説明

プラバスタチンおよびアスピリン含有多層錠および方法

コレステロール値を低下させ心筋梗塞の危険性を減少させるために有用な、三層またはそれより多い多層構造の錠剤が提供される。該錠剤は第一層にアスピリン、別の層にプラバスタチン、およびアスピリン含有第一層とプラバスタチン含有層を分離しアスピリンとプラバスタチンの相互作用を妨げ若しくは最小化するためその中間の境界層に、好ましくは緩衝剤を含む。かかる組成物を用いて、コレステロール値を低下させおよび心筋梗塞の危険性を減少させる方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三層若しくはそれより多い多層構造の錠剤よりなる医薬組成物に関する。該錠剤の一つの層にはアスピリン、もう一つの層にはプラバスタチンが含まれ、これらの層は少なくとも一つの中間境界層で互いに分離されてアスピリンと該スタチンとの相互作用を最小化しており、該錠剤はコレステロールと心筋梗塞の危険性を低下させるために使用される。本発明はまた、かかる組成物を使用してコレステロールと心筋梗塞の危険性を低下させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心筋梗塞の危険性を軽減するためのアスピリンの使用、およびコレステロール低下と動脈硬化、心血管および脳血管疾患の予防と治療のためのスタチン類の使用は多数の文献で証明されている。実際のところ、コレステロール値が高く心筋梗塞の危険性のある患者がスタチンとアスピリンの両方を服用することは珍しくない。しかしながら、スタチンとアスピリンを併用する場合には、これら薬剤の利点を最大に活用する一方で、物理的および化学的な不適合性を含む薬物の相互作用と副作用を最小にすべく手段を尽くすよう、特別の注意が必要である。
【0003】
生じ得る物理的な薬物相互作用としては、アスピリンは酸であり、他方、ある種のスタチン、例えばプラバスタチン、アトロバスタチンおよびセリバスタチンはアルカリ塩である。このため、このようなスタチン(アルカリ塩)とアスピリンを混合するとスタチンの分解の他にアスピリンの加水分解が起こり得る。プラバスタチンは酸に対して不安定な化合物である。プラバスタチンとアスピリンを組み合わせるとアスピリンはプラバスタチンの分解を引き起こしプラバスタチンの生物学的利用率を低下させてしまう。
【0004】
アスピリンは胃腸管の炎症を引き起こすことが知られていて、長期にわたって治療に用いると出血のおそれがある。従って、長期間のアスピリン療法はその副作用を抑える剤形、例えば、アスピリンの緩衝化製剤として与えられることが望ましい。
上記の観点からスタチンとアスピリンの両方が必要な患者には、望ましくない副作用やそのような組み合わせに関連して通常起こり得る薬物相互作用がなく、コレステロール低下と心筋梗塞の危険性軽減を提供するスタチン−アスピリン製剤に対して長期にわたる切実な要望がある。
【0005】
Ullahらの米国特許6,235,311号は、最初の層にアスピリン、二番目の層にスタチンを含む二層錠で、アスピリンとスタチンの相互作用を最小化した製剤を開示する。そのスタチンを含む層は一つ以上の緩衝剤を含み、望ましくないスタチン−アスピリン相互作用を抑制する。
W094/06416は、外側即放層と外側徐放層および中間の境界層を含む三層錠を開示する。ここでは、中間の境界層が緩衝剤を含み即放層および徐放層を分離している。その錠剤中に含まれてもよい薬物中には非ステロイド系抗炎症剤が含まれる。
Baileyの米国特許4,590,183号は、多層錠を開示する。ここにはアスピリンとチオ硫酸ナトリウムが含まれるがそれぞれ不活性な境界で分離されている。
【発明の開示】
【0006】
本発明に従うと、好ましくは錠剤であってプラバスタチンとアスピリンを含み、プラバスタチン:アスピリン間の相互作用を軽減若しくは阻止した医薬組成物が提供される。本発明の錠剤は好ましくはサンドイッチ構造を有し、アスピリンを含む一つの層、プラバスタチンを含む別の層、および一つ以上の中間の境界層またはその他の機能を有する層を含んでいて、これらがアスピリンとプラバスタチンの層を分離してこれらの層における有効成分の相互作用を最小にする;これらの層の一つ以上は任意で緩衝剤のような活性成分を含むことができ、アスピリンにより引き起こされる胃の炎症を軽減するのに役立つ。該錠剤は、任意で、中間の境界層で分離されたアスピリン層およびプラバスタチン層を有し、さらにプラバスタチン層、アスピリン層の外側、またはその両方の外側に追加の層を有していてもよい。これら追加的な層は美的な目的であってもよく、その他薬物物質の味の隠蔽、および/または追加の活性物質、例えば緩衝剤や、スタチン類としばしば併用されるナイアシンのような成分を輸送する目的でもよい。
【0007】
