説明

プリペイド文書処理装置及びその管理方法

【課題】文書処理装置の使用を管理するための、更に進歩した方法及びシステムを提供する。
【解決手段】文書処理装置320は、自分のメモリ323内に残り印刷単位値323eを記憶している。この値323eは、当該装置320が文書処理動作を実行できるようにするために現在使用可能な印刷単位の量を表す。プログラム可能なコンピュータは、選択的に、文書処理ジョブを実行し、残り印刷単位値を当該値が0に達するまでは減らす。文書処理装置320は、ジョブについて求められたカラー内容及び/又は印刷面積レベルに従って印刷単位を支出する機能を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書は、概略的には、プリンタ、スキャナ、複写機、スキャナ・プリンタ・複写機の複合機等の文書処理装置の、顧客のアカウントに応じた制御、管理に関する。
【背景技術】
【0002】
文書処理装置は、ビジネスの場所や学校におけるネットワーク接続されたシステムにてよく用いられ、ユーザが印刷ジョブをいくつかの装置のうちの1つに送る選択肢を提供している。複数の文書処理装置を使用している組織は、プリンタ利用の追跡監視及び資金調達のために複数の選択肢を望んでおり、装置や消耗性の付属品などに前もって金を払うよりも、印刷サービスや関連の装置及び資材に対して使用量に基づいて支払いをする方を好むかも知れない。更に、文書処理装置の製造業者や再販業者(リセラー)は、そのようなアカウント(勘定)の選択肢をエンドユーザに提供できるようにすることを望んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6940613号明細書
【特許文献2】米国特許第6076076号明細書
【特許文献3】米国特許第5563999号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0094148号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0125397号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2004/0153415号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、文書処理装置の使用を管理するための、更に進歩した方法及びシステムが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この明細書に開示する文書処理装置では、残り印刷単位値が当該装置のメモリ内に記憶されており、この値は当該装置が文書処理動作を実行できるようにするために現在使用可能な印刷単位の量を示しており、当該装置のプログラム可能なコンピュータは、各ユーザのための文書処理ジョブを選択的に実行すると共に、残り印刷単位値を、当該値が0(ゼロ)になるまでは減少させ、当該装置は、ジョブについて求められたカラー内容(color content)及び/又は印刷面積(すなわちカバレッジ=インクによる被覆範囲又はその比率)レベルに従って印刷単位の支出ができるようにする。この装置は、例えば、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ装置、複写機、又はそれら文書処理機能のうちの1以上を提供する複合機等であり、外部の管理システムにより管理された顧客のアカウント(勘定、口座)から印刷単位が投入されることにより承認を得るまでは、印刷を行わない。十分な印刷単位が供給されると、装置は、印刷、ファクシミリ、スキャン、コピーなどの文書処理動作を実行するために、投入された印刷単位を消費又は支出する。ここで、装置は、ある態様では、処理動作が異なれば異なる量の印刷単位を消費する(例えば、カラーページはモノクロページよりも多くの印刷単位を消費し、大印刷面積の印刷ジョブは小印刷面積のジョブよりも多くの印刷単位を消費するなど)。
【0006】
文書処理装置は、すくなくとも1つの消耗品を用いて1つ又は複数の文書処理動作を実行する少なくとも1つの文書処理コンポーネントと、当該装置が文書処理動作を実行できるようにするために現在使用可能な印刷単位の量を示す残り印刷単位値を記憶するメモリと、を備える。この装置は、文書処理ジョブに関連する文書処理動作を実行するためのジョブコスト印刷単位値を求めると共に、残り印刷単位値が非ゼロ(0でない)か否かを判定するよう動作するプログラム可能なコンピュータを有する。残り印刷単位値が非ゼロであれば、プログラム可能なコンピュータは、選択的に、文書処理コンポーネントに文書処理動作を実行させ、残り印刷単位値を、求めたジョブコスト印刷単位値だけ減少させる。
【0007】
この装置は、投入された印刷単位値が尽きると印刷を停止し、いくつかの実施形態では、プログラム可能なコンピュータは、対応する残り印刷単位値が0に達すると、選択的に、例えばモノクロ印刷のみを認めるなどといった機能レベルを低下させた状態での文書処理動作を文書処理コンポーネントに実行させる。さらに、ある実施形態では、プログラム可能なコンピュータは、ネットワークコンピュータのエージェントからメッセージを受け取ると、選択的に、残り印刷単位値を増大させてもよい。
【0008】
現ページ価格比(CPPR: current page price ratioの略)値がメモリに記憶される。この値は、カラーページを印刷する場合とモノクロページを印刷する場合との相対的なコストを表す。また、プログラム可能なコンピュータは、所与のジョブについての印刷単位コストを、ジョブ中のカラー内容に基づき、CPPR値を用いて、求める。ある態様では、異なる複数のページ印刷面積(カバレッジ)コスト比にそれぞれ対応する2つ又はそれ以上のCPPR値がメモリに記憶される。また、プログラム可能なコンピュータは、所与のジョブのカラーのページについてのページ印刷面積のレベルを求め、求められたページ印刷面積のレベル値に応じて求められる、対応するCPPRを用いて、ジョブコストを求める。使用済み印刷単位合計(TPUU: total print units used)値がメモリに記憶される。この値は、文書処理装置に投入された印刷単位の合計数を示す。また、メモリには、更に、1つ又は複数のエントリペアがスタック中に積み重ねられており、各ペアはそれぞれページ価格比(PPR: page price ratio)値と閾値(TPUUTH)を含んでいる。これらの態様の装置のコンピュータは、現在のTPUU値をスタック中の閾値群と比較し、現ページ価格比を、現在のTPUU値以下で最高の閾値に対応するPPR値に合わせてセットすることで、更なる印刷単位が文書処理装置に追加されるにつれて、ページ印刷(価格)比の経時的な変化に適応する。
【0009】
