説明

プリント配線板、該プリント配線板を備えるキーモジュール、該キーモジュールを備える電子機器

【課題】ドーム状の可動接点を被覆する可動接点シートを備えるプリント配線板において、可動接点シートが剥がれることを効果的に防止することができることで、良好な接続信頼性を維持することができるプリント配線板、該プリント配線板を備えるキーモジュール及び該キーモジュールを備える電子機器の提供を課題とする。
【解決手段】固定接点12aと、ドーム状の可動接点13と、可動接点13を被覆する可動接点シート14とを基材11a上に備えるプリント配線板10であって、可動接点シート14は、基材11aの端部で基材の表面11a−1側から裏面11a−3側へと折り返して、基材11aの表面側及び裏面側と接着させてあるプリント配線板10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドーム状の可動接点を被覆する可動接点シートを備えるプリント配線板において、可動接点シートが剥がれることを効果的に防止することができるプリント配線板、該プリント配線板を備えるキーモジュール及び該キーモジュールを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、ノートパソコン、デジタルカメラ等の電子機器においては、一般的に、所定の指令を入力するための入力キーを備えるキーモジュールを用いて所用の入力操作ができるようになされている。
またキーモジュールには、その構成の一部として、導電パターン上に形成する固定接点と接触、非接触されることでスイッチオン、スイッチオフされるドーム状の可動接点を備えるプリント配線板が用いられる。
またこのようなドーム状の可動接点は、弾性シートで被覆されて基材上に配設されるものが一般的である。
このようなキーモジュールを示す従来技術として、例えば下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−181791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、スイッチ用可動接点ユニットおよびそれを用いたスイッチ装置に関する発明で、組立作業が良好で製造コスト及び消費電力を低減できると共に、導光ロスを抑制できて照光品位の良好なスイッチ用可動接点ユニットと、かかるスイッチ用可動接点ユニットを用いたスイッチ装置が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に示すような従来のキーモジュールは、ドーム状の可動接点を被覆する弾性シートを基材の表面側だけに貼り付ける構成のものが一般的であった。
このような構成においては、ドーム状の可動接点の外周から基材の端部までの距離が短い場合、特に入力キーの押圧時に可動接点シートが剥がれ、ドーム状の可動接点と基材とで形成される空間内に異物が入り込むことで、可動接点と固定接点との接続不良が生じ、良好な接続信頼性を維持することができないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は上記従来における問題点を解決し、ドーム状の可動接点を被覆する可動接点シートを備えるプリント配線板において、可動接点シートが剥がれることを効果的に防止することができることで、良好な接続信頼性を維持することができるプリント配線板、該プリント配線板を備えるキーモジュール及び該キーモジュールを備える電子機器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプリント配線板は、固定接点と、ドーム状の可動接点と、該可動接点を被覆する可動接点シートとを基材上に備えるプリント配線板であって、前記可動接点シートは、前記基材の端部で該基材の表面側から裏面側へと折り返して、前記基材の表面側及び裏面側と接着させてあることを第1の特徴としている。
【0007】
上記本発明の第1の特徴によれば、プリント配線は、固定接点と、ドーム状の可動接点と、該可動接点を被覆する可動接点シートとを基材上に備えるプリント配線板であって、前記可動接点シートは、前記基材の端部で該基材の表面側から裏面側へと折り返して、前記基材の表面側及び裏面側と接着させてあることから、基材の端部において、可動接点シートの接着面積を十分に確保することができ、可動接点シートの接着力を良好に保持することができる。よって可動接点シートが剥がれることを効果的に防止することができ、良好な接続信頼性を維持することができる。
【0008】
また本発明のプリント配線は、上記本発明の第1の特徴に加えて、前記可動接点シートは、前記基材の対向する端部で該基材の表面側から裏面側へと折り返してあることを第2の特徴としている。
【0009】
上記本発明の第2の特徴によれば、上記本発明の第1の特徴による作用効果に加えて、前記可動接点シートは、前記基材の対向する端部で該基材の表面側から裏面側へと折り返してあることから、基材の端部において、可動接点シートの接着面積を一段と十分に確保することができ、可動接点シートの接着力を一段と良好に保持することができる。よって可動接点シートが剥がれることを一段と効果的に防止することができ、一段と良好な接続信頼性を維持することができる。
【0010】
