説明

プランクトン分布調査船

【課題】広域な水域で多数のサンプルを同時に集めることができて、プランクトン分布を調査するための有効なシステムを提供すること。
【解決手段】調査水域に航行する既存の商業用の定期船(フェリーや観光船など)を利用し、これらの船舶に比較的装着が容易な採水装置を利用する。この採水装置は、水質データや位置情報をサンプルの採水時に取得し、分析センターへ送信する。分析センターではこれらのデータを多数集め、地図上にマップし表示する。この方法によれば、調査のために専用の観測船などをチャータしなくともプランクトンの分布を調べることが可能になる。特に、内海においては、定期船の航路が密なため、上記のシステムは非常に有効である。また、定期船を利用することで、GPSからの位置情報やレーダによる船舶の航路管理システムからの位置情報が利用でき、サンプルを取得した場所の位置情報を容易に取得できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランクトン分布調査船に関する。さらに詳しくは、プランクトン分布調査のために定期船を利用したシステム、調査方法、制御プログラム、および、採水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有害プランクトン(赤潮プランクトンやプラント汚損生物幼生など)の大量発生により、発電所の取水路を塞ぐことによって引き起こされる発電所障害や養殖業への被害が多数発生している。このような有害プランクトンによる被害を最小にするためには、プランクトンの発生メカニズムを解析する必要があり、プランクトンの生態、分布時期、分布地域などを広域にわたって調査する必要がある。しかし現状では、海域に生息するプランクトンの分布調査を実施する場合、調査船により調査海域に行き、調査範囲内の海水をプランクトンネットなどで採取、ろ過し、採集されたプランクトンを船上または陸上の実験室に持ち帰って目視または顕微鏡観察などで一個体ずつ種類別にカウントしていた。
【0003】
図10は、一般的によく使用されるプランクトンネット50の外観を示した図である。すなわち、このプランクトンネット50本体を、ロープ51で結び調査水域で一定の水深まで沈めたあとで水面まで鉛直に引き上げる。回収したネットを、海水などでよく洗い、プランクトンネット50の下部のピンチコック52を回して、採取したプランクトンを採取容器に回収する。次に、採取したプランクトンについて顕微鏡観察や抗体検査などで種類を判別し、一定水量に対する個体数をカウントする。以上のような採集を調査水域にわたって毎回行い、プランクトンの分布数を調べることになる。また、赤潮などの海水表面上に分布し、上空から識別可能な種類については、衛星や航空機による対象水域の撮影、いわゆるリモートセンシングによる調査も行われている。
【0004】
一方、有害プランクトンなどによる被害を減少させるため、水圏浄化を目的としたシステムも存在する。例えば、特許文献1には、湖沼、海水などの中の植物性プランクトンを含む懸濁物質を連続的に自動観察し、効率的に水圏を浄化する水圏浄化システムが開示されている。
【特許文献1】特開平5−172728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のようなプランクトンネットによる採集方法では、ある調査水域にわたって分布を調べるためにはサンプルを多数回に亘って採取する必要があり、そのための多数の作業員が必要でありそのコストも多大となる。また、サンプル採取のためには調査船のチャータが必要であるが、使用する調査船の数が限られるため、異なる海域の同時期のサンプルが得られにくいといった問題があった。
【0006】
また、特許文献1のような水圏観察、監視や浄化システムでは、大がかりな装置が必要であり、採取場所も限られるために、ある程度広域に亘って行う必要のあるプランクトンの分布調査には適さない。更に、リモートセンシングのような方法は、水域表面に生息するプランクトンに限られ、しかも大量に発生してからでないと検知できないという問題があり、早期の発見には有効ではない。
【0007】
そこで本発明は、上記課題を解決することを目的とし、比較的簡単な採取装置を用いて調査船をチャータすることなく、広域な水域で多数のサンプルを同時に集めることができて、プランクトン分布を調査するための有効なシステム、装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、以下のシステム、方法、装置などを用いた解決手段を提供する。
【0009】
本発明の第一の形態によれば、
(1)プランクトンの分布調査のためのシステムであって、
調査対象水域を航行する定期船に装着可能な採水装置と、
前記採水装置が取得する採水サンプルを分析する分析センタ内に設けられたサーバと、
前記サーバと通信する採水データ送信装置とで構成され、
前記採水装置は、採水サンプルを取り込む少なくとも一つの採水サンプル取得手段と、前記採水サンプルを前記定期船の内部または上部に吸引する吸引手段と、前記定期船の位置情報を取得する手段と、を備え、
