記した実施の形態では、整流用治具12の供給通路20に連なる流通路として成膜用通路22のみを形成するようにしているが、該成膜用通路22から90°〜180°の角度をなす方向に別の流通路を形成するようにしてもよい。図6に示す整流用治具30は、このように複数本の流通路が形成されたものの一例である。この場合、整流用治具30には、成膜用通路22に対向する位置(すなわち、180°離間する位置)に対向路32が形成されている。この場合においても、上記した過程を経ることで皮膜を得ることができる。
【0076】
また、図7に示すように、液相原材料Lを基材10に供給する供給管28を整流用治具30又は整流用治具12に埋設するようにしてもよい。
【0077】
さらに、この実施の形態では、液相原材料供給手段として液体供給装置18を採用するようにしているが、これに代替し、ピペットを採用して液相原材料Lを基材10に供給するようにしてもよい。
【0078】
さらにまた、図8に示すように、成膜用通路22の幅方向寸法W1を、基材10の幅方向寸法W2に比して大きく設定してもよい。この場合には、治具50に収容用凹部52を形成し、該収容用凹部52に基材10を収容する。そして、治具50上に整流用治具12を載置することにより、プラズマ励起種が排出口24以外から漏洩することを回避することができる。
【0079】
この場合、基材10の幅方向全域にわたって液相原材料Lを供給することが可能となる。プラズマ励起種が液相原材料Lの全体にわたって接触するので、該液相原材料Lを略均等に展延することも容易である。
【0080】
いずれの場合においても、液相原材料Lの重合を促進する第2の液相原材料を、例えば、供給通路20から供給するようにしてもよい。この場合、第2の液相原材料は、プラズマ励起種によって励起され、この状態で、液相原材料Lに接触して該液相原材料Lを活性化する役割を果たす。
【実施例】
【0081】
[実施例1〜6]
プラズマコンセプト東京社製のプラズマ発生装置16に対し、図1〜図3に示す構成の整流用治具12及び液体供給装置18を取り付けてプラズマ成膜装置を構成した。なお、照射部14の幅方向寸法は1mmであった。また、成膜用通路22の幅方向寸法W1及び高さ方向寸法Hは、それぞれ、100mm、2mmに設定した。
【0082】
この整流用治具12をポリカーボネート製基板からなる基材10上に載置した後、前記プラズマ発生装置16によって、アルゴン:ヘリウム:酸素が体積比で6000:100:1の割合で混合された混合ガスをプラズマ化し、照射部14からの吹付流量を14リットル/分として供給通路20に導出した。プラズマ励起種の供給通路20での流速(吹付流速)、及び成膜用通路22での流速(排気流速)の各々を測定したところ、2m/s、0.5m/sであった。
【0083】
その一方で、0.2mlのデカメチルシクロペンタシロキサンを液体供給装置18から基材10に供給し、該基材10に付着させた。
【0084】
なお、デカメチルシクロペンタシロキサンの20℃における粘度及び蒸気圧は、それぞれ、3.9mm/s、0.16hPaである。従って、プラズマ励起種の排気流速をデカメチルシクロペンタシロキサンの20℃での粘度で除し、さらに、1000で除した(以下、単に「排気流速/粘度/1000」と表記する)値、プラズマ励起種の排気流速に対してデカメチルシクロペンタシロキサンの20℃での蒸気圧を乗じた(以下、単に「排気流速×蒸気圧」と表記する)値は、それぞれ、64m−1、4(m・Pa)/sとなる。以上を実施例1とする。
【0085】
また、成膜用通路22の高さ方向寸法Hがそれぞれ異なる整流用治具12に変更し、これによりプラズマ励起種の吹付流速及び排気流速を種々変更したことを除いては実施例1と同様にして成膜を行った。各々を実施例2、3とする。
【0086】
さらに、成膜用通路22に対して90°の角度をなす方向に流通路が形成された整流用治具、又は180°の角度をなす方向に流通路が形成された整流用治具30(図6参照)を用いて成膜を行った。各々を実施例4、5とする。
【0087】
さらにまた、液相原材料Lとしてオクタメチルシクロテトラシロキサンを用いたことを除いては実施例1に準拠し、成膜を行った。これを実施例6とする。
【0088】
以上の実施例1〜6における成膜時の諸条件を、図9に併せて示す。
【0089】
[比較例1〜6]
比較のため、液相原材料Lとしてデカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルジシロキサンを用いるとともに、プラズマ励起種の吹付流速、排気流速を種々変更し、これにより排気流速/粘度/1000、排気流速×蒸気圧を様々に変化させた上で成膜を行った。各々を比較例1〜4とする。
【0090】
これとは別に、整流用治具を基材10から離間させた状態でプラズマ励起種を導出した。すなわち、プラズマ励起種の排気方向を制御しなかった。これを比較例5とする。
【0091】
さらに、図10に示すプラズマ成膜装置を用いた。ここで、このプラズマ成膜装置は、図2のプラズマ成膜装置から液体供給装置18を取り除き、且つ整流用治具12に挿入孔40を形成するとともに、この挿入孔40に、噴霧器42の液相原材料供給管44を嵌合して構成される。
