説明

プリンタ装置

【課題】ニアエンド検出機構を備えてしかも小型化を図ったサーマルプリンタ装置を実現することを目的とする。
【解決手段】感熱紙ロール収容部20を有する本体11と、回動されて感熱紙ロール収容部を塞ぐ蓋50と、蓋50が閉じられた状態で形成さる印字機構部11とを有する。プリントが行われて、感熱紙ロールがニアエンド状態になったことを検出する検出アーム71が、蓋50の裏面側に回動可能に設けてある。蓋50が閉じられた状態で、検出アーム71のアーム本体72が感熱紙ロールの外周面に当たり、感熱紙ロールの径が小さくなるにつれて、検出アーム71が回動し、検出スイッチ80が動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンタ装置に係り、特に感熱紙ロールを使用し、且つ、蓋が閉じられて紙ロール収容部を塞ぐ構成であって、感熱紙ロールの補充を簡単に行いうる構成のプリンタ装置に関する。
【0002】
感熱紙ロールとは、帯状の感熱紙が多数回巻回して形成された製品であるロールをいう。
【背景技術】
【0003】
感熱紙ロールを使用するプリンタ装置では、感熱紙が順次使用されて残りが1〜2m程度になった場合(これを「ニアエンド」という)に、これを検出して、ユーザに用紙の補充の必要を知らせる構成となっている。
【0004】
また、感熱紙ロールを使用するプリンタ装置では、所謂イージーローディング構造が多く採用されてきている。「イージーローディング構造」とは、紙ロールを収容するための紙ロール収容部を有する本体を有し、且つ、回動して紙ロール収容部を塞ぐ蓋を有し、紙ロールを収容部に収容し、用紙を紙ロールより引き出すと共に蓋を閉じることによって、用紙をサーマルヘッドとプラテンローラとの間で挟んだ状態となるようにして、感熱紙ロールの補充が簡単に行えるようにした構造をいう。
【0005】
プリンタ装置を商品化する場合には、このイージーローディング構造を採用したプリンタ装置においても、ニアエンド検出機構を備えることが必要となる。
【0006】
また、上記のプリンタ装置は、例えばPOS装置の内部に組み込まれる。現在店舗のスペース等の関係でPOS装置の小型化が進んでおり、プリンタ装置自身の小型化が求められている。
【0007】
従来のイージーローディング構造を採用したプリンタ装置は、ニアエンド検出機構を本体の外側の側面に設けた構成となっていた。
【特許文献1】特開2004−262059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このため、ニアエンド検出機構が本体の側面より外側に突き出し、プリンタ装置のサイズがニアエンド検出機構の分大型となってしまっており、POS装置の小型化に不向きであった。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたプリンタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、帯状の用紙が巻回してある紙ロールを収容する紙ロール収容部を有する本体と、該本体に回動可能に取り付けてあり、閉じられて前記紙ロール収容部を塞ぐ蓋と、該蓋が閉じられた状態で形成される印字機構部とを有し、
前記紙ロールが前記紙ロール収容部内に収容され、前記蓋が閉じられ、前記紙ロールより引き出された用紙が前記印字機構部を通る構成であるプリンタ装置において、
前記紙ロール収容部内に収容してある前記紙ロールがニアエンド状態になったことを検出する検出アームを、前記蓋の裏面側に回動可能に設けた構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検出アームを蓋の裏面側に設けた構成であるため、プリンタ装置のサイズを無用に大きくすることなく構成することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0013】
[サーマルプリンタ装置10の構成]
図1は本発明の実施例1になるサーマルプリンタ装置10の使用状態の斜視図である。図2は蓋50が開いている状態の斜視図である。図3及び図4は夫々図1及び図2に示す状態のサーマルプリンタ装置10を概略的に示す図である。サーマルプリンタ装置10は、イージーローディング構造であり、且つニアエンド検出機構70を備えた構成である。サーマルプリンタ装置10は、図1に示す姿勢でPOS装置等に組み込まれて使用される。X1−X2は幅方向、Y1−Y2は奥行き方向、Z1−Z2は高さ方向である。Y2側が正面であり、使用者が接近可能な側である。
【0014】