前記採水サンプル取得手段は、少なくとも一つの取水口と、前記取水口の水深位置を調整可能とする水深位置調整部と、あらかじめ設定された開閉タイミングで前記取水口を開閉させる取水口開閉部と、前記取水口開閉部が前記取水口を開口させることによって開始する採水時に前記採水サンプルの水質データを検出する少なくとも一つの水質検出部と、を含み、
前記採水データ送信装置は、前記水質検出部によって得られた前記水質データと前記位置情報とを前記採水サンプルに関連する情報であるサンプル関連情報に含め、前記採水サンプルのIDと共に前記サーバに送信する手段を備え、
前記サーバは、前記採水データ送信装置から受信した複数の前記サンプル関連情報を集積するデータベースと、前記採水サンプルを分析することによって得られるプランクトン密度と前記IDを関連づけて入力する入力手段と、前記プランクトン密度と前記水質データとプランクトン分布情報として地図上にマップして出力する分布出力手段と、を備えることを特徴とするシステムを提供する。
【0010】
(1)の発明によれば、対象水域を航行する定期船に採水装置(例えば、図1の採水取得装置10と船舶上のそれに関連する装置を指す)を装着し、この採水装置は、分析センタと通信する採水データ送信装置(例えば、図4の採水データ制御装置23)を有する。
【0011】
この採水装置は、少なくとも一つの採水サンプル取得手段(例えば、図1のような採水取得装置10)と、前記採水サンプルを前記定期船の内部または上部に吸引する吸引手段(例えば、図4の吸引ポンプ22)と、定期船の位置情報を取得する手段とを備えている。採水サンプル取得手段は、取水口の水深位置を調整可能とする水深位置調整部(例えば、図4のウインチ21)と、あらかじめ設定された開閉タイミングで取水口を開閉させる取水口開閉部(例えば、図2の取水口ハッチ18と取水口ハッチ駆動部8)と、取水口開閉部が前記取水口を開口させることによって発生する採水時に水質データを検出する水質検出部(例えば図2の制御部9)とを含んでいる。また、採水データ送信装置は、水質検出部によって得られた水質データと、その採取した時点の定期船の位置情報とをサンプル関連情報として、採水サンプルのIDと共にサーバに送信する。
【0012】
採水サンプルは、分析センタの実験室で分析される。分析センタのサーバは、受信した複数のサンプル関連情報を集積するデータベースを有し、実験室での分析結果であるプランクトン密度と採水サンプルのIDとを対応付け、プランクトン分布情報としてデータベースに保存し、地図上にマップして表示する。
【0013】
(1)の発明によれば、定期船に採水装置を装着してもらうことで、プランクトン調査のために観測船をチャータすることなく、広域調査が行える。また、採水装置には、採取した位置情報や、その時の水質データも採水サンプルと対応づけて得られるので、地図上にプランクトン分布とその時の水質データをマップし、表示することが容易となる。
【0014】
更に、(2)前記サンプル関連情報は、前記採水時における、水温、PH、及び、塩分濃度のうち少なくとも一つを含む。
【0015】
(2)の発明によれば、上記採水装置は、サンプル時の水質データを得るため様々なセンサを搭載し、これらの採水時の水質データを得ることができる。
【0016】
更に、(3)前記定期船の位置情報を取得する手段は、前記定期船に設けられたGPS(Global Positioning System)受信手段であることができる。
【0017】
(3)の発明によれば、定期船がGPS受信装置を装備している場合はその有効利用が可能である。
【0018】
更に、(4)前記定期船の位置情報を取得する手段は、前記採水時の位置情報を、前記定期船の航路と、前記定期船が出港した時から前記採水時までの時間と、前記定期船の速度履歴情報とに基づいて計算する位置情報算出部を有する、(1)に記載のシステムを提供する。
【0019】
(4)の発明によれば、定期船が特にGPS受信装置などを装備していなくとも位置情報を航路と速度から計算することが可能である。
【0020】
更に、(5)前記採水サンプル取得手段は、前記取水口開閉部のあらかじめ設定された開閉タイミングを、前記GPS受信手段によって得られた位置情報に基づいて算出する、(3)に記載のシステム、または、
(6)前記採水サンプル取得手段は、前記取水口開閉部のあらかじめ設定されたタイミングを、前記位置情報算出部によって計算された位置情報に基づいて算出する、(4)に記載のシステム、を提供する。
【0021】
(5)、(6)の発明によれば、採水のタイミングを位置情報と連動させることによって、採水場所の特定を容易にすることができる。また、採水サンプルの取得は、航行中のある一地点だけでなく、航路に沿って連続的に行われることを可能とする。
【0022】
以上、(1)〜(6)の発明によれば、調査水域に航行する既存の商業用の定期船(フェリーや観光船など)を利用し、これらの船舶にも比較的装着が容易な採水装置を利用する。このことにより、調査のために専用の観測船などをチャータしなくともプランクトンの分布を調べることが可能になる。特に、瀬戸内海のような内海においては、定期船の航路が密なため、上記のシステムが非常に有効である。