1つ又は複数の文書処理装置のプリペイド(事前支払い)方式での利用を管理するための方法が提供される。それら1つ又は複数の文書処理装置は、当該装置に対して投入された使用可能な印刷単位に基づいて、顧客が処理動作を起動できるように構成されている。この方法では、複数の顧客アカウントについてのアカウント情報をデータ記憶部に格納する。アカウント情報は、使用可能なクレジット(残高、払込額、与信枠)の値と、アカウントのクレジットを当該アカウントに対して登録された特定の文書処理装置についての印刷単位に変換するための現在の価格設定(値付け)情報と、各文書処理装置に対して個別に関連づけられた装置サブアカウントについての装置サブアカウント情報とを備える登録済み装置情報と、を含む。顧客から要求を受けた場合、顧客の支払いが確認されると、指定されたアカウントに対して現在のレートでクレジットが追加される。また、顧客の要求時に、指定されたアカウントにとって現在使用可能なクレジットの数(値)を、当該指定されたアカウントについての当該要求の時点での現在価格設定情報に従って、印刷単位の数(値)に変換することにより、印刷単位が指定された文書処理装置に対して投入される。このようにして、顧客が購入したアカウントクレジットが、アカウントにわたる汎用の通貨となり、アカウント管理において、当該アカウントに関連づけられた複数の装置の間でのクレジットの配分、独自の価格設定、機能性を適用することを可能とする。
【0010】
アカウント情報には、対応する残り印刷単位値が0に達したときに、1つ又は複数の登録された装置がある低下させた機能レベルで動作してよいか否かを示す、機能低下情報を含んでいてもよい。また、この方法は、選択的に、特定の文書処理装置に対し、印刷単位値が0に達したときにその機能低下情報に基づいて、低下させた機能レベルでの文書処理動作を実行するよう許可してもよい。
【0011】
この方法は、ある態様では、当該特定の印刷処理装置がカラーのページを印刷するのに消費するであろう、投入された使用可能な印刷単位の数、を示す複数の異なる現ページ価格比(CPPR)を含んだ装置サブアカウント情報を用いて、文書処理コストを処理中の対象に応じて適合できるようにする。これらの態様では、ここのCPPR値はそれぞれ、処理対象の文書のカラーページについての、異なる印刷面積レベル(カバレッジ。例えば画素数)に対応している。この場合、この方法は、1つ又は複数の装置が、所与のジョブの所与のカラーページのページ印刷面積(カバレッジ)を求めると共に、その印刷面積量についてのCPPRに従って、当該所与のカラーページを印刷するのに使用可能な対応する印刷単位数を消費するように許可するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本明細書の1つ又は複数の側面が実装される、アカウント管理装置と、様々な再販業者と、顧客サイトとがネットワーク接続された、商業的な環境の一例を例示する図である。
【図2】プリンタデバイス管理エージェントを備える複数のユーザコンピュータと、複数のプリンタ、スキャナ、複写機及び多機能タイプの文書処理装置とを備え、本明細書の様々な技術に従って管理される、顧客ネットワークコンピュータ環境の例の更なる詳細を例示する図である。
【図3】図1のアカウント管理システムに格納されたアカウント情報の一例を模式的に示す図である。
【図4】図1のアカウント管理システムにより管理されるアカウントに対して登録された文書処理装置の例の詳細を模式的に示す図である。
【図5】図1のアカウント管理システムに格納されたアカウント情報の他の一例を模式的に示す図である。
【図6】文書処理装置の他の実施形態を模式的に示す図である。
【図7】顧客文書処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】クレジットを買って1つ又は複数の文書処理装置に投入するための処理の例を示すフローチャートである。
【図9】図1のアカウント管理システム内のアカウント情報を更新する処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】以前に投入された印刷単位をアカウントクレジットに変換すると共に、印刷単位を1つの顧客アカウント内の1つの文書処理装置から他の文書処理装置へと移動するための処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】ユーザが、この明細書のアカウント管理システム及び技術により、当該ユーザのアカウントからのクレジットを用いて、ベンダー(業者)のアカウントに登録された公衆用の装置で印刷処理を実行するための処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、サーバ100を1又は複数の再販業者200及び顧客300と相互接続する1又は複数のネットワーク10を備えた、ネットワーク接続された商業環境2を示す。この環境では、サーバ100に実装されたアカウント管理システム104へのアクセスが、ポータル102を介して実現される。サーバ100は、単一のコンピュータプロセッサ、又は複数の処理要素を備えていてもよく、サーバ100は、メモリを含む単一の集積型のプロセッサベースの(すなわちプロセッサを備える)構造として実装してもよいし、複数の構造を含みそのうちいくつかがプロセッサを備える分散型として実装してもよい。アカウント管理システム104は、プロセッサベースのハードウエア、論理回路、プロセッサにより実行されるソフトウエア、ファームウエア、又はそれらの組み合わせ、等のうちの適切な組み合わせであってよく、一体のプラットフォーム(例えばサーバ100)の形で、又はプロセッサを備える複数の装置にまたがる分散形態で実装されてもよい。この実施形態では、再販業者200及び顧客300には、それぞれ、再販業者のネットワークと顧客のネットワークを備えており、それらネットワークは、それぞれ、再販業者200のコンピュータと顧客300のコンピュータを備え、それらコンピュータにはエージェントソフトウエアプログラムが設けられており、このプログラムは、権限を付与された再販業者/顧客職員とアカウント管理システム104との間の、ポータル102を介したアクセスによる、承認された、セキュアな、暗号化された通信を可能するように機能する。顧客エージェント360は、ポータル102を介した顧客アカウントに登録された顧客文書処理装置320とアカウント管理システム104との間の操作及び管理タスクを提供するとともに、顧客がエージェント360を用いて、顧客ネットワーク302に接続された1以上の処理装置320と通信できるようにする。顧客ネットワーク302は、装置320が直接又は間接的に顧客コンピュータ330及び/又はアカウント管理システム104と通信できるような形態の電子的通信ネットワークならどのようなものであってもよく、例えば専用ネットワーク、インターネット接続などであり(ただし、これらに限定されるわけではない)、1以上の装置320のアカウント管理システム104との電話通信ネットワーク(有線及び/又は無線、又はそれらの組み合わせ)を含んでいてもよい。このように、装置320のネットワーク接続には、主用のネットワーク接続が無効(「ネットワーク・ダウン」状態)となって、リカバリ用又は代替用の通信手段(例えば、装置320への電話線接続)が当該装置320とアカウント管理システム104との間の動作確認その他のステップのための通信のための代替手段として提供されている状況も含んでいる。
