説明

プリント配線基板

【課題】 基板や回路部品の傷・破損を認識し易くすること。
【解決手段】 樹脂製基板12には、ねじ穴14、16の周囲に、銅箔部28、30が形成され、銅箔部28に隣接して、矩形形状のガイド用シルクパターン32が白色で形成され、銅箔部30の周囲に円環状のガイド用シルクパターン34が白色で形成されている。ガイド用シルクパターン32は、ねじ穴14に挿入されるねじの頭部の直径より大きく形成されている。ガイド用シルクパターン34は、ねじ穴16に挿入されるねじの頭部の直径より大きく形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回路を構成する回路部品群を実装するプリント配線基板の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器などに搭載されるプリント配線基板には、抵抗、コンデンサ、トランジスタ、IC(Integrated Circuit)などの回路部品群を互いに接続するための回路パターンや回路パターンを保護するためのレジスト膜が形成されている。
【0003】
一方、この種のプリント配線基板には、回路部品の誤組み付けを防止するために、各種回路部品の配置位置を示すためのシルクパターンとして、例えば、IC用シルクパターン、トランジスタ用シルクパターン、抵抗用シルクパターン、コンデンサ用シルクパターンなどが印刷されている。
【0004】
しかし、プリント配線基板に設けられたねじ穴に、ねじを挿入してプリント配線基板をブラケットなどに固定する場合、ねじ穴の位置を示す印がプリント配線基板に印刷されていないと、ねじの締め忘れが発生することがある。
【0005】
そこで、プリント配線基板のねじ穴の周囲に、ねじの頭部の直径よりも小さい、円環状のシルクパターンを形成するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。このプリント配線基板によれば、プリント配線基板が電気機器に固定された後、円環状のシルクパターンがねじの頭部で覆われているか否かを確認することで、ねじの締め忘れを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−69969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、円環状のシルクパターンは、ねじの頭部の直径よりも小さい形状に形成されているので、ねじ締め作業時に、ねじ穴周辺のプリント配線基板を傷つけたり、破損したりした時に、傷の有無を識別するためには活用できない。
【0008】
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、基板や回路部品の傷・破損を認識し易くすることができるプリント配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、基板を固定するための複数のねじ穴の周辺に、各ねじ穴へのガイドとなる、ねじ穴頭部の直径より大きいガイド用シルクパターンを形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ねじ締め作業時の基板や回路部品の傷・破損を認識し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例を示すプリント配線基板の平面図である。
【図2】プリント配線基板の要部拡大背面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
本実施例は、基板を固定するための複数のねじ穴の周辺に、各ねじ穴へのガイドとなる、ねじ穴頭部の直径より大きいガイド用シルクパターンを形成したものである。
【0013】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施例を示すプリント配線基板の平面図、図2は、プリント配線基板の要部拡大背面図である。
【0014】
図1において、プリント配線基板10は、樹脂製基板12を備えており、樹脂製基板12には、複数のねじ穴14、16が形成されている。
【0015】
樹脂製基板12の両面には、IC用シルクパターン18、トランジスタ用シルクパターン20、抵抗用シルクパターン22、コンデンサ用シルクパターン24などの回路部品用シルクパターン群が印刷されており、各シルクパターンの位置にIC、トランジスタ、抵抗、コンデンサなどの回路部品(図示せず)が実装される。また、IC、トランジスタ、抵抗、コンデンサなどの回路部品を互いに接続するための回路パターン群(図示せず)が形成されているとともに、回路パターン群を保護するためのレジスト膜(絶縁保護膜)26が回路パターン群上に、例えば、緑色で形成されている。
【0016】
この際、ねじ穴14、16の周囲には、グランド電位となる銅箔部28、30が形成され、銅箔部28に隣接して、矩形形状のガイド用シルクパターン32が白色で形成され、銅箔部30の周囲に円環状のガイド用シルクパターン34が白色で形成されている。