また本発明のプリント配線は、上記本発明の第1又は第2の特徴に加えて、前記プリント配線板は、フレキシブルプリント配線板であることを第3の特徴としている。
【0011】
上記本発明の第3の特徴によれば、上記本発明の第1又は第2の特徴による作用効果に加えて、前記プリント配線板は、フレキシブルプリント配線板であることから、基材の表面側から裏面側へと容易に折り返すことができ、作業効率が良いと共に、薄肉化が可能なプリント配線板とすることができる。
【0012】
また本発明のキーモジュールは、第1〜第3の何れか1つの特徴に記載のプリント配線板と、所定の指令を入力するための入力キーと、前記プリント配線板と前記入力キーとの間に配置され、入射した光を厚み内を導光しながら所定位置で外部へ出射させる導光板と、該導光板に光を入射させる光源とからなることを第4の特徴としている。
【0013】
上記本発明の第4の特徴によれば、キーモジュールは、第1〜第3の何れか1つの特徴に記載のプリント配線板と、所定の指令を入力するための入力キーと、前記プリント配線板と前記入力キーとの間に配置され、入射した光を厚み内を導光しながら所定位置で外部へ出射させる導光板と、該導光板に光を入射させる光源とからなることから、ドーム状の可動接点を被覆する可動接点シートが剥がれることを効果的に防止することができるプリント配線板を有することで、良好な接続信頼性を維持することができる。また作業効率が良いと共に、薄肉化が可能なキーモジュールとすることができる。
【0014】
また本発明の電子機器は、第4の特徴に記載のキーモジュールを備えることを第5の特徴としている。
【0015】
上記本発明の第5の特徴によれば、電子機器は、第4の特徴に記載のキーモジュールを備えることから、ドーム状の可動接点を被覆する可動接点シートが剥がれることを効果的に防止することができるプリント配線板を有するキーモジュールを備えることで、良好な接続信頼性を維持することができる。また作業効率が良いと共に、薄肉化が可能な電子機器とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のプリント配線板によれば、ドーム状の可動接点を被覆する可動接点シートが剥がれることを効果的に防止することができることで、良好な接続信頼性を維持することができる。
また本発明のキーモジュールによれば、ドーム状の可動接点を被覆する可動接点シートが剥がれることを効果的に防止することができるプリント配線板を有することで、良好な接続信頼性を維持することができる。また作業効率が良いと共に、薄肉化が可能なキーモジュールとすることができる。
また本発明の電子機器によれば、ドーム状の可動接点を被覆する可動接点シートが剥がれることを効果的に防止することができるプリント配線板を有するキーモジュールを備えることで、良好な接続信頼性を維持することができる。また作業効率が良いと共に、薄肉化が可能な電子機器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るキーモジュールを示す図で、(a)はキーモジュールの全体を示す平面図、(b)は(a)の要部を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプリント配線板を構成する可動接点シートを示す平面図で、可動接点シートを基材の裏面側へ折り返す前の状態を示す。
【図4】図2(b)のA−A方向における断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るキーモジュールの変形例を示す要部の断面図である。
【図6】従来のキーモジュールを示す要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の図面を参照して、本発明の実施形態に係るプリント配線板、該プリント配線板を備えるキーモジュール、該キーモジュールを備える電子機器を説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。
【0019】
まず図1〜図4を参照して、本発明の実施形態に係るプリント配線板10、該プリント配線板10を備えるキーモジュール2、該キーモジュール2を備える電子機器としての携帯電話機1を説明する。
図1に示すように、携帯電話機1は、入力部1aと、表示部1bとを備える。表示部1bは、ヒンジ部1cを介して入力部1aに開閉自在とされている。
【0020】
図2も参照して、前記入力部1aは、携帯電話機1の外形をなすケース1d内に入力モジュールとしてのキーモジュール2を備えている。
このキーモジュール2は、図2、図4に示すように、プリント配線板10と、入力操作部20と、導光板30と、光源40とから構成される。
【0021】
前記プリント配線板10は、入力操作を行うための固定接点及び可動接点や配線回路等を備える回路基板である。
このプリント配線板10は、図4に示すように、主として絶縁性樹脂層11と、導電層12と、可動接点13と、可動接点シート14と、接着剤15とから構成される。
なお本実施形態においては、プリント配線板10としてフレキシブルプリント配線板を用いると共に、基材の片面に導電層12を備える、いわゆる片面プリント配線板を用いる構成としてある。
【0022】