【0014】
図2は、例示的な2つの論理的な装置グループ310a及び310bを含んだ分散型の顧客コンピュータ環境を示している。各グループ310a及び310bは、それぞれ、1以上のコンピュータ装置330を備えており、それらコンピュータ装置330のうちのいくつかはエージェントコンポーネント360を備えている。例示の環境では、コンピュータ330は、例えば、顧客ネットワーク302及びそれに関連づけられたネットワーク要素を介する適切なパスワードの入力及び照合により、及び/又は装置320群自体に実装されたアクセス/利用制御機構により、装置320群又は装置320群の中のあらかじめ定められた部分集合を用いる印刷又は他の文書処理動作を選択的に許可される。個々のグループ310は、1以上の文書処理装置320も備えている。例示した顧客コンピュータ330と文書処理装置320は、顧客ネットワーク302を介して機能的に接続されており、このネットワーク302は、通信ネットワーク又はインターオペラティブ(interoperative:協働可能な)ネットワークの適切な形態であればどのような形態のものであってもよい。更に、1以上の印刷サーバ50がそのネットワーク302に接続されており、ネットワーク302のいくつかの部分はケーブル接続により相互接続されていてもよく、1以上の部分は無線接続背あってもよく、1つ以上の例示するコンピュータ330d及び330eは、図2では、無線ネットワークトランシーバーインタフェースコンポーネント340を用いて実装されているネットワーク302に対して、機能的且つ通信可能に接続されている。装置320のうちの1つ以上が、1つ以上の顧客アカウントに登録されているとともに、ネットワーク302を介して、又は装置本体の操作部をユーザが操作することにより、複写動作、スキャン動作及びその他の処理を実行できるようになっている。文書処理装置320は、1つ以上の管理された消耗部品、消耗品を備えていてもよい。
【0015】
文書処理装置320には、比較的低速の外部給紙方式のカラー及び白黒のデスクトッププリンタ320a及び320bと、中速のドロワー(トレイ)給紙方式のカラー及び白黒のプリンタ320c〜320eと、大容量のカラー及び白黒のプリンタ/スキャナ/複写機(すなわち複合機)装置320f〜320hと、デスクトップ複合プリンタ/スキャナ/複写機320iと、プリンタ及びファクシミリの複合装置320jとが含まれる。顧客ネットワーク302及び外部ネットワーク10は、例えばスター型、リング型、バス型、ツリー型、メッシュ型、又はそれらの組合せなどといった構成のうち適切なものであればどのようなものであってもよく、有線ネットワークでも無線ネットワークでもそれらの組み合わせでもよい。図2に例示した顧客ネットワーク302は、携帯ノート型コンピュータ330d及び330eと様々なWiFiその他の無線手段を介して接続するための1つ以上の無線ノード340を提供する。
【0016】
装置320は、アカウント管理システム104を介して管理される顧客アカウントに従って装置320に投入された使用可能な印刷単位に基づき、通常の顧客/ユーザにより起動される処理動作を行えるように構成されており、オプションとして、投入された印刷単位が無くなっても、ずっと後で説明するように、何らかの低レベルの機能を実行できるよう、アカウントの詳細事項によって許可されるようにしてもよい。ある装置の文書処理動作の、実際の又は想定されるコストについてのすべての側面、あるいは少なくともあるいくつかの側面は、顧客により前払いされるよりは、初期装置コスト、消耗品322のコスト、サービス(例えば修理、トラブル対応など)のためのコスト、顧客サポートへアクセスするためのコスト、及びその他の関連コストなどの使用に基づいて、顧客の属性にしてもよい。
【0017】
装置320の使用は、これらプリペイドのアカウントを介して、システム104により、サーバ100に機能的に接続されたデータ記憶装置内に記憶された様々なアカウント情報110を用いて管理され、そのデータ記憶装置はサーバ100に内蔵でも外付けでもよく、また内蔵記憶装置と外付け記憶装置の組み合わせでもよい。アカウント情報110は、例えば、図2の第1の装置グループ310aのプリペイド装置320の管理のための第1のアカウントや、第2のグループ310bの装置320のための第2のアカウントなどのような複数のアカウントについて記憶され、またアカウント情報は複数の異なる顧客、例えばそれら顧客、又は後で図11を参照して更に説明するようにいわゆる「公衆用の」装置320を登録する「ベンダー」(業者)など、についても記憶される。
【0018】
図3に示すように、個々のアカウントについてのアカウント情報110は、一般アカウント情報111a(例えば、アカウント所有者の名前、住所、請求先情報、権限を付与されたユーザ群など)、使用済みクレジット値111b(例えば、アカウントの開始から現在まで、又はある定められた期間(例えば今年のこれまでの期間)に装置320群に投入されたクレジットの数を示す)、及び使用可能なクレジット値111c(この値は、当該アカウントにとって現在使用可能であり、対応する顧客が事前に代金を支払い済みであり、顧客が発した要求により1以上の装置320に投入することができるアカウントクレジット単位の量を示す)を含んでいる。使用可能なクレジットの情報111cは、ある顧客企業内の異なる複数の部署又は組織実体にとって使用可能なクレジットを示す2以上の値を含むものであってもよい。この実施形態のアカウント情報110は、クレジット移動(credit transfer information)情報111d及び低下機能許可情報111e(後で図3を参照して説明する)を更に含む。
【0019】
