プレス成形装置及びプレス成形方法
【課題】 焼入れを行いながらも成形品の生産性を維持することのできるプレス成形方法およびプレス成形装置を提供する。
【解決手段】 加熱された金属板(11)に対して、上金型及び下金型を含む金型ユニットを複数用いて成形工程及び機械加工工程並びに冷却工程を行うプレス成形装置であって、金属板が搬送される第1の搬送経路上に配置され、成形工程及び機械加工工程を順次行う複数の加工用金型ユニット(1,2)と、複数の加工用金型ユニットによる成形工程及び機械加工工程で得られた金属板に当接して冷却工程をそれぞれ行う複数の冷却用金型ユニット(3)と、複数の冷却用金型ユニットを移動可能に支持し、各冷却用金型ユニットによって第1の搬送経路とは異なる第2の搬送経路上で金属板を搬送させる支持ユニットと、を有する。
【解決手段】 加熱された金属板(11)に対して、上金型及び下金型を含む金型ユニットを複数用いて成形工程及び機械加工工程並びに冷却工程を行うプレス成形装置であって、金属板が搬送される第1の搬送経路上に配置され、成形工程及び機械加工工程を順次行う複数の加工用金型ユニット(1,2)と、複数の加工用金型ユニットによる成形工程及び機械加工工程で得られた金属板に当接して冷却工程をそれぞれ行う複数の冷却用金型ユニット(3)と、複数の冷却用金型ユニットを移動可能に支持し、各冷却用金型ユニットによって第1の搬送経路とは異なる第2の搬送経路上で金属板を搬送させる支持ユニットと、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板の成形精度を確保しながら成形品の生産性を向上させることのできるプレス成形装置及びプレス成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のトランスファープレス装置では、加熱炉で200〜300℃に加熱された金属板を搬送しながら、複数の金型を用いて順次、成形工程等を行うことにより、複雑な形状を成形できる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、複数の加工工程等に対応する数の上金型及び下金型からなる金型が金属板の搬送経路に沿って順に配置されており、各金型での工程が完了すると次段の金型に金属板が、搬送機構によって搬送される。そして、各金型において、異なる工程(例えば、プレス成形工程、ピアッシング工程、トリミング工程)が行われることで、最終的な成形品が得られる。
【0004】
上述したトランスファープレス装置では、複数の金属板を順次、搬送させることで、連続して複数の成形品を得ることができ、プレス装置のなかでも高い生産性が得られる。また、単純な形状だけでなく、複雑な形状の成形品を製造することができる。
【0005】
さらに、トランスファープレス装置で得られた成形品は、一般に加工硬化しているものの、原板(加工前の金属板)としては強度の低いものが用いられている。
【0006】
なお、上述したトランスファープレス装置は、例えば、自動車の車体を成形する場合に用いられる。
【特許文献1】特開平5−146897号公報(図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のトランスファープレス装置において、ホットプレスを実施する場合、最終段に位置する金型を用いて焼入れを行えば、金属板をトランスファープレス装置内で搬送するだけで成形品を得ることができるはずであるが、この技術は確立していない。トランスファープレスで、金属板の焼入れまでを行う場合には、所定時間の間、金型を下死点で保持しなければならない。すなわち、加熱された金属板の温度が所定温度に低下するまで、金型を金属板に接触させておかなければならない。
【0008】
トランスファープレス装置では、金属板の搬送経路上に配置された複数段の金型が同じ動作(上下動作)を行うように構成されているため、上述したように最終段の金型を下死点で所定時間、保持する場合には、前段側に位置する金型も同じ時間だけ下死点で保持しなければならない。この場合には、前段側の金型が金属板に接触することにより、金属板の熱が金型に逃げてしまい、加熱された金属板の温度が低下してしまう。
【0009】
このように前段側の金型において、金属板の温度が低下してしまうと、金属板の成形を精度良く行うことができなくなってしまうおそれがある。また、金属板の所定の強度を得ることができなくなる。
【0010】
そこで、本発明は、金属板の成形精度を確保するとともに成形品の強度を向上させつつ、成形品の生産性を維持することのできるプレス成形方法およびプレス成形装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本願発明は、プレス成形装置(第1の発明)及びプレス成形方法(第2の発明)からなる。
【0012】
本願第1の発明は、加熱された金属板に対して、上金型及び下金型を含む金型ユニットを複数用いて成形工程及び機械加工工程並びに冷却工程を行うプレス成形装置であって、前記金属板が搬送される第1の搬送経路上に配置され、前記成形工程及び前記機械加工工程を順次行う複数の加工用金型ユニットと、前記複数の加工用金型ユニットによる前記成形工程及び前記機械加工工程で得られた前記金属板に当接して冷却工程をそれぞれ行う複数の冷却用金型ユニットと、当該複数の冷却用金型ユニットを移動可能に支持し、前記各冷却用金型ユニットによって前記第1の搬送経路とは異なる第2の搬送経路上で前記金属板を搬送させる支持ユニットと、を有することを特徴とする。
【0013】
ここで、前記各冷却用金型ユニットは、前記支持ユニットの動作に応じて、前記第1の搬送経路上の位置と、前記第1の搬送経路外の位置とに移動可能である。また、前記複数の加工用金型ユニットの動作時間が略同一であり、かつ、前記加工用金型ユニットの動作時間が前記冷却用金型ユニットの動作時間とは異ならせることができる。
【0014】
なお、前記複数の加工用金型ユニット間における前記金属板の搬送を行うと共に、最終段の前記加工用金型ユニットから前記搬送ユニット上に前記金属板を搬送する搬送機構を設けることができる。
【0015】
本願第2の発明であるプレス成形方法は、加熱された金属板を第1の搬送経路上で搬送する第1の搬送工程と、前記第1の搬送工程内において、金型を用いて行う成形工程及び機械加工工程と、前記成形工程及び前記機械加工工程で得られた前記金属板を、前記第1の搬送経路とは異なる第2の搬送経路上で搬送する第2の搬送工程と、前記第2の搬送工程で搬送された前記金属板に金型を当接させて行う冷却工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
ここで、前記成形工程及び前記機械加工工程の動作時間を略同一とし、かつ、前記成形工程及び前記機械加工工程の各動作時間が前記冷却工程の動作時間とは異ならせることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、最終段側において金型を用いた金属板の冷却工程(焼入れ)を行う場合において、冷却工程に応じた時間だけ加工用金型ユニットを下死点保持させることなく、成形品を製造することができる。しかも、トランスファープレスを利用して金属板を搬送しながら順次加工工程を行うことで、焼入れを行いながらも成形品の生産性を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1であるプレス成形装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施例のプレス成形装置の概略図であり、このプレス成形装置は、第1の搬送経路を構成するトランスファープレス装置10及び第2の搬送経路を構成する焼入れ装置20を備えている。
【0020】