本発明の錠剤は患者利益を最大限提供し、コレステロール低下と心筋梗塞の危険性軽減を最大にする一方、物理的若しくは化学的不適合を最小化し(プラバスタチンとアスピリンの相互作用最小化を含む)これら薬物の使用に通常伴う副作用を軽減する。
加えて、本発明に従うと、血清コレステロール低下と動脈硬化の予防、阻止若しくは治療、および/または冠状動脈疾患と脳血管疾患を含む心血管の現象若しくは疾患の治療または危険性軽減のための方法が提供される。その場合、上記の通り、プラバスタチンとアスピリンを組み合わせた単回投与剤形の医薬組成物が治療を要する患者に投与される。
【0008】
本発明の医薬組成物はいくつかの異なる好ましい態様をとることができる。本発明の一つの態様によれば、三層のサンドイッチ構造として医薬組成物が提供され、これによるとプラバスタチンとアスピリンが共に一つの錠剤中に製剤化される。本発明の錠剤は好ましくは三層錠の形態で第一層、中央境界層の形態の第二層および第三層を含む。顆粒若しくは定義された大きさの結晶のアスピリンが後で述べる任意の賦形剤とともに第一層に含まれ、一方プラバスタチンは第三層に含まれる。中間の境界層は任意で、しかし好ましくは、一つ以上の緩衝剤(望ましくないスタチン/アスピリン相互作用を軽減し、阻止しまたは予防するために必要な)と、後で述べる任意の賦形剤を一つ以上含む。
【0009】
加えて本発明の三層錠は、後で述べる第一層および/または第三層を覆う、外側保護皮膜または最終層を含むことができる。
加えて本発明に従うと、上記の三層錠であって一つの外側層にアスピリン顆粒を含み、腸溶性皮膜を有して最大効果を発揮する一方、長期アスピリン療法による副作用を最小化する医薬組成物が提供される。
本発明の医薬組成物における別の態様では、腸溶性皮膜化されたアスピリン顆粒を第一層に、腸溶性皮膜化されたプラバスタチンを第三層にそれぞれ含む。
腸溶性皮膜化されたアスピリンおよびスタチン顆粒を含む錠剤はまた、その外側に保護皮膜または最終層を含むことができる。
【0010】
発明の詳細な説明
プラバスタチンおよびアスピリンの組み合わせを含む本発明の医薬組成物は、上昇したコレステロール値(例えば、高コレステロール血症における)、動脈硬化、冠状動脈現象および脳血管現象を含む心血管現象若しくは疾患、および冠状動脈疾患および/または脳血管疾患を予防し、軽減し、および/または治療するのに効果的である。
ここで使用される「心血管現象」および「心血管疾患」の語は、冠状動脈および/または脳血管現象および疾患をいい、原発性心筋梗塞、二次性心筋梗塞、心筋虚血、狭心症(不安定狭心症を含む)、うっ血性心不全、突然心臓死、脳梗塞、脳血栓、脳虚血、一過性虚血発作等が含まれる。
【0011】
ここで使用される「冠状動脈疾患」(CAD)の語は、冠状動脈の動脈硬化、陳旧性心筋梗塞、虚血、狭心症および/または心不全を包含する疾患をいう。
ここで使用される「脳血管症」の語は頭蓋内および/または頭蓋外動脈の動脈硬化、脳梗塞脳血栓、脳虚血、脳卒中、および/または一過性の脳虚血発作を包含する疾患をいう。
ここで使用される「プラバスタチン」の語は、プラバスタチン、プラバスタチンナトリウム、他のプラバスタチン塩、およびジヒドロキシ酸型およびラクトン型を含むすべての形態をいう。
【0012】
アスピリンは好ましくは、アセチルサリチル酸の形態で用いられ、またサリチル酸アセテート、若しくはその塩、エステルまたは錯体として引用される。
錠剤としての本発明の医薬組成物は、アスピリンを約10mgから約800mg、好ましくは約25mgから約650mg、最も好ましくは50mgから325mgを含む。
本発明の医薬組成物を構成するために用いられるアスピリンはその平均粒子サイズが約10ミクロンから約2mm、より好ましくは約50ミクロンから約1.0mmの範囲である。
【0013】
本発明の医薬組成物は、Physician's Desk Reference(PDR)の第56版で例示されるように通常使用する量のプラバスタチンを含む。かくしてプラバスタチンは一日約0.1mgから2000mgを一回または分割して、好ましくは一日約0.2mgから約200mg、最も好ましくは一日約10mgから160mgを一回または分割して使用される。
本発明の医薬組成物を三層錠として製造するには、アスピリンを含む第一層は任意に、しかし好ましくは、例えばラクトース、微結晶セルロース、木材セルロース、コーンスターチ、修飾コーンスターチ、リン酸カルシウム、砂糖、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、またはこれら二つ以上の混合物である増量剤を含む。該増量剤はアスピリンを含む第一層に対する重量で約1%から約90%、好ましくは約5%から85%の範囲で存在する。
【0014】
