説明

プリンタコントローラ、画像形成装置

【課題】有色トナー画像よりも高光沢の高光沢透明トナー画像を形成する高光沢透明画像形成部と有色トナー画像よりも低光沢の低光沢透明トナー画像を形成する低光沢透明画像形成部とを備えた有色トナー画像が形成可能な画像形成装置に用いられるプリンタコントローラにおいて、画像表面の光沢を制御可能にして付加価値の高い印刷を可能にすること。
【解決手段】画素あたりに用いられる各有色トナーの総量に基づいて、有色トナー画像の光沢値を画素毎に推定し、推定光沢値CLpとして出力する光沢度推定部13と、画像表面の光沢の度合いを指示する指示光沢値CLiを受け入れ、印刷結果がその指示光沢値CLiとなるように、指示光沢値CLiと推定光沢値CLpとに基づいて、高光沢透明画像形成部用の潜像形成信号CLh1または低光沢透明画像形成部用の潜像形成信号CLh2を生成、出力する潜像形成信号生成出力部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のプリンタエンジンを制御するプリンタコントローラ、及び、そのプリンタコントローラを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式の画像形成装置に、多色の有色トナー画像を実現させるプロセスカラーのトナー以外に、画像表面の光沢用として1種類の透明トナーを用いたものがある(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
また、高光沢透明トナーと低光沢透明トナーの2種類の透明トナーを使い分ける画像形成装置も知られている。
例えば、カラー画像用のトナーを用いる現像器に加え、透かし画像用のトナーとして、高光沢透明トナーを用いる現像器及び低光沢透明トナーを用いる現像器を配設したドラム式の現像ユニットを設け、搬送される記録材の表面の光沢度を測定する光沢度センサを画像形成部に設ける。そして、制御部が光沢度に応じて高光沢透明トナーか低光沢透明トナーかを選択し、選択された透明トナーによって、透かし画像用の透明トナー画像を形成することで、記録材の種類に拘わらず、透かし画像の判別を可能とした画像形成装置がある(例えば特許文献3参照)。
【0004】
ところで、シート状の記録材に形成した有色トナー画像に対し、ある画像領域は有色トナー画像本来の光沢よりも低い光沢にしたり、別の画像領域は有色トナー画像本来の光沢よりも高い光沢にしたり、あるいは、有色トナー画像本来の光沢をそのまま生かしたりできれば、付加価値の高い印刷物となる。
【0005】
例えば、写真と文字とが混ざったパンフレットやカタログなどを作製する場合、写真の画像領域を有色トナー画像本来の光沢よりも高い光沢にし、文字の画像領域を有色トナー画像本来の光沢よりも低い光沢にすれば、照り返しが低減されて文字は読みやすくなり、写真は質感や先鋭度が高まって高品位なものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、有色トナー画像の光沢度を境に、より高い光沢度にしたり、低い光沢度にしたりすることで付加価値の高い印刷物となるが、しかしながら、上述した特許文献1〜3では、このような印刷は実現できない。
すなわち、特許文献1または2は、用いる透明トナーが1種類のみであるため、上述したような幅の広い光沢度を得ることができない。
【0007】
特許文献3は、用いる透明トナーが高光沢と低光沢の2種類を用いているものの、透かし画像を見やすくする技術的手段しか開示されていない。つまり、この特許文献3は、光沢度センサで検出した記録材の種類が低光沢である場合、高光沢透明トナーを用いて透かし画像を形成し、光沢度センサで検出した記録材の種類が高光沢である場合、低光沢透明トナーを用いて透かし画像を形成することで、透かし画像を見やすくしているに過ぎず、有色トナー画像に対し、所望する光沢度を得るものではない。
【0008】
また、電子写真方式の画像形成装置は、有色トナー画像を実現させる複数のプロセスカラーの夫々のトナー量の割合を変え、網点、万線、もしくはFMスクリーン等を用いて、有色トナー画像を実現させる階調や色調を制御している。
一般に、トナー画像表面の光沢は、トナー付着量が多いほど高くなることから、有色トナー画像の表面の光沢は、一定の階調及び一定の色調の画像ではない限り、画素毎に光沢度が異なっている。上述した付加価値の高い印刷物を得るためには、このように画素毎に異なる光沢度を所望した光沢度にしていく必要がある。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決できるプリンタコントローラと画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明にかかるプリンタコントローラと画像形成装置は、下記の技術的手段を講じた。