あるアカウントについてのアカウント情報110は、更に、現在の価格設定情報112を含む。この情報112は、当該アカウントにとって使用可能なアカウントクレジットを、当該アカウントに登録された特定の文書処理装置320のための印刷単位に変換するための少なくとも1つの変換係数を含む。この実施形態における個々のアカウントについての現在の価格設定情報112は、装置種類価格設定情報112aを含み、この情報112aは、文書処理装置の種類の各々についての少なくとも1つの価格係数112a1と、複数の異なる文書処理装置の種類の各々についての少なくとも1つの印刷単位価格モディファイア(変更子)112a2と、を含む。価格係数112a1は、アカウントクレジットを印刷単位に変換するためのものである。印刷単位価格モディファイア(変更子)112a2は、顧客アカウントが、消耗品、サービス及びサポートについての印刷単位価格における1以上の追加のコスト係数を含む場合に、印刷単位価格を拡充させる(高める)ためのものである。価格設定情報112は、更に、顧客固有価格設定情報112bを含んでいてもよく、この情報112bは、ディスカウント情報112b1と、顧客アカウントについての1以上の印刷単位価格モディファイア112a2の適用可能性を示すモディファイアフラグ112b2と、を含んでいる。
【0020】
アカウント情報には、ある顧客が異なる複数の再販業者200から取得した、指定された文書処理装置320群について、及び/又は異なる複数の場所や地域にて取得される、指定された文書処理装置320群についての異なる複数のディスカウント情報112b1を含んでいてもよい。これにより、再販業者に対し、選んだ顧客に対してディスカウントインセンティブ(報奨)を提供するにあたっての、全体的な基準での又は地域ごとの基準での柔軟性を提供する。プログラムの条項は、例えば再販業者が末端の顧客300に対してアカウントを売りに出す前に、前もって特定のアカウント番号に関連づけることができ、例えば、ここでアカウントの詳細事項は、アカウントの価格設定(クレジットを印刷単位に変換する変換レート)、印刷面積やカラー内容(印刷に用いられる色の内容。例えばモノクロかフルカラーかの区別など)などに基づく典型的な印刷画像と等価な印刷単位の評価値、サービス、備品、媒体、様々なインセンティブなどを含む。あらかじめ設定されたアカウントの詳細事項は、顧客300に渡す前のアカウント初期化の際に、1つの装置320に対して関連づけてもよい。更に、時間枠の継続及び/又は印刷画像の数などの販促インセンティブは、顧客アカウントに関連づけられ且つ例えば使用についての借り方及び貸し方の収支と様々な画像内容の詳細を追跡することにより顧客アカウントにより追跡される製品使用情報と組み合わせて管理してもよい。
【0021】
アカウントクレジットは、大域的な通貨であり、1以上の公式の政府通貨の値に対応づけられており、これにより顧客は、何らかの形態の法的な支払い又は直接的な金銭による支払いを用いて、自分のアカウントのためにクレジットを購入できる。ここで、アカウント管理システム104は、通貨交換レート情報を取得し、必要に応じて、法的な通貨支払い量からアカウントクレジット量への変換を行うように動作する。印刷単位数は、装置のタイプについて、及び場合によっては更に他の要因について、評価される。この評価では、ユーザがアカウントクレジットを特定の文書処理装置に投入することを要求した時に、取引(トランザクション)ごとに1アカウントクレジット当たりの単位数で評価が行われる。この評価は、例えばモノクロページ1ページあたり1印刷単位、印刷カラーページ1ページあたり5印刷単位などのように文書処理動作の点からのものである。ここで用いている処理済み「ページ」は印刷された媒体シートの1つの面のことである。これにより装置320は、1つの例では、出力シートの1つの面上にモノクロ画像を印刷するのに1印刷単位を消費し、印刷可能な媒体の1つの面上にカラー画像を印刷するのに5印刷単位を消費し、印刷可能な媒体の両面にテキスト等のモノクロ画像を印刷するのに2印刷単位を消費する。装置320へのクレジットの投入は、クレジット及び印刷単位の整数値又は分数値でなされてもよい。例えば、顧客が、例えばある量のアカウントクレジット(整数のクレジット数、又は分数のクレジット数)を装置320に「投入」するよう指示し、アカウント管理システムがその顧客にその装置320についての換算された印刷単位数を提示してもよく、その装置320が分数の印刷単位量を受け入れるように構成されていてもよいし、アカウント管理システムが整数の印刷単位量のみを提供すべく丸め処理を行い、端数の分数値は分数クレジットとして顧客のアカウントに残るようにしてもよい。
【0022】
アカウント情報110は、登録済み装置情報114も含んでいる。登録済み装置情報114は、複数の装置サブアカウントについての装置サブアカウント情報115を有しており、それら装置サブアカウント情報115は、それぞれ、顧客によりアカウントに登録された特定の文書処理装置320に対して個別に関連づけられている。装置サブアカウント情報115は、アカウントに登録された装置320を識別するための装置シリアル番号115a、デバイスモード・インジケータ(表示)115b(例えば、トナー切れを示す値、対応する装置320がシステム104により管理されているか否かを示す値など)、残り印刷単位値115c(この値は、以前に顧客が特定の文書処理装置320に対して投入し、現在特定の文書処理装置320が文書処理動作を実行できるようにするために現在使用可能な印刷単位の量を示す)、特定の文書処理装置320がカラーページ1ページを印刷するのに消費する投入された使用可能な印刷単位の数を示す少なくとも1つの現ページ価格比(CPPR)値115d、投入済み印刷単位合計値(TAPU:total applied print units)115e、及び対応する文書処理装置320により使用された印刷単位の数の合計数を示す使用済み印刷単位合計値(TPUU:total print unit used)、を含む。更に、装置サブアカウント情報115は、登録済み消耗品情報115gを示す。登録済み消耗品情報115gは、当該特定の文書処理装置320に機能的に関連づけられた1つ又は複数の個別の消耗品コンポーネント322についてそれぞれ消耗品情報116を含む。ここの消耗品の消耗品情報116は、消耗品のシリアル番号その他の識別情報117と、残り印刷単位値118とを例えば含んでいる。
【0023】
顧客は、自分のアカウントに登録された特定の文書処理装置320についての残りページ数の見積もりを、エージェント360及びポータル102を介して要求することができ、1つの実施例ではアカウント管理システム104が残り印刷単位カウント値を応答するようにしてもよい。ある実装では、顧客はエージェントを用いることにより、文書処理装置自体から直接に、エージェント360及び顧客ネットワーク302を介して、そのカウント値を取得することができる(例えば、文書処理装置320は、図4に示したように、メモリ323内の内部データから現在の残り印刷単位値323eを報告する)。アカウント管理システム104は、モノクロ及びカラーの残り印刷可能ページ数の見積もり値を、例えば文書処理装置320に対する印刷データ(カラー印刷 対 モノクロ印刷)の履歴を解析することにより、顧客に対して提供することができ、これをCPPR115dと組み合わせて用いることにより、顧客のためにモノクロページ数及びカラーページ数を見積もることができる。アカウント情報110は、このように複数の顧客300についての複数のアカウントを提供することができ、各アカウントは、無制限の数の装置種類の複数の文書処理装置320に関連づけられている。ここで、それら文書処理装置は、アカウント管理システムによる管理のために識別された1つ又は複数の消耗品322を備えていてもよい。