本実施例のプレス成形装置は、不図示の加熱炉で加熱された平板状の金属板に対して、3つの工程(トランスファープレス装置10での2つの加工工程と、焼入れ装置20での1つの工程)を行うことにより、いわゆるハット形状の金属板を成形するものである。なお、加熱炉での加熱方式は、いかなる方法でもよく、例えば、雰囲気加熱や誘導加熱等がある。また、金属板の成形形状は、いかなる形状としてもよく、この形状に応じた金型を用いればよい。
【0021】
まず、トランスファープレス装置10の構成及び動作について説明する。
【0022】
図1において、加熱炉において成形可能な温度(例えば、750℃)に加熱された平板状の金属板11は、搬送フィンガー6によってトランスファープレス装置10に搬送され、まず、第1の金型ユニット1によってプレス成形される。第1の金型ユニット1は、上金型1a及び下金型1bを有しており、上金型1aはスライド4に固定され、下金型1bはベース5に固定されている。
【0023】
ここで、図1に示すように、本実施例では、上金型1aに凹部を設け、下金型1bに凸部を設けた構成であるが、逆の構成であってもよい。
【0024】
また、スライド4は、不図示のアクチュエータからの駆動力を受けることにより、図1中の上下方向に移動可能となっており、このスライド4の動作によって、上金型1aは下金型1bに対してトランスファープレス装置10の上下方向に移動することができる。
【0025】
下金型1bは、ポンチ1b1と、ポンチ1b1の両側に配置されたブランクホルダ1b2とを有しており、ブランクホルダ1b2は、ポンチ1b1に対して図1の上下方向に移動可能となっている。
【0026】
搬送フィンガー6は、加熱された金属板11を搬送するために用いられる。搬送フィンガー6は、金属板11の両端部を支持するように対になって構成されている。これらの搬送フィンガー6は、金属板11の搬送方向(図1の矢印X1方向)に延びる一対のガイドレール12(図2(B)参照)に固定されている。本実施例では、図8に示すように、一対のガイドレール12のそれぞれに、2つの搬送フィンガー6が固定されている。
【0027】
一対のガイドレール12は、矢印X1方向に移動可能となっているとともに、矢印X1方向と直交する方向(図1の紙面の奥行き方向、すなわち、図2(B)に示す矢印X2方向)において移動可能となっている。
【0028】
ここで、2つのガイドレールが矢印X1方向にスライド移動することにより、搬送フィンガー6も矢印X1方向に移動することになる。また、一対のガイドレール12が互いに近づく方向(図8の矢印で示す方向)に移動することにより、搬送フィンガー6によって金属板11を保持することができる。そして、金属板11を保持した状態で、搬送フィンガー6が矢印X1方向に移動することによって、金属板11の搬送が行われる。
【0029】
搬送フィンガー6によって、金属板11が加熱炉から第1の金型ユニット1側に搬送され、第1の金型ユニット1の下金型1b上に配置されると、上金型1aが図1に示す状態から下降を開始し、上金型1aの凸部分が下金型1bのブランクホルダ1b2を押し込むことにより、平板状の金属板11を所定形状(例えば、ハット形状)にプレス成形する。
【0030】
プレス成形後、上金型1aは、スライド4の動作によって上昇する。そして、搬送フィンガー6が金属板11を保持することにより、第1の金型ユニット1に対して次段に位置する第2の金型ユニット2に金属板11を搬送する。
【0031】
第2の金型ユニット2は、スライド4に固定された上金型2aと、ベース5に固定された下金型2bとを有する。上金型2aには、金属板11にピアスを形成するための突起部2a1が設けられている。また、下金型2bのブランクホルダ2b1には、突起部2a1が挿入される溝部が形成されている。
【0032】
ここで、スライド4の動作とともに上金型2aが上下動作することにより、金属板11の両端部近傍には、ピアス(穴部)が形成される。なお、上金型2a及び上金型1aは、スライド4の動作によって同じタイミングで上下動作することになる。
【0033】
第2の金型ユニット2での工程(機械加工工程としてのピアッシング工程)が完了すると、搬送フィンガー6によって第3の金型ユニット3に搬送される。
【0034】
上述したトランスファープレス装置10の構成において、第1及び第2の金型ユニット1、2のうち金属板11と当接する部分を加熱したり、該当接する部分に断熱層を設けたりしてもよい。これにより、トランスファープレス装置10内で金属板11を搬送する際において、金属板11の加熱温度が低下してしまうのを抑制することができる。
【0035】
具体的には、第1の金型ユニット1において、上金型1aのうち少なくとも金属板11と接触する部分を、発熱体によって加熱することができる。また、下金型1b(ポンチ1b1及びブランクホルダ1b2)のうち少なくとも金属板11と接触する部分を、発熱体によって加熱することができる。これにより、第1の金型ユニット1でのプレス成形において、金属板11の温度が低下してしまうのを抑制することができる。一方、金型1a、1bの全体を加熱するようにしてもよい。
【0036】
そして、第2の金型ユニット2における構成も、上述した第1の金型ユニット1と同様の構成とすることができる。
【0037】
さらに、搬送フィンガー6のうち少なくとも金属板11と接触する部分を、加熱してもよい。具体的には、搬送フィンガー6に発熱体を配置して、金属板11と接触する部分を加熱することができる。なお、搬送フィンガー6の全体を加熱するものであってもよい。
【0038】
次に、焼入れ装置20内の構成及び動作について説明する。
【0039】
焼入れ装置20内には、後述するように複数(本実施例では2つ)の第3の金型ユニット3が設けられている。第3の金型ユニット3は、トランスファープレス装置10とは別体として構成された焼入れ装置20内に設けられており、焼入れ装置20の本体に支持された上金型3a及び下金型3bを有する。ここで、上金型3aは、下金型3bに対して図1の上下方向に移動可能となっている。
【0040】
上金型3aには、加熱された金属板11を冷却するための冷却機構(不図示)とが設けられている。この冷却機構によって上金型3aが冷却されており、上金型3aが金属板11に接触することにより、金属板11を冷却(焼入れ)する。冷却機構としては、例えば、上金型3a内に冷却媒体(例えば、水)の循環路を形成し、図1(A)中の矢印IN、OUTに示すように、外部から冷却媒体の供給及び排出を行うことができる。
【0041】
第3の金型ユニット3上に第2の金型ユニット2からの金属板11が配置されると、上金型3aが図1に示す状態から下降することにより、金属板11に当接する。そして、所定時間の間、上金型3aが下死点で保持されることにより、金属板11が冷却され、焼入れが行われる。これにより、金属板11の温度は、例えば、650℃から200℃以下に冷却される。
【0042】
本実施例では、第3の金型ユニット3を金属板11に当接させることにより、金属板11の焼入れ工程だけを行っているが、焼入れ工程と同時に他の加工工程を行うようにしてもよい。例えば、成形された金属板11の端部を切断する工程(いわゆる、機械加工工程としてのトリミング工程)を行うことができる。この場合には、第3の金型ユニット3の上金型3a及び下金型3bに、トリミング工程を行うための突起部及び溝部を設ければよい。
【0043】
図2は、焼入れ装置20を、2つの側面から見た図(A、B)である。すなわち、図2(B)は、図2(A)に示す焼入れ装置20を矢印A方向から見たときの図である。ここで、図9は、図2に示す状態をプレス成形装置の上面側から見たときの図である。
【0044】
また、図3は、焼入れ装置20を、2つの側面から見た図(A、B)である。すなわち、図3(B)は、図3(A)に示す焼入れ装置20を矢印A方向から見たときの図である。ここで、図10は、図3に示す状態をプレス成形装置の上面側から見たときの図である。