サーマルプリンタ装置10は、大略、箱形状の本体12と、軸51を本体12に回動可能に支持されている板状の蓋50とを有し、蓋50が閉じられた状態で、紙ロール収容部20が塞がれ、印字機構部11が形成される構成である。サーマルプリンタ装置10は、レシート5を印刷するレシートプリンタ装置であり、図1及び図2に示す姿勢で使用される。
[イージーローディング構造]
本体12は、Y2側の全面が開口21とされたポケット状の感熱紙ロール収容部20(以下、紙ロール収容部という)を有し、且つ、サーマルヘッドモジュール30がZ1側に固定してあり開口21のZ1側の縁に臨んでおり、且つ、上面に回路基板モジュール40が取り付けてある。サーマルヘッドモジュール30は、サーマルヘッド31と自動カッター機構32とを一体に有する構成である。自動カッター機構32はモータ及び可動刃を有する構成である。回路基板モジュール40は、プリントに関する回路、自動カッター機構に関する回路、後述する検出スイッチ80と接続してありニアエンド検出機構と関連する回路等を有する。
【0015】
紙ロール収容部20は、帯状の感熱紙2が巻回してある感熱紙ロール1(以下、紙ロール1という)がその巻き芯3がX方向を向いた姿勢で収容される大きさである。また、図3に示すように、紙ロール収容部20は、Y2側の全面が開口21であり、底の部分につては、Z2方向に凹んでおり且つ紙ロール収容部20の中心Oの真下の位置Pよりも開口21に近い側が一番深くなる形状とされており、感熱紙ロール1が紙ロール収容部20から転がり出ないように支える前側ホルダ部22を有する。また、紙ロール収容部20の底の部分のうち、一番深い部位、即ち、Y方向上、紙ロール収容部20の中心よりも開口21に近い部位には、X方向全幅に亘る溝部23が形成してある。溝部23は、Y方向上離れて共にX方向に延在している二つの縁23a,23bを有し、ニアエンド状態に近づいた紙ロールの位置を後述するアーム本体72に接近した位置に決める役割を有する。「ニアエンド状態」とは感熱紙2の残量が1〜2mと少なくなった状態をいう。
【0016】
紙ロール1は、紙ロール収容部20の底部で支えられつつ回転して、感熱紙2が使用されるにつれて巻き径が小さくなって、符号1a,1bで示すように変化する。紙ロール1の巻き径が符号1bで示すように小さくなると、紙ロール1bは外周面の二箇所を縁23a,23bによって支持されるようになり、それ以降は、この状態を維持し、溝部23の箇所で回転し続ける。1cは巻き径が更に小さくなってニアエンド状態となった紙ロールを示す。紙ロール1cは下側の一部が溝部23内に入り込み、外周面の二箇所を縁23a,23bによって支持された状態となる。
【0017】
蓋50は、Z2側の軸51に支持されて、本体12に対して回動可能に支持されている。図1は閉じた状態であり垂直であり、図2は開いた状態であり、略水平である。蓋50の先端には、プラテンローラモジュール60が取り付けてある。蓋50の裏面には、補助ホルダ部材52が取り付けてある。蓋50は、閉じた状態では、プラテンローラモジュール60がサーマルヘッドモジュール30と係止されてロックされており、プラテンローラ61がサーマルヘッド31に押し当たって印字機構部11が形成されており、且つ、紙ロール収容部20の開口21を塞いでいる。
【0018】
紙ロール1を紙ロール収容部20内に収容するには、使用者は以下のイージーローディング操作を行う。先ず、ロック解除レバー33を操作し、ロックを解除し、蓋50を図2に示すように開く。紙ロール収容部20内に残っている使用しきった紙ロールを取り出し、図2に示すように、新しい紙ロール1を感熱紙の端が紙ロール1のZ1側から繰り出される向き及び姿勢として、転がすようにして且つ前側ホルダ部22を乗り越えて紙ロール収容部20内に入れる。そして、感熱紙2の端を掴んで感熱紙を引き出し、サーマルヘッドモジュール30に沿わせるようにし、この状態を維持したまま、蓋50を回動させて閉じる。
【0019】
これによって、蓋50は、図1に示すように、プラテンローラモジュール60がサーマルヘッドモジュール30と係止されてロックされて、開口21を塞いで、紙ロール1が紙ロール収容部20内に収容された状態となり、図3に示すように、補助ホルダ部材52が紙ロール1の外周面のうちY2側からZ2側にかけての部分に対向して接近した状態となる。また、プラテンローラ61とサーマルヘッド31との間に感熱紙2が挟まれ、プラテンローラ61が感熱紙2を間に介してサーマルヘッド31に押し当たった状態となって、印字機構部11が再度形成される。これによって、プリントの再開が可能な状態となる。
[プリント動作]
