説明

プリント配線板用基板およびプリント配線板用基板の製造方法

【課題】スパッタリング装置を用いずに形成することができるプリント配線板用基板、およびそのプリント配線板用基板の製造方法を提供する。
【解決手段】このプリント配線板用基板1は、絶縁性基材と、この絶縁性基材10に積層された第1導電層21と、この第1導電層21に積層された第2導電層24とを含む。第1導電層21は導電体粒子22Aにより形成されている。第1導電層21が積層されている側の絶縁性基材10の積層面10Aは、導電体粒子22Aと絶縁性基材10との結合力を高める表面処理が行われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板用基板およびプリント配線板用基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ますますプリント配線板の高密度化の要求が高くなっている。これにともない、プリント配線板の母材としてのプリント配線板用基板の導電層の厚みを薄くする技術が開発されている。このような技術として特許文献1に記載のものが知られている。同文献1の技術では、スパッタリング法により絶縁性基材に第1導電層を形成する。次いで、電気めっき法により第1導電層の上に第2導電層を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−136378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記プリント配線板用基板の製造方法ではスパッタリング装置を用いるため、同基板を製造開始するにあたって高額の初期設備費用が必要となり、結果的に、プリント配線板用基板が高価なものとなる。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スパッタリング装置を用いずに形成することができるプリント配線板用基板、およびそのプリント配線板用基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、絶縁性基材と、この絶縁性基材に積層された第1導電層と、この第1導電層に積層された第2導電層とを含むプリント配線板用基板において、前記第1導電層は導電体粒子により形成され、前記第1導電層が積層されている側の前記絶縁性基材の積層面は、前記導電体粒子と前記絶縁性基材との結合力を高める表面処理が行われていることを要旨としている。
【0007】
この発明によれば、第1導電層は導電体粒子の積層により形成されるものであるため、スパッタリング装置を用いずに第1導電層を形成することができる。絶縁性基材の積層面は表面処理が行われて、絶縁性基材の積層面の導電体粒子に対する結合力が高められているため、第1導電層および第2導電層からなる層を絶縁性基材から剥離するために必要な力すなわち剥離強度を大きくすることができる。
【0008】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプリント配線板用基板において、前記積層面には、前記導電体粒子と結合する導電体結合官能基が導入されていることを要旨としている。
【0009】
導電体粒子は絶縁性基材の積層面に接触する。導電体粒子と積層面を構成する分子との結合力が小さいときは導電体粒子が小さい力で同分子から離れるため、第1導電層と絶縁性基材との接着強度が低くなる。この発明では、積層面に導電体結合官能基が導入され、導電体粒子と導電体結合官能基がと結合するため、第1導電層と絶縁性基材との接着力を大きくすることができる。
【0010】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のプリント配線板用基板において、前記導電体粒子は金属粒子であり、前記導電体結合官能基は酸素を含むことを要旨としている。
【0011】
酸素原子と金属粒子との結合力は炭素原子と金属粒子との結合力よりも大きい。このため、酸素を含む導電体結合官能基を絶縁性基材の積層面に導入することにより導電体粒子と絶縁性基材との接着力を大きくすることができるため、第1導電層と絶縁性基材との剥離強度を大きくすることができる。
【0012】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載のプリント配線板用基板において、前記導電体結合官能基は、カルボニル基、カルボキシル基および水酸基の群から選択される少なくともいずれか一つであることを要旨としている。
【0013】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板において、前記導電体粒子は金属粒子であり、前記積層面における炭素に対する酸素の比率は、モル比で0.25以上であることを要旨としている。
【0014】
積層面における炭素に対する酸素の比率をモル比で0.25未満にあるとき、第1導電体層と絶縁性基材との剥離強度が実用上必要とされる値よりも小さくなる。この発明によれば、積層面における炭素に対する酸素の比率をモル比で0.25以上とするため、第1導電体層と絶縁性基材との剥離強度を実用上必要とされる値以上とすることができる。