前記絶縁性樹脂層11は、プリント配線板10の基材11aや絶縁層(いわゆるカバーレイ層(図示しない))を形成する層であり、絶縁性の樹脂フィルムで形成されている。
樹脂フィルムとしては、柔軟性に優れた樹脂材料からなるものが使用される。例えばポリイミドフィルムやポリエステルフィルム等、プリント配線板の絶縁性樹脂層を形成する樹脂フィルムとして通常用いられるものであれば、如何なるものを用いてもよい。
また特に、柔軟性に加えて高い耐熱性をも有しているものが望ましい。例えばポリアミド系の樹脂フィルムや、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド系の樹脂フィルムや、ポリエチレンナフタレートを好適に用いることができる。
また耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等、プリント配線板の絶縁性樹脂層を形成する耐熱性樹脂として通常用いられるものであれば、如何なるものを用いてもよい。
なお絶縁性樹脂層11の厚みは、基材11aとしては5μm〜50μm程度、絶縁層としては5μm〜80μm程度とすることが望ましい。
【0023】
前記導電層12は、プリント配線板10において、導電パターンたる固定接点12aや配線回路等を形成する導電性金属からなる層である。
この導電層12は、基材11aに導電性金属箔をめっきを用いて積層したり(いわゆるアディティブ法)、基材11aに予め積層される導電性金属箔をエッチングしたり(いわゆるサブトラクティブ法)等の公知の形成方法を用いて形成することができる。
また導電性金属箔としては、銅(Cu)を用いることができる。勿論、銅(Cu)に限るものではなく、プリント配線板の導電層を形成する導電性金属箔として通常用いられるものであれば、如何なるものであってもよい。
なお導電層12の厚みは、5μm〜50μm程度とすることが望ましい。
【0024】
前記可動接点13は、固定接点12aと接触、非接触されることでオン、オフされる、いわゆるドームスイッチを構成するドーム状の導電性金属膜である。
より具体的には、可動接点シート14で被覆され、後述する入力キー21の動作に従動して固定接点12aと接触、非接触されることで、キーモジュール2のオン、オフが実行される。
なお導電性金属膜としては、銅等を用いることができる。
【0025】
前記可動接点シート14は、主として可動接点13を被覆し、入力キー21からの押圧力を可動接点13に伝達するための弾性シートである。
この可動接点シート14は、図4に示すように、接着剤15を介して絶縁性樹脂層11上に接着されている。
また本実施形態においては、図3、図4に示すように、基材11aの端部で基材11aの表面側から裏面側へと折り返して、基材11aの表面側及び裏面側と接着させてある。
より具体的には、基材11aの端部(更に具体的には図3に示すように、基材11aの長手方向の端部)と接着させる領域の全域において、可動接点シート14に折り返し領域Kを設け、この折り返し領域Kを基材11aの端部で端面11a―2に沿わせて表面側から裏面側へと折り返すと共に、基材11aの表面11a−1、端面11a―2、裏面11a―3と接着剤15を介して一体的に接着させてある。
なお、ここで「折り返し領域」とは、図3、図4に示すように、可動接点シート14において、基材11aの端面11a―2及び裏面11a―3の側と接着剤15を介して接着される領域のことを意味するものとする。
なお折り返し領域Kの大きさは、特に図4に示す裏面11a―3の側と接着される可動接点シート14の幅Lが2mm〜5mm程度となることが望ましい。
また可動接点シート14の厚みは、20μm〜50μm程度とすることが望ましい。
また弾性シートとしては、ラバー等の軟質の弾性シートを用いることができる。
この可動接点シート14は、例えば絶縁性樹脂層11との位置合わせを行った状態で表面11a−1の側に接着剤15を介して貼り合わせた後、折り返し領域Kを端面11a―2、裏面11a―3に沿って折り返すと共に、接着剤15を介して端面11a―2、裏面11a―3の側と貼り合せることで、絶縁性樹脂層11に接着させることができる。
【0026】
前記接着剤15は、絶縁性樹脂層11に可動接点シート14を接着させるためのものである。
接着剤15としては、エポキシ樹脂等、キーモジュールを構成する可動接点シートを絶縁性樹脂層に貼り付ける接着剤として通常用いられるものであれば、如何なるものを用いてもよい。
【0027】
前記入力操作部20は、操作者が所定の入力操作を行うためのものであり、図2、図4に示すように、ケース1dから露出する入力キー21とケース1dの内部に配置されるキーシート22とから構成される。
【0028】
前記入力キー21は、操作者が所定の入力操作を行う際に押圧するための部材である。
この入力キー21は、透明性の硬質樹脂で形成され、数字、アルファベット、記号等の特定の形状が視認可能に設けられている。なお数字、アルファベット、記号等の特定の形状の形成方法は、特定の形状を遮光性材料でマークするものや、特定の形状以外を遮光性材料でマークするものの何れであってもよい。
【0029】
前記キーシート22は、主として入力キー21の押圧力を、可動接点13に伝達させるためのシート状部材である。
