説明

プリンタ、プリンタシステムおよびプリンタドライバ

【課題】複数枚のラベルを異なる余白節約形態で印刷可能なプリンタシステムを提案すること。
【解決手段】プリンタシステム1では、ロール紙15に複数ページの印刷を連続して行う場合には、ホスト装置4のプリンタドライバ8の印刷設定画面9上において、上端節約モード指定をオフに設定し、例えば2ページ目のみを「下端節約ページ」に指定する(ST4)。インクジェットプリンタ2ではホスト装置4から受信した印刷データから下端節約ページの指定を検出すると(ST13)、当該2ページ目の印刷時には下端余白を詰めた状態で印刷されたラベルを発行する(ST15)。プリンタシステム1を用いれば、ユーザにとって使い勝手のよい余白節約形態で各ラベルを連続して発行できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷データを、ロール紙などの連続紙における所定の長さ毎に区切られる複数のページに順次に印刷するプリンタ、プリンタシステム、および、当該プリンタシステムに用いるプリンタドライバに関する。さらに詳しくは、ページの先頭あるいは後端に発生する余白を詰めた余白節約モードで各ページに印刷を行うことのできるプリンタ、プリンタシステムおよびプリンタドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
連続紙、例えば、ロール紙に印刷を行うプリンタでは、プリンタに接続されたホスト側のコンピュータにインストールされたプリンタドライバの側から1ページ分の用紙の長さを含む用紙サイズの指定などを行い、プリンタの側においては、指定されたページ長さで印刷データを印刷し、ページの先頭位置および後端位置においてオートカッタによって連続紙を幅方向に切断して、一定の長さのラベルを連続して発行している。特許文献1には、連続紙に所定のページ長さで印刷して所定の長さのラベルを発行するプリンタ装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−307767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
指定したページ長さに対して印刷データが少ない場合には、連続紙搬送方向における各ページの先頭側あるいは後端側に広い余白が発生する。連続紙に対して、連続して複数のページを印刷する場合には、前後の余白を詰めて印刷すれば、連続紙の無駄を無くすことができる。そこで、ロール紙プリンタなどにおいて、そのプリンタドライバの側からプリンタの印刷モードを、余白を詰めた状態で印刷および切断を行う余白節約モードに設定できるようにできると、ユーザにとって使い勝手のよいラベルなどの記録紙片を発行することができるので便利である。
【0004】
本発明の課題は、この点に鑑みて、ロール紙などの連続紙に対して連続して複数のページに印刷を行う場合に、各種の余白節約形態で、各ページに印刷を行うことのできるプリンタ、プリンタシステムおよびプリンタドライバを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、
印刷データを、連続紙における所定の長さ毎に区切られる複数のページに順次に印刷するプリンタであって、各ページについて、余白節約モードをページ単位で指定可能な余白節約ページ指定手段と、前記余白節約モードが指定されているページについては、当該ページの先頭部分および/または後端部分の余白を詰めるように、当該ページの先頭位置および/または後端位置を設定する印刷制御手段とを有していることを特徴としている。
【0006】
本発明のプリンタでは、余白節約モードをページ単位で指定することができる。例えば、1枚のページについては余白を残した設定ページ長のものとし、これに連続するページについては余白を詰めた短いページ長のものとすることができる。この結果、アプリケーションソフト上で作成した用紙サイズ情報などを変更することなく、例えば、余白付きの長いラベル、余白無しの短いラベルを簡単に作成することができる。
【0007】
ここで、余白節約ページを直接指定できるようにする代わりに、各ページについて一括して前記余白節約モードを指定可能な一括余白節約モード指定手段と、この一括余白節約モード指定手段によって前記余白節約モードが指定されている場合において、当該余白節約モードをページ単位で無効にすることのできる無効ページ指定手段とを備えた構成としてもよい。この場合には、一括余白節約モード指定手段によって全ページを余白節約モードに指定し、しかる後に、任意のページについて余白節約モードを個別に解除すれば、解除されずに残っているページのみが余白節約ページとして指定された状態になる。