【0023】
また、プランクトンの分布地域を調査するには、サンプルを取得した場所の位置情報の取得が不可欠であるが、(3)の発明によれば、定期船を利用することでGPS衛星からのGPS位置情報や、レーダによる船舶の航路管理システムからの位置情報が利用できる。あるいは、たとえ、GPSやレーダによる位置情報が得られない場合でも、(4)の発明によって、定期船の出航時刻、走行速度、および航路から採水サンプルを取得した位置を算出することができる。更に(5)、(6)の発明によりGPS受信手段を備えているかどうかにかかわらず、採水時の位置情報を採水時のデータに含ませることができる。
【0024】
本発明の第二の形態によれば、
(7)プランクトンの分布調査のための調査対象水域を航行する定期船に搭載可能な採水装置であって、
採水サンプルを取り込む取水口の水深位置を調整可能な少なくとも一つの採水サンプル取得手段と、
前記採水サンプル取得手段は、あらかじめ設定された開閉タイミングで前記取水口を開閉させる取水口開閉部と、前記取水口開閉部が前記取水口を開口することによって発生する採水時に前記採水サンプルの水質データを検出する少なくとも一つの水質検出部と、を含み、
前記採水サンプル取得手段に取り込んだ採水サンプルを前記定期船の内部または上部に吸引する吸引手段と、
前記採水時の前期定期船の位置情報を取得する手段と、
前記位置情報と前記水質検出部によって得られた前記水質データを前記採水サンプルに関連する情報であるサンプル関連情報に含め、サンプル関連情報を前記採水サンプルのIDと共に送信する採水データ送信手段と、
を備えることを特徴とする採水装置を提供する。
【0025】
(7)の発明によれば、上記(1)〜(6)のシステムに利用される改良された採水サンプル取得装置を提供する。この装置は、上記(1)、(2)に記載の採水サンプル取得手段に、採水サンプルの関連情報を分析センタなどへ直接送信する機能を含ませた。但し、送信用のアンテナは定期船上に設置される。このことにより、定期船上の送信装置(例えば図4の採水データ制御装置23)を別途設置する必要がなくなる。分析センタでは、この採水サンプル取得装置から、水質データと位置情報などを直接受信することができる。
【0026】
本発明の第三の形態によれば、
(8)プランクトンの分布調査の方法であって、
調査対象水域を航行する定期船に装着可能な採水装置から得られた採水サンプルに関連するサンプル関連情報を前記採水サンプルのIDと共に分析センタ内のサーバに送信する採水データ送信ステップと、
前記採水装置の採水時の位置情報を、前記定期船に設けられたGPS受信手段、または、前記定期船の航路と出港時から前記採水時までの前記定期船の速度履歴情報に基づいて計算することによって求めるステップと、
前記分析センタ内に設けられたサーバにおいて、前記採水装置から受信した複数の前記サンプル関連情報を集積するステップと、
前記採水サンプルを分析することによって得られるプランクトン密度と前記IDとを関連づけて入力する入力ステップと、
前記プランクトン密度と前記サンプル関連情報とをプランクトン分布情報として地図上にマップして出力するステップと、
を含むことを特徴とする方法を提供する。
【0027】
(8)の発明によれば、各ステップを行う主体は特定せずに、上記の(1)〜(6)と同様の効果が得られる。
【0028】
本発明の第四の形態によれば、
(9)プランクトンの分布調査のために利用されるコンピュータ・プログラムであって、
コンピュータに、
調査対象水域を航行する定期船に装着可能な採水装置から得られた採水サンプルに関連するサンプル関連情報を前記採水サンプルのIDと共に分析センタ内のサーバに送信する採水データ送信ステップと、
前記採水装置の採水時の位置情報を、前記定期船に設けられたGPS受信手段、または、前記定期船の航路と出港時から前記採水時までの前記定期船の速度履歴情報に基づいて計算をすることによって求めるステップと、
前記分析センタ内に設けられたサーバにおいて、前記採水装置から受信した複数の前記サンプル関連情報を集積するステップと、
前記採水サンプルを分析することによって得られるプランクトン密度と前記IDを関連づけて入力する入力ステップと、
前記プランクトン密度と前記水質データとプランクトン分布情報として地図上にマップして出力するステップと、
を実行させることを特徴とするコンピュータ・プログラムを提供する。
【0029】
(9)の発明によっても、上記の(1)〜(6)と同様の効果が得られる。ここでコンピュータ・プログラムとは、パソコンや汎用コンピュータだけでなく、組込型のマイクロプロセッサーを備えた上記(7)のような装置、および、これらの組み合わせによるコンピュータ・システムに使用され得るプログラムをも意味する。
【発明の効果】
【0030】