本発明にかかるプリンタコントローラは、有色トナー画像を形成する有色画像形成部と、前記有色トナー画像よりも高光沢の高光沢透明トナー画像を形成する高光沢透明画像形成部と、前記有色トナー画像よりも低光沢の低光沢透明トナー画像を形成する低光沢透明画像形成部とを、シート状の記録材の表面に前記有色トナー画像を形成可能に、且つ、その有色トナー画像を覆うように、前記高光沢透明トナー画像と前記低光沢透明トナー画像とを形成可能に配置したプリンタエンジンを制御するプリンタコントローラであって、前記有色トナー画像を形成させる画素あたりの有色トナーの総量に基づいて、前記記録材に形成される前記有色トナー画像の光沢値を画素毎に推定して、推定光沢値として出力する光沢度推定部と、画像表面の光沢の度合いを画素毎に指示する指示光沢値を受け入れ、その指示光沢値と前記推定光沢値とを画素毎に比較し、前記推定光沢値が前記指示光沢値より低い場合は、その光沢値差に対応した量の高光沢透明トナーで現像させる潜像形成信号を生成して該潜像形成信号を前記高光沢透明画像形成部に出力し、前記推定光沢値が前記指示光沢値より高い場合は、その光沢値差に対応した量の低光沢透明トナーで現像させる潜像形成信号を生成して該潜像形成信号を前記低光沢透明画像形成部に出力する潜像形成信号生成出力部とを備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる画像形成装置は、前記プリンタエンジンと、前記プリンタコントローラとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像表面の光沢を制御可能にしたから、シート状の記録材に形成した有色トナー画像に対し、ある画像領域は有色トナー画像本来の光沢よりも低い光沢にしたり、別の画像領域は有色トナー画像本来の光沢よりも高い光沢にしたり、あるいは、有色トナー画像本来の光沢をそのまま生かしたりできる。したがって、付加価値の高い印刷物が印刷可能なプリンタコントローラ、画像形成装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1にかかるプリンタコントローラとプリンタエンジンとの関係を示したブロック図である。
【図2】プリンタエンジンの模式図である。
【図3】有色トナー層と透明トナー層との関係を示した模式的な縦断面図である。
【図4】低光沢用紙における各トナー層の表面光沢を示した線図である。
【図5】高光沢用紙における各トナー層の表面光沢を示した線図である。
【図6】実施の形態1にかかる画像形成装置を用いて画像形成した任意のトナー画像の模式的な縦断面図である。
【図7】実施の形態2にかかるプリンタコントローラとプリンタエンジンとの関係を示したブロック図である。
【図8】低光沢透明トナーと高光沢透明トナーとの付着量の割合を変化させた場合の定着後の表面光沢を示した線図である。
【図9】実施の形態2にかかる画像形成装置を用いて画像形成した任意のトナー画像の模式的な縦断面図である。
【図10】実施の形態3にかかるプリンタコントローラとプリンタエンジンとの関係を示したブロック図である。
【図11】実施の形態3のプリンタコントローラの変形例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明にかかるプリンタコントローラを備えた画像形成装置の実施の形態を説明する。
<実施の形態1>
実施の形態1にかかる画像形成装置は、図1に示すように、プリンタコントローラ1とプリンタエンジン2とを備える。
本発明の要部であるプリンタコントローラ1を詳述する前に、先ず、図2を参照しながら、プリンタエンジン2を説明する。
【0014】
プリンタエンジン2は、用紙搬送部と、画像形成部と、転写部と、定着部とを備える。
【0015】
用紙搬送部は、図示しない駆動モータを駆動源として回転可能に設けられた駆動ローラ211と、その駆動ローラ211から所要の間隔をおいて設けられた従動ローラ212と、従動ローラ212と駆動ローラ211とに架け渡され、用紙を密着させて図2において右方から左方に向かって搬送させる用紙搬送ベルト213とを備える。
【0016】
画像形成部は、イエロートナーを用いるイエロートナー画像用、マゼンタトナーを用いるマゼンタトナー画像用、シアントナーを用いるシアントナー画像用、黒トナーを用いる黒トナー画像用の4つの有色画像形成部22と、低光沢透明トナーを用いて有色トナー画像よりも低光沢の低光沢透明トナー画像を形成する低光沢透明画像形成部23と、高光沢透明トナーを用いて有色トナー画像よりも高光沢の高光沢透明トナー画像を形成する高光沢透明画像形成部24とを備える。なお、4つの有色画像形成部22で形成された各色のトナー画像を重ね合わせることで多色(本実施の形態の場合、32bit/画素のフルカラー)のトナー画像が形成される。
【0017】
各トナーの光沢度(任意の画像を形成し、その画像を定着した場合の画像表面の光沢度)は、低光沢透明トナー<有色トナー<高光沢透明トナーの順に高くなっているが、このような高光沢透明トナーと低光沢透明トナーは、例えば特許文献3の段落0045の表1にもあるように公知のものである。
【0018】
各画像形成部22、23、24の構成は同一であり(説明の便宜上、符号を異ならせている)、潜像及びトナー画像が形成される感光体221、231、241と、プリンタコントローラ1からの潜像形成信号に基づいて感光体に光照射して感光体上に潜像を形成する露光部223、233、243と、感光体上の潜像をトナー画像に現像する現像部222、232、242とを備える。
【0019】
これらの画像形成部は、図2において、右から左に向かって順に、有色画像形成部22、低光沢透明画像形成部23、高光沢透明画像形成部24となるように、且つ、各感光体が所定の間隔をおいて用紙搬送ベルト213に沿うように設けられている。
【0020】
転写部24は、感光体221、231、241に形成されたトナー画像を、用紙搬送ベルト213上の用紙Pに転写させるための転写電界を形成させるもので、用紙搬送ベルト213を挟んで感光体221、231、241に対向するように設けられている。
定着部25は、用紙搬送ベルト213から送り出された、トナー画像が転写された用紙を向かい入れ、熱と圧力とでトナー画像を用紙に定着させて送り出す一対のローラを備え、用紙搬送部より用紙搬送下流側に設けられている。
【0021】
次に、図1を参照しながらプリンタコントローラ1の構成を説明する。