第一層はまた任意で、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナバ蝋、ステアリン酸、パルミチン酸または水素化野菜オイルおよび脂肪のような錠剤化滑沢剤を第一層に対する重量で約0.1%から約4%、好ましくは0.2%から2%の範囲で含んでもよい。該アスピリン層はまた任意で、例えばコーンスターチ、ポテトスターチ、プレゼラチン化デンプン、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、またはデンプングリコール酸ナトリウムのような崩壊剤を、第一層に対する重量で約0.5%から約20%、好ましくは約1%から約10%の範囲で含んでもよい。
【0015】
コレステロール低下剤プラバスタチンを含む三層錠の第三層は、例えばラクトース、微結晶セルロース、修飾コーンスターチ、リン酸カルシウム、その他の上記第一層で示した増量剤を第一層に対する重量で約1%から約90%、好ましくは約5%から85%の範囲で任意に含むことができる。加えて、該第三層は、例えばコーンスターチ、プレゼラチン化デンプン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース、酢酸セルロース等の結合剤を第三層に対する重量で約0.5%から約20%、好ましくは約1%から約10%の範囲で;例えばクロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、プレゼラチン化デンプン、コーンスターチ、またはデンプングリコール酸ナトリウムのような崩壊剤を、第三層に対する重量で約0.5%から約20%、好ましくは約1%から約15%の範囲で;さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、その他の上記第一層で示した錠剤化滑沢剤を第三層に対する重量で約0.1%から約4%、好ましくは0.2%から2%の範囲で、それぞれ任意に含むことができる。
【0016】
プラバスタチンを含む該第三層はまた任意で一つ以上の緩衝化剤を含んでもよい、これには、例えば、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウム炭酸ナトリウム、水酸化マグネシウム硫酸アルミニウム、または水酸化アルミニウム炭酸マグネシウム共乾燥ゲルのような慣用的な酸緩衝剤、またはその他、中間境界層における使用のために示された酸緩衝剤のいずれか、またはこれらひとつ以上の混合物であって、アスピリンが十分に緩衝化されて胃腸管において副作用が生じないようにするために必要な量が含まれている。緩衝剤の量は第一層に含まれるアスピリンの量に依るが、約10mgから約800mg、好ましくは70mgから300mgが含まれる。
【0017】
中間の境界層は任意で、第一層(アスピリン)または第三層(プラバスタチン)で使用するため上記で示した任意の増量剤、例えば微結晶セルロース、コーンスターチ、ラクトース等を、中間境界層に対する重量で0%から約90%、好ましくは約5%から約85%の範囲の量を含むことができる。また、第三層(プラバスタチン)に関して示した任意の崩壊剤を中間境界層に対する重量で約0.5%から約20%、好ましくは約1%から約15%の範囲の量で;さらに第一層または第三層に関して示した任意の錠剤化滑沢剤を中間境界層に対する重量で約0.1%から約4%、好ましくは約0.2%から約2%の範囲の量でそれぞれ含むことができる。
【0018】
中間の境界層は任意で、しかし好ましくは、アスピリンが引き起こす胃への刺激を十分に抑制しさらにアスピリンとプラバスタチンとの相互作用を最小化することのできる量の緩衝剤を含むことができる。こうして、第一層に含まれるアスピリンの量に依り、緩衝剤を約10mgから800mg、好ましくは約70mgから約300mgの範囲の量で含むことができる。
中間の境界層で好適に使用される緩衝剤の例としては、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、リン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウム炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化マグネシウム硫酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム共乾燥ゲル、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酸化アルミニウム、またはこれら二つ以上の混合物が含まれる。
【0019】
本発明の好ましい三層錠製剤を以下に示す。
I.プラバスタチン-アスピリンを含有する三層錠1錠〜3錠(中間の境界層がひとつ以上の緩衝剤を含む;全錠剤重量350-4000mg)
【0020】
【表1】