本発明による効果をまとめると、プランクトン分布調査を実施する際に調査船をチャータする必要がなくなる。特に瀬戸内海などの内海では、定期船の各航路の距離的密度が高いため、ほぼ任意の地点で、および、ほぼ任意の時間でプランクトンの分布調査が可能となる。また、このようにして得られた分布調査結果を多数集めることにより、有害プランクトン分布マップを作成し、定期的に更新することができ、被害予想地域へ公開することにより、対策法や回避手段の構築に役立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施形態の一つについて図を参照しながら説明する。
【0032】
図1は、調査水域のサンプルを採水するために、定期船に搭載された採水取得装置10の外観を示した図である。採水取得装置10は、船舶上から複数の牽引ワイヤ5で吊り下げられ水中に没して任意の水深の位置でサンプル取得を可能にするものである。採水は定期船が停止中に行ってもよいが、航行中に主に採取できるような構造を本装置は有している。図1に示した採水取得装置10は、円筒型の形状を有しているが、他の形状であってもよい。ただし、水中で安定し水の抵抗を減少させるためには、流線型で、かつ、安定翼6、または追加の錘のような安定化手段を備えていることが好ましい。
【0033】
この採水取得装置10は、先端部に取水口ネット3を装備した開口部を有し、この開口部から海水を流入させる。取水口ネット3は、海水中の汚濁物質(ゴミ)が装置内部に浸入することを防止するために設けられるが、清掃のために着脱可能であることが望ましい。ネットの網目は水域の汚染度によって、目の粗いもの、あるいは、目の細かいものを使い分ける。また、採水取得装置10には、採取した採水サンプルを船舶上に引き上げるための吸引チューブ4が接続される。本実施例の採水取得装置10は、船舶で牽引され使用されることを前提としているため、船舶の推進力によって海水を装置内部のタンクに自然流入させる。そのため、吸引ポンプは装置内部には備えず、取得した採水サンプルを引き上げる場合は、船上の吸引ポンプを利用することとした。吸引チューブ4には、採水サンプルの水路となるチューブの他、採水取得装置10と船舶上の装置とを交信させるための信号線(図示せず)が含まれる。
【0034】
図2、図3は、採水取得装置10の断面の概略を示したものである。採水取得装置10の内部には、取水口ハッチ18と、これを開閉させる取水口ハッチ駆動部8、排水口ハッチ16と、これを駆動する排水口ハッチ駆動部14、目的とするプランクトンを選別して、ろ過するための前面フィルタ11と後面フィルタ15、採水サンプルを本装置内部に一時的に保管する採水タンク13、吸引チューブ4と採水タンク13を接続する吸引チューブハッチ17と、これを駆動する吸引チューブハッチ駆動部12、および、各部を制御する制御部9が含まれる。なお、制御部9には、特に図示していないが、採水タンク13に取り込まれた海水の水質(水温、PH、塩分濃度、あるいは溶存酸素量など)を検知する各種の水質センサが少なくとも一つ搭載されている。
【0035】
図2で示すように、取水口ネット3を通過して流入した海水は、採水を開始するまでは本装置前面側部に複数設けられた排水側口7にそのまま流出される。本装置が採水を開始すると、図3で示すように、取水口ハッチ18、および排水口ハッチ16がそれぞれ前後に移動し、海水が内部の採水タンク13に取り込まれる。採水を終了させるには、前後のハッチを元の位置に戻せばよい。取水口ネット3によって除去できなかった海水中の汚濁物質などは採水タンク13に入る前に、前面フィルタ11によって、遮断される。採水タンク13に取り込まれた海水は、後面フィルタ15によってろ過される。前面フィルタ11、および後面フィルタ15は、採取すべきプランクトンの大きさに応じて最適なものが装着される。すなわち、例えば、採取対象のプランクトンが0.2mm〜0.3mmの大きさの場合は、前面フィルタ11の網目は0.5〜1mm、後面フィルタ15の網目は0.1mm程度のものを用いる。前面フィルタ11、および後面フィルタ15は、最適な組み合わせのものを船舶が出港する前に予め装着しておくことでよいが、フィルタ交換装置(図示せず)を採水取得装置10内部に備えることができれば更によい。
【0036】
制御部9は、取水口ハッチ18および排水口ハッチ16を開閉させるタイミングを主に制御する。例えば、採水取得装置10を牽引する船舶に備えられたGPS受信装置やレーダによる航路監視システムから位置情報を得て、船舶の現在位置があらかじめ定められた位置に達した時に船舶上からなんらかの手段で指令信号を発し、制御部9がこれを受け、取水口ハッチ18を開口させる。また、位置情報が船舶から直接得られない場合には、定期船の航路や速度が予めほぼ一定であることを利用して、現在時刻と速度情報(予定速度曲線または実際の速度曲線)から現在のおおよその航路上の位置を計算することによって求めることが可能である。そのため、船舶からの指令を受けずとも装置内部のタイマによってあらかじめ定められた時刻に自動的に取水口ハッチ18や排水口ハッチ16を開閉させるようにしてもよい。
【0037】