【0024】
図4及び図7も参照すると、文書処理装置320の一例が図4に示される。この文書処理装置320は、プロセッサを備えるコントローラ321及びメモリ323を備えている。ここで、装置320は、プロセッサで実行される適切なソフトウエア、ファームウエア、ロジック(論理)等を備えており、これにより印刷、FAX送受信、スキャン、又はそれらの組合せなどの文書処理機能を制御することができると共に、アカウント管理システム104による管理されたアカウントに登録された装置の印刷単位消費機能を実現することができる。通信インタフェース326は、データ、情報、印刷ジョブその他を、他のネットワークデバイスや、ユーザコンピュータ330及びそのエージェント360を含むコンピュータなど、及び、ポータル102を介してアカウント管理システム104と通信によりやりとりするために、装置320と顧客ネットワークとをインターフェース(接続)する。装置320は、1つ又は複数の印刷エンジン325、スキャナ328、媒体供給部324、及び消耗品322、及びその他の同様の装置群(例えばスキャナ、シート供給部など。図示省略)などのような、1つ又は複数の文書処理コンポーネント又は文書処理システムを含んでいる。メモリ323は、装置の機能を実現するためのプログラムコード及びプロセッサ実行可能命令群を記憶していると共に、その処理を補助するためのローカルデータも格納している。このようなローカルデータには、現在の装置モード情報323a(例えば、図3のアカウント情報110内のモード情報115bに対応)、1つ又は複数の現ページ価格比値(CPPR)323b(CPPR値115dに対応)、TAPU値323c(TAPU値115eに対応)、TPUU値323d(TPUU値115fに対応)、及び消耗品322の処理要素からコントローラ321を介して得られる消耗品情報323f(図3の消耗品情報116に対応)などが含まれる。ここで、顧客エージェント360は、(装置320がネットワーク302に接続されている間)装置320から情報が取得できるときに動作し、それに応じてアカウント管理システム104のアカウント情報を更新する。
【0025】
図7は、処理400における装置320の動作の例を示す。この処理では、装置320が、402にて顧客300又は再販業者200により1つ又は複数の顧客アカウントに対して初期化すなわち登録され、1つ又は複数の印刷単位が顧客エージェント36を介してその顧客によりその装置320に投入される。図7の例は、印刷動作の場合の例を示しているが、同様の動作は、装置320による顧客/ユーザが要求した他のいずれの態様又は種類の文書処理動作についても行われる。404で、装置320は、顧客ネットワーク302から印刷ジョブを受け取る(この代わりに、印刷ジョブは装置320そのもので起動されたコピー動作の一部であってもよいし、また、たとえ装置320が今はネットワーク302に接続されていない場合でもプリントジョブは装置320に接続されたコンピュータ330から提供されたものであってもよい)。405で、装置320は、必須ではないが、使用済み印刷単位合計値(TPUU)の現在値及びスタック119内の閾値TPUUTHに従って、ページ価格比(PPR)値119aのスタック119(以下の図6)から適切な現ページ価格比(CPPR)を選択してもよい。406で、装置320は、1つの実施例では、ページごとに印刷面積(カバレッジ)及びカラー内容に従ってCPPR値323b(図4)を用いて、そのジョブの実行のためのコストを印刷単位でのコストとして求め、408で、残り印刷単位(印刷単位の残量)(図4の値323e)が閾値より小さいか否かの判定が行われる。他の実装では、装置320は、ジョブ全体についてのカラー内容に基づいてジョブのコストを求めてもよい(すなわち、ジョブのうちの少なくとも1ページがカラーを用いていれば、各ページが「カラー」であるとしてページコストを求める)。
【0026】
ここの装置サブアカウントについての装置サブアカウント情報115は、ある実施例では、複数の異なる現ページ価格比115dを含んでいてもよい。これら各現ページ価格比115dは、特定の文書処理装置320がカラーページを印刷するために消費する投入された使用可能な印刷単位の数と、モノクロページを印刷するために消費する投入された使用可能な印刷単位の数と、の比を示すものであり、それぞれ、処理対象の文書のカラーページについての異なる印刷面積レベルに対応している。更に、装置320は、図4に示すように、対応する複数のCPPR値323bを保持していてもよい。このように、アカウント管理システム104は、特定の文書処理装置320がある印刷ジョブのあるカラーページのページ印刷面積レベルを求め、その印刷面積に基づいて選んだ対応する現ページ価格比115dに従って、当該カラーページを印刷するための対応する印刷単位数を消費すること、を許可する。個々の異なる印刷面積についてのCPPRの選択は、ある実施例では、ページごとに行ってもよい。装置320は、あるジョブの全ページ又は一部のページについての平均印刷面積レベルを求め、そのジョブ全体についての対応するCPPR115dを選択するように構成されていてもよい。アカウント管理システム104は、図5及び図6に示すように、各装置320に対して、ページ価格比(PPR)値119aとこれに対応する閾値(TPUUTH)119bのペアを複数用意してもよく、各ペアはそれぞれ異なるページ印刷面積値に対応する。CPPRは、何日間あるいは何週間などのような期間にわたる印刷処理に基づいて、又は、ある数のページ又はジョブの累積合計の達成に基づいて、適用されるようにしてもよい。
【0027】
