プリント回路板組立方法
【課題】回路基板へのバンプ部品の装着において、装着能率の向上を可能にするプリント回路板組立方法の提供を課題とする。
【解決手段】装着ラインを構成する上流側装着機に高さが設定高さ以下のBGA36,角チップ32を割り当て、低BGAを最初に回路基板に装着する。低BGAはマルチノズルヘッドによる低角チップの装着を妨げず、最初の装着により、低BGAの未装着箇所に落下した低角チップの上に低BGAが装着されることが、装着箇所の検査なく回避される。また、例えば、下流側装着機において高さが設定高さより高いBGA36が装着される際、既に角チップ32が装着されている場合には、装着に先立って、高BGAを装着すべき箇所に、低角チップが落下していないかどうかの検査を行い、その検査に要する検査時間を、高BGAを装着する動作自体に要する装着時間に加えて、1個の高BGAの装着に要する所要時間とし、その上で、上流側装着機と下流側装着機との総所要時間が均等になるようにする。
【解決手段】装着ラインを構成する上流側装着機に高さが設定高さ以下のBGA36,角チップ32を割り当て、低BGAを最初に回路基板に装着する。低BGAはマルチノズルヘッドによる低角チップの装着を妨げず、最初の装着により、低BGAの未装着箇所に落下した低角チップの上に低BGAが装着されることが、装着箇所の検査なく回避される。また、例えば、下流側装着機において高さが設定高さより高いBGA36が装着される際、既に角チップ32が装着されている場合には、装着に先立って、高BGAを装着すべき箇所に、低角チップが落下していないかどうかの検査を行い、その検査に要する検査時間を、高BGAを装着する動作自体に要する装着時間に加えて、1個の高BGAの装着に要する所要時間とし、その上で、上流側装着機と下流側装着機との総所要時間が均等になるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路板組立方法に関するものであり、特に、設備費の低減,不良品発生の防止、および装着能率の向上の少なくとも1つに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献1に記載されているように、回路基板にBGA(Ball Grid Array),CSP(Chip Size Package)等、接続用バンプを備えたバンプ部品と、チップ部品等、接続用バンプを備えない非バンプ部品とが混在して装着されることがある。バンプ部品は非バンプ部品の装着後にまとめて回路基板に装着されるのであるが、回路基板のバンプ部品が装着されるべき箇所に設けられた電極上に非バンプ部品が落下し、その上からバンプ部品が装着されれば、電気的不良、例えば、導通不良や短絡の原因となる。そのため、特許文献1に記載の基板検査装置においては、非バンプ部品の装着後、バンプ部品の装着前にバンプ部品未装着箇所をカラーカメラにより撮像し、その撮像データに基づいて部品未装着箇所における異物の有無を判定し、異物がある場合にはその旨を通報するようにされている。このようにバンプ部品の装着箇所について検査を行えば、不良な回路基板の発生を防止することができる。
【特許文献1】特開2003−141509公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の基板検査装置が、部品装着機とは別に設けられた検査専用の装置であれば、設備費が増大する問題がある。この基板検査装置が部品装着機に設けられているとしても、回路基板に設定された全部のバンプ部品装着箇所についてそれぞれ、異物の有無を検査することが必要であり、時間がかかり、装着能率が低下する問題がある。
この問題は、平面視の寸法が大きい大型部品や、吸着ノズルにより保持され、撮像装置による撮像に基づいて吸着ノズルによる保持位置誤差が取得される際、保持位置誤差の取得が複数のリードに基づいて行われるリード依拠部品についても同様に発生する。一般に、小型部品の後に大型部品の装着が行われ、保持位置誤差の取得が電子回路部品全体の外形線に基づいて行われる外形線依拠部品の後に、リード依拠部品が装着されるのであるが、これらの場合にも、回路基板の大型部品やリード依拠部品が装着されるべき箇所に、小型部品や外形線依拠部品が落下することがあり、バンプ部品におけると同様の問題があるのである。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、回路基板へのバンプ部品,大型部品およびリード依拠部品の少なくとも1つの装着において、不良品発生の防止,設備費の低減、および装着能率の向上の少なくとも1つを可能にするプリント回路板組立方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題は、1つの装着ラインを構成する複数台の部品装着機に、それら複数台の部品装着機間において1枚の回路基板に電子回路部品を装着するのに要する総所要時間が均等となるように、複数の電子回路部品を割り当てて、プリント回路板を組み立てる方法を、前記複数の電子回路部品として、(a)部品本体の回路基板に装着されるべき装着面にその装着面から回路基板に向かって突出させられた複数の接続用バンプを備えた電子回路部品であるバンプ部品と、(b)バンプ部品以外の電子回路部品である非バンプ部品とを含むものを装着するとともに、前記複数台の部品装着機の少なくとも1台において回路基板にバンプ部品を装着する際に、その回路基板に既に非バンプ部品が装着されている場合には、その回路基板のそのバンプ部品を装着すべき箇所に非バンプ部品が落下していないかどうかの検査を行い、その検査に要する検査時間をバンプ部品を回路基板に装着する動作自体に要する装着時間に加えて、1個のバンプ部品の装着に要する所要時間とするものとすることにより解決される。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る方法においては、装着ラインを構成する複数台の部品装着機の少なくとも1台において回路基板にバンプ部品を装着する際に、その回路基板に既に非バンプ部品が装着されている場合には、その回路基板のそのバンプ部品を装着すべき箇所に非バンプ部品が落下していないかどうかの検査が行われるため、回路基板のバンプ部品が装着されるべき箇所に設けられた電極上に非バンプ部品が落下し、その上からバンプ部品が装着されて電気的不良、例えば、導通不良や短絡が発生することが防止される。
しかも、検査した上でバンプ部品が装着される場合には、その検査に要する検査時間をバンプ部品を回路基板に装着する動作自体に要する装着時間に加えて、1個のバンプ部品の装着に要する所要時間とされ、その上で、1つの装着ラインを構成する複数台の部品装着機に、それら複数台の部品装着機間において1枚の回路基板に電子回路部品を装着するのに要する総所要時間が均等となるように、複数の電子回路部品の割当てが行われるため、装着ラインを構成する複数台の部品装着機がすべて有効に使用されることとなり、装着ライン全体の生産能率が高くなる効果が得られる。
【発明の態様】
【0006】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、請求の範囲に記載された発明である「本願発明」の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載,従来技術等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0007】
なお、以下の各項において、(19)項が請求項1に相当し、(20)項が請求項2に相当する。
【0008】
(1)複数の電子回路部品を回路基板に装着してプリント回路板を組み立てる方法であって、標準の装着順序として、(a)部品本体の前記回路基板に装着されるべき装着面にその装着面から前記回路基板に向かって突出させられた複数の接続用バンプを備えたバンプ部品であることと、(b)平面視の寸法が大きい大型部品であることと、(c)吸着ノズルにより保持され、撮像装置により撮像されて吸着ノズルによる保持位置誤差が取得され、その保持位置誤差が修正されて前記回路基板に装着される際に、前記保持位置誤差の取得が電子回路部品の複数のリードに基づいて行われるリード依拠部品であることとの少なくとも1つの条件を満たす電子回路部品の少なくとも一部のものを、前記回路基板の現に電子回路部品の装着が行われる被装着面に未だ電子回路部品が装着されていない状態で最初に装着するプリント回路板組立方法。
バンプ部品,大型部品およびリード依拠部品のように、従来、一般に、回路基板への装着が後で行われていた電子回路部品であっても、早く装着した方がよい場合があり、そのような電子回路部品の装着順序をできるだけ先にし、できるだけ早い時期に装着されるようにすることが請求可能発明のコンセプトである。そのような電子回路部品の具体例がバンプ部品,大型部品およびリード依拠部品であり、(1)項〜(18)項のいずれの請求可能発明もコンセプトを同じくする発明である。
(2)1台以上の部品装着機を含む装着ラインにより、1枚の回路基板に複数の電子回路部品を装着して1枚のプリント回路板を組み立てる準備のために、コンピュータにより読み取られ、コンピュータにより実行される装着プログラム作成プログラムであって、
前記装着ラインにおいて、(a)部品本体の前記回路基板に装着されるべき装着面にその装着面から前記回路基板に向かって突出させられた複数の接続用バンプを備えたバンプ部品であることと、(b)平面視の寸法が大きい大型部品であることと、(c)吸着ノズルにより保持され、撮像装置により撮像されて吸着ノズルによる保持位置誤差が取得され、その保持位置誤差が修正されて前記回路基板に装着される際に、前記保持位置誤差の取得が電子回路部品の複数のリードに基づいて行われるリード依拠部品であることとの少なくとも1つの条件を満たす電子回路部品の少なくとも一部のものを、前記回路基板の現に電子回路部品の装着が行われる被装着面に未だ電子回路部品が装着されていない状態で最初に装着するように装着順序を決定するステップを含む装着プログラム作成プログラム。
本項に記載の作成プログラムによれば、(1)項に記載のプリント回路板組立方法を実施する装着プログラムが得られる。
(3)複数の電子回路部品を回路基板に装着してプリント回路板を組み立てる方法であって、標準の装着順序として、前記複数の電子回路部品のうち、部品本体の前記回路基板に装着されるべき装着面にその装着面から前記回路基板に向かって突出させられた複数の接続用バンプを備えたバンプ部品の少なくとも一部のものを、前記接続用バンプを備えない電子回路部品である非バンプ部品より先に装着するプリント回路板組立方法。
(4)前記バンプ部品の前記少なくとも一部のものを、回路基板の現に電子回路部品の装着が行われる被装着面に未だ電子回路部品が装着されていない状態で最初に装着する(3)項に記載のプリント回路板組立方法。
本項に記載の方法によれば、回路基板に最初に装着されるバンプ部品が装着されるべき箇所に非バンプ部品が落下していることはなく、(3)項に記載の組立方法の効果が最も確実に得られる。
(5)前記バンプ部品のうち高さが設定高さ以下のバンプ部品を、前記バンプ部品の前記少なくとも一部とする(3)項または(4)項に記載のプリント回路板組立方法。
本項の組立方法は、概して、バンプ部品のうち高さが設定高さ以下のバンプ部品を、非バンプ部品より先に装着し、高さが設定高さより高いバンプ部品を前記非バンプ部品より後に装着するものである。ただし、非バンプ部品はすべて、高さが設定高さより高いバンプ部品より前に装着するという趣旨ではない。非バンプ部品の一部が、設定高さより高いバンプ部品より後に装着されるようにしてもよいのである。例えば、非バンプ部品の中にも設定高さより高いものもあり、そのような非バンプ部品は設定高さより高いバンプ部品と混ぜて、あるいは設定高さより高いバンプ部品より後に装着されるようにしてもよいのである。
本項に記載の方法は、例えば、非バンプ部品の少なくとも一部の装着を行う装着ヘッド等の装置が、非バンプ部品の装着を行う際に既に回路基板に装着されている電子回路部品である先付部品と、その高さによっては干渉する恐れがある構成の装置である場合に特に有効である。
(6)1台以上の部品装着機を含む装着ラインにより、1枚の回路基板に複数の電子回路部品を装着して1枚のプリント回路板を組み立てる準備のために、コンピュータにより読み取られ、コンピュータにより実行される装着プログラム作成プログラムであって、
前記装着ラインにおいて、部品本体の前記回路基板に装着されるべき装着面にその装着面から前記回路基板に向かって突出させられた複数の接続用バンプを備えたバンプ部品の少なくとも一部のものを、前記非バンプ部品より先に装着するように、装着順序を決定するステップを含む装着プログラム作成プログラム。
(7)前記バンプ部品の前記少なくとも一部のものを、回路基板の現に電子回路部品の装着が行われる被装着面に未だ電子回路部品が装着されていない状態で最初に装着するように装着順序を決定するステップを含む(6)項に記載の装着プログラム作成プログラム。
(4)項に記載のプリント回路板組立方法を実施するための装着プログラムが作成される。
(8)前記装着順序が、前記装着ラインの前記1台以上の部品装着機のうちの1台における装着順序として決定される(6)項または(7)項に記載の装着プログラム作成プログラム。
本項に記載の作成プログラムにより、回路基板へのバンプ部品と非バンプ部品との装着を1台の装着機により行うための装着プログラムが作成され、その1台の部品装着機においてバンプ部品の少なくとも一部のものが非バンプ部品より先に装着される。上記1台の部品装着機が装着ラインに含まれる唯一の部品装着機である場合、あるいは先頭の部品装着機である場合に最も効果的である。
(9)前記装着順序の決定を、前記装着ラインにおいて、少なくとも前記非バンプ部品に関して装着能率が可及的に高くなるように行う(6)項ないし(8)項のいずれかに記載の装着プログラム作成プログラム。
非バンプ部品の装着順序がバンプ部品の後とされることによる装着能率の低下を低減することができる。
(10)前記装着ラインが、回路基板の流れに沿って並べられた複数台の部品装着機を含むものであり、前記バンプ部品の前記少なくとも一部のものを、前記非バンプ部品を割り当てる部品装着機より上流の部品装着機に割り当てるステップを含む(6)項ないし(9)項のいずれかに記載の装着プログラム作成プログラム。
バンプ部品の少なくとも一部のものを、前記装着ラインの最上流の部品装着機に割り当て、その最上流の部品装着機あるいはそれより下流側の部品装着機に前記非バンプ部品を割り当てる態様が、本項に係る発明の典型的な一例である。
しかし、それに限定されるわけではなく、例えば、最上流の部品装着機に非バンプ部品ではあるが比較的大型でかつ高さが設定高さ以下のもの(バンプ部品の下に入り込めば、バンプ部品の装着が正常に行われない、あるいは目視で明らかに判る等のもの)を割り当て、それより下流の部品装着機にバンプ部品の少なくとも一部のものを割り当て、さらにそれより下流側の部品装着機に再び非バンプ部品(特に小型の)を割り当てるようにすることが可能である。
また、上記「非バンプ部品を割り当てる部品装着機」は、必ずしも非バンプ部品のみが割り当てられる必要はなく、例えば、バンプ部品の残りのものの少なくとも一部が割り当てられてもよい。
本項が(8)項に従属する態様では、複数台の部品装着機のうち、バンプ部品および非バンプ部品の両方が割り当てられた部品装着機の少なくとも1台において、バンプ部品の少なくとも一部のものを非バンプ部品より先に装着するように装着プログラムが作成される。
(11)前記バンプ部品のうち高さが設定高さ以下のバンプ部品を、前記バンプ部品の前記少なくとも一部とする(6)項ないし(10)項のいずれかに記載の装着プログラム作成プログラム。
(5)項に記載のプリント回路板組立方法を実施するための装着プログラムが作成される。
(12)前記バンプ部品のうち前記非バンプ部品より後に装着されるものに関しては、それらの装着に先立って、それらが装着されるべき箇所に他の前記電子回路部品が落下する異常が発生していないか否かを検査する異常検査ステップが実行されるように、装着プログラムを作成する(6)項ないし(11)項のいずれかに記載の装着プログラム作成プログラム。
バンプ部品が、それの装着されるべき箇所に落下した非バンプ部品の上に装着されることがなく、電気的不良の発生が防止される。
本項に記載の作成プログラムにより作成された装着プログラムに従って電子回路部品の装着が行われる場合、部品装着機において部品装着箇所の検査が行われ、不良品の発生を防止し、装着能率を向上させつつ、部品装着機とは別に専用の検査機が設けられる場合に比較して設備費を低減することができる。
(13)複数の電子回路部品を回路基板に装着してプリント回路板を組み立てる方法であって、前記複数の電子回路部品を、平面視の寸法が大きい大型部品の群である大型部品群と、平面視の寸法が小さい小型部品の群である小型部品群とに分け、前記大型部品群に属する電子回路部品の少なくとも一部のものを、前記小型部品群に属する電子回路部品より先に装着するプリント回路板組立方法。
前記(4)項および(5)項の各特徴は、バンプ部品を大型部品群に属する電子回路部品と読み替えて、本項のプリント回路板組立方法にも適用可能である。
大型部品より先に小型部品が装着される場合、大型部品の未装着箇所に小型部品が落下し、その上に大型部品が装着されれば、小型部品が隠れて見難く、あるいは見えず、大型部品の装着前における部品未装着箇所の検査あるいは装着後の検査が必要になる。また、小型部品が大型部品により完全に覆われていれば、検査が行われても見つけられず、不具合が直ちにはわからない場合がある。例えば、大型部品がリードを有するリード部品である場合、検査ではリード部品の本体により覆われて見つけられなかった小型部品が、検査後、動いてリード部品の本体から外へ出てきてリードに当たったり、他の電子回路部品や電極等に当たって正常な導通を妨げる等、後から不具合がわかることがあるのである。それに対し、少なくとも一部の大型部品を小型部品より先に装着すれば、小型部品が大型部品の未装着箇所に落下することがなくなり、あるいは低減し、大型部品の未装着箇所について検査を全く行わなくて済み、あるいは検査数が減り、専用の検査機を設ける場合に比較して設備費を低減させることができ、部品装着機において全部の大型部品の未装着箇所について検査を行う場合に比較して、能率良く装着を行うことができる。
小型部品より先に大型部品が複数装着される場合、それら大型部品が小型部品の装着されるべき箇所や自身以外の大型部品の装着されるべき箇所に落下する場合があるが、その場合には、小型部品の装着や大型部品の装着が正常に行われず、また、装着動作が行われ、落下した大型部品上に小型部品や大型部品が載せられても、それら装着不良は目視によりわかるため、撮像等による検査は不要であり、本項の効果を損なうことはない。
(14)1台以上の部品装着機を含む装着ラインにより、1枚の回路基板に複数の電子回路部品を装着して1枚のプリント回路板を組み立てる準備のために、コンピュータにより読み取られ、コンピュータにより実行される装着プログラム作成プログラムであって、
前記複数の電子回路部品を、平面視の寸法が大きい大型部品の群である大型部品群と、平面視の寸法が小さい小型部品の群である小型部品群とに分けた場合に、前記装着ラインにおいて、大型部品群に属する電子回路部品の少なくとも一部のものを、前記小型部品群に属する電子回路部品より先に装着するように装着順序を決定するステップを含む装着プログラム作成プログラム。
前記(6)項ないし(12)項のそれぞれに記載の特徴は、バンプ部品を大型部品群に属する大型部品と読み替え、非バンプ部品を小型部品群に属する小型部品と読み替えて、本項の装着プログラム作成プログラムにも適用可能である。
(13)項に記載のプリント回路板組立方法を実施するための装着プログラムが作成される。
(15)前記小型部品群に属する電子回路部品は複数の吸着ノズルを備えた装着ヘッドであるマルチノズルヘッドにより装着され、前記大型部品群に属する電子回路部品は1つの吸着ノズルを備えた装着ヘッドであるシングルノズルヘッドで装着されるように装着プログラムを作成する(14)項に記載の装着プログラム作成プログラム。
複数の吸着ノズルを備えたマルチノズルヘッドは、隣接する吸着ノズルの間隔が狭く、小型部品の装着に適しており、そのような制約のないシングルノズルヘッドは大型部品の装着に適している。したがって、マルチノズルヘッドとシングルノズルヘッドとが選択的に使用される部品装着機においては、回路基板に小型部品も大型部品も装着することができ、装着ラインを構成する部品装着機の数や種類を増やすことなく、容易に大型部品が小型部品より先に装着されるようにすることができる。
(16)複数の電子回路部品を吸着ノズルに保持させ、その電子回路部品を撮像装置により撮像して吸着ノズルによる保持位置誤差を取得し、その保持位置誤差を修正して回路基板に装着することにより、プリント回路板を組み立てる方法であって、
前記複数の電子回路部品を、前記保持位置誤差の取得が電子回路部品全体の外形線に基づいて行われる外形線依拠部品と、前記保持位置誤差の取得が電子回路部品の複数のリードに基づいて行われるリード依拠部品とに分け、そのリード依拠部品の少なくとも一部のものを、前記外形線依拠部品より先に装着するプリント回路板組立方法。
前記(4)項および(5)項の各特徴は、バンプ部品をリード依拠部品と読み替えて、本項のプリント回路板組立方法にも適用可能である。
バンプ部品は、保持位置誤差の取得が複数の接続用バンプに基づいて行われ、リード依拠部品の一種と見なすことができる。
リード依拠部品はリードを複数備えており、リード依拠部品が装着されるべき箇所に落下した外形線依拠部品との干渉により電気的不良を生じ易い。また、外形線依拠部品はリードに隠れて見え難く、目視では見つけ難いのであるが、外形線依拠部品より先に装着すれば、部品未装着箇所の検査が不要であり、専用の検査機を設ける場合に比較して設備費を低減させることができ、部品装着機においてリード依拠部品の未装着箇所について検査を行う場合に比較して能率良く装着を行うことができる。
(17)複数の電子回路部品を吸着ノズルにより保持し、その電子回路部品を撮像装置により撮像して吸着ノズルによる保持位置誤差を取得し、その保持位置誤差を修正して回路基板に装着する1台以上の部品装着機を含む装着ラインにより、1枚の回路基板に複数の電子回路部品を装着して1枚のプリント回路板を組み立てる準備のために、コンピュータにより読み取られ、コンピュータにより実行される装着プログラム作成プログラムであって、
前記複数の電子回路部品を、前記保持位置誤差の取得が電子回路部品全体の外形線に基づいて行われる外形線依拠部品と、前記保持位置誤差の取得が電子回路部品の複数のリードに基づいて行われるリード依拠部品とに分けた場合に、前記装着ラインにおいて、前記リード依拠部品の少なくとも一部のものを、前記外形線依拠部品より先に装着するように装着順序を決定するステップを含む装着プログラム作成プログラム。