【0045】
図2(B)に示すように、焼入れ装置20内には、2つの第3の金型ユニット3が矢印X2方向において並んで配置されている。ここで、2つの上金型3aは、支持部材7に固定されており、支持部材7は、ガイドローラ等を介して焼入れ装置20の本体20aに対して矢印X2方向に移動可能となっている。また、2つの下金型3bも、支持部材7に固定されている。
【0046】
また、図2は、搬送フィンガー6によって金属板11が、2つの第3の金型ユニット3のうち一方の第3の金型ユニット3上に移動した状態を示す。図2に示す状態において、ガイドレール12が互いに離れる方向に移動することにより、金属板11が第3の金型ユニット3の下金型3b上に配置される。そして、上金型3aが図3(B)の矢印Y1方向に移動することによって、上金型3aが金属板11に当接する。
【0047】
これにより、第3の金型ユニット3によって金属板11の冷却工程(焼入れ工程)が行われる。ここで、金属板11の焼入れ工程を行う場合には、所定時間(焼入れ工程に要する時間)の間、上金型3a及び下金型3bを金属板11に当接させておかなければならない。
【0048】
上述した所定時間は、第1及び第2の金型ユニット1、2における動作時間(プレス成形の時間)よりも通常長くなっている。
【0049】
ここで、第1〜第3の金型ユニット1〜3を同じタイミングで動作させるように構成した場合には、第3の金型ユニット3で焼入れ工程を行っている間に、前段側に位置する第1及び第2の金型ユニット1、2では、プレス工程が完了してしまう。そして、第1及び第2の金型ユニット1、2では、焼入れ工程に要する時間だけ、下死点保持が維持されることになってしまう。
【0050】
このように第1及び第2の金型ユニット1、2において、所定時間の間、下死点保持が行われると、金属板11の成形品を効率良く製造することができなくなってしまう。すなわち、第3の金型ユニット3での焼入れ工程に応じて第1及び第2の金型ユニット1、2を動作させると、通常の成形工程に要する時間と焼入れ工程に要する時間の差分だけ、成形品を製造できる時間が長くなってしまう。
【0051】
そこで、本実施例では、第2の金型ユニット2から第3の金型ユニット3に金属板11が搬送され、第3の金型ユニット3で金属板11の焼入れ工程を行う場合には、金属板11が載置された第3の金型ユニット3を、第1及び第2の金型ユニット1、2における金属板11の搬送経路(以下、第1の搬送経路とする)外に移動させている。ここで、第1の搬送経路とは、図1に示す矢印X1方向に延びる金属板11の搬送経路である。
【0052】
図3(B)に示す状態において、支持部材7を矢印X3方向(矢印X2方向のうちの一方向)にスライド移動させることにより、金属板11が載置された第3の金型ユニット3を図4に示す状態としている。ここで、図4に示す状態を、プレス成形装置の上面から見た図を、図11に示す。
【0053】
これにより、金属板11が載置されていない第3の金型ユニット3が、第1の搬送経路上に位置することになる。これにより、図5に示すように、第2の金型ユニット2から搬送される次の金属板11を、金属板11が載置されていない第3の金型ユニット3上に配置することができる。
【0054】
図5に示す状態において、第1の搬送経路外に移動した第3の金型ユニット3での焼入れが完了すると、焼入れ工程された金属板11は、搬送フィンガー等の不図示の搬送機構によって第3の金型ユニット3から取り出される(図12参照)。
【0055】
そして、図6に示すように、第1の搬送経路外にある第3の金型ユニット3から金属板11が運び出され、第1の搬送経路上にある第3の金型ユニット3において上金型3aが下降すると、図7に示すように、支持部材7は本体8に対して矢印X4方向にスライド移動する。ここで、矢印X4方向とは、矢印X2方向のうちの他方向であって、矢印X3方向とは反対方向を示す。
【0056】
これにより、焼入れ装置20における2つの第3の金型ユニット3は、図7に示す状態となる。ここで、図5に示す状態において金属板11が運び出された第3の金型ユニット3は、第1の搬送経路上に位置することになり、第2の金型ユニット2からの金属板11を受け入れることが可能となる。一方、第1の搬送経路外に移動した第3の金型ユニット3は、所定時間の間、金属板11に接触して焼入れを行う。
【0057】
図7に示す状態で焼入れ工程が完了すると、第1の搬送経路外に位置する第3の金型ユニット3上から金属板11が運び出される。この状態を、図12に示す。なお、図12は、プレス成形装置を上面側から見たときの図である。
【0058】
図12に示す状態では、金属板11が載置されていない第3の金型ユニット3が第1の搬送経路上に位置することになり、この第3の金型ユニット3に対して第2の金型ユニット2からの金属板11が載置されることになる(図13参照)。
【0059】
本実施例によれば、金属板11が載置された第3の金型ユニット3を第1の搬送経路外にスライド移動させることにより、第3の金型ユニット3において金属板11の冷却工程を行うことができる。しかも、金属板11が載置されていない第3の金型ユニット3を第1の搬送経路上に位置させることにより、第2の金型ユニット2からの金属板11を配置するスペースを確保することができる。
【0060】
すなわち、第1の搬送経路に対して、2つの第3の金型ユニット3を交互に位置させることにより、第2の金型ユニット2からの金属板11を2つの第3の金型ユニット3に振り分けている。
【0061】
このため、第1及び第2の金型ユニット1、2を継続して動作させながら、複数の第3の金型ユニット3を用いて金属板11の焼入れ工程を適切に行うことができる。言い換えれば、第1の及び第2の金型ユニット1、2において、第3の金型ユニット3における焼入れ工程に応じた時間だけ、下死点保持を行わなくてよい。
【0062】
従って、トランスファープレス装置10における動作時間を維持しながらも、焼入れされた成形品の生産性を維持することができる。
【0063】
ここで、第2の金型ユニット2から金属板11が搬送されるタイミングにおいて、金属板11の載置されていない第3の金型ユニット3を第1の搬送経路上に位置させておく必要がある。本実施例では、第2の金型ユニット2から搬送される金属板11を、2つの第3の金型ユニット3に振り分けているため、第3の金型ユニット3での焼入れ工程に要する時間は、第1及び第2の金型ユニット2での動作時間(タクトタイム)の略2倍となり、焼入れ工程を充分に行うことが可能となる。
【0064】
ここで、第3の金型ユニット3での焼入れ工程の時間が、第1及び第2の金型ユニット1、2での動作時間の略2倍よりも長くなる場合には、第3の金型ユニット3を冷却時間が短くなるような構成とすればよい。
【0065】
すなわち、本実施例では、第3の金型ユニット3を金属板11に接触させて焼入れ工程だけを行っているため、第3の金型ユニット3の構成を簡単な構成とすることができる。言い換えれば、第3の金型ユニット3の強度が、第1及び第2の金型ユニット1、2の強度よりも小さくなるように、第3の金型ユニット3を構成できる。これにより、本実施例のプレス成形装置を低コストで構成することができる。
【0066】
したがって、例えば、第3の金型ユニット3の上金型3a及び下金型3bを多孔質たいで構成し、多孔質内に冷却媒体(例えば、水)を含ませる構成とすることができる。また、上金型3a及び下金型3bを、成形された金属板11の角部分に当接するフレームと、このフレーム内に位置し、冷却媒体を含んだ弾性体とで構成することができる。
【0067】
このように構成することで、第3の金型ユニット3における金属板11の冷却効率を向上させることでき、短時間で焼入れ工程を行うことが可能となる。
【0068】