【0008】
また、前記余白節約モードを、前記ページの先頭側の余白を発生させない上端余白節約モードおよび前記ページの後端側に余白を発生させない下端余白節約モードのうちの少なくとも一方とすることができる。
【0009】
さらに、前記余白節約モードに、前記上端余白節約モードと前記下端余白節約モードが含まれている場合には、前記上端余白節約モードおよび前記下端余白節約モードの双方あるいは一方を、前記余白節約モードとして選択可能なモード選択手段を有していることが望ましい。
【0010】
上端余白節約モードが選択されると、余白節約ページとして指定されたページでは、先頭の余白を詰めた状態で印刷が行われる。下端余白節約モードが選択されると、余白節約ページとして設定されたページでは、後端の余白を詰めた状態で印刷が行われる。先頭および後端の双方の余白の節約モードが選択されると、余白節約ページとして設定されたページでは前後の余白を詰めた状態で印刷が行われる。このように、各種の余白節約形態で、ページ毎に印刷を行うことができるので、ユーザにとって使い勝手のよいラベルなどの記録紙片を発行可能なプリンタシステムを実現できる。
【0011】
ここで、プリンタシステムは、一般に、プリンタと、アプリケーションソフトによって作成された前記印刷データを前記プリンタに供給するホスト装置とを備えた構成とされる。この場合、前記ホスト装置は、前記連続紙のページ長さを指定するページ長さ指定手段と、前記余白節約ページ指定手段と、前記ページ長さ指定手段および前記余白節約モード指定手段による設定情報を含む前記印刷データを前記プリンタに供給する印刷データ供給手段とを備えた構成とすることができる。
【0012】
前記プリンタは、印刷ヘッドと、この印刷ヘッドによる印刷位置よりも前記連続紙搬送方向の下流側の切断位置において当該連続紙を幅方向に切断する切断手段と、前記印刷位置および前記切断位置を経由させて前記連続紙を搬送する搬送手段と、前記印刷ヘッド、前記切断手段および前記搬送手段を駆動制御する前記印刷制御手段とを備えた構成とすることができる。また、前記印刷制御手段は、前記ホスト装置から供給される前記印刷データに含まれている前記指定情報に基づき、前記余白節約モードが指定されている前記ページについては前記余白を詰めるように前記連続紙の搬送制御、当該連続紙に対する印刷制御、および当該連続紙の切断制御を行う。
【0013】
次に、本発明は、上記構成のプリンタシステムにおけるコンピュータを備えた前記ホスト装置にインストールされるプリンタドライバであって、前記連続紙の前記ページ長さを設定するページ長さ指定手段と、前記余白節約ページ指定手段と、これらの指定手段による設定情報を含む前記印刷データを前記プリンタに供給する印刷データ供給手段として前記ホスト装置のコンピュータを機能させることを特徴としている。
【0014】
ここで、前記ページ長さ指定手段および前記余白節約ページ指定手段は、前記ホスト装置の表示器に表示させた印刷設定画面上において、前記ページ長さの入力、および、前記余白節約モードにより印刷すべきページの指定入力が可能なものとすることができる。
【0015】
また、前記余白節約ページ指定手段は、前記印刷設定画面上において、各ページについて一括して前記余白節約モードを指定入力可能な一括余白節約モード指定手段と、この一括余白節約モード指定手段によって前記余白節約モードが指定された場合において、前記印刷設定画面上において、ページ単位で当該余白節約モードを無効にすることのできる無効ページ指定手段とから構成することができる。
【0016】
さらに、前記余白節約モードは、前記ページの先頭側の余白を詰める上端余白節約モードおよび前記ページの後端側に余白を詰める下端余白節約モードのうちの少なくとも一方とすることができる。
【0017】
さらにまた、前記余白節約モードに、前記先頭余白節約モードと前記後端余白節約モードが含まれている場合には、前記印刷設定画面上において、前記先頭余白節約モードおよび前記後端余白節約モードの双方あるいは一方を、前記余白節約モードとして操作者が選択可能なモード選択手段を有している構成とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、余白節約モードをページ単位で指定できるようにしてある。したがって、ロール紙などの連続紙に対して、複数のページを連続して印刷するに際して、ページ毎に余白の有無を設定して異なるページ長さで印刷を行うことができる。よって、従来に比べて使い勝手のよいラベルなどの記録紙片を発行可能なプリンタを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したプリンタとプリンタシステムの実施の形態を説明する。