また、水域や季節によってプランクトン密度が低いと予想される場合には、制御部9は、事前の設定または定期船内からの指令により、取水口ハッチ18と排水口ハッチ16を、一定時間の間、それぞれ開口させたままにしておき、採水タンク13内に採取すべきプランクトンが検出可能な個体数が溜まる程度まで採水サンプル中のプランクトン密度を濃縮させることを可能とする。更に、制御部9は、船舶の他の航行装置と連動し、船舶の速度によって取水口ハッチ18および排水口ハッチ16の開口量をそれぞれ別々に調節し、一定時間内に過剰の海水が採水タンク13に流入することによって、前面フィルタや後面フィルタが目詰まりしたり、破損したりしないように制御することもできる。
【0038】
なお、特に図示していないが、吸引チューブ4をとおして採水サンプルが船舶上に吸引される際に、採水タンク13内部が減圧されて吸引の障害にならないように、水路とは別に空気取り入れ用チューブなどを吸引チューブ内部に備えておく。また、採水を行わない場合でも、取水口ハッチ18、排水口ハッチ16を共に開けておき、採水タンク13内部に空気を溜めないようにして、不要な浮力や水の抵抗が採水取得装置10に生じないようにする制御を行ってもよい。
【0039】
前述したように、制御部9は、水温、PH(電気伝導度から求める)、塩分濃度、(場合によっては、水深測定器と連動させることも可能)などを検出可能なセンサ類を備え、取水口ハッチ18が開口した際、すなわち採水時の水質データを測定する。これらのセンサには、XBT(eXpendable Bathy Thermograph)や、CTD(Conductivity, Temperature and Depth)で用いられる公知の技術を利用してよい。また、これらの水質データは、採取した採水サンプル毎にそれぞれ対応するように船舶上に送信され、後の採水サンプルの分析に利用される。
【0040】
図4は、本発明に係るプランクトン分布調査システムの全体の概略を示した図である。すなわち、調査水域を航行する定期船30に前述した採水取得装置10やその関連する装置を搭載してもらう。ここで使用する定期船30は、フェリーや観光遊覧船が望ましいが、場合によっては、タンカーや漁船などであってもよい。そのため、一般的には、採水取得装置10は、船舶に対する搭載負担を軽減するため、できるだけ小型にすることが望ましい。あるいはまた、観光遊覧船などに搭載する場合を考えて、その外側カバーのデザインを工夫し、例えば、潜水艦、ロケット、魚雷、イルカやクジラなどのような人目をひく形状にして、観光的効果も有するようにすると更によい。このような工夫によって、この装置の搭載に協力してもらえる船舶の数を増やすことが期待できるからである。
【0041】
定期船30は、図4に示すように、ウインチ21あるいは小型のクレーンによって、採水取得装置10を一定の水深位置まで沈め、これを牽引することによって航路に沿った水域のサンプルを取得する。本図では簡略化のため、採水取得装置10を一台のみ搭載した場合を示しているが、特に大型船の場合には、採水取得装置10を複数鉛直方向に搭載し、異なる深度ごとに異なったサンプルを集めることが可能である。
【0042】
採水取得装置10によって採取された採水サンプルは、任意のタイミングで吸引ポンプ22によって吸引され、採水サンプル分離装置31によって、採水毎の別々の採水サンプル容器(図示せず)に一時的に保管される。採取された採水サンプル容器は、船舶が港に到着した際に、分析センタ20へ送付される。分析センタ20には、分析実験室27を備え、送付された採水サンプルを顕微鏡観察や抗体検査することによってプランクトンの種類や密度が分析される。分析結果データは、分析センタ20内に設けられたサーバ26のデータベースに集積される。また、採水取得装置10から得られた採水時の水質データや位置情報は、採水データ制御装置23を介して分析センタへ送信される。ここで、GPS衛星25から受信した位置情報を、採水データ制御装置23は、採水取得装置10に、適時送信しているものとする。
【0043】
なお、分析センタ20の分析実験室27の一部、あるいは全部を、契約した大型定期船の内部に構築して、採取したサンプルが時間経過によって変化することをできるだけ防止するようにしてもよい。この場合は、分析センタ20に採水サンプルをトラック便などで毎回送付する必要がなく、分析センタ20は、定期船30内の実験室から分析結果データのみを受信すればよい。
【0044】
図5は、図4のシステムにより得られた採水サンプルに関連する情報であるサンプル関連情報を表形式で表したものである。例えばこの表では、サンプル関連情報として、サンプルを取得した採取日時、採取船の名称、採取場所、GPS受信装置などによって得られた採取した場所の位置情報、採水サンプルを採取した際の水温、PHなどの水質データなどが採水サンプルごとに付けられたIDと対応するように記録される。このサンプル関連情報は、採水取得装置10が得た採水時の水質データにGPS受信手段などから得た位置情報を加え、採水サンプルを船舶上で封印後、その採水サンプルのIDを付加してもよい。これらの情報が付加されたサンプル関連情報は、船舶上の、例えば図4の採水データ制御装置23によって、分析センタ20内に設けられたサーバ26へ送信される。
【0045】