プリンタコントローラ1は、RIP(Raster Image Processing)部11と、有色画像形成部用の潜像形成信号生成出力部12と、光沢度推定部13と、光沢透明画像形成部用の潜像形成信号生成出力部14とを備える。
【0022】
RIP部11は、ページ記述言語等で記述された画像形成にかかる入力信号を解釈して、印刷が可能なラスタイメージ(画素の集合で表現された画像)に展開する。
本実施の形態の、画像形成にかかる入力信号は、特色版機能を備えたワープロソフトや特色版機能を備えた画像編集ソフト等を用いて出力されたプロセスカラー版と特色版とを有したベクトル方式のもので、プロセスカラー版は有色トナー画像用、特色版は画像領域の指定及び光沢度の指定に置き換えた画像用になっている。
本実施の形態のRIP部11は、その画像形成にかかる入力信号から、プリンタエンジン2の記録解像度に依存した大きさの画素で、イエローのラスタイメージY、マゼンタのラスタイメージM、シアンのラスタイメージC、黒のラスタイメージK、特色のラスタイメージCLに展開する。
【0023】
イエローのラスタイメージY、マゼンタのラスタイメージM、シアンのラスタイメージC、黒のラスタイメージKは、有色トナー画像部用の潜像形成信号生成出力部12に出力され、特色のラスタイメージCLは、光沢透明画像形成部用の潜像形成信号生成出力部14に出力される。
【0024】
この各色のラスタイメージの1画素における階調情報は、8bit/画素で、合計(特色を除く)すると32bit/画素のフルカラーのデジタル情報になっている。また、特色のラスタイメージCLの1画素における階調情報も、8bit/画素になっている。この特色のラスタイメージCLの個々の画素の階調情報を、有色トナー画像の表面光沢の度合いを指示する指示光沢値CLiとしている。
【0025】
有色トナー画像部用の潜像形成信号生成出力部12は、イエローのラスタイメージY、マゼンタのラスタイメージM、シアンのラスタイメージC、黒のラスタイメージKの夫々に対し、網点、万線、FMスクリーン等を用いた2値画像処理を行なって、イエローの潜像形成信号yh、マゼンタの潜像形成信号Mh、シアンの潜像形成信号Ch、黒の潜像形成信号Khを生成する。これらの潜像形成信号は、プリンタエンジン2に出力される。
【0026】
ここで、光沢度推定部13と光沢透明画像形成部用の潜像形成信号生成出力部14を説明する前に、図3〜図5の評価結果を参照しながら、有色トナーの用紙への総付着量を変化させた場合の有色トナー層(用紙に定着済みの有色トナー画像)の表面光沢の変化と、有色トナー層を覆うように高光沢透明トナー層または低光沢透明トナー層を形成した場合の表面光沢の変化を、用紙の種類(低光沢用紙、高光沢用紙)に分けて説明する。
【0027】
図3は、用紙P上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の有色トナーを用いた有色トナー層L1を形成し、その有色トナー層L1を覆うように、高光沢透明トナーを用いた高光沢透明トナー層L2または低光沢透明トナーを用いた低光沢透明トナー層L3を形成した模式図である。
【0028】
有色トナー層L1は、4色の有色トナーの全てが重なり合ったトナーの総付着量を示しており、4色の色順や比率は省略している。図3において、左端が4色の有色トナーの総付着量0%を意味し、右に行くにつれてトナーの総付着量が徐々に増加し、右端では有色トナーの総付着量300%を意味している。この場合の100%は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色のべた付着量を意味している。実際は、有色トナー画像部用の潜像形成信号生成出力部12によって、各色それぞれ網点化または万線化されているため、有色トナー層L1の表面は複雑に凹凸している。
【0029】
図3(1)は、有色トナー層L1を覆うように、トナーの付着量100%(べた付着量)の高光沢透明トナー層L2を形成した状態を示す。この状態で定着した場合の表面光沢、すなわち、高光沢透明トナー層の表面光沢をGL2(100)とする(図4、図5)。
【0030】
図3(2)は、有色トナー層L1を覆うように、トナーの付着量50%の高光沢透明トナー層L2を形成した状態を示す。この場合の高光沢透明トナー層L2は、実際は、光沢透明画像形成部用の潜像形成信号生成出力部14によって網点化または万線化されているため、表面は凹凸している。この状態で定着した場合の表面光沢、すなわち、高光沢透明トナー層の表面光沢GL2(50)とする(図4、図5)。
【0031】
また、図3(1)及び(2)において、高光沢透明トナーの代わりに、トナーの付着量100%(べた付着量)の低光沢透明トナーを使った場合の定着後の低光沢透明トナー層L3の表面光沢をGL3(100)とし、トナーの付着量50%の低光沢透明トナー層L3の表面光沢をGL3(50)とする(図4、図5)。
【0032】
有色トナー層L1を覆うように形成した高光沢透明トナー層L2または低光沢透明トナー層L3は、これ以外に、高光沢透明トナー現像用の潜像形成信号CLh1または低光沢透明トナー現像用の潜像形成信号CLh2によって0〜100%までのトナーの付着量をとりえる。
なお、プリンタエンジン2によっては、高光沢透明トナー現像用の潜像形成信号CLh1または低光沢透明トナー現像用の潜像形成信号CLh2の定義を変えることにより、高光沢透明トナー付着量または低光沢透明トナー付着量を100%以上にすることも可能である。
【0033】