本実施例では、焼入れ装置20内に2つの第3の金型ユニット3を配置した構成について説明したが、これに限るものではなく、2つ以上の第3の金型ユニット3を配置してもよい。
【実施例2】
【0069】
本発明の実施例2であるプレス成形装置について、図14を用いて説明する。ここで、図14は、本実施例におけるプレス成形装置の上面図であり、実施例1で説明した部材と同じ部材については同一符号を用いている。
【0070】
以下、実施例1と異なる点について説明する。本実施例では、金属板11の焼入れ工程を行う焼入れ装置の構成が異なっている。以下、具体的に説明する。
【0071】
図14において、第2の金型ユニット2の下流には、不図示のアクチュエータからの駆動力を受けることにより、矢印C方向に回転可能な支持台21が設けられている。支持台21には、この回転方向において4つの第3の金型ユニット3が設けられている。
【0072】
各第3の金型ユニット3は、支持台21が略90度の角度間隔で回転することにより、第1及び第2の金型ユニット1、2における金属板11の搬送経路上に位置するようになっている。1つの第3の金型ユニット3が上記搬送経路(第1の搬送経路)上に位置している場合において、位置P1にある第3の金型ユニット3に第2の金型ユニット2からの金属板11が載置されると、支持台21が矢印C方向に略90度回転する。
【0073】
これにより、金属板11が載置された第3の金型ユニット3が第1の搬送経路上から退避し、位置P1から位置P2に移動する。
【0074】
第3の金型ユニット3が位置P2に移動すると、上金型3aが下降することにより、上金型3aが金属板11に当接して焼入れが開始される。このとき、位置P1には、他の第3の金型ユニット3が位置することになり、第2の金型ユニット2からの金属板11が搬送されることになる。ここで、焼入れ工程を開始するタイミングは、上述したように第3の金型ユニット3が位置P2に移動した後に行う場合だけに限らず、例えば、位置P1から位置P2への移動を開始したタイミングで行うようにしてもよい。
【0075】
第3の金型ユニット3が位置P2から位置P3に移動する間、金属板11の焼入れ工程が行われる。すなわち、第3の金型ユニット3における上金型3aが、下死点で保持されることになる。そして、焼入れ工程が完了すると、上金型3aは上方に移動する。
【0076】
第3の金型ユニット3が位置P3に移動すると、金属板11の焼入れ工程が完了しており、上金型3aが装置上方に移動した状態となっている。この状態において、搬送フィンガー等の不図示の搬送機構によって、焼入れ工程された金属板11が装置外に搬送される。すなわち、支持台21から成形品が取り出されることになる。
【0077】
金属板11が運び出された第3の金型ユニット3は、支持台21の回転によって位置P3から位置P4に移動する。そして、位置P4から位置P1に移動することにより、第2の金型ユニット2からの金属板11を受け入れることができる。
【0078】
本実施例においても、実施例1と同様の効果を得ることができる。すなわち、第1及び第2の金型ユニット1、2を成形工程に要する時間だけ動作させるとともに、複数の第3の金型ユニット3を用いて金属板11の焼入れ工程を適切に行うことができる。したがって、第1及び第2の金型ユニット1、2の動作時間(タクトタイム)を長くすることなく、成形品を製造することができ、成形品の製造効率を維持することができる。
【0079】
実施例1では、複数の第3の金型ユニット3を第1の搬送経路に対してスライドさせる構成を説明し、実施例2では、複数の第3の金型ユニット3を第1の搬送経路に対して回転させる構成を説明した。ここで、本発明は、上述した実施例1、2の構成に限定されるものではない。
【0080】
すなわち、複数の第3の金型ユニット3を設け、各第3の金型ユニット3を第1の搬送経路上に位置させるとともに、第1の搬送経路から退避させるような構成であれば、いかなる構成であってもよい。具体的には、第3の金型ユニット3が移動する移動経路(第3の金型ユニット3による金属板11の搬送経路;第2の搬送経路)を、第1の搬送経路とは異なる経路とし、第2の搬送経路と第1の搬送経路とを交差させる構成とすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施例1であるプレス成形装置の概略図である。
【図2】搬送フィンガーによって金属板が第3の金型ユニット上に移動した状態を示す図である(A、B)。
【図3】図2に示す状態において、第3の金型ユニットによる金属板の焼入れ工程を示す図である(A、B)。
【図4】図3に示す状態において、金属板が載置された第3の金型ユニットが第1の搬送経路外に位置した図である。
【図5】図3に示す状態において、第1の搬送経路上に位置する第3の金型ユニットに金属板を載置した状態を示す図である。
【図6】図5に示す状態において、第1の搬送経路上に位置する第3の金型ユニットでの下死点保持状態を示す図。
【図7】図6に示す状態において、金属板が載置された第3の金型ユニットが第1の搬送経路外に退避した状態を示す図である。
【図8】実施例1のプレス成形装置を、上側から見たときの概略図である。
【図9】図3に示す状態を、装置上側から見たときの図である。
【図10】図3に示す状態を、装置上側から見たときの図である。
【図11】図4に示す状態を、装置上側から見たときの図である。
【図12】図5に示す状態を、装置上側から見たときの図である。
【図13】図5に示す状態を、装置上側から見たときの図である。
【図14】本発明の実施例2であるプレス成形装置の概略図である。
【符号の説明】
【0082】
1:第1の金型ユニット
2:第2の金型ユニット
3:第3の金型ユニット
1a、2a、3a:上金型
1b、2b、3b:下金型
4:スライド
5:ベース
6:搬送フィンガー
10:第1の搬送経路を構成するトランスファープレス装置
11:金属板
20:第2の搬送経路を構成する焼入れ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板の成形精度を確保しながら成形品の生産性を向上させることのできるプレス成形装置及びプレス成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のトランスファープレス装置では、加熱炉で200〜300℃に加熱された金属板を搬送しながら、複数の金型を用いて順次、成形工程等を行うことにより、複雑な形状を成形できる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、複数の加工工程等に対応する数の上金型及び下金型からなる金型が金属板の搬送経路に沿って順に配置されており、各金型での工程が完了すると次段の金型に金属板が、搬送機構によって搬送される。そして、各金型において、異なる工程(例えば、プレス成形工程、ピアッシング工程、トリミング工程)が行われることで、最終的な成形品が得られる。
【0004】
上述したトランスファープレス装置では、複数の金属板を順次、搬送させることで、連続して複数の成形品を得ることができ、プレス装置のなかでも高い生産性が得られる。また、単純な形状だけでなく、複雑な形状の成形品を製造することができる。
【0005】
さらに、トランスファープレス装置で得られた成形品は、一般に加工硬化しているものの、原板(加工前の金属板)としては強度の低いものが用いられている。
【0006】
なお、上述したトランスファープレス装置は、例えば、自動車の車体を成形する場合に用いられる。