【0092】
そして、噴霧器42からミスト状のデカメチルシクロペンタシロキサンを1ml/分の噴霧速度で整流用治具12の供給通路20に供給したことを除いては実施例1と同様にして、成膜を行った。これを比較例6とする。
【0093】
以上の比較例1〜6における成膜時の諸条件も、図9に併せて示している。
【0094】
これら実施例1〜6及び比較例1〜6につき、皮膜の厚みを求めるとともに外観を評価した。結果を図9に併せて示す。なお、外観は、うねりや凹凸が少ないか否か、換言すれば、表面粗さが小さいか否かを目視にて評価した。また、比較例1の「膜厚」欄における「内部硬化せず」は、液相原材料の極表層部が粘性を喪失する程度に硬化しているようではあったが、内部は液相を維持していたことを表す。
【0095】
この図9から、実施例1〜5の皮膜の厚みが比較例1〜6に比して著しく大きいこと、また、外観が良好であることが分かる。すなわち、上記した実施の形態に則した実施例1〜6によれば、厚みが大きく外観が良好な皮膜が得られることが明らかである。
【符号の説明】
【0096】
10…基材 12、30…整流用治具
14…照射部 16…プラズマ発生装置
18…液体供給装置 20…供給通路
22…成膜用通路 32…対向路
42…噴霧器 50…治具
52…収容用凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液相原材料を、プラズマ発生装置から導出されたプラズマ励起種、又は前記第1液相原材料と同一種又は異種の液体からなり前記第1液相原材料とは別の供給経路から供給された第2液相原材料が前記プラズマ励起種によって励起された励起種の活性作用下に重合させることで固化して皮膜を得るプラズマ成膜方法であって、
前記第1液相原材料を基材上に堆積する工程と、
前記基材上の前記第1液相原材料を前記プラズマ励起種のみ、又は前記励起種を含む前記プラズマ励起種の流れでブローすることによって展延するとともに、展延した前記第1液相原材料を、前記プラズマ励起種、又は前記励起種の活性作用下に重合させることで固化して皮膜を得る工程と、
を有し、
前記流れを、前記第1液相原材料を展延する方向、又は、前記第1液相原材料を展延する方向と該方向に対して90°〜180°の角度をなす方向とに進行させて前記第1液相原材料をブローするとともに、
前記流れが前記第1液相原材料を展延する際の流速と、前記第1液相原材料の20℃での蒸気圧との積を100(m・Pa)/s以下に設定することを特徴とするプラズマ成膜方法。
【請求項2】
請求項1記載の成膜方法において、前記流れが前記第1液相原材料を展延する際の流速を前記液相原材料の20℃での粘度で除し、さらに1000で除した値を50〜1000m−1の範囲内に設定することを特徴とするプラズマ成膜方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の成膜方法において、前記プラズマ励起種、又は前記励起種を含む前記プラズマ励起種を、前記基材の前記流れの進行方向に対して直交する方向の全域にわたって接触させながら進行させることを特徴とするプラズマ成膜方法。
【請求項4】
第1液相原材料を、プラズマ発生装置から導出されたプラズマ励起種、又は前記第1液相原材料と同一種又は異種の液体からなり前記第1液相原材料とは別の供給経路から供給された第2液相原材料が前記プラズマ励起種によって励起された励起種の活性作用下に重合させることで固化して皮膜を得るためのプラズマ成膜装置であって、
基材に対して第1液相原材料を供給するための液相原材料供給手段と、
プラズマ励起種を得るためのプラズマ発生装置と、
前記プラズマ発生装置から供給された前記プラズマ励起種、又は前記励起種を含む前記プラズマ励起種の流れを、前記基材に供給されて付着した前記第1液相原材料に向かって案内するための整流用治具と、
を有し、
前記整流用治具に、前記第1液相原材料を展延する方向に沿って延在する1本の直線状流通路、又は、前記第1液相原材料を展延する方向と該方向に対して90°〜180°の角度をなす方向とに沿って延在する複数本の直線状流通路が形成され、
前記流れは、前記第1液相原材料を展延する方向に沿って延在する前記直線状流通路を進行する際、前記基材に供給されて付着した前記第1液相原材料を展延することを特徴とするプラズマ成膜装置。
【請求項5】
請求項4記載の成膜装置において、前記第1液相原材料を展延する方向に沿って延在する前記直線状流通路が、前記基材の前記流れの進行方向に対して直交する方向に比して幅広に設けられたことを特徴とするプラズマ成膜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−57209(P2012−57209A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200785(P2010−200785)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】