前記(6)項ないし(12)項のそれぞれに記載の特徴は、バンプ部品をリード依拠部品と読替え、非バンプ部品を外形線依拠部品と読み替えて、本項の装着プログラム作成プログラムにも適用可能である。
(16)項に記載のプリント回路板組立方法を実施するための装着プログラムが作成される。
(18)前記(2)項,(6)項〜(12)項,(14)項,(15)項および(17)項のいずれかに記載の装着プログラム作成プログラムがコンピュータにより読取可能に記録された記録媒体。
記録媒体は、例えば、ROMカセット等コンピュータに着脱可能な着脱式記録媒体,コンピュータに設けられた読取装置により読み取り可能な磁気テープ,磁気ディスク,光磁気ディスク,光ディスク等の読取式記録媒体とされる。
(19)1つの装着ラインを構成する複数台の部品装着機に、それら複数台の部品装着機間において1枚の回路基板に電子回路部品を装着するのに要する総所要時間が均等となるように、複数の電子回路部品を割り当てて、プリント回路板を組み立てる方法であって、
前記複数の電子回路部品として、(a)部品本体の回路基板に装着されるべき装着面にその装着面から回路基板に向かって突出させられた複数の接続用バンプを備えた電子回路部品であるバンプ部品と、(b)バンプ部品以外の電子回路部品である非バンプ部品とを含むものを装着するとともに、前記複数台の部品装着機の少なくとも1台において回路基板にバンプ部品を装着する際に、その回路基板に既に非バンプ部品が装着されている場合には、その回路基板のそのバンプ部品を装着すべき箇所に非バンプ部品が落下していないかどうかの検査を行い、その検査に要する検査時間をバンプ部品を回路基板に装着する動作自体に要する装着時間に加えて、1個のバンプ部品の装着に要する所要時間とすることを特徴とするプリント回路板組立方法。
(20)前記複数台の部品装着機にバンプ部品と非バンプ部品とを含む複数の電子回路部品を割り当てるに当たり、それら複数台の部品装着機の各々における総所要時間の差の絶対値が設定値以下であれば、それら複数台の部品装着機間における総所要時間が均等であるとする(19)項に記載のプリント回路板組立方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】請求可能発明に係るプリント回路板組立方法が実施される装着ラインを概略的に示す図である。
【図2】上記装着ラインを構成する部品装着機を概略的に示す平面図である。
【図3】上記部品装着機の装着装置においてヘッド保持装置がシングルノズルヘッドを保持した状態を示す側面図(一部断面)である。
【図4】上記装着装置においてヘッド保持装置がマルチノズルヘッドを保持した状態を示す側面図(一部断面)である。
【図5】上記部品装着機の制御装置の構成を概念的に示すブロック図である。
【図6】上記装着ラインを管理する装着管理コンピュータおよび装着プログラム作成コンピュータ等の関係を概念的に示す図である。
【図7】上記装着プログラム作成コンピュータのROMに記憶させられた装着プログラム作成プログラムの一部を示すフローチャートである。
【図8】上記装着プログラム作成プログラムの残りを示すフローチャートである。
【図9】上記装着プログラム作成プログラムにより作成された装着プログラムの実行による電子回路部品の回路基板への装着を説明する図である。
【図10】請求可能発明の別の実施例であるプリント回路板組立方法を実施するための装着プログラムを作成する装着プログラム作成プログラムの一部を示すフローチャートである。
【図11】図10に示す装着プログラム作成プログラムの残りを示すフローチャートである。
【図12】請求可能発明の更に別の実施例であるプリント回路板組立方法を実施するための装着プログラムを作成する装着プログラム作成プログラムの一部を示すフローチャートである。
【図13】図12に示す装着プログラム作成プログラムの残りを示すフローチャートである。
【実施例】
【0010】
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0011】
本装着ラインは、図1に示すように、それぞれ対基板作業機であり、回路基板の流れに沿って1列に並べられたスクリーン印刷機2,第1部品装着機4,第2部品装着機6およびリフロー炉8を含む。スクリーン印刷機2は高粘性流体塗布機の一種であり、回路基板に高粘性流体の一種であるクリーム状はんだをスクリーン印刷する。リフロー炉8は、回路基板に塗布されたクリーム状はんだを加熱し、溶融させる。これらスクリーン印刷機2等の間にはそれぞれ、回路基板受渡装置9が設けられ、装着ラインの上流側の作業機から作業の済んだ回路基板を受け取り、下流側の作業機に渡す。スクリーン印刷機2およびリフロー炉8は本発明との関係が薄いため、説明を省略し、第1,第2部品装着機4,6を説明する。
【0012】
本装着ラインにおいて第1部品装着機4は第2部品装着機6に対して、スクリーン印刷機2側であって、回路基板の流れにおいて上流側に設けられており、以後、第1部品装着機4を上流側装着機4、第2部品装着機6を下流側装着機6と称する。これら装着機4,6は同様に構成されており、上流側装着機4を代表的に説明する。
【0013】
上流側装着機4は、図2に示すように、基板搬送装置10,それぞれ部品供給装置の一種であるフィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14,基板保持装置16,装着装置18,ノズルヘッド収納装置20および制御装置22(図5参照)を備えている。基板搬送装置10は、システム本体としてのベッド26上に設けられ、回路基板28を水平な一方向に搬送して基板保持装置16に搬入し、基板保持装置16から搬出する。基板搬送方向をX軸方向とし、基板保持装置16に保持されている回路基板28の表面であり、電子回路部品が装着される被装着面30に平行な一平面である水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。基板保持装置16は位置を固定して設けられ、図示は省略するが、例えば、回路基板28を下方から支持する基板支持装置と、回路基板28の基板搬送方向に平行な両縁部をそれぞれクランプするクランプ装置とを含み、基板搬送装置10により搬入された回路基板28を水平な姿勢で保持する。
【0014】
フィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14は、本電子回路部品装着システムでは、図2に示すように、ベッド26上の、基板搬送装置10に対してY軸方向に隔たった両側にそれぞれ設けられている。フィーダ型部品供給装置12は、詳細な図示は省略するが、部品供給具の一種である複数のフィーダおよびフィーダ支持台を備えている。複数のフィーダはそれぞれ、フィーダ支持台に各部品供給部がX軸方向に並ぶ状態で着脱可能に取り付けられ、それぞれ多数の電子回路部品が送り装置により送られ、1個ずつ順次、部品供給部に位置決めされて供給される。
【0015】
トレイ型部品供給装置14は多数の収容凹部を有するトレイに電子回路部品を収容して供給する装置であり、未だ公開されていないが、本出願人に係る特願2006−280081の明細書に記載のトレイ型部品供給装置と同様に構成され、複数のトレイがトレイ支持板上に並べられて電子回路部品を供給する装置とされている。
【0016】
フィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14により、回路基板28に装着される電子回路部品であって、接続用バンプを備えない電子回路部品である非バンプ部品および接続用バンプを備えた電子回路部品であるバンプ部品が供給される。図9に示す角チップ32は非バンプ部品の一例であり、部品本体33および部品本体33に密着して形成された電極34を備え、全体として直方体形状を成している。本実施例において非バンプ部品には、部品本体から突出して設けられた複数のリードを有する電子回路部品であるリード部品およびフィルタ,コイル等の異形部品が含まれる。また、BGA36はバンプ部品の代表的な電子回路部品であり、部品本体37および部品本体37の回路基板28に装着されるべき装着面38に、その装着面38から回路基板28に向かって突出させられた複数の接続用バンプとしてのはんだボール39を備えている。本実施例においてバンプ部品には、BGA36の他に、例えば、CSP,ウエハレベルCSP,QFN(Quad Flat Non-leaded package),BCC(Bump Chip Carrier) 等、装着面に電極を備えた電子回路部品が含まれる。
【0017】
本装着装置18は、図2ないし図4に示すように、マルチノズルヘッド40,シングルノズルヘッド42,ヘッド保持装置44,相対移動装置たるヘッド移動装置46,接近離間装置たるヘッド昇降装置48およびヘッド回転装置50を含む。ヘッド移動装置46は、図2に示すように、X軸方向移動装置54およびY軸方向移動装置56を含む。X軸方向移動装置54は、可動部材としてのX軸スライド60とX軸スライド移動装置62(図5参照)とを含む。X軸スライド移動装置62は、駆動源たるX軸移動用モータ64(図
5参照)と、ボールねじおよびナットを含む送りねじ機構66(図5参照)とを含む。Y軸方向移動装置56はX軸スライド60上に設けられ、可動部材としてのY軸スライド70とY軸スライド移動装置72(図5参照)とを含む。Y軸スライド移動装置72は、X軸スライド移動装置62と同様に、駆動源たるY軸移動用モータ74(図5参照)と送りねじ機構76(図5参照)とを含む。X軸移動用モータ64およびY軸移動用モータ74は、例えば、電動モータの一種であるエンコーダ付サーボモータにより構成される。サーボモータは、回転角度の正確な制御が可能な電動回転モータであり、サーボモータに代えてステップモータを用いてもよい。リニアモータを用いてもよい。
【0018】
図2および図3に示すように、Y軸スライド70に前記ヘッド保持装置44,ヘッド昇降装置48およびヘッド回転装置50が設けられ、Y軸スライド70の移動により、ヘッド保持装置44等が水平面上の任意の位置へ移動させられる。ヘッド移動装置46は、ヘッド保持装置44と基板保持装置16とを、基板保持装置16に保持された回路基板28の被装着面30に平行な方向に相対移動させる相対移動装置である。これらヘッド保持装置44,マルチノズルヘッド40およびシングルノズルヘッド42等は、特開2006−261325公報に記載のヘッド保持装置等と同様に構成されており、簡単に説明する。
【0019】
ヘッド保持装置44は、図3に示すように、装置本体たる軸状部材80および軸状部材80の下端部に一体的に設けられたヘッド保持部82とを含む。軸状部材80は、横断面形状が円形を成し、外周面にスプライン84が設けられたスプライン軸部材である。ヘッド保持部82は、横断面形状が円形を成し、軸状部材80より大きい直径を有する。
【0020】
ヘッド回転装置50は、Y軸スライド70に鉛直軸線まわりに回転可能に保持された回転部材としての回転体86と、回転部材駆動装置としての回転体駆動装置88とを含む。回転体駆動装置88は回転用モータ90(図5参照)を駆動源とし、その回転が回転体86に固定のギヤ92等を含む回転伝達装置により回転体86に伝達され、回転体86が鉛直軸線まわりに回転させられる。回転用モータ90は、例えば、エンコーダ付サーボモータにより構成される。回転体86は円筒状を成し、その内周面に設けられたスプライン94に軸状部材80のスプライン84が軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に嵌合され、回転体86の回転により軸状部材80およびヘッド保持部82が鉛直軸線まわりに正逆両方向に任意の角度回転させられる。
【0021】
前記ヘッド昇降装置48は、図3に示すように、Y軸スライド70に昇降可能に設けられた昇降部材100と、駆動源としての昇降用モータ102(図5参照)と、Y軸スライド70に軸方向に相対移動不能かつ鉛直軸線まわりに回転可能に設けられたねじ軸としてのボールねじ104および昇降部材100に固定のナット106を含む送りねじ機構108とを含む。昇降用モータ102は、例えば、エンコーダ付サーボモータにより構成される。軸状部材80の上部は、昇降部材100により相対回転可能かつ軸方向に相対移動不能に保持されており、ボールねじ104が昇降用モータ102により回転させられ、昇降部材100が昇降させられることによりヘッド保持装置44が昇降させられる。
【0022】
軸状部材80内には、その軸線上に通路110が設けられるとともに、その外側に円環状通路112が設けられ、円環状通路112は負圧ポンプ等の負圧源120に接続されている。負圧源120から円環状通路112への負圧の供給は、開閉装置122により許容,遮断される。以後、円環状通路112を負圧供給通路112と称する。
【0023】
通路110は、コンプレッサ等の正圧源124および前記負圧源120に接続されている。通路110への正圧の供給と負圧の供給とは切換装置126により切り換えられ、正圧と負圧とが択一的に供給される。切換装置126により、通路110が大気に開放された状態も得られる。以後、通路110を正圧・負圧供給通路110と称する。
【0024】
前記ヘッド保持部82は、図3に示すように、その軸線に直角な一平面状を成し、水平で下向きの吸着面130を備えている。ヘッド保持部82には、吸着面130に開口し、その軸線を中心線とする円環状の負圧室用凹部132が形成され、通路134により負圧供給通路112に連通させられている。正圧・負圧供給通路110の下端部は、吸着面130に開口させられている。
【0025】
前記マルチノズルヘッド40およびシングルノズルヘッド42はいずれも、ヘッド保持装置44によって負圧により吸着されて保持され、昇降,回転させられる。シングルノズルヘッド42は、図3に示すように、ヘッド本体138および被保持部140を含む。ヘッド本体138はノズル保持部(図示省略)を備え、負圧により電子回路部品142を吸着する部品保持具たる吸着ノズル144を1つ、保持する。被保持部140は、横断面形状が円形の円板状を成し、その軸線に直角で一平面状の被吸着面146を備えている。シングルノズルヘッド42は、被吸着面146が吸着面130に密着させられ、負圧室用凹部132が塞がれてヘッド吸着用負圧室148が形成され、負圧供給通路112からヘッド吸着用負圧室148に供給される負圧によりシングルノズルヘッド42がヘッド保持装置44により吸着され、保持される。シングルノズルヘッド42は、ヘッド保持装置44がヘッド昇降装置48,ヘッド回転装置50によって昇降,回転させられることにより昇降,回転させられ、部品供給装置12,14,基板保持装置16に接近,離間させられて電子回路部品を受け取り、回路基板28に装着する。シングルノズルヘッド42がヘッド保持装置44により保持された状態では、正圧・負圧供給通路110がヘッド本体138に連通させられ、電子回路部品の吸着時には吸着ノズル144に負圧が供給され、電子回路部品の回路基板28への装着時には負圧の供給が断たれるとともに正圧が供給され、電子回路部品を迅速に開放するようにされる。
【0026】
マルチノズルヘッド40は、図4に示すように、ヘッド本体150,被保持部152,複数、例えば、12個のノズル保持部153,部品保持具たる吸着ノズル154,ノズル保持部153の各々について設けられたバルブ装置156およびノズル選択装置157を備えている。被保持部152は、その軸線に直角で一平面状の被吸着面158を備えており、シングルノズルヘッド42と同様に、被吸着面158が吸着面130に密着させられてヘッド吸着用負圧室148が形成され、負圧供給通路112からヘッド吸着用負圧室148に供給される負圧によってマルチノズルヘッド40がヘッド保持装置44により吸着され、同心状に保持される。
【0027】
複数のノズル保持部153は、ヘッド本体150の中心線である回動軸線を中心とする一円周上に等角度間隔に設けられ、ヘッド保持装置44により保持されたマルチノズルヘッド40が回転させられることにより、複数のノズル保持部153に保持された吸着ノズル154が順次、部品受取位置へ移動させられる。
【0028】
マルチノズルヘッド40がヘッド保持装置44により保持された状態では、正圧・負圧供給通路110および負圧供給通路112がそれぞれ、マルチノズルヘッド40内の通路に連通させられ、バルブ装置156の切換えにより、電子回路部品の吸着時には吸着ノズル154に負圧が供給され、装着時には負圧の供給が断たれるとともに正圧が供給される。バルブ装置156の切換えは、マルチノズルヘッド40の昇降に伴ってバルブ切換装置160により行われる。バルブ切換装置160は、複数のバルブ装置156を個々に負圧供給状態と、正圧供給状態とに切り換えるように構成される。また、リセット装置162が設けられ、複数のバルブ装置156が一斉にリセットされ、吸着ノズル154に負圧も正圧も供給しない状態に復帰させられる。
【0029】
さらに、マルチノズルヘッド40の昇降に伴ってノズル選択装置157が作動させられる。本マルチノズルヘッド40においてノズル選択装置157は、バルブ切換装置160により作動させられ、吸着ノズル154をヘッド本体150に対して昇降させ、複数の吸着ノズル154のうち、電子回路部品の吸着,装着を行う吸着ノズル154が、その他の吸着ノズル154に対して選択されて昇降させられる。そのため、ヘッド昇降装置48によってマルチノズルヘッド40が昇降させられるとき、その昇降に伴って選択された吸着ノズル154が部品供給装置12,14あるいは基板保持装置16に接近,離間させられ、電子回路部品を受け取り、あるいは受け取った電子回路部品を回路基板28に装着する。これらバルブ装置156,ノズル選択装置157,バルブ切換装置160およびリセット装置162も前記特開2006−261325公報に記載のバルブ装置等と同様に構成されており、詳細な説明は省略する。
【0030】
マルチノズルヘッド40により電子回路部品を回路基板28に装着する場合、複数の吸着ノズル154のうちの一つが選択され、他の吸着ノズル154より下降させられて電子回路部品を装着するが、マルチノズルヘッド40の下降により全部の吸着ノズル154が下降させられるため、他の吸着ノズル154も回路基板28に接近し、選択された吸着ノズル154が電子回路部品を装着する際、その電子回路部品の装着箇所に隣接して既に装着されている電子回路部品である先付部品と接触する恐れがある。そのため、本マルチノズルヘッド40は、その使用が、高さが設定高さを超える電子回路部品が装着されていない状態での電子回路部品の装着に制限される。換言すれば、マルチノズルヘッド40により装着される電子回路部品は、設定高さ以下の電子回路部品であり、また、設定高さ以下の電子回路部品であれば、シングルノズルヘッド42により装着される電子回路部品であっても、マルチノズルヘッド40の使用による電子回路部品の装着前に回路基板28に装着することができる。この設定高さは、本実施例では、複数種類のマルチノズルヘッド42について共通の高さとされる。さらに、シングルノズルヘッド42は、吸着ノズル144を1つのみ備えており、電子回路部品の装着を行う吸着ノズル144以外に吸着ノズルはないため、本実施例では、先付部品との干渉の問題は生ぜず、装着可能な電子回路部品の高さおよび先付部品の高さに制限はないものとする。
【0031】
前記ノズルヘッド収納装置20は、図2に概略的に示すように、複数のヘッド収納部170を備え、複数種類のマルチノズルヘッド40および複数種類のシングルノズルヘッド42が収納されている。マルチノズルヘッド40は、例えば、保持する吸着ノズル154の種類,数を互いに異にすることにより種類を異にする。吸着ノズル154の種類は、例えば、吸着ノズル154の吸着管の直径を異にすることにより異ならされる。シングルノズルヘッド42も、例えば、保持する吸着ノズル144の吸着管の直径,形状を異にすることにより種類が異ならされる。ノズルヘッド収納装置20は、前記特開2006−261325公報に記載のノズルヘッド収納装置と同様に構成されており、詳細な図示および説明は省略する。
【0032】
さらに、前記Y軸スライド70には、図2に概略的に示すように、回路基板28に設けられた基準マーク178を撮像する基準マーク撮像システム180が設けられ、ヘッド移動装置46により水平面内の任意の位置へ移動させられる。基準マーク撮像システム180は、基準マークカメラ182および照明装置(図示省略)を備えている。また、ベッド26上には、2組の部品撮像システム186が設けられ、吸着ノズル144,154により保持された電子回路部品を撮像するようにされている。部品撮像システム186は、部品カメラ188および照明装置(図示省略)を備え、例えば、部品供給装置12,14の各々と基板搬送装置10との間の、部品供給装置12,14の基板搬送方向に平行な方向の中央部にそれぞれ、位置を固定して設けられ、マルチノズルヘッド42の全部の吸着ノズル154により保持された電子回路部品を一括して撮像し得るものとされている。基準マークカメラ182および部品カメラ188は撮像デバイスの一種であり、例えば、面撮像装置とされ、CCDカメラにより構成されている。
【0033】
前記制御装置22は、図5に示すように、CPU200,ROM202,RAM204およびそれらを接続するバス206を含む制御コンピュータ210を主体とするものであり、入・出力部212には、基準マークカメラ182および部品カメラ188の撮像により得られた画像データを処理する画像処理コンピュータ214,エンコーダ付サーボモータのエンコーダ216(複数であるが、1つが代表的に示されている),装着ライン管理コンピュータ220,読取装置222等が接続されている。読取装置222には、記録媒体の一種である磁気記録媒体としての磁気ディスク224がセットされる。読取装置222は、磁気ディスク224に記憶されたデータを読み取って制御コンピュータ210に入力し、RAM204に記憶させる。入・出力部212にはまた、駆動回路230を介してX軸移動用モータ64等、種々のアクチュエータ等および報知装置232が接続されている。報知装置232は、例えば、ブザー,音声,光,表示画面への表示等、種々の態様で異常の発生等の情報を報知する装置とされる。また、ROM202およびRAM204には、図示を省略するメインルーチン,装着プログラム,装着プログラムを実行するための制御プログラム等、種々のプログラムおよびデータ等が記憶させられている。
【0034】
装着ライン管理コンピュータ220は、図1に示すように、装着ラインを統括し、管理するコンピュータであり、装着ラインを構成するスクリーン印刷機2等の対基板作業機に関するプログラムおよびデータ等を有し、それらスクリーン印刷機2等に供給する。装着機2,4には装着プログラムが供給され、これらはRAM204に設けられたプログラムメモリに記憶される。装着プログラムは、本実施例においては、装着プログラム作成コンピュータ240(図6参照)において作成され、装着プログラム作成コンピュータ240と接続された装着ライン管理コンピュータ220に供給される。そのため、装着プログラム作成コンピュータ240のROMには、図7および図8にそれぞれフローチャートで示す装着プログラム作成プログラムが記憶させられており、装着ラインを構成する装着機2,4においてそれぞれ実行される電子回路部品の装着のためのプログラムが自動で作成される。装着プログラム作成コンピュータ240において作成された装着プログラムを磁気ディスク224に記憶させ、読取装置232に磁気ディスク224をセットして装着プログラムを読み取らせ、制御コンピュータ210に供給されるようにしてもよい。