プリント指令によってサーマルヘッド31が駆動され、モータが駆動されてプラテンローラ61が回転され、サーマルヘッド31によって用紙にプリントがなされ、プラテンローラ61によって用紙2が送られる。サーマルプリンタ装置10からは、図1に示すようにプリントがなされたレシート5が繰り出される。感熱紙ロール1は、用紙2の引き出しに応じて紙ロール収容部20の底の部分で支えられつつ回転される。
【0020】
プリント動作に続いて自動カッター機構32が動作して、レシート5がカットされる。
[ニアエンド検出機構70]
図4、図5、図6及び図7はニアエンド検出機構70を示す。図5はニアエンド検出機構70を分解して示す。ニアエンド検出機構70は、検出アーム71と、検出スイッチ80と、規制部90とを有する。
【0021】
検出アーム71は蓋50の裏面50a側に取り付けてあり、検出スイッチ80は本体12に取り付けてあり、規制部材90は本体12に設けてある。検出スイッチ80は機械的スイッチであり、片持ち梁状の作動片81を有する。検出スイッチ80は通常はオフであり、作動片81をバネ力に抗して押し付けるとオンとなる。
【0022】
検出アーム71は、略細長い三角形の形状のアーム本体72と、アーム本体72の頂点の箇所の両側に突き出た軸部73a,73bと、三角形の底辺に沿ってX2側に張り出している円弧状張り出し部74と、三角形の底辺の端の箇所からX1側に突き出ている突起部75と、一方の軸部72の端のレバー部76とを有する形状である。アーム本体72のうち符号72aで示す側端面が紙ロール1の外周面に当たる部分である。
【0023】
検出アーム71は、軸部73a,73bを、蓋50の裏側に固定してある支持部材77(図8参照)に支持され、且つ、補助ホルダ部材52の裏面によって押さえられて、軸部73a,73bがX1−X2方向に向いた状態で、軸部73a,73bを中心に、Y−Z面内で矢印A、B方向に回動するように回動可能に支持されており、且つ、ばね部材(図示せず)によって矢印A方向、即ち、アーム本体72が蓋50の裏面に立ち上がる方向に付勢されている。なお、検出アーム71は、蓋50の裏側のうち軸51に近くで、且つ、X2側寄りの部位に設けてある。第1には、紙ロール収容部20内の紙ロール1がニアエンド状態となるまでは紙ロールの外周面に当たり続けるためであり、第2には、紙ロール1の紙ロール収容部20内への装着に邪魔にならないようにするためである。
【0024】
本体12には、検出アーム71の箇所に対応して、規制部90が設けてあり且つ検出スイッチ80が取り付けてある。
【0025】
規制部90は、本体12のうち開口21のZ2側の縁のよりY2方向に突き出ており、略直角三角形の枠形状であり、内側が開口91となっており、Z1側に斜辺部92を有し、Z2側に水平の底辺部93を有する。斜辺部92は、蓋50が閉じた状態における軸部73a,73bを中心とする突起部75の回動軌跡に略沿っている。よって、斜辺部92は、蓋50が開いた状態で検出アーム71が立ち上がる方向の回動を規制し、蓋50が閉じた状態では軸部73a,73bが斜辺部92の上方に移動するため検出アーム71の回動を規制する機能が無くなるように機能する。
【0026】
図7に併せて示すように、規制部90の直ぐX2側に、本体12より検出スイッチ取り付け用の壁部95が突き出ている。壁部95は底辺部93とつながっている。この壁部95のX2側に、検出スイッチ80がその作動片81が上面とされた向きでねじ止めされて取り付けてある。壁部95と斜辺部92との間には、アーム本体72の先端部分が嵌合する隙間96が形成してある。よって、アーム本体72はその先端部分のX方向への移動を規制されつつ回動する。
【0027】
図4及び図5に示すように、蓋50が開いた状態では、検出アーム71は、アーム本体72の先端部分が上記の隙間96に嵌合しており、突起部75が規制部90の開口91内に嵌合して斜辺部92の下面に係止されて、ばね力に抗して矢印B方向に回動させられており、矢印A方向で示す立ち上がる方向の回動を規制された状態にあり、X1側から見て補助ホルダ部材52内に略収まっている。即ち、アーム本体72は、紙ロール1の紙ロール収容部20内への挿入のルートの外側の位置、換言すれば、紙ロール1の紙ロール収容部20内への収容を邪魔しない回動位置に規制されている。
【0028】
検出アーム71が補助ホルダ部材52から突き出ない状態にあり、しかも、検出アーム71の配置が軸51に近くで且つX2側寄りの部位であるため、紙ロール1の紙ロール収容部20内への装着は、検出アーム71に邪魔されずに円滑に行われる。
【0029】