このキーシート22は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン等の透明性の樹脂で形成される。また図4に示すように、キーシート22には、入力キー21に対応する位置に押し子22aを設けてある。
【0030】
前記導光板30は、入力キー21の下方に位置し、光源40から入射させた光で入力キー21を照光するためのものである。より具体的には、光源40から出射された光を図2(b)に示す光入射端面31から入射させ、厚み内を全反射させながら導くと共に、入力キー21に対応する位置で板の外部へ出射させ、入力キー21を照光する。
また図4に示すように、導光板30における押子22aに対応した位置で且つ下面側には、導光板30を通過してきた光を入力キー21方向へ出射させる光出射構造部32を備えている。
この光出射構造部32は、図4に示すように、凹凸形状のパターンによって構成されている。また凹凸形状はホットスタンピング、射出成形、マイクロブラスト、その他の方法で成形することが可能である。
なお導光板30は、ポリカーボネート、アクリル、ポリウレタン、ノルボルネン樹脂等可視光域の光を十分透過させることができる樹脂で形成される。
また導光板30の厚みは50μm〜400μm、光出射構造部32の厚みは0.5μm〜50μmとすることが望ましい。
光出射構造部32の数は本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0031】
前記光源40は、導光板30に光を入射させるもので、例えばLEDで構成することができる。また光源40は、図2(b)に示すように、プリント配線板10上において、導光板30の光入射端面31と対向する位置に設備されている。
【0032】
以上の構成からなるキーモジュール2は、押し子22aを介して入力キー21の動作に従動して可動接点13と固定接点12aとが接触、非接触されることで、スイッチオン、スイッチオフが行われる。
【0033】
このような構成からなるプリント配線板10、該プリント配線板10を備えるキーモジュール2、該キーモジュール2を備える携帯電話機1は、以下の効果を奏する。
導光板30に光出射構造部32を設ける構成とすることで、導光板30を通過してきた光を入力キー21方向へ効率的に出射させることができる。よって入力キー21の輝度を効率的に向上させることができる。従って良好な輝度を実現することができるキーモジュール2及び携帯電話機1とすることができる。
また光出射構造部32を凹凸形状のパターンによって構成することで、導光板30内を全反射状態で導かれてきた光を物理的な凹凸形状のパターンの位置で確実に散乱させて入力キー21方向へ出射させることができる。よって入力キー21の輝度を一段と効率的に向上させることができる。従って一段と良好な輝度を実現することができるキーモジュール2及び携帯電話機1とすることができる。
また基材11aの長手方向の端部において、可動接点シート14に折り返し領域Kを設け、この折り返し領域Kを基材11aの端部で端面11a―2に沿わせて表面側から裏面側へと折り返すと共に、基材11aの表面11a−1、端面11a―2、裏面11a―3と接着剤15を介して一体的に接着させてある構成とすることで、第1に、基材11aの端部において可動接点シート14を表面11a−1だけでなく、端面11a―2、裏面11a―3でも接着させることができる。よって特に図3、図4に示す幅Mの長さが短い場合(具体的には、1mm以下となる場合)でも、基材11aの端部において、可動接点シート14と絶縁性樹脂層11との接着面積を十分に確保することができ、絶縁性樹脂層11に対する可動接点シート14の接着力を良好に保持することができる。
第2に、可動接点シート14において、基材11aの長手方向の端部と接着する領域に折り返し領域Kを設ける構成とすることで、基材11aの短手方向の端部と接着する領域に折り返し領域Kを設ける構成に比べて、基材11aの端部において、可動接点シート14と絶縁性樹脂層11との接着面積を効果的に増加させることができる。従って基材11aの端部において、絶縁性樹脂層11に対する可動接点シート14の接着力を一段と良好に保持することができる。
第3に、図4に示すように、基材11aの端部において、可動接点シート14を基材11aの表面側から裏面側まで回り込ませて、絶縁性樹脂層11を可動接点シート14で挟み込むことができる。
従って幅Mの長さが短い場合でも、入力キー21が押し込まれた際に、可動接点シート14に負荷される押圧力によって基材11aの端部で可動接点シート14が浮き上がり、絶縁性樹脂層11から剥がれることを効果的に防止することができる。よって特に携帯電話機1の使用時において、可動接点シート14が絶縁性樹脂層11から剥がれることで、可動接点13と絶縁性樹脂層11とで形成される空間内に異物が入り込むことを効果的に防止することができる。よって異物の侵入に伴って可動接点13と固定接点12aとの接触不良が生じることを効果的に防止することができる。
従って電気的及び機械的な接続信頼性を良好に維持することができるプリント配線板10、キーモジュール2、携帯電話機1とすることができる。
なお、ここで及び以下の説明において「幅Mの長さ」とは、「可動接点13の外周から基材11aの端部までの長さ」のことを意味するものとする。