【0035】
装着プログラム作成コンピュータ240にはまた、図6に示すように、CAD242,パーツデータライブラリ244および入力装置246が接続されている。CAD242では、回路設計および配線板設計が行われ、複数種類のプリント回路板の各々についてCADデータが作成される。プリント回路板は、プリント配線板のプリント配線に電子回路部品が装着されるとともに、半田付け接合が行われたものである。CADデータでは、電子回路部品が装着されるべき箇所(点)の座標が設定され、各部品装着箇所に装着される電子回路部品が設定されるとともに、装着時における電子回路部品の姿勢等が設定される。電子回路部品は、例えば、部品IDにより記憶される。部品IDとして、電子回路部品を他の電子回路部品とは区別して特定することができるデータ、例えば、部品名称や部品番号が使用される。CADデータは、例えば、入力装置246を用いた装着位置の座標データおよび部品ID等の入力により、CADデータ作成者によって作成されてもよい。
【0036】
パーツデータライブラリ244は、例えば、外部記憶装置の一種として構成され、例えば、磁気ディスク等により構成される。パーツデータライブラリ244には、部品データが格納されている。部品データは、複数種類の電子回路部品の各々について設定され、部品ID,形状,寸法,リードの有無,数,寸法,配置,バンプの有無,数,寸法,配置,荷姿,画像処理アルゴリズム,ID識別データ等のデータを含む。荷姿は、例えば、紙テープタイプ,エンボステープタイプ等のテープ化部品あるいはバルク状部品であって、フィーダに収容されるべきものであるか、あるいは、トレイに収容されるべきものであるかや、収容されている向き等である。画像処理アルゴリズムは、吸着ノズル144,154により保持された電子回路部品が部品カメラ188により撮像され、その撮像データに基づいて吸着ノズル144,154による保持位置誤差が取得されるとき、電子回路部品全体の外形線に基づいて取得されるか、複数のリードあるいはバンプに基づいて取得されるかを定める規則である。前者の場合、電子回路部品全体の外形線に基づいて電子回路部品の基準点(例えば、部品本体の中心点)が求められ、その基準点について吸着ノズル144,154の回転軸線に対する位置ずれが取得される。後者の場合、複数のリードあるいはバンプに基づいて、電子回路部品の基準点が求められる。部品データにはまた、電子回路部品がシングルノズルヘッド42とマルチノズルヘッド40とのいずれによって装着されるかのデータも含まれる。シングルノズルヘッド42とマルチノズルヘッド40とのいずれによっても装着可能な電子回路部品もあり、複数種類のマルチノズルヘッド40により装着可能な電子回路部品もある。
【0037】
装着プログラムの作成を説明する。
装着プログラムは、上流側,下流側の各装着機4,6の各々について作成され、部品装着点,部品装着姿勢,装着順序,電子回路部品を供給するフィーダあるいはトレイの位置等を対応付けるデータを含む。そのため、装着プログラムの作成時には、回路基板28に装着される全部の電子回路部品が装着機4,6に割り振られるとともに、装着機4,6の各々において電子回路部品の装着順序が決定される。また、電子回路部品が割り振られれば、装着機4,6においてそれぞれ必要なフィーダ,トレイの種類および数が決まり、フィーダのフィーダ支持台における搭載位置や、トレイのトレイ支持板による支持位置が決められる。本実施例の作成プログラムは、回路基板28に装着される電子回路部品には、バンプ部品であっても非バンプ部品であっても、高さが設定高さ以下のものが複数含まれることを前提として装着プログラムを作成するプログラムとされている。
【0038】
装着プログラム作成プログラムのステップ1(以後、S1と略記する。他のステップについても同じ。)においては、回路基板28に装着される複数の電子回路部品が1つずつ読み出される。この装着部品に関するデータは、CAD242において作成されたCADデータであって回路設計データから得られる。このデータは、CAD242から装着プログラム作成コンピュータ240に供給されて、そのRAMに記憶させられる。
【0039】
次いでS2が実行され、読み出された電子回路部品がバンプ部品であるか否かが判定される。この判定は、パーツデータライブラリ244に記憶されたパーツデータに基づいて行われる。装着プログラムの作成に必要なパーツデータは、予めパーツデータライブラリ244から読み込まれ、装着プログラム作成コンピュータ240のRAMに記憶させられている。読み出された電子回路部品がバンプ部品であれば、S2の判定結果はYESになってS3が実行され、バンプ部品の高さが設定高さより高い高バンプ部品であるか否かが判定される。この設定高さは、本実施例では、マルチノズルヘッド40による部品装着時に制限される先付部品の高さと同じ高さとされている。バンプ部品が、高さが設定高さ以下である低バンプ部品であれば、S3の判定結果はNOになってS4が実行され、その低バンプ部品の装着が上流側装着機4に割り当てられ、装着プログラム作成コンピュータ240のRAMに設けられた上流側装着機割り当て部品メモリに記憶させられる。次いでS16が実行され、全部の電子回路部品について割り当てあるいは分類が終了したか否かの判定が行われるが、この判定結果はNOであり、ルーチンの実行はS1に戻る。
【0040】
S1においては次の電子回路部品が読み出され、S2においてバンプ部品であるか否かが判定される。電子回路部品がバンプ部品であり、その高さが設定高さより高いのであれば、S2,S3の各判定結果がYESになってS5が実行され、その電子回路部品の装着が下流側装着機6に割り当てられ、下流側装着機割り当て部品メモリに記憶させられた後、S16が実行される。
【0041】
読み出された電子回路部品がバンプ部品でなければ、S2の判定結果がNOになってS6が実行され、その電子回路部品の高さが設定高さより高いか否かが判定される。バンプ部品以外の電子回路部品(以後、非バンプ部品と称する)が高さが設定高さより高い高非バンプ部品であれば、S6の判定結果がYESになってS5が実行され、その装着が下流側装着機6に割り当てられる。
【0042】
読み出された電子回路部品が非バンプ部品であり、高さが設定高さ以下である低非バンプ部品であれば、S6の判定結果がNOになってS7が実行され、最小の電子回路部品であるか否かが判定される。この判定は、電子回路部品の平面視の寸法に基づいて行われる。本プログラムにおいては、電子回路部品の大きさであって、平面視の寸法は、電子回路部品の対角線の長さによって規定され、その長さが複数、例えば、4種類の設定長さと比較され、大きさにより、例えば、5段階の部品群に分類される。非バンプ部品がリード部品であれば、その部品本体の対角線の長さを設定長さと比較する。電子回路部品が異形部品であって、平面視の形状が矩形ではない電子回路部品や多角形の電子回路部品であれば、異形部品に外接する矩形を想定し、その対角線の長さを設定長さと比較する。平面視の形状が円形の場合も同様である。平面視形状が円形の電子回路部品の場合、その直径,長径,円周の少なくとも1つを設定長さと比較してもよい。電子回路部品の平面視の形状が矩形を成し、あるいは矩形と見なし得る場合には、複数の辺のうち、最も長い辺が設定長さより長いか否かにより分類してもよい。
【0043】
低非バンプ部品の対角線の長さが最小の設定長さ以下であり、最小の電子回路部品であれば、S7の判定結果がYESになってS8が実行され、最小部品群に分類される。その電子回路部品を特定するデータ、例えば、部品IDが、RAMに設けられた最小部品群メモリに記憶させられるのである。低非バンプ部品については、S7,S9,S11,S13のいずれかが実行され、その寸法に応じて最小部品群,小部品群,中部品群,大部品群および最大部品群のいずれかに分類され、それぞれ対応する部品群メモリに部品IDが記憶させられる。回路基板28に装着される全部の電子回路部品について個々に、S4,S5の割り当てあるいはS8,S10,S12,S14,S15の分類が行われ、回路基板28に同種の電子回路部品が複数装着される場合、同じ装着機に同種の電子回路部品が複数割り当てられ、同じ部品群に同種の電子回路部品が複数、含まれることとなる。
【0044】
回路基板28に装着が予定された全部の電子回路部品について割り当てあるいは低非バンプ部品の大きさ別の分類が行われれば、S16の判定結果がYESになり、図8に示すS17以降のステップが実行される。S17においては、S16の判定結果がYESになった時点において上流側装着機4と下流側装着機6とにそれぞれ割り当てられている電子回路部品の装着に要する時間の総和である総所要時間が算出される。ここではまだ、電子回路部品を供給するフィーダやトレイの位置が決められていないため、各総所要時間は、例えば、1個の電子回路部品の装着に要する平均的な所要時間に部品数を掛けることにより算出される。この部品1個あたりの平均所要時間は、後述の検査を伴う場合は平均的装着時間と平均的検査時間との和であり、検査を伴わない場合は平均的装着時間自体である。そして、平均的装着時間は、例えば、マルチノズルヘッド40とシングルノズルヘッド42とについてそれぞれ予め設定されている。マルチノズルヘッド40には保持可能な吸着ノズル154の最大数を異にする複数種類のマルチノズルヘッド40があり、それぞれについて電子回路部品1個あたりの平均装着時間が設定されている。電子回路部品をマルチノズルヘッド40とシングルノズルヘッド42とのいずれによって装着するかは、部品データにおいて設定されており、その設定および平均装着時間に基づいて総所要時間が演算される。1つの電子回路部品をシングルノズルヘッド42とマルチノズルヘッド40との両方あるいは複数種類のマルチノズルヘッド40によって装着可能な場合には、それらノズルヘッドのうちで最も短い平均装着時間を用いて総所要時間が演算される。
【0045】
また、後述するように、非バンプ部品の後に高バンプ部品が装着される場合、その高バンプ部品の装着箇所については、非バンプ部品が落下しているか否かの検査が行われる。本実施例では、高バンプ部品は下流側装着機6に割り当てられ、低非バンプ部品の後に装着されるため、高バンプ部品の装着箇所については検査が必要となる。この検査は、後述するように、高バンプ部品が部品供給装置12あるいは14から取り出され、回路基板28へ搬送されて装着される直前に、基準マークカメラ182が部品装着箇所上へ移動させられて、部品装着箇所を撮像することにより行われ、この検査に要する時間である検査時間は予め設定されている。したがって、S17では、下流側装着機6に高バンプ部品が割り当てられているか否かが判定され、割り当てられていれば、1部品装着箇所当りの検査時間に高バンプ部品の数を掛けることにより総検査時間が求められ、この総検査時間も含めて総装所要間が求められる。
【0046】
次いでS18が実行され、未だ上流側装着機4と下流側装着機6とのいずれによって装着するかの割り当てが行われていない電子回路部品、すなわち低非バンプ部品について、割り当てを実行するためのデータがセットされる。ここでは、低非バンプ部品は、S7〜S15の実行により、大きさに基づいて5段階の部品群に分類されており、部品群単位で割り当てが決められる。そのため、割り当て開始時には、未だ割り当てが行われていない部品群として最小から最大の5つの部品群が、装着プログラム作成コンピュータ240のRAMに設けられた未割り当て部品群データメモリに記憶させられる。
【0047】
次いでS19が実行され、上流側装着機4における電子回路部品の装着に要する総所要時間が下流側装着機6において電子回路部品の装着に要する総所要時間より長いか否かの判定が行われる。S19が1回目に行われるとき、S17において算出された総所要時間に基づいて判定が行われる。上流側装着機4における総所要時間の方が長いのであれば、S19の判定結果がYESになってS20が実行され、現に未割り当て部品群データメモリに記憶させられている部品群のうちで最小の部品群に属する電子回路部品があるか否かが判定される。未割り当て部品群データメモリには、S18の実行により、5つ部品群にそれぞれ属する電子回路部品が実際にあるか否かに関係なく、5種類の部品群が記憶させられる。そのため、S20が実行され、実際に部品群に属する電子回路部品があるか否かが判定され、部品群に属する電子回路部品があれば、S20の判定結果がYESになってS21が実行され、現に未割り当て部品群データメモリに記憶させられている部品群のうちで最小の部品群に属する電子回路部品の装着が下流側装着機6に割り当てられ、下流側装着機割り当て部品メモリに記憶させられる。必要な時間が短い方の装着機に電子回路部品が割り当てられ、下流側装着機6には小型部品から先に割り当てられるのである。S21においてはまた、割り当てられた電子回路部品を加えて、下流側装着機6の総所要時間が算出される。この際、S17におけると同様に、下流側装着機6に割り当てられた電子回路部品に高バンプ部品が含まれていれば、それらの検査時間の和が算出され、その検査時間の和を含めて下流側装着機6の総所要時間が算出される。S21においてはさらに、部品群,部品群の割り当て順および割り当てられた装着機が互いに対応付けられて、RAMに設けられた割り当て順メモリに記憶させられる。
【0048】
次いでS22が実行され、未割り当て部品群データが更新される。割り当ての済んだ部品群のデータが削除されるのである。そして、S25が実行され、全部の部品群について割り当てが終了したか否かが判定される。この判定は、未割り当て部品群データメモリにデータが記憶させられているか否かにより行われる。まだ、データが記憶させられていれば、S25の判定結果がNOになって、ルーチンの実行はS19に戻る。
【0049】
S19では、電子回路部品の割り当てにより増加した総所要時間に基づいて、上流側装着機4と下流側装着機6との各総所要時間のいずれが長いかが判定される。下流側装着機6の総所要時間の方が長いのであれば、S19の判定結果がNOになってS23が実行され、現に未割り当て部品群データメモリに記憶させられている未割り当て部品群のうちで最大の部品群に属する電子回路部品があるか否かが判定される。S23が1回目に実行されるとき、5段階の部品群のうちの最大部品群に実際に属する電子回路部品があるか否かが判定され、あれば、S23の判定結果がYESになってS24が実行され、その電子回路部品の装着が上流側装着機4に割り当てられ、上流側装着機割り当て部品メモリに記憶させられる。上流側装着機4には、大きい電子回路部品から割り当てられるのである。また、割り当てられた電子回路部品を加えて総所要時間が演算され、さらに、部品群,部品群の割り当て順および割り当てられた装着機が互いに対応付けて割り当て順メモリに記憶させられる。そして、S22が実行され、未割り当て部品群データから、最大部品群データが削除され、S25が実行される。
【0050】
次にS19が実行され、上流側装着機4の総所要時間の方が長いとすれば、S20が実行される。今回は、未割り当て部品群データメモリに現に記憶させられている部品群のうちで最小の部品群は小部品群であり、小部品群に属する電子回路部品があるか否かが判定され、あればS21が実行され、下流側装着機6に割り当てられる。
【0051】
このように、装着機4,6について、総所要時間ができるだけ均等になるように電子回路部品の割り当てが行われる。なお、部品群に属する電子回路部品がない場合には、S20あるいはS23の判定結果がNOになり、S21あるいはS24がスキップされてS22が実行され、電子回路部品がない部品群も未割り当て部品群データから削除される。この場合、電子回路部品の新たな割り当てがなく、装着機4,6の各総所要時間は変わらないため、次にS19が実行されるとき、その判定結果は、前回のS19の実行時と同じであるが、未割り当て部品群データが更新されており、現に未割り当て部品群データに記憶させられている部品群のうちで最小あるいは最大の部品群は、前回のS20,S23の実行時とは異なり、現に未割り当て部品群データメモリに記憶させられている部品群のうちで最小あるいは最大の部品群についてS20あるいはS23が実行される。S20あるいはS23の判定結果がYESになるまで、S19,S20,S22,S25あるいはS19,S23,S22,S25が実行される。
【0052】
未割り当て部品群データメモリのデータがなくなれば、S25の判定結果がYESになってS26が実行され、上流側装着機4と下流側装着機6との各総所要時間の差の絶対値が設定値より大きいか否かが判定される。設定値以下であれば、各総所要時間がほぼ均等であると見なすことができ、S26の判定結果はNOになってS28以下のステップが実行される。
【0053】
装着機4,6の各総所要時間の差の絶対値が設定値より大きいのであれば、S26の判定結果がYESになってS27が実行され、部品割り当ての調整が行われる。上流側装着機4と下流側装着機6とにそれぞれ、部品群が割り当てられるとき、部品群毎に割り当て順序および割り当てられた装着機が割り当て順メモリに記憶させられており、調整は、最後に割り当てられた部品群について、そのうちの一部の電子回路部品が、割り当てられていない方の装着機に割り当てられることにより行われる。その最後の部品群の割り当てによって、総所要時間の差の絶対値が設定値より大きくなったからである。
【0054】
そして、分けられる部品群に属する複数の電子回路部品の大きさが互いに比較され、上流側装着機4の方が総所要時間が長いのであれば、小さい方の電子回路部品から下流側装着機6に回され、下流側装着機6の方が総所要時間が長いのであれば、大きい方の電子回路部品から上流側装着機4に回される。この際、電子回路部品は1個ずつ回され、回される毎に総所要時間が算出し直されて比較される。高バンプ部品が割り当てられた部品装着機については、部品装着箇所の検査に要する時間も含めて総所要時間が算出される。前述のように、高バンプ部品は下流側装着機6に割り当てられるが、例えば、低非バンプ部品の数が少なく、高バンプ部品の数が多く、高バンプ部品が上流側装着機4に割り当てられることがあれば、上流側装着機4についても総検査時間が算出され、それを含めて総所要時間が求められて部品割り当ての調整が行われる。装着機4,6の各総所要時間の差の絶対値が設定値以下になるまで割り当て変更,総所要時間の算出,比較が行われる。
【0055】
部品割り当ての調整後、S28が実行され、上流側装着機4と下流側装着機6とにおいてそれぞれ、電子回路部品の装着順序が決定される。上流側装着機4に割り当てられた電子回路部品に低バンプ部品と非バンプ部品との両方が含まれるのであれば、低バンプ部品が回路基板28に最初に装着され、次に非バンプ部品が装着される順序とされる。また、低バンプ部品が複数ある場合には、平面視の寸法が大きい低バンプ部品が先に装着される順序とされる。低非バンプ部品が複数ある場合には、それらの装着順序は、同じ部品群に属する部品毎に決められ、大きい部品群が先に装着される順序とされ、同じ部品群に属する電子回路部品については装着能率が可及的に高くなるように決定される。例えば、平面視の寸法に関係なく、複数の低非バンプ部品は、それらの装着を行うマルチノズルヘッド40あるいはシングルノズルヘッド42の基板保持装置16と部品供給装置12,14との間における移動距離の総和ができるだけ短くなるように、低非バンプ部品を供給するフィーダあるいはトレイの搭載位置と共に装着順序が決定される。低バンプ部品を供給するフィーダあるいはトレイの搭載位置は、低非バンプ部品を供給するフィーダあるいはトレイが搭載された残りの位置に設定される。低バンプ部品についても、その大きさに関係なく、装着に使用されるマルチノズルヘッド40あるいはシングルノズルヘッド42の移動距離の総和ができるだけ短くなり、装着能率が可及的に高くなるように、装着順序およびフィーダ,トレイの搭載位置が決められてもよい。上流側装着機4に割り当てられた電子回路部品に高非バンプ部品と低非バンプ部品とが含まれることがあれば、高非バンプ部品の装着順序は低非バンプ部品の後に装着される順序とされる。上流側装着機4に割り当てられた低非バンプ部品が複数ある場合、群に関係なく、装着能率が可及的に高くなるように装着順序が決定されてもよく、同じ群に属する低非バンプ部品についても大きいものから先に装着されるように装着順序が決定されてもよい。
【0056】
装着機4,6の各総所要時間ができる限り均等になるように電子回路部品の割り当てが行われた結果、上流側装着機4に、高バンプ部品あるいは高非バンプ部品が割り当てられることになったのであれば、この高電子回路部品は、低バンプ部品および低非バンプ部品の後で装着される順序とされる。高バンプ部品および高非バンプ部品の両方があるのであれば、高バンプ部品が先に装着される順序とされる。高バンプ部品であるか高非バンプ部品であるかを問わず、高さが低い電子回路部品から先に装着される順序とされてもよく、あるいは、平面視の寸法が大きい電子回路部品から先に装着される順序とされてもよく、あるいは装着時間ができるだけ短くなる順序とされてもよい。
【0057】
下流側装着機6については、S5の実行により、高バンプ部品および高非バンプ部品の割り当てが行われており、割り当てられた電子回路部品に高バンプ部品および高非バンプ部品と、低非バンプ部品とが含まれるのであれば、低非バンプ部品が先に装着される順序とされる。低非バンプ部品の装着順序は、例えば、上流側装着機4と同様に装着能率が可及的に高くなるように決定されてもよく、大きい電子回路部品から先に装着される順序としてもよく、マルチノズルヘッド40により装着される低非バンプ部品がまとめて先に装着される順序とされてもよい。下流側装着機6に割り当てられる高バンプ部品および高非バンプ部品の装着はシングルノズルヘッド42により行われるのが普通であり、マルチノズルヘッド40により装着可能な低非バンプ部品はマルチノズルヘッド40によってまとめて装着されるようにすれば、ノズルヘッドの交換回数を少なくし、装着能率を向上させることができるからである。また、高バンプ部品および高非バンプ部品が割り当てられているのであれば、例えば、それらのうちでは高バンプ部品が先に装着されるようにしてもよく、あるいは装着時間ができるだけ短くなる順序とされてもよく、平面視の寸法が大きい高電子回路部品が先に装着されるようにしてもよい。さらに、電子回路部品を供給するフィーダおよびトレイの搭載位置が決定され、例えば、装着時間ができるだけ短くなる位置に決定される。
【0058】