新しい紙ロール1を紙ロール収容部20内に入れて蓋50を回動させて閉じると、ニアエンド検出機構70は、図8及び図9に示す状態となる。
【0030】
蓋50が閉じられる最終の段階で、アーム本体72の側端面72aが、紙ロール収容部20内の新しい紙ロール1の外周面に当たり、アーム本体72の側端面72aはそれ以上のY1方向への移動を制限され、それ以後の蓋50が完全に閉じる過程で、検出アーム71は蓋50に対して相対的に矢印B方向に少し回動される。
【0031】
検出アーム71と規制部90とは以下の関係となる。突起部75は規制部90に対してはZ2方向に移動して斜辺部92より離れ、検出アーム71は、規制部90による規制を解除されて、紙ロールの径が小さくなるにつれて、ばね力によって矢印A方向に回動可能となる状態となる。
【0032】
検出アーム71と検出スイッチ80とは以下の関係となる。張り出し部74が検出スイッチ80の作動片81に対向してこれを押しており、検出スイッチ80はオンの状態にある。
【0033】
検出アーム71と溝部23とは、図9に示すように、検出アーム71の軸部73a,73bと溝部23の中心との間のY方向の距離がC1となる状態となる。距離C1は、軸部73a,73bと紙ロール収容部20の中心Oとの間のY方向の距離C2の約2/3であり、距離C1より短い。なお、溝部23は、紙ロール収容部20の底部のうち紙ロール収容部20の中心の真下の位置Pよりも検出アーム71に接近した位置にある。
【0034】
プリントが開始され、用紙が引き出されると紙ロールは反時計方向に回転される。ここで、紙ロールの外周面と検出アーム71との間の摩擦によって、検出アーム71には摩擦力が発生する。この摩擦力がアーム本体72を軸部73a,73bに向かわせる方向である場合には、摩擦力が不安定となって場合によっては無用に大きくなって、プラテンローラ61による用紙に引き出しが不安定となる場合も起こる虞れがある。しかし、本実施例では、摩擦力はアーム本体72を軸部73a,73bから離す方向であり、摩擦力は小さくてしかも安定となり、プラテンローラ61による用紙の引き出しに対する影響はなく、用紙の引き出しは安定に行われる。
【0035】
プリントが進行して、紙ロールの径が小さくなるにつれて、検出アーム71は矢印A方向に少しずつ回動される。張り出し部74は検出スイッチ80の作動片81の根元の方向にその長手方向に沿って移動する。また、紙ロールは、紙ロール収容部20の底部のうち深い部分に向かって少しずつ移動する。ニアエンド状態に近づくと、紙ロールは、その一部が溝部23に嵌合して、溝部23の箇所に位置を決められてこの位置で回転し続け、径が更に小さくなるにつれて紙ロールの外周面のうち検出アーム71側の部分は、Y1方向に、即ち、検出アーム71から離れる方向に変位して後退する。また、ニアエンド状態に近づいて張り出し部74の端が作動片81の根元部に近づくと作動片81は少しずつ復帰動作を開始する。
【0036】
紙ロールがニアエンド状態となると、紙ロールの外周面は検出アーム71が当たらない位置まで後退して、検出アーム71はもはや紙ロールの外周面によっては係止されない状態となって、矢印A方向に図10及び図11に示す位置まで所定の角度回動される。この回動によって、張り出し部74が検出スイッチ80上よりY2方向に外れて、作動片81は復帰し、検出スイッチ80はオフに切り換わる。
【0037】
検出スイッチ80はオフに切り換わると、回路基板モジュール40の回路によって、ユーザに紙ロールがニアエンド状態に到ったことを知らせる動作が行われる。
【0038】
なお、プリントはその後も継続して行われる。ユーザは、適当なタイミングで、紙ロールの交換を行う。なお、紙ロールの交換を行なわずに、プリントを継続した場合には、感熱紙の終端がサーマルヘッド31に到る直前で、プリント動作は自動的に停止される。
【0039】
なお、蓋50を開くと、軸部73a,73bが規制部90よりY2側に移動するにつれて、突起部75が斜辺部92の下面に当たりつつY2方向に移動し、検出アーム71はばね力に抗して矢印B方向に回動させられて、X1方向から見て補助ホルダ部材52内に収まる状態となる。
【実施例2】
【0040】
図12及び図13は、本発明の実施例2になるサーマルプリンタ装置10Aを、その蓋を省略した状態で、異なる方向より見て示す図である。図14はサーマルプリンタ装置10Aを概略的に示す側面図である。
【0041】
このサーマルプリンタ装置10Aは、前記のサーマルプリンタ装置10とは、ニアエンド検出機構70Aが相違する。
【0042】