【0015】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板において、前記第1導電層は、前記導電体粒子が含有された導電性インクの塗布により形成されるものであることを要旨としている。
【0016】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板において、前記導電体粒子の粒は、1nm以上500nm以下であることを要旨としている。
【0017】
導電体粒子が1nm未満となると、非常に凝集しやすく取り扱い困難になる。導電体粒子の粒子径が500nmよりも大きいとき、導電体粒子同士の間の隙間が過大となる。この発明では、粒子径が1nm以上500nm以下である導電体粒子により第1導電層が形成されているため、粒子径が1nm未満または500nmより大きいものを用いて同層を形成するときよりも、緻密な層とすることができる。
【0018】
(8)請求項8に記載の発明は、絶縁性基材と、この絶縁性基材に積層された第1導電層と、この第1導電層に積層された第2導電層とを含むプリント配線板用基板の製造方法において、前記絶縁性基材の積層面に対してこの積層面と前記第1導電層との結合力を高める表面処理をする表面処理工程と、前記表面処理工程の後に、導電体粒子を含有する導電性インクを前記積層面に塗布することにより第1導電層を形成する第1導電層形成工程と、前記第1導電層形成工程の後に、前記第1導電層の上に第2導電層を形成する第2導電層形成工程とを含むことを要旨としている。
【0019】
この発明によれば、表面処理工程の後に積層面に導電性インクを塗布することにより第1導電層を形成する。すなわち、スパッタリング装置を用いずに第1導電層を形成することができる。また、絶縁性基材に第1導電層を形成する前に同絶縁性基材の積層面を表面処理するため、絶縁性基材に対する第1導電層の接着力を大きくすることができる。
【0020】
(9)請求項9に記載の発明は、絶縁性基材と、この絶縁性基材に積層された第1導電層と、この第1導電層に積層された第2導電層とを含むプリント配線板用基板の製造方法において、前記絶縁性基材の積層面を表面処理する表面処理工程と、前記表面処理工程の後に導電体粒子を含有する導電性インクを前記積層面に塗布することにより第1導電層を形成する第1導電層形成工程と、前記第1導電層形成工程の後に無電解めっきをすることにより前記第1導電層に無電解めっき層を形成する無電解めっき工程と、前記無電解めっき工程の後に前記第1導電層の上に第2導電層を形成する第2導電層形成工程とを含むことを要旨としている。
【0021】
この発明によれば、第1導電層形成工程の後に無電解めっきを行って第1導電層に無電解めっき層を形成する。これにより、第1導電層が形成されたときに生じる導電体粒子同士の空隙部を無電解めっきのめっき金属により埋めることができるため、第1導電層を緻密にすることができる。
【0022】
(10)請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載のプリント配線板用基板の製造方法において、前記表面処理では、前記積層面と前記導電性インクとの接触角を基準値以下にすることを要旨としている。
【0023】
濡れ性のない絶縁性基材に導電性インクを塗布したとき、導電性インクの層厚に斑が生じる。この発明によれば、積層面と導電性インクとの接触角を基準値以下にするため、厚さの均一な導電性インク層を絶縁性基材に形成することができる。
【0024】
(11)請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のプリント配線板用基板の製造方法において、前記基準値は60度未満であることを要旨としている。
絶縁性基材と導電性インクの接触角が60度以上であるとき導電性インクの層厚に斑が生じる。この発明によれば、絶縁性基材と導電性インクの接触角を60度未満にするため、厚さの均一な導電性インク層を絶縁性基材に形成することができる。
【0025】
(12)請求項12に記載の発明は、請求項8〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板の製造方法において、前記表面処理では、前記積層面に、前記導電体粒子と結合する導電体結合官能基を導入することを要旨としている。
【0026】
プリント配線板用基板には導電体粒子と結合する官能基が含まれるものがある。このようなプリント配線板用基板に導電体粒子の層を形成するとき、導電体粒子と官能基とが結合する。この発明では、プリント配線板用基板に官能基があるか否かに拘わらず、新たに導電体結合官能基を導入する。これにより、積層面にある導電体結合官能基と結合する導電体粒子の割合が増大する。この結果、第1導電層と絶縁性基材との接着力を大きくすることができる。
【0027】
(13)請求項13に記載の発明は、請求項8〜12のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板の製造方法において、前記第1導電層形成工程は、前記積層面に導電性インクを塗布する塗布工程と、この塗布工程の後に前記導電性インクの媒体を蒸発させる蒸発工程と、この蒸発工程の後に前記導電性インクに含まれる導電体を熱処理する熱処理工程とを含むことを要旨としている。