図6は、船舶上で、採水取得装置10から吸引ポンプ22によって吸引した採水サンプルをそれぞれ別々に採水サンプル容器29a〜29cに採水サンプルとして注入する採水サンプル分離装置31と、採水取得装置10から直接得た採水データを紐付けるIDを付加する手段を示したものである。
【0046】
採水サンプル分離装置31は、任意のタイミングで操作員の操作に応じて吸引ポンプ22を動作させ、採水サンプル容器29a〜29cに採水サンプルを注入する。この注入の際に、採水データ制御装置23は、採水取得装置10の記憶部から、水温、PHなどの、「採水時の」採水データを取得する。また、位置情報記憶部34は、採水取得装置10が採水を行った時、すなわち、排水口ハッチ16が閉じた状態で取水口ハッチ18が開いた時(採水開始)、および、取水口ハッチ18が開いた状態で排水口ハッチ16が閉じた時(採水終了)の時刻とともに船舶の位置情報を記憶している。位置情報記憶部34は、採水データ制御装置23に含まれてもよい。船舶の位置情報は、既に述べたように、船舶に搭載されたGPS受信装置やレーダなどによる航路監視システムなどから得てもよいし、あるいは、出港時刻と、航行速度履歴(実際のまたは予定の)と、現在時刻とから計算してもよい。この計算は、採水取得装置10の制御部9で行ってもよいが、採水データ制御装置23で行ってもよい。このようにして得られた採水時の位置情報は、前述のサンプル関連情報に付加され、採水サンプルのIDと共に採水データnとして、分析センタ20のサーバ26に送信される。このときのIDは、例えばバーコードラベル簡易印刷機などを用いて、採水サンプル容器に添付されるようにすることが望ましい。あるいは、サンプル容器に容器IDを埋め込んでおき上記のサンプル関連情報のIDに対応させるようにしてもよい。
【0047】
図7は、分析センタ20内における処理の流れを示したものである。図4における分析センタ20内のサーバ26(ここでは特に図示していない)は、採水データ受信部42の他に、採水データ43、分析結果データ45、地図データ48、マッピングデータ49、などを格納した一つまたは複数のデータベースを備える。更にサーバ26、または、他のネットワークに接続されたコンピュータに、マッピング処理部46、マッピング表示部47を備える。
【0048】
分析センタ20内の採水サンプル受入部41は、トラック輸送などによって運ばれた多数の採水サンプル容器29に封印された採水サンプルを受領して、採水サンプル42a、42b、42cなどとして一時的にストックする。それぞれの採水サンプル容器29には、採水場所や時刻を示すIDが添付されているので中に入った採水サンプルも同じIDで識別される。次に、分析実験室44(図4の分析実験室27と同じ)において、これらの採水サンプルについて、顕微鏡観察や抗体検査によって、プランクトンの種類、一定水量ごとの個体数をカウントし、プランクトン分布やその他の生体メカニズムを分析する。この時までに、採水サンプルの採水時の水質データは、既に採水データ受信部42によって、採取を行った定期船30の採水データ制御装置23から送信されデータベースとして採水データ43に保管されている。分析実験室44においては、この採水データ43に保管された採水データのIDと採水サンプルに付随したIDとを比較し、採水時の水質データや採水場所が容易に特定され、更に詳細なデータ分析を行うことが可能となる。
【0049】
ここで、分析実験室44における顕微鏡観察や抗体検査については、公知の技術を用いてよい。例えば、特開2004−12467に開示されているフジツボ類付着幼生の判別方法、特開2003−225086に開示されている赤潮プランクトンに特異的に感染して増殖・溶藻しうる小型ウィルスを利用する方法、特開平10−57055に開示されているアオコ原因微生物のミクロキスティス属をモノナール抗体で識別する方法、などが利用可能性がある。また、分析自体を一部自動化する公知の技術(例えば、特開平5−172728に開示されている蛍光画像の撮像装置15や観察装置10など)を用いてもよい。
【0050】
分析実験室44において分析され、得られた分析データは、データベースとして、分析結果データ45に集積される。地図データ48は、主に調査対象となるような水域、および、その周辺陸地と主な施設名とを含んだ地図データベースである。マッピング処理部46は、サーバ26またはこれと接続するコンピュータ・システムに含まれ、分析結果データ45に含まれる採取場所の位置データを地図データ48上の地理的位置に対応づける(マッピング)。得られた地図上にマッピングされたデータは、マッピングデータ49に格納する。格納されたマッピングデータ49は、マッピング表示部47によって、いつでも適切な形式で表示可能とする。この表示には、水温やPHなど採取時の水質データも必要に応じて同時に表示可能とするとよい。また、このデータは、HTMLやXML形式でインターネットを介して公開可能としておくと有用である。
【0051】