図4と図5は、有色トナーの総付着量を0〜300%に変化させた場合の有色トナー層L1の表面光沢値の推移を示す表面光沢値GL1の折れ線グラフと、図3で示した各表面光沢値、GL2(100)、GL2(50)、GL3(100)、GL3(50)の折れ線グラフを示している。図4は、低光沢用紙を用いた場合、図5は、高光沢用紙を用いた場合である。また、表面光沢値は、測定角60度の光沢度計の測定値(JIS規格(JIS Z 8741)で定義))である。
【0034】
図4及び図5に示すように、高光沢透明トナー層の表面光沢GL2(50)とGL2(100)は、有色トナーの総付着量が変化しても、若干の変動はあるものの、有色トナー層L1の表面光沢値GL1より常に高い光沢値になっている。また、低光沢透明トナー層の表面光沢GL3(50)とGL3(100)は、有色トナーの総付着量が変化しても、若干の変動はあるものの、有色トナー層L1の表面光沢値GL1より常に低い光沢値になっている。これは、上述したように、各トナーの光沢度は、低光沢透明トナー<有色トナー<高光沢透明トナーの順に高くなっているからである。
このことから、図4または図5において、GL1の折れ線グラフの任意の位置において、その任意の位置を通過する鉛直線上のGL2(100)の表面光沢値とGL3(100)の表面光沢値との範囲内で、光沢値を変えることが可能といえる。
すなわち、任意の有色トナー画像に対して高光沢透明トナー、または低光沢透明トナーのいずれかを、0〜100%までの任意の付着量を定着することにより、光沢値が最小となる低光沢透明トナー層L3の表面光沢GL3(100)から、光沢値が最大となる高光沢透明トナー層L2の表面光沢GL2(100)までの光沢値の範囲であれば、任意の光沢値の表面光沢を得られることがわかる。
【0035】
上述したことを踏まえて、光沢度推定部13と光沢透明画像形成部用の潜像形成信号生成出力部14を順に説明する
【0036】
光沢度推定部13は、基本光沢値情報記録部と、光沢値推定部とを備える。
基本光沢値情報記録部は、当該プリンタエンジンまたは当該プリンタエンジンと同等のプリンタエンジンを用いて、有色トナー画像を形成させる、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の有色トナーの総量を変化させた場合における定着後のトナー画像の光沢値を用紙(記録材)の種類毎にデータ化した基本光沢値情報が記録されている。
【0037】
図4または図5を例にすると、この基本光沢値情報は、任意の有色トナー画像の有色トナーの総付着量(図4、図5の横軸)の変化と、定着済みの有色トナー層L1の表面光沢値GL1(図4、図5の縦軸)との関係を、用紙の種類別にデータ化(低光沢用紙と高光沢用紙の夫々に対してデータ化)したものである。
【0038】
光沢値推定部は、各ラスタイメージ(イエローのラスタイメージY、マゼンタのラスタイメージM、シアンのラスタイメージC、黒のラスタイメージK)の階調情報から使用する有色トナーの総量(総付着量となる)を画素毎に算出し、画像形成を行なう用紙の種類を特定する記録材情報を取得し、その取得した記録材情報に対応した基本光沢値情報から、算出した有色トナーの総量に対応した表面光沢値GL1を参照し、その表面光沢値GL1を推定光沢値CLpとして画素毎に出力するようになっている。
このように光沢度推定部13は、有色トナー画像を形成させる複数のプロセスカラーのトナーの画素あたりの総量に基づいて、用紙Pに形成される有色トナー画像の光沢値を画素毎に推定して、推定光沢値CLpとして出力するようになっている。
【0039】
上述した用紙の種類とは、用紙表面の光沢度の違いによる種類分けのことを言うもので、本実施の形態では、高光沢用紙か低光沢用紙の何れかになっている。この用紙の種類を特定する手段としては、当該画像形成装置を構成する複数のトレイ(図示せず)に対し、セットする用紙を予め割り付けておき、ユーザーがトレイを選択することにより自動的に用紙の種類が特定できるようにしたり、反射型の光センサを用い、用紙からの反射光に基づいて用紙の種類が特定できるようにしたりと、記録材情報を取得する手段は特に限定されない。
【0040】
光沢透明画像形成部用の潜像形成信号生成出力部14は、特色のラスタイメージCLの個々の画素の階調情報を、有色トナー画像に光沢を付与させる指示光沢値CLiとして受け入れる。そして、その指示光沢値CLiと推定光沢値CLpとを比較し、推定光沢値CLpが指示光沢値CLiより低い場合は、その光沢差に対応した量の高光沢透明トナーで現像させる潜像形成信号CLh1を生成して、その潜像形成信号CLh1を、高光沢透明トナー用の露光部233に出力するようになっている。
【0041】
その逆に、推定光沢値CLpが指示光沢値CLiより高い場合、光沢透明画像形成部用の潜像形成信号生成出力部14は、その光沢差に対応した量の低光沢透明トナーで現像させる潜像形成信号CLh2を生成して、その潜像形成信号CLh2を低光沢透明トナー用の露光部243に出力するようになっている。
この潜像形成信号CLh1、CLh2とは、感光体に潜像を形成させるための2値の画像信号(網点画像、万線画像、もしくはFMスクリーン等が形成される)である。
【0042】
次に、以上のように構成された実施の形態1にかかる画像形成装置の一連の動作を説明する。
先ず、ユーザーは、例えば、特色版機能を備えたワープロソフトで作成した文章や、特色版機能を備えた画像編集ソフトで作成したベクタグラフィックなどの印刷対象を、そのソフト上から起動した印刷設定ユーティリティソフト等を介して当該画像形成装置に対して印刷を指示する。この印刷対象は、印刷画像となるカラー画像の他に、上述した特色版機能を利用して、印刷画像表面の光沢度の変化を任意の色の画像(8bit/画素の階調情報を持った画像)として描画されている。