【0028】
この発明によれば、導電性インクの媒体を蒸発させて、導電性インクに含まれる導電体を熱処理する。このため、導電体粒子を絶縁性基材に固着させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、スパッタリング装置を用いずに形成することができる導電層を有するプリント配線板用基板、およびそのプリント配線板用基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態のプリント配線板用基板を断面構造に示す断面図。
【図2】同実施形態の絶縁性基材について、(A)は表面処理をしていない絶縁性基材に導電性インクを塗布したものの断面構造を示す断面図、(B)は表面処理をした絶縁性基材に導電性インクを塗布したものの断面構造を示す断面図。
【図3】同実施形態のプリント配線板用基板について、同基板の製造方法の手順を示すフローチャート。
【図4】同実施形態のプリント配線板用基板について、その剥離強度の測定方法を模式的に示す模式図。
【図5】実施例のプリント配線板用基板と比較例のプリント配線板用基板との製造条件および特性を比較した表。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1を参照して本発明のプリント配線板用基板の一実施形態について説明する。
<プリント配線板用基板>
プリント配線板用基板1は、絶縁性基材10と、絶縁性基材10の一方の面に形成される第1導電層21と、第1導電層21の上に積層される第2導電層24とを含む。なお、以降では、第1導電層21と第2導電層24とをあわせた層を導電層20とする。
【0032】
絶縁性基材10は、絶縁性の板材または絶縁性のフィルムにより形成される。例えば、板材としては、紙フェノール板、紙エポキシ板が挙げられる。フィルムとしてはポリイミドフィルムが挙げられる。
【0033】
絶縁性基材10のうち第1導電層21と接着する積層面10Aには、導電体結合官能基が形成されている。導電体結合官能基は導電体粒子22Aと化学的に結合する。導電体結合官能基は酸素を含んだ官能基であり、例えば、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基が挙げられる。これら酸素を含んだ官能基は導電性インク30と積層面10Aとの接触角を低下させる機能をも有する。絶縁性基材10の積層面10Aにおける炭素に対する酸素の組成比率(以下、「酸素/炭素の組成比率」)は、基準値以上とされている。当該基準値は、導電層20が絶縁性基材10から剥離する剥離強度として許容される最低値に基づいて設定される。本実施形態では基準値はモル比で0.25とされている。
【0034】
第1導電層21は、導電体粒子22Aにより形成されている導電体粒子層22と、無電解めっき法により形成されている無電解めっき層23とを含む。導電体粒子22Aの直径は(以下、「粒子径」)が1〜500nmに範囲内にある。導電体粒子層22の層厚は、0.001〜0.5μmの範囲内とされる。導電体粒子22Aとして、例えばCu、Ag、Au、Pt、Pd、Ru、Sn、Ni、Fe、Co、Ti、Inの金属粒子、もしくはカーボン粒子等が挙げられる。
【0035】
なお、導電体粒子22Aの粒子径を1〜500nmとしているが、同粒子径は30〜100nmに範囲内とすることが好ましい。この場合、導電体粒子層22の層厚は、導電体粒子22Aの粒子径を1〜500nmに範囲内としたものに比べて、均一になる。
【0036】
無電解めっき層23は、導電体粒子22A同士の間の空隙を埋めて、導電体粒子層22の表面を平滑化する。無電解めっき層23の層厚は、絶縁性基材10の積層面10Aを基準面として1μm以内とされる。無電解めっきの材料として、Cu、Ag、Ni等が挙げられる。導電体粒子22Aが銅粒子の場合は、当該銅粒子との密着性の観点からCuまたはNiが好ましい。
【0037】
第2導電層24は、Cu、Ag、Au等の電気めっきにより形成される。また第2導電層24の層厚は第1導電層21の層厚よりも大きくされる。例えば、第2導電層24の層厚は、絶縁性基材10の積層面10Aを基準面として12μmとされる。この層厚は、プリント配線板用基板により適宜設定される。
【0038】
<プリント配線板用基板の製造方法>
図2および図3を参照して、本発明のプリント配線板用基板の製造方法について説明する。
【0039】
絶縁性基材10として、ロールに巻かれた連続材または所定の寸法の板材が用いられる。連続材が用いられるとき、連続材の一部をロールから引き出した状態で各処理が行われる。板材が用いられるときは、板材を自動搬送して各処理が行われる。
【0040】
まず、図3に示すように、ステップS100において、絶縁性基材10の表面処理が行われる。表面処理の方法としては、プラズマにより絶縁性基材10に導電体結合官能基を形成するプラズマ処理と、アルカリ性水溶液に絶縁性基材10を浸漬することにより導電体結合官能基を形成するアルカリ処理とが挙げられる。またコロナ放電により対象物の表面を改質するコロナ処理、紫外線により対象物の表面を改質するUV処理なども挙げられる。プラズマ処理としては、アルゴン雰囲気下で対象物の表面を改質するアルゴンプラズマ、酸素雰囲気下で対象物の表面を改質する酸素プラズマが挙げられる。