【特許文献1】特開平5−146897号公報(図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のトランスファープレス装置において、ホットプレスを実施する場合、最終段に位置する金型を用いて焼入れを行えば、金属板をトランスファープレス装置内で搬送するだけで成形品を得ることができるはずであるが、この技術は確立していない。トランスファープレスで、金属板の焼入れまでを行う場合には、所定時間の間、金型を下死点で保持しなければならない。すなわち、加熱された金属板の温度が所定温度に低下するまで、金型を金属板に接触させておかなければならない。
【0008】
トランスファープレス装置では、金属板の搬送経路上に配置された複数段の金型が同じ動作(上下動作)を行うように構成されているため、上述したように最終段の金型を下死点で所定時間、保持する場合には、前段側に位置する金型も同じ時間だけ下死点で保持しなければならない。この場合には、前段側の金型が金属板に接触することにより、金属板の熱が金型に逃げてしまい、加熱された金属板の温度が低下してしまう。
【0009】
このように前段側の金型において、金属板の温度が低下してしまうと、金属板の成形を精度良く行うことができなくなってしまうおそれがある。また、金属板の所定の強度を得ることができなくなる。
【0010】
そこで、本発明は、金属板の成形精度を確保するとともに成形品の強度を向上させつつ、成形品の生産性を維持することのできるプレス成形方法およびプレス成形装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本願発明は、プレス成形装置(第1の発明)及びプレス成形方法(第2の発明)からなる。
【0012】
本願第1の発明は、加熱された金属板に対して、上金型及び下金型を含む金型ユニットを複数用いて成形工程及び機械加工工程並びに冷却工程を行うプレス成形装置であって、前記金属板が搬送される第1の搬送経路上に配置され、前記成形工程及び前記機械加工工程を順次行う複数の加工用金型ユニットと、前記複数の加工用金型ユニットによる前記成形工程及び前記機械加工工程で得られた前記金属板に当接して冷却工程をそれぞれ行う複数の冷却用金型ユニットと、当該複数の冷却用金型ユニットを移動可能に支持し、前記各冷却用金型ユニットによって前記第1の搬送経路とは異なる第2の搬送経路上で前記金属板を搬送させる支持ユニットと、を有することを特徴とする。
【0013】
ここで、前記各冷却用金型ユニットは、前記支持ユニットの動作に応じて、前記第1の搬送経路上の位置と、前記第1の搬送経路外の位置とに移動可能である。また、前記複数の加工用金型ユニットの動作時間が略同一であり、かつ、前記加工用金型ユニットの動作時間が前記冷却用金型ユニットの動作時間とは異ならせることができる。
【0014】
なお、前記複数の加工用金型ユニット間における前記金属板の搬送を行うと共に、最終段の前記加工用金型ユニットから前記搬送ユニット上に前記金属板を搬送する搬送機構を設けることができる。
【0015】
本願第2の発明であるプレス成形方法は、加熱された金属板を第1の搬送経路上で搬送する第1の搬送工程と、前記第1の搬送工程内において、金型を用いて行う成形工程及び機械加工工程と、前記成形工程及び前記機械加工工程で得られた前記金属板を、前記第1の搬送経路とは異なる第2の搬送経路上で搬送する第2の搬送工程と、前記第2の搬送工程で搬送された前記金属板に金型を当接させて行う冷却工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
ここで、前記成形工程及び前記機械加工工程の動作時間を略同一とし、かつ、前記成形工程及び前記機械加工工程の各動作時間が前記冷却工程の動作時間とは異ならせることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、最終段側において金型を用いた金属板の冷却工程(焼入れ)を行う場合において、冷却工程に応じた時間だけ加工用金型ユニットを下死点保持させることなく、成形品を製造することができる。しかも、トランスファープレスを利用して金属板を搬送しながら順次加工工程を行うことで、焼入れを行いながらも成形品の生産性を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1であるプレス成形装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施例のプレス成形装置の概略図であり、このプレス成形装置は、第1の搬送経路を構成するトランスファープレス装置10及び第2の搬送経路を構成する焼入れ装置20を備えている。
【0020】
本実施例のプレス成形装置は、不図示の加熱炉で加熱された平板状の金属板に対して、3つの工程(トランスファープレス装置10での2つの加工工程と、焼入れ装置20での1つの工程)を行うことにより、いわゆるハット形状の金属板を成形するものである。なお、加熱炉での加熱方式は、いかなる方法でもよく、例えば、雰囲気加熱や誘導加熱等がある。また、金属板の成形形状は、いかなる形状としてもよく、この形状に応じた金型を用いればよい。
【0021】
まず、トランスファープレス装置10の構成及び動作について説明する。
【0022】
図1において、加熱炉において成形可能な温度(例えば、750℃)に加熱された平板状の金属板11は、搬送フィンガー6によってトランスファープレス装置10に搬送され、まず、第1の金型ユニット1によってプレス成形される。第1の金型ユニット1は、上金型1a及び下金型1bを有しており、上金型1aはスライド4に固定され、下金型1bはベース5に固定されている。
【0023】
ここで、図1に示すように、本実施例では、上金型1aに凹部を設け、下金型1bに凸部を設けた構成であるが、逆の構成であってもよい。
【0024】
また、スライド4は、不図示のアクチュエータからの駆動力を受けることにより、図1中の上下方向に移動可能となっており、このスライド4の動作によって、上金型1aは下金型1bに対してトランスファープレス装置10の上下方向に移動することができる。
【0025】
下金型1bは、ポンチ1b1と、ポンチ1b1の両側に配置されたブランクホルダ1b2とを有しており、ブランクホルダ1b2は、ポンチ1b1に対して図1の上下方向に移動可能となっている。
【0026】
搬送フィンガー6は、加熱された金属板11を搬送するために用いられる。搬送フィンガー6は、金属板11の両端部を支持するように対になって構成されている。これらの搬送フィンガー6は、金属板11の搬送方向(図1の矢印X1方向)に延びる一対のガイドレール12(図2(B)参照)に固定されている。本実施例では、図8に示すように、一対のガイドレール12のそれぞれに、2つの搬送フィンガー6が固定されている。
【0027】
一対のガイドレール12は、矢印X1方向に移動可能となっているとともに、矢印X1方向と直交する方向(図1の紙面の奥行き方向、すなわち、図2(B)に示す矢印X2方向)において移動可能となっている。
【0028】
ここで、2つのガイドレールが矢印X1方向にスライド移動することにより、搬送フィンガー6も矢印X1方向に移動することになる。また、一対のガイドレール12が互いに近づく方向(図8の矢印で示す方向)に移動することにより、搬送フィンガー6によって金属板11を保持することができる。そして、金属板11を保持した状態で、搬送フィンガー6が矢印X1方向に移動することによって、金属板11の搬送が行われる。
【0029】
搬送フィンガー6によって、金属板11が加熱炉から第1の金型ユニット1側に搬送され、第1の金型ユニット1の下金型1b上に配置されると、上金型1aが図1に示す状態から下降を開始し、上金型1aの凸部分が下金型1bのブランクホルダ1b2を押し込むことにより、平板状の金属板11を所定形状(例えば、ハット形状)にプレス成形する。
【0030】
プレス成形後、上金型1aは、スライド4の動作によって上昇する。そして、搬送フィンガー6が金属板11を保持することにより、第1の金型ユニット1に対して次段に位置する第2の金型ユニット2に金属板11を搬送する。