【0021】
II.プラバスタチン-アスピリンを含有する三層錠1錠〜3錠(中間の境界層が緩衝剤を含まない;全錠剤重量350-4000mg)
【表2】

【0022】
本発明の好ましい三層錠製剤を具体的に以下に示す。
I.プラバスタチン-アスピリンを含有する三層錠1錠〜3錠(中間の境界層がひとつ以上の緩衝剤を含む)
【表3】

【0023】
II.プラバスタチン-アスピリンを含有する三層錠(中間の境界層が緩衝剤を含まない)
【表4】

【0024】
本発明の三層錠を製造するに当たり、アスピリンを含む第一層、プラバスタチンを含む第三層および中間の境界層はそれぞれ慣用的な湿式造粒法、乾燥造粒法(圧縮)または乾燥混合技術により調製される。
第一層、中間層および第三層は圧縮され、慣用される三層錠剤化装置を用いて結合され三層錠が製造される。
これら三つの層のいずれにも任意に包含され得るその他の慣用的な成分としては保存剤、安定化剤、抗粘着剤、シリカ流動調節剤若しくは促進剤、Syloidブランドの二酸化ケイ素およびビタミンE,ビタミンC、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12等の抗酸化剤が含まれる。
【0025】
本発明の三層錠はまたその外部に保護皮膜層を含むことができ、これは該三層錠の重量に対して約15%まで包含され得る。該三層錠に適用された外部の保護皮膜層は任意の慣用的な皮膜剤を含むことが可能で、一つ以上の膜形成剤、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のような親水性ポリマー、エチルセルロースのような疎水性ポリマー、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール-無水マレイン酸コポリマー、アクリル酸コポリマー、β-ピネンコポリマー、樹木樹脂のグリセリルエステル等、および一つ以上の可塑剤、例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、プロピレングリコール、グリセリン、フタル酸ブチル、カストール油等が含まれる。
【0026】
膜形成剤は溶媒系から適用されこれには一つ以上の溶媒、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール若しくはイソプロピルアルコールのようなアルコール;アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン;例えば、塩化メチレン、ジクロロエタン、および1,1,1-トリクロロエタンのような塩素化炭化水素が包含される。
本発明の薬学的組成物の別の態様は、第一層に腸溶皮膜化されたアスピリン顆粒を含む三層錠よりなる。
【0027】
該アスピリン顆粒は、水系または非水系で慣用される腸溶性ポリマーを用いて皮膜化することができる。例えば、可塑剤として10-15% (w/w)のフタル酸ジエチルを含むオイドラギットL-30D-55(アクリル酸コポリマー-Rohm Pharma)(5-25%固体)が水系で用いられる。
【0028】
慣用されるその他の腸溶性ポリマーとしては、例えばオイドラギットRおよびSシリーズ樹脂(アクリル酸コポリマー-Rohm Pharma)、フタル酸酢酸セルロース、マレイン酸酢酸セルロース、コハク酸酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース等;およびクエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、トリアセチン、フタル酸ジブチル、セビク酸ジブチル、ミバセット(Myvacet)940、その他特に腸溶性ポリマーに好適として通常用いられる可塑剤を用いることができる。適切な可塑剤を含む任意のポリマーが、アスピリン顆粒若しくは粒子の腸溶性皮膜化のために水系または非水系で使用できることが十分理解できるであろう。