装着順序が決定されれば、S29が実行され、最終バランス調整が行われる。決定された装着順序に従って電子回路部品の装着が行われた場合の上流側装着機4,下流側装着機6の各総所要時間の差の絶対値が設定値より大きいか否かが判定され、大きいのであれば、S27と同様に部品割り当て調整が行われ、総所要時間が長い方の装着機に最後に割り当てられた電子回路部品から、総所要時間が短い方の装着機に割り当てが変えられる。この総所要時間も、低非バンプ部品の後に装着される高バンプ部品があれば、部品装着箇所の検査に要する時間を含めて算出される。
【0059】
最終バランス調整後、S30が実行され、上流側装着機4において、低非バンプ部品の後に装着される高バンプ部品があるか否かが判定される。そのような高バンプ部品があれば、S30の判定結果がYESになってS31が実行され、高バンプ部品について、その装着前に、その高バンプ部品が装着されるべき箇所に非バンプ部品が落下していないか否かの検査を実行するための異常検査実行指令データが付加される。次いでS32,S33が、下流側装着機6についてS30,S31と同様に実行される。下流側装着機6については、装着する電子回路部品の全部が高バンプ部品であれば、非バンプ部品の後に装着される高バンプ部品ありとされる。
【0060】
以上のようにして作成された装着プログラムに従って電子回路部品の回路基板28への装着が行われるとき、上流側装着機4においては、まず、図9(a)に示すように、未だ電子回路部品が装着されていない被装着面30に最初に低バンプ部品が装着され、次いで、図9(b)に示すように、低非バンプ部品が装着される。低バンプ部品は高さが設定高さ以下の電子回路部品であり、回路基板28に先に装着されても、マルチノズルヘッド40による低非バンプ部品の装着を妨げることはなく、低バンプ部品を最初に装着することができる。そのため、低バンプ部品については、低非バンプ部品の一種である角チップが低バンプ部品の未装着箇所に落下する事態が生ぜず、低バンプ部品の未装着箇所に低非バンプ部品が落下する異常の発生の検査が不要であり、低バンプ部品を迅速に能率良く装着することができる。
【0061】
下流側装着機6には高バンプ部品が割り当てられ、図9(c)に示すように、低非バンプ部品の後に装着されるが、高バンプ部品の装着に先立って、その未装着箇所について低非バンプ部品が落下しているか否かの検査が行われる。この検査は、本電子回路部品装着システムにおいては、基準マークカメラ182によって被装着面30の高バンプ部品の未装着箇所を撮像することにより行われる。連続して電子回路部品の装着が行われる同種の複数枚の回路基板28のうち、1枚目の回路基板28が上流側装着機4に搬入され、基板保持装置16により保持された状態において、電子回路部品の装着開始に先立って高バンプ部品が装着されるべき箇所が基準マークカメラ182により撮像される。この1枚目の回路基板28は、例えば、作業者により検査され、パッドやプリント回路等に損傷がなく、正確に作られ、異物の落下もないものが選ばれて搬入される。撮像により得られた像データが高バンプ部品が装着されるべき箇所の見本データとされ、装着箇所と対応付けて、RAM204に設けられた見本データメモリに記憶される。
【0062】
回路基板28への電子回路部品の装着は、装着プログラムにおいて決められた装着順序に従って、装着される電子回路部品の種類,装着点等のデータが順次、読み出されて行われるが、高バンプ部品については、異常検査実行指令データが付加されているため、部品供給装置12あるいは14からの高バンプ部品の受取り後、装着の直前に基準マークカメラ182が部品装着箇所へ移動させられて、部品装着箇所を撮像する。この撮像により得られた像データが見本データと比較され、低非バンプ部品の落下の有無が判定される。低非バンプ部品の落下があれば、像データが見本データとは異なることから異常の発生が検出される。低非バンプ部品の落下の異常があれば、例えば、報知装置232により作業者に報知され、装着作業が停止させられて異常原因が除去されるようにされる。低非バンプ部品の落下がなければ、吸着ノズル144が部品装着箇所へ移動させられて高バンプ部品を装着する。
【0063】
このように本実施例では、部品装着機4,6において低バンプ部品を非バンプ部品より先に回路基板28に装着し、高バンプ部品については装着に先立って部品装着箇所の検査を行うことにより、不良品の発生を防止しつつ、全部のバンプ部品について装着箇所の検査を行う場合に比較して装着能率を向上させることができ、部品装着機とは別に検査機を設ける場合に比較して設備費を低減させることができる。特に、基準マーク撮像システム180が、異常検査システムを兼ねており、検査をより安価に行うことができる。また、装着箇所が電子回路部品の装着の直前に撮像されるため、検査のための基準マークカメラ182の移動距離が短くて済むとともに、異常の発生が確実に検査される。本基準マークカメラ182は白黒カメラであるが、カラーカメラとし、例えば、特開2003−141509公報に記載の検査方法と同様の方法により異常の有無を判定するようにしてもよい。
【0064】
装着プログラム作成プログラムは、電子回路部品の大きさに基づいて装着の優先順序が決定されるプログラムとしてもよい。その実施例を図10および図11に示すフローチャートに基づいて説明する。
本装着プログラムのS51においては、前記装着プログラムのS1と同様に、回路基板28に装着される電子回路部品が1個ずつ読み出される。次いでS52が実行され、電子回路部品の高さが設定高さより高いか否かの判定が行われる。電子回路部品が、高さが設定高さより高い高電子回路部品であれば、S52の判定結果がYESになってS53が実行され、その電子回路部品の装着が下流側装着機6に割り当てられる。そしてS63が実行され、全部の電子回路部品について割り当てあるいは大きさの分類が終了したか否かの判定が行われるが、この判定結果はNOであり、ルーチンの実行はS51に戻る。
【0065】
読み出された電子回路部品が、高さが設定高さ以下である低電子回路部品であれば、S52の判定結果がNOになってS54以下のステップが実行され、その電子回路部品が大きさにより分類される。S54〜S62は、前記実施例のS7〜S15と同様に実行され、電子回路部品の平面視の寸法に基づいて、例えば、最小,小,中,大,最大の5段階の群のいずれかに分類される。
【0066】
回路基板28に装着される全部の電子回路部品について割り当てあるいは分類が行われれば、S63の判定結果がYESになってS64〜S74が実行され、5段階に分類された低電子回路部品が群単位で上流側装着機4と下流側装着機6とに割り当てられるとともに、割り当て後、上流側装着機4と下流側装着機6との部品割り当てが調整される。上流側装着機4には、平面視の寸法が大きい大型部品から割り当てられ、下流側装着機6には、平面視の寸法が小さい小型部品から割り当てられる。これら割り当ておよび調整は前記実施例のS17〜S27と同様に行われるため、説明を省略するが、高電子回路部品が割り当てられた部品装着機については、その装着前に、部品装着箇所への低電子回路部品の落下の有無の検査が行われるため、その検査に要する時間も含めて総所要時間が演算される。
【0067】
調整後、S75が実行され、上流側装着機4と下流側装着機6とについてそれぞれ、装着順序が決定される。本実施例において装着順序は、上流側装着機4においては、大型部品から先に装着される順序とされる。上流側装着機4に複数の部品群が割り当てられていれば、大きい方の部品群が先に装着される順序とされ、同じ群に属する電子回路部品については、その群の中で大きい電子回路部品から先に装着される順序とされる。また、フィーダおよびトレイの搭載位置は、装着時間が可及的に短くなる位置に決められる。装着機2,4の各総所要時間の均等化の都合により、上流側装着機4に高電子回路部品が割り当てられることがあれば、その高電子回路部品は低電子回路部品の後に装着される順序とされる。下流側装着機6については、S53において下流側装着機6に割り当てられた高電子回路部品が最も後に装着され、低電子回路部品は、それらのうちで大きい電子回路部品から先に装着される順序とされる。高電子回路部品が複数あるのであれば、例えば、平面視の寸法が大きい電子回路部品から先に装着される順序とされる。
【0068】
大きさによって5段階に分類された電子回路部品はいずれも低電子回路部品であり、高さの観点からはマルチノズルヘッド40による装着が可能な電子回路部品であるが、大きさによっては、マルチノズルヘッド40に保持される吸着ノズルの吸着管の形状,寸法等の都合により装着不可能な電子回路部品もあり、その場合、その大型部品はシングルノズルヘッド42によって装着されることとされる。また、マルチノズルヘッド40によってもシングルノズルヘッド42によっても装着可能な電子回路部品はマルチノズルヘッド40によって装着されることとされ、能率良く装着が行われるようにされる。装着順序の決定時には、フィーダおよびトレイの位置も決められる。
【0069】
装着順序の決定後、S76が実行され、最終バランス調整が行われ、例えば、上流側装着機4の総所要時間の方が長いのであれば、上流側装着機4において装着される電子回路部品のうち、大きさが小さい方の電子回路部品から下流側装着機6へ回される。この総所要時間は、低電子回路部品の後に装着される高電子回路部品がある部品装着機については、高電子回路部品の装着箇所について行われる低電子回路部品の落下の有無の検査に要する時間を含めて算出される。最終バランス調整が行われれば、S77が実行され、上流側装着機4において低電子回路部品の後に装着される高電子回路部品があるか否かが判定される。その高電子回路部品があれば、S77の判定結果がYESになってS78が実行され、高電子回路部品について、装着プログラム中に、装着前の装着箇所の検査の実行を指令する異常検査実行指令データが付加される。そして、下流側装着機6についてもS79,S80がS77,S78と同様に実行される。下流側装着機6については、装着する電子回路部品の全部が高電子回路部品であることがあれば、低電子回路部品の後に装着される高電子回路部品ありとされる。
【0070】
このように本実施例において装着機4,6のいずれにおいても、低電子回路部品については、大きい電子回路部品から先に装着されるようにされ、大きい電子回路部品の装着前に、それより小さい電子回路部品の装着が行われないため、小型部品が大型部品の装着箇所に落下する異常が発生せず、低電子回路部品については装着箇所の検査が不要であり、電子回路部品の装着を能率良く行うことができる。
なお、同じ大きさの群に属する電子回路部品の装着順序は、大きさ順に限らず、例えば、装着能率を加味して決めてもよく、あるいは、最大部品群に属する電子回路部品については大きい電子回路部品から先に装着されるようにし、他の群に属する電子回路部品については装着能率を加味して装着順序を決めてもよく、大きさの差が設定範囲内である電子回路部品については同じ種類のノズルヘッドによりまとめて装着が行われ、ノズルヘッドの交換回数ができる限り少なくなるように装着順序を決めてもよい。また、装着箇所の検査は、小型の高電子回路部品、例えば、対角線の長さが設定値以下である電子回路部品については行われないようにしてもよい。
【0071】
装着プログラム作成プログラムは、吸着ノズルにより保持された電子回路部品を部品カメラにより撮像し、その像データに基づいて行われる吸着ノズルによる電子回路部品の保持位置誤差の取得が電子回路部品全体の外形線と、電子回路部品の複数のリードとのいずれに基づいて行われるかによって装着順序が決定されるプログラムとしてもよい。その実施例を図12および図13に示すフローチャートに基づいて説明する。
本作成プログラムのS81においては、前記装着プログラムのS1と同様に、回路基板28に装着される電子回路部品が1個ずつ読み出される。次いでS82が実行され、読み出された電子回路部品が、保持位置誤差の取得がリードに基づいて行われるリード依拠部品であるか否かが判定される。この判定は部品データに基づいて行われ、リード依拠部品であれば、S82の判定結果がYESになってS83が実行され、電子回路部品が高さが設定高さより高い高リード依拠部品であるか否かが判定される。電子回路部品が高さが設定高さ以下である低リード依拠部品であれば、S83の判定結果がNOになってS84が実行され、その電子回路部品の装着が上流側装着機4に割り当てられる。そしてS95が実行され、全部の電子回路部品について割り当てあるいは高さによる分類が終了したか否かの判定が行われるが、この判定結果はNOであり、ルーチンの実行はS81に戻る。
【0072】
読み出された電子回路部品が高リード依拠部品であれば、S82,S83の各判定結果がYESになってS85が実行され、その高リード依拠部品の装着が下流側装着機6に割り当てられる。また、読み出された電子回路部品がリード依拠部品ではなく、外形線依拠部品であれば、S82の判定結果がNOになってS86〜S94が実行され、外形線依拠部品が高さによって複数、例えば、5段階の部品群に分類される。
【0073】
回路基板28に装着される全部の電子回路部品について割り当てあるいは高さによる分類が行われれば、S96〜S104が実行され、5段階の群に分けられた外形線依拠部品が群単位で上流側装着機4あるいは下流側装着機6に割り当てられる。S96〜S104は、前記実施例のS17〜S25と同様に、装着機4,6の各総所要時間ができる限り均等となるように割り当てが行われるとともに、上流側装着機4には、高さが低い部品群から割り当てられ、下流側装着機6には高さが高い部品群から割り当てられるように構成されている。この際、総所要時間は、高リード依拠部品が割り当てられた部品装着機については、高リード依拠部品の装着箇所の検査に要する時間を含めて算出される。
【0074】
外形線依拠部品の割り当て後、S105およびS106が前記実施例のS26およびS27と同様に実行される。この際、例えば、上流側装着機4の総所要時間の方が下流側装着機6より設定値を超えて長いのであれば、上流側装着機4について最後に割り当てられた部品群のうち高い方の電子回路部品から下流側装着機6に回される。この総所要時間も、高リード依拠部品が割り当てられた部品装着機については、その装着箇所の検査に要する時間を含めて算出される。そして、S107が実行され、部品装着機4,6の各々について装着順序が決定される。上流側装着機4については、低いリード依拠部品の割り当てがあれば、最初に装着が行われる順序とされる。低リード依拠部品は高さが設定高さ以下の電子回路部品であり、その後のマルチノズルヘッド40による電子回路部品の装着を妨げず、最初に装着することができる。低リード依拠部品が複数割り当てられている場合、それらは、例えば、平面視の寸法が大きいものから先に装着される順序とされる。上流側装着機4には、外形線依拠部品は低いものから割り当てられており、低い外形線依拠部品が先に装着される順序とされる。フィーダおよびトレイの位置は、装着時間が可及的に短くなる位置に決められる。上流側装着機4に高リード依拠部品が割り当てられることがあれば、その高リード依拠部品は、最後に装着される順序とされ、高リード依拠部品が複数あれば、例えば、平面視の寸法が大きいものから先に装着されるように順序が決定される。外形線依拠部品の部品群が複数、割り当てられている場合、同じ部品群に属する外形線依拠部品については、装着能率が可及的に高くなるように装着順序が決定されてもよい。
【0075】
下流側装着機6については、外形線依拠部品およびリード依拠部品の割り当てがあれば、そのリード依拠部品は高リード依拠部品であるため、外形線依拠部品の後であって、最後に装着される順序とされる。高リード依拠部品が複数ある場合、例えば、高さが低いものから先に装着されてもよく、あるいは、平面視の寸法が大きいものから先に装着されてもよい。また、外形線依拠部品は、高さが低いものから先に装着されるように順序が決定される。さらに、フィーダおよびトレイの搭載位置が決められ、装着時間が可及的に短くなる位置に決められる。上流側装着機4においても下流側装着機6においても、撮像に基づく保持位置誤差の取得が同様に行われる電子回路部品について連続して装着が行われ、画像処理が容易にかつ迅速に行われる。
【0076】
装着順序の決定後、S108が実行され、最終バランス調整が行われる。上流側装着機4と下流側装着機6とについてそれぞれ、決定された装着順序に基づいて総所要時間が算出,比較され、長い方から短い方へ電子回路部品の装着が回される。例えば、上流側装着機4の総所要時間の方が長いのであれば、上流側装着機4において最も後で装着される電子回路部品から下流側装着機6へ回される。この総所要時間は、外形線依拠部品の後に装着される高リード依拠部品があれば、その装着箇所の検査に要する時間を含めて算出される。
【0077】
最終バランス調整後、S109が実行され、上流側装着機4において、外形線依拠部品の後に装着される高リード依拠部品があるか否かの判定が行われ、あれば、S109の判定結果がYESになってS110が実行され、その高リード依拠部品について、装着に先立って装着箇所の検査を行う異常検査実行指令データが付加される。下流側装着機6についても、S111,S112がS109,S110と同様に実行される。下流側装着機6において装着される電子回路部品の全部が高リード依拠部品であれば、外形線依拠部品の後に装着される高リード依拠部品ありとされる。
なお、外形線依拠部品を図1〜図9に示す実施例の低非バンプ部品と同様に、平面視の寸法によって複数段階の部品群に分類し、例えば、上流側装着機4には大きい外形線依拠部品から割り当て、下流側装着機6には小さい外形線依拠部品から割り当てるようにしてもよい。外形線依拠部品を、高さが設定高さより高いか否かにより高外形線依拠部品と低外形線依拠部品とに分け、低外形線依拠部品を大きさにより分類するようにしてもよい。
【0078】
なお、非バンプ部品,小型部品,外形線依拠部品の後に回路基板に装着されるバンプ部品,大型部品,リード依拠部品の装着に先立つ装着されるべき箇所の検査は、まとめて行われるようにしてもよい。複数の装着箇所の検査をまとめて行えば、検査が、例えば、撮像装置による装着箇所の撮像に基づいて行われる場合、画像処理のための時間を長く取ることができ、装着時に検査の結果を待たなくて済む。
【0079】
また、装着ラインは、3台以上の部品装着機を含むラインとしてもよい。この場合にも2台の部品装着機を含む装着ラインと同様に、電子回路部品の割り当てが行われる。例えば、電子回路部品をバンプ部品と非バンプ部品とに分類する場合、低バンプ部品を最上流の部品装着機に、高バンプ部品を最下流の部品装着機にそれぞれ割り当て、非バンプ部品は平面視の寸法が大きい電子回路部品から先に上流側の装着機に割り当てる。この割り当ては、例えば、非バンプ部品を平面視の寸法が大きい順に並べるとともに、それら非バンプ部品を、全部の部品装着機の各部品装着機の総所要時間ができるだけ均等になるように分け、上流側の部品装着機から順に割り当てることにより行われる。装着ラインの中で複数の電子回路部品の装着順を決め、その装着順に、全部の部品装着機の各総所要時間ができるだけ均等になるように複数の群に分け、上流側の部品装着機から順に割り当てるのである。
【0080】
さらに、バンプ部品,大型部品およびリード依拠部品の各々のうち、高さが設定高さ以下のものを、非バンプ部品,小型部品および外形線依拠部品より先に装着するようにすることは不可欠ではなく、高さに関係なく、バンプ部品,大型部品およびリード依拠部品であれば、非バンプ部品,小型部品および外形線依拠部品より先に装着するようにしてもよい。
【0081】
また、装着プログラム作成プログラムは、回路基板に装着される非バンプ部品,小型部品および外形線依拠部品の全部が設定高さより高い電子回路部品であれば、装着順序を、バンプ部品,大型部品およびリード依拠部品の全部が、その高さに関係なく、装着ラインを構成する複数台の部品装着機のうち最上流の部品装着機において回路基板に最初に装着され、あるいは装着ラインを構成する1台の部品装着機において回路基板に最初に装着される順序に決定する作成プログラムとしてもよい。
【0082】
さらに、装置やヘッドの仕様により、マルチノズルヘッド同士において、装着し得る電子回路部品の高さが異なる場合があり、その場合には、装着し得る電子回路部品の高さが低いマルチノズルヘッドによる電子回路部品の装着が先に行われるように装着順序が決定される。また、シングルノズルヘッドについても、ヘッドの仕様等により、回路基板に装着し得る電子回路部品の高さが制限される場合があり、さらに、その高さがシングルノズルヘッド同士において異なる場合があり、その場合、各シングルノズルヘッドについても装着可能な電子回路部品の高さを考慮して装着順序が決定される。
【0083】
さらに、本発明は、ノズルヘッドを自動的に着脱可能に保持するヘッド保持装置を備え、複数種類のノズルヘッドが自動的に交換される部品装着機に限らず、回路基板が位置を固定して設けられた基板保持装置により保持されるとともに、ノズルヘッドがヘッド移動装置により移動させられて電子回路部品の装着を行う部品装着機であって、例えば、専用のシングルノズルヘッドあるいはマルチノズルヘッドにより電子回路部品の装着を行う部品装着機、複数種類のシングルノズルヘッドが選択的に電子回路部品の装着に使用される部品装着機、複数の吸着ノズルが一直線状に並んで設けられて選択的に電子回路部品の装着を行うマルチノズルヘッドを備えた部品装着機等、種々の部品装着機によるプリント回路板の組立方法およびその組立方法を実施するための装着プログラムを作成する作成プログラムに適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
4:第1部品装着機 6:第2部品装着機 12:フィーダ型部品供給装置 14:トレイ型部品供給装置 16:基板保持装置 18:装着装置 22:制御装置 28:回路基板 30:被装着面 32:角チップ 36:BGA 38:装着面 39:はんだボール 40:マルチノズルヘッド 42:シングルノズルヘッド 44:ヘッド保持装置 46:ヘッド移動装置 144,154:吸着ノズル 240:装着プログラム作成コンピュータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路板組立方法に関するものであり、特に、設備費の低減,不良品発生の防止、および装着能率の向上の少なくとも1つに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献1に記載されているように、回路基板にBGA(Ball Grid Array),CSP(Chip Size Package)等、接続用バンプを備えたバンプ部品と、チップ部品等、接続用バンプを備えない非バンプ部品とが混在して装着されることがある。バンプ部品は非バンプ部品の装着後にまとめて回路基板に装着されるのであるが、回路基板のバンプ部品が装着されるべき箇所に設けられた電極上に非バンプ部品が落下し、その上からバンプ部品が装着されれば、電気的不良、例えば、導通不良や短絡の原因となる。そのため、特許文献1に記載の基板検査装置においては、非バンプ部品の装着後、バンプ部品の装着前にバンプ部品未装着箇所をカラーカメラにより撮像し、その撮像データに基づいて部品未装着箇所における異物の有無を判定し、異物がある場合にはその旨を通報するようにされている。このようにバンプ部品の装着箇所について検査を行えば、不良な回路基板の発生を防止することができる。