【0041】
表面処理により、絶縁性基材10の表面と水との接触角(以下、「水接触角」)が60°以下、かつ絶縁性基材10の表面の酸素/炭素の組成比率を0.25以上にされる。
図2を参照して、絶縁性基材10について同基材の表面処理前と表面処理後の表面構造の変化を示す。絶縁性基材10をプラズマ処理またはアルカリ処理をすることにより、絶縁性基材10の表面の重合分子が破壊、分解、切断されて一部の炭素が除去され、あるいは、同破壊、分解、切断の過程において、酸素が同表面に導入される。これにより、カルボキシル基またはカルボニル基等の組成の割合が増大する。
【0042】
図2(A)は、表面処理していない絶縁性基材10に水溶性の導電性インク30を塗布したときの状態を模式的に示した模式図である。絶縁性基材10が表面処理されていないとき、水溶性の導電性インク30を同基材10の全体に塗布しても表面張力により同インクが凝集するため、同インクが塗布されている部分と塗布されていない部分とが形成される。
【0043】
図2(B)は、表面処理した絶縁性基材10に水溶性の導電性インク30を塗布したときの状態を模式的に示した模式図である。絶縁性基材10が表面処理されているときは、絶縁性基材10の水に対する接触角が小さくされて濡れ性が改善されているため、絶縁性基材10の全体にわたって均一な厚さに導電性インク30が塗布される。
【0044】
次に、絶縁性基材10に第1導電層21を形成する。
第1導電層21の形成工程(第1導電層形成工程)には、導電性インク30を絶縁性基材10に塗布する塗布工程と、導電性インク30の乾燥工程と、導電体粒子22Aを焼結する熱処理工程と、無電解めっき層23を形成する無電解めっき工程とが含まれる。
【0045】
導電性インク30は、導電体粒子22Aとしての金属粒子と、溶媒と、溶媒に金属粒子を分散させる分散剤とを含む。溶媒として例えば水が用いられる。水以外にも、エタノール等の揮発性溶媒または水と揮発性溶媒の混合液を用いることができる。
【0046】
金属粒子の大きさは、上記に示したように粒子径が1〜500nmとされている。粒子径が1nmよりも小さいときは金属粒子の導電性インク30において均一に分散されない。また粒子径が500nmよりも大きいときは個々の金属粒子の質量が大きいことに起因して導電性インク30を絶縁性基材10に塗布後の同インクの斑が発生しやすい。このため、金属粒子の粒子径の範囲は上記範囲に設定されている。
【0047】
金属粒子は、チタン還元法により形成される。チタン還元法は、Tiイオンの酸化により溶媒中に溶解している金属イオンを析出させる方法である。これにより、粒状の金属粒子を形成される。
【0048】
分散剤は、導電体粒子22Aを溶媒に分散させる。例えば、分子量が2000〜100,000の分散剤が用いられる。分子量が2000未満の分散剤を用いると、溶媒中に導電体粒子22Aを均一に分散させることができないことがある。分子量が100,000より大きい分散剤を用いると、導電性インク30の乾燥後にも導電体粒子22A同士の間に残り、その後の熱処理工程における導電体粒子22A同士の結合が阻害される場合がある。
【0049】
分散剤としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン等のアミン系の高分子分散剤、またポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等の分子中にカルボン酸基を有する炭化水素系の高分子分散剤等が挙げられる。
【0050】
ステップS110における塗布工程では、ローラにより導電性インク30を絶縁性基材10に塗布する。塗布方法は、ローラコート法に限定されない。例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、スリットコート法、ディップコート法等の方法を用いることができる。
【0051】
ステップS120における乾燥工程では、導電性インク30に含まれる水を蒸発させる。例えば、大気圧、60℃の環境下において所定時間保持する。これにより導電性インク30の水が蒸発して、金属粒子が薄い層となって絶縁性基材10に残留する。
【0052】
ステップS130における熱処理工程では、金属粒子を焼結するとともに、金属粒子以外の有機物(以下、「残留有機物」)を除去する。残留有機物としては、導電性インク30に含まれる分散剤が挙げられる。熱処理は、金属粒子の酸化を抑制する雰囲気下で行われる。例えば、酸素濃度を1000ppmにおいて熱処理される。また、還元雰囲気下、例えば水素雰囲気下で熱処理することもできる。ただし、水素濃度は、水素の爆発下限濃度未満とされる。
【0053】
ところで、絶縁性基材10の耐熱温度よりも高い温度により熱処理を行うと絶縁性基材10が変形する。このため、同絶縁性基材10の耐熱温度を考慮して、熱処理温度が設定される。例えば、絶縁性基材10としてポリイミドフィルムが用いられているときは、500℃以下の温度により熱処理が行われる。また、残留有機物を除去する必要があるため、熱処理温度は、同残留有機物が分解除去される温度の下限温度である150℃よりも高い温度に設定される。以上の理由により、熱処理温度は、150℃〜500℃の温度範囲とされる。