【0029】
本発明の薬学的組成物の別の態様においては、上記の腸溶性皮膜化アスピリン顆粒がさらに後述する最終保護膜若しくは層で皮膜化されていてもよい。
二重皮膜化されたアスピリン顆粒を上記のとおり錠剤化することもできる。
本発明の薬学的組成物のさらに別の態様においては、アスピリンを上記のように腸溶性皮膜化し、プラバスタチンも任意で腸溶性皮膜化することができる。プラバスタチンは純粋な薬物としてまたは球状化または集積の後に皮膜化することができる。皮膜化のための粒子は完全な球状である必要はない。棒状または不規則な粒子状であってもよい。
【0030】
本発明の方法を実施するに当たり、プラバスタチンとアスピリンを組み合わせた本発明の医薬組成物は哺乳類、例えば、サル、イヌ、ネコ、ラット、ヒト等に投与することができ、そして、すでに記述したように、三層錠として組み込むことができる。上記の投与量形態はまた必要な担体材料、賦形剤、滑沢剤、緩衝剤、抗菌剤、増量剤(例えば、マンニトール)、例えばビタミンC、ビタミンE、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、硫酸水素ナトリウム、等を包含することができる。
投与量は患者の年齢、体重、症状や、投与方法、投与形態、レジメンおよび望ましい結果に従って調整されなければならない。
【0031】
上記組成物は既に述べた投与形態で単回または一日一回から四回に分けて投与することができる。最初は低用量から開始して徐々に高用量へと移行することが薦められる。
種々の規格の錠剤を調製することができ、有効成分を上記範囲に含み、例えば最大で全量約1500mgのものまで可能である。これらの錠剤は、勿論、ある場合には分割量を投与するために割線を入れることができる。
【0032】
上記活性物質のあるものは一般に知られた薬学的に許容される塩、例えばアルカリ金属およびその他の塩基塩や酸付加塩を形成する。従って、塩基物質への言及は実質的に親化合物と等価であると知られているこれらの一般的な塩を含むことを意図している。
上記の製剤は、冠状動脈疾患および/または脳血管疾患を包含する心血管の現象および病気が残りまたは症候が続く限り長期にわたって投与されるであろう。そのような製剤の徐放性剤形であって、一日毎、2週間毎、週毎、月毎等の量を提供するものをまた使用することもできる。最小の恩恵を受けるためには、少なくとも10日間の投与期間が必要である。
【実施例】
【0033】
以下の実施例では本発明の好ましい態様を示す。
経口投与に適切な剤形は以下に示すように調製される。
実施例1
第一層におアスピリン81mg、外側の第二相にプラバスタチンナトリウム40mと緩衝中間層を含む三層錠が以下の通り製造できる。
【0034】
【表5】

【0035】
プラバスタチン顆粒の調製には湿式造粒工程が用いられ、プラバスタチンナトリウムとポビドンを精製水に溶解し、この溶液を用いてステアリン酸亜鉛以外の第一層成分混合物から造粒を行う。顆粒を乾燥し、篩にかけステアリン酸亜鉛と混合して表面を潤沢化する。
第二中間層の成分を適切なタンブル式混合機で一緒に混合し乾燥する。
ステアリン酸亜鉛を除くアスピリン層の成分を適切なタンブル式混合機で混合する。その後ステアリン酸亜鉛を該混合物に加え、撹拌を続けて潤沢化する。
三層錠製造用にデザインされた打錠機を用い、分離されたホッパーに各層の混合顆粒を入れて三層錠の製造を行う。該打錠機を操作することにより、アスピリン81mg、プラバスタチンナトリウム40mgおよびアルカリ土類緩衝剤を含む中間層を有する三層錠が得られる。
【0036】
実施例2
外側第一層にアスピリン325mg、第二層にプラバスタチンナトリウム40mg、および中間層に緩衝剤を含む三層錠が下記のようにして得られる。
【0037】
【表6】