ニアエンド検出機構70Aは、検出スイッチ80Aが本体12の側面の内側面に取り付けてあり、検出アーム71のレバー部76が検出スイッチ80Aに当たっており、規制部90Aは略円弧形状の下面100を有するY2方向に突き出した単純な突起形状である構成である。この規制部90Aは略円弧形状の下面100は、蓋50が閉じた状態における軸部73a,73bを中心とする突起部75の回動軌跡に略沿っている。
【0043】
図13に示すように、蓋50が開いているときには、突起部75が規制部90Aの下面100に係止されて、矢印A方向の回動を規制されている。二点鎖線で示すように、蓋50が閉じられた状態となると、規制部90Aの下面100は突起部75の移動を規制することが出来ない状態となり、検出アーム71は矢印A方向に回動され、紙ロールの外周面に当たる。
【0044】
紙ロールがニアエンド状態に到ったことを検出する動作は、レバー部76が検出スイッチ80Aの箇所から外れて検出スイッチ80Aはオフに切り換わって、前記の実施例と同様に行われる。
【実施例3】
【0045】
図15は本発明の実施例3になるサーマルプリンタ装置10Bを概略的に示す。検出アーム71も検出スイッチ80Bも蓋50に取り付けてある。
【実施例4】
【0046】
図16は本発明の実施例4になるサーマルプリンタ装置10Cを示し、図17及び図18はニアエンド検出機構70Cを示す。
【0047】
サーマルプリンタ装置10Cは、ニアエンド検出機構70C以外は、図1に示すサーマルプリンタ装置10と同じ構成である。
【0048】
ニアエンド検出機構70Cは、図17に示すように、検出アーム71Cと、検出スイッチ80と、中間部材110とを有する。
【0049】
検出アーム71Cは蓋50に取り付けてあり、検出スイッチ80Cと中間部材110は本体12に取り付けてある。
【0050】
検出アーム71Cは、軸部120と、軸部120のX1側のアーム本体72Cと、軸部120のX2側のカム部121とを有する。アーム本体72Cは略細長い三角形の形状を有する。カム部121は、軸部120を中心とする円弧状のカム面部122を有し、アーム本体72Cと一体に回動する。123はカム面部122の端部である。
【0051】
検出アーム71Cは、軸部120を蓋50の裏面側に支持されて回動可能に設けてある。この検出アーム71Cは、図19(A)に示すようにばね部材130によって矢印A方向に回動付勢されている。また、図19(B)に示すように、アーム本体72Cより突き出ているばね部131が弾性的に撓むことによって矢印A方向に回動付勢されるようにしてもよい。蓋50が閉じた状態で、アーム本体72Cは紙ロール収容部20内に突き出し、カム部121は本体12のフレーム側板12aの外側に位置する。
【0052】
検出スイッチ80Cは、作動片81CがZ方向に延在する縦向きで且つ作動片81Cが検出スイッチ本体のY2側に位置する姿勢で、本体12のフレーム側板12aの外側面にねじ止めしてある。
【0053】
中間部材110は、略細長い逆三角形の形状を有し、Z1側のY1側に係止部111を有し、Z1側のY2側に角部112を有し、Z2側を軸113によって本体12の側板12aの外側面に限られた角度範囲で回動可能に支持してある。
【0054】
中間部材110は、検出スイッチ80CのY2側に配置してあり、係止部111が作動片81に対向している。中間部材110と検出スイッチ80とは、中間部材110が矢印A方向に回動すると、係止部111は作動片81よりこれに対して略直角の方向に離れる関係にある。
【0055】
蓋50が閉じた状態では、中間部材110は、検出スイッチ80Cとカム部121との間に配置され、カム部121と角部112とが対向する。
【0056】
新しい紙ロール1を紙ロール収容部20内に入れて蓋50を回動させて閉じると、サーマルプリンタ装置10Cは図16に示す状態となり、ニアエンド検出機構70Cは、図17及び図18に示す状態となる。
【0057】
蓋50が閉じられる最終の段階で、アーム本体72Cが紙ロール収容部20内の新しい紙ロール1の外周面に当たり検出アーム71Cが矢印B方向に少し回動され、カム部121が角部112に対向する。蓋50が完全に閉じられた状態では、カム部121が角部112を押し、中間部材110をロックし、係止部111が作動片81Cを押し作動片81Cをロックし、検出スイッチ80Cはオンとなる。
【0058】
プリントが進行して、紙ロールの径が小さくなるにつれて、アーム本体72Cは矢印A方向に少しずつ回動される。また、紙ロールは、紙ロール収容部20の底部のうち深い部分に向かって少しずつ移動し、溝部23の箇所に位置を決められてこの位置で回転し続ける。図20はこのときの状態を示す。