図8は、内海とその周辺地域、および、定期船の航路(図中の破線で示す)を模式的に表したものである。本発明におけるプランクトン分布調査のためのサンプル採取方法は、定期船30に装着した図1の採水取得装置10のような装置を用いて行われる。このような方法は、定期船の往来が密な地域では特に有効である。定期船は、通常は一定の航路上を航行するが、時には、天候や季節などによっては異なる航路をとることがある。また、すれ違う船とのニアミスを避けるため航路の幅を多少変更することもある。このため、定期船の航路は一定の細い線ではなく、ある程度の幅を持つので、内海では実質的にほとんどの水域をカバーすることが可能である。また、本発明によって、プランクトンの調査のために多額の費用をかけて専用の観測船や調査船をチャータすることなく、ほぼ任意の場所で任意の時間でサンプルの採取が可能となる点が重要である。
【0052】
図9は、本発明のシステムによって得られたプランクトンの分布を水域の地図上にマップした例である。図9では、プランクトンの分布密度が高いほど濃い網掛けのハッチングで示しているが、実際にはカラー表示するほうがよい。有害プランクトンは、フジツボ類の幼生のように発電所の取水路に付着し、取水口を塞いで発電を困難にするだけでなく、周辺の養魚場や養殖場などにも多大の被害を及ぼす。また、よく知られているように、クラゲ類の生体は、同様に発電所の取水口を塞いだり、漁業などに被害をもたらすので、その幼生プランクトンのうちに大量発生を予期するようなシステムがあれば有効である。
【0053】
従って、このような有害プランクトン分布マップをインターネットなどで公開し、定期的に更新するようにシステム化すれば、沿岸地域にとって有害ブランクトンの大量発生を予測し、対策や回避手段を構築するための有効なデータとなり得る。また、本発明は、有害プランクトンの発生による発電所の被害を最小にするためになされたものであるが、発明の実施形態をみれば明らかなように、本発明のシステムは、有害プランクトンに限らず、その他の水中の微生物の学術的な調査研究にも役立つものである。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の好適な実施形態の一つに係る採水取得装置10の外観図である。
【図2】本発明の好適な実施形態の一つに係る採水取得装置10の非採水時における断面図である。
【図3】本発明の好適な実施形態の一つに係る採水取得装置10の採水時における断面図である。
【図4】本発明の好適な実施形態の一つに係るシステム概略図である。
【図5】本発明の好適な実施形態の一つに係る採水サンプル関連情報の例を示す図である。
【図6】本発明の好適な実施形態の一つに係る採水サンプルと採水データの関連付け手段の概念図である。
【図7】本発明の好適な実施形態の一つに係る分析センタ20内部の処理を示す図である。
【図8】調査水域の定期船の航路例を示す図である。
【図9】調査水域の地図上にマップされたプランクトン分布密度の公開例を示す図である。
【図10】一般的に用いられるプランクトンネットの外観を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
3 取水口ネット
4 吸引チューブ
5 牽引ワイヤ
6 安定翼
7 排水側口
8 取水口ハッチ駆動部
9 制御部
10 採水取得装置
11 前面フィルタ
12 吸引チューブハッチ駆動部
13 採水タンク
14 排水口ハッチ駆動部
15 後面フィルタ
16 排水口ハッチ
17 吸引チューブハッチ
18 取水口ハッチ
20 分析センタ
21 ウインチ
22 吸引ポンプ
23 採水データ制御装置
25 GPS衛星
26 サーバ
27 分析実験室
28 採水サンプル受入部
29、29a、29b、29c 採水サンプル容器
30 定期船
31 採水サンプル分離装置
34 位置情報記憶部
41 採水サンプル受入部
42 採水データ受信部
42a、42b、42c 採水サンプル
43 採水データ
44 分析実験室
45 分析結果データ
46 マッピンク処理部
47 マッピング表示部
48 地図データ
49 マッピングデータ
50 プランクトンネット
51 ロープ
52 ピンチコック


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランクトンの分布調査のためのシステムであって、
調査対象水域を航行する定期船に装着可能な採水装置と、前記採水装置が取得する採水サンプルを分析する分析センタ内に設けられたサーバと、前記サーバと通信する採水データ送信装置とで構成され、
前記採水装置は、採水サンプルを取り込む少なくとも一つの採水サンプル取得手段と、前記採水サンプルを前記定期船の内部または上部に吸引する吸引手段と、前記定期船の位置情報を取得する手段と、を備え、
前記採水サンプル取得手段は、少なくとも一つの取水口と、前記取水口の水深位置を調整可能とする水深位置調整部と、あらかじめ設定された開閉タイミングで前記取水口を開閉させる取水口開閉部と、前記取水口開閉部が前記取水口を開口させることによって開始する採水時に前記採水サンプルの水質データを検出する少なくとも一つの水質検出部と、を含み、
前記採水データ送信装置は、前記水質検出部によって得られた前記水質データと前記位置情報とを前記採水サンプルに関連する情報であるサンプル関連情報に含め、前記採水サンプルのIDと共に前記サーバに送信する手段を備え、