この印刷対象の指示を受けたプリンタコントローラ1は、以下の一連の動作に入る。
【0043】
RIP部11が、ページ記述言語等で記述されたベクトル形式の入力信号から、プリンタエンジン2の記録解像度に依存した大きさの画素で、イエロー、マゼンタ、シアン、黒、特色の各ラスタイメージを生成する。
【0044】
有色トナー画像部用の潜像形成信号生成出力部12は、上述したように、イエローのラスタイメージY、マゼンタのラスタイメージM、シアンのラスタイメージC、黒のラスタイメージKの夫々に対し、網点、万線、FMスクリーン等を用いた2値画像処理を行い、イエローの潜像形成信号yh、マゼンタの潜像形成信号Mh、シアンの潜像形成信号Ch、黒の潜像形成信号Khを生成する。
【0045】
その一方で、光沢度推定部13は、画像形成を行なう用紙の種類が高光沢用紙か低光沢用紙かを特定する記録材情報を取得し、イエローのラスタイメージY、マゼンタのラスタイメージM、シアンのラスタイメージC、黒のラスタイメージKの夫々の階調情報から使用する有色トナーの総量を画素毎に算出し、取得した記録材情報に対応した基本光沢値情報から、算出した有色トナーの総量に対応した表面光沢値を画素毎に参照し、その画素毎の表面光沢値を推定光沢値CLpとして光沢透明画像形成部用の潜像形成信号生成出力部14に出力する。
【0046】
光沢透明画像形成部用の潜像形成信号生成出力部14は、推定光沢値CLpと指示光沢値CLiとを比較し、推定光沢値CLpが指示光沢値CLiより低い場合は、その光沢差に対応した量の高光沢透明トナーで現像させる潜像形成信号CLh1を生成する。
その逆に、推定光沢値CLpが指示光沢値CLiより高い場合は、その光沢差に対応した量の低光沢透明トナーで現像させる潜像形成信号CLh2を生成する。
【0047】
一方、用紙搬送ベルト213が、送り込まれた用紙Pを密着させて、図2おいて、右から左に向かって搬送を開始する。
これと前後して、露光部223、233、243が、後述するプリンタコントローラ1からの潜像形成信号、すなわち、イエローの潜像形成信号yhと、マゼンタの潜像形成信号Mhと、シアンの潜像形成信号Chと、黒の潜像形成信号Khと、高光沢透明トナー用の潜像形成信号CLh1または低光沢透明トナーの潜像形成信号CLh2に基づいて、夫々に対応する感光体221、231、241に潜像の形成を開始する。
【0048】
現像部222、232、242は、夫々に対応する感光体221、231、241上に形成された潜像をトナー画像に現像する。
このトナー画像の形成と用紙搬送のタイミングは、各感光体221、231、241上に形成したトナー画像が、搬送してきた用紙P上で画像同士が重なるようなタイミングになっており、そのタイミングに合わせて、転写部24が、各感光体221、231、241上に形成したトナー画像を用紙P上で重なるように転写する。
【0049】
このようにして、用紙Pを覆うように、有色トナー画像を形成する有色トナー層が、その有色トナー層を覆うように、透明トナー画像を形成する透明トナー層が形成される。この透明トナー層は、画素毎に、高光沢透明トナー層か低光沢透明トナー層かの何れか一方、または、透明トナー層無しとなる。
【0050】
そして、トナー画像が転写された用紙は定着部25に移動し、その定着部25が熱と圧力とでトナー画像を用紙に定着する。定着状態の各トナー層を図6に示す。
図6は、有色トナー画像の任意の画像領域が、一定の指示光沢値CLiでもって画像形成されている場合を示しており、推定光沢値CLpが指示光沢値CLiより低い部分は、その光沢差に対応した量の高光沢透明トナー層L3が有色トナー層L1を覆うように形成され、推定光沢値CLpが指示光沢値CLiより高い部分は、その光沢差に対応した量の低光沢透明トナーL2が有色トナー層L1または用紙Pに形成される。
このようにしてトナー画像が定着した用紙は、図示しない排紙トレイに排出される。
【0051】
この実施の形態1にかかる画像形成装置によれば、画像表面の任意の部分の光沢を制御可能にしたから、シート状の記録材に形成した有色トナー画像に対し、ある画像領域は有色トナー画像本来の光沢よりも低い光沢にしたり、別の画像領域は有色トナー画像本来の光沢よりも高い光沢にしたり、あるいは、有色トナー画像本来の光沢をそのまま生かしたりできる。したがって、付加価値の高い印刷物が印刷可能なプリンタコントローラ、画像形成装置が提供できる。
【0052】
なお、この実施の形態1は、特色のラスタイメージCLの個々の画素の階調情報を、有色トナー画像に光沢を付与させるため指示光沢値CLiとしたものを例示したが、有色トナー画像の任意の画像領域に対して指示光沢値CLiを設定可能に構成した指示値入力部15を設け、その指示値入力部15で設定された指示光沢値CLiを潜像形成信号生成出力部14が受け入れるように構成しても良い(図1参照)。
【0053】
この指示値入力部15は、当該画像形成装置用の印刷設定ユーティリティソフト上で、任意の画像領域の設定、その画像領域の指示光沢値CLiの設定を可能に構成される。たとえば、描画ソフト(画像作成ソフト)の要領で、任意の画像領域を線で囲み、その囲んだ領域に対し所望の光沢値を設定するようにしたり、予め用意されている様々な形状のテンプレートを任意の画像領域に当てはめ、その当てはめた領域に対し所望の光沢値を設定するようにしたりする等が挙げられる。
この指示値入力部15は、当該画像形成装置をコンピュータ側で印刷指示する構成とした場合はコンピュータ側に、当該画像形成装置をスタンドアローンとする場合は当該画像形成装置側に組み込まれる。
【0054】
<実施の形態2>