【0059】
紙ロールがニアエンド状態となると、図21及び図22に示すように、検出アーム71Cが矢印A方向に所定の角度回動され、カム部121の端部123が角部112より外れ、中間部材110に対するロックが解除される。中間部材110はロックを解除され、検出スイッチ80Cの作動片81Cが中間部材110を回動させつつ跳ね上がって、検出スイッチ80Cはオフに切り換わる。
【0060】
紙ロールがニアエンドになるまでは、図20に示すように、カム部121は少しずつ回動するけれども、カム部121が角部112を係止し続け、即ち、カム部121が中間部材110をロックし続け、検出スイッチ80Cはそれ自体切り換わるときの作動片81Cの角度にばらつきがあるにも拘わらずオンの状態に維持される。
【0061】
図23はプリントが継続して行われて紙ロールの径が線Iで示すように時間に比例して小さくなったと過程した場合の、検出スイッチ80Cがオフに切り換わった時点での紙ロールの径のばらつきを示す。
【0062】
紙ロールがニアエンドに近くなったときの検出アームの回動によって検出スイッチ80Cの作動片81Cが徐々に動いて検出スイッチ80Cがオフに切り換わる構成とした場合には、検出スイッチ80C自身のばらつき等が原因で、検出スイッチ80Cがオフに切り換わる時点にΔT1のバラツキが現れる。よって、組み立てたサーマルプリンタ装置の間で、ニアエンドが検出されたときの紙ロールの径にΔD1のバラツキが現れてしまう。
【0063】
しかし、本実施例では、中間部材110のロックが解除されたときに検出スイッチ80Cがオフに切り換わる構成であるので、検出スイッチ80Cがオフに切り換わる時点のバラツキはΔT2と僅かとなる。よって、組み立てたサーマルプリンタ装置の間で、ニアエンドが検出されたときの紙ロールの径のバラツキはΔD2と僅かとなる。
【0064】
よって、組み立てられたサーマルプリンタ装置10Cの間における検出スイッチ80Cがオフに切り換わるときの紙ロールの径のばらつきは小さく、検出スイッチ80Cの取り付け位置を調整する作業は不要となる。
【0065】
なお、使用しきった紙ロールに代えて新しい紙ロール1を収容するために、蓋50を開くと、蓋50は検出アーム71Cと共に、二点鎖線で示すように開かれる。
【0066】
新しい紙ロール1を収容して蓋50を閉じると図18に示す状態となる。カム部121は中間部材110の角部112に当たってこれを押して、中間部材110の係止部111が作動片81を押し、検出スイッチ80Cはオンとなる。中間部材110が存在することによって、蓋50を閉じたときに、ニアエンド検出機構70Cが図18に示す状態となる動作が安定に行われる。
【0067】
なお、中間部材110は例えば直線的に移動可能でもよく、要は本体12の側板12aに変位可能に設けてあればよい。
【実施例5】
【0068】
図24及び図25本発明の実施例5になるニアエンド検出機構70Dを示す。ニアエンド検出機構70Dは、検出アーム71Cのカム部121が検出スイッチ80Dの作動片81Dに直接に作用する構成である。
【0069】
図24(A)、(B)は紙ロールがニアエンド状態に到る前の状態を示す。カム部121が検出スイッチ80Dの作動片81Dを係止してロックしており、検出スイッチ80Dはオンである。
【0070】
検出スイッチ80Dは、横向きの姿勢で取り付けてあり、作動片81は長手方向がX方向であり幅方向がY方向である向きで、検出スイッチ本体のY2側に位置している。作動片81Dとカム部121とは、カム部121が回動したときに、カム面122が作動片81Dの幅方向に移動する関係にある。
【0071】
紙ロールがニアエンド状態に到り検出アーム71Cが所定の角度回動されると、図25(A)、(B)に示すように、カム部121のカム面122の端部123が検出スイッチ80Dの作動片81Dの幅方向のZ1側の縁から外れ、作動片81Dはロックを解除されて解放されて跳ね上がって、検出スイッチ80Dはオフとなる。
【0072】
紙ロールがニアエンド状態に近い状態でも作動片81Dはカム部121によってロックされ続け、検出スイッチ80Dはオフとはならず、紙ロールがニアエンド状態に到る作動片81Dはロックを解除され、この時点で、検出スイッチ80Dはオンとなる。よって、検出スイッチ80Dがオフに切り換わった時点における紙ロールの径のばらつきは小さい。
【0073】
上記実施例において、検出スイッチ80は、機械的なスイッチに限らず、フォトインタラプタのような光学的スイッチでもよい。
【0074】