【0020】
(全体構成)
図1は本実施の形態に係るプリンタシステムの全体構成図である。プリンタシステム1は、ロール紙に印刷を行うことのできるインクジェットプリンタ2と、このインクジェットプリンタ2に通信回線3を介して接続されたホスト装置4とを有している。
【0021】
ホスト装置4は、コンピュータ5と、ここに接続されているキーボードなどの入力装置6および液晶表示器などの出力装置7などから構成されている。コンピュータ5には、インクジェットプリンタ2のプリンタドライバ8がインストールされている。プリンタドライバ8は、コンピュータ5などにインストールされているアプリケーションソフトによって作成されたデータを、インクジェットプリンタ2によって印刷可能な印刷データに編集してインクジェットプリンタ2に供給する。また、プリンタドライバ8を起動することにより出力装置7に表示される印刷設定画面9から、インクジェットプリンタ2の印刷動作モード、印刷対象の用紙サイズ設定などを行うことが可能である。
【0022】
図2はインクジェットプリンタ2のロール紙カバーおよびインクカートリッジカバーを全開にした状態を示す外観斜視図である。図1および図2を参照して説明すると、インクジェットプリンタ2は、箱型の外装ケース12を備えており、この外装ケース12の前面には、ロール紙カバー12aおよびインクカートリッジカバー12bが左右に並んでおり、これらの上には、印刷後の記録紙を排出するための排紙口13が形成されている。図2に示すように、ロール紙カバー12aを開くと外装ケース12の内部に形成されているロール紙収納部14が開放状態になり、ここに収納されているロール紙15(連続紙)の補充や交換を行うことができる。インクカートリッジカバー12bを開くと、インク液を封入したインクカートリッジ16を装着するためのカートリッジ装着部17が開放状態になり、インクカートリッジ16の装着や取り外しが可能になる。
【0023】
図3はインクジェットプリンタ2の内部構造を示す概略断面図である。インクジェットプリンタ2の内部にはロール紙収納部14が形成されており、このロール紙収納部14の上方には、プリンタ幅方向に水平にキャリッジガイド軸21が配置され、このキャリッジガイド軸21に沿ってプリンタ幅方向にキャリッジ22がガイドされる。キャリッジ22には下向き状態でインクジェトヘッド23が搭載されている。キャリッジ22は無端ベルト24に連結されており、無端ベルト24はキャリッジモータ25の出力軸に掛け渡されており、キャリッジモータ25が回転するとインクジェットヘッド23が搭載されたキャリッジ22がプリンタ幅方向(ロール紙15の紙幅方向)に往復移動する。
【0024】
インクジェットヘッド23は、インクを吐出するための複数のノズルが形成されたノズル面23aを備えており、ノズル面23aがキャリッジ22の下側において下向きになって露出している。インクジェットヘッド23のノズル面23aは、その下側位置において水平に配置されたプラテン26に対峙している。プラテン26の上面によって規定される印刷位置を通って送り出された記録紙15aにノズル面23a上の各ノズルからインク滴を吐出して印刷が行われる。
【0025】
次に、記録紙15aを搬送するための搬送機構を説明する。プラテン26の後側(搬送方向の上流側)には、後側紙送りローラ31および後側紙押えローラ32がプリンタ幅方向に水平に架け渡されている。後側紙送りローラ31には、記録紙15aを介して後側紙押えローラ32が上側から所定の押圧力で押し付けられている。プラテン26の前端側には、前側紙送りローラ33および前側紙押えローラ34が配置されている。前側紙送りローラ33には記録紙15aを介して前側紙押えローラ34が上側から押し付けられている。後側紙送りローラ31および前側紙送りローラ33は、不図示の紙送りモータによって同期して回転駆動される。
【0026】
ロール紙15は、排紙口13から手で掴んだ分の長さを引き出された状態でロール紙カバー12aを閉めてセットされる。ロール紙収納部14のロール紙15から繰り出される記録紙15aは、テンションガイド35によって所定の張力が付与された状態でプラテン26の上面の印刷位置を経由する搬送路に沿って搬送される。不図示の紙送りモータが駆動されると、後側紙送りローラ31および前側紙送りローラ33が回転し、記録紙15aが一定の送り量で1行印刷毎に間欠送りされる。記録紙15aの送りと同期してインクジェットヘッド23が駆動され、印刷位置を通過する記録紙15aの表面に印刷が行われる。
【0027】
印刷済みの記録紙15aは排紙口13から排出された状態で停止する。排紙口13の近傍にはオートカッタ36が配置されており、このオートカッタ36によって記録紙15aの先端の印刷部分が切断され、印刷済みの記録紙片あるいはラベルが発行される。