実施の形態2は、実施の形態1で例示した潜像形成信号生成出力部14に代えて、実施の形態1と同様に画像表面の任意の部分の光沢を制御可能にしつつ、トナーの層厚の制御をも可能にした例である。実施の形態1と共通する構成部は、実施の形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
一定の光沢度を維持させた場合の低光沢透明トナーと高光沢透明トナーとの合計付着量の割合の変化を図8に示す。この図8は、有色トナー層L1を覆うように低光沢透明トナー層L3を形成し、その透明トナー層L3を覆うように高光沢透明トナー層L2を形成して定着後の光沢値を計測する。この計測を、低光沢透明トナーと高光沢透明トナーとの付着量の割合を変えながら行なうことで得られたものである。先ず、この図8を説明する。
【0056】
図8の横軸は、高光沢透明トナーと低光沢透明トナーとの合計付着量を表す。各光沢透明トナーのべた付着量をそれぞれ100%として、合計付着量の最高値を200%としている。
図8の縦軸は、高光沢透明トナーの付着量比率%を表したものである。比率100%は全て高光沢透明トナーを使った場合、比率50%は高光沢透明トナーと低光沢透明トナーとを付着量で半々に使った場合、比率0%は低光沢透明トナーだけを使った場合である。
【0057】
設定可能な光沢値は、高光沢透明トナーだけを100%付着させた場合の最高の光沢値GL2(100)と、低光沢透明トナーだけを100%付着させた場合の最低の光沢値GL3(100)と、最高光沢値と最低光沢値との間の任意の光沢値となる。
【0058】
その任意の光沢値、すなわち、設定する光沢値(指示光沢値)を例えばGL2(50)とし、その光沢値を維持する場合(図8のGL2(50)折れ線グラフで示す)、高低透明トナー合計付着量を50%〜180%に調整できることがわかる。すなわち、高低透明トナー合計付着量50%のときは、高光沢透明トナーだけを用いて、光沢値GL2(50)を実現し、高低透明トナー合計付着量180%のときは、高光沢透明トナーの付着量比率60%(低光沢透明トナーの付着量は40%)とすれば実現できる。
【0059】
また、設定する光沢値(指示光沢値)を例えばGL1とし、その光沢値を維持する場合(図8のGL1実太線グラフで示す)、高光沢透明トナーと低光沢透明トナーの合計付着量を0%〜170%に調整できることがわかる。すなわち、高光沢透明トナーと低光沢透明トナーの合計付着量0%のときは、透明トナーを付着させないようにして光沢値GL1を実現し、高光沢透明トナーと低光沢透明トナーの合計付着量170%のときは、高光沢透明トナーの付着量比率35%(低光沢透明トナーの付着量は65%)とすれば実現できる。
【0060】
また、設定する光沢値(指示光沢値)をGL3(50)とし、その光沢値を維持する場合(図8のGL3(50)折れ線グラフで示す)、高光沢透明トナーと低光沢透明トナーの合計付着量を50%〜150%に調整できることがわかる。すなわち、高光沢透明トナーと低光沢透明トナーの合計付着量50%のときは、低光沢透明トナーだけを用いて、光沢値GL3(50)を実現し、高光沢透明トナーと低光沢透明トナーの合計付着量150%のときは、高光沢透明トナーの付着量比率25%(低光沢透明トナーの付着量は75%)とすれば実現できる。
【0061】
このように、任意の光沢値を得るのに、低光沢透明トナーと高光沢透明トナーとの合計付着量に選択の幅がある。したがって、設定する光沢値に対し、総トナー(高光沢透明トナー層と低光沢透明トナー層との総和)の層厚を制御することが可能となる。
【0062】
上述したことを踏まえて、図7を参照しながら、実施の形態2にかかるプリンタコントローラ1を説明する。実施の形態2にかかるプリンタコントローラ1は、有色トナー層厚推定部16と、第2の潜像形成信号生成出力部17とを備える。なお、実施の形態1と共通する構成部は、実施の形態1と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0063】
有色トナー層厚推定部16は、各ラスタイメージ(イエローのラスタイメージY、マゼンタのラスタイメージM、シアンのラスタイメージC、黒のラスタイメージK)の階調情報から、使用する有色トナーの総量(総付着量となる)を画素毎に算出し、その算出した有色トナーの総量から有色トナー層厚を画素毎に推定し、推定層厚値Tpとして出力するようになっている。
【0064】
第2の潜像形成信号生成出力部17は、指示光沢値CLiと推定光沢値CLpと推定層厚値Tpとに基づいて、夫々のトナー画像(有色トナー画像、高光沢透明トナー画像、低光沢透明トナー画像)の層厚を総和した総トナー層厚が一定または略一定の層厚とさせ、且つ、指示光沢値CLiと同一または略同一の表面光沢値の画像表面とさせる高光沢画像形成用の潜像形成信号CLh1及び低光沢画像形成用の潜像形成信号CLh2を生成し、その夫々の潜像形成信号を対応する低光沢透明画像形成部23の露光部233及び高光沢透明画像形成部24の露光部243に出力するようになっている。
【0065】
このように、第2の潜像形成信号生成出力部17は、画像表面が指示光沢値CLiと同一または略同一となると同時にトナー層の厚みが一定または略一定となるように高光沢透明トナーと低光沢透明トナーとの合計付着量を画素毎に調整している。なお、条件によっては、高光沢透明トナーと低光沢透明トナーのいずれか一方のみを用いる場合や、双方とも用いない場合も有り得る。
【0066】
実施の形態2にかかる画像形成装置による印刷結果を図9に示す。
上述した実施の形態1は、図6に示したように、有色トナー層L1と同様に画像表面に層厚の変化(凹凸)が形成されるが、この実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に画像表面の任意の部分の光沢を制御可能にしつつ、有色トナー画像も含んだ総トナー層を一定の層厚とするから、画像形成面の仕上がりをも良好にできる。