また、上記実施例のニアエンド検出機構は、サーマルプリンタ装置以外の種類のプリンタ装置にも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施例1になるサーマルプリンタ装置の使用状態を示す斜視図である。
【図2】サーマルプリンタ装置の蓋が開いている状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示す状態のサーマルプリンタ装置を概略的に示す側面図である。
【図4】図2に示す状態のサーマルプリンタ装置を概略的に示す側面図である。
【図5】ニアエンド検出機構を拡大して示す図である。
【図6】図5のニアエンド検出機構を分解して示す図である。
【図7】図6中、VII-VII線に沿う断面図である。
【図8】紙ロールを紙ロール収容部内に入れて蓋を閉じたときのニアエンド検出機構の状態を示す図である。
【図9】図8に示す状態のニアエンド検出機構の概略側面図である。
【図10】紙ロールがニアエンド状態となったときのニアエンド検出機構の状態を示す図である。
【図11】図10に示す状態のニアエンド検出機構を概略的に示す側面図である。
【図12】本発明の実施例2になるサーマルプリンタ装置の斜視図である。
【図13】図12のサーマルプリンタ装置の斜視図である。
【図14】図12のサーマルプリンタ装置を概略的に示す側面図である。
【図15】本発明の実施例3になるサーマルプリンタ装置の概略側面図である。
【図16】本発明の実施例4になるサーマルプリンタ装置の使用状態を示す斜視図である。
【図17】図16中のニアエンド検出機構を拡大して示す斜視図である。
【図18】図16中のニアエンド検出機構を示す図である。
【図19】検出アームを回動付勢する機構を示す図である。
【図20】紙ロールがニアエンドに近い状態となったときのニアエンド検出機構の状態を示す図である。
【図21】紙ロールがニアエンド状態となったときのニアエンド検出機構の状態を示す図である。
【図22】紙ロールがニアエンド状態となったときのニアエンド検出機構の状態を示す斜視図である。
【図23】ニアエンド検出機構の特性を示す図である。
【図24】本発明の実施例5になるニアエンド検出機構の紙ロールがニアエンドに近い状態となったときの状態を示す図である。
【図25】本発明の実施例5になるニアエンド検出機構を紙ロールがニアエンド状態となったときの状態を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1 感熱紙ロール
1c ニアエンド状態の感熱紙ロール
2 感熱紙
5 レシート
10、10A,10B サーマルプリンタ装置
11 印字機構部
12 本体
20 感熱紙ロール収容部
21 開口
22 前側ホルダ部
23 溝部
30 サーマルヘッドモジュール
31 サーマルヘッド
32 自動カッター機構
40 回路基板モジュール
50 蓋
51 軸
60 プラテンローラモジュール
61 プラテンローラ
70 ニアエンド検出機構
71、71C 検出アーム
72 アーム本体
72a 側端面
73a,73b 軸部
74 円弧状張り出し部
75 突起部
76 レバー部
80、80A〜80D 検出スイッチ
90,90A 規制部
91 開口
92 斜辺部
93 底辺部
95 壁部
96 隙間
100 下面
110 中間部材
111 係止部
112 角部
121 カム部
122 カム面部
123 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の用紙が巻回してある紙ロールを収容する紙ロール収容部を有する本体と、該本体に回動可能に取り付けてあり、閉じられて前記紙ロール収容部を塞ぐ蓋と、該蓋が閉じられた状態で形成される印字機構部とを有し、
前記蓋が閉じられ、前記紙ロール収容部内の前記紙ロールより引き出された用紙が前記印字機構部を通る構成であるプリンタ装置において、
前記紙ロール収容部内に収容してある前記紙ロールがニアエンド状態になったことを検出する検出アームを、前記蓋の裏面側に回動可能に設けた構成としたプリンタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタ装置において、
前記蓋は、閉じた状態で垂直の姿勢となる構成であり、
前記検出アームは、前記蓋が閉じた状態で上方となる部位を回動中心として支持され、前記紙ロール収容部内に突き出るように回動して、前記紙ロール収容部内に収容してある前記紙ロールの外周面に当たって係止され、前記紙ロールがニアエンド状態になったときに前記紙ロールの外周面によって係止されなくなって所定の角度回動する構成としたプリンタ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタ装置において、