またプリント配線板10としてフレキシブルプリント配線板を用いる構成とすることで、基材11aの表面側から裏面側へと容易に折り返すことができ、作業効率が良いと共に、薄肉化が可能なプリント配線板10、キーモジュール2、携帯電話機1とすることができる。
【0034】
これに対して従来のキーモジュール3は、図6に示すように、可動接点シート140を基材110aの表面110a−1側だけに接着させる構成であった。
このような構成においては、基材110aの端部において、幅Mの長さが短い場合、可動接点シート140と絶縁性樹脂層110との接着面積が小さくなり、絶縁性樹脂層110に対する可動接点シート140の接着力を良好に保持することができない。
従って入力キー210が押し込まれた際、可動接点シート140に負荷される押圧力によって、基材110aの端部で可動接点シート140が浮き上がり、剥がれることで、可動接点130と絶縁性樹脂層110とで形成される空間内に異物が入り込み、可動接点130と固定接点120aとの接触不良が生じるという問題があった。
このような問題は、近年における電子機器の小型化に伴い、キーモジュールを構成するプリント配線板が小型化されることでより顕著になってきている。
なお従来のキーモジュール3において、既述したキーモジュール2と同一部材、同一機能を果たすものには、上1桁若しくは上2桁の番号とアルファベットに同一なものを付し、詳細な説明は省略するものとする。
【0035】
よって本発明の実施形態に係るキーモジュール2の構成とすることで、電気的及び機械的な接続信頼性が高いキーモジュール2及び電子機器1とすることができる。
【0036】
次に図5を参照して、本発明の実施形態に係るキーモジュール2の変形例を説明する。
図5に示すように、本変形例に係るキーモジュール4は、既述したキーモジュール2に対して、折り返し領域Kの構成を変化させたものである。その他の構成については、既述した本発明の実施形態に係るキーモジュール2と同一である。よってキーモジュール2と同一部材、同一機能を果たすものには、同一番号を付し、以下の説明を省略する。
より具体的には、可動接点シート14において、基材11aの長手方向の対向する端部と接着させる領域の全域に折り返し領域Kを設け、基材11aの対向する端部で可動接点シート14を基材11aの表面側から裏面側へと折り返してあると共に、表面11a−1、端面11a―2、裏面11a―3と接着剤15を介して一体的に接着させてある。
このような構成とすることで、第1に、基材11aの端部において、可動接点シート14と絶縁性樹脂層11との接着面積を一段と十分に確保することができ、絶縁性樹脂層11に対する可動接点シート14の接着力を一段と良好に保持することができる。
第2に、可動接点シート14において、基材11aの長手方向の対向する端部と接着する領域に折り返し領域Kを設ける構成とすることで、基材11aの短手方向の対向する端部と接着する領域に折り返し領域Kを設ける構成に比べて、基材11aの端部において、可動接点シート14と絶縁性樹脂層11との接着面積を一段と効果的に増加させることができる。従って基材11aの端部において、絶縁性樹脂層11に対する可動接点シート14の接着力を一段と良好に保持することができる。
第3に、図5に示すように、基材11aの対向する端部において、可動接点シート14を基材11aの表面側から裏面側まで回り込ませて、絶縁性樹脂層11を可動接点シート14で挟み込むことができる。
従って幅Mの長さが短い場合でも、入力キー21が押し込まれた際に、可動接点シート14に負荷される押圧力によって基材11aの端部で可動接点シート14が浮き上がり、絶縁性樹脂層11から剥がれることを一段と効果的に防止することができる。
よって特に携帯電話機1の使用時おいて、可動接点シート14が絶縁性樹脂層11から剥がれることで、可動接点13と絶縁性樹脂層11とで形成される空間内に異物が入り込むことを一段と効果的に防止することができる。よって異物の侵入に伴って可動接点13と固定接点12aとの接触不良が生じることを一段と効果的に防止することができる。
従って電気的及び機械的な接続信頼性を一段と良好に維持することができるキーモジュール4とすることができる。
なお本変形例においては、図5に示す裏面11a―3と接着される可動接点シート14の幅Lを、基材11aの対向する端部と接着される折り返し領域Kで共に同一長さとしてある。
【0037】
なお本実施形態及び変形例においては、可動接点シート14における折り返し領域Kを、基材11aの長手方向の端部と接着させる領域の全域に設ける構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではない。例えば折り返し領域Kを、基材11aの長手方向の端部と接着させる領域の一部に、若しくは数箇所に設ける構成としてもよい。また基材11aの短手方向の端部と接着させる領域の全部若しくは一部に折り返し領域Kを設ける構成としてもよい。また折り返し領域Kを、基材11aの長手方向と短手方向との両方に設ける構成としてもよい。
但し好適には、折り返し領域Kは、少なくとも可動接点13の近傍領域に設ける構成とすることが望ましい。なお、ここで「可動接点13の近傍領域」とは、「可動接点13の中心から5mm程度の四方で囲まれる領域」のことを意味するものとする。