【0031】
第2の金型ユニット2は、スライド4に固定された上金型2aと、ベース5に固定された下金型2bとを有する。上金型2aには、金属板11にピアスを形成するための突起部2a1が設けられている。また、下金型2bのブランクホルダ2b1には、突起部2a1が挿入される溝部が形成されている。
【0032】
ここで、スライド4の動作とともに上金型2aが上下動作することにより、金属板11の両端部近傍には、ピアス(穴部)が形成される。なお、上金型2a及び上金型1aは、スライド4の動作によって同じタイミングで上下動作することになる。
【0033】
第2の金型ユニット2での工程(機械加工工程としてのピアッシング工程)が完了すると、搬送フィンガー6によって第3の金型ユニット3に搬送される。
【0034】
上述したトランスファープレス装置10の構成において、第1及び第2の金型ユニット1、2のうち金属板11と当接する部分を加熱したり、該当接する部分に断熱層を設けたりしてもよい。これにより、トランスファープレス装置10内で金属板11を搬送する際において、金属板11の加熱温度が低下してしまうのを抑制することができる。
【0035】
具体的には、第1の金型ユニット1において、上金型1aのうち少なくとも金属板11と接触する部分を、発熱体によって加熱することができる。また、下金型1b(ポンチ1b1及びブランクホルダ1b2)のうち少なくとも金属板11と接触する部分を、発熱体によって加熱することができる。これにより、第1の金型ユニット1でのプレス成形において、金属板11の温度が低下してしまうのを抑制することができる。一方、金型1a、1bの全体を加熱するようにしてもよい。
【0036】
そして、第2の金型ユニット2における構成も、上述した第1の金型ユニット1と同様の構成とすることができる。
【0037】
さらに、搬送フィンガー6のうち少なくとも金属板11と接触する部分を、加熱してもよい。具体的には、搬送フィンガー6に発熱体を配置して、金属板11と接触する部分を加熱することができる。なお、搬送フィンガー6の全体を加熱するものであってもよい。
【0038】
次に、焼入れ装置20内の構成及び動作について説明する。
【0039】
焼入れ装置20内には、後述するように複数(本実施例では2つ)の第3の金型ユニット3が設けられている。第3の金型ユニット3は、トランスファープレス装置10とは別体として構成された焼入れ装置20内に設けられており、焼入れ装置20の本体に支持された上金型3a及び下金型3bを有する。ここで、上金型3aは、下金型3bに対して図1の上下方向に移動可能となっている。
【0040】
上金型3aには、加熱された金属板11を冷却するための冷却機構(不図示)とが設けられている。この冷却機構によって上金型3aが冷却されており、上金型3aが金属板11に接触することにより、金属板11を冷却(焼入れ)する。冷却機構としては、例えば、上金型3a内に冷却媒体(例えば、水)の循環路を形成し、図1(A)中の矢印IN、OUTに示すように、外部から冷却媒体の供給及び排出を行うことができる。
【0041】
第3の金型ユニット3上に第2の金型ユニット2からの金属板11が配置されると、上金型3aが図1に示す状態から下降することにより、金属板11に当接する。そして、所定時間の間、上金型3aが下死点で保持されることにより、金属板11が冷却され、焼入れが行われる。これにより、金属板11の温度は、例えば、650℃から200℃以下に冷却される。
【0042】
本実施例では、第3の金型ユニット3を金属板11に当接させることにより、金属板11の焼入れ工程だけを行っているが、焼入れ工程と同時に他の加工工程を行うようにしてもよい。例えば、成形された金属板11の端部を切断する工程(いわゆる、機械加工工程としてのトリミング工程)を行うことができる。この場合には、第3の金型ユニット3の上金型3a及び下金型3bに、トリミング工程を行うための突起部及び溝部を設ければよい。
【0043】
図2は、焼入れ装置20を、2つの側面から見た図(A、B)である。すなわち、図2(B)は、図2(A)に示す焼入れ装置20を矢印A方向から見たときの図である。ここで、図9は、図2に示す状態をプレス成形装置の上面側から見たときの図である。
【0044】
また、図3は、焼入れ装置20を、2つの側面から見た図(A、B)である。すなわち、図3(B)は、図3(A)に示す焼入れ装置20を矢印A方向から見たときの図である。ここで、図10は、図3に示す状態をプレス成形装置の上面側から見たときの図である。
【0045】
図2(B)に示すように、焼入れ装置20内には、2つの第3の金型ユニット3が矢印X2方向において並んで配置されている。ここで、2つの上金型3aは、支持部材7に固定されており、支持部材7は、ガイドローラ等を介して焼入れ装置20の本体20aに対して矢印X2方向に移動可能となっている。また、2つの下金型3bも、支持部材7に固定されている。
【0046】
また、図2は、搬送フィンガー6によって金属板11が、2つの第3の金型ユニット3のうち一方の第3の金型ユニット3上に移動した状態を示す。図2に示す状態において、ガイドレール12が互いに離れる方向に移動することにより、金属板11が第3の金型ユニット3の下金型3b上に配置される。そして、上金型3aが図3(B)の矢印Y1方向に移動することによって、上金型3aが金属板11に当接する。
【0047】
これにより、第3の金型ユニット3によって金属板11の冷却工程(焼入れ工程)が行われる。ここで、金属板11の焼入れ工程を行う場合には、所定時間(焼入れ工程に要する時間)の間、上金型3a及び下金型3bを金属板11に当接させておかなければならない。
【0048】
上述した所定時間は、第1及び第2の金型ユニット1、2における動作時間(プレス成形の時間)よりも通常長くなっている。
【0049】
ここで、第1〜第3の金型ユニット1〜3を同じタイミングで動作させるように構成した場合には、第3の金型ユニット3で焼入れ工程を行っている間に、前段側に位置する第1及び第2の金型ユニット1、2では、プレス工程が完了してしまう。そして、第1及び第2の金型ユニット1、2では、焼入れ工程に要する時間だけ、下死点保持が維持されることになってしまう。
【0050】
このように第1及び第2の金型ユニット1、2において、所定時間の間、下死点保持が行われると、金属板11の成形品を効率良く製造することができなくなってしまう。すなわち、第3の金型ユニット3での焼入れ工程に応じて第1及び第2の金型ユニット1、2を動作させると、通常の成形工程に要する時間と焼入れ工程に要する時間の差分だけ、成形品を製造できる時間が長くなってしまう。
【0051】
そこで、本実施例では、第2の金型ユニット2から第3の金型ユニット3に金属板11が搬送され、第3の金型ユニット3で金属板11の焼入れ工程を行う場合には、金属板11が載置された第3の金型ユニット3を、第1及び第2の金型ユニット1、2における金属板11の搬送経路(以下、第1の搬送経路とする)外に移動させている。ここで、第1の搬送経路とは、図1に示す矢印X1方向に延びる金属板11の搬送経路である。
【0052】
図3(B)に示す状態において、支持部材7を矢印X3方向(矢印X2方向のうちの一方向)にスライド移動させることにより、金属板11が載置された第3の金型ユニット3を図4に示す状態としている。ここで、図4に示す状態を、プレス成形装置の上面から見た図を、図11に示す。
【0053】
これにより、金属板11が載置されていない第3の金型ユニット3が、第1の搬送経路上に位置することになる。これにより、図5に示すように、第2の金型ユニット2から搬送される次の金属板11を、金属板11が載置されていない第3の金型ユニット3上に配置することができる。
【0054】