【特許文献1】特開2003−141509公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の基板検査装置が、部品装着機とは別に設けられた検査専用の装置であれば、設備費が増大する問題がある。この基板検査装置が部品装着機に設けられているとしても、回路基板に設定された全部のバンプ部品装着箇所についてそれぞれ、異物の有無を検査することが必要であり、時間がかかり、装着能率が低下する問題がある。
この問題は、平面視の寸法が大きい大型部品や、吸着ノズルにより保持され、撮像装置による撮像に基づいて吸着ノズルによる保持位置誤差が取得される際、保持位置誤差の取得が複数のリードに基づいて行われるリード依拠部品についても同様に発生する。一般に、小型部品の後に大型部品の装着が行われ、保持位置誤差の取得が電子回路部品全体の外形線に基づいて行われる外形線依拠部品の後に、リード依拠部品が装着されるのであるが、これらの場合にも、回路基板の大型部品やリード依拠部品が装着されるべき箇所に、小型部品や外形線依拠部品が落下することがあり、バンプ部品におけると同様の問題があるのである。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、回路基板へのバンプ部品,大型部品およびリード依拠部品の少なくとも1つの装着において、不良品発生の防止,設備費の低減、および装着能率の向上の少なくとも1つを可能にするプリント回路板組立方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題は、1つの装着ラインを構成する複数台の部品装着機に、それら複数台の部品装着機間において1枚の回路基板に電子回路部品を装着するのに要する総所要時間が均等となるように、複数の電子回路部品を割り当てて、プリント回路板を組み立てる方法を、前記複数の電子回路部品として、(a)部品本体の回路基板に装着されるべき装着面にその装着面から回路基板に向かって突出させられた複数の接続用バンプを備えた電子回路部品であるバンプ部品と、(b)バンプ部品以外の電子回路部品である非バンプ部品とを含むものを装着するとともに、前記複数台の部品装着機の少なくとも1台において回路基板にバンプ部品を装着する際に、その回路基板に既に非バンプ部品が装着されている場合には、その回路基板のそのバンプ部品を装着すべき箇所に非バンプ部品が落下していないかどうかの検査を行い、その検査に要する検査時間をバンプ部品を回路基板に装着する動作自体に要する装着時間に加えて、1個のバンプ部品の装着に要する所要時間とするものとすることにより解決される。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る方法においては、装着ラインを構成する複数台の部品装着機の少なくとも1台において回路基板にバンプ部品を装着する際に、その回路基板に既に非バンプ部品が装着されている場合には、その回路基板のそのバンプ部品を装着すべき箇所に非バンプ部品が落下していないかどうかの検査が行われるため、回路基板のバンプ部品が装着されるべき箇所に設けられた電極上に非バンプ部品が落下し、その上からバンプ部品が装着されて電気的不良、例えば、導通不良や短絡が発生することが防止される。
しかも、検査した上でバンプ部品が装着される場合には、その検査に要する検査時間をバンプ部品を回路基板に装着する動作自体に要する装着時間に加えて、1個のバンプ部品の装着に要する所要時間とされ、その上で、1つの装着ラインを構成する複数台の部品装着機に、それら複数台の部品装着機間において1枚の回路基板に電子回路部品を装着するのに要する総所要時間が均等となるように、複数の電子回路部品の割当てが行われるため、装着ラインを構成する複数台の部品装着機がすべて有効に使用されることとなり、装着ライン全体の生産能率が高くなる効果が得られる。
【発明の態様】
【0006】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、請求の範囲に記載された発明である「本願発明」の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載,従来技術等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0007】
なお、以下の各項において、(19)項が請求項1に相当し、(20)項が請求項2に相当する。
【0008】
(1)複数の電子回路部品を回路基板に装着してプリント回路板を組み立てる方法であって、標準の装着順序として、(a)部品本体の前記回路基板に装着されるべき装着面にその装着面から前記回路基板に向かって突出させられた複数の接続用バンプを備えたバンプ部品であることと、(b)平面視の寸法が大きい大型部品であることと、(c)吸着ノズルにより保持され、撮像装置により撮像されて吸着ノズルによる保持位置誤差が取得され、その保持位置誤差が修正されて前記回路基板に装着される際に、前記保持位置誤差の取得が電子回路部品の複数のリードに基づいて行われるリード依拠部品であることとの少なくとも1つの条件を満たす電子回路部品の少なくとも一部のものを、前記回路基板の現に電子回路部品の装着が行われる被装着面に未だ電子回路部品が装着されていない状態で最初に装着するプリント回路板組立方法。
バンプ部品,大型部品およびリード依拠部品のように、従来、一般に、回路基板への装着が後で行われていた電子回路部品であっても、早く装着した方がよい場合があり、そのような電子回路部品の装着順序をできるだけ先にし、できるだけ早い時期に装着されるようにすることが請求可能発明のコンセプトである。そのような電子回路部品の具体例がバンプ部品,大型部品およびリード依拠部品であり、(1)項〜(18)項のいずれの請求可能発明もコンセプトを同じくする発明である。
(2)1台以上の部品装着機を含む装着ラインにより、1枚の回路基板に複数の電子回路部品を装着して1枚のプリント回路板を組み立てる準備のために、コンピュータにより読み取られ、コンピュータにより実行される装着プログラム作成プログラムであって、
前記装着ラインにおいて、(a)部品本体の前記回路基板に装着されるべき装着面にその装着面から前記回路基板に向かって突出させられた複数の接続用バンプを備えたバンプ部品であることと、(b)平面視の寸法が大きい大型部品であることと、(c)吸着ノズルにより保持され、撮像装置により撮像されて吸着ノズルによる保持位置誤差が取得され、その保持位置誤差が修正されて前記回路基板に装着される際に、前記保持位置誤差の取得が電子回路部品の複数のリードに基づいて行われるリード依拠部品であることとの少なくとも1つの条件を満たす電子回路部品の少なくとも一部のものを、前記回路基板の現に電子回路部品の装着が行われる被装着面に未だ電子回路部品が装着されていない状態で最初に装着するように装着順序を決定するステップを含む装着プログラム作成プログラム。
本項に記載の作成プログラムによれば、(1)項に記載のプリント回路板組立方法を実施する装着プログラムが得られる。
(3)複数の電子回路部品を回路基板に装着してプリント回路板を組み立てる方法であって、標準の装着順序として、前記複数の電子回路部品のうち、部品本体の前記回路基板に装着されるべき装着面にその装着面から前記回路基板に向かって突出させられた複数の接続用バンプを備えたバンプ部品の少なくとも一部のものを、前記接続用バンプを備えない電子回路部品である非バンプ部品より先に装着するプリント回路板組立方法。
(4)前記バンプ部品の前記少なくとも一部のものを、回路基板の現に電子回路部品の装着が行われる被装着面に未だ電子回路部品が装着されていない状態で最初に装着する(3)項に記載のプリント回路板組立方法。
本項に記載の方法によれば、回路基板に最初に装着されるバンプ部品が装着されるべき箇所に非バンプ部品が落下していることはなく、(3)項に記載の組立方法の効果が最も確実に得られる。
(5)前記バンプ部品のうち高さが設定高さ以下のバンプ部品を、前記バンプ部品の前記少なくとも一部とする(3)項または(4)項に記載のプリント回路板組立方法。
本項の組立方法は、概して、バンプ部品のうち高さが設定高さ以下のバンプ部品を、非バンプ部品より先に装着し、高さが設定高さより高いバンプ部品を前記非バンプ部品より後に装着するものである。ただし、非バンプ部品はすべて、高さが設定高さより高いバンプ部品より前に装着するという趣旨ではない。非バンプ部品の一部が、設定高さより高いバンプ部品より後に装着されるようにしてもよいのである。例えば、非バンプ部品の中にも設定高さより高いものもあり、そのような非バンプ部品は設定高さより高いバンプ部品と混ぜて、あるいは設定高さより高いバンプ部品より後に装着されるようにしてもよいのである。
本項に記載の方法は、例えば、非バンプ部品の少なくとも一部の装着を行う装着ヘッド等の装置が、非バンプ部品の装着を行う際に既に回路基板に装着されている電子回路部品である先付部品と、その高さによっては干渉する恐れがある構成の装置である場合に特に有効である。
(6)1台以上の部品装着機を含む装着ラインにより、1枚の回路基板に複数の電子回路部品を装着して1枚のプリント回路板を組み立てる準備のために、コンピュータにより読み取られ、コンピュータにより実行される装着プログラム作成プログラムであって、
前記装着ラインにおいて、部品本体の前記回路基板に装着されるべき装着面にその装着面から前記回路基板に向かって突出させられた複数の接続用バンプを備えたバンプ部品の少なくとも一部のものを、前記非バンプ部品より先に装着するように、装着順序を決定するステップを含む装着プログラム作成プログラム。
(7)前記バンプ部品の前記少なくとも一部のものを、回路基板の現に電子回路部品の装着が行われる被装着面に未だ電子回路部品が装着されていない状態で最初に装着するように装着順序を決定するステップを含む(6)項に記載の装着プログラム作成プログラム。
(4)項に記載のプリント回路板組立方法を実施するための装着プログラムが作成される。
(8)前記装着順序が、前記装着ラインの前記1台以上の部品装着機のうちの1台における装着順序として決定される(6)項または(7)項に記載の装着プログラム作成プログラム。
本項に記載の作成プログラムにより、回路基板へのバンプ部品と非バンプ部品との装着を1台の装着機により行うための装着プログラムが作成され、その1台の部品装着機においてバンプ部品の少なくとも一部のものが非バンプ部品より先に装着される。上記1台の部品装着機が装着ラインに含まれる唯一の部品装着機である場合、あるいは先頭の部品装着機である場合に最も効果的である。
(9)前記装着順序の決定を、前記装着ラインにおいて、少なくとも前記非バンプ部品に関して装着能率が可及的に高くなるように行う(6)項ないし(8)項のいずれかに記載の装着プログラム作成プログラム。
非バンプ部品の装着順序がバンプ部品の後とされることによる装着能率の低下を低減することができる。
(10)前記装着ラインが、回路基板の流れに沿って並べられた複数台の部品装着機を含むものであり、前記バンプ部品の前記少なくとも一部のものを、前記非バンプ部品を割り当てる部品装着機より上流の部品装着機に割り当てるステップを含む(6)項ないし(9)項のいずれかに記載の装着プログラム作成プログラム。
バンプ部品の少なくとも一部のものを、前記装着ラインの最上流の部品装着機に割り当て、その最上流の部品装着機あるいはそれより下流側の部品装着機に前記非バンプ部品を割り当てる態様が、本項に係る発明の典型的な一例である。
しかし、それに限定されるわけではなく、例えば、最上流の部品装着機に非バンプ部品ではあるが比較的大型でかつ高さが設定高さ以下のもの(バンプ部品の下に入り込めば、バンプ部品の装着が正常に行われない、あるいは目視で明らかに判る等のもの)を割り当て、それより下流の部品装着機にバンプ部品の少なくとも一部のものを割り当て、さらにそれより下流側の部品装着機に再び非バンプ部品(特に小型の)を割り当てるようにすることが可能である。
また、上記「非バンプ部品を割り当てる部品装着機」は、必ずしも非バンプ部品のみが割り当てられる必要はなく、例えば、バンプ部品の残りのものの少なくとも一部が割り当てられてもよい。
本項が(8)項に従属する態様では、複数台の部品装着機のうち、バンプ部品および非バンプ部品の両方が割り当てられた部品装着機の少なくとも1台において、バンプ部品の少なくとも一部のものを非バンプ部品より先に装着するように装着プログラムが作成される。
(11)前記バンプ部品のうち高さが設定高さ以下のバンプ部品を、前記バンプ部品の前記少なくとも一部とする(6)項ないし(10)項のいずれかに記載の装着プログラム作成プログラム。
(5)項に記載のプリント回路板組立方法を実施するための装着プログラムが作成される。
(12)前記バンプ部品のうち前記非バンプ部品より後に装着されるものに関しては、それらの装着に先立って、それらが装着されるべき箇所に他の前記電子回路部品が落下する異常が発生していないか否かを検査する異常検査ステップが実行されるように、装着プログラムを作成する(6)項ないし(11)項のいずれかに記載の装着プログラム作成プログラム。
バンプ部品が、それの装着されるべき箇所に落下した非バンプ部品の上に装着されることがなく、電気的不良の発生が防止される。
本項に記載の作成プログラムにより作成された装着プログラムに従って電子回路部品の装着が行われる場合、部品装着機において部品装着箇所の検査が行われ、不良品の発生を防止し、装着能率を向上させつつ、部品装着機とは別に専用の検査機が設けられる場合に比較して設備費を低減することができる。
(13)複数の電子回路部品を回路基板に装着してプリント回路板を組み立てる方法であって、前記複数の電子回路部品を、平面視の寸法が大きい大型部品の群である大型部品群と、平面視の寸法が小さい小型部品の群である小型部品群とに分け、前記大型部品群に属する電子回路部品の少なくとも一部のものを、前記小型部品群に属する電子回路部品より先に装着するプリント回路板組立方法。
前記(4)項および(5)項の各特徴は、バンプ部品を大型部品群に属する電子回路部品と読み替えて、本項のプリント回路板組立方法にも適用可能である。
大型部品より先に小型部品が装着される場合、大型部品の未装着箇所に小型部品が落下し、その上に大型部品が装着されれば、小型部品が隠れて見難く、あるいは見えず、大型部品の装着前における部品未装着箇所の検査あるいは装着後の検査が必要になる。また、小型部品が大型部品により完全に覆われていれば、検査が行われても見つけられず、不具合が直ちにはわからない場合がある。例えば、大型部品がリードを有するリード部品である場合、検査ではリード部品の本体により覆われて見つけられなかった小型部品が、検査後、動いてリード部品の本体から外へ出てきてリードに当たったり、他の電子回路部品や電極等に当たって正常な導通を妨げる等、後から不具合がわかることがあるのである。それに対し、少なくとも一部の大型部品を小型部品より先に装着すれば、小型部品が大型部品の未装着箇所に落下することがなくなり、あるいは低減し、大型部品の未装着箇所について検査を全く行わなくて済み、あるいは検査数が減り、専用の検査機を設ける場合に比較して設備費を低減させることができ、部品装着機において全部の大型部品の未装着箇所について検査を行う場合に比較して、能率良く装着を行うことができる。
小型部品より先に大型部品が複数装着される場合、それら大型部品が小型部品の装着されるべき箇所や自身以外の大型部品の装着されるべき箇所に落下する場合があるが、その場合には、小型部品の装着や大型部品の装着が正常に行われず、また、装着動作が行われ、落下した大型部品上に小型部品や大型部品が載せられても、それら装着不良は目視によりわかるため、撮像等による検査は不要であり、本項の効果を損なうことはない。
(14)1台以上の部品装着機を含む装着ラインにより、1枚の回路基板に複数の電子回路部品を装着して1枚のプリント回路板を組み立てる準備のために、コンピュータにより読み取られ、コンピュータにより実行される装着プログラム作成プログラムであって、
前記複数の電子回路部品を、平面視の寸法が大きい大型部品の群である大型部品群と、平面視の寸法が小さい小型部品の群である小型部品群とに分けた場合に、前記装着ラインにおいて、大型部品群に属する電子回路部品の少なくとも一部のものを、前記小型部品群に属する電子回路部品より先に装着するように装着順序を決定するステップを含む装着プログラム作成プログラム。
前記(6)項ないし(12)項のそれぞれに記載の特徴は、バンプ部品を大型部品群に属する大型部品と読み替え、非バンプ部品を小型部品群に属する小型部品と読み替えて、本項の装着プログラム作成プログラムにも適用可能である。
(13)項に記載のプリント回路板組立方法を実施するための装着プログラムが作成される。
(15)前記小型部品群に属する電子回路部品は複数の吸着ノズルを備えた装着ヘッドであるマルチノズルヘッドにより装着され、前記大型部品群に属する電子回路部品は1つの吸着ノズルを備えた装着ヘッドであるシングルノズルヘッドで装着されるように装着プログラムを作成する(14)項に記載の装着プログラム作成プログラム。
複数の吸着ノズルを備えたマルチノズルヘッドは、隣接する吸着ノズルの間隔が狭く、小型部品の装着に適しており、そのような制約のないシングルノズルヘッドは大型部品の装着に適している。したがって、マルチノズルヘッドとシングルノズルヘッドとが選択的に使用される部品装着機においては、回路基板に小型部品も大型部品も装着することができ、装着ラインを構成する部品装着機の数や種類を増やすことなく、容易に大型部品が小型部品より先に装着されるようにすることができる。
(16)複数の電子回路部品を吸着ノズルに保持させ、その電子回路部品を撮像装置により撮像して吸着ノズルによる保持位置誤差を取得し、その保持位置誤差を修正して回路基板に装着することにより、プリント回路板を組み立てる方法であって、
前記複数の電子回路部品を、前記保持位置誤差の取得が電子回路部品全体の外形線に基づいて行われる外形線依拠部品と、前記保持位置誤差の取得が電子回路部品の複数のリードに基づいて行われるリード依拠部品とに分け、そのリード依拠部品の少なくとも一部のものを、前記外形線依拠部品より先に装着するプリント回路板組立方法。
前記(4)項および(5)項の各特徴は、バンプ部品をリード依拠部品と読み替えて、本項のプリント回路板組立方法にも適用可能である。
バンプ部品は、保持位置誤差の取得が複数の接続用バンプに基づいて行われ、リード依拠部品の一種と見なすことができる。
リード依拠部品はリードを複数備えており、リード依拠部品が装着されるべき箇所に落下した外形線依拠部品との干渉により電気的不良を生じ易い。また、外形線依拠部品はリードに隠れて見え難く、目視では見つけ難いのであるが、外形線依拠部品より先に装着すれば、部品未装着箇所の検査が不要であり、専用の検査機を設ける場合に比較して設備費を低減させることができ、部品装着機においてリード依拠部品の未装着箇所について検査を行う場合に比較して能率良く装着を行うことができる。
(17)複数の電子回路部品を吸着ノズルにより保持し、その電子回路部品を撮像装置により撮像して吸着ノズルによる保持位置誤差を取得し、その保持位置誤差を修正して回路基板に装着する1台以上の部品装着機を含む装着ラインにより、1枚の回路基板に複数の電子回路部品を装着して1枚のプリント回路板を組み立てる準備のために、コンピュータにより読み取られ、コンピュータにより実行される装着プログラム作成プログラムであって、
前記複数の電子回路部品を、前記保持位置誤差の取得が電子回路部品全体の外形線に基づいて行われる外形線依拠部品と、前記保持位置誤差の取得が電子回路部品の複数のリードに基づいて行われるリード依拠部品とに分けた場合に、前記装着ラインにおいて、前記リード依拠部品の少なくとも一部のものを、前記外形線依拠部品より先に装着するように装着順序を決定するステップを含む装着プログラム作成プログラム。
前記(6)項ないし(12)項のそれぞれに記載の特徴は、バンプ部品をリード依拠部品と読替え、非バンプ部品を外形線依拠部品と読み替えて、本項の装着プログラム作成プログラムにも適用可能である。
(16)項に記載のプリント回路板組立方法を実施するための装着プログラムが作成される。
(18)前記(2)項,(6)項〜(12)項,(14)項,(15)項および(17)項のいずれかに記載の装着プログラム作成プログラムがコンピュータにより読取可能に記録された記録媒体。
記録媒体は、例えば、ROMカセット等コンピュータに着脱可能な着脱式記録媒体,コンピュータに設けられた読取装置により読み取り可能な磁気テープ,磁気ディスク,光磁気ディスク,光ディスク等の読取式記録媒体とされる。
(19)1つの装着ラインを構成する複数台の部品装着機に、それら複数台の部品装着機間において1枚の回路基板に電子回路部品を装着するのに要する総所要時間が均等となるように、複数の電子回路部品を割り当てて、プリント回路板を組み立てる方法であって、
前記複数の電子回路部品として、(a)部品本体の回路基板に装着されるべき装着面にその装着面から回路基板に向かって突出させられた複数の接続用バンプを備えた電子回路部品であるバンプ部品と、(b)バンプ部品以外の電子回路部品である非バンプ部品とを含むものを装着するとともに、前記複数台の部品装着機の少なくとも1台において回路基板にバンプ部品を装着する際に、その回路基板に既に非バンプ部品が装着されている場合には、その回路基板のそのバンプ部品を装着すべき箇所に非バンプ部品が落下していないかどうかの検査を行い、その検査に要する検査時間をバンプ部品を回路基板に装着する動作自体に要する装着時間に加えて、1個のバンプ部品の装着に要する所要時間とすることを特徴とするプリント回路板組立方法。
(20)前記複数台の部品装着機にバンプ部品と非バンプ部品とを含む複数の電子回路部品を割り当てるに当たり、それら複数台の部品装着機の各々における総所要時間の差の絶対値が設定値以下であれば、それら複数台の部品装着機間における総所要時間が均等であるとする(19)項に記載のプリント回路板組立方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】請求可能発明に係るプリント回路板組立方法が実施される装着ラインを概略的に示す図である。
【図2】上記装着ラインを構成する部品装着機を概略的に示す平面図である。
【図3】上記部品装着機の装着装置においてヘッド保持装置がシングルノズルヘッドを保持した状態を示す側面図(一部断面)である。
【図4】上記装着装置においてヘッド保持装置がマルチノズルヘッドを保持した状態を示す側面図(一部断面)である。
【図5】上記部品装着機の制御装置の構成を概念的に示すブロック図である。
【図6】上記装着ラインを管理する装着管理コンピュータおよび装着プログラム作成コンピュータ等の関係を概念的に示す図である。