【0038】
三層の成分を実施例1の場合と同様に加工し、多層錠製造用の打錠機に装填して打錠を行いアスピリン325mg、プラバスタチンナトリウム40mgおよびアルカリ土類緩衝剤を含む中間層を有する錠剤が得られる。
実施例3
外側第一層にアスピリン81mg、第二層にプラバスタチンナトリウム80mg、および中間層に緩衝剤を含む三層錠が下記のようにして得られる。
【0039】
【表7】

【0040】
プラバスタチン顆粒の調製には湿式造粒工程が用いられ、プラバスタチンナトリウムとポビドンを精製水に溶解し、この溶液を用いてステアリン酸亜鉛以外の第一層成分混合物から造粒を行う。顆粒を乾燥し、篩にかけステアリン酸亜鉛と混合して表面を潤沢化する。
第二中間層の成分を適切なタンブル式混合機で一緒に混合し乾燥する。
ステアリン酸亜鉛を除くアスピリン層の成分を適切なタンブル式混合機で混合する。その後ステアリン酸亜鉛を該混合物に加え、撹拌を続けて潤沢化する。
三層錠製造用にデザインされた打錠機を用い、分離されたホッパーに各層の混合顆粒を入れて三層錠の製造を行う。該打錠機を操作することにより、アスピリン81mg、プラバスタチンナトリウム80mgおよびアルカリ土類緩衝剤を含む中間層を有する三層錠が得られる。
【0041】
実施例4
外側第一層にアスピリン325mg、第二層にプラバスタチンナトリウム80mg、および中間層に緩衝剤を含む三層錠が下記のようにして得られる。
【0042】
【表8】

【0043】
三層の成分を実施例1の場合と同様に加工し、多層錠製造用の打錠機に装填して打錠を行いアスピリン325mg、プラバスタチンナトリウム80mgおよびアルカリ土類緩衝剤を含む中間層を有する錠剤が得られる。
実施例5
外側第一層にアスピリン81mg、第二層にプラバスタチンナトリウム40mg、および中間層にアルカリ土類緩衝剤を含む三層錠が下記のようにして得られる。
【0044】
【表9】

【0045】
三層の成分を実施例1の場合と同様に加工し、多層錠製造用の打錠機に装填して打錠を行いアスピリン81mg、プラバスタチンナトリウム80mgおよびアルカリ土類緩衝剤を含む中間層を有する錠剤が得られる。
実施例6
外側第一層にアスピリン81mg、第二層にプラバスタチンナトリウム40mg、および中間層にアルカリ土類緩衝剤を含む三層錠が下記のようにして得られる。
【0046】
【表10】

【0047】
プラバスタチン顆粒の調製には湿式造粒工程が用いられ、プラバスタチンナトリウムとポビドンを精製水に溶解し、この溶液を用いてステアリン酸亜鉛以外の第一層成分混合物から造粒を行う。顆粒を乾燥し、篩にかけステアリン酸亜鉛と混合して表面を潤沢化する。
第二中間層の成分を適切なタンブル式混合機で一緒に混合し乾燥する。
ステアリン酸亜鉛を除くアスピリン層の成分を適切なタンブル式混合機で混合する。その後ステアリン酸亜鉛を該混合物に加え、撹拌を続けて潤沢化する。
三層錠製造用にデザインされた打錠機を用い、分離されたホッパーに各層の混合顆粒を入れて三層錠の製造を行う。該打錠機を操作することにより、アスピリン81mg、プラバスタチンナトリウム40mgおよびアルカリ土類緩衝剤を含む中間層を有する三層錠が得られる。
【0048】
実施例7
外側第一層にアスピリン81mg、第二層にプラバスタチンナトリウム40mg、および中間層にアルカリ土類緩衝剤を含む三層錠が下記のようにして得られる。
【0049】
【表11】