【0028】
なお、記録紙15aの搬送路上には、記録紙検出用の透過型センサ、反射型センサ(図示せず)が配置されている。記録紙15aが、長尺状の剥離台紙の表面に一定の間隔で剥離可能な状態で矩形のラベルが貼り付けられた構成のラベル用紙の場合には、一般に、各ラベルの位置を表すために剥離台紙の裏面には、予め一定の間隔でブラックマークが印刷されている。ブラックマークは、剥離台紙の裏面において各ラベルの搬送方向の下流側の端縁に対応する部分に印刷されている。このブラックマークを検出することにより各ラベルの位置を検出でき、各ラベル上に印刷を行うことができる。また、透過型センサによってラベル用紙の透過率を検出することにより、ブラックマークが印刷されていなくても、ラベルの位置を検出できる。
【0029】
これに対して、後述のように、剥離台紙にテープ状のラベルが貼り付けられている構成のラベル用紙の場合、あるいは、糊の付いていない長尺状の記録紙(連続紙)の場合には、プリンタドライバ8の側から用紙サイズを指定することにより、指定された用紙サイズに対して予め設定されているベージ長さで各ページの印刷が行われ、各ページの先頭位置および後端位置においてオートカッタ36によって記録紙が切断されて、一定の長さの記録紙片あるいはラベルが発行される。また、後述のように、余白節約モードが指定されている場合には、余白を詰めた状態で印刷が行われ、余白の無い短いページ長の記録紙片あるいはラベルが発行される。
【0030】
(制御系)
次に、図4はインクジェットプリンタ2の制御系を示す概略ブロック図である。インクジェットプリンタ2の制御系は、CPU、ROM、RAMなどを備えた制御部40(印刷制御手段)を中心に構成されている。制御部40には、送受信部41を介して、ホスト装置4から印刷データやコマンドなどが供給される。制御部40は、ホスト装置4などからの印刷指令に基づき、各部の駆動を制御して、紙送り動作および印刷動作を実行する。
【0031】
制御部40の出力側には、ヘッドドライバ23bを介してインクジェットヘッド23が接続されている。また、モータドライバ43、44を介してキャリッジモータ25および紙送りモータ45が接続されている。制御部40の入力側には、操作入力部40a、各種のセンサ群46が接続されている。制御部40は、センサ群の各検出出力などに基づき、記録紙搬送処理、印刷処理などを制御する。
【0032】
プリンタドライバ8がインストールされているホスト装置4のコンピュータ5はインクジェットプリンタ2の動作モードの指定手段、用紙サイズ指定手段などとして機能する。本例では、ホスト装置4の出力装置7に表示される印刷設定画面9(図1参照)の用紙設定画面上において、ページサイズ(用紙サイズ)の指定(ページ長さ指定手段)、ロール紙オプション指定として定型モードおよびロール紙節約モード(余白節約モード)を選択できる。また、ロール紙節約モードを選択した場合には、全ページ用紙節約モードの設定(一括余白節約モード指定手段)、最終ページ用紙節約モードの設定を選択できる。さらに、定型モードが選択された場合には、ページ単位で用紙節約モードによって印刷を行う用紙節約ページの設定(余白節約ページ指定手段)を行うことができる。ページサイズが設定されると、予め定められている定型モードによるページ長さが設定される。ロール紙節約モードが選択されると、用紙搬送方向における後端側の余白が発生しないように、インクジェットプリンタ2の印刷モードを「下端節約モード」に設定するコマンドが送信される。また、用紙節約ページに指定されたページの印刷データには、当該ページが用紙節約ページである旨のコマンドを付加してインクジェットプリンタ2に送信される。
【0033】
イクジェットプリンタ2の制御部40は、送受信部41を介して受信した印刷データを解析して、用紙サイズ、用紙節約モードの指定の有無、用紙節約ページの指定の有無、各ページの先頭側余白、印刷開始位置、印刷終了位置、後端側余白などを判別し、指定されたモードに従って各ページの印刷制御を行う。
【0034】
定型モードが指定されている場合には、設定されているページ長さでロール紙15から繰り出される記録紙15aに対して各ページの印刷データが印刷され、各ページの後端位置において記録紙15aを切断して一定の長さの記録紙片(ラベル)を発行する。
【0035】
ロール紙節約モードが指定されている場合には、各ページの後端側の余白を詰めて記録紙15aに印刷を行わせ、各ページの印刷終了位置において記録紙15aを切断して下端余白の無い記録紙片(ラベル)を発行する。用紙節約ページに指定されたページについても同様に後端側の余白を詰めてロール紙に印刷を行わせ、当該ページの印刷終了位置においてロール紙を切断して後端余白の無い記録紙片を発行する。