【図7】上記装着プログラム作成コンピュータのROMに記憶させられた装着プログラム作成プログラムの一部を示すフローチャートである。
【図8】上記装着プログラム作成プログラムの残りを示すフローチャートである。
【図9】上記装着プログラム作成プログラムにより作成された装着プログラムの実行による電子回路部品の回路基板への装着を説明する図である。
【図10】請求可能発明の別の実施例であるプリント回路板組立方法を実施するための装着プログラムを作成する装着プログラム作成プログラムの一部を示すフローチャートである。
【図11】図10に示す装着プログラム作成プログラムの残りを示すフローチャートである。
【図12】請求可能発明の更に別の実施例であるプリント回路板組立方法を実施するための装着プログラムを作成する装着プログラム作成プログラムの一部を示すフローチャートである。
【図13】図12に示す装着プログラム作成プログラムの残りを示すフローチャートである。
【実施例】
【0010】
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0011】
本装着ラインは、図1に示すように、それぞれ対基板作業機であり、回路基板の流れに沿って1列に並べられたスクリーン印刷機2,第1部品装着機4,第2部品装着機6およびリフロー炉8を含む。スクリーン印刷機2は高粘性流体塗布機の一種であり、回路基板に高粘性流体の一種であるクリーム状はんだをスクリーン印刷する。リフロー炉8は、回路基板に塗布されたクリーム状はんだを加熱し、溶融させる。これらスクリーン印刷機2等の間にはそれぞれ、回路基板受渡装置9が設けられ、装着ラインの上流側の作業機から作業の済んだ回路基板を受け取り、下流側の作業機に渡す。スクリーン印刷機2およびリフロー炉8は本発明との関係が薄いため、説明を省略し、第1,第2部品装着機4,6を説明する。
【0012】
本装着ラインにおいて第1部品装着機4は第2部品装着機6に対して、スクリーン印刷機2側であって、回路基板の流れにおいて上流側に設けられており、以後、第1部品装着機4を上流側装着機4、第2部品装着機6を下流側装着機6と称する。これら装着機4,6は同様に構成されており、上流側装着機4を代表的に説明する。
【0013】
上流側装着機4は、図2に示すように、基板搬送装置10,それぞれ部品供給装置の一種であるフィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14,基板保持装置16,装着装置18,ノズルヘッド収納装置20および制御装置22(図5参照)を備えている。基板搬送装置10は、システム本体としてのベッド26上に設けられ、回路基板28を水平な一方向に搬送して基板保持装置16に搬入し、基板保持装置16から搬出する。基板搬送方向をX軸方向とし、基板保持装置16に保持されている回路基板28の表面であり、電子回路部品が装着される被装着面30に平行な一平面である水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。基板保持装置16は位置を固定して設けられ、図示は省略するが、例えば、回路基板28を下方から支持する基板支持装置と、回路基板28の基板搬送方向に平行な両縁部をそれぞれクランプするクランプ装置とを含み、基板搬送装置10により搬入された回路基板28を水平な姿勢で保持する。
【0014】
フィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14は、本電子回路部品装着システムでは、図2に示すように、ベッド26上の、基板搬送装置10に対してY軸方向に隔たった両側にそれぞれ設けられている。フィーダ型部品供給装置12は、詳細な図示は省略するが、部品供給具の一種である複数のフィーダおよびフィーダ支持台を備えている。複数のフィーダはそれぞれ、フィーダ支持台に各部品供給部がX軸方向に並ぶ状態で着脱可能に取り付けられ、それぞれ多数の電子回路部品が送り装置により送られ、1個ずつ順次、部品供給部に位置決めされて供給される。
【0015】
トレイ型部品供給装置14は多数の収容凹部を有するトレイに電子回路部品を収容して供給する装置であり、未だ公開されていないが、本出願人に係る特願2006−280081の明細書に記載のトレイ型部品供給装置と同様に構成され、複数のトレイがトレイ支持板上に並べられて電子回路部品を供給する装置とされている。
【0016】
フィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14により、回路基板28に装着される電子回路部品であって、接続用バンプを備えない電子回路部品である非バンプ部品および接続用バンプを備えた電子回路部品であるバンプ部品が供給される。図9に示す角チップ32は非バンプ部品の一例であり、部品本体33および部品本体33に密着して形成された電極34を備え、全体として直方体形状を成している。本実施例において非バンプ部品には、部品本体から突出して設けられた複数のリードを有する電子回路部品であるリード部品およびフィルタ,コイル等の異形部品が含まれる。また、BGA36はバンプ部品の代表的な電子回路部品であり、部品本体37および部品本体37の回路基板28に装着されるべき装着面38に、その装着面38から回路基板28に向かって突出させられた複数の接続用バンプとしてのはんだボール39を備えている。本実施例においてバンプ部品には、BGA36の他に、例えば、CSP,ウエハレベルCSP,QFN(Quad Flat Non-leaded package),BCC(Bump Chip Carrier) 等、装着面に電極を備えた電子回路部品が含まれる。
【0017】
本装着装置18は、図2ないし図4に示すように、マルチノズルヘッド40,シングルノズルヘッド42,ヘッド保持装置44,相対移動装置たるヘッド移動装置46,接近離間装置たるヘッド昇降装置48およびヘッド回転装置50を含む。ヘッド移動装置46は、図2に示すように、X軸方向移動装置54およびY軸方向移動装置56を含む。X軸方向移動装置54は、可動部材としてのX軸スライド60とX軸スライド移動装置62(図5参照)とを含む。X軸スライド移動装置62は、駆動源たるX軸移動用モータ64(図
5参照)と、ボールねじおよびナットを含む送りねじ機構66(図5参照)とを含む。Y軸方向移動装置56はX軸スライド60上に設けられ、可動部材としてのY軸スライド70とY軸スライド移動装置72(図5参照)とを含む。Y軸スライド移動装置72は、X軸スライド移動装置62と同様に、駆動源たるY軸移動用モータ74(図5参照)と送りねじ機構76(図5参照)とを含む。X軸移動用モータ64およびY軸移動用モータ74は、例えば、電動モータの一種であるエンコーダ付サーボモータにより構成される。サーボモータは、回転角度の正確な制御が可能な電動回転モータであり、サーボモータに代えてステップモータを用いてもよい。リニアモータを用いてもよい。
【0018】
図2および図3に示すように、Y軸スライド70に前記ヘッド保持装置44,ヘッド昇降装置48およびヘッド回転装置50が設けられ、Y軸スライド70の移動により、ヘッド保持装置44等が水平面上の任意の位置へ移動させられる。ヘッド移動装置46は、ヘッド保持装置44と基板保持装置16とを、基板保持装置16に保持された回路基板28の被装着面30に平行な方向に相対移動させる相対移動装置である。これらヘッド保持装置44,マルチノズルヘッド40およびシングルノズルヘッド42等は、特開2006−261325公報に記載のヘッド保持装置等と同様に構成されており、簡単に説明する。
【0019】
ヘッド保持装置44は、図3に示すように、装置本体たる軸状部材80および軸状部材80の下端部に一体的に設けられたヘッド保持部82とを含む。軸状部材80は、横断面形状が円形を成し、外周面にスプライン84が設けられたスプライン軸部材である。ヘッド保持部82は、横断面形状が円形を成し、軸状部材80より大きい直径を有する。
【0020】
ヘッド回転装置50は、Y軸スライド70に鉛直軸線まわりに回転可能に保持された回転部材としての回転体86と、回転部材駆動装置としての回転体駆動装置88とを含む。回転体駆動装置88は回転用モータ90(図5参照)を駆動源とし、その回転が回転体86に固定のギヤ92等を含む回転伝達装置により回転体86に伝達され、回転体86が鉛直軸線まわりに回転させられる。回転用モータ90は、例えば、エンコーダ付サーボモータにより構成される。回転体86は円筒状を成し、その内周面に設けられたスプライン94に軸状部材80のスプライン84が軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に嵌合され、回転体86の回転により軸状部材80およびヘッド保持部82が鉛直軸線まわりに正逆両方向に任意の角度回転させられる。
【0021】
前記ヘッド昇降装置48は、図3に示すように、Y軸スライド70に昇降可能に設けられた昇降部材100と、駆動源としての昇降用モータ102(図5参照)と、Y軸スライド70に軸方向に相対移動不能かつ鉛直軸線まわりに回転可能に設けられたねじ軸としてのボールねじ104および昇降部材100に固定のナット106を含む送りねじ機構108とを含む。昇降用モータ102は、例えば、エンコーダ付サーボモータにより構成される。軸状部材80の上部は、昇降部材100により相対回転可能かつ軸方向に相対移動不能に保持されており、ボールねじ104が昇降用モータ102により回転させられ、昇降部材100が昇降させられることによりヘッド保持装置44が昇降させられる。
【0022】
軸状部材80内には、その軸線上に通路110が設けられるとともに、その外側に円環状通路112が設けられ、円環状通路112は負圧ポンプ等の負圧源120に接続されている。負圧源120から円環状通路112への負圧の供給は、開閉装置122により許容,遮断される。以後、円環状通路112を負圧供給通路112と称する。
【0023】
通路110は、コンプレッサ等の正圧源124および前記負圧源120に接続されている。通路110への正圧の供給と負圧の供給とは切換装置126により切り換えられ、正圧と負圧とが択一的に供給される。切換装置126により、通路110が大気に開放された状態も得られる。以後、通路110を正圧・負圧供給通路110と称する。
【0024】
前記ヘッド保持部82は、図3に示すように、その軸線に直角な一平面状を成し、水平で下向きの吸着面130を備えている。ヘッド保持部82には、吸着面130に開口し、その軸線を中心線とする円環状の負圧室用凹部132が形成され、通路134により負圧供給通路112に連通させられている。正圧・負圧供給通路110の下端部は、吸着面130に開口させられている。
【0025】
前記マルチノズルヘッド40およびシングルノズルヘッド42はいずれも、ヘッド保持装置44によって負圧により吸着されて保持され、昇降,回転させられる。シングルノズルヘッド42は、図3に示すように、ヘッド本体138および被保持部140を含む。ヘッド本体138はノズル保持部(図示省略)を備え、負圧により電子回路部品142を吸着する部品保持具たる吸着ノズル144を1つ、保持する。被保持部140は、横断面形状が円形の円板状を成し、その軸線に直角で一平面状の被吸着面146を備えている。シングルノズルヘッド42は、被吸着面146が吸着面130に密着させられ、負圧室用凹部132が塞がれてヘッド吸着用負圧室148が形成され、負圧供給通路112からヘッド吸着用負圧室148に供給される負圧によりシングルノズルヘッド42がヘッド保持装置44により吸着され、保持される。シングルノズルヘッド42は、ヘッド保持装置44がヘッド昇降装置48,ヘッド回転装置50によって昇降,回転させられることにより昇降,回転させられ、部品供給装置12,14,基板保持装置16に接近,離間させられて電子回路部品を受け取り、回路基板28に装着する。シングルノズルヘッド42がヘッド保持装置44により保持された状態では、正圧・負圧供給通路110がヘッド本体138に連通させられ、電子回路部品の吸着時には吸着ノズル144に負圧が供給され、電子回路部品の回路基板28への装着時には負圧の供給が断たれるとともに正圧が供給され、電子回路部品を迅速に開放するようにされる。
【0026】
マルチノズルヘッド40は、図4に示すように、ヘッド本体150,被保持部152,複数、例えば、12個のノズル保持部153,部品保持具たる吸着ノズル154,ノズル保持部153の各々について設けられたバルブ装置156およびノズル選択装置157を備えている。被保持部152は、その軸線に直角で一平面状の被吸着面158を備えており、シングルノズルヘッド42と同様に、被吸着面158が吸着面130に密着させられてヘッド吸着用負圧室148が形成され、負圧供給通路112からヘッド吸着用負圧室148に供給される負圧によってマルチノズルヘッド40がヘッド保持装置44により吸着され、同心状に保持される。
【0027】
複数のノズル保持部153は、ヘッド本体150の中心線である回動軸線を中心とする一円周上に等角度間隔に設けられ、ヘッド保持装置44により保持されたマルチノズルヘッド40が回転させられることにより、複数のノズル保持部153に保持された吸着ノズル154が順次、部品受取位置へ移動させられる。
【0028】
マルチノズルヘッド40がヘッド保持装置44により保持された状態では、正圧・負圧供給通路110および負圧供給通路112がそれぞれ、マルチノズルヘッド40内の通路に連通させられ、バルブ装置156の切換えにより、電子回路部品の吸着時には吸着ノズル154に負圧が供給され、装着時には負圧の供給が断たれるとともに正圧が供給される。バルブ装置156の切換えは、マルチノズルヘッド40の昇降に伴ってバルブ切換装置160により行われる。バルブ切換装置160は、複数のバルブ装置156を個々に負圧供給状態と、正圧供給状態とに切り換えるように構成される。また、リセット装置162が設けられ、複数のバルブ装置156が一斉にリセットされ、吸着ノズル154に負圧も正圧も供給しない状態に復帰させられる。
【0029】
さらに、マルチノズルヘッド40の昇降に伴ってノズル選択装置157が作動させられる。本マルチノズルヘッド40においてノズル選択装置157は、バルブ切換装置160により作動させられ、吸着ノズル154をヘッド本体150に対して昇降させ、複数の吸着ノズル154のうち、電子回路部品の吸着,装着を行う吸着ノズル154が、その他の吸着ノズル154に対して選択されて昇降させられる。そのため、ヘッド昇降装置48によってマルチノズルヘッド40が昇降させられるとき、その昇降に伴って選択された吸着ノズル154が部品供給装置12,14あるいは基板保持装置16に接近,離間させられ、電子回路部品を受け取り、あるいは受け取った電子回路部品を回路基板28に装着する。これらバルブ装置156,ノズル選択装置157,バルブ切換装置160およびリセット装置162も前記特開2006−261325公報に記載のバルブ装置等と同様に構成されており、詳細な説明は省略する。
【0030】
マルチノズルヘッド40により電子回路部品を回路基板28に装着する場合、複数の吸着ノズル154のうちの一つが選択され、他の吸着ノズル154より下降させられて電子回路部品を装着するが、マルチノズルヘッド40の下降により全部の吸着ノズル154が下降させられるため、他の吸着ノズル154も回路基板28に接近し、選択された吸着ノズル154が電子回路部品を装着する際、その電子回路部品の装着箇所に隣接して既に装着されている電子回路部品である先付部品と接触する恐れがある。そのため、本マルチノズルヘッド40は、その使用が、高さが設定高さを超える電子回路部品が装着されていない状態での電子回路部品の装着に制限される。換言すれば、マルチノズルヘッド40により装着される電子回路部品は、設定高さ以下の電子回路部品であり、また、設定高さ以下の電子回路部品であれば、シングルノズルヘッド42により装着される電子回路部品であっても、マルチノズルヘッド40の使用による電子回路部品の装着前に回路基板28に装着することができる。この設定高さは、本実施例では、複数種類のマルチノズルヘッド42について共通の高さとされる。さらに、シングルノズルヘッド42は、吸着ノズル144を1つのみ備えており、電子回路部品の装着を行う吸着ノズル144以外に吸着ノズルはないため、本実施例では、先付部品との干渉の問題は生ぜず、装着可能な電子回路部品の高さおよび先付部品の高さに制限はないものとする。
【0031】
前記ノズルヘッド収納装置20は、図2に概略的に示すように、複数のヘッド収納部170を備え、複数種類のマルチノズルヘッド40および複数種類のシングルノズルヘッド42が収納されている。マルチノズルヘッド40は、例えば、保持する吸着ノズル154の種類,数を互いに異にすることにより種類を異にする。吸着ノズル154の種類は、例えば、吸着ノズル154の吸着管の直径を異にすることにより異ならされる。シングルノズルヘッド42も、例えば、保持する吸着ノズル144の吸着管の直径,形状を異にすることにより種類が異ならされる。ノズルヘッド収納装置20は、前記特開2006−261325公報に記載のノズルヘッド収納装置と同様に構成されており、詳細な図示および説明は省略する。
【0032】
さらに、前記Y軸スライド70には、図2に概略的に示すように、回路基板28に設けられた基準マーク178を撮像する基準マーク撮像システム180が設けられ、ヘッド移動装置46により水平面内の任意の位置へ移動させられる。基準マーク撮像システム180は、基準マークカメラ182および照明装置(図示省略)を備えている。また、ベッド26上には、2組の部品撮像システム186が設けられ、吸着ノズル144,154により保持された電子回路部品を撮像するようにされている。部品撮像システム186は、部品カメラ188および照明装置(図示省略)を備え、例えば、部品供給装置12,14の各々と基板搬送装置10との間の、部品供給装置12,14の基板搬送方向に平行な方向の中央部にそれぞれ、位置を固定して設けられ、マルチノズルヘッド42の全部の吸着ノズル154により保持された電子回路部品を一括して撮像し得るものとされている。基準マークカメラ182および部品カメラ188は撮像デバイスの一種であり、例えば、面撮像装置とされ、CCDカメラにより構成されている。
【0033】
前記制御装置22は、図5に示すように、CPU200,ROM202,RAM204およびそれらを接続するバス206を含む制御コンピュータ210を主体とするものであり、入・出力部212には、基準マークカメラ182および部品カメラ188の撮像により得られた画像データを処理する画像処理コンピュータ214,エンコーダ付サーボモータのエンコーダ216(複数であるが、1つが代表的に示されている),装着ライン管理コンピュータ220,読取装置222等が接続されている。読取装置222には、記録媒体の一種である磁気記録媒体としての磁気ディスク224がセットされる。読取装置222は、磁気ディスク224に記憶されたデータを読み取って制御コンピュータ210に入力し、RAM204に記憶させる。入・出力部212にはまた、駆動回路230を介してX軸移動用モータ64等、種々のアクチュエータ等および報知装置232が接続されている。報知装置232は、例えば、ブザー,音声,光,表示画面への表示等、種々の態様で異常の発生等の情報を報知する装置とされる。また、ROM202およびRAM204には、図示を省略するメインルーチン,装着プログラム,装着プログラムを実行するための制御プログラム等、種々のプログラムおよびデータ等が記憶させられている。
【0034】
装着ライン管理コンピュータ220は、図1に示すように、装着ラインを統括し、管理するコンピュータであり、装着ラインを構成するスクリーン印刷機2等の対基板作業機に関するプログラムおよびデータ等を有し、それらスクリーン印刷機2等に供給する。装着機2,4には装着プログラムが供給され、これらはRAM204に設けられたプログラムメモリに記憶される。装着プログラムは、本実施例においては、装着プログラム作成コンピュータ240(図6参照)において作成され、装着プログラム作成コンピュータ240と接続された装着ライン管理コンピュータ220に供給される。そのため、装着プログラム作成コンピュータ240のROMには、図7および図8にそれぞれフローチャートで示す装着プログラム作成プログラムが記憶させられており、装着ラインを構成する装着機2,4においてそれぞれ実行される電子回路部品の装着のためのプログラムが自動で作成される。装着プログラム作成コンピュータ240において作成された装着プログラムを磁気ディスク224に記憶させ、読取装置232に磁気ディスク224をセットして装着プログラムを読み取らせ、制御コンピュータ210に供給されるようにしてもよい。
【0035】
装着プログラム作成コンピュータ240にはまた、図6に示すように、CAD242,パーツデータライブラリ244および入力装置246が接続されている。CAD242では、回路設計および配線板設計が行われ、複数種類のプリント回路板の各々についてCADデータが作成される。プリント回路板は、プリント配線板のプリント配線に電子回路部品が装着されるとともに、半田付け接合が行われたものである。CADデータでは、電子回路部品が装着されるべき箇所(点)の座標が設定され、各部品装着箇所に装着される電子回路部品が設定されるとともに、装着時における電子回路部品の姿勢等が設定される。電子回路部品は、例えば、部品IDにより記憶される。部品IDとして、電子回路部品を他の電子回路部品とは区別して特定することができるデータ、例えば、部品名称や部品番号が使用される。CADデータは、例えば、入力装置246を用いた装着位置の座標データおよび部品ID等の入力により、CADデータ作成者によって作成されてもよい。
【0036】
パーツデータライブラリ244は、例えば、外部記憶装置の一種として構成され、例えば、磁気ディスク等により構成される。パーツデータライブラリ244には、部品データが格納されている。部品データは、複数種類の電子回路部品の各々について設定され、部品ID,形状,寸法,リードの有無,数,寸法,配置,バンプの有無,数,寸法,配置,荷姿,画像処理アルゴリズム,ID識別データ等のデータを含む。荷姿は、例えば、紙テープタイプ,エンボステープタイプ等のテープ化部品あるいはバルク状部品であって、フィーダに収容されるべきものであるか、あるいは、トレイに収容されるべきものであるかや、収容されている向き等である。画像処理アルゴリズムは、吸着ノズル144,154により保持された電子回路部品が部品カメラ188により撮像され、その撮像データに基づいて吸着ノズル144,154による保持位置誤差が取得されるとき、電子回路部品全体の外形線に基づいて取得されるか、複数のリードあるいはバンプに基づいて取得されるかを定める規則である。前者の場合、電子回路部品全体の外形線に基づいて電子回路部品の基準点(例えば、部品本体の中心点)が求められ、その基準点について吸着ノズル144,154の回転軸線に対する位置ずれが取得される。後者の場合、複数のリードあるいはバンプに基づいて、電子回路部品の基準点が求められる。部品データにはまた、電子回路部品がシングルノズルヘッド42とマルチノズルヘッド40とのいずれによって装着されるかのデータも含まれる。シングルノズルヘッド42とマルチノズルヘッド40とのいずれによっても装着可能な電子回路部品もあり、複数種類のマルチノズルヘッド40により装着可能な電子回路部品もある。