図5に示す状態において、第1の搬送経路外に移動した第3の金型ユニット3での焼入れが完了すると、焼入れ工程された金属板11は、搬送フィンガー等の不図示の搬送機構によって第3の金型ユニット3から取り出される(図12参照)。
【0055】
そして、図6に示すように、第1の搬送経路外にある第3の金型ユニット3から金属板11が運び出され、第1の搬送経路上にある第3の金型ユニット3において上金型3aが下降すると、図7に示すように、支持部材7は本体8に対して矢印X4方向にスライド移動する。ここで、矢印X4方向とは、矢印X2方向のうちの他方向であって、矢印X3方向とは反対方向を示す。
【0056】
これにより、焼入れ装置20における2つの第3の金型ユニット3は、図7に示す状態となる。ここで、図5に示す状態において金属板11が運び出された第3の金型ユニット3は、第1の搬送経路上に位置することになり、第2の金型ユニット2からの金属板11を受け入れることが可能となる。一方、第1の搬送経路外に移動した第3の金型ユニット3は、所定時間の間、金属板11に接触して焼入れを行う。
【0057】
図7に示す状態で焼入れ工程が完了すると、第1の搬送経路外に位置する第3の金型ユニット3上から金属板11が運び出される。この状態を、図12に示す。なお、図12は、プレス成形装置を上面側から見たときの図である。
【0058】
図12に示す状態では、金属板11が載置されていない第3の金型ユニット3が第1の搬送経路上に位置することになり、この第3の金型ユニット3に対して第2の金型ユニット2からの金属板11が載置されることになる(図13参照)。
【0059】
本実施例によれば、金属板11が載置された第3の金型ユニット3を第1の搬送経路外にスライド移動させることにより、第3の金型ユニット3において金属板11の冷却工程を行うことができる。しかも、金属板11が載置されていない第3の金型ユニット3を第1の搬送経路上に位置させることにより、第2の金型ユニット2からの金属板11を配置するスペースを確保することができる。
【0060】
すなわち、第1の搬送経路に対して、2つの第3の金型ユニット3を交互に位置させることにより、第2の金型ユニット2からの金属板11を2つの第3の金型ユニット3に振り分けている。
【0061】
このため、第1及び第2の金型ユニット1、2を継続して動作させながら、複数の第3の金型ユニット3を用いて金属板11の焼入れ工程を適切に行うことができる。言い換えれば、第1の及び第2の金型ユニット1、2において、第3の金型ユニット3における焼入れ工程に応じた時間だけ、下死点保持を行わなくてよい。
【0062】
従って、トランスファープレス装置10における動作時間を維持しながらも、焼入れされた成形品の生産性を維持することができる。
【0063】
ここで、第2の金型ユニット2から金属板11が搬送されるタイミングにおいて、金属板11の載置されていない第3の金型ユニット3を第1の搬送経路上に位置させておく必要がある。本実施例では、第2の金型ユニット2から搬送される金属板11を、2つの第3の金型ユニット3に振り分けているため、第3の金型ユニット3での焼入れ工程に要する時間は、第1及び第2の金型ユニット2での動作時間(タクトタイム)の略2倍となり、焼入れ工程を充分に行うことが可能となる。
【0064】
ここで、第3の金型ユニット3での焼入れ工程の時間が、第1及び第2の金型ユニット1、2での動作時間の略2倍よりも長くなる場合には、第3の金型ユニット3を冷却時間が短くなるような構成とすればよい。
【0065】
すなわち、本実施例では、第3の金型ユニット3を金属板11に接触させて焼入れ工程だけを行っているため、第3の金型ユニット3の構成を簡単な構成とすることができる。言い換えれば、第3の金型ユニット3の強度が、第1及び第2の金型ユニット1、2の強度よりも小さくなるように、第3の金型ユニット3を構成できる。これにより、本実施例のプレス成形装置を低コストで構成することができる。
【0066】
したがって、例えば、第3の金型ユニット3の上金型3a及び下金型3bを多孔質たいで構成し、多孔質内に冷却媒体(例えば、水)を含ませる構成とすることができる。また、上金型3a及び下金型3bを、成形された金属板11の角部分に当接するフレームと、このフレーム内に位置し、冷却媒体を含んだ弾性体とで構成することができる。
【0067】
このように構成することで、第3の金型ユニット3における金属板11の冷却効率を向上させることでき、短時間で焼入れ工程を行うことが可能となる。
【0068】
本実施例では、焼入れ装置20内に2つの第3の金型ユニット3を配置した構成について説明したが、これに限るものではなく、2つ以上の第3の金型ユニット3を配置してもよい。
【実施例2】
【0069】
本発明の実施例2であるプレス成形装置について、図14を用いて説明する。ここで、図14は、本実施例におけるプレス成形装置の上面図であり、実施例1で説明した部材と同じ部材については同一符号を用いている。
【0070】
以下、実施例1と異なる点について説明する。本実施例では、金属板11の焼入れ工程を行う焼入れ装置の構成が異なっている。以下、具体的に説明する。
【0071】
図14において、第2の金型ユニット2の下流には、不図示のアクチュエータからの駆動力を受けることにより、矢印C方向に回転可能な支持台21が設けられている。支持台21には、この回転方向において4つの第3の金型ユニット3が設けられている。
【0072】
各第3の金型ユニット3は、支持台21が略90度の角度間隔で回転することにより、第1及び第2の金型ユニット1、2における金属板11の搬送経路上に位置するようになっている。1つの第3の金型ユニット3が上記搬送経路(第1の搬送経路)上に位置している場合において、位置P1にある第3の金型ユニット3に第2の金型ユニット2からの金属板11が載置されると、支持台21が矢印C方向に略90度回転する。
【0073】
これにより、金属板11が載置された第3の金型ユニット3が第1の搬送経路上から退避し、位置P1から位置P2に移動する。
【0074】
第3の金型ユニット3が位置P2に移動すると、上金型3aが下降することにより、上金型3aが金属板11に当接して焼入れが開始される。このとき、位置P1には、他の第3の金型ユニット3が位置することになり、第2の金型ユニット2からの金属板11が搬送されることになる。ここで、焼入れ工程を開始するタイミングは、上述したように第3の金型ユニット3が位置P2に移動した後に行う場合だけに限らず、例えば、位置P1から位置P2への移動を開始したタイミングで行うようにしてもよい。
【0075】
第3の金型ユニット3が位置P2から位置P3に移動する間、金属板11の焼入れ工程が行われる。すなわち、第3の金型ユニット3における上金型3aが、下死点で保持されることになる。そして、焼入れ工程が完了すると、上金型3aは上方に移動する。
【0076】
第3の金型ユニット3が位置P3に移動すると、金属板11の焼入れ工程が完了しており、上金型3aが装置上方に移動した状態となっている。この状態において、搬送フィンガー等の不図示の搬送機構によって、焼入れ工程された金属板11が装置外に搬送される。すなわち、支持台21から成形品が取り出されることになる。
【0077】
金属板11が運び出された第3の金型ユニット3は、支持台21の回転によって位置P3から位置P4に移動する。そして、位置P4から位置P1に移動することにより、第2の金型ユニット2からの金属板11を受け入れることができる。
【0078】
本実施例においても、実施例1と同様の効果を得ることができる。すなわち、第1及び第2の金型ユニット1、2を成形工程に要する時間だけ動作させるとともに、複数の第3の金型ユニット3を用いて金属板11の焼入れ工程を適切に行うことができる。したがって、第1及び第2の金型ユニット1、2の動作時間(タクトタイム)を長くすることなく、成形品を製造することができ、成形品の製造効率を維持することができる。