【0036】
(印刷制御動作の例)
図5は、プリンタシステム1によって連続して2ページに印刷を行って2枚のラベルを発行する印刷ジョブの流れを示す概略フローチャートである。図6は2ページ分の印刷データを示す説明図である。3枚以上のページを印刷する印刷ジョブの場合も同様である。
【0037】
これらの図を参照して説明すると、まず、ホスト装置4では、アプリケーションソフトが作成した2ページ分のラベルA1、A2の印刷が指示されると、プリンタドライバ8を起動して印刷設定画面9を表示し、操作者に印刷設定を促す(図5のステップST1)。2ページ分のラベルA1、A2の印刷レイアウトは、アプリケーションソフト上では、図6(a)に示すように長さL1、L2である。また、1ページ目のラベルA1の印刷データは、その上半部分(先頭側の半分)が長さL11の印刷領域であり、その下半部分(後端側の半分)は長さL12の余白領域である。2ページ目のラベルA2の印刷データは、その上端部分の短い長さL21にのみ印刷データがあり、それ以外の長さL22の部分は余白領域となっている。
【0038】
操作者によって、例えば、用紙サイズとして所定サイズのロール紙が指定され、用紙節約モード指定がオフに設定され、用紙節約ページとして2ページ目が指定されたものとする(図5のステップST2)。印刷設定画面に表示されているOKボタンをクリックすると設定が確定し、用紙サイズなどに基づき、インクジェットプリンタ2に送信される2ページ分の印刷データが編集され、当該印刷データがインクジェットプリンタ2に向けて送信される(図5のステップST3、ST4、ST5)。送信されるデータには、用紙節約モード指定がオフである旨を表すコマンドと、2ページ目が用紙節約ページに指定されていることを表すコマンドが含まれている。また、各ページの印刷データには余白位置を表す余白データが含まれている。
【0039】
印刷データを受信したインクジェットプリンタ2の制御部40では、受信データから用紙節約モードが設定されているか否かを判別する。例えば、本例の用紙節約モードは、後端余白を省略する「下端節約モード」であるとすると、この「下端節約モード」が指定されている否かを判別する(図5のステップST11)。本例では「下端節約モード」がオフであるので、「NO」の流れに沿って進み、用紙節約ページの指定の有無、本例では「下端節約ページ」の指定の有無を判別する(図5のステップST12)。本例では2ページ目に「下端節約ページ」が指定されているので、「YES」の流れに沿ってステップST13に進み、印刷動作を開始する。まず、1ページ目の印刷時には、1ページ目は「下端節約ページ」ではないので、「NO」の流れに沿ってステップST14に進み、定型のページ長さL1で1ページ分のラベルA1の印刷データをロール紙15から繰り出された記録紙15aに印刷する。印刷後の記録紙15aの部分は、ページ後端位置においてオートカッタ36によって切断される。これにより、図6(b)に示すように長さL1の1ページ目のラベルA1(1)が得られる。このラベルA1(1)には、図6(a)に示すアプリケーションソフト上のレイアウトに対応して、余白部分が含まれた状態で印刷が施される。
【0040】
次に、図5のステップST16を経由して再びステップST13に戻り、2ページ目の印刷を行う。2ページ目は「下端節約ページ」に指定されているので、「YES」の流れに沿ってステップST15に進み、後端側の余白を詰めた状態のラベルA2(2)を発行する。すなわち、ロール紙15の記録紙15aの先頭をインクジェットヘッド23による印刷位置まで引き戻し、しかる後に、記録紙15aを前方に送り出しながら印刷を行う。印刷後には、印刷終了位置がオートカッタ36の切断位置に至ると記録紙15aの送りを停止し、この位置で記録紙15aを切断する。この結果、図6(b)に示すように下端余白の無い短いページ長さL21のラベルA2(2)が発行される。
【0041】
なお、インクジェットプリンタ2の制御部40は、「下端節約モード」および「下端節約ページ」のいずれも指定されていない印刷データを受信した場合には、図5におけるステップST12から「NO」の流れに沿って進み、ステップST17およびステップST18を順次に実行して、一定の長さL1の2枚のラベルを作成して発行する。すなわち、図6(a)に示すアプリケーションソフト上のレイアウトと同様な余白付きの2枚のラベルA1(1)、A2(1)が、図6(c)に示すように、得られる。
【0042】