【0067】
<実施の形態3>
実施の形態2では、総トナー層を一定の層厚とするものを例示したが、この実施の形態3は、画像形成にかかる入力信号に、実施の形態1で例示した指示光沢値CLiにかかる情報の他に、任意の画像部分に対して総トナー層厚を指示する情報(以下、指示層厚値Ti)を付加させて、任意の画像部分に対する総トナー層の制御をも可能にした例である。
【0068】
この指示層厚値Tiは、上述した指示光沢値CLiと同じく、特色版機能を備えたワープロソフトや特色版機能を備えた画像編集ソフト等を用いて特色版の信号に置き換えられている。すなわち、所望する有色トナー画像をプロセスカラー版とし、画像領域の指定及び光沢度の指定に置き換えたものを第1の特色版とし、画像領域の指定及び総トナー層厚の指定に置き換えたものを第2の特色版としたベクトル形式の信号がRIP部11に入力される。このことを前提にして実施の形態3にかかるプリンタコントローラ1を、図10を参照しながら説明する。
【0069】
実施の形態3にかかるプリンタコントローラ1は、RIP部11bと、第3の潜像形成信号生成出力部17bとを備える。なお、実施の形態1と共通する構成部は、実施の形態1及び実施の形態2と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0070】
RIP部11bは、その画像形成にかかる入力信号から、プリンタエンジン2の記録解像度に依存した大きさの画素で、イエローのラスタイメージY、マゼンタのラスタイメージM、シアンのラスタイメージC、黒のラスタイメージK、第1の特色のラスタイメージCLと、第2の特色のラスタイメージTとに展開する。
【0071】
この各色のラスタイメージの1画素における階調情報は、8bit/画素で、合計(第1及び第2の特色を除く)すると32bit/画素のフルカラーのデジタル情報になっている。また、第1の特色のラスタイメージCL、及び、第2の特色のラスタイメージTの1画素における階調情報も、8bit/画素になっている。第1の特色のラスタイメージCLの個々の画素の階調情報を指示光沢値CLiとし、第2の特色のラスタイメージTの個々の画素の階調情報を指示層厚値Tiとしている。
【0072】
第3の潜像形成信号生成出力部17bは、指示光沢値CLiと推定光沢値CLpと指示層厚値Tiと推定層厚値Tpとに基づいて、夫々のトナー画像(有色トナー画像、高光沢透明トナー画像、低光沢透明トナー画像)の層厚を総和した総トナー層厚が指示層厚値Tiで指示された層厚と同一または略同一とさせ、且つ、指示光沢値CLiと同一または略同一の表面光沢値の画像表面とさせる高光沢画像形成用の潜像形成信号CLh1及び低光沢画像形成用の潜像形成信号CLh2を生成し、その夫々の潜像形成信号を対応する低光沢透明画像形成部23の露光部233及び高光沢透明画像形成部24の露光部243に出力するようになっている。
【0073】
このように、第3の潜像形成信号生成出力部17bは、画像表面が指示光沢値CLiと同一または略同一となると同時にトナー層の厚みが指示層厚値Tiとなるように高光沢透明トナーと低光沢透明トナーとの合計付着量を画素毎に調整している。なお、条件によっては、高光沢透明トナーと低光沢透明トナーのいずれか一方のみを用いる場合や、双方とも用いない場合も有り得る。
【0074】
この実施の形態3によれば、実施の形態1と同様に画像表面の任意の部分の光沢を制御可能にしつつ、任意の画像部分に対する総トナー層厚の制御をも可能にしたから、自然な凹凸のある画像表現や、または3次元的な造形表現、透かし画像表現等をも作り出すことが可能となり、さらなる高付加価値の印刷を行なうことができる。
【0075】
この実施の形態3は、第2の特色のラスタイメージTの個々の画素の階調情報を、所望の総トナー層厚とさせる指示層厚値Tiとしたものを例示したが、有色トナー画像の任意の画像領域に対して指示光沢値CLiと指示層厚値Tiとを設定可能に構成した第2の指示値入力部18を設け、その第2の指示値入力部18で設定された指示光沢値CLiと指示層厚値Tiとを、第3の潜像形成信号生成出力部17bが受け入れるように構成しても良い(図11参照)。
【0076】
この第2の指示値入力部18は、上述した指示値入力部15と同様に、当該画像形成装置用の印刷設定ユーティリティソフト上で、任意の画像領域の設定、その画像領域の指示光沢値の設定を可能に構成される。たとえば、描画ソフト(画像作成ソフト)の要領で、任意の画像領域を線で囲み、その囲んだ領域に対し所望の光沢値と所望の総トナー層厚値を設定するようにしたり、予め用意されている様々な形状のテンプレートを任意の画像領域に当てはめ、その当てはめた領域に対し所望の光沢値と所望の総トナー層厚値とを設定するようにしたりする等が挙げられる。
この第2の指示値入力部18は、上述した指示値入力部15と同様に、当該画像形成装置をコンピュータ側で印刷指示する構成とした場合はコンピュータ側に、当該画像形成装置をスタンドアローンとする場合は当該画像形成装置側に組み込まれる。
【0077】
以上、本実施の形態にかかる画像形成装置を説明したが、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 プリンタコントローラ
13 光沢度推定部
14 潜像形成信号生成出力部
15 指示値入力部
16 有色トナー層厚推定部
17 第2の潜像形成信号生成出力部
17b 第3の潜像形成信号生成出力部
18 第2の指示値入力部
2 プリンタエンジン