【0017】
ガイド用シルクパターン32は、レジスト膜26の領域にあって、ねじ穴14に挿入されるねじの頭部の直径よりも、ねじ穴14の中心を基準として大きい領域に、銅箔部28やレジスト膜26とは異なる色、形状で形成されている。
【0018】
ガイド用シルクパターン34は、レジスト膜26との間の領域にあって、ねじ穴16に挿入されるねじの頭部の直径よりも、ねじ穴16の中心を基準として大きい領域に、銅箔部30やレジスト膜26とは異なる色、形状で形成されている。
【0019】
上記構成によるプリント配線基板10において、樹脂製基板12に、IC、トランジスタ、抵抗、コンデンサなどの回路部品が実装され、各回路部品が回路パターンに半田付けされた後、樹脂製基板12を電気機器のブラケットなどに取り付けるためのねじ締め作業が実施される。
【0020】
電気ドライバ等を操作しながら、ねじ締め作業を行うに際して、作業者は、ガイド用シルクパターン32、34をガイドとすることで、電気ドライバ先端に装着されたねじをねじ穴14、16内に容易に挿入することができる。
【0021】
すなわち、ガイド用シルクパターン32、34が、銅箔部28、30やレジスト膜26とは異なる色、形状で形成されているので、作業者は、ガイド用シルクパターン32、34やねじ穴14、16を容易に認識することができる。
【0022】
また、ねじ締め作業を行うに際して、ガイド用シルクパターン32、34をガイドとすることで、作業者に対して注意を喚起することができ、作業不良の発生を抑制することができる。
【0023】
一方、作業者が電気ドライバの先端にねじを装着し、ねじ穴14、16内にねじを挿入してねじ締め作業を行う過程で、作業者が、樹脂製基板12のうちねじ穴14、16周辺の領域に傷をつけたり、ねじ穴14、16周辺の回路部品を破損したりした場合には、ねじ穴14、16の周辺のガイド用シルクパターン32、34に傷などの痕跡が残ることが多い。
【0024】
このため、作業者は、ガイド用シルクパターン32、34に形成された痕跡などから、作業不良に伴うねじ穴14、16周辺の傷やねじ穴14、16周辺の回路部品の破損を容易に認識することができる。
【0025】
本実施例によれば、ねじ穴14、16の周囲に銅箔部28、30を形成し、銅箔部28に隣接して、ガイド用シルクパターン32を形成し、銅箔部30の周囲にガイド用シルクパターン34を形成したため、ねじ締め作業時に、ガイド用シルクパターン32、34をガイドとすることで、作業不良に伴うねじ穴14、16周辺の傷やねじ穴14、16周辺の回路部品の破損を容易に認識することができる。
【0026】
また、本実施例によれば、ねじ締め作業時に、ガイド用シルクパターン32、34をガイドとすることで、作業者に対して注意を喚起することができ、作業不良の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0027】
10 プリント配線基板
12 樹脂製基板
14、16 ねじ穴
18 IC用シルクパターン
20 トランジスタ用シルクパターン
22 抵抗用シルクパターン
24 コンデンサ用シルクパターン
26 レジスト膜
28、30 銅箔部
32、34 ガイド用シルクパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状に形成されて、複数の回路部品が実装される基板と、前記基板に形成されて、前記各回路部品を互いに接続するための回路パターン群と、前記回路パターン群上に形成されたレジスト膜と、前記基板を固定するための複数のねじ穴と、前記各ねじ穴と前記レジスト膜との間の領域に形成された複数のガイド用シルクパターンとを備えてなる、プリント配線基板。
【請求項2】
前記各ねじ穴の周囲に形成された複数の銅箔部を備え、前記各ガイド用シルクパターンは、前記レジスト膜の領域に形成されてなる、請求項1に記載のプリント配線基板。
【請求項3】
前記各ガイド用シルクパターンは、前記各ねじ穴内に挿入されるねじの頭部の直径よりも、前記各ねじ穴の中心を基準として大きい領域に形成されてなる、請求項1または2のうちいずれか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項4】
前記各ガイド用シルクパターンは、前記レジスト膜とは異なる色で形成されてなる、請求項1、2または3のうちいずれか1項に記載のプリント配線基板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−9603(P2011−9603A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153302(P2009−153302)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】