前記サーバは、前記採水データ送信装置から受信した複数の前記サンプル関連情報を集積するデータベースと、前記採水サンプルを分析することによって得られるプランクトン密度と前記IDを関連づけて入力する入力手段と、前記プランクトン密度と前記水質データとをプランクトン分布情報として地図上にマップして出力する分布出力手段と、を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記サンプル関連情報は、前記採水時における、水温、PH、及び、塩分濃度のうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記定期船の位置情報を取得する手段は、前記定期船に設けられたGPS受信手段である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記定期船の位置情報を取得する手段は、前記採水時の位置情報を、前記定期船の航路と、前記定期船が出港した時から前記採水時の時間と、前記定期船の速度履歴情報とに基づいて計算する位置情報算出部を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記採水サンプル取得手段は、前記取水口開閉部のあらかじめ設定された開閉タイミングを、前記GPS受信手段によって得られた位置情報に基づいて算出する、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記採水サンプル取得手段は、前記取水口開閉部のあらかじめ設定されたタイミングを、前記位置情報算出部によって計算された位置情報に基づいて算出する、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
プランクトンの分布調査のための調査対象水域を航行する定期船に搭載可能な採水装置であって、
採水サンプルを取り込む取水口の水深位置を調整可能な少なくとも一つの採水サンプル取得手段と、
前記採水サンプル取得手段は、あらかじめ設定された開閉タイミングで前記取水口を開閉させる取水口開閉部と、前記取水口開閉部が前記取水口を開口することによって発生する採水時に前記採水サンプルの水質データを検出する少なくとも一つの水質検出部と、を含み、
前記採水サンプル取得手段に取り込んだ採水サンプルを前記定期船の内部または上部に吸引する吸引手段と、
前記採水時の前期定期船の位置情報を取得する手段と、
前記位置情報と前記水質検出部によって得られた前記水質データを前記採水サンプルに関連する情報であるサンプル関連情報に含め、サンプル関連情報を前記採水サンプルのIDと共に送信する採水データ送信手段と、
を備えることを特徴とする採水装置。
【請求項8】
プランクトンの分布調査の方法であって、
調査対象水域を航行する定期船に装着可能な採水装置から得られた採水サンプルに関連するサンプル関連情報を前記採水サンプルのIDと共に分析センタ内のサーバに送信する採水データ送信ステップと、
前記採水装置の採水時の位置情報を、前記定期船に設けられたGPS受信手段、または、前記定期船の航路と出港時から前記採水時までの前記定期船の速度履歴情報に基づいて計算することによって求めるステップと、
前記分析センタ内に設けられたサーバにおいて、前記採水装置から受信した複数の前記サンプル関連情報を集積するステップと、
前記採水サンプルを分析することによって得られるプランクトン密度と前記IDとを関連づけて入力する入力ステップと、
前記プランクトン密度と前記サンプル関連情報とをプランクトン分布情報として地図上にマップして出力するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
プランクトンの分布調査のために利用されるコンピュータ・プログラムであって、
コンピュータに、
調査対象水域を航行する定期船に装着可能な採水装置から得られた採水サンプルに関連するサンプル関連情報を前記採水サンプルのIDと共に分析センタ内のサーバに送信する採水データ送信ステップと、
前記採水装置の採水時の位置情報を、前記定期船に設けられたGPS受信手段、または、前記定期船の航路と出港時から前記採水時までの前記定期船の速度履歴情報に基づいて計算をすることによって求めるステップと、
前記分析センタ内に設けられたサーバにおいて、前記採水装置から受信した複数の前記サンプル関連情報を集積するステップと、
前記採水サンプルを分析することによって得られるプランクトン密度と前記IDを関連づけて入力する入力ステップと、
プランクトン分布情報として地図上にマップして出力するステップと、
を実行させることを特徴とするコンピュータ・プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−263893(P2007−263893A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−92457(P2006−92457)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】