【0050】
プラバスタチン層の調製には直接圧縮工程を用い、ステアリン酸亜鉛以外のプラバスタチンナトリウムおよびその他の第一層成分を均一になるまで適当な混合機で混合する。それから、この混合粉末にステアリン酸亜鉛を更に混合して潤沢化する。
第二中間層の成分を適切なタンブル式混合機で一緒に混合し乾燥する。
ステアリン酸亜鉛を除くアスピリン層の成分を適切なタンブル式混合機で混合する。その後ステアリン酸亜鉛を該混合物に加え、撹拌を続けて潤沢化する。
三層錠製造用にデザインされた打錠機を用い、分離されたホッパーに各層の混合顆粒を入れて三層錠の製造を行う。該打錠機を操作することにより、アスピリン81mg、プラバスタチンナトリウム40mgおよびアルカリ土類緩衝剤を含む中間層を有する三層錠が得られる。
【0051】
実施例8
外側第一層にアスピリン81mg、外側第二層にプラバスタチンナトリウム20mg(湿式造粒工程で調製)、および中間層にアルカリ土類緩衝剤を含む三層錠が下記のようにして得られる。
【0052】
【表12】

【0053】
プラバスタチン顆粒の調製には湿式造粒工程が用いられ、プラバスタチンナトリウムとポビドンを精製水に溶解し、この溶液を用いてステアリン酸亜鉛以外の第一層成分混合物から造粒を行う。顆粒を乾燥し、篩にかけステアリン酸亜鉛と混合して表面を潤沢化する。
第二中間層の成分を適切なタンブル式混合機で一緒に混合し乾燥する。
ステアリン酸亜鉛を除くアスピリン層の成分を適切なタンブル式混合機で混合する。その後ステアリン酸亜鉛を該混合物に加え、撹拌を続けて潤沢化する。
三層錠製造用にデザインされた打錠機を用い、分離されたホッパーに各層の混合顆粒を入れて三層錠の製造を行う。該打錠機を操作することにより、アスピリン81mg、プラバスタチンナトリウム20mgおよびアルカリ土類緩衝剤を含む中間層を有する三層錠が得られる。
【0054】
実施例9
外側第一層にアスピリン325mg、外側第二層にプラバスタチンナトリウム20mg(湿式造粒工程で調製)、および中間層にアルカリ土類緩衝剤を含む三層錠が下記のようにして得られる。
【0055】
【表13】

【0056】
プラバスタチン顆粒の調製には湿式造粒工程が用いられ、プラバスタチンナトリウムとポビドンを精製水に溶解し、この溶液を用いてステアリン酸亜鉛以外の第一層成分混合物から造粒を行う。顆粒を乾燥し、篩にかけステアリン酸亜鉛と混合して表面を潤沢化する。
第二中間層の成分を適切なタンブル式混合機で一緒に混合し乾燥する。
ステアリン酸亜鉛を除くアスピリン層の成分を適切なタンブル式混合機で混合する。その後ステアリン酸亜鉛を該混合物に加え、撹拌を続けて潤沢化する。
三層錠製造用にデザインされた打錠機を用い、分離されたホッパーに各層の混合顆粒を入れて三層錠の製造を行う。該打錠機を操作することにより、アスピリン81mg、プラバスタチンナトリウム20mgおよびアルカリ土類緩衝剤を含む中間層を有する三層錠が得られる。
【0057】
実施例10
外側第一層にアスピリン81mg、外側第二層にプラバスタチンナトリウム40mg、および非緩衝性中間層を含む三層錠が下記のようにして得られる。
【0058】
【表14】