【0054】
このようにステップS110からステップS130までの工程により、導電体粒子層22が形成される。第1導電層21の層厚は0.1μmとされる。
ステップS140における無電解めっきでは、焼結の際に形成される導電体粒子22A間の空隙部をめっき金属により充填する。また、同無電解めっきにより、導電体粒子層22の表面に緻密な無電解めっき層23を形成する。
【0055】
次に、ステップS150(第2導電層形成工程)において、電気めっき法により、無電解めっき層23の上に第2導電層24を形成する。平坦な無電解めっき層23の上に第2導電層24が形成されるため、第2導電層24の表面も平坦になる。第2導電層24の層厚はプリント配線板用基板1の用途により設定される。
【0056】
次に、プリント配線板用基板1の実施例を説明する。
<実施例1>
(材料)
・絶縁性基材10として、ポリイミドフィルム(製品名カプトン(登録商標)EN−S)を用いる。
・導電性インク30は、溶媒を水とし、粒子径50nmの銅粒子を分散剤により分散し、銅濃度3質量%として調整される。
(製造条件)
・ポリイミドフィルムを窒素ガス雰囲気下で30分間にわたってプラズマ処理を行う。
・プラズマ処理後、ポリイミドフィルムの表面にローラにより導電性インク30を塗布する。なお、導電性インク30の塗布厚は、同インクを熱処理した後において導電体粒子層22の層厚が0.1μmとなるように設定されている。導電性インク30を塗布した後、60℃で10分間、大気圧条件下で乾燥する。
・乾燥工程後のポリイミドフィルムについて、窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm以下)において400℃で30分間の加熱処理をする。
・熱処理工程後、導電体粒子層の表面に、厚さ0.1μmとなるように銅の無電解めっきを行う。
・無電解めっき工程後、銅の電気めっきを行い、銅めっき(第2導電層24)の層厚を12μmとする。
(試料計測方法)
・プラズマ処理を行ったポリイミドフィルムに対する水の接触角を、接触角計(協和界面科学のDM−301)により計測する。
・プラズマ処理を行ったポリイミドフィルムの表面の酸素/炭素の組成比率は、X線光電子分光法により計測する。
・ポリイミドフィルムと導電性との間の剥離強度を次の方法により計測する。図4に、剥離強度の測定方法の模式図を示す。上記製造条件により作成した試料を大気圧下、150℃にて放置(以下、「高温処理」)する。その後、同試料を、ポリイミドフィルム側を下側にして基礎台に固定する。次に、ポリイミドフィルムと導電層20との間の一部を剥がして、ポリイミドフィルムから導電層20を引き剥がすための把持部20Aを設ける。そして、把持部20Aを剥離の方向Xに向けて、引っ張り速度50mm/minにて引っ張りつつ、そのときの剥離強度を測定する。なお、剥離の方向とは、試料と平行な平面上において、導電層20がポリイミドフィルムから剥離された部分から剥離されていない部分に向う方向を示す。
(結果)
・表面処理後のポリイミドフィルムに対する水の接触角は55°であった。
・表面処理後のポリイミドフィルム表面の酸素/炭素の組成比率は、0.25であった。
・高温処理後のプリント配線板用基板1の剥離強度は6.8N/cmであった。
【0057】
<実施例2>
(材料)実施例1と同じものを用いた。
(製造条件)
・実施例1のプラズマ処理に代えて、アルゴン処理によりポリイミドフィルムの表面処理を行った。具体的には、ポリイミドフィルムをアルゴンガス雰囲気下で30分間にわたってプラズマ処理を行う。
・表面処理工程以降の工程、すなわち導電性インク30の塗布、同インクの乾燥、同インクの熱処理、無電解めっき、電気めっきは、実施例1と同じ条件で行った。
(試料計測方法)
・実施例1と同様の方法により、ポリイミドフィルムに対する水の接触角、ポリイミドフィルムの表面の酸素/炭素の組成比率、および剥離強度を計測した。
(結果)
・表面処理後のポリイミドフィルムに対する水の接触角は、60°であった。
・表面処理後のポリイミドフィルム表面の酸素/炭素の組成比率は、0.27であった。
・高温処理後のプリント配線板用基板1の剥離強度は6.5N/cmであった。
【0058】
<実施例3>
(材料)実施例1と同じものを用いた。
(製造条件)
・実施例1のプラズマ処理に代えて、アルカリ処理によりポリイミドフィルムの表面処理を行った。具体的には、ポリイミドフィルムを水酸化ナトリウム水溶液(濃度5mol/l)に3分間浸漬した。
・表面処理工程以降の工程、すなわち導電性インク30の塗布、同インクの乾燥、同インクの熱処理、無電解めっき、電気めっきは、実施例1と同じ条件で行った。
(試料計測方法)
・実施例1と同様の方法により、ポリイミドフィルムに対する水の接触角、ポリイミドフィルムの表面の酸素/炭素の組成比率、および剥離強度を計測した。
(結果)
・表面処理後のポリイミドフィルムに対する水の接触角は、54°であった。
・表面処理後のポリイミドフィルム表面の酸素/炭素の組成比率は、0.40であった。
・高温処理後のプリント配線板用基板1の剥離強度は7.1N/cmであった。
【0059】