また本実施形態においては、図3に示すように、折り返し領域Kを、縦の長さをN、横の長さをPとする長方形で形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、例えば半円形状等、任意の形状で形成する構成としてもよい。
また本実施形態及び変形例においては、プリント配線板10の構成を基材11aの片面に導電層12を備える、いわゆる片面プリント配線板とする構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、基材11aの両面に導電層12を備える、いわゆる両面プリント配線板とする構成としてもよい。
また本実施形態においては、光出射構造部32を凹凸形状のパターンによって形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではない。例えば光散乱剤の含有されたインクによる印刷によって形成することができる。このような構成とすることで、導光板30内を全反射状態で導かれてきた光を光散乱剤を含む印刷パターンの位置で確実に散乱させて入力キー21方向へ出射させることができる。よって入力キー21の輝度を向上させることができる。また印刷パターンとすることで、導光板30を薄肉なものとすることができ、キーモジュール2及び携帯電話機1の小型化を図ることができる。
勿論、導光板30に光出射構造部32を設けない構成としてもよい。
またプリント配線板10、入力操作部20、導光板30、光源40の大きさ、形状、数、配置位置等は本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
また本変形例においては、裏面11a―3と接着される可動接点シート14の幅Lを、基材11aの対向する端部と接着される折り返し領域Kで共に同一長さとする構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、裏面11a―3と接着される可動接点シート14の幅Lを、基材11aの対向する端部と接着される折り返し領域Kでそれぞれ異なる長さとする構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は携帯電話機等の電子機器、それに用いられるキーモジュールとして利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 携帯電話機
1a 入力部
1b 表示部
1c ヒンジ部
1d ケース
2 キーモジュール
3 キーモジュール
4 キーモジュール
10 プリント配線板
11 絶縁性樹脂層
11a 基材
11a−1 表面
11a―2 端面
11a―3 裏面
12 導電層
12a 固定接点
13 可動接点
14 可動接点シート
15 接着剤
20 入力操作部
21 入力キー
22 キーシート
22a 押し子
30 導光板
31 光入射端面
32 光出射構造部
40 光源
3d ケース
100 プリント配線板
110 絶縁性樹脂層
110a 基材
110a−1 表面
120 導電層
120a 固定接点
130 可動接点
140 可動接点シート
150 接着剤
200 入力操作部
210 入力キー
220 キーシート
220a 押し子
300 導光板
320 光出射構造部
400 光源
K 折り返し領域
L 幅
M 幅
N 長さ
P 長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点と、ドーム状の可動接点と、該可動接点を被覆する可動接点シートとを基材上に備えるプリント配線板であって、前記可動接点シートは、前記基材の端部で該基材の表面側から裏面側へと折り返して、前記基材の表面側及び裏面側と接着させてあることを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記可動接点シートは、前記基材の対向する端部で該基材の表面側から裏面側へと折り返してあることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記プリント配線板は、フレキシブルプリント配線板であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント配線板。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1つに記載のプリント配線板と、所定の指令を入力するための入力キーと、前記プリント配線板と前記入力キーとの間に配置され、入射した光を厚み内を導光しながら所定位置で外部へ出射させる導光板と、該導光板に光を入射させる光源とからなることを特徴とするキーモジュール。
【請求項5】
請求項4に記載のキーモジュールを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−234721(P2012−234721A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102835(P2011−102835)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】