これに対して、インクジェットプリンタ2の制御部40は、「下端節約モード」が指定されている印刷データを受信した場合には、図5におけるステップST11から「YES」の流れに沿ってステップST19、ステップST20を順次に実行して、図6(d)に示すように、下端余白を詰めた状態の2枚のラベルA1(2)、A2(2)が発行される。
【0043】
このように、本例のプリンタシステム1では、複数枚のラベルを印刷するに当たり、プリンタドライバ8の側からページ単位で「下端節約ページ」を指定できるようになっている。したがって、ユーザにとって使い勝手のよいラベルを発行可能なプリンタシステムを実現できる。
【0044】
例えば、図7に示すような図医療関係のA4サイズのカルテ70の場合には、ラベルを貼るスペースが複数個所、例えば2ヶ所用意しておくことができる。この場合、上側のラベル貼り付けスペース71には、下端余白の付いているラベルA1(1)を貼る。下側のラベル貼り付けスペース72には、下端余白を詰めたラベルA2(2)を貼る。これらのラベルのアプリケーションソフト上のラベルA1、A2のレイアウト上の長さはL1、L2である。ラベルA1は患者名、バーコードなどが印刷されたラベルであり、このラベルA1には、追記でコメントなどを入れることのできる下端余白を残しておく必要がある。そこで、プリンタシステム1において、「下端節約ページ」を指定することなく、下端余白のあるラベルA1(1)を作成すればよい。これに対して、ラベルA2は患者の病状を印刷するためのものであり、患者毎に印刷行数などが相違する。下端余白の長さは印刷行によって異なるが、下端余白は不要である。そこで、プリンタシステム1において、「下端節約ページ」を指定することにより、下端余白を詰めたラベルA2(2)を作成すればよい。このように、本例のプリンタシステム1を用いれば、ユーザの要求に応じてページ毎に余白の有無を設定できるので、ユーザにとって使い勝手のよいラベルなどの記録紙片を発行できる。
【0045】
(その他の実施の形態)
上記のプリンタシステム1では、「下端節約モード」が指定されていない場合に、「下端節約ページ」をベージ単位で指定できるようにしている。この代わりに、「下端節約モード」を指定した後に、ページ単位で「下端節約ページ」の指定を無効にし、あるいは解除する無効ページ指定手段をプリンタドライバ8の印刷設定画面に配置してもよい。
【0046】
図8は、この場合におけるプリンタシステム1の印刷動作を示す概略フローチャートであり、図5の場合と同様に2ページ分のラベルを印刷する印刷ジョブの実行を示すものである。3枚以上のページ(ラベル)を印刷する印刷ジョブの場合も同様である。
【0047】
この場合においては、まず、ホスト装置4では、2ページ分のラベルの印刷が指示されると、プリンタドライバ8が起動して、印刷設定画面を表示し、操作者に印刷設定を促す(ステップST21)。操作者によって、例えば、用紙サイズとして所定サイズのロール紙が指定されると共に、「下端節約モード」指定がオンに設定され、「下端節約ページ」の無効ページが2ページ目に指定されるものとする(ステップST22)。印刷設定画面に表示されているOKボタンをクリックすると設定が確定し、用紙サイズなどに基づき、インクジェットプリンタ2に送信される2ページ分の印刷データが編集され、編集された印刷データがインクジェットプリンタ2に向けて送信される(ステップST23、ST24、ST25)。送信されるデータには、「下端節約モード」指定がオンである旨を表すコマンドと、2ページ目が無効ページ指定されていることを表すコマンドが含まれている。また、各ページの印刷データには余白位置を表す余白データが含まれている。
【0048】
印刷データを受信したインクジェットプリンタ2の制御部40では、受信データから「下端節約モード」であるか否かを判別する(ステップST31)。本例では「下端節約モード」がオンであるので、「YES」の流れに沿って進み、「無効ページ指定」の有無を判別する(ステップST32)。本例では2ページ目に「無効ページ指定」が設定されているので、「YES」の流れに沿ってステップST33に進み、印刷動作を開始する。まず、1ページ目の印刷時には、1ページ目は「無効ページ指定」が設定されたページではないので、「NO」の流れに沿ってステップST34に進み、定型のページ長さで1ページ分のラベルの印刷データをロール紙15から繰り出された記録紙15aに印刷する。印刷後の記録紙15aの部分は、ページ後端位置においてオートカッタ36によって切断される。これにより、下端余白を備えた定型の長さの1ページ目のラベルA1(1)(図6(b)参照)が得られる。
【0049】