【0079】
実施例1では、複数の第3の金型ユニット3を第1の搬送経路に対してスライドさせる構成を説明し、実施例2では、複数の第3の金型ユニット3を第1の搬送経路に対して回転させる構成を説明した。ここで、本発明は、上述した実施例1、2の構成に限定されるものではない。
【0080】
すなわち、複数の第3の金型ユニット3を設け、各第3の金型ユニット3を第1の搬送経路上に位置させるとともに、第1の搬送経路から退避させるような構成であれば、いかなる構成であってもよい。具体的には、第3の金型ユニット3が移動する移動経路(第3の金型ユニット3による金属板11の搬送経路;第2の搬送経路)を、第1の搬送経路とは異なる経路とし、第2の搬送経路と第1の搬送経路とを交差させる構成とすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施例1であるプレス成形装置の概略図である。
【図2】搬送フィンガーによって金属板が第3の金型ユニット上に移動した状態を示す図である(A、B)。
【図3】図2に示す状態において、第3の金型ユニットによる金属板の焼入れ工程を示す図である(A、B)。
【図4】図3に示す状態において、金属板が載置された第3の金型ユニットが第1の搬送経路外に位置した図である。
【図5】図3に示す状態において、第1の搬送経路上に位置する第3の金型ユニットに金属板を載置した状態を示す図である。
【図6】図5に示す状態において、第1の搬送経路上に位置する第3の金型ユニットでの下死点保持状態を示す図。
【図7】図6に示す状態において、金属板が載置された第3の金型ユニットが第1の搬送経路外に退避した状態を示す図である。
【図8】実施例1のプレス成形装置を、上側から見たときの概略図である。
【図9】図3に示す状態を、装置上側から見たときの図である。
【図10】図3に示す状態を、装置上側から見たときの図である。
【図11】図4に示す状態を、装置上側から見たときの図である。
【図12】図5に示す状態を、装置上側から見たときの図である。
【図13】図5に示す状態を、装置上側から見たときの図である。
【図14】本発明の実施例2であるプレス成形装置の概略図である。
【符号の説明】
【0082】
1:第1の金型ユニット
2:第2の金型ユニット
3:第3の金型ユニット
1a、2a、3a:上金型
1b、2b、3b:下金型
4:スライド
5:ベース
6:搬送フィンガー
10:第1の搬送経路を構成するトランスファープレス装置
11:金属板
20:第2の搬送経路を構成する焼入れ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱された金属板に対して、上金型及び下金型を含む金型ユニットを複数用いて成形工程及び機械加工工程並びに冷却工程を行うプレス成形装置であって、
前記金属板が搬送される第1の搬送経路上に配置され、前記成形工程及び前記機械加工工程を順次行う複数の加工用金型ユニットと、
前記複数の加工用金型ユニットによる前記成形工程及び前記機械加工工程で得られた前記金属板に当接して冷却工程をそれぞれ行う複数の冷却用金型ユニットと、
当該複数の冷却用金型ユニットを移動可能に支持し、前記各冷却用金型ユニットによって前記第1の搬送経路とは異なる第2の搬送経路上で前記金属板を搬送させる支持ユニットと、
を有することを特徴とするプレス成形装置。
【請求項2】
前記各冷却用金型ユニットは、前記支持ユニットの動作に応じて、前記第1の搬送経路上の位置と、前記第1の搬送経路外の位置とに移動可能であることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形装置。
【請求項3】
前記複数の加工用金型ユニットの動作時間が略同一であり、かつ、前記加工用金型ユニットの動作時間が前記冷却用金型ユニットの動作時間とは異なることを特徴とする請求項1又は2に記載のプレス成形装置。
【請求項4】
前記第1の搬送経路上において前記金属板を搬送すると共に、最終段の前記加工用金型ユニットから前記冷却用金型ユニットに前記金属板を搬送する搬送機構を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプレス成形装置。
【請求項5】
加熱された金属板を第1の搬送経路上で搬送する第1の搬送工程と、
前記第1の搬送工程内において、金型を用いて行う成形工程及び機械加工工程と、
前記成形工程及び前記機械加工工程で得られた前記金属板を、前記第1の搬送経路とは異なる第2の搬送経路上で搬送する第2の搬送工程と、
前記第2の搬送工程で搬送された前記金属板に金型を当接させて行う冷却工程と、を有することを特徴とするプレス成形方法。
【請求項6】
前記成形工程及び前記機械加工工程の動作時間が略同一であり、かつ、前記成形工程及び前記機械加工工程の各動作時間が前記冷却工程の動作時間とは異なることを特徴とする請求項5に記載のプレス成形方法。
【請求項1】
加熱された金属板に対して、上金型及び下金型を含む金型ユニットを複数用いて成形工程及び機械加工工程並びに冷却工程を行うプレス成形装置であって、
前記金属板が搬送される第1の搬送経路上に配置され、前記成形工程及び前記機械加工工程を順次行う複数の加工用金型ユニットと、
前記複数の加工用金型ユニットによる前記成形工程及び前記機械加工工程で得られた前記金属板に当接して冷却工程をそれぞれ行う複数の冷却用金型ユニットと、
当該複数の冷却用金型ユニットを移動可能に支持し、前記各冷却用金型ユニットによって前記第1の搬送経路とは異なる第2の搬送経路上で前記金属板を搬送させる支持ユニットと、
を有することを特徴とするプレス成形装置。
【請求項2】
前記各冷却用金型ユニットは、前記支持ユニットの動作に応じて、前記第1の搬送経路上の位置と、前記第1の搬送経路外の位置とに移動可能であることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形装置。
【請求項3】
前記複数の加工用金型ユニットの動作時間が略同一であり、かつ、前記加工用金型ユニットの動作時間が前記冷却用金型ユニットの動作時間とは異なることを特徴とする請求項1又は2に記載のプレス成形装置。
【請求項4】
前記第1の搬送経路上において前記金属板を搬送すると共に、最終段の前記加工用金型ユニットから前記冷却用金型ユニットに前記金属板を搬送する搬送機構を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプレス成形装置。
【請求項5】
加熱された金属板を第1の搬送経路上で搬送する第1の搬送工程と、
前記第1の搬送工程内において、金型を用いて行う成形工程及び機械加工工程と、
前記成形工程及び前記機械加工工程で得られた前記金属板を、前記第1の搬送経路とは異なる第2の搬送経路上で搬送する第2の搬送工程と、
前記第2の搬送工程で搬送された前記金属板に金型を当接させて行う冷却工程と、を有することを特徴とするプレス成形方法。
【請求項6】
前記成形工程及び前記機械加工工程の動作時間が略同一であり、かつ、前記成形工程及び前記機械加工工程の各動作時間が前記冷却工程の動作時間とは異なることを特徴とする請求項5に記載のプレス成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−136534(P2007−136534A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337332(P2005−337332)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
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