図7に戻ると、もし要求された印刷単位数が使用(入手)可能であれば、印刷ジョブは410にて装置320により処理され、処理400は404にて次の文書処理タスク/ジョブを待つ。もし印刷単位の残量が閾値を下回れば、装置320は、ユーザに対して残り印刷単位数(図4の値323e)を報告すると共に、現在顧客ネットワーク302に接続されていればその顧客ネットワーク302を介してエージェント360に対して残り印刷単位数323eを報告する。414では、可能であれば、印刷ジョブが(残り印刷単位を用いて)装置320により処理され、その処理されたジョブのコストに応じて値323eが減少させられる。416では、装置320内に印刷単位が残っているか(例えば値323eが0に達したか)どうかが判定される。もし印刷単位が使い果たされると、装置320は自身の空状態をエージェント360に通知し、エージェント360はそれをアカウント管理システム104に通知する。アカウント管理システム104は、必須ではないが、装置320が、418で、低下機能情報111e(図3)に従って所定の機能レベル低下状態で動作(例えば、モノクロ印刷のみ、小規模のジョブの印刷のみ、ファックス送信及びスキャンのみ、など)するように許可してもよい。更に、顧客内の権限を持った職員が、420にて、エージェントコンポーネント360及びアカウント管理システム104を介して装置320に追加の印刷単位を投入してもよい。このあと、装置は通常動作に戻る。このようにして、装置320の動作は、印刷単位を選択的に投入することにより制御され、印刷単位が無ければ装置320は印刷を行わない(アカウント指定の制約を伴う低下機能動作のためのオプショナルのアカウント条項がある場合は除く)。
【0028】
図8は、アカウント管理システム104(図1)のアカウント管理コンポーネント106が510でアカウントに対してクレジットを追加し、権限を与えられたエージェント及びポータル102を介して、指定されたアカウントの顧客からの対応する要求に応じて、520にて装置320に印刷単位を投入する処理500の例を示す。例示した処理500では、顧客及び/又はエージェント360に対し、502にて、特定の装置320の残り印刷単位がないこと、又は図7に関して上述したように印刷単位のレベルが閾値を下回ったこと)が通知される。504では、顧客がエージェント360を用いて顧客ネットワーク302を介して装置320にアクセスし、装置320から残り印刷単位カウント値(例えば図4の値323e)を取得する。508では、顧客エージェント360がネットワーク10及びポータル102を介してアカウント管理システム104にアクセスし、その残り印刷単位カウント値で対応する顧客アカウントを更新し(例えば上述の図3の値115c)、対応するアカウント情報110を取得して顧客に現在のアカウント状態、例えば空の装置に対して投入可能な現在使用可能なクレジット(残高)や現在の価格設定(値付け)情報など、を通知する。
【0029】
510で、アカウント管理システム104は、エージェント360及びポータル102を介した顧客のクレジット購入又は「買い」要求に応じて、選択的に、指定されたアカウントに対して現在のレートでクレジットを追加し、顧客の支払いが確認されれば、支払いがなされた量の新たなクレジットに対応する数をその指定されたアカウントについての使用可能なクレジット値111cに追加する。この例では、エージェント360は、512で、ポータル102を介してその追加を要求し、図示しない電子的な第三者支払いメカニズムを介するなどにより支払いの手配を行う。514にて、アカウント管理システム104が顧客の支払いを確認できる場合には、アカウント管理システム104は、対応する顧客アカウントに対して使用可能なクレジットを追加し、これによりアカウント情報110内の値111cを増大させる。
【0030】
520にて、アカウント管理コンポーネント106は、指定されたアカウントに関連づけられた指定された文書処理装置320に印刷単位を投入する。この投入は、当該指定された文書処理装置とその要求の時点での当該指定されたアカウントについての現在の価格設定情報112とに従って、当該指定されたアカウントが現在使用可能なクレジット数を印刷単位数に変換することにより行われる。顧客は、522にて、使用可能なアカウントクレジットを用いて、装置への印刷単位の投入を要求する。524では、アカウント管理システム104は、現在の価格設定情報112を用いて、アカウントクレジットを印刷単位に変換し、対応する装置サブアカウント情報115内の投入済み印刷単位合計(TAPU)値115eを更新する。1つの実施例では、アカウント管理システム104は、525にて、新たなTPUUTHを前のTAPU値(すなわち、今回の新たな印刷単位の投入の前の投入済み印刷単位合計(TAPU))に合わせることにより、スタック119(以下の図5参照)を、ページ価格比(PPR)119aと閾値TPUUTH119bとの新たなペアにより更新する。アカウント管理システム104は、526にて、装置320に対して、投入された印刷単位数を追加する旨のメッセージを(エージェント360経由で)送信する。次に、装置320は、自分の内部の残り印刷単位カウント値323eと投入済み印刷単位合計(TAPU)値とを528にて更新する。この点で、印刷単位のコストの評価は装置320に印刷単位を投入する時点で行われるのであって、アカウント保持者によりクレジットが最初に買われた時ではなく、これによりシステム104は、顧客が文書処理サービス(これには消耗品、サービス、サポートその他のコスト要因が含まれ得る)の候補を実際に購入したときに適切な時点で販売取引(トランザクション)をトラッキングする(追跡する)機能を持つ。
【0031】
図5及び図6も参照すると、アカウント管理システム104及び装置320は、ある装置320についてのカラーページのモノクロページに対する相対的なコストの変化に対応するために、ページ価格比を適応的な態様で調整できるようになっている。例えば、初期には3という比が(例えば、装置のタイプ、再販業者200と取り決められた顧客アカウントパラメータ群、顧客の地域などに応じて)ある文書処理装置320に適用され、その後その比が2に変化するかも知れない。ページ価格比についてのこの変化は、ある閾値に該当する数の印刷単位がその装置により使用された(例えば装置のメモリ323内のTPUU値323d、対応する装置サブアカウント情報115内の値115f)後の、ある1年又はその他の期間におけるカラー印刷についてのディスカウントなどのように、顧客固有の取り決めであってもよい。他の例では、その比は、カラートナーのコストの減少のような消耗品コストの変化を反映して、節約分は顧客に与える形で、変化してもよい。顧客が経験するコストについての起こり得る大きな振幅を最小化しつつもそのような変化に対応するために、アカウント管理システム104は、その比を、印刷単位がある装置320に投入された時点での投入された印刷単位群に相関させ、装置320は、特定の印刷単位群に相関するその比を、それら印刷単位群が文書処理動作の実行において支出されるときに使用する。したがって、多くの印刷単位が未使用のままである装置について、ページ価格比の変化が起きると、新たな比は、それ以前に投入された印刷単位には適用されない。
【0032】