<比較例>
(材料)実施例1と同じものを用いた。
(製造条件)
・ポリイミドフィルムの表面処理は行わなかった。
・実施例1と同様の方法により導電性インク30をポリイミドフィルムに塗布する。
(試料計測方法)
・実施例1と同様の方法により、ポリイミドフィルムに対する水の接触角、ポリイミドフィルムの表面の酸素/炭素の組成比率、および剥離強度を計測した。
(結果)
・ポリイミドフィルムに対する水の接触角は、80°であった。
・表面処理後のポリイミドフィルム表面の酸素/炭素の組成比率は、0.18であった。
・ポリイミドフィルムに、均一な導電性インク30の層を形成することができなかったため、以降処理を行うことができなかった。
【0060】
<実施例と比較例との対比>
図5を参照して、実施例および比較例を比較する。
(1)比較例と実施例1〜3を比較する。
【0061】
比較例は、ポリイミドフィルムに対して表面処理を行っていないのに対し、実施例1〜3は、ポリイミドフィルムに対してプラズマ処理またはアルカリ処理を行っている。比較例のポリイミドフィルムに対する水の接触角は80°となって、導電性インク30を均一に塗布することができなかった。一方、表面処理を行った実施例1〜3のポリイミドフィルムに対する水の接触角は60°以下であり、導電性インク30を均一に塗布することができた。
【0062】
実施例1と実施例2とは、プラズマ処理に用いるガスが異なっている。すなわち、実施例1のプラズマ処理は窒素ガスを用いているのに対し、実施例2のプラズマ処理ではアルゴンガスを用いている。
【0063】
実施例1と実施例3とは、ポリイミドフィルムに対する表面処理の手段が異なっている。すなわち、実施例1ではプラズマ処理により表面処理を行っているのに対し、実施例2ではアルカリ水溶液により表面処理を行っている。
【0064】
表面処理後のポリイミドフィルム表面の酸素/炭素の組成比率については、実施例1の同比率および実施例2の同比率および実施例3の同比率は比較例の同比率よりも大きく、0.25以上となっている。また、高温処理後のプリント配線板用基板1の剥離強度については、実施例1の同強度および実施例2の同強度および実施例3の同強度は6.0N/cm以上となっている。
【0065】
(2)まとめ
ポリイミドフィルムと水の接触角を60°以下とすることにより、ポリイミドフィルムに対して導電性インク30を均一に塗布することができる。また、表面処理後のポリイミドフィルム表面の酸素/炭素の組成比率を0.25以上とすることにより、高温処理後のプリント配線板用基板1の剥離強度を6.0N/cm以上とすることができる。
【0066】
本実施形態によれば以下の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、第1導電層21は導電体粒子22Aにより形成され、絶縁性基材10の積層面10Aは、導電体粒子22Aと絶縁性基材10との結合力を高める表面処理が行われている。
【0067】
この構成によれば、第1導電層21は導電体粒子22Aの積層により形成されるものであるため、スパッタリング装置を用いずに第1導電層21を形成することができる。絶縁性基材10の積層面10Aは表面処理が行われることにより、絶縁性基材10の積層面10Aの導電体粒子22Aに対する結合力が高められているため、導電層20を絶縁性基材10から剥離するために必要な力すなわち剥離強度を大きくすることができる。
【0068】
(2)本実施形態では、積層面10Aに、導電体粒子22Aと結合する導電体結合官能基が導入されている。導電体粒子22Aは絶縁性基材10の積層面10Aに接触する。導電体粒子22Aと積層面10Aを構成する分子との結合力が小さいときは導電体粒子22Aが同分子から小さい力で離れるため、第1導電層21と絶縁性基材10との接着強度が低くなる。この構成では、積層面10Aに導電体結合官能基が導入され、導電体粒子22Aと導電体結合官能基がと結合するため、第1導電層21と絶縁性基材10との接着力を大きくすることができる。
【0069】
(3)本実施形態では、導電体粒子22Aが金属粒子として構成される。また、導電体結合官能基は酸素を含む。一般に、酸素原子と金属粒子との結合力は炭素原子と金属粒子との結合力よりも大きい。このため、酸素を含む導電体結合官能基を絶縁性基材10の積層面10Aに導入することにより導電体粒子22Aと絶縁性基材10との接着力を大きくすることができるため、第1導電層21と絶縁性基材10との剥離強度を大きくすることができる。
【0070】
(4)本実施形態では、導電体粒子22Aが金属粒子として構成され、積層面10Aにおける炭素に対する酸素の比率がモル比で0.25以上とされている。積層面10Aにおける炭素に対する酸素の比率をモル比で0.25未満にあるとき、第1導電体層と絶縁性基材10との剥離強度が実用上必要とされる値よりも小さくなる。この構成によれば、積層面10Aにおける炭素に対する酸素の比率をモル比で0.25以上とするため、第1導電体層と絶縁性基材10との剥離強度を実用上必要とされる値以上とすることができる。
【0071】