前記蓋は、その裏面に、閉じた状態で、前記紙ロール収容部内に収容してある前記紙ロールの前面に対向する補助ホルダー部材が取り付けてあり、
前記検出アームは、その軸部を、前記補助ホルダー部材によって支持されている構成としたプリンタ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のプリンタ装置において、
前記検出アームが、前記紙ロールがニアエンド状態になるまで回動したことを検出するスイッチを、前記本体に設けた構成としたプリンタ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のプリンタ装置において、
前記検出アームが、前記紙ロールがニアエンド状態になるまで回動したことを検出するスイッチを、前記蓋に設けた構成としたプリンタ装置。
【請求項6】
請求項2に記載のプリンタ装置において、
前記蓋が開いた状態で、前記検出アームを、前記紙ロールの前記紙ロール収容部内への収容を邪魔しない回動位置に規制し、前記蓋が閉じた状態では規制が解除された状態とする規制機構を有する構成としたプリンタ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のプリンタ装置において、
前記規制機構は、前記本体より突き出ている規制部と、前記検出アームに突き出て設けてあり、前記規制部の下面に当たる突起部とよりなる構成としたプリンタ装置。
【請求項8】
請求項1に記載のプリンタ装置において、
前記紙ロール収容部は、径が小さくなった紙ロールが嵌合されるようにして、前記径が小さくなった紙ロールの位置を、前記検出アームの近くの位置に定める溝部を有する構成としたプリンタ装置。
【請求項9】
請求項1に記載のプリンタ装置において、
前記検出アームは、前記蓋が閉じた状態で前記紙ロール収容部内に収容してある前記紙ロールの外周面に当たるアーム本体と前記アーム本体と一体に回動するカム部を有し、前記蓋が閉じた状態で前記アーム本体が前記紙ロール収容部内に収容してある前記紙ロールの外周面に当たって係止され、前記紙ロールがニアエンド状態になったときに前記アーム本体が前記紙ロールの外周面によって係止されなくなって所定の角度回動する構成であり、
作動片を備えた機械的スイッチを、前記本体に設け、
前記検出アームの前記所定の角度の回動がなされるまでは、前記検出アームが少しずつ回動している間は、前記カム部が前記作動片を係止してロックし続け、前記検出アームが前記所定の角度回動したときに、前記カム部が前記作動片から外れて前記作動片がロックを解除されて解放される構成としたプリンタ装置。
【請求項10】
請求項1に記載のプリンタ装置において、
前記検出アームは、前記蓋が閉じた状態で前記紙ロール収容部内に収容してある前記紙ロールの外周面に当たるアーム本体と前記アーム本体と一体に回動するカム部を有し、前記蓋が閉じた状態で前記アーム本体が前記紙ロール収容部内に収容してある前記紙ロールの外周面に当たって係止され、前記紙ロールがニアエンド状態になったときに前記アーム本体が前記紙ロールの外周面によって係止されなくなって所定の角度回動する構成であり、
作動片を備えた機械的スイッチを、前記本体に設け、
中間部材を、その一部が前記作動片に対向し、別の一部が前記のカム部に対向するように、前記本体に変位可能に設け、
前記検出アームの前記所定の角度の回動がなされるまでは、前記カム部が前記中間部材の前記別の一部を係止してロックし続け且つ前記中間部材の前記一部が前記作動片を係止してロックし続け、前記検出アームが前記所定の角度回動したときに、前記カム部が前記中間部材の前記別の一部から外れて前記中間部材がロックを解除されて解放される構成としたプリンタ装置。
【請求項11】
請求項10に記載のプリンタ装置において、
前記中間部材は、前記中間部材がロックを解除されて解放されたときに前記中間部材の前記一部が前記機械的スイッチの前記作動片に対して直角に離れる方向に移動するように設けてある構成としたプリンタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−120069(P2008−120069A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231778(P2007−231778)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】