この方法を実現するために、アカウント管理システム104及び装置320は、互いに対応する情報スタック119を保持している。ここで、アカウント管理システム104内のある装置320についての装置サブアカウント情報115は、図5に示すようなスタック119を備え、装置メモリ323は、図6に示すような対応するスタック119を記憶している。上述のように、及び図8の525に示されるように、ある装置320に新たな印刷単位が投入されるごとに、アカウント管理システム104は、メッセージを構築して(ポータル102及び対応する顧客エージェント360を介して)装置320に送る。このメッセージには、印刷単位が投入されたときにCPPR115dの現在の値に合わせてセットされたページ価格比(PPR)119aを有する新たなスタックエントリを含んでいる。アカウント管理システム104は、更に、スタック内の閾値TPUUTH199bを、装置サブアカウント情報115の前の投入済み印刷単位合計(TAPU)値115eに合わせる。次に、システム104は、その装置320に対する新たな印刷単位の投入を反映するようにTAPU値115eを増大させると共に、装置320に対して、スタックエントリのペアPPR119a及びTPUUTH119bを用意してアプリケーションの動作のために装置の残り印刷単位値323eを増大させることを認可するための1以上のメッセージを送る。すると、装置320は、新たなエントリペアPPR119a及びTPUUTH119bにより自身のスタック119を更新すると共に、メモリ323内の自身の残り印刷単位値323eを増大させる。
【0033】
この実施例では、印刷その他の文書処理を行っている間、(上述し、図7の405に示したように)装置320は、使用済み印刷単位合計(TPUU)323dの現在の値をスタック119内の各閾値エントリ119bと比較し、装置自身の現ページ価格比(CPPR〜値323bを、メモリ323内の現在のTPUU値323d以下で最高の閾値TPUUTH119bに対応するPPR119aに合わせてセットする。このようにして、装置320は、費やされた印刷単位が装置320に投入された時に適用可能なページ価格比を用いて印刷単位を消費すると共に、TPUUが対応する閾値TPUUTH119bに達するかそれを超えたときにのみ次の後続のPPRを用いるである。
【0034】
更に図9を参照すると、アカウント管理コンポーネント106は、処理600によりアカウント情報110を更新する。602では、あらかじめ規定された定期的な更新タイミングが到来することにより、又はエージェント360を介した顧客からの開始指示により、更新処理が開始される。604では、エージェント360が、アカウントに登録された各装置320から現在の残り印刷単位カウント値の情報を取得し、エージェント360は、606にて、ポータル102を介して、それらの値及びその他のデータによりシステム104を更新する。アカウント管理システム104は、このように、認定されたエージェント360及びポータル102を介して顧客から1以上の文書処理装置320についての更新された残り印刷単位値115cを受け取り、文書処理装置320についての指定されたアカウントについて、アカウント情報110の登録された装置情報114を更新する。
【0035】
図10は、前に投入された印刷単位をアカウントクレジットに変換し、印刷単位をある文書処理装置320から顧客アカウント内の他の文書処理装置へと移動するための処理700を示す。702で、顧客はエージェント360を用いて第1の装置320にアクセスし、704で、この装置から残り印刷単位カウント値を取得する。706にて、顧客は、エージェント360を用いて、印刷単位をその第1の装置320から当該アカウントに登録された第2の装置へと移動する(振り替える)。708で、エージェント360はポータル102を介してアカウント管理システム104にアクセスし、印刷単位の移動を開始する。
【0036】
712で、アカウント管理システム104は、指定されたその第1の装置320に前に投入された印刷単位数を、指定されたアカウントが使用可能なアカウントクレジットの数へ変換する。この変換は、指定された印刷処理システム320と、要求された移動の時点でのその指定されたアカウントについての現在の価格設定情報112とに従って行われる。アカウント管理システム104は、この変換に伴い、対応する使用可能なアカウントを更新し、エージェント360に第1の装置の残り印刷単位値323eを減少させることを許可する。714で、アカウント管理システム104は、顧客の要求に従い、上述の変換の結果のアカウントクレジット数を、指定された第2の装置(320)についての印刷単位の数に変換することにより、その第2の装置に印刷単位を投入する。ここでの変換は、その要求の時点での前述の指定されたアカウントについての現在の価格設定情報(112)に従って行われる。これにより、対応する各値及びアカウントデータ110は更新され、エージェント360は、第2の装置に対して印刷単位を投入することを許可される。716にて、エージェント360は第1の装置320及び第2の装置320を更新し、それら各装置320は自身の内部のカウント値を718にて更新する。
【0037】
図11は、アカウント管理システム104を介してユーザのアカウントからのクレジットを用いて、ベンダー(業者)のアカウントに登録された公衆用の装置320にて印刷処理を実行する処理800を示す図である。アカウント管理コンポーネント106は、802にて、ユーザに対し、ユーザアカウントを開設したり、ユーザが認めたエージェント360及びポータル102を介してクレジットを追加したりすることを可能にする。804にて、ベンダーは、ベンダーが認めたエージェント360を介して特定の文書処理装置320を公衆用の装置320として登録することが認められている。ユーザは、806にて、ベンダーネットワークを介して、ベンダーの公衆用装置320に接続する。808にて、ユーザは、選ばれたベンダー印刷装置320に対して印刷ジョブを送信し、ラップトップコンピュータ(ノートPC)のエージェントコンポーネント360は、ポータル102を介してアカウント管理システム104に接続し、ベンダーの公衆用装置320の利用を要求する。
【0038】
アカウント管理システム104は、810にてその要求を受信し、812にて使用可能な印刷単位をその公衆用装置320に投入し、アカウント管理システム104は、当該ユーザのアカウントにとって現在使用可能なクレジット数を、その公衆用装置320と現在の価格設定情報112とに従って印刷単位数に変換する。そしてベンダー装置320は、814にてそのユーザのジョブを印刷し、アカウント管理システム104は、816にて、使用された印刷単位の数に従って、当該ユーザのアカウントクレジットを引き落とす。
【符号の説明】
【0039】
102 ポータル、104 アカウント管理システム、302 顧客ネットワーク、320 文書処理装置、321 コントローラ、322 消耗品、323 メモリ、324 媒体供給部、325 印刷エンジン、326 通信インタフェース、330a 顧客コンピュータ、360 エージェント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの消耗品を用いて1以上の文書処理動作を実行する機能を持つ少なくとも1つの文書処理コンポーネントと、