22 有色画像形成部
23 高光沢透明画像形成部
24 低光沢透明画像形成部
CLp 推定光沢値
CLi 指示光沢値
Tp 推定層厚値
Ti 指示層厚値
CLh1 高光沢透明トナー現像用の潜像形成信号
CLh2 低光沢透明トナー現像用の潜像形成信号
P 用紙(記録材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】特許第3146367号公報
【特許文献2】特開平9―200551号公報
【特許文献3】特開2008―151851号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有色トナー画像を形成する有色画像形成部と、前記有色トナー画像よりも高光沢の高光沢透明トナー画像を形成する高光沢透明画像形成部と、前記有色トナー画像よりも低光沢の低光沢透明トナー画像を形成する低光沢透明画像形成部とを、シート状の記録材の表面に前記有色トナー画像を形成可能に、且つ、その有色トナー画像を覆うように、前記高光沢透明トナー画像と前記低光沢透明トナー画像とを形成可能に配置したプリンタエンジンを制御するプリンタコントローラであって、
前記有色トナー画像を形成させる画素あたりの有色トナーの総量に基づいて、前記記録材に形成される前記有色トナー画像の光沢値を画素毎に推定して、推定光沢値として出力する光沢度推定部と、
画像表面の光沢の度合いを画素毎に指示する指示光沢値を受け入れ、その指示光沢値と前記推定光沢値とを画素毎に比較し、前記推定光沢値が前記指示光沢値より低い場合は、その光沢値差に対応した量の高光沢透明トナーで現像させる潜像形成信号を生成して該潜像形成信号を前記高光沢透明画像形成部に出力し、前記推定光沢値が前記指示光沢値より高い場合は、その光沢値差に対応した量の低光沢透明トナーで現像させる潜像形成信号を生成して該潜像形成信号を前記低光沢透明画像形成部に出力する潜像形成信号生成出力部と
を備えたことを特徴とするプリンタコントローラ。
【請求項2】
前記光沢度推定部は、前記有色トナーの総量を変えた場合の有色トナー画像の光沢値を前記記録材の種類毎に予めデータ化した基本光沢値情報を備え、該基本光沢値情報を参照して、前記記録材に形成される前記有色トナー画像の光沢値を前記記録材の種類に応じて推定可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプリンタコントローラ。
【請求項3】
前記指示光沢値は、特色のラスタイメージの個々の画素の階調情報を利用したものであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のプリンタコントローラ。
【請求項4】
前記有色トナー画像を形成させる有色トナーの画素あたりの総量に基づいて、前記記録材に形成される有色トナー層厚を画素毎に推定し、推定層厚値として出力する有色トナー層厚推定部を備え、
前記潜像形成信号生成出力部に代えて、
画像表面の光沢の度合いを指示する指示光沢値を受け入れ、その指示光沢値と前記推定光沢値と前記推定層厚値とに基づいて、各トナー画像の層厚を総和した総トナー層厚を一定または略一定の層厚とさせ、且つ、前記指示光沢値と同一または略同一の表面光沢値の画像表面とさせる高光沢透明画像形成部用の潜像形成信号及び低光沢透明画像形成部用の潜像形成信号を生成し、その夫々の潜像形成信号を対応する前記高光沢透明画像形成部及び前記低光沢透明画像形成部に出力する第2の潜像形成信号生成出力部としたこと
を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のプリンタコントローラ。
【請求項5】
前記有色トナー画像を形成させる有色トナーの画素あたりの総量に基づいて、前記記録材に形成される有色トナー層厚を画素毎に推定し、推定層厚値として出力する有色トナー層厚推定部を備え、
前記潜像形成信号生成出力部に代えて、
画像表面の光沢の度合いを指示する指示光沢値と、各トナー画像の層厚を総和した総トナー層厚を指示する指示層厚値とを受け入れ、前記指示光沢値と前記推定光沢値と前記指示層厚値と前記推定層厚値とに基づいて、前記指示光沢値と同一または略同一の表面光沢値の画像表面とさせ、且つ、前記指示層厚値と同一または略同一の層厚とさせる高光沢透明画像形成部用の潜像形成信号及び低光沢透明画像形成部用の潜像形成信号を生成し、その夫々の潜像形成信号を対応する前記高光沢透明画像形成部及び前記低光沢透明画像形成部に出力する第3の潜像形成信号生成出力部としたこと
を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のプリンタコントローラ。
【請求項6】
前記指示光沢値を入力させる指示値入力部を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のプリンタコントローラ。
【請求項7】
前記指示光沢値と前記指示層厚値とを入力させる第2の指示値入力部を備えたことを特徴とする請求項5に記載のプリンタコントローラ。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のプリンタコントローラと、前記プリンタエンジンとを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−3188(P2013−3188A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131030(P2011−131030)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】