(5)本実施形態では、導電体粒子22Aの粒が1nm以上500nm以下とされている。導電体粒子22Aの粒子径が500nmよりも大きいとき、導電体粒子22A同士の間の隙間が過大となる。上記構成では、粒子径が1nm以上500nm以下である導電体粒子22Aにより第1導電層21が形成されるため、粒子径が1nm未満または500nmより大きいのものを用いて同層21を形成するときよりも、緻密な層とすることができる。
【0072】
(6)本実施形態では、絶縁性基材10の積層面10Aを表面処理する表面処理工程と、導電性インク30を積層面10Aに塗布することにより第1導電層21を形成する第1導電層形成工程と、無電解めっきをすることにより第1導電層21に無電解めっき層23を形成する無電解めっき工程と、第1導電層21の上に第2導電層24を形成する第2導電層形成工程とを含む。
【0073】
この構成によれば、第1導電層形成工程後に、無電解めっきを行って第1導電層21に無電解めっき層23を形成する。これにより、第1導電層21が形成されたときに生じる導電体粒子22A同士の空隙部を無電解めっきのめっき金属により埋めることができるため、第1導電層21を緻密にすることができる。
【0074】
(7)本実施形態では、表面処理において積層面10Aと導電性インク30との接触角を基準値以下にする。濡れ性のない絶縁性基材10に導電性インク30を塗布すると、導電性インク30の層厚に斑が生じる。この構成によれば、積層面10Aと導電性インク30との接触角を基準値以下にするため、厚さの均一な導電性インク層を形成することができる。
【0075】
(8)本実施形態では、表面処理において積層面10Aと導電性インク30との接触角を60度未満の値にする。絶縁性基材10と導電性インク30の接触角が60度以上であるとき導電性インクの層厚に斑が生じる。上記構成によれば、絶縁性基材10と導電性インク30の接触角を60度未満の値にするため、厚さの均一な導電性インク層を絶縁性基材10に形成することができる。
【0076】
(9)本実施形態では、表面処理において、積層面10Aに、導電体粒子22Aと結合する導電体結合官能基を導入する。プリント配線板用基板1には導電体粒子22Aと結合する官能基が含まれるものがある。このようなプリント配線板用基板1に導電体粒子22Aの層を形成するとき、導電体粒子22Aと官能基とが結合する。この構成では、プリント配線板用基板1に官能基があるか否かに拘わらず、新たに導電体結合官能基を導入する。これにより、積層面10Aにある導電体結合官能基と結合する導電体粒子22Aの割合が増大する。この結果、第1導電層21と絶縁性基材10との接着力を大きくすることができる。
【0077】
(10)本実施形態では、プリント配線板用基板1の製造方法における第1導電層形成工程には、積層面10Aに導電性インク30を塗布する塗布工程と、この塗布工程の後に導電性インク30の媒体を蒸発させる蒸発工程と、この蒸発工程の後に導電性インク30に含まれる導電体を熱処理する熱処理工程とが含まれる。
【0078】
この構成によれば、導電性インク30の媒体を蒸発させて、導電性インク30に含まれる導電体を熱処理する。このため、導電体粒子22Aを絶縁性基材10に固着させることができる。
【0079】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記各実施例にて示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記各実施例についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0080】
・上記各実施例では、絶縁性基材10に対して導電体粒子層22を形成した後、同導電体粒子層22に無電解めっきをして無電解めっき層23を形成しているが、この無電解めっき層23の形成を省略してもよい。
【0081】
・上記各実施例では、高温処理後のプリント配線板用基板1の剥離強度が6.0N/cm以上となるように、ポリイミドフィルムの表面処理後の表面の酸素/炭素の組成比率を0.25に設定している。すなわち、酸素/炭素の組成比率は、プリント配線板用基板1の剥離強度の指標とされている。このため、同比率は、要求されるプリント配線板用基板1の性能によって適宜変更される。
【0082】
・上記各実施例では、絶縁性基材10としてポリイミドフィルムを用いているが、本発明は同絶縁性基材10以外の基材についても適用することができる。また、他の基材に本発明を適用したものは上記実施例と同様の効果を奏する。
【0083】
・上記各実施例では、表面処理の例として、窒素プラズマ処理、アルゴンプラズマ処理、およびアルカリ処理を挙げているが、コロナ処理またはUV処理によっても、ポリイミドフィルムに導電体結合官能基を導入することができる。これにより、同フィルムの表面の水に対する接触角を処理前の同フィルムの接触角よりも小さくすることができ、また同フィルムに対する剥離強度を大きくすることができる。
【0084】
・上記各実施例では、絶縁性基材10に導入する導電体結合官能基の例として、酸素を含むカルボニル基、カルボキシル基を挙げているが、同導電体結合官能基の例がこれに限定されず、導電体粒子22Aと結合するものであればよい。
【符号の説明】
【0085】