次に、ステップST36を経由して再びステップST33に戻り、2ページ目の印刷を行う。2ページ目は「無効ページ指定」が設定されているので、「YES」の流れに沿ってステップST35に進み、後端側の余白を詰めた状態のラベルA2(2)(図6(b)参照)を発行する。すなわち、ロール紙15の記録紙15aの先頭をインクジェットヘッド23による印刷位置まで引き戻し、しかる後に、記録紙15aを前方に送り出しながら印刷を行う。印刷後には、印刷終了位置がオートカッタ36の切断位置に至ると記録紙15aの送りを停止し、この位置で記録紙15aを切断する。
【0050】
なお、インクジェットプリンタ2の制御部40は、「下端節約モード」が指定されているが、「無効ページ指定」が設定されていない印刷データを受信した場合には、ステップST32から「YES」の流れに沿って進み、ステップST37およびステップST38を順次に実行して、下端余白を詰めた状態の2枚のラベルを作成して発行する。すなわち、図6(d)に示すように、下端余白を詰めた状態の2枚のラベルA1(2)、A2(2)が発行される。
【0051】
これに対して、インクジェットプリンタ2の制御部40は、「下端節約モード」が指定されていない印刷データを受信した場合には、ステップST31から「NO」の流れに沿ってステップST39、ステップST40を順次に実行して、すなわち、図6(c)に示すアプリケーションソフト上のレイアウトと同様な余白付きの2枚のラベルA1(1)、A2(1)が得られる。
【0052】
このようにして、無効ページ指定手段を備えた場合においても、複数枚のラベルを印刷するに当たり、プリンタドライバ8の側からページ単位で「下端節約ページ」の有無を指定できるので、ユーザにとって使い勝手のよいラベルを発行可能なプリンタシステムを実現できる。
【0053】
次に、上記の各例では、用紙節約モードとして、「下端節約モード」を指定して、記録紙搬送方向の後端側の余白を詰めるようにしている。用紙節約モードとしては、「上端節約モード」を指定して、記録紙搬送方向の先頭側の余白を詰めるようにしてもよい。また、「上端節約モード」および「下端節約モード」を同時に選択して、先頭側の余白および後端側の余白の双方を詰めるように印刷を行うようにすることも可能である。
【0054】
上述の例では、プリンタドライバ8に用紙節約設定の各機能を持たせているが、インクジェットプリンタ2の制御部40にこれらの機能を持たせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明を適用したプリンタシステムの概略構成図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタの外観斜視図である。
【図3】図1のインクジェットプリンタの内部構成を示す説明図である。
【図4】図1のプリンタシステムの制御系を示す機能ブロック図である。
【図5】図1のプリンタシステムの印刷動作を示す概略フローチャートである。
【図6】上端節約モードにより作成したラベルを示す説明図である。
【図7】ラベルの用途の一例を示す説明図である。
【図8】図1のプリンタシステムの印刷動作の別の例を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1 プリンタシステム、2 インクジェットプリンタ、3 通信回線、4 ホスト装置、5 コンピュータ、6 入力装置、7 出力装置、8 プリンタドライバ、9 印刷設定画面、12 外装ケース、14 ロール紙収納部、15 ロール紙、15a 記録紙、21 キャリッジガイド軸、22 キャリッジ、23 インクジェットヘッド、23a ノズル面、23b ヘッドドライバ、24 無端ベルト、25 キャリッジモータ、26 プラテン、31 後側紙送りローラ、32 後側紙押さえローラ、33 前側紙送りローラ、34 前側紙押さえローラ、35 テンションガイド、36 オートカッタ、40 制御部、40a 操作入力部、41 送受信部、43,44 モータドライバ、45 紙送りモータ、46 センサ群、70 カルテ、71,72 ラベル貼り付けスペース、A1,A2 アプリケーションソフト上のラベル、A1(1),A1(2),A2(1),A2(2) ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを、連続紙における所定の長さ毎に区切られる複数のページに順次に印刷するプリンタであって、
各ページについて、余白節約モードをページ単位で指定可能な余白節約ページ指定手段と、
前記余白節約モードが指定されているページについては、当該ページの先頭部分および/または後端部分の余白を詰めるように、当該ページの先頭位置および/または後端位置を設定する印刷制御手段とを有していることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記余白節約ページ指定手段は、