【0037】
装着プログラムの作成を説明する。
装着プログラムは、上流側,下流側の各装着機4,6の各々について作成され、部品装着点,部品装着姿勢,装着順序,電子回路部品を供給するフィーダあるいはトレイの位置等を対応付けるデータを含む。そのため、装着プログラムの作成時には、回路基板28に装着される全部の電子回路部品が装着機4,6に割り振られるとともに、装着機4,6の各々において電子回路部品の装着順序が決定される。また、電子回路部品が割り振られれば、装着機4,6においてそれぞれ必要なフィーダ,トレイの種類および数が決まり、フィーダのフィーダ支持台における搭載位置や、トレイのトレイ支持板による支持位置が決められる。本実施例の作成プログラムは、回路基板28に装着される電子回路部品には、バンプ部品であっても非バンプ部品であっても、高さが設定高さ以下のものが複数含まれることを前提として装着プログラムを作成するプログラムとされている。
【0038】
装着プログラム作成プログラムのステップ1(以後、S1と略記する。他のステップについても同じ。)においては、回路基板28に装着される複数の電子回路部品が1つずつ読み出される。この装着部品に関するデータは、CAD242において作成されたCADデータであって回路設計データから得られる。このデータは、CAD242から装着プログラム作成コンピュータ240に供給されて、そのRAMに記憶させられる。
【0039】
次いでS2が実行され、読み出された電子回路部品がバンプ部品であるか否かが判定される。この判定は、パーツデータライブラリ244に記憶されたパーツデータに基づいて行われる。装着プログラムの作成に必要なパーツデータは、予めパーツデータライブラリ244から読み込まれ、装着プログラム作成コンピュータ240のRAMに記憶させられている。読み出された電子回路部品がバンプ部品であれば、S2の判定結果はYESになってS3が実行され、バンプ部品の高さが設定高さより高い高バンプ部品であるか否かが判定される。この設定高さは、本実施例では、マルチノズルヘッド40による部品装着時に制限される先付部品の高さと同じ高さとされている。バンプ部品が、高さが設定高さ以下である低バンプ部品であれば、S3の判定結果はNOになってS4が実行され、その低バンプ部品の装着が上流側装着機4に割り当てられ、装着プログラム作成コンピュータ240のRAMに設けられた上流側装着機割り当て部品メモリに記憶させられる。次いでS16が実行され、全部の電子回路部品について割り当てあるいは分類が終了したか否かの判定が行われるが、この判定結果はNOであり、ルーチンの実行はS1に戻る。
【0040】
S1においては次の電子回路部品が読み出され、S2においてバンプ部品であるか否かが判定される。電子回路部品がバンプ部品であり、その高さが設定高さより高いのであれば、S2,S3の各判定結果がYESになってS5が実行され、その電子回路部品の装着が下流側装着機6に割り当てられ、下流側装着機割り当て部品メモリに記憶させられた後、S16が実行される。
【0041】
読み出された電子回路部品がバンプ部品でなければ、S2の判定結果がNOになってS6が実行され、その電子回路部品の高さが設定高さより高いか否かが判定される。バンプ部品以外の電子回路部品(以後、非バンプ部品と称する)が高さが設定高さより高い高非バンプ部品であれば、S6の判定結果がYESになってS5が実行され、その装着が下流側装着機6に割り当てられる。
【0042】
読み出された電子回路部品が非バンプ部品であり、高さが設定高さ以下である低非バンプ部品であれば、S6の判定結果がNOになってS7が実行され、最小の電子回路部品であるか否かが判定される。この判定は、電子回路部品の平面視の寸法に基づいて行われる。本プログラムにおいては、電子回路部品の大きさであって、平面視の寸法は、電子回路部品の対角線の長さによって規定され、その長さが複数、例えば、4種類の設定長さと比較され、大きさにより、例えば、5段階の部品群に分類される。非バンプ部品がリード部品であれば、その部品本体の対角線の長さを設定長さと比較する。電子回路部品が異形部品であって、平面視の形状が矩形ではない電子回路部品や多角形の電子回路部品であれば、異形部品に外接する矩形を想定し、その対角線の長さを設定長さと比較する。平面視の形状が円形の場合も同様である。平面視形状が円形の電子回路部品の場合、その直径,長径,円周の少なくとも1つを設定長さと比較してもよい。電子回路部品の平面視の形状が矩形を成し、あるいは矩形と見なし得る場合には、複数の辺のうち、最も長い辺が設定長さより長いか否かにより分類してもよい。
【0043】
低非バンプ部品の対角線の長さが最小の設定長さ以下であり、最小の電子回路部品であれば、S7の判定結果がYESになってS8が実行され、最小部品群に分類される。その電子回路部品を特定するデータ、例えば、部品IDが、RAMに設けられた最小部品群メモリに記憶させられるのである。低非バンプ部品については、S7,S9,S11,S13のいずれかが実行され、その寸法に応じて最小部品群,小部品群,中部品群,大部品群および最大部品群のいずれかに分類され、それぞれ対応する部品群メモリに部品IDが記憶させられる。回路基板28に装着される全部の電子回路部品について個々に、S4,S5の割り当てあるいはS8,S10,S12,S14,S15の分類が行われ、回路基板28に同種の電子回路部品が複数装着される場合、同じ装着機に同種の電子回路部品が複数割り当てられ、同じ部品群に同種の電子回路部品が複数、含まれることとなる。
【0044】
回路基板28に装着が予定された全部の電子回路部品について割り当てあるいは低非バンプ部品の大きさ別の分類が行われれば、S16の判定結果がYESになり、図8に示すS17以降のステップが実行される。S17においては、S16の判定結果がYESになった時点において上流側装着機4と下流側装着機6とにそれぞれ割り当てられている電子回路部品の装着に要する時間の総和である総所要時間が算出される。ここではまだ、電子回路部品を供給するフィーダやトレイの位置が決められていないため、各総所要時間は、例えば、1個の電子回路部品の装着に要する平均的な所要時間に部品数を掛けることにより算出される。この部品1個あたりの平均所要時間は、後述の検査を伴う場合は平均的装着時間と平均的検査時間との和であり、検査を伴わない場合は平均的装着時間自体である。そして、平均的装着時間は、例えば、マルチノズルヘッド40とシングルノズルヘッド42とについてそれぞれ予め設定されている。マルチノズルヘッド40には保持可能な吸着ノズル154の最大数を異にする複数種類のマルチノズルヘッド40があり、それぞれについて電子回路部品1個あたりの平均装着時間が設定されている。電子回路部品をマルチノズルヘッド40とシングルノズルヘッド42とのいずれによって装着するかは、部品データにおいて設定されており、その設定および平均装着時間に基づいて総所要時間が演算される。1つの電子回路部品をシングルノズルヘッド42とマルチノズルヘッド40との両方あるいは複数種類のマルチノズルヘッド40によって装着可能な場合には、それらノズルヘッドのうちで最も短い平均装着時間を用いて総所要時間が演算される。
【0045】
また、後述するように、非バンプ部品の後に高バンプ部品が装着される場合、その高バンプ部品の装着箇所については、非バンプ部品が落下しているか否かの検査が行われる。本実施例では、高バンプ部品は下流側装着機6に割り当てられ、低非バンプ部品の後に装着されるため、高バンプ部品の装着箇所については検査が必要となる。この検査は、後述するように、高バンプ部品が部品供給装置12あるいは14から取り出され、回路基板28へ搬送されて装着される直前に、基準マークカメラ182が部品装着箇所上へ移動させられて、部品装着箇所を撮像することにより行われ、この検査に要する時間である検査時間は予め設定されている。したがって、S17では、下流側装着機6に高バンプ部品が割り当てられているか否かが判定され、割り当てられていれば、1部品装着箇所当りの検査時間に高バンプ部品の数を掛けることにより総検査時間が求められ、この総検査時間も含めて総装所要間が求められる。
【0046】
次いでS18が実行され、未だ上流側装着機4と下流側装着機6とのいずれによって装着するかの割り当てが行われていない電子回路部品、すなわち低非バンプ部品について、割り当てを実行するためのデータがセットされる。ここでは、低非バンプ部品は、S7〜S15の実行により、大きさに基づいて5段階の部品群に分類されており、部品群単位で割り当てが決められる。そのため、割り当て開始時には、未だ割り当てが行われていない部品群として最小から最大の5つの部品群が、装着プログラム作成コンピュータ240のRAMに設けられた未割り当て部品群データメモリに記憶させられる。
【0047】
次いでS19が実行され、上流側装着機4における電子回路部品の装着に要する総所要時間が下流側装着機6において電子回路部品の装着に要する総所要時間より長いか否かの判定が行われる。S19が1回目に行われるとき、S17において算出された総所要時間に基づいて判定が行われる。上流側装着機4における総所要時間の方が長いのであれば、S19の判定結果がYESになってS20が実行され、現に未割り当て部品群データメモリに記憶させられている部品群のうちで最小の部品群に属する電子回路部品があるか否かが判定される。未割り当て部品群データメモリには、S18の実行により、5つ部品群にそれぞれ属する電子回路部品が実際にあるか否かに関係なく、5種類の部品群が記憶させられる。そのため、S20が実行され、実際に部品群に属する電子回路部品があるか否かが判定され、部品群に属する電子回路部品があれば、S20の判定結果がYESになってS21が実行され、現に未割り当て部品群データメモリに記憶させられている部品群のうちで最小の部品群に属する電子回路部品の装着が下流側装着機6に割り当てられ、下流側装着機割り当て部品メモリに記憶させられる。必要な時間が短い方の装着機に電子回路部品が割り当てられ、下流側装着機6には小型部品から先に割り当てられるのである。S21においてはまた、割り当てられた電子回路部品を加えて、下流側装着機6の総所要時間が算出される。この際、S17におけると同様に、下流側装着機6に割り当てられた電子回路部品に高バンプ部品が含まれていれば、それらの検査時間の和が算出され、その検査時間の和を含めて下流側装着機6の総所要時間が算出される。S21においてはさらに、部品群,部品群の割り当て順および割り当てられた装着機が互いに対応付けられて、RAMに設けられた割り当て順メモリに記憶させられる。
【0048】
次いでS22が実行され、未割り当て部品群データが更新される。割り当ての済んだ部品群のデータが削除されるのである。そして、S25が実行され、全部の部品群について割り当てが終了したか否かが判定される。この判定は、未割り当て部品群データメモリにデータが記憶させられているか否かにより行われる。まだ、データが記憶させられていれば、S25の判定結果がNOになって、ルーチンの実行はS19に戻る。
【0049】
S19では、電子回路部品の割り当てにより増加した総所要時間に基づいて、上流側装着機4と下流側装着機6との各総所要時間のいずれが長いかが判定される。下流側装着機6の総所要時間の方が長いのであれば、S19の判定結果がNOになってS23が実行され、現に未割り当て部品群データメモリに記憶させられている未割り当て部品群のうちで最大の部品群に属する電子回路部品があるか否かが判定される。S23が1回目に実行されるとき、5段階の部品群のうちの最大部品群に実際に属する電子回路部品があるか否かが判定され、あれば、S23の判定結果がYESになってS24が実行され、その電子回路部品の装着が上流側装着機4に割り当てられ、上流側装着機割り当て部品メモリに記憶させられる。上流側装着機4には、大きい電子回路部品から割り当てられるのである。また、割り当てられた電子回路部品を加えて総所要時間が演算され、さらに、部品群,部品群の割り当て順および割り当てられた装着機が互いに対応付けて割り当て順メモリに記憶させられる。そして、S22が実行され、未割り当て部品群データから、最大部品群データが削除され、S25が実行される。
【0050】
次にS19が実行され、上流側装着機4の総所要時間の方が長いとすれば、S20が実行される。今回は、未割り当て部品群データメモリに現に記憶させられている部品群のうちで最小の部品群は小部品群であり、小部品群に属する電子回路部品があるか否かが判定され、あればS21が実行され、下流側装着機6に割り当てられる。
【0051】
このように、装着機4,6について、総所要時間ができるだけ均等になるように電子回路部品の割り当てが行われる。なお、部品群に属する電子回路部品がない場合には、S20あるいはS23の判定結果がNOになり、S21あるいはS24がスキップされてS22が実行され、電子回路部品がない部品群も未割り当て部品群データから削除される。この場合、電子回路部品の新たな割り当てがなく、装着機4,6の各総所要時間は変わらないため、次にS19が実行されるとき、その判定結果は、前回のS19の実行時と同じであるが、未割り当て部品群データが更新されており、現に未割り当て部品群データに記憶させられている部品群のうちで最小あるいは最大の部品群は、前回のS20,S23の実行時とは異なり、現に未割り当て部品群データメモリに記憶させられている部品群のうちで最小あるいは最大の部品群についてS20あるいはS23が実行される。S20あるいはS23の判定結果がYESになるまで、S19,S20,S22,S25あるいはS19,S23,S22,S25が実行される。
【0052】
未割り当て部品群データメモリのデータがなくなれば、S25の判定結果がYESになってS26が実行され、上流側装着機4と下流側装着機6との各総所要時間の差の絶対値が設定値より大きいか否かが判定される。設定値以下であれば、各総所要時間がほぼ均等であると見なすことができ、S26の判定結果はNOになってS28以下のステップが実行される。
【0053】
装着機4,6の各総所要時間の差の絶対値が設定値より大きいのであれば、S26の判定結果がYESになってS27が実行され、部品割り当ての調整が行われる。上流側装着機4と下流側装着機6とにそれぞれ、部品群が割り当てられるとき、部品群毎に割り当て順序および割り当てられた装着機が割り当て順メモリに記憶させられており、調整は、最後に割り当てられた部品群について、そのうちの一部の電子回路部品が、割り当てられていない方の装着機に割り当てられることにより行われる。その最後の部品群の割り当てによって、総所要時間の差の絶対値が設定値より大きくなったからである。
【0054】
そして、分けられる部品群に属する複数の電子回路部品の大きさが互いに比較され、上流側装着機4の方が総所要時間が長いのであれば、小さい方の電子回路部品から下流側装着機6に回され、下流側装着機6の方が総所要時間が長いのであれば、大きい方の電子回路部品から上流側装着機4に回される。この際、電子回路部品は1個ずつ回され、回される毎に総所要時間が算出し直されて比較される。高バンプ部品が割り当てられた部品装着機については、部品装着箇所の検査に要する時間も含めて総所要時間が算出される。前述のように、高バンプ部品は下流側装着機6に割り当てられるが、例えば、低非バンプ部品の数が少なく、高バンプ部品の数が多く、高バンプ部品が上流側装着機4に割り当てられることがあれば、上流側装着機4についても総検査時間が算出され、それを含めて総所要時間が求められて部品割り当ての調整が行われる。装着機4,6の各総所要時間の差の絶対値が設定値以下になるまで割り当て変更,総所要時間の算出,比較が行われる。
【0055】
部品割り当ての調整後、S28が実行され、上流側装着機4と下流側装着機6とにおいてそれぞれ、電子回路部品の装着順序が決定される。上流側装着機4に割り当てられた電子回路部品に低バンプ部品と非バンプ部品との両方が含まれるのであれば、低バンプ部品が回路基板28に最初に装着され、次に非バンプ部品が装着される順序とされる。また、低バンプ部品が複数ある場合には、平面視の寸法が大きい低バンプ部品が先に装着される順序とされる。低非バンプ部品が複数ある場合には、それらの装着順序は、同じ部品群に属する部品毎に決められ、大きい部品群が先に装着される順序とされ、同じ部品群に属する電子回路部品については装着能率が可及的に高くなるように決定される。例えば、平面視の寸法に関係なく、複数の低非バンプ部品は、それらの装着を行うマルチノズルヘッド40あるいはシングルノズルヘッド42の基板保持装置16と部品供給装置12,14との間における移動距離の総和ができるだけ短くなるように、低非バンプ部品を供給するフィーダあるいはトレイの搭載位置と共に装着順序が決定される。低バンプ部品を供給するフィーダあるいはトレイの搭載位置は、低非バンプ部品を供給するフィーダあるいはトレイが搭載された残りの位置に設定される。低バンプ部品についても、その大きさに関係なく、装着に使用されるマルチノズルヘッド40あるいはシングルノズルヘッド42の移動距離の総和ができるだけ短くなり、装着能率が可及的に高くなるように、装着順序およびフィーダ,トレイの搭載位置が決められてもよい。上流側装着機4に割り当てられた電子回路部品に高非バンプ部品と低非バンプ部品とが含まれることがあれば、高非バンプ部品の装着順序は低非バンプ部品の後に装着される順序とされる。上流側装着機4に割り当てられた低非バンプ部品が複数ある場合、群に関係なく、装着能率が可及的に高くなるように装着順序が決定されてもよく、同じ群に属する低非バンプ部品についても大きいものから先に装着されるように装着順序が決定されてもよい。
【0056】
装着機4,6の各総所要時間ができる限り均等になるように電子回路部品の割り当てが行われた結果、上流側装着機4に、高バンプ部品あるいは高非バンプ部品が割り当てられることになったのであれば、この高電子回路部品は、低バンプ部品および低非バンプ部品の後で装着される順序とされる。高バンプ部品および高非バンプ部品の両方があるのであれば、高バンプ部品が先に装着される順序とされる。高バンプ部品であるか高非バンプ部品であるかを問わず、高さが低い電子回路部品から先に装着される順序とされてもよく、あるいは、平面視の寸法が大きい電子回路部品から先に装着される順序とされてもよく、あるいは装着時間ができるだけ短くなる順序とされてもよい。
【0057】
下流側装着機6については、S5の実行により、高バンプ部品および高非バンプ部品の割り当てが行われており、割り当てられた電子回路部品に高バンプ部品および高非バンプ部品と、低非バンプ部品とが含まれるのであれば、低非バンプ部品が先に装着される順序とされる。低非バンプ部品の装着順序は、例えば、上流側装着機4と同様に装着能率が可及的に高くなるように決定されてもよく、大きい電子回路部品から先に装着される順序としてもよく、マルチノズルヘッド40により装着される低非バンプ部品がまとめて先に装着される順序とされてもよい。下流側装着機6に割り当てられる高バンプ部品および高非バンプ部品の装着はシングルノズルヘッド42により行われるのが普通であり、マルチノズルヘッド40により装着可能な低非バンプ部品はマルチノズルヘッド40によってまとめて装着されるようにすれば、ノズルヘッドの交換回数を少なくし、装着能率を向上させることができるからである。また、高バンプ部品および高非バンプ部品が割り当てられているのであれば、例えば、それらのうちでは高バンプ部品が先に装着されるようにしてもよく、あるいは装着時間ができるだけ短くなる順序とされてもよく、平面視の寸法が大きい高電子回路部品が先に装着されるようにしてもよい。さらに、電子回路部品を供給するフィーダおよびトレイの搭載位置が決定され、例えば、装着時間ができるだけ短くなる位置に決定される。
【0058】
装着順序が決定されれば、S29が実行され、最終バランス調整が行われる。決定された装着順序に従って電子回路部品の装着が行われた場合の上流側装着機4,下流側装着機6の各総所要時間の差の絶対値が設定値より大きいか否かが判定され、大きいのであれば、S27と同様に部品割り当て調整が行われ、総所要時間が長い方の装着機に最後に割り当てられた電子回路部品から、総所要時間が短い方の装着機に割り当てが変えられる。この総所要時間も、低非バンプ部品の後に装着される高バンプ部品があれば、部品装着箇所の検査に要する時間を含めて算出される。
【0059】
最終バランス調整後、S30が実行され、上流側装着機4において、低非バンプ部品の後に装着される高バンプ部品があるか否かが判定される。そのような高バンプ部品があれば、S30の判定結果がYESになってS31が実行され、高バンプ部品について、その装着前に、その高バンプ部品が装着されるべき箇所に非バンプ部品が落下していないか否かの検査を実行するための異常検査実行指令データが付加される。次いでS32,S33が、下流側装着機6についてS30,S31と同様に実行される。下流側装着機6については、装着する電子回路部品の全部が高バンプ部品であれば、非バンプ部品の後に装着される高バンプ部品ありとされる。
【0060】
以上のようにして作成された装着プログラムに従って電子回路部品の回路基板28への装着が行われるとき、上流側装着機4においては、まず、図9(a)に示すように、未だ電子回路部品が装着されていない被装着面30に最初に低バンプ部品が装着され、次いで、図9(b)に示すように、低非バンプ部品が装着される。低バンプ部品は高さが設定高さ以下の電子回路部品であり、回路基板28に先に装着されても、マルチノズルヘッド40による低非バンプ部品の装着を妨げることはなく、低バンプ部品を最初に装着することができる。そのため、低バンプ部品については、低非バンプ部品の一種である角チップが低バンプ部品の未装着箇所に落下する事態が生ぜず、低バンプ部品の未装着箇所に低非バンプ部品が落下する異常の発生の検査が不要であり、低バンプ部品を迅速に能率良く装着することができる。
【0061】
下流側装着機6には高バンプ部品が割り当てられ、図9(c)に示すように、低非バンプ部品の後に装着されるが、高バンプ部品の装着に先立って、その未装着箇所について低非バンプ部品が落下しているか否かの検査が行われる。この検査は、本電子回路部品装着システムにおいては、基準マークカメラ182によって被装着面30の高バンプ部品の未装着箇所を撮像することにより行われる。連続して電子回路部品の装着が行われる同種の複数枚の回路基板28のうち、1枚目の回路基板28が上流側装着機4に搬入され、基板保持装置16により保持された状態において、電子回路部品の装着開始に先立って高バンプ部品が装着されるべき箇所が基準マークカメラ182により撮像される。この1枚目の回路基板28は、例えば、作業者により検査され、パッドやプリント回路等に損傷がなく、正確に作られ、異物の落下もないものが選ばれて搬入される。撮像により得られた像データが高バンプ部品が装着されるべき箇所の見本データとされ、装着箇所と対応付けて、RAM204に設けられた見本データメモリに記憶される。