1…プリント配線板用基板、10…絶縁性基材、10A…積層面、20…導電層、21…第1導電層、22…導電体粒子層、23…無電解めっき層、24…第2導電層、22A…導電体粒子、30…導電性インク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基材と、この絶縁性基材に積層された第1導電層と、この第1導電層に積層された第2導電層とを含むプリント配線板用基板において、
前記第1導電層は導電体粒子により形成され、
前記第1導電層が積層されている側の前記絶縁性基材の積層面は、前記導電体粒子と前記絶縁性基材との結合力を高める表面処理が行われている
ことを特徴とするプリント配線板用基板。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板用基板において、
前記積層面には、前記導電体粒子と結合する導電体結合官能基が導入されている
ことを特徴とするプリント配線板用基板。
【請求項3】
請求項2に記載のプリント配線板用基板において、
前記導電体粒子は金属粒子であり、
前記導電体結合官能基は酸素を含む
ことを特徴とするプリント配線板用基板。
【請求項4】
請求項2または3に記載のプリント配線板用基板において、
前記導電体結合官能基は、カルボニル基、カルボキシル基および水酸基の群から選択される少なくともいずれか一つである
ことを特徴とするプリント配線板用基板。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板において、
前記導電体粒子は金属粒子であり、
前記積層面における炭素に対する酸素の比率は、モル比で0.25以上である
ことを特徴とするプリント配線板用基板。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板において、
前記第1導電層は、前記導電体粒子が含有された導電性インクの塗布により形成されるものである
ことを特徴とするプリント配線板用基板。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板において、
前記導電体粒子の粒は、1nm以上500nm以下である
ことを特徴とするプリント配線板用基板。
【請求項8】
絶縁性基材と、この絶縁性基材に積層された第1導電層と、この第1導電層に積層された第2導電層とを含むプリント配線板用基板の製造方法において、
前記絶縁性基材の積層面に対してこの積層面と前記第1導電層との結合力を高める表面処理をする表面処理工程と、
前記表面処理工程の後に、導電体粒子を含有する導電性インクを前記積層面に塗布することにより第1導電層を形成する第1導電層形成工程と、
前記第1導電層形成工程の後に、前記第1導電層の上に第2導電層を形成する第2導電層形成工程とを含む
ことを特徴とするプリント配線板用基板の製造方法。
【請求項9】
絶縁性基材と、この絶縁性基材に積層された第1導電層と、この第1導電層に積層された第2導電層とを含むプリント配線板用基板の製造方法において、
前記絶縁性基材の積層面を表面処理する表面処理工程と、
前記表面処理工程の後に導電体粒子を含有する導電性インクを前記積層面に塗布することにより第1導電層を形成する第1導電層形成工程と、
前記第1導電層形成工程の後に無電解めっきをすることにより前記第1導電層に無電解めっき層を形成する無電解めっき工程と、
前記無電解めっき工程の後に前記第1導電層の上に第2導電層を形成する第2導電層形成工程とを含む
ことを特徴とするプリント配線板用基板の製造方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載のプリント配線板用基板の製造方法において、
前記表面処理では、前記積層面と前記導電性インクとの接触角を基準値以下にする
ことを特徴とするプリント配線板用基板の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載のプリント配線板用基板の製造方法において、
前記基準値は60度未満である
ことを特徴とするプリント配線板用基板の製造方法。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板の製造方法において、
前記表面処理では、前記積層面に、前記導電体粒子と結合する導電体結合官能基を導入する
ことを特徴とするプリント配線板用基板の製造方法。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか一項に記載のプリント配線板用基板の製造方法において、
前記第1導電層形成工程は、前記積層面に導電性インクを塗布する塗布工程と、この塗布工程の後に前記導電性インクの媒体を蒸発させる蒸発工程と、この蒸発工程の後に前記導電性インクに含まれる導電体を熱処理する熱処理工程とを含む
ことを特徴とするプリント配線板用基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−258646(P2011−258646A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130117(P2010−130117)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】