各ページについて一括して前記余白節約モードを指定可能な一括余白節約モード指定手段と、この一括余白節約モード指定手段によって前記余白節約モードが指定されている場合において、当該余白節約モードをページ単位で無効にすることのできる無効ページ指定手段とから構成されることを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプリンタにおいて、
前記余白節約モードは、前記ページの先頭側の余白を発生させない上端余白節約モードおよび前記ページの後端側に余白を発生させない下端余白節約モードのうちの少なくとも一方であることを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項3に記載のプリンタにおいて、
前記余白節約モードには、前記上端余白節約モードと前記下端余白節約モードが含まれており、
前記上端余白節約モードおよび前記下端余白節約モードの双方あるいは一方を、前記余白節約モードとして選択可能なモード選択手段を有していることを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項に記載のプリンタと、
前記プリンタに対して通信回線を介して前記印刷データを供給するコンピュータを備えたホスト装置とを有し、
前記ホスト装置は、前記連続紙のページ長さを指定するページ長さ指定手段と、前記余白節約ページ指定手段と、前記ページ長さ指定手段および前記余白節約モード指定手段による設定情報を含む前記印刷データを前記プリンタに供給する印刷データ供給手段とを備えており、
前記プリンタは、印刷ヘッドと、この印刷ヘッドによる印刷位置よりも前記連続紙搬送方向の下流側の切断位置において当該連続紙を幅方向に切断する切断手段と、前記印刷位置および前記切断位置を経由させて前記連続紙を搬送する搬送手段と、前記印刷ヘッド、前記切断手段および前記搬送手段を駆動制御する前記印刷制御手段とを備えており、
前記印刷制御手段は、前記印刷データに含まれている前記設定情報に基づき、前記余白節約モードが指定されている前記ページについては前記余白を発生させないように前記連続紙の搬送制御、当該連続紙に対する印刷制御、および当該連続紙の切断制御を行うことを特徴とするプリンタシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のプリンタシステムにおける前記ホスト装置にインストールされるプリンタドライバであって、
前記ページ長さ指定手段、前記余白節約ページ指定手段、および、前記印刷データ供給手段として前記ホスト装置のコンピュータを機能させることを特徴とするプリンタドライバ。
【請求項7】
請求項6に記載のプリンタドライバにおいて、
前記ページ長さ指定手段および前記余白節約ページ指定手段は、
前記ホスト装置の表示器に表示させた印刷設定画面上において、前記ページ長さの入力、および、前記余白節約モードにより印刷すべきページの指定入力が可能なものであることを特徴とするプリンタドライバ。
【請求項8】
請求項7に記載のプリンタドライバにおいて、
前記余白節約ページ指定手段は、
前記印刷設定画面上において、各ページについて一括して前記余白節約モードを指定入力可能な一括余白節約モード指定手段と、
この一括余白節約モード指定手段によって前記余白節約モードが指定された場合において、前記印刷設定画面上において、ページ単位で当該余白節約モードを無効にすることのできる無効ページ指定手段とを含むことを特徴とするプリンタドライバ。
【請求項9】
請求項7または8に記載のプリンタドライバにおいて、
前記余白節約モードは、前記ページの先頭側の余白を詰める先頭余白節約モードおよび前記ページの後端側に余白を詰める後端余白節約モードのうちの少なくとも一方であることを特徴とするプリンタドライバ。
【請求項10】
請求項9に記載のプリンタドライバにおいて、
前記余白節約モードには、前記先頭余白節約モードと前記後端余白節約モードが含まれており、
前記印刷設定画面上において、前記先頭余白節約モードおよび前記後端余白節約モードの双方あるいは一方を、前記余白節約モードとして操作者が選択可能なモード選択手段を有していることを特徴とするプリンタドライバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−285967(P2009−285967A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140505(P2008−140505)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】