【0059】
プラバスタチン顆粒の調製には湿式造粒工程が用いられ、プラバスタチンナトリウムとポビドンを精製水に溶解し、この溶液を用いてステアリン酸亜鉛以外の第一層成分混合物から造粒を行う。顆粒を乾燥し、篩にかけステアリン酸亜鉛と混合して表面を潤沢化する。
第二中間層の成分を適切なタンブル式混合機で一緒に混合し乾燥する。
ステアリン酸亜鉛を除くアスピリン層の成分を適切なタンブル式混合機で混合する。その後ステアリン酸亜鉛を該混合物に加え、撹拌を続けて潤沢化する。
三層錠製造用にデザインされた打錠機を用い、分離されたホッパーに各層の混合顆粒を入れて三層錠の製造を行う。該打錠機を操作することにより、アスピリン81mg、プラバスタチンナトリウム40mgおよび非緩衝性の中間層を有する三層錠が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラバスタチンおよびアスピリンの相互作用を抑制するために、プラバスタチンおよびアスピリンを併せてサンドイッチ構造で製剤化し、アスピリンを第一層、プラバスタチンをその他の層に含み、アスピリンを含む第一層とプラバスタチンを含む他の層を分離すべく第二層若しくは中間の境界層を存在させた、プラバスタチンおよびアスピリンを含んでなる医薬組成物。
【請求項2】
当該サンドイッチ構造が錠剤の形態である、請求項1の医薬組成物。
【請求項3】
20mg、40mg、または80mgのプラバスタチンを含む、請求項1の医薬組成物。
【請求項4】
81mg、または325mgのアスピリンを含む、請求項1の医薬組成物。
【請求項5】
当該中間境界層が一つまたはそれより多い緩衝剤を含む、請求項1の医薬組成物。
【請求項6】
第一層がアスピリン顆粒、一つ以上の増量剤、およびいずれも任意で、一つ以上の滑沢剤およびその他の賦形剤を含む、請求項1の医薬組成物。
【請求項7】
その他の層が、プラバスタチン、一つ以上の増量剤、およびいずれも任意で、ひとつ以上の結合剤、一つ以上の緩衝剤、一つ以上の滑沢剤およびその他の賦形剤を含む、請求項1の医薬組成物。
【請求項8】
当該中間の境界層が、一つ以上の増量剤、およびいずれも任意で、一つ以上の緩衝剤およびその他の賦形剤を含む、請求項1の医薬組成物。
【請求項9】
該緩衝剤が、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、リン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウム炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化マグネシウム硫酸アルミニウム、または水酸化アルミニウム炭酸マグネシウム共乾燥ゲル、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酸化アルミニウム、またはこれらの二つ以上の混合物である、請求項6の医薬組成物。
【請求項10】
中間の境界層がトリバッファーアルカリ顆粒および任意の錠剤化滑沢剤を含んでなる、請求項8の医薬組成物。
【請求項11】
当該トリバッファーアルカリ顆粒が炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸一塩基性ナトリウム、増量剤、および任意のクエン酸を含んでなる、請求項10の医薬組成物。
【請求項12】
当該第一層がアスピリン、一つ以上の増量剤、およびいずれも任意で、一つ以上の滑沢剤およびその他の賦形剤を含み;当該中間の境界層が、一つ以上の増量剤、およびいずれも任意で、一つ以上の緩衝剤、滑沢剤およびその他の賦形剤を含み;その他の層が、プラバスタチン、一つ以上の増量剤、およびいずれも任意で、一つ以上の緩衝剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤およびその他の賦形剤を含む、請求項1の医薬組成物。
【請求項13】
該錠剤を囲む最終層または外部保護膜を更に含む、請求項2の医薬組成物。
【請求項14】
アスピリンが腸溶性被膜化顆粒の形態である、請求項1の医薬組成物。
【請求項15】
外側の層にプラバスタチン、別の外側の層にアスピリンをそれぞれ含み、中間の境界層に一つ以上の緩衝剤を含む三層錠を含んでなる、請求項1の医薬組成物。
【請求項16】
三層錠を含んでなる、請求項1の医薬組成物。
【請求項17】
下記に示された、請求項16の医薬組成物。
【表1】

【請求項18】
下記に示された、請求項16の医薬組成物。
【表2】

【請求項19】
下記の組成を有する三層錠の形態である、請求項1の医薬組成物。
【表3】

【請求項20】
下記の組成を有する三層錠の形態である、請求項1の医薬組成物。
【表4】

【請求項21】
下記の組成を有する三層錠の形態である、請求項1の医薬組成物。
【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

または
【表13】

【表14】

【請求項22】
アスピリンが腸溶性被膜化顆粒のアスピリンおよび/またはスタチンが腸溶性被膜化顆粒のスタチンである請求項2の医薬組成物。
【請求項23】
血清コレステロール値を低下させ;または動脈硬化を治療し、阻止し、若しくは予防し;または心血管現象若しくは症状、冠動脈疾患、脳血管疾患を治療し、若しくはその危険性を低下させる方法であって、必要な患者に請求項1の医薬組成物を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2006−511520(P2006−511520A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−559355(P2004−559355)
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/038774
【国際公開番号】WO2004/052289
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】