前記文書処理システムが前記1以上の文書処理動作を実行できるようにするために現在使用可能な印刷単位の量を示す残り印刷単位値を記憶するメモリと、
前記メモリ及び前記文書処理コンポーネントに対して機能的に接続されたプログラム可能なコンピュータであって、(1)ある文書処理ジョブに関連する文書処理動作を実行するためのジョブコスト印刷単位値と、(2)前記残り印刷単位値が非ゼロか否かと、を求めるようプログラムされたプログラム可能なコンピュータと、
を備え、
前記残り印刷単位値が非ゼロである場合には、前記プログラム可能なコンピュータは、前記文書処理コンポーネントに、選択的に、(1)前記文書処理動作の実行、及び(2)求められた前記ジョブコスト印刷単位値に従った前記残り印刷単位値の減少処理、を行わせ、
前記メモリは、前記文書処理装置がカラーページを印刷するのに消費する印刷単位の数とモノクロページを印刷するのに消費する印刷単位の数との比を示す現ページ価格比の値を記憶していると共に、前記プログラム可能なコンピュータは、文書処理ジョブを実行するためのコストを、前記現ページ価格比を用いることにより、当該ジョブのカラー内容に従って、印刷単位に換算して求めるようプログラムされている、
ことを特徴とする文書処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の文書処理装置であって、前記メモリは、カラーページ1ページを印刷するために前記文書処理装置が消費する投入された使用可能な印刷単位数を表す、複数の異なる現ページ価格比を記憶しており、前記各現ページ価格比は処理対象のカラーページについての異なる複数のページ印刷面積レベルにそれぞれ対応しており、前記プログラム可能なコンピュータは、所与の文書処理ジョブのカラーページのページ印刷面積レベルを求めると共に、前記ジョブを実行するためのコストを、求めたページ印刷面積レベルに従って選択された現ページ価格比を用いることにより、印刷単位に換算して求めるようプログラムされている、ことを特徴とする文書処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の文書処理装置であって、前記メモリは、前記文書処理装置に対して投入された印刷単位の合計数を示す使用済み印刷単位合計値と、各々がページ価格比値及び閾値を含む少なくとも1つの値ペアを含んだスタックと、を記憶していると共に、前記プログラム可能なコンピュータは、前記使用済み印刷単位合計値の現在の値を前記スタック内の各閾値とそれぞれ比較し、前記現ページ価格比を、前記使用済み印刷単位合計値の現在の値以下で最高の前記閾値に対応するページ価格比に合わせるようプログラムされている。ことを特徴とする文書処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の文書処理装置であって、前記プログラム可能なコンピュータは、選択的に、前記文書処理コンポーネントに、前記残り印刷単位値がゼロに達した場合に、機能レベルを低下させた状態で文書処理動作を実行させる、ことを特徴とする文書処理装置。
【請求項5】
投入された使用可能な印刷単位に基づき顧客から指示された動作を実行可能とするよう構成された少なくとも1つの文書処理装置のプリペイド使用を管理するための方法であって、
複数のアカウントについて、データ記憶部内にアカウント情報を格納するステップであって、前記各アカウントは、それぞれ対応する顧客に関連づけられており、前記各アカウントについての前記アカウント情報は、前記対応する顧客が以前に支払いを行った前記アカウントにとって現在使用可能なアカウントクレジットの量を示す使用可能クレジット値と、前記アカウントに使用可能なアカウントクレジットを前記アカウントに対して登録された特定の文書処理装置についての印刷単位に変換するための少なくとも1つの変換係数を含んだ現在価格設定情報と、を含むところのステップと、
ある特定のアカウントの顧客からのポータルを介した要求に応じて、コンピュータプロセッサを用いて、前記特定のアカウントに対して現在のレートでクレジットを追加し、顧客の支払いが確認されれば、前記特定のアカウントについての前記使用可能クレジット値に対して支払われた新たなクレジットに対応する数を追加するステップと、
前記特定のアカウントの前記顧客からの前記ポータルを介した要求に応じて、前記コンピュータプロセッサを用いて、前記特定のアカウントに関連づけられたある特定の文書処理装置と前記特定のアカウントについての前記要求の時点での現在価格設定情報とに従って、前記特定のアカウントにとって現在使用可能なクレジットの数を印刷単位の数に変換することにより、前記特定の文書処理装置に対して印刷単位を追加するステップと、
を含む方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記各アカウントについてのアカウント情報は、対応する残り印刷単位値がゼロに達したときに、前記顧客により当該アカウントに対して登録された1つ又は複数の文書処理装置がある低下させた機能レベルで動作させることを許可するか否かを示す、機能低下情報を含み、前記方法は、選択的に、特定の文書処理装置に対し、対応する印刷単位値がゼロに達したときに、その機能低下情報に基づいて低下させた機能レベルでの文書処理動作を実行するよう許可するステップを更に含む、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、更に、前記顧客により当該アカウントに対して登録された特定の文書処理装置に関連づけられた少なくとも1つの装置サブアカウントについての装置サブアカウント情報を含む登録済み装置情報を記憶するステップを含み、前記各装置サブアカウントについての前記装置サブアカウント情報は、異なる複数の現ページ価格比を含んでおり、前記各現ページ価格比は、前記特定の文書処理装置がカラーページを1ページ印刷するのに消費する投入された使用可能な印刷単位の数を示し、前記各現ページ価格比は、処理対象の文書のカラーページについての異なる複数のページ印刷面積レベルにそれぞれ対応しており、前記方法は、更に、特定の文書処理装置に対して、印刷ジョブのカラーページのページ印刷面積レベルを求め、対応する現ページ価格比に従って、当該カラーページを印刷するために、対応する数の使用可能な印刷単位を消費するよう許可するステップ、を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−159289(P2011−159289A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13641(P2011−13641)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】