【0062】
回路基板28への電子回路部品の装着は、装着プログラムにおいて決められた装着順序に従って、装着される電子回路部品の種類,装着点等のデータが順次、読み出されて行われるが、高バンプ部品については、異常検査実行指令データが付加されているため、部品供給装置12あるいは14からの高バンプ部品の受取り後、装着の直前に基準マークカメラ182が部品装着箇所へ移動させられて、部品装着箇所を撮像する。この撮像により得られた像データが見本データと比較され、低非バンプ部品の落下の有無が判定される。低非バンプ部品の落下があれば、像データが見本データとは異なることから異常の発生が検出される。低非バンプ部品の落下の異常があれば、例えば、報知装置232により作業者に報知され、装着作業が停止させられて異常原因が除去されるようにされる。低非バンプ部品の落下がなければ、吸着ノズル144が部品装着箇所へ移動させられて高バンプ部品を装着する。
【0063】
このように本実施例では、部品装着機4,6において低バンプ部品を非バンプ部品より先に回路基板28に装着し、高バンプ部品については装着に先立って部品装着箇所の検査を行うことにより、不良品の発生を防止しつつ、全部のバンプ部品について装着箇所の検査を行う場合に比較して装着能率を向上させることができ、部品装着機とは別に検査機を設ける場合に比較して設備費を低減させることができる。特に、基準マーク撮像システム180が、異常検査システムを兼ねており、検査をより安価に行うことができる。また、装着箇所が電子回路部品の装着の直前に撮像されるため、検査のための基準マークカメラ182の移動距離が短くて済むとともに、異常の発生が確実に検査される。本基準マークカメラ182は白黒カメラであるが、カラーカメラとし、例えば、特開2003−141509公報に記載の検査方法と同様の方法により異常の有無を判定するようにしてもよい。
【0064】
装着プログラム作成プログラムは、電子回路部品の大きさに基づいて装着の優先順序が決定されるプログラムとしてもよい。その実施例を図10および図11に示すフローチャートに基づいて説明する。
本装着プログラムのS51においては、前記装着プログラムのS1と同様に、回路基板28に装着される電子回路部品が1個ずつ読み出される。次いでS52が実行され、電子回路部品の高さが設定高さより高いか否かの判定が行われる。電子回路部品が、高さが設定高さより高い高電子回路部品であれば、S52の判定結果がYESになってS53が実行され、その電子回路部品の装着が下流側装着機6に割り当てられる。そしてS63が実行され、全部の電子回路部品について割り当てあるいは大きさの分類が終了したか否かの判定が行われるが、この判定結果はNOであり、ルーチンの実行はS51に戻る。
【0065】
読み出された電子回路部品が、高さが設定高さ以下である低電子回路部品であれば、S52の判定結果がNOになってS54以下のステップが実行され、その電子回路部品が大きさにより分類される。S54〜S62は、前記実施例のS7〜S15と同様に実行され、電子回路部品の平面視の寸法に基づいて、例えば、最小,小,中,大,最大の5段階の群のいずれかに分類される。
【0066】
回路基板28に装着される全部の電子回路部品について割り当てあるいは分類が行われれば、S63の判定結果がYESになってS64〜S74が実行され、5段階に分類された低電子回路部品が群単位で上流側装着機4と下流側装着機6とに割り当てられるとともに、割り当て後、上流側装着機4と下流側装着機6との部品割り当てが調整される。上流側装着機4には、平面視の寸法が大きい大型部品から割り当てられ、下流側装着機6には、平面視の寸法が小さい小型部品から割り当てられる。これら割り当ておよび調整は前記実施例のS17〜S27と同様に行われるため、説明を省略するが、高電子回路部品が割り当てられた部品装着機については、その装着前に、部品装着箇所への低電子回路部品の落下の有無の検査が行われるため、その検査に要する時間も含めて総所要時間が演算される。
【0067】
調整後、S75が実行され、上流側装着機4と下流側装着機6とについてそれぞれ、装着順序が決定される。本実施例において装着順序は、上流側装着機4においては、大型部品から先に装着される順序とされる。上流側装着機4に複数の部品群が割り当てられていれば、大きい方の部品群が先に装着される順序とされ、同じ群に属する電子回路部品については、その群の中で大きい電子回路部品から先に装着される順序とされる。また、フィーダおよびトレイの搭載位置は、装着時間が可及的に短くなる位置に決められる。装着機2,4の各総所要時間の均等化の都合により、上流側装着機4に高電子回路部品が割り当てられることがあれば、その高電子回路部品は低電子回路部品の後に装着される順序とされる。下流側装着機6については、S53において下流側装着機6に割り当てられた高電子回路部品が最も後に装着され、低電子回路部品は、それらのうちで大きい電子回路部品から先に装着される順序とされる。高電子回路部品が複数あるのであれば、例えば、平面視の寸法が大きい電子回路部品から先に装着される順序とされる。
【0068】
大きさによって5段階に分類された電子回路部品はいずれも低電子回路部品であり、高さの観点からはマルチノズルヘッド40による装着が可能な電子回路部品であるが、大きさによっては、マルチノズルヘッド40に保持される吸着ノズルの吸着管の形状,寸法等の都合により装着不可能な電子回路部品もあり、その場合、その大型部品はシングルノズルヘッド42によって装着されることとされる。また、マルチノズルヘッド40によってもシングルノズルヘッド42によっても装着可能な電子回路部品はマルチノズルヘッド40によって装着されることとされ、能率良く装着が行われるようにされる。装着順序の決定時には、フィーダおよびトレイの位置も決められる。
【0069】
装着順序の決定後、S76が実行され、最終バランス調整が行われ、例えば、上流側装着機4の総所要時間の方が長いのであれば、上流側装着機4において装着される電子回路部品のうち、大きさが小さい方の電子回路部品から下流側装着機6へ回される。この総所要時間は、低電子回路部品の後に装着される高電子回路部品がある部品装着機については、高電子回路部品の装着箇所について行われる低電子回路部品の落下の有無の検査に要する時間を含めて算出される。最終バランス調整が行われれば、S77が実行され、上流側装着機4において低電子回路部品の後に装着される高電子回路部品があるか否かが判定される。その高電子回路部品があれば、S77の判定結果がYESになってS78が実行され、高電子回路部品について、装着プログラム中に、装着前の装着箇所の検査の実行を指令する異常検査実行指令データが付加される。そして、下流側装着機6についてもS79,S80がS77,S78と同様に実行される。下流側装着機6については、装着する電子回路部品の全部が高電子回路部品であることがあれば、低電子回路部品の後に装着される高電子回路部品ありとされる。
【0070】
このように本実施例において装着機4,6のいずれにおいても、低電子回路部品については、大きい電子回路部品から先に装着されるようにされ、大きい電子回路部品の装着前に、それより小さい電子回路部品の装着が行われないため、小型部品が大型部品の装着箇所に落下する異常が発生せず、低電子回路部品については装着箇所の検査が不要であり、電子回路部品の装着を能率良く行うことができる。
なお、同じ大きさの群に属する電子回路部品の装着順序は、大きさ順に限らず、例えば、装着能率を加味して決めてもよく、あるいは、最大部品群に属する電子回路部品については大きい電子回路部品から先に装着されるようにし、他の群に属する電子回路部品については装着能率を加味して装着順序を決めてもよく、大きさの差が設定範囲内である電子回路部品については同じ種類のノズルヘッドによりまとめて装着が行われ、ノズルヘッドの交換回数ができる限り少なくなるように装着順序を決めてもよい。また、装着箇所の検査は、小型の高電子回路部品、例えば、対角線の長さが設定値以下である電子回路部品については行われないようにしてもよい。
【0071】
装着プログラム作成プログラムは、吸着ノズルにより保持された電子回路部品を部品カメラにより撮像し、その像データに基づいて行われる吸着ノズルによる電子回路部品の保持位置誤差の取得が電子回路部品全体の外形線と、電子回路部品の複数のリードとのいずれに基づいて行われるかによって装着順序が決定されるプログラムとしてもよい。その実施例を図12および図13に示すフローチャートに基づいて説明する。
本作成プログラムのS81においては、前記装着プログラムのS1と同様に、回路基板28に装着される電子回路部品が1個ずつ読み出される。次いでS82が実行され、読み出された電子回路部品が、保持位置誤差の取得がリードに基づいて行われるリード依拠部品であるか否かが判定される。この判定は部品データに基づいて行われ、リード依拠部品であれば、S82の判定結果がYESになってS83が実行され、電子回路部品が高さが設定高さより高い高リード依拠部品であるか否かが判定される。電子回路部品が高さが設定高さ以下である低リード依拠部品であれば、S83の判定結果がNOになってS84が実行され、その電子回路部品の装着が上流側装着機4に割り当てられる。そしてS95が実行され、全部の電子回路部品について割り当てあるいは高さによる分類が終了したか否かの判定が行われるが、この判定結果はNOであり、ルーチンの実行はS81に戻る。
【0072】
読み出された電子回路部品が高リード依拠部品であれば、S82,S83の各判定結果がYESになってS85が実行され、その高リード依拠部品の装着が下流側装着機6に割り当てられる。また、読み出された電子回路部品がリード依拠部品ではなく、外形線依拠部品であれば、S82の判定結果がNOになってS86〜S94が実行され、外形線依拠部品が高さによって複数、例えば、5段階の部品群に分類される。
【0073】
回路基板28に装着される全部の電子回路部品について割り当てあるいは高さによる分類が行われれば、S96〜S104が実行され、5段階の群に分けられた外形線依拠部品が群単位で上流側装着機4あるいは下流側装着機6に割り当てられる。S96〜S104は、前記実施例のS17〜S25と同様に、装着機4,6の各総所要時間ができる限り均等となるように割り当てが行われるとともに、上流側装着機4には、高さが低い部品群から割り当てられ、下流側装着機6には高さが高い部品群から割り当てられるように構成されている。この際、総所要時間は、高リード依拠部品が割り当てられた部品装着機については、高リード依拠部品の装着箇所の検査に要する時間を含めて算出される。
【0074】
外形線依拠部品の割り当て後、S105およびS106が前記実施例のS26およびS27と同様に実行される。この際、例えば、上流側装着機4の総所要時間の方が下流側装着機6より設定値を超えて長いのであれば、上流側装着機4について最後に割り当てられた部品群のうち高い方の電子回路部品から下流側装着機6に回される。この総所要時間も、高リード依拠部品が割り当てられた部品装着機については、その装着箇所の検査に要する時間を含めて算出される。そして、S107が実行され、部品装着機4,6の各々について装着順序が決定される。上流側装着機4については、低いリード依拠部品の割り当てがあれば、最初に装着が行われる順序とされる。低リード依拠部品は高さが設定高さ以下の電子回路部品であり、その後のマルチノズルヘッド40による電子回路部品の装着を妨げず、最初に装着することができる。低リード依拠部品が複数割り当てられている場合、それらは、例えば、平面視の寸法が大きいものから先に装着される順序とされる。上流側装着機4には、外形線依拠部品は低いものから割り当てられており、低い外形線依拠部品が先に装着される順序とされる。フィーダおよびトレイの位置は、装着時間が可及的に短くなる位置に決められる。上流側装着機4に高リード依拠部品が割り当てられることがあれば、その高リード依拠部品は、最後に装着される順序とされ、高リード依拠部品が複数あれば、例えば、平面視の寸法が大きいものから先に装着されるように順序が決定される。外形線依拠部品の部品群が複数、割り当てられている場合、同じ部品群に属する外形線依拠部品については、装着能率が可及的に高くなるように装着順序が決定されてもよい。
【0075】
下流側装着機6については、外形線依拠部品およびリード依拠部品の割り当てがあれば、そのリード依拠部品は高リード依拠部品であるため、外形線依拠部品の後であって、最後に装着される順序とされる。高リード依拠部品が複数ある場合、例えば、高さが低いものから先に装着されてもよく、あるいは、平面視の寸法が大きいものから先に装着されてもよい。また、外形線依拠部品は、高さが低いものから先に装着されるように順序が決定される。さらに、フィーダおよびトレイの搭載位置が決められ、装着時間が可及的に短くなる位置に決められる。上流側装着機4においても下流側装着機6においても、撮像に基づく保持位置誤差の取得が同様に行われる電子回路部品について連続して装着が行われ、画像処理が容易にかつ迅速に行われる。
【0076】
装着順序の決定後、S108が実行され、最終バランス調整が行われる。上流側装着機4と下流側装着機6とについてそれぞれ、決定された装着順序に基づいて総所要時間が算出,比較され、長い方から短い方へ電子回路部品の装着が回される。例えば、上流側装着機4の総所要時間の方が長いのであれば、上流側装着機4において最も後で装着される電子回路部品から下流側装着機6へ回される。この総所要時間は、外形線依拠部品の後に装着される高リード依拠部品があれば、その装着箇所の検査に要する時間を含めて算出される。
【0077】
最終バランス調整後、S109が実行され、上流側装着機4において、外形線依拠部品の後に装着される高リード依拠部品があるか否かの判定が行われ、あれば、S109の判定結果がYESになってS110が実行され、その高リード依拠部品について、装着に先立って装着箇所の検査を行う異常検査実行指令データが付加される。下流側装着機6についても、S111,S112がS109,S110と同様に実行される。下流側装着機6において装着される電子回路部品の全部が高リード依拠部品であれば、外形線依拠部品の後に装着される高リード依拠部品ありとされる。
なお、外形線依拠部品を図1〜図9に示す実施例の低非バンプ部品と同様に、平面視の寸法によって複数段階の部品群に分類し、例えば、上流側装着機4には大きい外形線依拠部品から割り当て、下流側装着機6には小さい外形線依拠部品から割り当てるようにしてもよい。外形線依拠部品を、高さが設定高さより高いか否かにより高外形線依拠部品と低外形線依拠部品とに分け、低外形線依拠部品を大きさにより分類するようにしてもよい。
【0078】
なお、非バンプ部品,小型部品,外形線依拠部品の後に回路基板に装着されるバンプ部品,大型部品,リード依拠部品の装着に先立つ装着されるべき箇所の検査は、まとめて行われるようにしてもよい。複数の装着箇所の検査をまとめて行えば、検査が、例えば、撮像装置による装着箇所の撮像に基づいて行われる場合、画像処理のための時間を長く取ることができ、装着時に検査の結果を待たなくて済む。
【0079】
また、装着ラインは、3台以上の部品装着機を含むラインとしてもよい。この場合にも2台の部品装着機を含む装着ラインと同様に、電子回路部品の割り当てが行われる。例えば、電子回路部品をバンプ部品と非バンプ部品とに分類する場合、低バンプ部品を最上流の部品装着機に、高バンプ部品を最下流の部品装着機にそれぞれ割り当て、非バンプ部品は平面視の寸法が大きい電子回路部品から先に上流側の装着機に割り当てる。この割り当ては、例えば、非バンプ部品を平面視の寸法が大きい順に並べるとともに、それら非バンプ部品を、全部の部品装着機の各部品装着機の総所要時間ができるだけ均等になるように分け、上流側の部品装着機から順に割り当てることにより行われる。装着ラインの中で複数の電子回路部品の装着順を決め、その装着順に、全部の部品装着機の各総所要時間ができるだけ均等になるように複数の群に分け、上流側の部品装着機から順に割り当てるのである。
【0080】
さらに、バンプ部品,大型部品およびリード依拠部品の各々のうち、高さが設定高さ以下のものを、非バンプ部品,小型部品および外形線依拠部品より先に装着するようにすることは不可欠ではなく、高さに関係なく、バンプ部品,大型部品およびリード依拠部品であれば、非バンプ部品,小型部品および外形線依拠部品より先に装着するようにしてもよい。
【0081】
また、装着プログラム作成プログラムは、回路基板に装着される非バンプ部品,小型部品および外形線依拠部品の全部が設定高さより高い電子回路部品であれば、装着順序を、バンプ部品,大型部品およびリード依拠部品の全部が、その高さに関係なく、装着ラインを構成する複数台の部品装着機のうち最上流の部品装着機において回路基板に最初に装着され、あるいは装着ラインを構成する1台の部品装着機において回路基板に最初に装着される順序に決定する作成プログラムとしてもよい。
【0082】
さらに、装置やヘッドの仕様により、マルチノズルヘッド同士において、装着し得る電子回路部品の高さが異なる場合があり、その場合には、装着し得る電子回路部品の高さが低いマルチノズルヘッドによる電子回路部品の装着が先に行われるように装着順序が決定される。また、シングルノズルヘッドについても、ヘッドの仕様等により、回路基板に装着し得る電子回路部品の高さが制限される場合があり、さらに、その高さがシングルノズルヘッド同士において異なる場合があり、その場合、各シングルノズルヘッドについても装着可能な電子回路部品の高さを考慮して装着順序が決定される。
【0083】
さらに、本発明は、ノズルヘッドを自動的に着脱可能に保持するヘッド保持装置を備え、複数種類のノズルヘッドが自動的に交換される部品装着機に限らず、回路基板が位置を固定して設けられた基板保持装置により保持されるとともに、ノズルヘッドがヘッド移動装置により移動させられて電子回路部品の装着を行う部品装着機であって、例えば、専用のシングルノズルヘッドあるいはマルチノズルヘッドにより電子回路部品の装着を行う部品装着機、複数種類のシングルノズルヘッドが選択的に電子回路部品の装着に使用される部品装着機、複数の吸着ノズルが一直線状に並んで設けられて選択的に電子回路部品の装着を行うマルチノズルヘッドを備えた部品装着機等、種々の部品装着機によるプリント回路板の組立方法およびその組立方法を実施するための装着プログラムを作成する作成プログラムに適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
4:第1部品装着機 6:第2部品装着機 12:フィーダ型部品供給装置 14:トレイ型部品供給装置 16:基板保持装置 18:装着装置 22:制御装置 28:回路基板 30:被装着面 32:角チップ 36:BGA 38:装着面 39:はんだボール 40:マルチノズルヘッド 42:シングルノズルヘッド 44:ヘッド保持装置 46:ヘッド移動装置 144,154:吸着ノズル 240:装着プログラム作成コンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの装着ラインを構成する複数台の部品装着機に、それら複数台の部品装着機間において1枚の回路基板に電子回路部品を装着するのに要する総所要時間が均等となるように、複数の電子回路部品を割り当てて、プリント回路板を組み立てる方法であって、
前記複数の電子回路部品として、(a)部品本体の回路基板に装着されるべき装着面にその装着面から回路基板に向かって突出させられた複数の接続用バンプを備えた電子回路部品であるバンプ部品と、(b)バンプ部品以外の電子回路部品である非バンプ部品とを含むものを装着するとともに、前記複数台の部品装着機の少なくとも1台において回路基板にバンプ部品を装着する際に、その回路基板に既に非バンプ部品が装着されている場合には、その回路基板のそのバンプ部品を装着すべき箇所に非バンプ部品が落下していないかどうかの検査を行い、その検査に要する検査時間をバンプ部品を回路基板に装着する動作自体に要する装着時間に加えて、1個のバンプ部品の装着に要する所要時間とすることを特徴とするプリント回路板組立方法。
【請求項2】
前記複数台の部品装着機に前記バンプ部品と前記非バンプ部品とを含む前記複数の電子回路部品を割り当てるに当たり、それら複数台の部品装着機の各々における総所要時間の差の絶対値が設定値以下であれば、それら複数台の部品装着機間における前記総所要時間が均等であるとする請求項1に記載のプリント回路板組立方法。
【請求項1】
1つの装着ラインを構成する複数台の部品装着機に、それら複数台の部品装着機間において1枚の回路基板に電子回路部品を装着するのに要する総所要時間が均等となるように、複数の電子回路部品を割り当てて、プリント回路板を組み立てる方法であって、
前記複数の電子回路部品として、(a)部品本体の回路基板に装着されるべき装着面にその装着面から回路基板に向かって突出させられた複数の接続用バンプを備えた電子回路部品であるバンプ部品と、(b)バンプ部品以外の電子回路部品である非バンプ部品とを含むものを装着するとともに、前記複数台の部品装着機の少なくとも1台において回路基板にバンプ部品を装着する際に、その回路基板に既に非バンプ部品が装着されている場合には、その回路基板のそのバンプ部品を装着すべき箇所に非バンプ部品が落下していないかどうかの検査を行い、その検査に要する検査時間をバンプ部品を回路基板に装着する動作自体に要する装着時間に加えて、1個のバンプ部品の装着に要する所要時間とすることを特徴とするプリント回路板組立方法。
【請求項2】
前記複数台の部品装着機に前記バンプ部品と前記非バンプ部品とを含む前記複数の電子回路部品を割り当てるに当たり、それら複数台の部品装着機の各々における総所要時間の差の絶対値が設定値以下であれば、それら複数台の部品装着機間における前記総所要時間が均等であるとする請求項1に記載のプリント回路板組立方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−60191(P2012−60191A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−283145(P2011−283145)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【分割の表示】特願2007−98735(P2007−98735)の分割
【原出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【分割の表示】特願2007−98735(P2007−98735)の分割
【原出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
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